説明

カード式タイマーのためのアダプター

【課題】汎用のテレビ・電話用のカード式タイマーを使用した、電力使用量の大きい電気設備の使用料金の精算、使用制限を行う。
【解決手段】既成のテレビ・電話用のカード式タイマー1とモジュラージャック11を介してアダプター3を接続し、カード式タイマー1のタイマー運転可能信号12を受信し電気設備2を使用可能とし、電気設備2の使用に応じて極性を反転させたパルスをカード式タイマー1に送信し、電話の使用量計算に準じたカードの度数の減算をおこなうことにより、汎用のカード式タイマー1を応用することが可能となり、電気容量の大きい機器の制御が安価で可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば寮や短期賃貸マンションなどの施設において、カード式タイマーを使用して電気設備の使用料金の精算、使用制限を行う場合の接続装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
寮や短期賃貸マンションでの電気設備の使用料金は、各室に取付けた副メータを管理人が毎月確認し、使用者に使用量に応じて料金を請求しており、副メータでの管理は、管理が煩わしく労務費等の支出も問題となってくる。
【0003】
病院やホテルで、テレビ、冷蔵庫、電話等の利用に対する使用料金の支払い方法に、カード式タイマーが開発・販売されており、各所で使用されている。これは、使用量を個別に管理することなく、料金の回収が可能で、コインタイマーのような貨幣の徴収も必要がないためである。
【0004】
しかし、従来のカードタイマーは、リレーを使用して電源自体の開閉を行っているため、エアコンのような大容量の家電機器の制御に用いようとしても、リレーの容量が足りず、また、電子基板が大容量の電流に耐えることはできない欠点があった。
【0005】
また、使用する電気設備に応じたカード式タイマーを開発・製造することは効率が悪い。
【0006】
従来技術として特許文献1では、磁気カードリーダーライター及び制御基板とを備えたタイマー制御部と、電気機器の制御基板および無接点スイッチを備えたスイッチ制御部を信号ケーブルで接続し機能を分離することにより、使用する電気機器の使用電力容量に応じてスイッチ制御部のみを変更することで安価なカード制御装置を提供すると開示されている。
【特許文献1】特開平8−22515
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、タイマー制御部とスイッチ制御部が異なるメーカーのものであれば、それぞれを接続する信号の仕様が一様でないため各社のCPUの通信信号に合わせた方式を開発しなおさなければならないおそれがある。
【0008】
本発明はカード式タイマーが異なるメーカーのものであっても、汎用のテレビ・電話用のカード式タイマーを利用して、電気使用量の多い電気設備の使用料金の精算、使用制限を安価に行うことができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、発明したアダプターを汎用のテレビ・電話用のカード式タイマーとモジュラージャックを介して接続し、カード式タイマーのタイマー運転可能信号を受信し電気設備を使用可能とし、電気設備の使用に応じて極性を反転させたパルスをカード式タイマーに送信し、電話の使用量計算に準じたカードの度数の減算をおこなうことにより、各社のカード式タイマーを応用することが可能となり、安価に電気容量の大きい機器の制御が可能となる。
【0010】
極性を反転させたパルスによるカードの減算方法は、一般の公衆電話等で使用されている既知の方法である。既知の方法を使用することで、汎用性の高い安価なシステム構成となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、発明したアダプターには、CT(電流センサ)を備えており、電気設備の待機電流と使用電流を常時測定・比較し、使用電流値とみなす閾値を超えた時点から電気設備を使用したものとみなし、使用時間に応じたパルスを発生させ、カードの度数の減算処理を行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、発明したアダプターには、エアコンなどの電気設備に多く採用されているJEM−A(HA)端子を備え、電気設備の使用信号を確認すると、電気設備を使用し始めたことが確認でき、電気設備の使用時間に応じたパルスを発生させ、カードの度数の減算処理を行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、発明したアダプターには、積算電力量センサを備えており、電気設備の使用電力量に応じたパルスを発生させ、カードの減算処理を行うことができる。前記、請求項2、請求項3の場合は、電気設備の使用電力量が時間経過で一定とみなし、待機電力は無視しても差し支えのない場合に適用が可能であるが、部屋全体の電気料金をカード式タイマーを用いて制御する場合などでは、使用電力量は使用状況によって変化するため、積算電力量センサ15を使用して、使用電力量に応じたパルスを発生させ、カードの度数の減算処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るアダプターを用いれば、様々なメーカーのテレビ・電話用カード式タイマーを使用して、電気容量の大きい電気設備の使用料金の精算、使用制限が安価に可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
次に、本発明を実施するための最良の形態を、システムの概略図である図1と、システムの処理に関するフローである図2を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
電気設備の使用電力量が時間経過で一定とみなし、待機電力は無視しても差し支えのない場合の実施例について説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の一形態を示す構成図である。本発明の実施形態の汎用カード式タイマーを使用した電気設備の制御には、主にカード式タイマー1と、電気設備2とアダプター3に含まれるCPU4、電気機器制御部5、電力検出部7、CT8、JEM−A端子接続部9、カード式タイマー接続部10、モジュラージャック11などを使用する。
【0018】
カード式タイマー1にカードが挿入されるとモジュラージャック11を介してタイマー運転可能信号12が発信される(S100)。
【0019】
タイマー運転可能信号12をアダプター3が受信すると電気設備2の主電源をオンにする(S101)。たとえば電気設備がエアコンであった場合、主電源を入れただけではエアコンは機能せず、リモコン等の操作待ちの状況となる。
【0020】
電気設備2の使用開始を確認すると(S102)、使用時間の計測を開始し(S103)一定時間毎に反転パルスを発信する(S104)。電気設備がエアコンであった場合、リモコンでエアコンの動作を開始した場合に相当する。
【0021】
前記の電気設備2の運転状況の確認方法には主に2通りあり、CT8を使用して電流検出部7により待機電流と使用電流の比較を行うことにより、使用電流が設定した閾値以上になった時、電気設備2が運転状態であると認識する方法と、JEM−A(HA)端子9を使用して電気設備2が運転状態か否かを認識する方法がある。
【0022】
CT8を使用した場合の減算用の反転パルスのタイミングチャートを図3に示す。
【0023】
タイマー運転可能信号12の認識と同時に電気設備2の電源をオンとする。CT8による電流測定値が閾値以上になった時電気設備2の運転開始と認識し減算用の反転パルスをカード式タイマー1に送信する(S105)。電流測定値が閾値以下になった時には、電気設備2は運転を終了したものと認識する(S105)。
【0024】
JEM−A(HA)端子を使用した場合の減算パルスのタイミングチャートを図4に示す。
【0025】
タイマー運転可能信号12の認識と同時に電気設備2の電源をオンとする。JEM−A(HA)端子により電気設備2が運転状態であると認識すると、減算用の反転パルスをカード式タイマー1に送信する(S106)。電気設備2が運転終了か否かは同様にJEM−A(HA)端子により認識することができる(S105)。
【0026】
前記、2通りの運転状況の認識手法共に、電気設備2の終了が確認(S105)されると計測終了用の反転パルスをカード式タイマー1に送信(S106)し、運転時間の計測を終了する。
【0027】
カード式タイマー1に挿入されたカードのポイントが0となった場合やカードの排出が行われた時、タイマー運転可能信号12の送信は中止されるので、アダプター3は電気設備の電源をオフにし電気設備2の運転を強制的に終了させる。
【0028】
〔第2の実施の形態〕
次に、寮などの1室全体の電気料金をカード式タイマーを用いて制御する時の実施例を説明する。
【0029】
一部屋全体では、照明、コンセントの使用に応じて、電気使用量は変化するため、積算電力量センサ15を使用して、使用電気量に応じたパルスを発生させ、カードの度数の減算処理を行う。本実施例について、システムの概略図である図5と、システムの処理に関するフローである図6を用いて説明する。
【0030】
図5は、この発明の実施の一形態を示す構成図である。本発明の実施形態の汎用カード式タイマーを使用した電気設備の制御には、主にカード式タイマー1と、電気設備2とアダプター3に含まれるCPU4、電気機器制御部5、積算電力量センサ15、カード式タイマー接続部10、モジュラージャック11などを使用する。
【0031】
第1の実施例と同様に、カード式タイマー1にカードが挿入されるとモジュラージャック11を介してタイマー運転可能信号12が発信される(S200)。
【0032】
タイマー運転可能信号12をアダプター3が受信すると室内電源14をオンにする(S201)。一般的に、室内電源は各室に設けられた分電盤内で入り切りされることが多い。
【0033】
室内電源14をオンにすると同時に、積算電力量センサ15を使用して室内電源14の使用電力量を計測し(S202)、一定電力量毎に減算用の反転パルスを発信する(S203)。
【0034】
カード式タイマー1に挿入されたカードのポイントが0となった場合やカードの排出が行われた時、タイマー運転可能信号の送信は中止されるので、カード式タイマー1に計測終了用の反転パルスを発信し(S205)、アダプター3は室内電源14の電源を強制的にオフにする(S206) 。
【0035】
なお、カード式タイマー1のカードは磁気カードでもICカードでもどちらでも構わない。
【0036】
また、実施例では減算のための反転パルスを計測と同時に発信し、先に減算を行い一定の使用時間を許可したが、計測を開始して一定時間経過後に反転パルスを発信し、後から減算を行っても構わない。
【0037】
実施の形態で説明したアダプターは、カード式タイマーと別体でも同一の筐体に含まれても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】使用時間に応じた制御を行う場合の、本発明の実施の形態を示すシステムの概略図である。
【図2】使用時間に応じた制御を行う場合のフローチャートである。
【図3】CTを使用した時のタイムチャートである。
【図4】JEM−A(HA)端子を使用した時のタイムチャートである。
【図5】使用電力量に応じた制御を行う場合の、本発明の実施の形態を示すシステムの概略図である。
【図6】使用電力量に応じた制御を行う場合のフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 カード式タイマー
2 電気設備
3 アダプター
4 CPU
5 電気設備電源制御部
6 電源部
7 電力検出部
8 CT
9 JEM−A端子接続部
10 カード式タイマー接続部
11 モジュラージャック
12 タイマー運転可能信号
13 カード減算パルス
14 室内電源
15 積算電力量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード式タイマーとモジュラージャックを介して接続され、カード式タイマーの起動可能信号を受信し電気設備を使用可能とし、電気設備の使用に応じて極性を反転させたパルスをカード式タイマーに送信し、電話の使用量計算に準じたカードの度数の減算を行うアダプター。
【請求項2】
電流トランスを備えており電気機器の待機電流と使用電流を比較し、使用時間に応じたパルスを発生させ、電話の使用量計算に準じたカードの度数の減算を行う請求項1に記載のアダプター。
【請求項3】
JEM−A(HA)端子を備え電気機器の使用を判断し、電気機器の使用時間に応じたパルスを発生させ、電話の使用量計算に準じたカードの度数の減算を行う請求項1に記載のアダプター。
【請求項4】
積算電力量計を備え、電気機器の使用電力量に応じたパルスを発生させ、電話の使用量計算に準じたカードの度数の減算をおこなう請求項1記載のアダプター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−271611(P2009−271611A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119407(P2008−119407)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(591080678)株式会社中電工 (64)
【Fターム(参考)】