カーブベルトコンベヤ
【課題】 無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】 平面円弧形状をなした無端状カーブベルトの外周縁部寄りで、且つ該カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に、該カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方に、ベルトを上下より挟んで無端回動する回転部材を配置し、更に、その上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点に合わせて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置させて配置し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動する。
【解決手段】 平面円弧形状をなした無端状カーブベルトの外周縁部寄りで、且つ該カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に、該カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方に、ベルトを上下より挟んで無端回動する回転部材を配置し、更に、その上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点に合わせて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置させて配置し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーブベルトコンベヤに関し、詳しくは無端状カーブベルトを駆動回転させる駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
カーブベルトコンベヤにおける無端状カーブベルトの駆動方式として、平面略円弧形状のフレームに巻装したカーブベルトの往路側(上側)又は復路側(下側)の何れか一方または両方の外周縁部をローラ(駆動ローラとピンチローラ)で上下より挟み、そのローラを駆動回転することでカーブベルトを駆動する方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載のカーブベルトコンベヤは、旧来のように無端状カーブベルトの表面に引掛け用桟やビード等を備えていないため、無端状カーブベルトの製作が容易で、安価に製作できると共に、引掛け用桟やビード等の突起物が存在しない為、ベルトの着脱交換も容易に行うことができるという利点を有する。
しかし、その反面、駆動ローラ及びピンチローラはベルトと線接触であるため、油、水、粉等が無端状カーブベルトの表面に付着した場合、その油、水などが該ベルトを挟持する上下のローラに付着した時、無端状カーブベルトを挟持する摩擦力が低下し、それによって無端状カーブベルトへの回転伝達力が低下し、ベルトの回転走行が不安定になるという問題点を有する。
【0004】
【特許文献1】特開平11−59837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、無端状カーブベルトが旋回中心方向にずれるのを確実に抑制することができる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供することにある。
又、本発明の更に他の目的は、無端状カーブベルトのベルト幅の広狭変更に対して簡単に対応できる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方の外周縁部を、該無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に配置した上下一対の無端回動する回転部材で挟持し、更に、上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点に合せて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置させて配置し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動するようにしたことを特徴とする(請求項1)。即ち、本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの外周縁部を無端回動する回転部材で上下より挟持し、その挟持箇所を回転部材の回動で移動させてカーブベルトを周方向に回動するようにしたものである。
上記挟持の形態としては、磁石の吸着作用を利用する形態(請求項2)、スプリング等の弾性体による圧着作用を利用する形態(請求項8)等が上げられる。
又、無端状カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材は、両方とも駆動タイプ、或いは駆動タイプと従動タイプとの組み合わせとするなど、何れでもよい。
【0007】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの外周縁部を無端回動する回転部材で上下より挟持し、その挟持した位置が無端回動する回転部材のベルト進行方向の上流側から下流側に移動することで無端状カーブベルトは周方向に一緒に移動される。この動作が無端回動する回転部材によって連続して行なわれることで、無端状カーブベルトは駆動回転される。
そして、カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材は、該無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に配置され、更に上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点にあわせて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置して配置されているため、無端状カーブベルトは径方向外側に付勢されながら駆動回転される。又、上下一対の回転部材による挟持範囲が長ければ長いほど、駆動力を増大できる。
【0008】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外周面(回転部材同士が対向する面)に所定間隔を置いて磁石又は磁石に対して吸着する金属板を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の磁石同士の吸着、又は磁石と金属板の吸着でカーブベルトを挟持し、移送するように構成する(請求項2)。磁石同士を吸着させる場合は、一方の回転部材の回転帯にN極又はS極の何れか一方を固着し、その回転部材と対応して配置する回転部材の回転帯には前記回転部材の磁石と吸着作用を生じる反対極の磁石を固着する。
前記回転帯としては、伸び縮みが殆ど無く弾性変形の少ない部材、例えばゴム又は樹脂製の歯付ベルト(タイミングベルト)を使用し、これに取付部材を介して磁石又は金属板を取り付けて回転部材を構成する(請求項3)。
前記取付部材の具体的構成としては、例えば、磁石又は金属板を埋設する樹脂製ブロックと、その樹脂製ブロックの前後の突縁に亘って架設する固定ピンで構成し、磁石又は金属板を埋設した樹脂製ブロックを前記歯付ベルトの外周面上に被せ、更に歯付ベルトの幅方向両側より内面側に突出する樹脂製ブロックの前後突縁に亘って固定ピンを打ち込んで、歯付ベルトにブロックを一体的に装着する(請求項4)。尚、回転帯には、前記歯付ベルト(タイミングベルト)の他に、チェーン、スチールベルト等を使用することができる。
【0009】
上記手段によれば、無端回動する回転帯の外側面に固着した磁石同士の吸着作用、又は磁石と金属板との吸着作用で無端状カーブベルトが挟持され、そのカーブベルトを挟持した磁石同士又は磁石と金属板は回転帯の無端回動により該回転帯の始端側から終端側に向かって移動される。それにより、無端状カーブベルトを挟持しての移動が回転帯の無端回動によって連続的に行なわれる。そして、磁石又は金属板を埋設した樹脂製ブロックは固定ピンで歯付ベルトに装着されているため、樹脂製ブロック(磁石又は金属板)の付け替え交換が可能となり、損傷部材の部分交換が可能となる。
【0010】
そして、上記の如く構成した回転部材は、無端状カーブベルトの往路側と復路側の間に1個の駆動タイプの回転部材を配置し、その1個の駆動回転部材と対応して往路側及び復路側の両方の外側(往路側は上側、復路側は下側)に従動タイプの回転部材を配置すると共に、往路側及び復路側の従動タイプの回転部材は、前記駆動タイプの回転部材の機長の中央部からベルト進行方向の下流側に配置する(請求項5)。尚、この場合、往路側と復路側の間に配置する駆動タイプの回転部材の長さ(歯付プーリ軸間の距離)は、従動タイプの回転部材の長さ(歯付プーリ軸間の距離)の略倍の長さとする。
そして、上記駆動タイプの回転部材と従動タイプの回転部材からなる一対(一組)の回転部材は、無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差させて配置するが、配置する列数は1列に限定されず、複数列としてもよい(請求項9)。又、複数列配置する場合、各列は隙間なく近接して配置しても、或いは列間に所定の隙間を開けて配置するなど何れでもよい。
【0011】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側と復路側の両方を、それぞれ上下一対の回転部材で挟持して駆動する場合、往路側と復路側との間に配置する回転部材を、往路側と復路側の回転部材の一方として共用することができる。
又、上下一対(一組)の回転部材の進行方向の長さは、無端状カーブベルトのベルト幅が大きく(広く)なればそれに伴い該ベルトを挟持搬送する駆動力も増大させる必要があり、その結果、往路側(上側)と復路側(下側)の間に配置する中段の回転部材は長くなる。しかしながら、その場合、単に長くするだけではなく、当然のことながら一対の回転部材の全長が、無端状カーブベルトを挟んでいることが必要で、それには回転部材を配置する位置を、無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線上において該カーブベルトの外周縁側から旋回中心方向へ移動させなければならない。しかし、長い1列の回転部材が生じる駆動力の略数等分(たとえば、1/2、1/3等)の駆動力を生じる短い回転部材(中段の回転部材)を等分数(例えば、2列、3列等)平行に配置すれば、それにより生じる駆動力は前記長い1列の回転部材と略同等となる。そして、回転部材は短いため、配置する位置は無端状カーブベルトの外周方向へ移動でき、その結果、無端状カーブベルトの搬送に供する有効幅を広く確保することが可能となる。
【0012】
更に、前記無端状カーブベルトの往路側又は復路側の外側に配置する回転部材は、対応するもう一方の回転部材とで挟持状態を維持できるようフレームに対して所定位置に固定してもよいが、対応するもう一方の回転部材に対して接離切り替え可能に構成してもよい(請求項6)。接離切り替えの方法としては、回転部材を取付けた部材を、一側部を中心として回動する方式、或いは鉛直方向に直線移動する方式等何れでもよい。
【0013】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側、或いは復路側を挟持する外側の回転部材が移動することで、挟持するもう一方の回転部材との間隔を広狭可変することができる。従って、該回転部材を移動して回転部材相互の間隔を開くことで挟持状態を解除でき、無端状カーブベルトの着脱交換を容易に行なうことが可能となる。
【0014】
又、無端状カーブベルトの往路側、復路側の外側に配置する従動タイプの回転部材は、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として回転部材全体を180度反転自在とし、駆動タイプの回転部材の回転方向も正・逆切り替え自在としてもよい(請求項7)。
【0015】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側の外側(上側)、復路側の外側(下側)に配置されている従動タイプの回転部材を、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として180度反転させ、且つ往路側と復路側の間に配置した駆動タイプの回転部材の回転方向を逆方向に切り替えることで、無端状カーブベルトの回転方向を逆方向に切り替えることができると共に、その逆方向の回転においても、無端状カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材の位置は、正回転時と同様、該無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に位置し、しかもベルトを挟持する上下一対の回転部材の位置関係も同じである為、無端状カーブベルトを径方向外側に付勢しながら回動することができる。
【0016】
又、前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面に所定間隔を置いて弾性体を固着して構成し、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の弾性体同士の圧着でカーブベルトを挟持し、移送するようにしてもよい(請求項8)。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカーブベルトコンベヤは、請求項1記載の構成により、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、あるいは往路側と復路側の両方の外周縁部を、無端回動する回転部材で挟持して移動させるため、従来のローラで挟持回動する構造に比べて挟持箇所(面積)が多く、線接触から面接触になるため、無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる。
又、無端状カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材の一方の始端側を、他方の回転部の中心線上若しくはその位置より下流側に位置させてある為、無端状カーブベルトを径方向外側に付勢して回動することができる。因って、回転部材による挟持構造及び回転部材の配置によって、無端状カーブベルトが旋回中心側に移動するのを抑止することができる。
【0018】
そして、無端状カーブベルトを挟持する回転部材を請求項2、3記載の構成とした場合は、カーブベルトを磁石の吸着力で挟持するため、無端状カーブベルトに特別な細工を施す必要が無く、桟などを具備しないベルトをそのまま使用することができる。しかも、磁石の吸着力で挟持するため、無端状カーブベルトに傷などが付きにくく、ベルトの寿命を永く保持することができる。更に、請求項4の構成とした場合は、汎用のタイミングベルトを使用して磁石を備えた回転部材を容易に構成できると共に、磁石が損傷した場合は損傷した樹脂製ブロック(磁石又は金属板)の交換で対応できる為、補修及び経済性に富んだ回転部材を提供できる。
【0019】
又、請求項5記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトを挟持する上下一対のうちカーブベルトの内側に配置する回転部材を、往路側と復路側に共用することができ、装置の簡素化及びコストダウンを計ることができる。
更に、請求項6記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトを挟持する回転部材の一方(外側)が接離する為、該回転部材を移動させることで挟持状態を開放でき、無端状カーブベルトの着脱を容易に行うことができる。よって、無端状カーブベルトの交換、洗浄等を簡便に行うことができる。
【0020】
また、請求項7記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトの往路側及び復路側の外側に配置した従動回転部材を、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として180度反転させ、且つ駆動回転部材の回転方向を逆方向に切り替えることで、正回転方向だけでなく、逆回転方向にも駆動回転させることができる。そして、その逆回転時においても正回転時と同様、ベルトを径方向外側へ付勢して回動することができる
更に、請求項8記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトの外周縁を弾性体で機械的に圧着挟持して移送するため、安定したベルト回動を確保することができる。
また、請求項9記載の構成とすることで、無端状カーブベルトのベルト幅の拡張(開き角は同じ)に対し、ベルトを挟持搬送する一対の回転部材における駆動タイプの回転部材の長さ(往路側(上側)と復路側(下側)の間に配置する中段の回転部材)を長くすることなく、長さが短い回転部材を複数列平行に配置することで対応することが出来る。従って、カーブベルトコンベヤのベルト幅のサイズに応じて長さの異なる回転部材を用意する必要がなく、同じ回転部材をベルト幅サイズに応じて1列、或いは2列配置するなど、部品の共通化が可能となる。更に、短い回転部材を複数列配置する為、配置する位置も長い回転部材を1列配置する場合に比べて、無端状カーブベルトの外周方向に配置でき、それにより搬送有効幅を大きく確保することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るカーブベルトコンベヤの実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る回動機構を備えたカーブベルトコンベヤAを示し、該カーブベルトコンベヤAは、平面略扇形状をした平板状のフレーム1の周方向両側部に、折り返し部材のテールローラ2,2’が平面視90°の開き角度をおいて回転自在に架設され、その両テールローラ2,2’に亘って無端状カーブベルト3が巻装されて平面視略円弧形状の搬送路が構成されている。そして、前記フレーム1における周方向の中程位置には、該無端状カーブベルト3の旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lに対し直角に交差する線Y上に前記無端状カーブベルト3の往路側と復路側の外周縁部を上下より挟持する上下一対の回転部材4a,4b、及び4a,4cとからなる回動機構4,4’が配置され、その回動機構4,4’を構成する回転部材4aを駆動回転する駆動機構5が前記フレーム1の外周縁に沿って設置されている。
【0022】
フレーム1の周方向両側部に架設される折り返し部材のテールローラ2,2’は、短円筒状に形成した多数の小ローラ2aを、無端状カーブベルト3のベルト幅に対応してテールローラ軸2bの外側に回転自在に嵌装することにより、軸長に亘って同径の長軸状ローラとして構成されている。
そして、小ローラ2aを回転自在に支持したテールローラ軸2bは、それぞれフレーム1の両側部における内周部と外周部に設けた、フレーム1の軸受け部材6a,6b及び7a,7bの間に亘って水平に架設支持され、両テールローラ軸2bの軸芯相互は平面視90°の開き角で配置される。尚、上記両テールローラ軸2bの外径の延長線が交差する箇所に無端状カーブベルト3の旋回中心Oが位置するように設定してある。
【0023】
上記テールローラ軸2bに沿って並列嵌装される小ローラ2aは、個々の小ローラが独立して回転するように構成されている。即ち、カーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルト3の内周側と外周側とで周速度が異なるが、上記したように無端状カーブベルト3の両端部を支持するテールローラ2,2’を、テールローラ軸2b上に多数の小ローラ2aを並列して構成することにより、それぞれの小ローラ2aがそれぞれの位置の周速度で回転するように構成されている。叉、上記小ローラ2aは、外径が十分に小さいローラで構成しているので、該カーブベルトコンベヤAの搬送方向始端側及び搬送方向終端側に接続される他のコンベヤとの接続部に生じる段差(隙間)を小さく抑えることができる。
【0024】
上記テールローラ2,2’間に巻装される無端状カーブベルト3は、略切頭円錐形をなしたドーナツ状のシートとして構成され、これを扁平に折畳んで平面扇形状態として、前記フレーム1の中心側から、外周部となる大径側を嵌装する。それにより、平面視略扇状の円弧形となる搬送路が構成される。尚、この無端状カーブベルト3としては、その肉厚内に、ベルト幅方向に向かって強靭な線材(芯材)を放射状に内設し、ベルト幅方向と回転方向とを均等に圧縮強度を増大したものを使用するのが好ましい。
そして、テールローラ2,2’間に巻装された無端状カーブベルト3の往路側3aの略全面は、該テールローラ2,2’を支持する平板状のフレーム1で下側から支承されるように構成されている。尚、フレーム1の周方向の両端縁は、前記テールローラ2,2’の近傍まで延びている。
【0025】
上記無端状カーブベルト3を駆動回転する回動機構4,4’は、該無端状カーブベルト3の往路側3aと復路側3bの外周縁寄りの間に配置した無端回動する駆動回転部材4aと、前記駆動回転部材4aと対応させて往路側3aのベルト外側(上側)、及び復路側3bのベルト外側(下側)に配置した無端回動する従動回転部材4b、4cとで構成されている。そして、無端状カーブベルトの往路側ベルト3aを駆動する回動機構4は該往路側ベルト3aの上下に配置された駆動回転部材4aと従動回転部材4bとで構成され、無端状カーブベルトの復路側ベルト3bを駆動する回動機構4’は復路側ベルト3bの上下に配置された駆動回転部材4aと従動回転部材4cとで構成される。
前記駆動回転部材4aは、旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lの線上で無端状カーブベルト3の外周縁より内側の任意の点x1を通り前記中心線C.Lと直角に交差する線Y上で、且つ該駆動回転部材4aの機長の略中央部を前記点x1に位置させて配置されている。尚、中心線C.Lは図示する旋回中心Oから機体の中央部に向く放射線付近が合理的であるが、旋回中心Oから径方向に延びる放射線であれば、任意の位置でもよい。
前記従動回転部材4bは、無端状カーブベルト3の往路側3aのベルト外側(上側)に機長の中心線を前記線Y上に位置させ、ベルト進行方向の上流側の略中心(歯付プーリの中心)を前記点x1に合せ、回転方向の下流側をカーブベルトの進行方向下流側に向けて配置されている。
前記従動回転部材4cは、無端状カーブベルト3の復路側3bのベルト外側(下側)に機長の中心線を前記線Y上に位置させ、ベルト進行方向の上流側の略中心(歯付プーリの中心)を前記点x1に合せ、回転方向の下流側をカーブベルトの進行方向下流側に向けて配置されている。
即ち、従動回転部材4b,駆動回転部材4a,従動回転部材4cは、線Y上に重なって配置されている。
【0026】
以下、前記回動機構4,4’を構成する駆動回転部材4a、従動回転部材4b,4cについて説明する。尚、駆動回転部材4a、従動回転部材4b,4cは、何れも同じ構造であるため、以下、駆動回転部材4aについて説明する(図2、図3参照)。
駆動回転部材4aは、無端回動する歯付ベルト(回転帯)8と、その歯付ベルト8の外側面に磁石9を所定の間隔を置いて固着して構成されている。
歯付ベルト8に対する磁石9の固着は、歯付ベルト8の幅方向を跨いで被せる樹脂製のブロック10に磁石9を一体的に埋め込み、そのブロック10の前後端に一体的に突設され、前記歯付ベルト8の幅方向端縁より内側に突出する突縁10a,10bに亘って固定ピン11を打ち込むことで、磁石9を埋め込んだブロック10が歯付ベルト8の外側面に一体的に固定されている。尚、磁石9の着磁は、ブロック10に埋め込み成形後、電圧を加えて着磁する。
又、磁石を埋め込んだブロック10を歯付ベルト8に対して取り付ける位置は、該歯付ベルト8の内面に所定のピッチで突設された凸部8aの間とし、凸部8a相互の間の凹部8bに前記固定ピン11が架設されるようにする。この固定ピン11の架設は、該固定ピン11の外周面が凹部8bの底面と接触する位置とし、それによりブロック10は歯付ベルト8に対してガタツキ無く接合一体化されている。
又、無端状カーブベルトの挟持は磁石9のN極とS極の吸着作用で挟持するため、真中に配置する駆動回転部材4aに装備する磁石9の磁極をN極とした場合、上下に配置する従動回転部材4b,4cに装備する磁石9の磁極はS極とする。
【0027】
上記駆動回転部材4aは、フレーム1の周方向中程位置の外周縁に沿って鉛直に固着した取付板12に、所定の間隔を置いて回転自在に軸支した歯付プーリ13a,13bに亘って巻装されている。そして、一方の歯付プーリ13aを固着した軸14aは前記取付板12に取付けた軸受15を介して取付板12外方に突出され、その突出部分に駆動機構5が接続されている。又、他方の歯付プーリ13bを取付けた軸14bは軸14aとの軸間距離を調整し得るように取付板12に開設した長孔16に位置調整可能に嵌合されている。これにより、軸14bを前記長孔16に沿って移動調整することで歯付ベルト8の張り具合を調整できるように構成されている。
【0028】
従動回転部材4bは、前記取付板12の内側に取付けた補助取付板17に、所定の間隔を置いて回転自在に軸支した歯付プーリ18a,18bに亘って巻装されている。そして、無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ18bを固着した軸19bは、進行方向上流側に位置する他方の歯付プーリ18aを取付けた軸19aとの軸間距離を調整し得るように補助取付板17に開設した長孔20に嵌合されている。これにより、軸19bを前記長孔20に沿って移動調整することで歯付ベルト8の張り具合を調整できるように構成されている。尚、歯付ベルト8の張り具合のみの調整であれば、移動調整する軸は軸19a,19bの何れでもよいが、後述する無端状カーブベルト3の外周縁を径方向外側へ付勢する作用をより確保するためには前記した無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ18bを移動調整可能とする。
【0029】
従動回転部材4cは、前記取付板12の内側に取付けた補助取付板17’に、周方向に所定の間隔を置いて回転自在に軸支した歯付プーリ21a,21bに亘って巻装されている。そして、無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ21bを固着した軸22bは、進行方向上流側に位置する他方の歯付プーリ21aを取付けた軸22aとの軸間距離を調整し得るように補助取付板17’に開設した長孔23に嵌合されている。これにより、歯付プーリ21bの軸22bを前記長孔23に沿って移動調整することで歯付ベルト8の張り具合を調整できるように構成されている。尚、復路側の回動機構4’における従動回転部材4cの歯付ベルト8の張り具合調整は、上記した往路側の回動機構4における従動回転部材4bの歯付ベルト8の張り具合調整と同様、無端状カーブベルト3の外周縁を径方向外側へ付勢する作用をより確保するためには、進行方向下流側に位置する歯付プーリ21bを移動調整可能とする。
【0030】
そして、上記回転部材4bを取付けた補助取付板17と、回転部材4cを取付けた補助取付板17’は、回転部材4aを備えた前記取付板12に対して上下揺動自在に支持されている。
具体的には、図2に示すように、回転部材4bを取付けた補助取付板17と、回転部材4cを取付けた補助取付板17’は、無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ18b、21b側の軸支部P、P’を中心として上下揺動自在に支持され、軸支部P、P’の反対側には、取付板12に開設した上下揺動の範囲を規制する円弧溝24,24’に嵌合するストッパピン25,25’が設けられている。
上記構成により、補助取付板17,17’を水平状態に支持した状態では図2に示すように回転部材4a、4b、4cが平行状態を維持し、回転部材4bと回転部材4aで無端状カーブベルト3の往路側3aを挟持し、回転部材4aと回転部材4cで無端状カーブベルト3の復路側3bを挟持して、無端状カーブベルト3を周方向に回動する。そして、補助取付板17を軸支部Pを中心として上方へ、補助取付板17’を軸支部P’を中心として下方へそれぞれ揺動すると、図2の仮想線で示すように回転部材4bと回転部材4cは真中に位置する回転部材4aに対して離間方向に移動し、それまでの挟持状態が開放される。それにより、無端状カーブベルト3の着脱を容易に行うことが可能となる。
【0031】
上記駆動機構5は、前記した回転部材4aを駆動回転するもので、図2に示すように、上下方向の真中に配置した回転部材4aを支持する歯付プーリ13aを固着した軸14aに駆動スプロケット5aを固着し、その駆動スプロケット5aとフレーム1に垂下固着したモータ5bの出力軸に固着したスプロケット5cに亘ってチェーン5dを巻回し、モータ5bの回転力で回転部材4aが駆動回転されるように構成されている。尚、この駆動機構5は、図示の形態に限定されず、ギヤとタイミングベルト、或いは中空軸形ギヤードモータを取り付けてスプロケットを省いた駆動方式とするなど、今日採用されている駆動方法を適宜選択し得るものである。
【0032】
そして、駆動回転する回転部材4aと対向して無端状カーブベルト3の往路側3aを挟持する従動回転部材4b、及び無端状カーブベルト3の復路側3bを挟持する従動回転部材4cは、それぞれ回転部材4a,4b,4cに装備された磁石9がベルトを挟んで吸着しあい、それにより回転部材4b,4cは前記回転部材4aの回転によって従動回転される。
【0033】
上記回転部材4a,4b,4cの歯付ベルト(回転帯)8に樹脂製ブロック10を介して取り付ける磁石9としては、ネオジウム、或いはフェライト等を使用する。尚、カーブベルトコンベヤの使用状況においては、使用後の水洗いが必要となる場合もあるが、該磁石9は前記したように樹脂製ブロック10に埋設されるため、水洗いした場合でも磁石に直接水がかかることはなく、磁石が錆びるのを防止することができる。
【0034】
図7は前示実施の形態で示したカーブベルトコンベヤにおける回動機構4,4’の配置関係を示す説明図で、無端状カーブベルト3の旋回中心Oから機体の略中央部(周方向の略中央部)に延びる中心線C.Lと直角に交差する線上に、駆動回転部材4a、従動回転部材4b,4cが図7(b)に示すように配置されている。
【0035】
次に、上記した回動機構4、4’を回動した場合の力学的作用を、復路側の従動回転部材4cを基に図8〜図9に基づいて説明する。
図8は無端状カーブベルト3における復路側のベルトを挟持する従動回転部材4cの配置を示す説明図で、無端状カーブベルト3の旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lに対して、従動回転部材4cの機長の中心線Y(図1参照)が直角に交差させて配置してあり、その中心線と前記中心線C.Lとの交点をx1とする。この交点x1上に該従動回転部材4cの歯付プーリ21aの軸芯を配置し、この線上で歯付ベルト8の磁石9が対応する駆動回転部材4aの歯付ベルト8の磁石9と吸着し、駆動回転部材4aの駆動回転によって回転する。それにより、前記交点x1は駆動回転部材4aの回転に従って回転すると共に、中心線Y上をカーブベルトの進行方向に向かって移動する。中心線Y上を任意の距離移動した点をx2とする。その移動後の点x2での力の関係をベクトル図(図9参照)で示す。
【0036】
旋回中心Oから点x2に延びる中心線をY’とする。そして、その点x2から中心線Y’に対し直角方向に働く力をF1とする。
力F1は、無端状カーブベルト3が旋回中心Oを中心として回動する時に、接線方向、即ち、中心線Y’に直角に働く。又、従動回転部材4cの回転により力は、中心線上に作用する。即ち、任意の点x2に働く力は前記中心線Zの延長線上に作用する力F2となる。従って、無端状カーブベルト3の復路側のベルト3bに働くそれぞれの力F1、F2の合力方向にF3の合力が働く。これにより、無端状カーブベルト3をF3方向、即ち、外側に付勢する力F4(F2sinα°)が発生する(図9参照)。
そして、上記の外側へ付勢する力F4は、復路側のベルトを挟持する回動機構4’を構成する駆動回転部材4aと従動回転部材4cの吸着範囲(吸着開始位置から吸着解除位置までの範囲)分だけ連続して作用する。従って、この連続した外側への付勢力は、回動機構を構成する上下一対の回転部材の重合長さ分だけ発揮される。しかも、無端状カーブベルトを挟持して移動するため、無端状カーブベルトに油や粉が付着しても摩擦駆動に比べてその影響は軽微であり、無端状カーブベルトの安定した走行を確保することができる。
ここでは復路側について説明したが、往路側についても同様なことが言える。
【0037】
図10は本発明に係るカーブベルトコンベヤの他の実施例を示し、前示の実施例における駆動回転部材4aの上下に配置した従動回転部材4b,4cを、ベルト進行方向に対し上流側に位置する歯付プーリ18a,21aの軸19a,22aを中心として該従動回転部材4b,4c全体を180°反転自在に構成する。即ち、図10(b)に示すように、前示実施例の位置(仮想線で示す位置)から180°反転することで、従動回転部材4b,4cの歯付プーリ18a,21aの位置は変わらずに、もう一方の歯付プーリ18b,21bがそれぞれ前示実施例の場合と対称の位置(実線で示す位置)に移動する。
従って、駆動回転部材4aの回転方向を前示実施例の場合と反対の方向に切り替えれば、図10(a)に示すように無端状カーブベルト3の回転方向は矢印方向となり、前示実施例の回転方向とは逆の方向に回転する。そして、従動回転部材4b,4cを180°反転させた状態においても、駆動回転部材4aに対する従動回転部材4b,4cの配置関係は変わらないため、逆回転においても無端状カーブベルトを径方向外側に付勢する力は同様に発生し、安定した走行を確保することができる。
【0038】
従動回転部材4b,4cを180度反転自在とする場合、該回転部材4b,4cを取付けた補助取付板17,17’もそれぞれ軸19a,22aを中心として180度反転するように構成し、適宜の止め手段でその反転状態に定着固定する。又、補助取付板に対する歯付プーリ軸の支持は、一般的な丸孔と軸の嵌め合いでもよいが、軸を支持する孔を上下方向に長い長孔とし、歯付プーリ軸が上下摺動し得るようにしてもよい。又、前記歯付プーリ軸を補助取付板17,17’に取付けた弾性体で付勢して、常にベルトに押し付けるようにしてもよい。
【0039】
上記した実施の形態における無端状カーブベルトの挟持構造は、ベルトの上下に配置した回転帯に磁石9を取り付け、その磁石の吸着作用で挟持するようにしたものであるが、弾性体で挟持する構成としてもよい。
例えば、図2の形態において、樹脂製ブロック10の無端状カーブベルトと対向する面に、スプリングで外側に付勢された圧着板を設け、そうした圧着板同士でベルトを挟持するようにする。
【0040】
図11は本発明に係るカーブベルトコンベヤにおける回転部材の配置の他の例を示す図である。尚、回転部材の構成は図2に示したものとカーブベルトの回転方向(往路の回転方向)が逆方向に配置されている以外は同じであるため、詳細な説明は省略する。又、以下に説明する「長さL1」、「長さL2」は、往路側(上側)と復路側(下側)の間に配置する中段の回転部材(図2の駆動回転部材4aに相当する)の回転方向の長さを表す。
本発明における無端状カーブベルトの回動は、上下一対の回転部材による挟持搬送で行われるが、無端状カーブベルトのベルト幅(旋回中心寄りの内側縁から径方向外側縁までの寸法)のサイズの大小に応じて、前記無端状カーブベルトを挟持搬送する上下一対の回転部材の能力(進行方向の長さ、回転部材の横幅等)も変わる。
例えば、図11に示すベルト幅S1の無端状カーブベルトに対して長さL1の回転部材Z1が1列配置されている。そして、前記ベルト幅S1よりも幅広のベルト幅S2(S2>S1)の無端状カーブベルトを構成しようとした場合、前記の長さL1の回転部材Z1では能力不足となり、図示のように長さL2(L2>L1)の回転部材(横幅は同一)Z2を配置する必要がある。長さL2の回転部材はその全長に亘って無端状カーブベルトを挟持する必要があるため、該回転部材Z2の配置位置は、旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線の両端と無端状カーブベルトの外周縁とが交差する二点間の寸法(弦)の長さが回転部材Z2の長さL2と略同じとなる位置である。
【0041】
長さL2の回転部材Z2が生じる能力が、前記した長さL1の回転部材Z1が生じる能力の略2倍に相当する場合、長さL1の回転部材Z1を2組配置することで同様の挟持搬送が可能となる。即ち、図11に実線で示したように、長さL1の回転部材Z1を2列平行に配置する。その場合、回転部材Z1を配置する位置は、前記したように旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線の両端と無端状カーブベルトの外周縁とが交差する二点間の寸法(弦)の長さが回転部材の長さL1と略同じとなる位置である。従って、長さL1の回転部材を2列配置する位置は、図示するように長さL2の回転部材を配置する位置より径方向外側に移動した位置となる。
【0042】
よって、ベルト幅が大きくなった場合、それに合わせて回転部材の長さを長くすることで挟持搬送に必要な駆動力を確保できるが、回転部材の長さを長くすることなく、ある一定長さの回転部材を複数組、並列に配置することで同様の駆動力を確保することが出来る。そして、複数列配置するようにした場合は、長尺一列の回転部材を配置した構成に比べて下記のような利点が得られる。
(1)無端状カーブベルトの搬送有効幅を広く確保することが出来る。
(2)ベルト幅のサイズに応じて長さの異なる回転部材を用意する必要がない。
(3)並列配置した各列の回転部材は、1個の駆動源で駆動することも出来るが、それぞれ独立した駆動源で駆動するようにした場合は、各列の周速度に合わせて駆動できる。
【0043】
本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、或いは両方の外周縁を、該ベルトを挟んで上下に配置した無端回動する回転部材で挟持し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動で無端状カーブベルトを周方向に回動するため、無端状カーブベルトを安定して確実に回動することが出来る。そして、無端状カーブベルトは該ベルトの上下に配置し、挟持部分がベルト内に装着された回転部材で挟持するため、挟持部材がベルトより径方向外側に大きく突出せず、従ってコンベヤ全体をコンパクトに構成することができるという利点を有する。
【0044】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において適宜変更は可能である。
(1)往路側の回動機構と復路側の回動機構を、駆動回転部材を共用して同一箇所に配置したが、往路側と復路側の回動機構をそれぞれ切離して別々に配置してもよい。
(2)回転部材における回転帯に対する磁石の取り付け形態は、図示の埋設形態に限定されず、回転帯の外側に押え金具等を介して磁石を露出状態で固定する形態等、何れでもよい。又、磁石の形状は、図示する矩形平板状に限らず、円板状等何れでもよい。
(3)ベルトを挟持する上下一対の回転部材は、一方だけでなく両方とも同期駆動タイプとしてもよい。
(4)回転部材の表面(無端状カーブベルトと当接する面)は、平坦面に限らず、凹凸面としてもよい。
(5)カーブベルトの旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lは、実施の形態で示す機体の中央部に限定されるものではなく、旋回中心Oから径方向に延びる放射線であればよい。
(6)本発明のカーブベルトコンベヤは、実施の形態で示す平面視略90°の開き角のものに限定されず、90°以下(例えば、45°、60°)、或いは90°以上(例えば、180°)でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るカーブベルトコンベヤの実施の一例を示す一部切欠平面図。
【図2】図1の(2)−(2)線に沿える拡大断面図。
【図3】要部の拡大断面図。
【図4】図3の(4)−(4)線に沿える拡大断面図。
【図5】回転部材の構成を示す一部切欠斜視図。
【図6】歯付ベルト(回転帯)に対する磁石の取付構造を示す一部切欠分解斜視図。
【図7】図1の実施例における回転部材の配置関係を示し、(a)は平面図、(b)は要部拡大断面図。
【図8】復路側の回転部材の配置を示す説明図。
【図9】図8に示す回転部材の回転で発生する力の関係を示す説明図。
【図10】他の実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は要部拡大断面図。
【図11】他の実施の形態を示す説明図。
【符号の説明】
【0046】
A…カーブベルトコンベヤ 1…フレーム
2,2’…折り返し部材(テールローラ) 3…無端状カーブベルト
4,4’…回動機構 4a〜4c…回転部材
5…駆動機構 8…歯付ベルト(回転帯)
9…磁石 10…樹脂製ブロック
11…固定ピン
【技術分野】
【0001】
本発明はカーブベルトコンベヤに関し、詳しくは無端状カーブベルトを駆動回転させる駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
カーブベルトコンベヤにおける無端状カーブベルトの駆動方式として、平面略円弧形状のフレームに巻装したカーブベルトの往路側(上側)又は復路側(下側)の何れか一方または両方の外周縁部をローラ(駆動ローラとピンチローラ)で上下より挟み、そのローラを駆動回転することでカーブベルトを駆動する方式が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1記載のカーブベルトコンベヤは、旧来のように無端状カーブベルトの表面に引掛け用桟やビード等を備えていないため、無端状カーブベルトの製作が容易で、安価に製作できると共に、引掛け用桟やビード等の突起物が存在しない為、ベルトの着脱交換も容易に行うことができるという利点を有する。
しかし、その反面、駆動ローラ及びピンチローラはベルトと線接触であるため、油、水、粉等が無端状カーブベルトの表面に付着した場合、その油、水などが該ベルトを挟持する上下のローラに付着した時、無端状カーブベルトを挟持する摩擦力が低下し、それによって無端状カーブベルトへの回転伝達力が低下し、ベルトの回転走行が不安定になるという問題点を有する。
【0004】
【特許文献1】特開平11−59837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、無端状カーブベルトが旋回中心方向にずれるのを確実に抑制することができる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供することにある。
又、本発明の更に他の目的は、無端状カーブベルトのベルト幅の広狭変更に対して簡単に対応できる駆動機構を備えたカーブベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方の外周縁部を、該無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に配置した上下一対の無端回動する回転部材で挟持し、更に、上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点に合せて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置させて配置し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動するようにしたことを特徴とする(請求項1)。即ち、本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの外周縁部を無端回動する回転部材で上下より挟持し、その挟持箇所を回転部材の回動で移動させてカーブベルトを周方向に回動するようにしたものである。
上記挟持の形態としては、磁石の吸着作用を利用する形態(請求項2)、スプリング等の弾性体による圧着作用を利用する形態(請求項8)等が上げられる。
又、無端状カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材は、両方とも駆動タイプ、或いは駆動タイプと従動タイプとの組み合わせとするなど、何れでもよい。
【0007】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの外周縁部を無端回動する回転部材で上下より挟持し、その挟持した位置が無端回動する回転部材のベルト進行方向の上流側から下流側に移動することで無端状カーブベルトは周方向に一緒に移動される。この動作が無端回動する回転部材によって連続して行なわれることで、無端状カーブベルトは駆動回転される。
そして、カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材は、該無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に配置され、更に上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点にあわせて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置して配置されているため、無端状カーブベルトは径方向外側に付勢されながら駆動回転される。又、上下一対の回転部材による挟持範囲が長ければ長いほど、駆動力を増大できる。
【0008】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外周面(回転部材同士が対向する面)に所定間隔を置いて磁石又は磁石に対して吸着する金属板を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の磁石同士の吸着、又は磁石と金属板の吸着でカーブベルトを挟持し、移送するように構成する(請求項2)。磁石同士を吸着させる場合は、一方の回転部材の回転帯にN極又はS極の何れか一方を固着し、その回転部材と対応して配置する回転部材の回転帯には前記回転部材の磁石と吸着作用を生じる反対極の磁石を固着する。
前記回転帯としては、伸び縮みが殆ど無く弾性変形の少ない部材、例えばゴム又は樹脂製の歯付ベルト(タイミングベルト)を使用し、これに取付部材を介して磁石又は金属板を取り付けて回転部材を構成する(請求項3)。
前記取付部材の具体的構成としては、例えば、磁石又は金属板を埋設する樹脂製ブロックと、その樹脂製ブロックの前後の突縁に亘って架設する固定ピンで構成し、磁石又は金属板を埋設した樹脂製ブロックを前記歯付ベルトの外周面上に被せ、更に歯付ベルトの幅方向両側より内面側に突出する樹脂製ブロックの前後突縁に亘って固定ピンを打ち込んで、歯付ベルトにブロックを一体的に装着する(請求項4)。尚、回転帯には、前記歯付ベルト(タイミングベルト)の他に、チェーン、スチールベルト等を使用することができる。
【0009】
上記手段によれば、無端回動する回転帯の外側面に固着した磁石同士の吸着作用、又は磁石と金属板との吸着作用で無端状カーブベルトが挟持され、そのカーブベルトを挟持した磁石同士又は磁石と金属板は回転帯の無端回動により該回転帯の始端側から終端側に向かって移動される。それにより、無端状カーブベルトを挟持しての移動が回転帯の無端回動によって連続的に行なわれる。そして、磁石又は金属板を埋設した樹脂製ブロックは固定ピンで歯付ベルトに装着されているため、樹脂製ブロック(磁石又は金属板)の付け替え交換が可能となり、損傷部材の部分交換が可能となる。
【0010】
そして、上記の如く構成した回転部材は、無端状カーブベルトの往路側と復路側の間に1個の駆動タイプの回転部材を配置し、その1個の駆動回転部材と対応して往路側及び復路側の両方の外側(往路側は上側、復路側は下側)に従動タイプの回転部材を配置すると共に、往路側及び復路側の従動タイプの回転部材は、前記駆動タイプの回転部材の機長の中央部からベルト進行方向の下流側に配置する(請求項5)。尚、この場合、往路側と復路側の間に配置する駆動タイプの回転部材の長さ(歯付プーリ軸間の距離)は、従動タイプの回転部材の長さ(歯付プーリ軸間の距離)の略倍の長さとする。
そして、上記駆動タイプの回転部材と従動タイプの回転部材からなる一対(一組)の回転部材は、無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差させて配置するが、配置する列数は1列に限定されず、複数列としてもよい(請求項9)。又、複数列配置する場合、各列は隙間なく近接して配置しても、或いは列間に所定の隙間を開けて配置するなど何れでもよい。
【0011】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側と復路側の両方を、それぞれ上下一対の回転部材で挟持して駆動する場合、往路側と復路側との間に配置する回転部材を、往路側と復路側の回転部材の一方として共用することができる。
又、上下一対(一組)の回転部材の進行方向の長さは、無端状カーブベルトのベルト幅が大きく(広く)なればそれに伴い該ベルトを挟持搬送する駆動力も増大させる必要があり、その結果、往路側(上側)と復路側(下側)の間に配置する中段の回転部材は長くなる。しかしながら、その場合、単に長くするだけではなく、当然のことながら一対の回転部材の全長が、無端状カーブベルトを挟んでいることが必要で、それには回転部材を配置する位置を、無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線上において該カーブベルトの外周縁側から旋回中心方向へ移動させなければならない。しかし、長い1列の回転部材が生じる駆動力の略数等分(たとえば、1/2、1/3等)の駆動力を生じる短い回転部材(中段の回転部材)を等分数(例えば、2列、3列等)平行に配置すれば、それにより生じる駆動力は前記長い1列の回転部材と略同等となる。そして、回転部材は短いため、配置する位置は無端状カーブベルトの外周方向へ移動でき、その結果、無端状カーブベルトの搬送に供する有効幅を広く確保することが可能となる。
【0012】
更に、前記無端状カーブベルトの往路側又は復路側の外側に配置する回転部材は、対応するもう一方の回転部材とで挟持状態を維持できるようフレームに対して所定位置に固定してもよいが、対応するもう一方の回転部材に対して接離切り替え可能に構成してもよい(請求項6)。接離切り替えの方法としては、回転部材を取付けた部材を、一側部を中心として回動する方式、或いは鉛直方向に直線移動する方式等何れでもよい。
【0013】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側、或いは復路側を挟持する外側の回転部材が移動することで、挟持するもう一方の回転部材との間隔を広狭可変することができる。従って、該回転部材を移動して回転部材相互の間隔を開くことで挟持状態を解除でき、無端状カーブベルトの着脱交換を容易に行なうことが可能となる。
【0014】
又、無端状カーブベルトの往路側、復路側の外側に配置する従動タイプの回転部材は、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として回転部材全体を180度反転自在とし、駆動タイプの回転部材の回転方向も正・逆切り替え自在としてもよい(請求項7)。
【0015】
上記手段によれば、無端状カーブベルトの往路側の外側(上側)、復路側の外側(下側)に配置されている従動タイプの回転部材を、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として180度反転させ、且つ往路側と復路側の間に配置した駆動タイプの回転部材の回転方向を逆方向に切り替えることで、無端状カーブベルトの回転方向を逆方向に切り替えることができると共に、その逆方向の回転においても、無端状カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材の位置は、正回転時と同様、該無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に位置し、しかもベルトを挟持する上下一対の回転部材の位置関係も同じである為、無端状カーブベルトを径方向外側に付勢しながら回動することができる。
【0016】
又、前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面に所定間隔を置いて弾性体を固着して構成し、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の弾性体同士の圧着でカーブベルトを挟持し、移送するようにしてもよい(請求項8)。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカーブベルトコンベヤは、請求項1記載の構成により、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、あるいは往路側と復路側の両方の外周縁部を、無端回動する回転部材で挟持して移動させるため、従来のローラで挟持回動する構造に比べて挟持箇所(面積)が多く、線接触から面接触になるため、無端状カーブベルトの表面に油、水、粉等が付着した場合でも、該ベルトを安定して回転駆動することができる。
又、無端状カーブベルトを挟持する上下一対の回転部材の一方の始端側を、他方の回転部の中心線上若しくはその位置より下流側に位置させてある為、無端状カーブベルトを径方向外側に付勢して回動することができる。因って、回転部材による挟持構造及び回転部材の配置によって、無端状カーブベルトが旋回中心側に移動するのを抑止することができる。
【0018】
そして、無端状カーブベルトを挟持する回転部材を請求項2、3記載の構成とした場合は、カーブベルトを磁石の吸着力で挟持するため、無端状カーブベルトに特別な細工を施す必要が無く、桟などを具備しないベルトをそのまま使用することができる。しかも、磁石の吸着力で挟持するため、無端状カーブベルトに傷などが付きにくく、ベルトの寿命を永く保持することができる。更に、請求項4の構成とした場合は、汎用のタイミングベルトを使用して磁石を備えた回転部材を容易に構成できると共に、磁石が損傷した場合は損傷した樹脂製ブロック(磁石又は金属板)の交換で対応できる為、補修及び経済性に富んだ回転部材を提供できる。
【0019】
又、請求項5記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトを挟持する上下一対のうちカーブベルトの内側に配置する回転部材を、往路側と復路側に共用することができ、装置の簡素化及びコストダウンを計ることができる。
更に、請求項6記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトを挟持する回転部材の一方(外側)が接離する為、該回転部材を移動させることで挟持状態を開放でき、無端状カーブベルトの着脱を容易に行うことができる。よって、無端状カーブベルトの交換、洗浄等を簡便に行うことができる。
【0020】
また、請求項7記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトの往路側及び復路側の外側に配置した従動回転部材を、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として180度反転させ、且つ駆動回転部材の回転方向を逆方向に切り替えることで、正回転方向だけでなく、逆回転方向にも駆動回転させることができる。そして、その逆回転時においても正回転時と同様、ベルトを径方向外側へ付勢して回動することができる
更に、請求項8記載の構成とした場合は、無端状カーブベルトの外周縁を弾性体で機械的に圧着挟持して移送するため、安定したベルト回動を確保することができる。
また、請求項9記載の構成とすることで、無端状カーブベルトのベルト幅の拡張(開き角は同じ)に対し、ベルトを挟持搬送する一対の回転部材における駆動タイプの回転部材の長さ(往路側(上側)と復路側(下側)の間に配置する中段の回転部材)を長くすることなく、長さが短い回転部材を複数列平行に配置することで対応することが出来る。従って、カーブベルトコンベヤのベルト幅のサイズに応じて長さの異なる回転部材を用意する必要がなく、同じ回転部材をベルト幅サイズに応じて1列、或いは2列配置するなど、部品の共通化が可能となる。更に、短い回転部材を複数列配置する為、配置する位置も長い回転部材を1列配置する場合に比べて、無端状カーブベルトの外周方向に配置でき、それにより搬送有効幅を大きく確保することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るカーブベルトコンベヤの実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る回動機構を備えたカーブベルトコンベヤAを示し、該カーブベルトコンベヤAは、平面略扇形状をした平板状のフレーム1の周方向両側部に、折り返し部材のテールローラ2,2’が平面視90°の開き角度をおいて回転自在に架設され、その両テールローラ2,2’に亘って無端状カーブベルト3が巻装されて平面視略円弧形状の搬送路が構成されている。そして、前記フレーム1における周方向の中程位置には、該無端状カーブベルト3の旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lに対し直角に交差する線Y上に前記無端状カーブベルト3の往路側と復路側の外周縁部を上下より挟持する上下一対の回転部材4a,4b、及び4a,4cとからなる回動機構4,4’が配置され、その回動機構4,4’を構成する回転部材4aを駆動回転する駆動機構5が前記フレーム1の外周縁に沿って設置されている。
【0022】
フレーム1の周方向両側部に架設される折り返し部材のテールローラ2,2’は、短円筒状に形成した多数の小ローラ2aを、無端状カーブベルト3のベルト幅に対応してテールローラ軸2bの外側に回転自在に嵌装することにより、軸長に亘って同径の長軸状ローラとして構成されている。
そして、小ローラ2aを回転自在に支持したテールローラ軸2bは、それぞれフレーム1の両側部における内周部と外周部に設けた、フレーム1の軸受け部材6a,6b及び7a,7bの間に亘って水平に架設支持され、両テールローラ軸2bの軸芯相互は平面視90°の開き角で配置される。尚、上記両テールローラ軸2bの外径の延長線が交差する箇所に無端状カーブベルト3の旋回中心Oが位置するように設定してある。
【0023】
上記テールローラ軸2bに沿って並列嵌装される小ローラ2aは、個々の小ローラが独立して回転するように構成されている。即ち、カーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルト3の内周側と外周側とで周速度が異なるが、上記したように無端状カーブベルト3の両端部を支持するテールローラ2,2’を、テールローラ軸2b上に多数の小ローラ2aを並列して構成することにより、それぞれの小ローラ2aがそれぞれの位置の周速度で回転するように構成されている。叉、上記小ローラ2aは、外径が十分に小さいローラで構成しているので、該カーブベルトコンベヤAの搬送方向始端側及び搬送方向終端側に接続される他のコンベヤとの接続部に生じる段差(隙間)を小さく抑えることができる。
【0024】
上記テールローラ2,2’間に巻装される無端状カーブベルト3は、略切頭円錐形をなしたドーナツ状のシートとして構成され、これを扁平に折畳んで平面扇形状態として、前記フレーム1の中心側から、外周部となる大径側を嵌装する。それにより、平面視略扇状の円弧形となる搬送路が構成される。尚、この無端状カーブベルト3としては、その肉厚内に、ベルト幅方向に向かって強靭な線材(芯材)を放射状に内設し、ベルト幅方向と回転方向とを均等に圧縮強度を増大したものを使用するのが好ましい。
そして、テールローラ2,2’間に巻装された無端状カーブベルト3の往路側3aの略全面は、該テールローラ2,2’を支持する平板状のフレーム1で下側から支承されるように構成されている。尚、フレーム1の周方向の両端縁は、前記テールローラ2,2’の近傍まで延びている。
【0025】
上記無端状カーブベルト3を駆動回転する回動機構4,4’は、該無端状カーブベルト3の往路側3aと復路側3bの外周縁寄りの間に配置した無端回動する駆動回転部材4aと、前記駆動回転部材4aと対応させて往路側3aのベルト外側(上側)、及び復路側3bのベルト外側(下側)に配置した無端回動する従動回転部材4b、4cとで構成されている。そして、無端状カーブベルトの往路側ベルト3aを駆動する回動機構4は該往路側ベルト3aの上下に配置された駆動回転部材4aと従動回転部材4bとで構成され、無端状カーブベルトの復路側ベルト3bを駆動する回動機構4’は復路側ベルト3bの上下に配置された駆動回転部材4aと従動回転部材4cとで構成される。
前記駆動回転部材4aは、旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lの線上で無端状カーブベルト3の外周縁より内側の任意の点x1を通り前記中心線C.Lと直角に交差する線Y上で、且つ該駆動回転部材4aの機長の略中央部を前記点x1に位置させて配置されている。尚、中心線C.Lは図示する旋回中心Oから機体の中央部に向く放射線付近が合理的であるが、旋回中心Oから径方向に延びる放射線であれば、任意の位置でもよい。
前記従動回転部材4bは、無端状カーブベルト3の往路側3aのベルト外側(上側)に機長の中心線を前記線Y上に位置させ、ベルト進行方向の上流側の略中心(歯付プーリの中心)を前記点x1に合せ、回転方向の下流側をカーブベルトの進行方向下流側に向けて配置されている。
前記従動回転部材4cは、無端状カーブベルト3の復路側3bのベルト外側(下側)に機長の中心線を前記線Y上に位置させ、ベルト進行方向の上流側の略中心(歯付プーリの中心)を前記点x1に合せ、回転方向の下流側をカーブベルトの進行方向下流側に向けて配置されている。
即ち、従動回転部材4b,駆動回転部材4a,従動回転部材4cは、線Y上に重なって配置されている。
【0026】
以下、前記回動機構4,4’を構成する駆動回転部材4a、従動回転部材4b,4cについて説明する。尚、駆動回転部材4a、従動回転部材4b,4cは、何れも同じ構造であるため、以下、駆動回転部材4aについて説明する(図2、図3参照)。
駆動回転部材4aは、無端回動する歯付ベルト(回転帯)8と、その歯付ベルト8の外側面に磁石9を所定の間隔を置いて固着して構成されている。
歯付ベルト8に対する磁石9の固着は、歯付ベルト8の幅方向を跨いで被せる樹脂製のブロック10に磁石9を一体的に埋め込み、そのブロック10の前後端に一体的に突設され、前記歯付ベルト8の幅方向端縁より内側に突出する突縁10a,10bに亘って固定ピン11を打ち込むことで、磁石9を埋め込んだブロック10が歯付ベルト8の外側面に一体的に固定されている。尚、磁石9の着磁は、ブロック10に埋め込み成形後、電圧を加えて着磁する。
又、磁石を埋め込んだブロック10を歯付ベルト8に対して取り付ける位置は、該歯付ベルト8の内面に所定のピッチで突設された凸部8aの間とし、凸部8a相互の間の凹部8bに前記固定ピン11が架設されるようにする。この固定ピン11の架設は、該固定ピン11の外周面が凹部8bの底面と接触する位置とし、それによりブロック10は歯付ベルト8に対してガタツキ無く接合一体化されている。
又、無端状カーブベルトの挟持は磁石9のN極とS極の吸着作用で挟持するため、真中に配置する駆動回転部材4aに装備する磁石9の磁極をN極とした場合、上下に配置する従動回転部材4b,4cに装備する磁石9の磁極はS極とする。
【0027】
上記駆動回転部材4aは、フレーム1の周方向中程位置の外周縁に沿って鉛直に固着した取付板12に、所定の間隔を置いて回転自在に軸支した歯付プーリ13a,13bに亘って巻装されている。そして、一方の歯付プーリ13aを固着した軸14aは前記取付板12に取付けた軸受15を介して取付板12外方に突出され、その突出部分に駆動機構5が接続されている。又、他方の歯付プーリ13bを取付けた軸14bは軸14aとの軸間距離を調整し得るように取付板12に開設した長孔16に位置調整可能に嵌合されている。これにより、軸14bを前記長孔16に沿って移動調整することで歯付ベルト8の張り具合を調整できるように構成されている。
【0028】
従動回転部材4bは、前記取付板12の内側に取付けた補助取付板17に、所定の間隔を置いて回転自在に軸支した歯付プーリ18a,18bに亘って巻装されている。そして、無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ18bを固着した軸19bは、進行方向上流側に位置する他方の歯付プーリ18aを取付けた軸19aとの軸間距離を調整し得るように補助取付板17に開設した長孔20に嵌合されている。これにより、軸19bを前記長孔20に沿って移動調整することで歯付ベルト8の張り具合を調整できるように構成されている。尚、歯付ベルト8の張り具合のみの調整であれば、移動調整する軸は軸19a,19bの何れでもよいが、後述する無端状カーブベルト3の外周縁を径方向外側へ付勢する作用をより確保するためには前記した無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ18bを移動調整可能とする。
【0029】
従動回転部材4cは、前記取付板12の内側に取付けた補助取付板17’に、周方向に所定の間隔を置いて回転自在に軸支した歯付プーリ21a,21bに亘って巻装されている。そして、無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ21bを固着した軸22bは、進行方向上流側に位置する他方の歯付プーリ21aを取付けた軸22aとの軸間距離を調整し得るように補助取付板17’に開設した長孔23に嵌合されている。これにより、歯付プーリ21bの軸22bを前記長孔23に沿って移動調整することで歯付ベルト8の張り具合を調整できるように構成されている。尚、復路側の回動機構4’における従動回転部材4cの歯付ベルト8の張り具合調整は、上記した往路側の回動機構4における従動回転部材4bの歯付ベルト8の張り具合調整と同様、無端状カーブベルト3の外周縁を径方向外側へ付勢する作用をより確保するためには、進行方向下流側に位置する歯付プーリ21bを移動調整可能とする。
【0030】
そして、上記回転部材4bを取付けた補助取付板17と、回転部材4cを取付けた補助取付板17’は、回転部材4aを備えた前記取付板12に対して上下揺動自在に支持されている。
具体的には、図2に示すように、回転部材4bを取付けた補助取付板17と、回転部材4cを取付けた補助取付板17’は、無端状カーブベルト3の進行方向下流側に位置する歯付プーリ18b、21b側の軸支部P、P’を中心として上下揺動自在に支持され、軸支部P、P’の反対側には、取付板12に開設した上下揺動の範囲を規制する円弧溝24,24’に嵌合するストッパピン25,25’が設けられている。
上記構成により、補助取付板17,17’を水平状態に支持した状態では図2に示すように回転部材4a、4b、4cが平行状態を維持し、回転部材4bと回転部材4aで無端状カーブベルト3の往路側3aを挟持し、回転部材4aと回転部材4cで無端状カーブベルト3の復路側3bを挟持して、無端状カーブベルト3を周方向に回動する。そして、補助取付板17を軸支部Pを中心として上方へ、補助取付板17’を軸支部P’を中心として下方へそれぞれ揺動すると、図2の仮想線で示すように回転部材4bと回転部材4cは真中に位置する回転部材4aに対して離間方向に移動し、それまでの挟持状態が開放される。それにより、無端状カーブベルト3の着脱を容易に行うことが可能となる。
【0031】
上記駆動機構5は、前記した回転部材4aを駆動回転するもので、図2に示すように、上下方向の真中に配置した回転部材4aを支持する歯付プーリ13aを固着した軸14aに駆動スプロケット5aを固着し、その駆動スプロケット5aとフレーム1に垂下固着したモータ5bの出力軸に固着したスプロケット5cに亘ってチェーン5dを巻回し、モータ5bの回転力で回転部材4aが駆動回転されるように構成されている。尚、この駆動機構5は、図示の形態に限定されず、ギヤとタイミングベルト、或いは中空軸形ギヤードモータを取り付けてスプロケットを省いた駆動方式とするなど、今日採用されている駆動方法を適宜選択し得るものである。
【0032】
そして、駆動回転する回転部材4aと対向して無端状カーブベルト3の往路側3aを挟持する従動回転部材4b、及び無端状カーブベルト3の復路側3bを挟持する従動回転部材4cは、それぞれ回転部材4a,4b,4cに装備された磁石9がベルトを挟んで吸着しあい、それにより回転部材4b,4cは前記回転部材4aの回転によって従動回転される。
【0033】
上記回転部材4a,4b,4cの歯付ベルト(回転帯)8に樹脂製ブロック10を介して取り付ける磁石9としては、ネオジウム、或いはフェライト等を使用する。尚、カーブベルトコンベヤの使用状況においては、使用後の水洗いが必要となる場合もあるが、該磁石9は前記したように樹脂製ブロック10に埋設されるため、水洗いした場合でも磁石に直接水がかかることはなく、磁石が錆びるのを防止することができる。
【0034】
図7は前示実施の形態で示したカーブベルトコンベヤにおける回動機構4,4’の配置関係を示す説明図で、無端状カーブベルト3の旋回中心Oから機体の略中央部(周方向の略中央部)に延びる中心線C.Lと直角に交差する線上に、駆動回転部材4a、従動回転部材4b,4cが図7(b)に示すように配置されている。
【0035】
次に、上記した回動機構4、4’を回動した場合の力学的作用を、復路側の従動回転部材4cを基に図8〜図9に基づいて説明する。
図8は無端状カーブベルト3における復路側のベルトを挟持する従動回転部材4cの配置を示す説明図で、無端状カーブベルト3の旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lに対して、従動回転部材4cの機長の中心線Y(図1参照)が直角に交差させて配置してあり、その中心線と前記中心線C.Lとの交点をx1とする。この交点x1上に該従動回転部材4cの歯付プーリ21aの軸芯を配置し、この線上で歯付ベルト8の磁石9が対応する駆動回転部材4aの歯付ベルト8の磁石9と吸着し、駆動回転部材4aの駆動回転によって回転する。それにより、前記交点x1は駆動回転部材4aの回転に従って回転すると共に、中心線Y上をカーブベルトの進行方向に向かって移動する。中心線Y上を任意の距離移動した点をx2とする。その移動後の点x2での力の関係をベクトル図(図9参照)で示す。
【0036】
旋回中心Oから点x2に延びる中心線をY’とする。そして、その点x2から中心線Y’に対し直角方向に働く力をF1とする。
力F1は、無端状カーブベルト3が旋回中心Oを中心として回動する時に、接線方向、即ち、中心線Y’に直角に働く。又、従動回転部材4cの回転により力は、中心線上に作用する。即ち、任意の点x2に働く力は前記中心線Zの延長線上に作用する力F2となる。従って、無端状カーブベルト3の復路側のベルト3bに働くそれぞれの力F1、F2の合力方向にF3の合力が働く。これにより、無端状カーブベルト3をF3方向、即ち、外側に付勢する力F4(F2sinα°)が発生する(図9参照)。
そして、上記の外側へ付勢する力F4は、復路側のベルトを挟持する回動機構4’を構成する駆動回転部材4aと従動回転部材4cの吸着範囲(吸着開始位置から吸着解除位置までの範囲)分だけ連続して作用する。従って、この連続した外側への付勢力は、回動機構を構成する上下一対の回転部材の重合長さ分だけ発揮される。しかも、無端状カーブベルトを挟持して移動するため、無端状カーブベルトに油や粉が付着しても摩擦駆動に比べてその影響は軽微であり、無端状カーブベルトの安定した走行を確保することができる。
ここでは復路側について説明したが、往路側についても同様なことが言える。
【0037】
図10は本発明に係るカーブベルトコンベヤの他の実施例を示し、前示の実施例における駆動回転部材4aの上下に配置した従動回転部材4b,4cを、ベルト進行方向に対し上流側に位置する歯付プーリ18a,21aの軸19a,22aを中心として該従動回転部材4b,4c全体を180°反転自在に構成する。即ち、図10(b)に示すように、前示実施例の位置(仮想線で示す位置)から180°反転することで、従動回転部材4b,4cの歯付プーリ18a,21aの位置は変わらずに、もう一方の歯付プーリ18b,21bがそれぞれ前示実施例の場合と対称の位置(実線で示す位置)に移動する。
従って、駆動回転部材4aの回転方向を前示実施例の場合と反対の方向に切り替えれば、図10(a)に示すように無端状カーブベルト3の回転方向は矢印方向となり、前示実施例の回転方向とは逆の方向に回転する。そして、従動回転部材4b,4cを180°反転させた状態においても、駆動回転部材4aに対する従動回転部材4b,4cの配置関係は変わらないため、逆回転においても無端状カーブベルトを径方向外側に付勢する力は同様に発生し、安定した走行を確保することができる。
【0038】
従動回転部材4b,4cを180度反転自在とする場合、該回転部材4b,4cを取付けた補助取付板17,17’もそれぞれ軸19a,22aを中心として180度反転するように構成し、適宜の止め手段でその反転状態に定着固定する。又、補助取付板に対する歯付プーリ軸の支持は、一般的な丸孔と軸の嵌め合いでもよいが、軸を支持する孔を上下方向に長い長孔とし、歯付プーリ軸が上下摺動し得るようにしてもよい。又、前記歯付プーリ軸を補助取付板17,17’に取付けた弾性体で付勢して、常にベルトに押し付けるようにしてもよい。
【0039】
上記した実施の形態における無端状カーブベルトの挟持構造は、ベルトの上下に配置した回転帯に磁石9を取り付け、その磁石の吸着作用で挟持するようにしたものであるが、弾性体で挟持する構成としてもよい。
例えば、図2の形態において、樹脂製ブロック10の無端状カーブベルトと対向する面に、スプリングで外側に付勢された圧着板を設け、そうした圧着板同士でベルトを挟持するようにする。
【0040】
図11は本発明に係るカーブベルトコンベヤにおける回転部材の配置の他の例を示す図である。尚、回転部材の構成は図2に示したものとカーブベルトの回転方向(往路の回転方向)が逆方向に配置されている以外は同じであるため、詳細な説明は省略する。又、以下に説明する「長さL1」、「長さL2」は、往路側(上側)と復路側(下側)の間に配置する中段の回転部材(図2の駆動回転部材4aに相当する)の回転方向の長さを表す。
本発明における無端状カーブベルトの回動は、上下一対の回転部材による挟持搬送で行われるが、無端状カーブベルトのベルト幅(旋回中心寄りの内側縁から径方向外側縁までの寸法)のサイズの大小に応じて、前記無端状カーブベルトを挟持搬送する上下一対の回転部材の能力(進行方向の長さ、回転部材の横幅等)も変わる。
例えば、図11に示すベルト幅S1の無端状カーブベルトに対して長さL1の回転部材Z1が1列配置されている。そして、前記ベルト幅S1よりも幅広のベルト幅S2(S2>S1)の無端状カーブベルトを構成しようとした場合、前記の長さL1の回転部材Z1では能力不足となり、図示のように長さL2(L2>L1)の回転部材(横幅は同一)Z2を配置する必要がある。長さL2の回転部材はその全長に亘って無端状カーブベルトを挟持する必要があるため、該回転部材Z2の配置位置は、旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線の両端と無端状カーブベルトの外周縁とが交差する二点間の寸法(弦)の長さが回転部材Z2の長さL2と略同じとなる位置である。
【0041】
長さL2の回転部材Z2が生じる能力が、前記した長さL1の回転部材Z1が生じる能力の略2倍に相当する場合、長さL1の回転部材Z1を2組配置することで同様の挟持搬送が可能となる。即ち、図11に実線で示したように、長さL1の回転部材Z1を2列平行に配置する。その場合、回転部材Z1を配置する位置は、前記したように旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線の両端と無端状カーブベルトの外周縁とが交差する二点間の寸法(弦)の長さが回転部材の長さL1と略同じとなる位置である。従って、長さL1の回転部材を2列配置する位置は、図示するように長さL2の回転部材を配置する位置より径方向外側に移動した位置となる。
【0042】
よって、ベルト幅が大きくなった場合、それに合わせて回転部材の長さを長くすることで挟持搬送に必要な駆動力を確保できるが、回転部材の長さを長くすることなく、ある一定長さの回転部材を複数組、並列に配置することで同様の駆動力を確保することが出来る。そして、複数列配置するようにした場合は、長尺一列の回転部材を配置した構成に比べて下記のような利点が得られる。
(1)無端状カーブベルトの搬送有効幅を広く確保することが出来る。
(2)ベルト幅のサイズに応じて長さの異なる回転部材を用意する必要がない。
(3)並列配置した各列の回転部材は、1個の駆動源で駆動することも出来るが、それぞれ独立した駆動源で駆動するようにした場合は、各列の周速度に合わせて駆動できる。
【0043】
本発明のカーブベルトコンベヤは、無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、或いは両方の外周縁を、該ベルトを挟んで上下に配置した無端回動する回転部材で挟持し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動で無端状カーブベルトを周方向に回動するため、無端状カーブベルトを安定して確実に回動することが出来る。そして、無端状カーブベルトは該ベルトの上下に配置し、挟持部分がベルト内に装着された回転部材で挟持するため、挟持部材がベルトより径方向外側に大きく突出せず、従ってコンベヤ全体をコンパクトに構成することができるという利点を有する。
【0044】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において適宜変更は可能である。
(1)往路側の回動機構と復路側の回動機構を、駆動回転部材を共用して同一箇所に配置したが、往路側と復路側の回動機構をそれぞれ切離して別々に配置してもよい。
(2)回転部材における回転帯に対する磁石の取り付け形態は、図示の埋設形態に限定されず、回転帯の外側に押え金具等を介して磁石を露出状態で固定する形態等、何れでもよい。又、磁石の形状は、図示する矩形平板状に限らず、円板状等何れでもよい。
(3)ベルトを挟持する上下一対の回転部材は、一方だけでなく両方とも同期駆動タイプとしてもよい。
(4)回転部材の表面(無端状カーブベルトと当接する面)は、平坦面に限らず、凹凸面としてもよい。
(5)カーブベルトの旋回中心Oから径方向に延びる中心線C.Lは、実施の形態で示す機体の中央部に限定されるものではなく、旋回中心Oから径方向に延びる放射線であればよい。
(6)本発明のカーブベルトコンベヤは、実施の形態で示す平面視略90°の開き角のものに限定されず、90°以下(例えば、45°、60°)、或いは90°以上(例えば、180°)でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るカーブベルトコンベヤの実施の一例を示す一部切欠平面図。
【図2】図1の(2)−(2)線に沿える拡大断面図。
【図3】要部の拡大断面図。
【図4】図3の(4)−(4)線に沿える拡大断面図。
【図5】回転部材の構成を示す一部切欠斜視図。
【図6】歯付ベルト(回転帯)に対する磁石の取付構造を示す一部切欠分解斜視図。
【図7】図1の実施例における回転部材の配置関係を示し、(a)は平面図、(b)は要部拡大断面図。
【図8】復路側の回転部材の配置を示す説明図。
【図9】図8に示す回転部材の回転で発生する力の関係を示す説明図。
【図10】他の実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は要部拡大断面図。
【図11】他の実施の形態を示す説明図。
【符号の説明】
【0046】
A…カーブベルトコンベヤ 1…フレーム
2,2’…折り返し部材(テールローラ) 3…無端状カーブベルト
4,4’…回動機構 4a〜4c…回転部材
5…駆動機構 8…歯付ベルト(回転帯)
9…磁石 10…樹脂製ブロック
11…固定ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面円弧形状をなした無端状カーブベルトを、平面円弧形状をしたフレームの周方向両側に配置した折り返し部材に亘って巻装し、その折り返し部材間に位置する無端状カーブベルトの外周縁部寄りで、且つ該カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に、該無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方に、ベルトを上下より挟んで無端回動する回転部材を配置し、更に、その上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点に合わせて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置させて配置し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動することを特徴とするカーブベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外周面に所定間隔を置いて磁石又は磁石に対して吸着する金属板を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の磁石同士の吸着、又は磁石と金属板の吸着でカーブベルトを挟持し、移送することを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記回転部材の回転帯が歯付ベルトで、これに取付部材を介して磁石又は金属板が取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記取付部材が、磁石又は金属板を埋設する樹脂製ブロックと、その樹脂製ブロックの前後の突縁に亘って架設する固定ピンで構成され、磁石又は金属板を埋設した樹脂製ブロックを歯付ベルトの外周面上に被せ、更に歯付ベルトの幅方向両側より内面側に突出する樹脂製ブロックの前後突縁に亘って固定ピンを打ち込んで、歯付ベルトにブロックを一体的に装着したことを特徴とする請求項3記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記一対の回転部材は、無端状カーブベルトの往路側と復路側の間に配置した1個の駆動回転部材と、前記1個の駆動回転部材と対応して往路側及び復路側の両方の外側に配置した従動回転部材とで構成され、往路側及び復路側の各従動回転部材は、駆動回転部材の機長の中央部からベルト進行方向の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記無端状カーブベルトの往路側又は復路側の外側に配置される回転部材は、対応するもう一方の回転部材に対して接離切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記従動回転部材は、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として従動回転部材全体を180度反転自在としたことを特徴とする請求項5記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項8】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面に所定間隔を置いて弾性体を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の弾性体同士の圧着でカーブベルトを挟持し、移送することを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項9】
前記一対の回転部材が、無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対し直角に交差させて複数列配置されていることを特徴とする請求項5記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項1】
平面円弧形状をなした無端状カーブベルトを、平面円弧形状をしたフレームの周方向両側に配置した折り返し部材に亘って巻装し、その折り返し部材間に位置する無端状カーブベルトの外周縁部寄りで、且つ該カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対して直角に交差する線上に、該無端状カーブベルトの往路側又は復路側の何れか一方、又は両方に、ベルトを上下より挟んで無端回動する回転部材を配置し、更に、その上下一対の回転部材のうち一方の回転部材は、その回転部材の機長の中央部を前記中心線と直角に交差する線の交点に合わせて配置し、他方の回転部材はベルト進行方向の上流側を、前記一方の回転部材の機長の中央部上又はその位置よりベルト進行方向の下流側に位置させて配置し、その回転部材の無端回動による挟持箇所の移動により前記無端状カーブベルトを周方向に回動することを特徴とするカーブベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外周面に所定間隔を置いて磁石又は磁石に対して吸着する金属板を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の磁石同士の吸着、又は磁石と金属板の吸着でカーブベルトを挟持し、移送することを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項3】
前記回転部材の回転帯が歯付ベルトで、これに取付部材を介して磁石又は金属板が取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記取付部材が、磁石又は金属板を埋設する樹脂製ブロックと、その樹脂製ブロックの前後の突縁に亘って架設する固定ピンで構成され、磁石又は金属板を埋設した樹脂製ブロックを歯付ベルトの外周面上に被せ、更に歯付ベルトの幅方向両側より内面側に突出する樹脂製ブロックの前後突縁に亘って固定ピンを打ち込んで、歯付ベルトにブロックを一体的に装着したことを特徴とする請求項3記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項5】
前記一対の回転部材は、無端状カーブベルトの往路側と復路側の間に配置した1個の駆動回転部材と、前記1個の駆動回転部材と対応して往路側及び復路側の両方の外側に配置した従動回転部材とで構成され、往路側及び復路側の各従動回転部材は、駆動回転部材の機長の中央部からベルト進行方向の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項6】
前記無端状カーブベルトの往路側又は復路側の外側に配置される回転部材は、対応するもう一方の回転部材に対して接離切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項7】
前記従動回転部材は、ベルト進行方向の上流側の歯付プーリ軸を中心として従動回転部材全体を180度反転自在としたことを特徴とする請求項5記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項8】
前記回転部材は、無端状カーブベルトの外周縁より径方向内側位置に配置した無端回動する回転帯と、該回転帯の外側面に所定間隔を置いて弾性体を固着して構成され、カーブベルトを挟んで対応する回転部材の弾性体同士の圧着でカーブベルトを挟持し、移送することを特徴とする請求項1記載のカーブベルトコンベヤ。
【請求項9】
前記一対の回転部材が、無端状カーブベルトの旋回中心から径方向に延びる中心線に対し直角に交差させて複数列配置されていることを特徴とする請求項5記載のカーブベルトコンベヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−106595(P2007−106595A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151432(P2006−151432)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(391019289)マルヤス機械株式会社 (32)
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