説明

カーペット

【課題】大きな緩衝効果が得られ、断熱性と遮音性も優れたカーペットを提供することである。
【解決手段】基布1に貫通させてタフティングしたパイル糸2を、基布1の表面側に沿わせて、基布1の裏面側に多数のループ3を形成し、各ループ3の頂部をラテックス4で、敷設面に敷かれる二次基布5に接着して一体化することにより、各ループ3の頂部を二次基布5で連結して変形剛性を高め、かつ、押さえ付けられる部位の周囲のループも変形させるようにして、大きな緩衝効果が得られるようにするとともに、上下の基布1と二次基布5の間に閉鎖空間6を形成して、優れた断熱性と遮音性も得られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基布にパイル糸をタフティングしたカーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
床等に敷かれるカーペットには、基布にパイル糸をタフティングし、上面となる基布の表面側にパイル糸で多数のループを形成したタフテッドカーペット(タフトカーペットとも言う)が多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。ループをカットしたカットループを形成したものもある。また、基布の裏面側に不織布等で形成された二次基布を接着等によって一体化し、この二次基布を床面等の敷設面に敷くようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−41260号公報
【特許文献2】特開平7−310275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載されたタフテッドカーペットは、基布の表面側に形成されたパイル糸の多数のループやカットループの緩衝効果によって、クッション性や防音性を有するが、ループやカットループが独立に形成されているので、これらの変形剛性が小さく、かつ、足等で押さえ付けられる部位のものしか変形しないので、大きな緩衝効果は得られない問題がある。また、基布の表面側のループやカットループの間に形成される空気層が上方に解放されているので、断熱性や遮音性もあまり得られない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、大きな緩衝効果が得られ、断熱性と遮音性も優れたカーペットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るカーペットは、パイル糸を基布に貫通させてタフティングし、貫通させたパイル糸を前記基布の表面側で基布に沿わせて、基布の裏面側に多数のループを形成し、この基布の裏面側に形成した各ループの頂部に二次基布を接着で一体化して、この二次基布を敷設面に敷く下面側とし、前記パイル糸を沿わせた基布の表面側を上面側とした構成を採用した。
【0007】
すなわち、基布に貫通させてタフティングしたパイル糸を、基布の表面側で基布に沿わせて、基布の裏面側に多数のループを形成し、基布の裏面側に形成した各ループの頂部に、敷設面に敷く二次基布を接着で一体化することにより、各ループの頂部を二次基布で連結して変形剛性を高め、かつ、押さえ付けられる部位の周囲のループも変形させるようにして、大きな緩衝効果が得られるようにするとともに、上下の基布と二次基布の間に閉鎖空間を形成して、優れた断熱性と遮音性も得られるようにした。
【0008】
前記パイル糸を前記基布の一部または全部の領域でジグザグ状にタフティングし、前記パイル糸を前記基布の表面側にジグザグ状に沿わせることにより、カーペットの上面にジグザグ模様を形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るカーペットは、基布に貫通させてタフティングしたパイル糸を、基布の表面側で基布に沿わせて、基布の裏面側に多数のループを形成し、基布の裏面側に形成した各ループの頂部に、敷設面に敷く二次基布を接着で一体化したので、大きな緩衝効果が得られるとともに、優れた断熱性と遮音性も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】カーペットの実施形態を示す断面図
【図2】図1のカーペットの上面を撮影した写真
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を説明する。このカーペットは、図1に示すように、ポリプロピレン繊維で形成された基布1に、パイル糸2を貫通させてタフティングし、貫通させたパイル糸2を基布1の表面側に沿わせて、基布1の裏面側に多数のループ3を形成し、基布1の裏面側に形成した各ループ3の頂部を、SBR(スチレンブタジエンゴム)のラテックス4によって、不織布で形成された二次基布5に接着して一体化したものであり、二次基布5が床面等の敷設面に敷かれる下面側とされ、パイル糸2を沿わせた基布1の表面側が上面側とされる。二次基布5の下面側には、滑り止め用等のバッキング剤を塗工してもよい。
【0012】
したがって、各ループ3の頂部が二次基布5で連結されて変形剛性を高められ、かつ、押さえ付けられる部位の周囲のループ3も変形するので、大きな緩衝効果が得られるとともに、上下の基布1と二次基布5の間に閉鎖空間6が形成されるので、優れた断熱性と遮音性も得られる。
【0013】
図2の写真に示すように、前記パイル糸2は、複数本のものがタフティング方向に対して、基布1の全域でジグザグ状にタフティングされ、基布1の表面側に沿う各パイル糸2によって、カーペットの上面にジグザグ模様が形成されている。また、一部のパイル糸2aは色の異なるものとされ、色違いのジグザグ模様も形成されている。
【0014】
上述した実施形態では、パイル糸を基布の全域でジグザグ状にタフティングしたが、基布の一部の領域のみでジグザグ状にタフティングすることもできる。この場合は、カーペットの上面にジグザグ模様と直線模様を組み合わせた模様を形成することができる。
【0015】
また、上述した実施形態では、基布をポリプロピレン繊維で形成されたものとしたが、基布は他の合成繊維や絹等の天然繊維で形成されたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 基布
2、2a パイル糸
3 ループ
4 ラテックス
5 二次基布
6 閉鎖空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイル糸を基布に貫通させてタフティングし、貫通させたパイル糸を前記基布の表面側で基布に沿わせて、基布の裏面側に多数のループを形成し、この基布の裏面側に形成した各ループの頂部に二次基布を接着で一体化して、この二次基布を敷設面に敷く下面側とし、前記パイル糸を沿わせた基布の表面側を上面側としたカーペット。
【請求項2】
前記パイル糸を前記基布の一部または全部の領域でジグザグ状にタフティングし、前記パイル糸を前記基布の表面側にジグザグ状に沿わせた請求項1に記載のカーペット。

【図1】
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【図2】
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