説明

カード付き帳票とその製造方法

【課題】簡単かつ廉価に製造でき、印字時のトラブルを解消できるカード付き帳票を提供すること。
【解決手段】台紙20の表面に設けた接着層21とカード基材30の裏面に設けた剥離層31とを疑似接着し、カード基材30の表面を被覆したフィルムラベル40を台紙20の表面に貼り合わせ、フィルムラベル40の表面からカード基材30を貫通するハーフカット51でカード50を型抜きするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば会員カードやポイントカード等の各種のカードを送付するのに好適なカード付き帳票とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のようなカード類を利用者に送付する方法としては、カードを台紙に剥離可能に貼り付けて、その台紙を封筒に入れて郵送するのが一般的である。下記の特許文献1にはこのような用途で使用されるカード用紙が開示されており、このカード用紙は、シート状基材の表面に粘着剤で樹脂シートが接着され、カードの裏面に粘着剤で樹脂シートが接着されており、樹脂シート同士が剥離層を介して剥離可能に疑似接着されている。そして、カードが疑似接着されたカード用紙に宛先を印字し、それを窓付き封筒に入れて郵送するようになっている。
【0003】
【特許文献1】実開平2−126878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示された従来のカード用紙には、次のような問題があった。
【0005】
A.製造時において、シート状基材に粘着剤を塗布して樹脂シートを接着した後、カードに粘着剤を塗布して樹脂シートを接着し、最後に樹脂シート同士を剥離剤で疑似接着しなければならず、加工工程が煩雑で高価な樹脂シートを多く使用することから、製造コストが高くなる。
【0006】
B.印刷時において、カード部分が厚くシート状基材との間に段差があるため、プリンタでシート状基材に宛先を印字する際に、段差で引っ掛かったりドラムを傷付けたりする危険性がある。
【0007】
C.郵送時において、カード用紙は樹脂シート同士の疑似接着によってカードをシート状基材に貼り付けたものであるため、封筒に入れるカード用紙全体の厚さが大きく、重量が嵩むので郵送費が高くなる。
【0008】
D.使用時において、カード用紙からカードを剥がすと、剥がした後のシート状基材には1枚の樹脂シートが粘着剤で接着されたまま残るので、廃棄するゴミの量が多く、材料資源の無駄使いになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記A〜Dの問題を解決するカード付き帳票とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明のカード付き帳票は、台紙の表面の接着層とカード基材の裏面の剥離層とが剥離可能に疑似接着され、カード基材の表面を被覆したフィルムラベルが台紙の表面に貼り合わされており、フィルムラベルの表面からカード基材を貫通するハーフカットによって型抜きされたカードが台紙から剥離可能に設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明のカード付き帳票において、フィルムラベルやカード基材は、カードの用途に合わせて様々な素材から選択することができる。例えば、フィルムラベルは、フィルムの裏面に粘着剤を塗布したものや、フィルムの裏面に接着剤を塗布したものを使用することができ、カード基材は紙やフィルムで構成することができる。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明のカード付き帳票の製造方法は、台紙の表面に塗布した接着剤とカード基材の裏面に塗布した剥離剤とを剥離可能に疑似接着し、カード基材の表面を被覆したフィルムラベルを台紙の表面に貼り合わせた後、フィルムラベルの表面からカード基材を貫通するハーフカットを形成してカードを型抜きすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0014】
A.製造時において、台紙にカード基材を接着し、その上にフィルムラベルを貼り合わせ、ハーフカットでカードを型抜きするだけで良いので、加工工程が簡素化され、しかも疑似接着に接着剤と剥離剤を使用することで材料費が抑えられるため、従来のカード用紙に比べ大幅に製造コストを低減することができる。
【0015】
B.印刷時において、台紙とカード基材の間に生じる段差がフィルムラベルによって解消されるので、プリンタで印字する際に段差で引っ掛かったりドラムを傷付けたりすることがなく安定した印字を行うことができる。
【0016】
C.郵送時において、カード付き帳票は台紙に接着層と剥離層を介してカード基材を疑似接着したものであるため、窓付き封筒に入れる帳票全体の厚さが薄く重量が軽くなるので、郵送費を削減することができる。
【0017】
D.使用時において、カード付き帳票からカードを剥がすと、剥がした後の台紙にはカードの周囲のフィルムラベルがわずかに残るだけであるので、廃棄するゴミの量を減らして材料資源の節約を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
1.構成について
まず、図1〜3に基づいて、本実施形態のカード付き帳票の構成を説明する。
【0020】
(1)全体の構成
図1に示すように、本実施形態のカード付き帳票10は、利用者に会員カードやポイントカード等の各種のカード50を送付する際に使用するものであり、連続用紙からなる台紙20を用いて製造されている。連続用紙にはその長手方向に等間隔で配置した切り取りミシン目11,11,…が形成されており、この切り取りミシン目11を介して複数の単片状のカード付き帳票10,10,…が互いに切り離し可能に連接されている。また、各々のカード付き帳票10には1枚ずつカード50が設けられていて、このカード50を台紙20から剥離できるようになっている。
【0021】
(2)細部の構成
図2と図3に示すように、カード付き帳票10は、台紙20とカード基材30とフィルムラベル40を備えて構成されている。
【0022】
台紙20は、本実施形態では印刷適性に優れた上質紙からなり、折り畳まずに窓付き封筒に入るサイズに形成されている。台紙20表面の右側部分には、カードサイズ(縦85.6mm×横54.0mm)よりも一回り大きな範囲内に接着剤を塗布した接着層21が設けられている。接着剤は、カード50を剥がした後にベタツキが残らないように、圧力を加えて接着力を持たせる感圧接着剤や、熱を加えて接着力を持たせる感熱接着剤等を使用するのが好ましい。感圧接着剤としては天然ゴム系ラテックス、感熱接着剤としてはヒートシール性接着剤やディレードタック性接着剤が挙げられる。また、台紙20表面の左側部分には、窓付き封筒に入れた時に宛先が窓枠内に納まるように宛先表示部22が設定されている。
【0023】
カード基材30は、カード50の用途に合わせて紙や樹脂フィルムなどの様々な素材から選択することができ、本実施形態ではPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる樹脂フィルムで構成され、カードサイズよりも一回り大きなサイズに形成されている。カード基材30にはあらかじめカード50の必要事項が印刷されている。また、カード基材30の裏面には、接着層21の領域に対応させて剥離剤を塗布した剥離層31が設けられている。剥離剤は、軽い力で接着層21から綺麗に剥がれ、なおかつその上からカード使用者が署名できるように筆記性を備えたものが好適であり、例えばシリコーンを含有しないメジウム(体質顔料のみをビヒクルに分散した無色インキ)やシリコーンを含有しない剥離OPニス(体質顔料を含まない無色透明インキ)が使用される。
【0024】
フィルムラベル40は、フィルム41の裏面に粘着剤や接着剤を塗布した接着層42が設けられたものであり、カード基材30の表面全体に覆い被さるようにカード基材30よりも大きいサイズに形成されている。フィルム41の素材としては、カード基材30の表面に印刷した事項の視認性を妨げないように透明や半透明のものが好ましく、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)等の樹脂フィルムを使用することができる。また、接着層42は、粘着剤であればゴム系(天然ゴム、SBR、ブチルゴム)、アクリル系(溶剤型、エマルジョン型)、ホットメルト系、シリコーン系等の各種粘着剤、接着剤であれば上記の感圧接着剤や感熱接着剤を使用することができる。
【0025】
2.製造方法について
次に、図4に基づいて、本実施形態のカード付き帳票の製造方法を説明する。
【0026】
(1)台紙とカード基材を接着する。
図4(A)に示すように、まず台紙20の表面の所定領域に接着剤を塗布して接着層21を形成し、カード基材30の裏面全域に剥離剤を塗布して剥離層31を形成する。そして、台紙20の接着層21とカード基材30の剥離層31を対向させて接着し、台紙20の上にカード基材30を貼り合わせる。これにより、カード基材30と台紙20が接着層21と剥離層31の接合面を介して剥離可能に疑似接着される。
【0027】
(2)フィルムラベルを貼付する。
図4(B)に示すように、次いでカード基材30の表面にフィルムラベル40を覆い被せて接着する。また、カード基材30の周囲にはみ出た接着層42によってフィルムラベル40を台紙20の表面に貼り付ける。これにより、カード基材30全体がフィルムラベル40で被覆され、台紙20とカード基材30の間に発生する段差がフィルムラベル40によって緩やかに解消される。
【0028】
(3)カードを型抜きする。
図4(C)に示すように、最後にハーフカット51を形成し、カード50の型抜きを行う。ハーフカット51は、フィルムラベル40の表面からカット刃60を入れ、カード基材30を貫通して台紙20の表面まで到達する深さで形成する。これにより、ハーフカット51によってカードサイズに型抜きされたカード50が台紙20から剥離可能に設けられる。このように、本実施形態のカード付き帳票10によれば、台紙20にカード基材30を接着し、フィルムラベル40を貼り合わせた後、カード50を型抜きするだけで製造することができる。したがって、加工工程が簡素化され、しかも疑似接着に接着剤と剥離剤を使用することで材料費が抑えられるので、従来のカード用紙に比べ大幅に製造コストを低減することができる。
【0029】
3.使用方法について
最後に、図5に基づいて、本実施形態のカード付き帳票の使用方法を説明する。
【0030】
(1)カード付き帳票を郵送する。
まずカード付き帳票10の宛先表示部22にカード利用者の住所や氏名等の宛先を印字する。ここで、カード付き帳票10は、図3に示したように台紙20とカード基材30の間の段差がフィルムラベル40によって解消されているので、プリンタで宛先を印字するに際して、段差で引っ掛かったりドラムを傷付けたりすることがなく安定した印字を行える。そして、図5(A)に示すように、宛先が印字されたカード付き帳票10を窓付き封筒70に入れて封緘すると宛先表示部22が窓枠71内に表示され、カード付き帳票10を利用者の元に郵送することができる。なお、カード付き帳票10は台紙20に接着層21と剥離層31を介してカード基材30を疑似接着したものであるため、郵送時に窓付き封筒70に入れる帳票全体の厚さが薄くて済み、重量が軽いので郵送費を削減することができる。
【0031】
(2)カードを剥がして利用する。
次に、郵送された窓付き封筒70を受け取った利用者は、封筒を開封して中身のカード付き帳票10を取り出す。そして、図5(B)に示すように、ハーフカット51で型抜きされたカード50を台紙20から剥がし取って利用する。このとき、カード50は、図5(C)に示すように接着層21と剥離層31との接合面を介して剥離され、フィルムラベル40とカード基材30と剥離層31の積層体がカード50になる。なお、カード50を剥がした後の台紙20には、カード50の周囲にフィルムラベル40がわずかに残るだけであるので、廃棄するゴミの量を減らして材料資源の節約を図ることができる。
【0032】
4.その他
以上説明した通り、上記の実施形態では同時に多数のカード付き帳票10を設けるために連続用紙を用いて製造したが、もちろん単片用紙を用いてカード付き帳票10を個別に製造しても構わない。また、カード付き帳票10を利用者に郵送するために台紙20を窓付き封筒70に入るサイズに形成したが、台紙20のサイズはこれに限られず、カード50を手渡しする場合には台紙20に宛先表示部22を設ける必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】連続用紙を使用したカード付き帳票の全体構成を示す外観図。
【図2】カード付き帳票の構成を示す外観図。
【図3】カード付き帳票のカード付近を拡大して示す断面図。
【図4】カード付き帳票の製造工程を示す断面図。
【図5】カード付き帳票の使用方法を示す説明図。
【符号の説明】
【0034】
10 カード付き帳票
11 切り取りミシン目
20 台紙
21 接着層
22 宛先表示部
30 カード基材
31 剥離層
40 フィルムラベル
41 フィルム
42 接着層
50 カード
51 ハーフカット
60 カット刃
70 窓付き封筒
71 窓枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙の表面の接着層とカード基材の裏面の剥離層とが剥離可能に疑似接着され、カード基材の表面を被覆したフィルムラベルが台紙の表面に貼り合わされており、フィルムラベルの表面からカード基材を貫通するハーフカットによって型抜きされたカードが台紙から剥離可能に設けられていることを特徴とするカード付き帳票。
【請求項2】
台紙の表面に塗布した接着剤とカード基材の裏面に塗布した剥離剤とを剥離可能に疑似接着し、カード基材の表面を被覆したフィルムラベルを台紙の表面に貼り合わせた後、フィルムラベルの表面からカード基材を貫通するハーフカットを形成してカードを型抜きすることを特徴とするカード付き帳票の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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