カード処理装置
【課題】 カードに係る処理を、カードを破損せずに、正確に行うことができる。
【解決手段】 本発明は、印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置を行うカード処理装置に関する。そして、第1のカード処理装置は、カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、カードをカード処理ヘッドとの間で挟みこむ挟持ローラと、カード処理ヘッドの両脇で、挟持ローラとの間でカードを挟みこんで押圧する1対の押圧ローラとを有することを特徴とする。第2のカード処理装置は、カードを運ぶ走行路と、走行路上で、カードに処理を行うカード処理ヘッドと、走行路上でカード処理ヘッドの両脇に配置されておりカードとカード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドとを有することを特徴とする。
【解決手段】 本発明は、印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置を行うカード処理装置に関する。そして、第1のカード処理装置は、カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、カードをカード処理ヘッドとの間で挟みこむ挟持ローラと、カード処理ヘッドの両脇で、挟持ローラとの間でカードを挟みこんで押圧する1対の押圧ローラとを有することを特徴とする。第2のカード処理装置は、カードを運ぶ走行路と、走行路上で、カードに処理を行うカード処理ヘッドと、走行路上でカード処理ヘッドの両脇に配置されておりカードとカード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドとを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カード処理装置に関し、例えば、印刷及び消去可能な印刷領域を有するカードに印刷された内容を消去処理する装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
現在、リライタブル可能なカード(以下、「リライトカード」という)が普及している。リライトカードとしては、例えば、書換可能な情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ)及び印刷領域を有するカード(例えば、ポイントカードや電車の定期券など)が挙げられる。
【0003】
従来のリライトカードの印刷領域の内容を消去する装置では、通常、消去ヘッドの対向にプラテンローラが配置され、消去ヘッドとプラテンローラによりリライトカードを挟み込み、リライトカードと消去ヘッドが均等に接触するようになっている。
【0004】
リライトカードについて、カードの印刷領域をリライトする際(例えば、リライトカードが定期券であれば、その更新に伴う書き換え処理)には、新品のカードではなく、ユーザが使用しているカードについて消去処理を行う必要があるため、変形したカードについて消去処理を行わなければならない場合がある。変形したカードについて印刷領域の印刷内容を消去する場合は、消去ヘッドの押圧力で変形を矯正することができないため(カード破損の恐れがあるため)、リライトカードと消去ヘッドの間にエアギャップ(空間)ができ、消え残りが発生するという問題があった。
【0005】
上述のような、変形したリライトカードでも印刷領域について印刷や消去の処理を行う装置として、特許文献1のカード用プリンタがある。特許文献1のカード用プリンタでは、リライトカードの印刷領域について印刷又は消去処理を行う際に、リライトカードに一定の曲率のカールを強制的に付与することにより、エアギャップを減少させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−88331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のカード用プリンタでは、以下のような問題点があった。
【0008】
(1)リライトカードにカールを付与するため、リライトカードと消去ヘッドの間のエアギャップ自体を無くすことはできず、消え残りが発生する。
【0009】
(2)リライトカードに強制的にカールを付与するほどの力を加えなければならないため、カールを付与する際にリライトカードを破損してしまう恐れがある。
【0010】
(3)リライトカードの印刷領域が、リライトカード全体よりも狭い場合には、消去ヘッドが印刷領域以外の場所に接触すると、リライトカードが破損、溶融、汚損等してしまう恐れがある。
【0011】
上述のような問題点を鑑み、カードに係る処理を、カードを破損せずに、正確に行うことができるカード処理装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の本発明は、印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、(1)上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、(2)上記カードを上記カード処理ヘッドとの間で挟みこむ挟持ローラと、(3)上記カード処理ヘッドの両脇で、上記挟持ローラとの間で上記カードを挟みこんで押圧する1対の押圧ローラとを有することを特徴とする。
【0013】
第2の本発明は、印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、(1)上記カードを運ぶ走行路と、(2)上記走行路上で、上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、(3)上記走行路上で、上記カード処理ヘッドの両脇に配置されており、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行う際に、上記走行路上で、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カードに係る処理を、カードを破損せずに、正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るカード処理装置の概略側面図である。
【図3】第1の実施形態に係るカード処理装置の概略平面図である。
【図4】第1の実施形態に係るリライトカードの平面図である。
【図5】第1の実施形態に係るカード消去部において、変形したリライトカードの形状が矯正される様子について示した説明図である。
【図6】第2の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図7】第2の実施形態に係るカード処理装置の概略平面図である。
【図8】第3の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図9】第4の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図10】第4の実施形態に係る2段ガイドブラケット正面図である。
【図11】第4の実施形態に係る2段ガイドブラケット平面図である。
【図12】第4の実施形態に係るカード消去部において、クランプしている場合としていない場合の状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0017】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2、図3は、それぞれ、第1の実施形態のカード処理装置10の概略側面図及び概略平面図であり、図4は、カード処理装置10において、処理対象となるリライトカード40の平面図である。
【0018】
リライトカード40には、長手方向に帯状に磁気ストライプ41が配置されており、磁気ストライプ41と同じ面に、磁気ストライプ41とはかさならないように印刷領域42が配置されている。磁気ストライプ41と印刷領域42とが最も近接する幅は短く(例えば、1.5mm程度)なっている。以下の説明では、磁気ストライプ41と印刷領域42とが最も近接する幅(寸法)を「幅G1」(図4参照)と呼ぶものとする。また、リライトカード40の短手方向において、印刷領域42の磁気ストライプ41側の端と、磁気ストライプ41を挟んだリライトカード40の端までの幅を「G2」(図4参照)と呼び、リライトカード40の短手方向の幅を「幅G3」(図4参照)と呼ぶものとする。
【0019】
カード処理装置10は、リライトカード40の印刷領域42について、少なくとも印刷内容の消去及び印刷を行うことができる装置である。図2、3においては図示を省略しているが、カード処理装置10は、リライトカードに搭載された、情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ41)の記録情報を書き換える機構を別途備えるようにしても良い。
【0020】
図2、3に示すように、カード処理装置10は、カード消去部20、3対のフィードローラ102(102a−1〜102a−3、102b−1〜102b−3)と、3対のプレッシャローラ103(103a−1〜103a−3、103b−1〜103b−3)、カード印刷部30、及び3対の走行ガイド104(104a−1〜104a−3、104b−1〜104b−3)を有している。
【0021】
なお、図2、図3においては、図示を省略しているが、カード処理装置10には、装置全体の動作を制御する制御装置が搭載されており、カード消去部20及びカード印刷部30によるリライトカード40への処理内容や、各ローラの動作に係る制御等は、その制御装置により行われる。上述の制御装置としては、既存のリライトカードを処理するカード処理装置と同様のものを適用することができるので詳しい説明は省略する。
【0022】
フィードローラ102a−1〜102a−3、102b−1〜102b−3のそれぞれには、対向するプレッシャローラ103a−1〜103a−3、103b−1〜103b−3が配置されており、対向するフィードローラ102とプレッシャローラ103により、リライトカード40を挟み込んで運搬する。このように、カード処理装置10内では、フィードローラ102及びプレッシャローラ103等により、投入されたリライトカード40を運ぶ走行路が構成されている。
【0023】
なお、それぞれのフィードローラ102は、図示しないローラ駆動部により回転駆動されるものである。また、フィードローラ102のそれぞれの対は、同一の軸により回転駆動するようにしても良い。
【0024】
図2においては、反対の側面からの構成に係る図示を省略しているが、フィードローラ102a−1、102b−1の対と、プレッシャローラ103a−1、103b−1の対とが対向し、フィードローラ102a−2、102b−2の対と、プレッシャローラ103a−2、103b−2の対とが対向し、フィードローラ102a−3、102b−3の対とプレッシャローラ103a−3、103b−3の対とが対向している。
【0025】
また、3対の走行ガイド104a−1〜104a−3、104b−1〜104b−3は、リライトカード40が運搬される走行路の両脇に配置されており、走行路上をリライトカード40が正確に走行するようにするためのガイドである。
【0026】
フィードローラ102a−1、102b−1の対は、カード消去部20の前段に配置されており、その両脇に走行ガイド104a−1、104b−1が配置されている。フィードローラ102a−2、102b−2の対は、カード消去部20とカード印刷部30の間に配置されており、その両脇に、走行ガイド104a−2、104b−2が配置されている。フィードローラ102a−3、102b−3の対は、走行路上において、カード印刷部30の後段(カード消去部20とは逆の方向)に配置されており、その両脇に、走行ガイド104a−3、104b−3が配置されている。また、それぞれのフィードローラ102の配置間隔(例えば、フィードローラ102a−1とフィードローラ102a−2との間)は、リライトカード40の長手方向の幅よりも短くすることが望ましい。
【0027】
なお、カード処理装置10において、カード消去部20以外の構成要素(フィードローラ102、プレッシャローラ103、走行ガイド104等)は、既存のリライトカードの印刷処理や消去処理を行う装置と同様のものを適用することができるので、詳しい説明は省略する。また、カード処理装置10において、フィードローラ102、プレッシャローラ103、走行ガイド104の数や、配置の組み合わせについては、図2、3に示す構成に限定されないものである。
【0028】
カード印刷部30は、カード消去部20により印刷領域42が消去済(又は、未印刷の状態)のリライトカード40について、印刷処理を行うものであり、サーマルヘッド31(印刷ヘッド)及びプラテンローラ32を有している。なお、カード印刷部30は、既存のリライトカードを処理するカード処理装置と同様のものを適用することができるので、詳しい説明は省略する。また、プラテンローラ32は、図示しないローラ駆動部により回転駆動されるものである。
【0029】
カード消去部20は、到達したリライトカード40の印刷領域42の印刷内容を消去するものであり、センサ21、消去ヘッド組立体(以下、「Assy」という)22及びプラテンローラ23を有している。
【0030】
図1は、カード消去部20の概略縦断面図である。
【0031】
消去ヘッドAssy22は、消去ヘッド221、2つのブラケット222、223、2対の円柱形シャフト224(224a−1、224a−2、224b−1、224b−2)、1対のスプリング225a、225b、及び1対のカード矯正ローラ226a、226bを有する。
【0032】
消去ヘッド221は、U字型のブラケット222の下部分に固着されており、さらにブラケット222の両側面には、片側2本ずつで、計4本のシャフト224(224a−1、224a−2、224b−1、224b−2)が固着されている。ブラケット222は、シャフト224a−1、224a−2、224b−1、224b−2を介して、逆U字型のブラケット223に取り付けられており、ブラケット222(消去ヘッド221を含む)は、上下方向にずれることができる。
【0033】
ブラケット223の両側の内側には、それぞれシャフト224a−1、224a−2、224b−1、224b−2は嵌合する長孔が設けられており。シャフト224a−1、224a−2、224b−1、224b−2は、その長孔の範囲内で上下方向にずれることが可能な状態でブラケット222に取り付けられている。なお、シャフト224が四角柱形状等の角柱形状である場合には、シャフト224は1対であっても良い。
【0034】
ブラケット222、223、シャフト224の材質は、特に限定されないが、例えば、鉄、アルミニウム等の金属を用いることができる。
【0035】
また、ブラケット222とブラケット223の間には、消去ヘッド221をリライトカード40に押圧するスプリング225が配置されている。図1においては、スプリング225a、225bは、つるまきばねであるものとして図示しているが、板ばね等他のバネを用いるようにしても良い。また、図1においては、1対のスプリング225a、225bを配置しているが、スプリングを配置する数や位置は限定されないものである。
【0036】
消去ヘッドAssy22は、図示せぬ消去ヘッド昇降(UP/DOWN)駆動源(例えば、モータやソレノイドなど)により、昇降可能であり、リライトカード40の印刷領域42の内容を消去する際には下降する。消去ヘッドAssy22全体が下降すると、リライトカード40は、消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にはさまれ、さらに、スプリング225a、225bの弾性により、消去ヘッド221は、リライトカード40に押圧される。以下の説明においては、消去ヘッドAssy22が下降して、リライトカード40が、消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にはさまれた状態になることを「クランプ」と呼ぶ。消去ヘッドAssy22が、リライトカード40に対して消去処理を行わない場合には、下降せずクランプしない。
【0037】
なお、プラテンローラ23は、図示しないローラ駆動部により回転駆動されるものである。
【0038】
走行ガイド104a−1、104b−1の方向から見て、消去ヘッド221の手前には、リライトカード40の存在を検知するセンサ21が配置されており、センサ21のON信号(リライトカード40を検知)をトリガに、カード処理装置10の制御装置の制御に応じて、上述の図示せぬ消去ヘッド昇降駆動源が駆動され、リライトカード40の印刷領域42の内容を消去するために、消去ヘッドAssy22がクランプする。
【0039】
ブラケット223において、消去ヘッド221の両脇に、それぞれカード矯正ローラ226a、226bが回転自在に結合されている。カード矯正ローラ226a、226bは、消去ヘッドAssy22がクランプした(消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にリライトカード40が挟まれた)時、消去ヘッド221の両脇で、リライトカード40をプラテンローラ23との間で挟み込んで押圧し、変形を一時的に矯正し、消去ヘッド221が正確にリライトカード40と接触し、エアギャップがなくなるようにする。
【0040】
消去ヘッドAssy22がクランプした(消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にリライトカード40が挟まれた)時、消去ヘッド221に対向しているプラテンローラ23との幅(隙間)(以下、「C」と呼ぶ)が、リライトカード40の厚さとなるように設定することが望ましい。なお、Cは、リライトカード40の厚さ以上の幅に設定するようにしても良い。矯正ローラ226a、226bについて、少なくとも、消去ヘッド221がリライトカード40に消去処理を行っている領域について、平らとなるようにする大きさや位置等が適用されていることが望ましい。
【0041】
カード矯正ローラ226a、226bの材質は、特に限定されないものであるが、例えば、プラスチック等の合成樹脂の材質を適用することができる。
【0042】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のカード処理装置10の動作を説明する。
【0043】
ユーザから投入されたリライトカード40が、走行ガイド104a−1、104b−3に沿って走行路に入り、フィードローラ102a−1、102b−1の位置まで達すると、フィードローラ102a−1、102b−1及びプレッシャローラ103a−1、103b−1により、カード消去部20に送られる。
【0044】
リライトカード40の先端がセンサ21により検知されて、カード消去部20内に到達すると、図示せぬ消去ヘッド昇降駆動源により、消去ヘッドAssy22とプラテンローラ23との間で、リライトカード40をクランプする。また、この時、ブラケット223に回転結合されたカード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間で、リライトカード40が押圧されて変形していたとしてもリライトカードは平らに矯正される。
【0045】
図5は、矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間で、変形したリライトカードが平らに矯正される様子について示した説明図である。
【0046】
なお、図5(a)は凸型に変形したリライトカード40の形状を矯正する場合の例について示しており、図5(b)は、凹型に変形したリライトカード40の形状を矯正する場合の例について示している。
【0047】
図5において、2点鎖線で示されたリライトカード40Aの部分は、矯正されない場合のリライトカード40の部分の形状、すなわち、カード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間にはさまれていない場合の形状を表しており、実線で示されたリライトカード40Bの部分は、矯正された場合のリライトカード40の部分の形状、すなわち、カード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間にはさまれている部分の形状を表している。
【0048】
図5に示すように、リライトカード40は、カード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間にはさまれている部分、すなわち、少なくとも、消去ヘッド221とリライトカード40が当接する部分については、平らな形状に矯正され、消去ヘッド221がリライトカード40と当接すると、消去ヘッド221を押圧しているスプリング225の力によりリライトカード40へ消去ヘッド221が加圧され消去が行われる。
【0049】
リライトカード40は、印刷領域42の印刷内容の消去が完了すると、フィードローラ102a−2、102b−2及びプレッシャローラ103a−2、103b−2の位置に達し、カード印刷部30に送られる。カード印刷部30では、サーマルヘッド31とプラテンローラ32との間にリライトカード40がはさまれ、リライトカード40の印刷領域42に新たな印刷内容が印刷される。
【0050】
リライトカード40は、印刷領域42の印刷が完了すると、フィードローラ102a−3、102b−3及びプレッシャローラ103a−3、103b−3の位置に達し、今度は逆に、走行路で逆の方向に向かって運搬され排出動作が行われて処理が完了する。
【0051】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0052】
矯正ローラ226a、226bを設けたことにより、変形したカードに消去処理を行う際にカードの変形を矯正し、消去ヘッド221とリライトカード40の間にエアギャップ(空間)が生じることが無く、消去ヘッド221がリライトカードにきちんと面で接触するため、正確に消去処理を行うことができ、消え残りが少なくなるといった効果を奏する。
【0053】
また、カード矯正ローラ226a、226bは、特許文献1に記載のカード用プリンタと異なり、リライトカード40全体にカールを付与するほどの力を加える必要はなく、消去ヘッド221がリライトカード40に消去処理を行っている領域だけ、平らな形状に矯正するだけで良いので、リライトカード40自体や、リライトカード40に内蔵された情報記録媒体(ICタグ等)を破損することを防止することができる。
【0054】
さらに、消去ヘッド221を、カード矯正ローラ226a、226bとは異なるブラケット222にとりつけて上下方向にずれることにより、消去ヘッド221がリライトカード40を押圧する力は、スプリング225a、225bの弾性に応じた力となり、カード矯正ローラ226a、226bがリライトカード40を押圧する力は、消去ヘッドAssy22を昇降させる駆動源の力に応じた力となっている。これにより、カード矯正ローラ226a、226bにより、リライトカード40には変形を矯正する力で押圧しつつ、消去ヘッド221は、消去に必要な力だけをリライトカード40に加えることができるので、リライトカード40の変形を矯正しつつ、消去ヘッド221によりリライトカード40を破損させることを防止することができる。
【0055】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0056】
(B−1)第2の実施形態の構成
図6は、第2の実施形態のカード消去部20Aの概略縦断面図であり、図7は、カード消去部20Aを構成するカード処理装置10Aの概略平面図である。
【0057】
第2の実施形態のカード処理装置10Aは、第1の実施形態のカード消去部20において、カード消去部20を、カード消去部20Aに置き換えただけである。また、カード消去部20Aは、第1の実施形態のカード消去部20Aにおいて、消去ヘッドAssy22を消去ヘッドAssy22Aに置き換えただけであるため、消去ヘッドAssy22A以外の構成についての説明は省略する。
【0058】
消去ヘッドAssy22Aは、第1の実施形態の消去ヘッドAssy22に、いくつかの構成要素を付加したものであるので、以下の説明においては、消去ヘッドAssy22に含まれていない構成要素のみについて説明する。
【0059】
消去ヘッドAssy22Aでは、ブラケット223を覆うように逆U字型のガイドブラケット227が取り付けられており、ブラケット223の両脇の部分(ガイド部227a、227b)が、リライトカード40の位置を矯正する1対のガイドとして機能するように、ガイド部227a、227bは、それぞれ、消去ヘッド221の両脇に位置している。
【0060】
図7に示すように、ガイド部227a、227bの間の幅は、消去ヘッド221を挟む位置で一番せばまっており、走行ガイド104a−1、104b−1の方向、及び、走行ガイド104a−2、104b−2の方向に向かって徐徐に幅が広くなるテーパが形成されている。これにより、リライトカード40が多少ずれた位置でガイド部227a、227bの間に侵入してきたとしても、ガイド部227a、227bに設けられたテーパにより、リライトカード40の位置を、正確な位置に矯正することができる。
【0061】
なお、以下の説明では、ガイド部227a、227bにおいて、間の幅が一番せばまっている部分の幅、すなわち消去ヘッド221を挟む位置の幅を、「ガイド幅」と呼ぶものとする。なお、ガイド部227a、227bのガイド幅は、図6に示す「F」の幅となる。
【0062】
ガイド210aの内側の面(消去ヘッド221側の面)の位置と、消去ヘッド221の端の位置(消去ヘッド221において、ガイド210aが配置されている側の端の位置)との幅(以下、「幅E」と呼ぶものとする)は、幅G2(図4参照)と一致するように設定されていることが望ましい。
【0063】
また、幅Fは、リライトカード幅G3(図4参照)より少し(例えば、0.5mm程度)大きな幅となっており、リライトカード幅G3と、幅Fの差分(幅F−幅G3)は、幅G1(図4参照)より小さい値となっていることが望ましい。なお、幅Eと幅G2とが一致しない場合には、幅Fと幅G3の差分と、幅Eと幅G2の差分の合計が幅G1より小さい値となるように設定されていることが望ましい。
【0064】
図6に示すように、ガイドブラケット227の上部分には、四角筒形状の留具232の側面が固着されており、留具232の四角形の孔には、四角柱形状のシャフト231が貫通している。シャフト231の両端は、逆U字型のブラケット230両側の内面にそれぞれ固着している。そして、ブラケット230の内面には、四角筒形状のストッパー233a、233bが固着されており、留具232と同様に、それぞれの孔にはシャフト231が貫通している。
【0065】
ブラケット230、シャフト231、留具232、ストッパー233a、233b、ガイドブラケット227の材質は、特に限定されないものであるが、例えば、ブラケット230、ガイドブラケット227、留具232、ストッパー233a、233bの材質としては、上述のブラケット222、223と同様の材質を適用することができ、シャフト231の材質としては、上述のシャフト224と同様の材質を適用することができる。
【0066】
留具232は、シャフト231上で、ストッパー233aとストッパー233bの間に挟みこまれた状態となっており、ストッパー233aとストッパー233bとの間の幅と、留具232の幅の差分の幅(例えば、1mm程度)だけ、ガイドブラケット227より下の部分が左右に動くことができる。このように、消去ヘッドAssy22Aは、左右に移動できるように自由度を持っている。
【0067】
なお、留具232やシャフト231の数は限定されないものであり、複数取り付けて、ガイドブラケット227とブラケット230との間の取り付けの安定性を高めるようにしても良い。また、留具232、ストッパー233a、233bの形状は、四角筒ではなく円筒や他の多角筒の形状であっても良く限定されないものである。同様に、シャフト231の形状も、留具232、ストッパー233a、233bの孔に合った形状であれば限定されないものである。
【0068】
また、消去ヘッドAssy22Aも第1の実施形態の消去ヘッドAssy22と同様に、図示せぬ消去ヘッド昇降駆動源により、昇降可能であるが、その消去ヘッド昇降駆動源は、ブラケット230に取り付けられている。
【0069】
走行ガイド104a−1、104b−1間のガイド幅は、リライトカード40の幅G3より大きな幅となっており、消去ヘッドAssy22Aの左右の自由度量は、リライトカード40の幅G3と、走行ガイド104a−1、104b−1の差分の幅(以下、「H」と呼ぶものとする)(図7参照)以上に設定されていることが望ましい。
【0070】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のカード処理装置10Aの動作を説明する。
【0071】
カード処理装置10Aのカード処理に係る動作は、カード消去部20Aの動作以外については、第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0072】
消去ヘッドAssy22Aのクランプ動作時、クランプが開始されると消去ヘッド221がリライトカードに接触する前に、規制するガイド部227a、227bによりリライトカード40はガイド部227a、227bの間に納まる。ガイド部227a、227bの間に納まった状態でさらにクランプすると、消去ヘッド221がリライトカード40に当接して消去を行う。
【0073】
また、走行ガイド104a−1、104b−1内でリライトカード40の位置がずれて走行したとても、消去ヘッドAssy22は左右に動作する自由度があるため、リライトカード40のずれに対応して、消去ヘッドAssy22Aの位置がずれることにより、クランプ時におけるリライトカード40とガイド部227a、227bの挟み込み動作不良の発生は回避される。
【0074】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0075】
ブラケット223の両脇にリライトカード40の幅を規制するガイド部227a、227bを設けることにより、消去ヘッド221とリライトカード40の位置関係のずれを最小に抑えることが可能になり、ずれ量は印刷領域42と磁気ストライプ41の間の寸法(幅G1)以下と設定が可能になる。
【0076】
また、消去ヘッド221がリライトカード40に接触する前に、ガイド部227a、227bによりリライトカード40と消去ヘッドAssy22Aの位置関係を最適位置に矯正することにより、消去ヘッド221が、リライトカード40の磁気ストライプ41に接触することを回避でき、磁気ストライプ41の破損・溶融を防止することが可能となる。
【0077】
なお、従来のカード処理装置では、リライトカード40の印刷領域42の周辺に、磁気ストライプも存在している場合には、消去ヘッドが磁気ストライプ上に接触してしまい、磁気ストライプを破損・溶融させる恐れがあったが、第2の実施形態においてはそのような問題は発生しない。
【0078】
(C)第3の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0079】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態のカード処理装置10Bは、第2の実施形態のカード消去部20Aにおいて、カード消去部20Aを、カード消去部20Bに置き換えただけである。また、カード消去部20Bは、第2の実施形態のカード消去部20Aにおいて、消去ヘッドAssy22Aを消去ヘッドAssy22Bに置き換えただけであるため、消去ヘッドAssy22B以外の構成についての説明は省略する。
【0080】
第3の実施形態の消去ヘッドAssy22Bは、ガイドブラケット227の代わりに、後述するフランジ228a、228bが付加されていること以外は、第2の実施形態の消去ヘッドAssy22Aの構成とほぼ同様であるので、フランジ228a、228b以外の構成については、詳しい説明を省略する。
【0081】
図8は、第3の実施形態のカード消去部20Bの概略縦断面図である。
【0082】
第2の実施形態では、ガイド部227a、227bにより、リライトカード40における印刷領域42と、消去ヘッド221との位置決めを行っていたが、第3の実施形態の消去ヘッドAssy22Bでは、ガイド部227a、227bの代わりに、カード矯正ローラ226a、226bの外側(消去ヘッド221とは反対方向の側)に、それぞれフランジ228a、228bを回転結合(回転自在に結合するようにしても良い)するように付加している点で異なっている。フランジ228a、228bには、図8に示すように、外側(消去ヘッド221とは反対方向の側)に向かって徐徐に外径が広くなるテーパが形成されており、そのテーパ部分が、上面から見ると第2の実施形態のガイド部227a、227bと同様の形状となり、ガイド部227a、227bと同様の機能を果たす。
【0083】
フランジ228a、228bの材質は限定されないものであるが、例えば、カード矯正ローラ226a、226bと同様の材質を適用することができる。
【0084】
フランジ228aの内側の面(最も外径が狭い部分)の位置と、消去ヘッド221の端の位置(消去ヘッド221において、フランジ228aが配置されている側の端の位置)との距離、すなわち、走行路において、フランジ228aと消去ヘッド221の端との幅(以下、「J」と呼ぶものとする)(図8参照)は、第2の実施形態の幅E(図6参照)と同様に、リライトカード40の端から印刷領域42までの幅G2(図4参照)と一致するように設定されていることが望ましい。
【0085】
また、フランジ228a、228bの内側の面(最も外径が狭い部分)の間の幅寸法(以下、「幅K」と呼ぶものとする)(図8参照)は、第2の実施形態の幅F(図6参照)と同様に、リライトカード幅G3(図4参照)より少し(例えば、0.5mm程度)大きな幅となっており、リライトカード幅G3と幅Kの差分(幅K−幅G3)は、幅G1(図4参照)より小さい値となっていることが望ましい。なお、幅Jが幅G2と一致しない場合には、幅Kと幅G3の差分と、幅Jと幅G2の差分の合計が幅G1より小さい値となるように設定されていることが望ましい。
【0086】
また、消去ヘッドAssy22Bは、第2の実施形態の消去ヘッドAssy22Aと同様に左右に、移動できるように自由度を持っており、消去ヘッドAssy22Bの左右の自由度量は、リライトカード40の幅G3と、走行ガイド104a−1、104b−1の差分の幅H(図7参照)以上に設定されていることが望ましい。なお、第3の実施形態の消去ヘッドAssy22Bでは、第2の実施形態のようにガイドブラケット227が配置されていないため、ブラケット223に、直接留具232が付けられている。
【0087】
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態のカード処理装置10Bの動作を説明する。
【0088】
カード処理装置10Bのカード処理に係る動作は、カード消去部20Bの動作以外については、第1及び第2の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0089】
消去ヘッドAssy22Bのクランプ動作時、クランプが開始されると消去ヘッド221がリライトカードに接触する前に、規制するフランジ228a、228bによりリライトカード40が走行する位置は、カード矯正ローラ226a、226bに間に収まるように誘導される。カード矯正ローラ226a、226bの間に納まった状態でさらにクランプすると、消去ヘッド221がリライトカード40に当接して消去を行う。
【0090】
また、走行ガイド104a−1、104b−1内でリライトカード40がずれ走行したとても、消去ヘッドAssy22は左右に動作する自由度があるため、リライトカード40のずれに対応して、消去ヘッドAssy22Bの位置がずれることにより、クランプ時におけるリライトカード40とカード矯正ローラ226a、226bの挟み込み動作不良の発生は回避できる。
【0091】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0092】
ブラケット223の両脇にリライトカード40の走行する位置及び方向を誘導する、フランジ228a、228bの付いたカード矯正ローラ226a、226bを設けることにより、消去ヘッドとリライトカード40の位置関係のずれを最小に抑えることが可能になり、第2の実施形態と同様に、ずれ量は印刷領域42と磁気ストライプ41の間の寸法(幅G1)以下と設定が可能になる。
【0093】
さらに、消去ヘッド221がリライトカード40に接触する前に、フランジ228a、228bによりリライトカード40と消去ヘッドAssy22Aの位置関係を最適位置に矯正することにより、第2の実施形態と同様に、消去ヘッド221が、リライトカード40の磁気ストライプ41に接触することを回避でき、磁気ストライプ41の破損・溶融を防止すること等が可能となる。
【0094】
(D)第4の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0095】
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態のカード処理装置10Cは、第2の実施形態において、カード消去部20Aをカード消去部20Cに置き換えただけである。また、カード消去部20Cは、第2の実施形態のカード消去部20Aにおいて、消去ヘッドAssy22Aを消去ヘッドAssy22Cに置き換えただけであるため、消去ヘッドAssy22C以外の構成についての説明は省略する。
【0096】
また、消去ヘッドAssy22Cは、消去ヘッドAssy22Aにおいてガイドブラケット227を、後述する2段ガイドブラケット229に置き換えただけであるため、2段ガイドブラケット229以外の構成についての詳しい説明を省略する。
【0097】
図9は、第4の実施形態のカード消去部20Cの概略縦断面図である。また、図10は、2段ガイドブラケット229の正面図であり、図11は、2段ガイドブラケット229の平面図である。
【0098】
2段ガイドブラケット229は、第2の実施形態のガイドブラケット227と同様に逆U字型の形状であるが、ガイド部229a、229bは、ガイド部227a、227bよりも長く、さらに高さによってガイド幅に段差が付いており、2つのガイド幅のうち下側(先端側)のガイド幅が広くなっている。以下の説明では、ガイド部229a、229bにおいて、狭い方(上側)のガイド幅を「幅M」(図10参照)と呼び、広い方(下側)のガイド幅を「幅L」(図10参照)と呼ぶものとする。なお、幅Mは第2の実施形態のガイド部227a、227bのガイド幅(幅F)と同じ幅であることが望ましく、幅Lは、走行ガイド104a−1、104b−1のガイド幅と同じであることが望ましい。
【0099】
2段ガイドブラケット229には、第2の実施形態のガイドブラケット227と同様に、走行ガイド104a−1、104b−1の方向、及び、走行ガイド104a−2、104b−2の方向に向かって、ガイド部229a、229bの間の幅が、徐徐に広くなるテーパが形成されているが、2段ガイドブラケット229には、図10、図11に示すように、ガイド幅Mの部分と、ガイド幅Lの部分のそれぞれに、第2の実施形態のガイドブラケット227と同様のテーパが形成されている。
【0100】
2段ガイドブラケット229の材質は、特に限定されないものであるが、例えば、上述のガイドブラケット227と同様の材質を適用することができる。
【0101】
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第4の実施形態のカード処理装置10Cの動作を説明する。
【0102】
カード処理装置10Cのカード処理に係る動作は、カード消去部20Cの動作以外については、第2の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0103】
図12は、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている場合としていない場合の状態を示した説明図である。
【0104】
図12(a)は、消去ヘッドAssy22Cがクランプしていない状態を示しており、図12(b)は、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている状態について示している。
【0105】
消去ヘッドAssy22Cがクランプしていない時は、図12(a)に示すように、リライトカード40の走行路の高さにおけるガイド部229a、229bのガイド幅が、広い方のガイド幅Lになり、ガイド部229a、229bは、走行路上でリライトカード40が正確に走行させる走行ガイドとして機能する。すなわち、消去ヘッド221がクランプしていない時は、ガイド部229a、229bは、走行ガイド104a−1、104b−1と同様の機能を果たす。
【0106】
そして、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている時は、図12(b)に示すように、リライトカード40の走行路の高さにおけるガイド部229a、229bのガイド幅が、狭い方のガイド幅Mに変化し、ガイド部229a、229bにより、第2の実施形態のガイド部227a、227bと同様に、消去ヘッド221とリライトカード40との位置決めを行うガイドとして機能する。
【0107】
(D−3)第4の実施形態の効果
第4の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0108】
第4の実施形態では、第2の実施形態におけるガイド部227a、227bを、ガイド部229a、229bに置き換えることにより、消去ヘッドAssy22Cがクランプしていない時に、ガイド部229a、229bによるガイド幅は広い方の幅Lとなり、走行ガイドとして機能し、消去動作を行わない処理において、ジャム(カード詰まり)の発生を低減でき、安定した運搬性能を確保できるといった効果が期待できる。さらに、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている時は、2段ガイド229a、229によるガイド幅は狭い方の幅Mとなるため、消去ヘッド221とリライトカード40との位置決めを行うガイドとして機能し、第2の実施形態と同様の効果も奏することができる。
【0109】
(E)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0110】
(E−1)上記の各実施形態の消去ヘッドAssyにおいて、消去ヘッドを印刷用のヘッド(サーマルヘッド)に置き換えて、印刷ヘッドユニットとして構築するようにしても良い。これにより、カードへの印刷についても、上記の各実施形態と同様にカードを破損せずに、正確に行うことができる等の効果を奏することができる。
【0111】
また、上記の角実施形態のカード処理装置では、カード処理装置は、印刷内容の消去及び印刷を行う装置として説明したが、消去又は印刷のみを行う装置として構築するようにしても良い。すなわち、少なくとも、消去ヘッドAssy、又は、上述の印刷ヘッドユニットのいずれかを有する装置として構築するようにしても良い。
【0112】
(E−2)上記の各実施形態では、本発明のカード処理装置において、印刷ヘッド及び消去ヘッドは、熱を用いてカードの印刷領域の処理を行うものであったが、印刷方式や消去方式はこれに限定されるものではなく、インクを用いた処理等他の方式であっても良い。
【0113】
また、カード処理装置において、カードに対する処理は、印刷領域に係る処理だけでなく、他のカードに対する処理(例えば、磁気ストライプの情報の読み込みや書込み等)であっても良い。本発明のカード処理装置において、印刷領域に係る処理以外の処理を適用する場合、上記の各実施形態の消去ヘッドAssyにおける消去ヘッドを、所定の処理(例えば、磁気ストライプの情報の読み込みや書込み等)を行うヘッドに置き換えるようにして構築しても良い。
【0114】
(E−3)上記の各実施形態では、上述の図4に示すような、印刷領域が、リライトカード全体よりも狭いものを用いて説明したが、変形を矯正ローラと消去ヘッドの位置をずらすことにより、全面印刷領域のカードにも適用するようにしても良い。
【0115】
また、上記の各実施形態において、カード処理装置の処理対象となるカードとして、磁気ストライプと印刷領域が同じ面に存在するカードを挙げているが、印刷領域と同じ面に磁気ストライプの無いカードとしても良い。
【0116】
さらに、上記の各実施形態のカード処理装置では、情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ等)を備えたカードを処理する例について示したが、情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ等)を備えず、印刷領域だけを備えたカードに適用するようにしても良い。さらに、上記の各実施形態のカード処理装置では、処理対象のカードをリライトカードとして説明したが、書き換え不可能(1回のみ書込み可能)なカードを適用するようにしても良い。
【0117】
このように、本発明のカード処理装置において、処理対象となるカードはリライトカードに限定されないものである。
【0118】
(E−4)第2〜第4の実施形態においては、消去ヘッドAssyは、図6、8、9に示すように、左右に動作する自由度を備えているが、この自由度を持たないようにしても良い。すなわち、第1の実施形態と同様に、ブラケット230、シャフト231、留具232、ストッパー233a、233b等を省略するようにしても良い。
【0119】
(E−5)上記の各実施形態において、消去ヘッドAssyは、カード矯正ローラを有するものとして説明しているが、第2及び第4の実施形態の消去ヘッドAssyについては、カード矯正ローラを省略するようにしても良い。
【符号の説明】
【0120】
40…リライトカード、41…磁気ストライプ、42…印刷領域、10、10A、10B、10C…カード処理装置、102、102a−1〜102a−3、102b−1〜102b−3…フィードローラ、103、103a−1〜103a−3、103b−1〜103b−3…プレッシャローラ、104、104a−1〜104a−3、104b−1〜104b−3…走行ガイド、20、20A、20B、20C…カード消去部、21…センサ、22、22A、22B、22C…消去ヘッドAssy、23…プラテンローラ、221…消去ヘッド、222、223…ブラケット、224、224a−1、224a−2、224b−1、224b−2…シャフト、225a、225b…スプリング、226a、226b…カード矯正ローラ、227…ガイドブラケット、227a、227b…ガイド部、233a、233b…ストッパー、228a、228b…フランジ、229…2段ガイドブラケット、229a、229b…ガイド部、230…ブラケット、231…シャフト、232…留具。
【技術分野】
【0001】
この発明は、カード処理装置に関し、例えば、印刷及び消去可能な印刷領域を有するカードに印刷された内容を消去処理する装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
現在、リライタブル可能なカード(以下、「リライトカード」という)が普及している。リライトカードとしては、例えば、書換可能な情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ)及び印刷領域を有するカード(例えば、ポイントカードや電車の定期券など)が挙げられる。
【0003】
従来のリライトカードの印刷領域の内容を消去する装置では、通常、消去ヘッドの対向にプラテンローラが配置され、消去ヘッドとプラテンローラによりリライトカードを挟み込み、リライトカードと消去ヘッドが均等に接触するようになっている。
【0004】
リライトカードについて、カードの印刷領域をリライトする際(例えば、リライトカードが定期券であれば、その更新に伴う書き換え処理)には、新品のカードではなく、ユーザが使用しているカードについて消去処理を行う必要があるため、変形したカードについて消去処理を行わなければならない場合がある。変形したカードについて印刷領域の印刷内容を消去する場合は、消去ヘッドの押圧力で変形を矯正することができないため(カード破損の恐れがあるため)、リライトカードと消去ヘッドの間にエアギャップ(空間)ができ、消え残りが発生するという問題があった。
【0005】
上述のような、変形したリライトカードでも印刷領域について印刷や消去の処理を行う装置として、特許文献1のカード用プリンタがある。特許文献1のカード用プリンタでは、リライトカードの印刷領域について印刷又は消去処理を行う際に、リライトカードに一定の曲率のカールを強制的に付与することにより、エアギャップを減少させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−88331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のカード用プリンタでは、以下のような問題点があった。
【0008】
(1)リライトカードにカールを付与するため、リライトカードと消去ヘッドの間のエアギャップ自体を無くすことはできず、消え残りが発生する。
【0009】
(2)リライトカードに強制的にカールを付与するほどの力を加えなければならないため、カールを付与する際にリライトカードを破損してしまう恐れがある。
【0010】
(3)リライトカードの印刷領域が、リライトカード全体よりも狭い場合には、消去ヘッドが印刷領域以外の場所に接触すると、リライトカードが破損、溶融、汚損等してしまう恐れがある。
【0011】
上述のような問題点を鑑み、カードに係る処理を、カードを破損せずに、正確に行うことができるカード処理装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の本発明は、印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、(1)上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、(2)上記カードを上記カード処理ヘッドとの間で挟みこむ挟持ローラと、(3)上記カード処理ヘッドの両脇で、上記挟持ローラとの間で上記カードを挟みこんで押圧する1対の押圧ローラとを有することを特徴とする。
【0013】
第2の本発明は、印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、(1)上記カードを運ぶ走行路と、(2)上記走行路上で、上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、(3)上記走行路上で、上記カード処理ヘッドの両脇に配置されており、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行う際に、上記走行路上で、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カードに係る処理を、カードを破損せずに、正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るカード処理装置の概略側面図である。
【図3】第1の実施形態に係るカード処理装置の概略平面図である。
【図4】第1の実施形態に係るリライトカードの平面図である。
【図5】第1の実施形態に係るカード消去部において、変形したリライトカードの形状が矯正される様子について示した説明図である。
【図6】第2の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図7】第2の実施形態に係るカード処理装置の概略平面図である。
【図8】第3の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図9】第4の実施形態に係るカード消去部の概略縦断面図である。
【図10】第4の実施形態に係る2段ガイドブラケット正面図である。
【図11】第4の実施形態に係る2段ガイドブラケット平面図である。
【図12】第4の実施形態に係るカード消去部において、クランプしている場合としていない場合の状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)第1の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0017】
(A−1)第1の実施形態の構成
図2、図3は、それぞれ、第1の実施形態のカード処理装置10の概略側面図及び概略平面図であり、図4は、カード処理装置10において、処理対象となるリライトカード40の平面図である。
【0018】
リライトカード40には、長手方向に帯状に磁気ストライプ41が配置されており、磁気ストライプ41と同じ面に、磁気ストライプ41とはかさならないように印刷領域42が配置されている。磁気ストライプ41と印刷領域42とが最も近接する幅は短く(例えば、1.5mm程度)なっている。以下の説明では、磁気ストライプ41と印刷領域42とが最も近接する幅(寸法)を「幅G1」(図4参照)と呼ぶものとする。また、リライトカード40の短手方向において、印刷領域42の磁気ストライプ41側の端と、磁気ストライプ41を挟んだリライトカード40の端までの幅を「G2」(図4参照)と呼び、リライトカード40の短手方向の幅を「幅G3」(図4参照)と呼ぶものとする。
【0019】
カード処理装置10は、リライトカード40の印刷領域42について、少なくとも印刷内容の消去及び印刷を行うことができる装置である。図2、3においては図示を省略しているが、カード処理装置10は、リライトカードに搭載された、情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ41)の記録情報を書き換える機構を別途備えるようにしても良い。
【0020】
図2、3に示すように、カード処理装置10は、カード消去部20、3対のフィードローラ102(102a−1〜102a−3、102b−1〜102b−3)と、3対のプレッシャローラ103(103a−1〜103a−3、103b−1〜103b−3)、カード印刷部30、及び3対の走行ガイド104(104a−1〜104a−3、104b−1〜104b−3)を有している。
【0021】
なお、図2、図3においては、図示を省略しているが、カード処理装置10には、装置全体の動作を制御する制御装置が搭載されており、カード消去部20及びカード印刷部30によるリライトカード40への処理内容や、各ローラの動作に係る制御等は、その制御装置により行われる。上述の制御装置としては、既存のリライトカードを処理するカード処理装置と同様のものを適用することができるので詳しい説明は省略する。
【0022】
フィードローラ102a−1〜102a−3、102b−1〜102b−3のそれぞれには、対向するプレッシャローラ103a−1〜103a−3、103b−1〜103b−3が配置されており、対向するフィードローラ102とプレッシャローラ103により、リライトカード40を挟み込んで運搬する。このように、カード処理装置10内では、フィードローラ102及びプレッシャローラ103等により、投入されたリライトカード40を運ぶ走行路が構成されている。
【0023】
なお、それぞれのフィードローラ102は、図示しないローラ駆動部により回転駆動されるものである。また、フィードローラ102のそれぞれの対は、同一の軸により回転駆動するようにしても良い。
【0024】
図2においては、反対の側面からの構成に係る図示を省略しているが、フィードローラ102a−1、102b−1の対と、プレッシャローラ103a−1、103b−1の対とが対向し、フィードローラ102a−2、102b−2の対と、プレッシャローラ103a−2、103b−2の対とが対向し、フィードローラ102a−3、102b−3の対とプレッシャローラ103a−3、103b−3の対とが対向している。
【0025】
また、3対の走行ガイド104a−1〜104a−3、104b−1〜104b−3は、リライトカード40が運搬される走行路の両脇に配置されており、走行路上をリライトカード40が正確に走行するようにするためのガイドである。
【0026】
フィードローラ102a−1、102b−1の対は、カード消去部20の前段に配置されており、その両脇に走行ガイド104a−1、104b−1が配置されている。フィードローラ102a−2、102b−2の対は、カード消去部20とカード印刷部30の間に配置されており、その両脇に、走行ガイド104a−2、104b−2が配置されている。フィードローラ102a−3、102b−3の対は、走行路上において、カード印刷部30の後段(カード消去部20とは逆の方向)に配置されており、その両脇に、走行ガイド104a−3、104b−3が配置されている。また、それぞれのフィードローラ102の配置間隔(例えば、フィードローラ102a−1とフィードローラ102a−2との間)は、リライトカード40の長手方向の幅よりも短くすることが望ましい。
【0027】
なお、カード処理装置10において、カード消去部20以外の構成要素(フィードローラ102、プレッシャローラ103、走行ガイド104等)は、既存のリライトカードの印刷処理や消去処理を行う装置と同様のものを適用することができるので、詳しい説明は省略する。また、カード処理装置10において、フィードローラ102、プレッシャローラ103、走行ガイド104の数や、配置の組み合わせについては、図2、3に示す構成に限定されないものである。
【0028】
カード印刷部30は、カード消去部20により印刷領域42が消去済(又は、未印刷の状態)のリライトカード40について、印刷処理を行うものであり、サーマルヘッド31(印刷ヘッド)及びプラテンローラ32を有している。なお、カード印刷部30は、既存のリライトカードを処理するカード処理装置と同様のものを適用することができるので、詳しい説明は省略する。また、プラテンローラ32は、図示しないローラ駆動部により回転駆動されるものである。
【0029】
カード消去部20は、到達したリライトカード40の印刷領域42の印刷内容を消去するものであり、センサ21、消去ヘッド組立体(以下、「Assy」という)22及びプラテンローラ23を有している。
【0030】
図1は、カード消去部20の概略縦断面図である。
【0031】
消去ヘッドAssy22は、消去ヘッド221、2つのブラケット222、223、2対の円柱形シャフト224(224a−1、224a−2、224b−1、224b−2)、1対のスプリング225a、225b、及び1対のカード矯正ローラ226a、226bを有する。
【0032】
消去ヘッド221は、U字型のブラケット222の下部分に固着されており、さらにブラケット222の両側面には、片側2本ずつで、計4本のシャフト224(224a−1、224a−2、224b−1、224b−2)が固着されている。ブラケット222は、シャフト224a−1、224a−2、224b−1、224b−2を介して、逆U字型のブラケット223に取り付けられており、ブラケット222(消去ヘッド221を含む)は、上下方向にずれることができる。
【0033】
ブラケット223の両側の内側には、それぞれシャフト224a−1、224a−2、224b−1、224b−2は嵌合する長孔が設けられており。シャフト224a−1、224a−2、224b−1、224b−2は、その長孔の範囲内で上下方向にずれることが可能な状態でブラケット222に取り付けられている。なお、シャフト224が四角柱形状等の角柱形状である場合には、シャフト224は1対であっても良い。
【0034】
ブラケット222、223、シャフト224の材質は、特に限定されないが、例えば、鉄、アルミニウム等の金属を用いることができる。
【0035】
また、ブラケット222とブラケット223の間には、消去ヘッド221をリライトカード40に押圧するスプリング225が配置されている。図1においては、スプリング225a、225bは、つるまきばねであるものとして図示しているが、板ばね等他のバネを用いるようにしても良い。また、図1においては、1対のスプリング225a、225bを配置しているが、スプリングを配置する数や位置は限定されないものである。
【0036】
消去ヘッドAssy22は、図示せぬ消去ヘッド昇降(UP/DOWN)駆動源(例えば、モータやソレノイドなど)により、昇降可能であり、リライトカード40の印刷領域42の内容を消去する際には下降する。消去ヘッドAssy22全体が下降すると、リライトカード40は、消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にはさまれ、さらに、スプリング225a、225bの弾性により、消去ヘッド221は、リライトカード40に押圧される。以下の説明においては、消去ヘッドAssy22が下降して、リライトカード40が、消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にはさまれた状態になることを「クランプ」と呼ぶ。消去ヘッドAssy22が、リライトカード40に対して消去処理を行わない場合には、下降せずクランプしない。
【0037】
なお、プラテンローラ23は、図示しないローラ駆動部により回転駆動されるものである。
【0038】
走行ガイド104a−1、104b−1の方向から見て、消去ヘッド221の手前には、リライトカード40の存在を検知するセンサ21が配置されており、センサ21のON信号(リライトカード40を検知)をトリガに、カード処理装置10の制御装置の制御に応じて、上述の図示せぬ消去ヘッド昇降駆動源が駆動され、リライトカード40の印刷領域42の内容を消去するために、消去ヘッドAssy22がクランプする。
【0039】
ブラケット223において、消去ヘッド221の両脇に、それぞれカード矯正ローラ226a、226bが回転自在に結合されている。カード矯正ローラ226a、226bは、消去ヘッドAssy22がクランプした(消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にリライトカード40が挟まれた)時、消去ヘッド221の両脇で、リライトカード40をプラテンローラ23との間で挟み込んで押圧し、変形を一時的に矯正し、消去ヘッド221が正確にリライトカード40と接触し、エアギャップがなくなるようにする。
【0040】
消去ヘッドAssy22がクランプした(消去ヘッド221とプラテンローラ23の間にリライトカード40が挟まれた)時、消去ヘッド221に対向しているプラテンローラ23との幅(隙間)(以下、「C」と呼ぶ)が、リライトカード40の厚さとなるように設定することが望ましい。なお、Cは、リライトカード40の厚さ以上の幅に設定するようにしても良い。矯正ローラ226a、226bについて、少なくとも、消去ヘッド221がリライトカード40に消去処理を行っている領域について、平らとなるようにする大きさや位置等が適用されていることが望ましい。
【0041】
カード矯正ローラ226a、226bの材質は、特に限定されないものであるが、例えば、プラスチック等の合成樹脂の材質を適用することができる。
【0042】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のカード処理装置10の動作を説明する。
【0043】
ユーザから投入されたリライトカード40が、走行ガイド104a−1、104b−3に沿って走行路に入り、フィードローラ102a−1、102b−1の位置まで達すると、フィードローラ102a−1、102b−1及びプレッシャローラ103a−1、103b−1により、カード消去部20に送られる。
【0044】
リライトカード40の先端がセンサ21により検知されて、カード消去部20内に到達すると、図示せぬ消去ヘッド昇降駆動源により、消去ヘッドAssy22とプラテンローラ23との間で、リライトカード40をクランプする。また、この時、ブラケット223に回転結合されたカード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間で、リライトカード40が押圧されて変形していたとしてもリライトカードは平らに矯正される。
【0045】
図5は、矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間で、変形したリライトカードが平らに矯正される様子について示した説明図である。
【0046】
なお、図5(a)は凸型に変形したリライトカード40の形状を矯正する場合の例について示しており、図5(b)は、凹型に変形したリライトカード40の形状を矯正する場合の例について示している。
【0047】
図5において、2点鎖線で示されたリライトカード40Aの部分は、矯正されない場合のリライトカード40の部分の形状、すなわち、カード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間にはさまれていない場合の形状を表しており、実線で示されたリライトカード40Bの部分は、矯正された場合のリライトカード40の部分の形状、すなわち、カード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間にはさまれている部分の形状を表している。
【0048】
図5に示すように、リライトカード40は、カード矯正ローラ226a、226bとプラテンローラ23との間にはさまれている部分、すなわち、少なくとも、消去ヘッド221とリライトカード40が当接する部分については、平らな形状に矯正され、消去ヘッド221がリライトカード40と当接すると、消去ヘッド221を押圧しているスプリング225の力によりリライトカード40へ消去ヘッド221が加圧され消去が行われる。
【0049】
リライトカード40は、印刷領域42の印刷内容の消去が完了すると、フィードローラ102a−2、102b−2及びプレッシャローラ103a−2、103b−2の位置に達し、カード印刷部30に送られる。カード印刷部30では、サーマルヘッド31とプラテンローラ32との間にリライトカード40がはさまれ、リライトカード40の印刷領域42に新たな印刷内容が印刷される。
【0050】
リライトカード40は、印刷領域42の印刷が完了すると、フィードローラ102a−3、102b−3及びプレッシャローラ103a−3、103b−3の位置に達し、今度は逆に、走行路で逆の方向に向かって運搬され排出動作が行われて処理が完了する。
【0051】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0052】
矯正ローラ226a、226bを設けたことにより、変形したカードに消去処理を行う際にカードの変形を矯正し、消去ヘッド221とリライトカード40の間にエアギャップ(空間)が生じることが無く、消去ヘッド221がリライトカードにきちんと面で接触するため、正確に消去処理を行うことができ、消え残りが少なくなるといった効果を奏する。
【0053】
また、カード矯正ローラ226a、226bは、特許文献1に記載のカード用プリンタと異なり、リライトカード40全体にカールを付与するほどの力を加える必要はなく、消去ヘッド221がリライトカード40に消去処理を行っている領域だけ、平らな形状に矯正するだけで良いので、リライトカード40自体や、リライトカード40に内蔵された情報記録媒体(ICタグ等)を破損することを防止することができる。
【0054】
さらに、消去ヘッド221を、カード矯正ローラ226a、226bとは異なるブラケット222にとりつけて上下方向にずれることにより、消去ヘッド221がリライトカード40を押圧する力は、スプリング225a、225bの弾性に応じた力となり、カード矯正ローラ226a、226bがリライトカード40を押圧する力は、消去ヘッドAssy22を昇降させる駆動源の力に応じた力となっている。これにより、カード矯正ローラ226a、226bにより、リライトカード40には変形を矯正する力で押圧しつつ、消去ヘッド221は、消去に必要な力だけをリライトカード40に加えることができるので、リライトカード40の変形を矯正しつつ、消去ヘッド221によりリライトカード40を破損させることを防止することができる。
【0055】
(B)第2の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0056】
(B−1)第2の実施形態の構成
図6は、第2の実施形態のカード消去部20Aの概略縦断面図であり、図7は、カード消去部20Aを構成するカード処理装置10Aの概略平面図である。
【0057】
第2の実施形態のカード処理装置10Aは、第1の実施形態のカード消去部20において、カード消去部20を、カード消去部20Aに置き換えただけである。また、カード消去部20Aは、第1の実施形態のカード消去部20Aにおいて、消去ヘッドAssy22を消去ヘッドAssy22Aに置き換えただけであるため、消去ヘッドAssy22A以外の構成についての説明は省略する。
【0058】
消去ヘッドAssy22Aは、第1の実施形態の消去ヘッドAssy22に、いくつかの構成要素を付加したものであるので、以下の説明においては、消去ヘッドAssy22に含まれていない構成要素のみについて説明する。
【0059】
消去ヘッドAssy22Aでは、ブラケット223を覆うように逆U字型のガイドブラケット227が取り付けられており、ブラケット223の両脇の部分(ガイド部227a、227b)が、リライトカード40の位置を矯正する1対のガイドとして機能するように、ガイド部227a、227bは、それぞれ、消去ヘッド221の両脇に位置している。
【0060】
図7に示すように、ガイド部227a、227bの間の幅は、消去ヘッド221を挟む位置で一番せばまっており、走行ガイド104a−1、104b−1の方向、及び、走行ガイド104a−2、104b−2の方向に向かって徐徐に幅が広くなるテーパが形成されている。これにより、リライトカード40が多少ずれた位置でガイド部227a、227bの間に侵入してきたとしても、ガイド部227a、227bに設けられたテーパにより、リライトカード40の位置を、正確な位置に矯正することができる。
【0061】
なお、以下の説明では、ガイド部227a、227bにおいて、間の幅が一番せばまっている部分の幅、すなわち消去ヘッド221を挟む位置の幅を、「ガイド幅」と呼ぶものとする。なお、ガイド部227a、227bのガイド幅は、図6に示す「F」の幅となる。
【0062】
ガイド210aの内側の面(消去ヘッド221側の面)の位置と、消去ヘッド221の端の位置(消去ヘッド221において、ガイド210aが配置されている側の端の位置)との幅(以下、「幅E」と呼ぶものとする)は、幅G2(図4参照)と一致するように設定されていることが望ましい。
【0063】
また、幅Fは、リライトカード幅G3(図4参照)より少し(例えば、0.5mm程度)大きな幅となっており、リライトカード幅G3と、幅Fの差分(幅F−幅G3)は、幅G1(図4参照)より小さい値となっていることが望ましい。なお、幅Eと幅G2とが一致しない場合には、幅Fと幅G3の差分と、幅Eと幅G2の差分の合計が幅G1より小さい値となるように設定されていることが望ましい。
【0064】
図6に示すように、ガイドブラケット227の上部分には、四角筒形状の留具232の側面が固着されており、留具232の四角形の孔には、四角柱形状のシャフト231が貫通している。シャフト231の両端は、逆U字型のブラケット230両側の内面にそれぞれ固着している。そして、ブラケット230の内面には、四角筒形状のストッパー233a、233bが固着されており、留具232と同様に、それぞれの孔にはシャフト231が貫通している。
【0065】
ブラケット230、シャフト231、留具232、ストッパー233a、233b、ガイドブラケット227の材質は、特に限定されないものであるが、例えば、ブラケット230、ガイドブラケット227、留具232、ストッパー233a、233bの材質としては、上述のブラケット222、223と同様の材質を適用することができ、シャフト231の材質としては、上述のシャフト224と同様の材質を適用することができる。
【0066】
留具232は、シャフト231上で、ストッパー233aとストッパー233bの間に挟みこまれた状態となっており、ストッパー233aとストッパー233bとの間の幅と、留具232の幅の差分の幅(例えば、1mm程度)だけ、ガイドブラケット227より下の部分が左右に動くことができる。このように、消去ヘッドAssy22Aは、左右に移動できるように自由度を持っている。
【0067】
なお、留具232やシャフト231の数は限定されないものであり、複数取り付けて、ガイドブラケット227とブラケット230との間の取り付けの安定性を高めるようにしても良い。また、留具232、ストッパー233a、233bの形状は、四角筒ではなく円筒や他の多角筒の形状であっても良く限定されないものである。同様に、シャフト231の形状も、留具232、ストッパー233a、233bの孔に合った形状であれば限定されないものである。
【0068】
また、消去ヘッドAssy22Aも第1の実施形態の消去ヘッドAssy22と同様に、図示せぬ消去ヘッド昇降駆動源により、昇降可能であるが、その消去ヘッド昇降駆動源は、ブラケット230に取り付けられている。
【0069】
走行ガイド104a−1、104b−1間のガイド幅は、リライトカード40の幅G3より大きな幅となっており、消去ヘッドAssy22Aの左右の自由度量は、リライトカード40の幅G3と、走行ガイド104a−1、104b−1の差分の幅(以下、「H」と呼ぶものとする)(図7参照)以上に設定されていることが望ましい。
【0070】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態のカード処理装置10Aの動作を説明する。
【0071】
カード処理装置10Aのカード処理に係る動作は、カード消去部20Aの動作以外については、第1の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0072】
消去ヘッドAssy22Aのクランプ動作時、クランプが開始されると消去ヘッド221がリライトカードに接触する前に、規制するガイド部227a、227bによりリライトカード40はガイド部227a、227bの間に納まる。ガイド部227a、227bの間に納まった状態でさらにクランプすると、消去ヘッド221がリライトカード40に当接して消去を行う。
【0073】
また、走行ガイド104a−1、104b−1内でリライトカード40の位置がずれて走行したとても、消去ヘッドAssy22は左右に動作する自由度があるため、リライトカード40のずれに対応して、消去ヘッドAssy22Aの位置がずれることにより、クランプ時におけるリライトカード40とガイド部227a、227bの挟み込み動作不良の発生は回避される。
【0074】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0075】
ブラケット223の両脇にリライトカード40の幅を規制するガイド部227a、227bを設けることにより、消去ヘッド221とリライトカード40の位置関係のずれを最小に抑えることが可能になり、ずれ量は印刷領域42と磁気ストライプ41の間の寸法(幅G1)以下と設定が可能になる。
【0076】
また、消去ヘッド221がリライトカード40に接触する前に、ガイド部227a、227bによりリライトカード40と消去ヘッドAssy22Aの位置関係を最適位置に矯正することにより、消去ヘッド221が、リライトカード40の磁気ストライプ41に接触することを回避でき、磁気ストライプ41の破損・溶融を防止することが可能となる。
【0077】
なお、従来のカード処理装置では、リライトカード40の印刷領域42の周辺に、磁気ストライプも存在している場合には、消去ヘッドが磁気ストライプ上に接触してしまい、磁気ストライプを破損・溶融させる恐れがあったが、第2の実施形態においてはそのような問題は発生しない。
【0078】
(C)第3の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0079】
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態のカード処理装置10Bは、第2の実施形態のカード消去部20Aにおいて、カード消去部20Aを、カード消去部20Bに置き換えただけである。また、カード消去部20Bは、第2の実施形態のカード消去部20Aにおいて、消去ヘッドAssy22Aを消去ヘッドAssy22Bに置き換えただけであるため、消去ヘッドAssy22B以外の構成についての説明は省略する。
【0080】
第3の実施形態の消去ヘッドAssy22Bは、ガイドブラケット227の代わりに、後述するフランジ228a、228bが付加されていること以外は、第2の実施形態の消去ヘッドAssy22Aの構成とほぼ同様であるので、フランジ228a、228b以外の構成については、詳しい説明を省略する。
【0081】
図8は、第3の実施形態のカード消去部20Bの概略縦断面図である。
【0082】
第2の実施形態では、ガイド部227a、227bにより、リライトカード40における印刷領域42と、消去ヘッド221との位置決めを行っていたが、第3の実施形態の消去ヘッドAssy22Bでは、ガイド部227a、227bの代わりに、カード矯正ローラ226a、226bの外側(消去ヘッド221とは反対方向の側)に、それぞれフランジ228a、228bを回転結合(回転自在に結合するようにしても良い)するように付加している点で異なっている。フランジ228a、228bには、図8に示すように、外側(消去ヘッド221とは反対方向の側)に向かって徐徐に外径が広くなるテーパが形成されており、そのテーパ部分が、上面から見ると第2の実施形態のガイド部227a、227bと同様の形状となり、ガイド部227a、227bと同様の機能を果たす。
【0083】
フランジ228a、228bの材質は限定されないものであるが、例えば、カード矯正ローラ226a、226bと同様の材質を適用することができる。
【0084】
フランジ228aの内側の面(最も外径が狭い部分)の位置と、消去ヘッド221の端の位置(消去ヘッド221において、フランジ228aが配置されている側の端の位置)との距離、すなわち、走行路において、フランジ228aと消去ヘッド221の端との幅(以下、「J」と呼ぶものとする)(図8参照)は、第2の実施形態の幅E(図6参照)と同様に、リライトカード40の端から印刷領域42までの幅G2(図4参照)と一致するように設定されていることが望ましい。
【0085】
また、フランジ228a、228bの内側の面(最も外径が狭い部分)の間の幅寸法(以下、「幅K」と呼ぶものとする)(図8参照)は、第2の実施形態の幅F(図6参照)と同様に、リライトカード幅G3(図4参照)より少し(例えば、0.5mm程度)大きな幅となっており、リライトカード幅G3と幅Kの差分(幅K−幅G3)は、幅G1(図4参照)より小さい値となっていることが望ましい。なお、幅Jが幅G2と一致しない場合には、幅Kと幅G3の差分と、幅Jと幅G2の差分の合計が幅G1より小さい値となるように設定されていることが望ましい。
【0086】
また、消去ヘッドAssy22Bは、第2の実施形態の消去ヘッドAssy22Aと同様に左右に、移動できるように自由度を持っており、消去ヘッドAssy22Bの左右の自由度量は、リライトカード40の幅G3と、走行ガイド104a−1、104b−1の差分の幅H(図7参照)以上に設定されていることが望ましい。なお、第3の実施形態の消去ヘッドAssy22Bでは、第2の実施形態のようにガイドブラケット227が配置されていないため、ブラケット223に、直接留具232が付けられている。
【0087】
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態のカード処理装置10Bの動作を説明する。
【0088】
カード処理装置10Bのカード処理に係る動作は、カード消去部20Bの動作以外については、第1及び第2の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0089】
消去ヘッドAssy22Bのクランプ動作時、クランプが開始されると消去ヘッド221がリライトカードに接触する前に、規制するフランジ228a、228bによりリライトカード40が走行する位置は、カード矯正ローラ226a、226bに間に収まるように誘導される。カード矯正ローラ226a、226bの間に納まった状態でさらにクランプすると、消去ヘッド221がリライトカード40に当接して消去を行う。
【0090】
また、走行ガイド104a−1、104b−1内でリライトカード40がずれ走行したとても、消去ヘッドAssy22は左右に動作する自由度があるため、リライトカード40のずれに対応して、消去ヘッドAssy22Bの位置がずれることにより、クランプ時におけるリライトカード40とカード矯正ローラ226a、226bの挟み込み動作不良の発生は回避できる。
【0091】
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を奏することができる。
【0092】
ブラケット223の両脇にリライトカード40の走行する位置及び方向を誘導する、フランジ228a、228bの付いたカード矯正ローラ226a、226bを設けることにより、消去ヘッドとリライトカード40の位置関係のずれを最小に抑えることが可能になり、第2の実施形態と同様に、ずれ量は印刷領域42と磁気ストライプ41の間の寸法(幅G1)以下と設定が可能になる。
【0093】
さらに、消去ヘッド221がリライトカード40に接触する前に、フランジ228a、228bによりリライトカード40と消去ヘッドAssy22Aの位置関係を最適位置に矯正することにより、第2の実施形態と同様に、消去ヘッド221が、リライトカード40の磁気ストライプ41に接触することを回避でき、磁気ストライプ41の破損・溶融を防止すること等が可能となる。
【0094】
(D)第4の実施形態
以下、本発明によるカード処理装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0095】
(D−1)第4の実施形態の構成
第4の実施形態のカード処理装置10Cは、第2の実施形態において、カード消去部20Aをカード消去部20Cに置き換えただけである。また、カード消去部20Cは、第2の実施形態のカード消去部20Aにおいて、消去ヘッドAssy22Aを消去ヘッドAssy22Cに置き換えただけであるため、消去ヘッドAssy22C以外の構成についての説明は省略する。
【0096】
また、消去ヘッドAssy22Cは、消去ヘッドAssy22Aにおいてガイドブラケット227を、後述する2段ガイドブラケット229に置き換えただけであるため、2段ガイドブラケット229以外の構成についての詳しい説明を省略する。
【0097】
図9は、第4の実施形態のカード消去部20Cの概略縦断面図である。また、図10は、2段ガイドブラケット229の正面図であり、図11は、2段ガイドブラケット229の平面図である。
【0098】
2段ガイドブラケット229は、第2の実施形態のガイドブラケット227と同様に逆U字型の形状であるが、ガイド部229a、229bは、ガイド部227a、227bよりも長く、さらに高さによってガイド幅に段差が付いており、2つのガイド幅のうち下側(先端側)のガイド幅が広くなっている。以下の説明では、ガイド部229a、229bにおいて、狭い方(上側)のガイド幅を「幅M」(図10参照)と呼び、広い方(下側)のガイド幅を「幅L」(図10参照)と呼ぶものとする。なお、幅Mは第2の実施形態のガイド部227a、227bのガイド幅(幅F)と同じ幅であることが望ましく、幅Lは、走行ガイド104a−1、104b−1のガイド幅と同じであることが望ましい。
【0099】
2段ガイドブラケット229には、第2の実施形態のガイドブラケット227と同様に、走行ガイド104a−1、104b−1の方向、及び、走行ガイド104a−2、104b−2の方向に向かって、ガイド部229a、229bの間の幅が、徐徐に広くなるテーパが形成されているが、2段ガイドブラケット229には、図10、図11に示すように、ガイド幅Mの部分と、ガイド幅Lの部分のそれぞれに、第2の実施形態のガイドブラケット227と同様のテーパが形成されている。
【0100】
2段ガイドブラケット229の材質は、特に限定されないものであるが、例えば、上述のガイドブラケット227と同様の材質を適用することができる。
【0101】
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第4の実施形態のカード処理装置10Cの動作を説明する。
【0102】
カード処理装置10Cのカード処理に係る動作は、カード消去部20Cの動作以外については、第2の実施形態と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0103】
図12は、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている場合としていない場合の状態を示した説明図である。
【0104】
図12(a)は、消去ヘッドAssy22Cがクランプしていない状態を示しており、図12(b)は、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている状態について示している。
【0105】
消去ヘッドAssy22Cがクランプしていない時は、図12(a)に示すように、リライトカード40の走行路の高さにおけるガイド部229a、229bのガイド幅が、広い方のガイド幅Lになり、ガイド部229a、229bは、走行路上でリライトカード40が正確に走行させる走行ガイドとして機能する。すなわち、消去ヘッド221がクランプしていない時は、ガイド部229a、229bは、走行ガイド104a−1、104b−1と同様の機能を果たす。
【0106】
そして、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている時は、図12(b)に示すように、リライトカード40の走行路の高さにおけるガイド部229a、229bのガイド幅が、狭い方のガイド幅Mに変化し、ガイド部229a、229bにより、第2の実施形態のガイド部227a、227bと同様に、消去ヘッド221とリライトカード40との位置決めを行うガイドとして機能する。
【0107】
(D−3)第4の実施形態の効果
第4の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0108】
第4の実施形態では、第2の実施形態におけるガイド部227a、227bを、ガイド部229a、229bに置き換えることにより、消去ヘッドAssy22Cがクランプしていない時に、ガイド部229a、229bによるガイド幅は広い方の幅Lとなり、走行ガイドとして機能し、消去動作を行わない処理において、ジャム(カード詰まり)の発生を低減でき、安定した運搬性能を確保できるといった効果が期待できる。さらに、消去ヘッドAssy22Cがクランプしている時は、2段ガイド229a、229によるガイド幅は狭い方の幅Mとなるため、消去ヘッド221とリライトカード40との位置決めを行うガイドとして機能し、第2の実施形態と同様の効果も奏することができる。
【0109】
(E)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0110】
(E−1)上記の各実施形態の消去ヘッドAssyにおいて、消去ヘッドを印刷用のヘッド(サーマルヘッド)に置き換えて、印刷ヘッドユニットとして構築するようにしても良い。これにより、カードへの印刷についても、上記の各実施形態と同様にカードを破損せずに、正確に行うことができる等の効果を奏することができる。
【0111】
また、上記の角実施形態のカード処理装置では、カード処理装置は、印刷内容の消去及び印刷を行う装置として説明したが、消去又は印刷のみを行う装置として構築するようにしても良い。すなわち、少なくとも、消去ヘッドAssy、又は、上述の印刷ヘッドユニットのいずれかを有する装置として構築するようにしても良い。
【0112】
(E−2)上記の各実施形態では、本発明のカード処理装置において、印刷ヘッド及び消去ヘッドは、熱を用いてカードの印刷領域の処理を行うものであったが、印刷方式や消去方式はこれに限定されるものではなく、インクを用いた処理等他の方式であっても良い。
【0113】
また、カード処理装置において、カードに対する処理は、印刷領域に係る処理だけでなく、他のカードに対する処理(例えば、磁気ストライプの情報の読み込みや書込み等)であっても良い。本発明のカード処理装置において、印刷領域に係る処理以外の処理を適用する場合、上記の各実施形態の消去ヘッドAssyにおける消去ヘッドを、所定の処理(例えば、磁気ストライプの情報の読み込みや書込み等)を行うヘッドに置き換えるようにして構築しても良い。
【0114】
(E−3)上記の各実施形態では、上述の図4に示すような、印刷領域が、リライトカード全体よりも狭いものを用いて説明したが、変形を矯正ローラと消去ヘッドの位置をずらすことにより、全面印刷領域のカードにも適用するようにしても良い。
【0115】
また、上記の各実施形態において、カード処理装置の処理対象となるカードとして、磁気ストライプと印刷領域が同じ面に存在するカードを挙げているが、印刷領域と同じ面に磁気ストライプの無いカードとしても良い。
【0116】
さらに、上記の各実施形態のカード処理装置では、情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ等)を備えたカードを処理する例について示したが、情報記録媒体(ICタグや磁気ストライプ等)を備えず、印刷領域だけを備えたカードに適用するようにしても良い。さらに、上記の各実施形態のカード処理装置では、処理対象のカードをリライトカードとして説明したが、書き換え不可能(1回のみ書込み可能)なカードを適用するようにしても良い。
【0117】
このように、本発明のカード処理装置において、処理対象となるカードはリライトカードに限定されないものである。
【0118】
(E−4)第2〜第4の実施形態においては、消去ヘッドAssyは、図6、8、9に示すように、左右に動作する自由度を備えているが、この自由度を持たないようにしても良い。すなわち、第1の実施形態と同様に、ブラケット230、シャフト231、留具232、ストッパー233a、233b等を省略するようにしても良い。
【0119】
(E−5)上記の各実施形態において、消去ヘッドAssyは、カード矯正ローラを有するものとして説明しているが、第2及び第4の実施形態の消去ヘッドAssyについては、カード矯正ローラを省略するようにしても良い。
【符号の説明】
【0120】
40…リライトカード、41…磁気ストライプ、42…印刷領域、10、10A、10B、10C…カード処理装置、102、102a−1〜102a−3、102b−1〜102b−3…フィードローラ、103、103a−1〜103a−3、103b−1〜103b−3…プレッシャローラ、104、104a−1〜104a−3、104b−1〜104b−3…走行ガイド、20、20A、20B、20C…カード消去部、21…センサ、22、22A、22B、22C…消去ヘッドAssy、23…プラテンローラ、221…消去ヘッド、222、223…ブラケット、224、224a−1、224a−2、224b−1、224b−2…シャフト、225a、225b…スプリング、226a、226b…カード矯正ローラ、227…ガイドブラケット、227a、227b…ガイド部、233a、233b…ストッパー、228a、228b…フランジ、229…2段ガイドブラケット、229a、229b…ガイド部、230…ブラケット、231…シャフト、232…留具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、
上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、
上記カードを上記カード処理ヘッドとの間で挟みこむ挟持ローラと、
上記カード処理ヘッドの両脇で、上記挟持ローラとの間で上記カードを挟みこんで押圧する1対の押圧ローラと
を有することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
上記カードを運ぶ走行路をさらに有し、
上記カード処理ヘッドは、上記走行路上を流れる上記カードに上記処理を行い、
それぞれの上記押圧ローラには、上記カード処理ヘッドとは反対の側にフランジが形成されており、
上記フランジは、上記走行路上において、上記カード処理ヘッドが上記カードを処理する際に、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決めるガイドとして機能する
ことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
上記カードを運ぶ走行路をさらに有し、
上記カード処理ヘッドは、上記走行路上を流れる上記カードに上記処理を行い、
上記走行路上で、上記カード処理ヘッドの両脇に配置されており、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行う際に、上記走行路上で、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項4】
上記ガイドは、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていない間は、上記カードが上記走行路で走行する位置を決める走行ガイドとして機能することを特徴とする請求項3に記載のカード処理装置。
【請求項5】
上記ガイドの間のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っている間と、行っていない間で、異なる幅に変化し、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っているときの第1のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていないときの第2のガイド幅よりも狭い幅になっていることを特徴とする請求項4に記載のカード処理装置。
【請求項6】
印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、
上記カードを運ぶ走行路と、
上記走行路上で、上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、
上記走行路上で、上記カード処理ヘッドの両脇に配置されており、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行う際に、上記走行路上で、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドと
を有することを特徴とするカード処理装置。
【請求項7】
上記ガイドは、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていない間は、上記カードが上記走行路で走行する位置を決める走行ガイドとして機能することを特徴とする請求項6に記載のカード処理装置。
【請求項8】
上記ガイドの間のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っている間と、行っていない間で、異なる幅に変化し、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っているときの第1のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていないときの第2のガイド幅よりも狭い幅になっていることを特徴とする請求項7に記載のカード処理装置。
【請求項1】
印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、
上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、
上記カードを上記カード処理ヘッドとの間で挟みこむ挟持ローラと、
上記カード処理ヘッドの両脇で、上記挟持ローラとの間で上記カードを挟みこんで押圧する1対の押圧ローラと
を有することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
上記カードを運ぶ走行路をさらに有し、
上記カード処理ヘッドは、上記走行路上を流れる上記カードに上記処理を行い、
それぞれの上記押圧ローラには、上記カード処理ヘッドとは反対の側にフランジが形成されており、
上記フランジは、上記走行路上において、上記カード処理ヘッドが上記カードを処理する際に、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決めるガイドとして機能する
ことを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
上記カードを運ぶ走行路をさらに有し、
上記カード処理ヘッドは、上記走行路上を流れる上記カードに上記処理を行い、
上記走行路上で、上記カード処理ヘッドの両脇に配置されており、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行う際に、上記走行路上で、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項4】
上記ガイドは、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていない間は、上記カードが上記走行路で走行する位置を決める走行ガイドとして機能することを特徴とする請求項3に記載のカード処理装置。
【請求項5】
上記ガイドの間のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っている間と、行っていない間で、異なる幅に変化し、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っているときの第1のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていないときの第2のガイド幅よりも狭い幅になっていることを特徴とする請求項4に記載のカード処理装置。
【請求項6】
印刷、印刷内容の消去、情報書込み又は情報読み込み等のいずれかの処理を、カードに行うカード処理装置において、
上記カードを運ぶ走行路と、
上記走行路上で、上記カードに上記処理を行うカード処理ヘッドと、
上記走行路上で、上記カード処理ヘッドの両脇に配置されており、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行う際に、上記走行路上で、上記カードと、上記カード処理ヘッドとの位置関係を決める1対のガイドと
を有することを特徴とするカード処理装置。
【請求項7】
上記ガイドは、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていない間は、上記カードが上記走行路で走行する位置を決める走行ガイドとして機能することを特徴とする請求項6に記載のカード処理装置。
【請求項8】
上記ガイドの間のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っている間と、行っていない間で、異なる幅に変化し、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っているときの第1のガイド幅は、上記カード処理ヘッドが上記カードに上記処理を行っていないときの第2のガイド幅よりも狭い幅になっていることを特徴とする請求項7に記載のカード処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−59797(P2011−59797A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206202(P2009−206202)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】
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