説明

ガススプリング式バランサ装置

【課題】大重量の長尺物体の高さ位置を1人で簡単に調節可能な高さ位置調節手段を備えたガススプリング式バランサ装置を提供すること。
【解決手段】吊持手段の吊持部で吊持される上側支持体12と上側支持体12の下方に所定間隔あけて平行に対置された下側支持体16であって、吊持対象の物体9が吊持される下側支持体16と、上側支持体12と下側支持体16の相互に離隔した複数部位に上端部と下端部が夫々連結された複数のバランサ20であって、上端部と下端部を接近させる方向へ付勢するガススプリング21を夫々有する複数のバランサ20と複数のバランサ20の中間の位置において上側支持体12と下側支持体16に連結されて、バランサ20の付勢力で物体9を吊持した状態で下側支持体16に少なくとも上方向きの力を作用させることで下側支持体16と物体9の高さ位置を少なくとも上方へ調節可能な高さ位置調節手段60とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガススプリングを有するバランサを備えたガススプリング式バランサ装置に関し、特に大重量の長尺物体を吊持した状態でも簡単に物体の高さ位置を調節可能にしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や倉庫において大重量の物体を、天井クレーン等で移動させたり、搬送用車両に積み込んだり、機械加工に供したりする際に、物体を所定の位置に配置するために、手動或いは電動工具により容易に調節でき、物体を吊持する吊持手段の吊持部に連結されて物体を吊持する種々のバランサ装置が提案され、実用化されている。
【0003】
一般に、上記のバランサは流体圧により物体の重量を支持する付勢力を発生させるバランサ本体部と、上下1対の吊りピース等を備えている。この種のバランサ装置としては、圧縮ガス、加圧エアや油圧により付勢力を発生させるように構成されている。
【0004】
例えば、特許文献1のバランサ装置においては、外部の装置から供給される流体圧(加圧エア又は油圧)が導入される伸縮シリンダによりバランス用の付勢力を発生させ、伸縮シリンダの外筒に対するピストンロッドの伸長動作を禁止するロック手段を、伸縮シリンダを覆うテレスコピック形のケース部材を設け、伸長動作を禁止した状態で重量物を安全に搬送移動させ、その搬送移動後にロック手段によるロックを解除し、バランサ装置を機能させるように構成してある。
【0005】
しかし、上記のバランサ装置は、外部のエア供給源や油圧供給源から伸縮シリンダに加圧エアや油圧を供給するホース等を接続した状態でバランサ装置を使用することになるので、エアや油圧供給用のホースを処理するホースハンドリングが面倒になること、油圧式伸縮シリンダを用いる場合には複雑なバランス制御バルブが必要となり、物体の重量に等しい付勢力を発生させる為のバランス制御バルブの制御が複雑になること、伸縮シリンダに供給する油圧の応答性が鈍くなる等実用性に欠けること等の問題がある。
【0006】
そこで、上記問題を解決するため、本願出願人は、特許文献2に記載のガススプリング式バランサを既に実用化している。このガススプリング式バランサは、プル型及びプッシュ型ガススプリングが組み込まれたバランサ本体部と、上下1対の吊りピースとで構成された小型なバランサであり、ガススプリングに封入された窒素ガス等の圧縮ガス圧により物体の重量にバランスする付勢力を発生させ、小型で応答性に優れるバランサである。
【特許文献1】特開平8−165100号公報
【特許文献2】実用新案登録第3133267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記ガススプリング式バランサでは、吊持対象の物体の重量に応じた圧力の圧縮ガスを充填したガススプリングを組み込んだバランサを使用することにより、物体の重量にバランスする付勢力を発生させ、見掛け上、無重力状態にして物体を吊持することができる。
物体の重量があまり大きくなく小型なものの場合には、1本のバランサで物体を吊持し、しかもガススプリング内の圧縮ガスのガス圧も高くないので、物体の上下方向位置を1人で簡単に調節することができる。
【0008】
しかし、数トンもの大重量の長尺物体を吊持する場合では、1本のバランサのみで長尺物体を吊持するには安定性に欠けること、大重量の物体の吊持に対応するため圧縮ガスを高圧に設定するが、それにより調節時の力が過大となり高さ位置の調節が困難になること、吊持した長尺物体の高さ位置の変更を1人で行うには安定性に欠けるので作業には数人の作業者を要するが、それにより経済性が悪化すること、などの問題がある。
【0009】
本発明の目的は、大重量の長尺物体の高さ位置を1人で簡単に調節可能な高さ位置調節手段を備えたガススプリング式バランサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のガススプリング式バランサ装置は、物体を吊持する吊持手段の吊持部に連結されて物体を吊持するのに使用されるガススプリング式バランサ装置において、前記吊持手段の吊持部で吊持される上側支持体と、前記上側支持体の下方に所定間隔あけて平行に対置された下側支持体であって、吊持対象の物体が吊持される下側支持体と、前記上側支持体と下側支持体の相互に離隔した複数部位に上端部と下端部が夫々連結された複数のバランサであって、前記上端部と下端部を接近させる方向へ付勢するガススプリングを夫々有する複数のバランサと、前記複数のバランサの中間の位置において上側支持体と下側支持体に連結されて、複数のバランサの付勢力で物体を吊持した状態で、下側支持体に少なくとも上方向きの力を作用させることで、下側支持体と物体の高さ位置を少なくとも上方へ調節可能で且つ増力機能を有する高さ位置調節手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
このガススプリング式バランサ装置においては、上側支持体に吊持手段の吊持部を連結し、下側支持体に吊持対象の物体を連結し、クレーン等の吊持手段によりこのバランサ装置を介して物体を吊持すると、バランサ装置のガススプリングのガス作動室に充填された圧縮ガスによる付勢力が物体の重量とバランスする位置まで、ガススプリングのロッド部材が移動してバランス状態になる。このバランス状態になると物体の重量が見かけ上は零になる。物体を吊持後に物体の高さ位置を少なくとも上方へ調節する際には、高さ位置調節手段で調節することで、物体の高さ位置を簡単に調節することができる。
【0012】
請求項2のガススプリング式バランサ装置は、請求項1の発明において、前記高さ位置調節手段は、下側支持体に固定された縦長のケース部材と、このケース部材に滑りクラッチ機構を介して装着された第1ラック部材と、この第1ラック部材に噛み合った鉛直方向へ延びる第2ラック部材と、前記上側支持体に固定され且つ第2ラック部材を介して第1ラック部材とケース部材と下側支持体と吊持された物体とを上下方向へ駆動可能なラック式リニアアクチュエータとを有し、この高さ位置調節手段により、下側支持体と物体の高さ位置を少なくとも上下両方へ調節可能に構成したことを特徴としている。
【0013】
請求項3のガススプリング式バランサ装置は、請求項1の発明において、前記高さ位置調節手段は電動ホイストからなり、前記高さ位置調節手段により、下側支持体と物体の高さ位置を上方へのみ調節可能に構成したことを特徴としている。
【0014】
請求項4のガススプリング式バランサ装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ガススプリングは、本体ケースと、この本体ケースのシリンダ孔に摺動自在のピストン部とこのピストン部から延び本体ケースのロッド側端壁部を挿通して外部へ延びるロッド部とを有するロッド部材と、前記シリンダ孔内に区画されたガス作動室とを有し、圧縮ガスによりロッド部材を本体ケース内へ退入させる方向へ付勢するプル型ガススプリングであることを特徴としている。
【0015】
請求項5のガススプリング式バランサ装置は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記ガススプリングは、本体ケースと、この本体ケースに装着され本体ケースのロッド側端壁部を挿通して外部へ延びるロッド部と、前記本体ケース内に区画されたガス作動室とを有し、圧縮ガスによりロッド部材を本体ケースから進出させる方向へ付勢するプッシュ型ガススプリングであることを特徴としている。
【0016】
請求項6のガススプリング式バランサ装置は、請求項5の発明において、前記バランサの外面側を覆うテレスコピック形のケーシングを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、吊持手段の吊持部で吊持される上側支持体と、前記上側支持体の下方に所定間隔あけて平行に対置された下側支持体であって、吊持対象の物体が吊持される下側支持体と、前記上側支持体と下側支持体の相互に離隔した複数部位に上端部と下端部が夫々連結された複数のバランサであって、前記上端部と下端部を接近させる方向へ付勢するガススプリングを夫々有する複数のバランサと、前記複数のバランサの中間の位置において上側支持体と下側支持体に連結されて、複数のバランサの付勢力で物体を吊持した状態で、下側支持体に少なくとも上方向きの力を作用させることで、下側支持体と物体の高さ位置を少なくとも上方へ調節可能で且つ増力機能を有する高さ位置調節手段を備えたので、次の効果を奏する。
【0018】
前記複数のバランサにより下側支持体を介して大重量の長尺物体を吊持するので、吊持対象の物体の安定性が向上する。複数のバランサの中間の位置に高さ位置調節手段を設けるので、安定性を維持したまま1人で高さ位置を調節でき物体を搬送することができる。高さ位置調節手段により、上側支持体と下側支持体との間の長さを調節することで、長尺物体であっても、少なくとも上方へ簡単に調節することができる。高さ位置調整手段が増力機能を有するので、圧縮ガスが高圧に設定されていても容易に大重量の物体の高さ位置を調節できる。高さ位置調節手段は手動で駆動してもよく、電動工具で駆動してもよいが、1人で簡単に大重量の長尺物体の高さ位置を調節することができ、作業能率を高めることができるので経済性が改善される。
【0019】
請求項2の発明によれば、この高さ位置調節手段は、下側支持体に固定された縦長のケース部材と、このケース部材に滑りクラッチ機構を介して装着された第1ラック部材と、この第1ラック部材に噛み合った鉛直方向へ延びる第2ラック部材と、前記上側支持体に固定され且つ第2ラック部材を介して第1ラック部材とケース部材と下側支持体と吊持された物体とを上下方向へ駆動可能なラック式リニアアクチュエータとを有するので、下側支持体と大重量の長尺物体の高さ位置を少なくとも上下両方へ調節可能であり、既存の製品を組み込むことで容易に高さ位置調節可能なバランサ装置を製作することができる。
【0020】
また、大重量の物体を吊持した際、所定の力(高さ位置調節に必要な力)以上の負荷が下側支持体を介して高さ位置調節手段に掛かるが、高さ位置調節手段に滑りクラッチ機構が組み込まれているので、ケース部材と第1ラック部材との間が滑り、ケース部材に対する第1ラック部材の位置が自動的に変更されることで、高さ位置調節手段の上下方向の長さを上側支持体と下側支持体との間の長さに対応して自動的に調節すると共に高さ位置調節手段の破損を防止することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、この高さ位置調節手段は、電動ホイストからなるので、下側支持体と物体の高さ位置を上方へのみ調節可能であり、既存の製品を組み込むことで容易に高さ位置調節可能なバランサ装置を製作することができる。また、手動では調節が困難な数トンの大重量の物体をバランサ装置に吊持しても、物体の高さ位置調節するための力を極力小さくすることができるため、小型で安価な電動ホイストが使用できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、このガススプリングが圧縮ガスによりロッド部材を本体ケースへ退入させる方向へ付勢するプル型ガススプリングであるので、バランサの構造を簡単化、小型化することができ、安価に製作することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、このガススプリングが圧縮ガスによりロッド部材を本体ケースから進出させる方向へ付勢するプッシュ型ガススプリングであるので、ガススプリングのガス作動室の周辺のシール箇所を少なくし、ガス作動室に充填封入した圧縮ガスのリークを少なくすることができ、圧縮ガスの充填などのメンテナンス費用を低減できる。
【0024】
請求項6の発明によれば、外面側を覆うテレスコピック形のケーシングを有するので、バランサの外観を向上させると共に、バランサの伸縮動作時における、枠体間に挟まれるなどの事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施する最良の形態について図面に基づいて説明する。
本発明のガススプリング式バランサ装置は、工場や倉庫、搬送用車両の周辺等において、物体を吊持する吊持手段の吊持部に連結されて物体を吊持するのに使用するものであり、特に例えば1トン以上の大重量の長尺物体の吊持に好適なものである。
【実施例1】
【0026】
図1に示すように、建物の天井側に設置される天井クレーン1(吊持手段に相当する)は、運転部2と本体3とトロリ4とワイヤ5とフック6(吊持部に相当する)等を有し、トロリ4から下方へ延びるワイヤ5の下端にフック6が設けられ、大重量の長尺物体9とフック6との間にガススプリング式バランサ装置10がワイヤ7を介して吊持され、物体9はワイヤ8を介してバランサ装置10に吊持され、天井クレーン1によりバランサ装置10を介して物体9が吊持され、搬送される。
【0027】
天井クレーン1によりバランサ装置10を介して、物体9を吊持した状態では、バランサ20に組み込まれたガススプリング21のガス作動室37の圧縮ガスにより物体9の重量とバランスする付勢力が発生するまで、ガススプリング21のロッド部材33が退入して圧縮ガスのガス圧が自動的に調節され、上記付勢力と物体9の重量がバランス状態になり、見かけ上は物体9の重量が零になる。このバランス状態で、高さ位置調節手段60により上下両方の高さ位置が調節される。
【0028】
図2,3に示すように、ガススプリング式バランサ装置10は、上側支持体12と、下側支持体16と、2本のバランサ20と、高さ位置調節手段60とを備えている。上側支持体12は、天井クレーン1のフック6で吊持され、下側支持体16は、上側支持体12の下方に所定間隔空けて平行に対置された下側支持体16であって、吊持対象の物体9が吊持されている。
【0029】
上側支持体12は、角柱状に形成され水平向きに配置されている。その上面の両端には、連結部12aが夫々螺着され、天井クレーン1のフック6にワイヤ7を介して連結されている。下面の両端には、連結部12bが夫々螺着され、バランサ20の上端部がワイヤ14を介して吊持されている。上側支持体12の側面中心部には、ガス圧確認及び充填などの操作をするコントロールユニット55が装着され、下面中心部には、高さ位置調整手段60のラック式アクチュエータ74が付設されている。
【0030】
下側支持体16は、上側支持体12と同様の角柱状に形成され水平向きに配置されている。その上面の両端には、連結部16aが夫々螺着され、バランサ20の下端部にワイヤ18を介して連結されている。下面には、5つの連結部16bが所定の間隔をあけて螺着され、物体9がワイヤ8を介して吊持されている。上面中心部には、支持部16cが設けられ、ケース部材61に固着された連結棒63の下端部が連結されている。
【0031】
次に、バランサ20について説明するが、左右2本のバランサ20は同一の構成要素を有するので、ここでは左側のバランサ20についてのみ説明する。
このバランサ20には、ガススプリング21と、枠体40と、第1の吊りピース51と、第2の吊りピース52と、外面側を覆うケーシング54とを備え、上側支持体12と下側支持体16の相互に離隔した2箇所の連結部12b,16aに上端部と下端部が夫々連結され、上端部と下端部を接近させる方向へ付勢されている。
【0032】
図4に示すように、ガススプリング21は、本体ケース22と、この本体ケース22に装着され本体ケース22のロッド側端壁部25を挿通して外部へ延びるロッド部材33と、前記本体ケース22内に区画されたガス作動室37とを有し、圧縮ガス(例えば、5〜15MPaの圧縮窒素ガス)によりロッド部材33を本体ケース22から下方へ進出させる方向へ付勢するプッシュ型ガススプリング20である。
【0033】
本体ケース22は、シリンダ本体23と、ヘッド側端壁部24と、ロッド側端壁部25とで構成されている。シリンダ本体23は、複数のボルトにより第2板部材44の下面に固定されている。ロッド側端壁部25は貫通孔27を有し、この貫通孔27にロッド部材33のロッド部35が上下方向に摺動自在に挿通されている。ロッド側端壁部25は、シリンダ本体23の上端部にC形リング部材30を介して内嵌固定されている。
【0034】
ロッド側端壁部25の外周部には、シリンダ本体23との間をガス密にシールする環状シール部材31aが装着され、ロッド側端壁部25の内周部にはロッド部35との間の摺動隙間をガス密にシールする環状シール部材31bが装着されている。環状シール部材31bの下方には、ロッドガイドリング32aとダストシール32bが装着されている。
【0035】
ロッド部材33は、鍔部34と、この鍔部34と一体形成され且つロッド側端壁部25を挿通して外部へ延びるロッド部35とを備えている。このロッド部35は、圧縮ガス圧によりロッド側端壁部25を挿通して外部へ下方へ延び、ロッド部35の先端面が第3板部材45の上端面に当接されている。
【0036】
ガス作動室37はシリンダ本体23の内部に形成され、このガス作動室37内へは、ヘッド側端壁部24に設けられたガス充填孔38と、このガス充填孔38に装着されたガス充填バルブ39を介して圧縮ガスが充填される。
【0037】
枠体40は、第1の枠体41と、第2の枠体42とで、ガススプリング21の長手方向に伸縮可能に構成されている。この枠体40には、ガススプリング21が組み込まれ、ケーシング54により外面側を覆われている。
【0038】
ガススプリング21の一端側には、第1,第2板部材43,44が、上側から順に、ガススプリング21の軸心と直交状に配設されている。ガススプリング21の他端側には、第3,第4板部材45,46が、ガススプリング21から順にガススプリング21の軸心と直交状に配設されている。ガススプリング21は第2,第3板部材間44,45にロッド部材33が最大限進出した状態で介装され、本体ケース22が第2板部材44の下面に固定され、ロッド部材33の先端が第3板部材45の上面に当接している。
【0039】
第1の枠体41は、第1板部材43と、第3板部材45と、第2板部材44を摺動自在に挿通して第1,第3板部材43,45を連結する4本の第1タイロッド47とで構成されている。第2の枠体42は、第2板部材44と、第4板部材46と、第3板部材45を摺動自在に挿通して第2,第4板部材44,46を連結する4本の第2タイロッド48とで構成されている。
【0040】
第1タイロッド47の上端部が第1板部材43を貫通してナットにより固定され、第1タイロッド47の下端小径部が第3板部材45を貫通してナットにより固定されている。第2タイロッド48の上端部が第2板部材44を貫通してナットにより固定され、第2タイロッド48の下端部が第4板部材46を貫通してナットにより固定されている。
【0041】
第1板部材43に第1の吊りピース51のボルト部が螺合され、第4板部材46に第2の吊りピース52のボルト部が螺合されている。第1の吊りピース51に上側支持台12が連結され、第2の吊りピース52に下側支持体16に連結され、物体9は、バランサ装置10を介して天井クレーン1に吊持される。第2板部材44の上面と、第3板部材45の下面には、合成ゴム部材44a,45aが夫々装着され、バランサ20が最大限収縮したときの第1,第2板部材43,44間及び第3,第4板部材45,46間の接触による衝撃を緩和している。また、第3板部材45の上面には、合成ゴム部材45bが装着され、バランサ20が最大限伸長したときの第3板部材45と本体ケース22の下面の接触による衝撃を緩和している。
【0042】
ケーシング54は、底付きの円筒状の第1部材54aと第2部材54bとを有し、ガススプリング21と枠体40の外面側を覆うテレスコピック形に構成されている。第1部材54aの底面は、第1板部材43と第1の吊りピース51との間に配置され、第1の吊りピース51が第1板部材43に螺合され固定されている。第2部材54bの底面は、第4板部材46と第2の吊りピース52との間に配置され、第2の吊りピース52が第4板部材46に螺合され固定されている。第1部材54aの円筒部分に第2部材54bの円筒部分が摺動自在に挿入されているため、枠体40が伸縮動作するとケーシング54も伸縮動作することができる。
【0043】
ケーシング54の側面には、縦長のスリットが設けられ、ガス充填バルブ39が突出されている。このガス充填バルブ39には、ガスホース59の一端が接続され、ガスホース59の他端が、コントロールユニット55に接続されている。バランサ20が伸縮動作する際は、ガス充填バルブ39は縦長のスリットに沿って上下方向に移動自在である。
【0044】
コントロールユニット55は、操作パネル56と、各ガス作動室37のガス圧を測定するガス圧力計57と、図示外の所定のガス充填手段からガスが供給される充填口と、ガスを排出する排出口などを有し、各バランサ20のガス充填バルブ39にホース59を介して接続されている。これにより、各ガス作動室37におけるガス圧の状態を確認でき、物体9の重量に応じてガス充填及び排出の制御を行うことができる。尚、ガス充填口には、常時ガス充填手段が接続されているわけではなく、必要に応じて接続され、ガスの充填及び排出をするようにしても良い。
【0045】
ここで、高さ位置調節手段60について説明する。
高さ位置調節手段60は、縦長のケース部材61と、滑りクラッチ機構65と、第1ラック部材71と、第2ラック部材72と、ラック式リニアアクチュエータ74とを有し、左右2本のバランサ20の中間の位置において、上側支持体12と下側支持体16に連結されて、バランサ20の付勢力で物体9を吊持した状態で、下側支持体16に上下両方の力を作用させることで、下側支持体16と物体9の高さ位置を少なくとも上下両方へ調節可能に構成されている。
【0046】
図2と図5に示すように、縦長のケース部材61の内部には、滑りクラッチ機構65を介して第1ラック部材71が装着され、第2ラック部材72が第1ラック部材71に噛み合い鉛直方向に装着されている。ケース部材61の下端部には、図6に示すように、連結棒63の上端が螺着され、下端の把持部63aが下側支持体16の支持部16cに遊嵌状に連結されている。このため、物体9が大きく揺れたとしても、遊嵌状に支持されているため振動を緩和することができる。
【0047】
滑りクラッチ機構65は、摩擦調整用のネジ部材66とバネ部材67と、固定用の摩擦板68とを有し、ケース部材61の側部に設けられた装着部に装着されている。バネ部材67により摩擦板68が付勢され、第1ラック部材71の側面に押圧されている。このため、ケース部材61及び摩擦板68と第1ラック部材71との間に発生する摩擦抵抗により、第1ラック部材71がケース部材61に強力固定されている。バネ部材67による付勢力はネジ部材68により調整可能である。
【0048】
第1ラック部材71は、ケース部材61の半分以下の長さの角柱状に形成され、一側面に係合溝71aを有し、第2ラック部材72の下端部のギア溝72aに噛合されている。この第1ラック部材71は、ケース部材61に押圧され一体となって上下方向へ移動可能であるが、所定の力(例えば、200Kgfの力)以上の負荷がケース部材61に掛かる場合は、ケース部材61と第1ラック部材71との間が滑るように滑りクラッチ機構65により調整されている。
【0049】
第2ラック部材72は、円柱状に形成され、外周部の一部分にギア溝72aを有している。第2ラック部材72は、ケース部材61の内部から上部を貫通し上方へ延び、上側支持体12に付設されたラック式リニアアクチュエータ74のピニオン77にギア溝72aが噛合されている。第2ラック部材72の上端部は、上側支持体12を貫通して上方に突出されている。
【0050】
ラック式リニアアクチュエータ74は、ケース部材75と、ハンドル軸76と、ハンドル軸76と一体的に形成されケース部材75内部に収容されたピニオン77と、ハンドル軸76に連結されピニオン77半径より大きい半径を持つハンドル78から構成され、上側支持体12に固定されている。手動でハンドル78を回転させ、ハンドル軸76を介してピニオン77を回転運動させることで、増力機能を有するピニオンラック機構により上下方向の直線運動に変換することができ、第2ラック部材72を上下方向へ駆動できる。ハンドル軸76を回転させるのは、電動ドライバーなどの電動工具を使用して直接ハンドル軸76を回転させても良い。
【0051】
このラック式リニアアクチュエータ74により、第2ラック部材72を介して第1ラック部材71とケース部材61と下側支持体16と吊持された物体9とを、上下方向へ駆動可能である。尚、このラック式リニアアクチュエータ74は、ハンドル軸76を操作した場合のみ、第2ラック部材72を上下方向へ駆動できるロック手段を有している。
【0052】
次に、このガススプリング式バランサ装置10の作用及び効果について説明する。
このバランサ装置10の上側支持体12の連結部12aに天井クレーン1のフック6をワイヤ7を介して係合させて天井クレーン1に吊持する。物体9を天井クレーン1で吊持しない状態では、各ガス作動室27内に充填された圧縮ガスの付勢力によりロッド部材33は本体ケース22から最大限進出した状態になる。このとき、このバランサ装置10は複数のガススプリング21により上側支持体12と下側支持体16との間が最大限収縮した状態になる。
【0053】
下側支持体16の連結部16bにワイヤ8を介して物体9を連結し、物体9を天井クレーン1で吊持すると物体9はバランサ装置10を介して吊持され、下側支持体16を介して第2の枠体42に物体9の重量が夫々作用する。第1の枠体41が上側支持体12を介して天井クレーン1に支持されているため、下側支持体16を介して第2の枠体42が下降し、ロッド部材33が本体ケース22に対して退入移動し、各ガス作動室27内の圧縮ガスのガス圧が自動的に調節されて、圧縮ガスによる付勢力と物体9の重量とが等しくなる。このバランス状態では、物体9の重量が見かけ上は零になる。
【0054】
バランス状態に移行する間、高さ位置調節手段60では、物体9を吊持した瞬間は下側支持体12に連結されているケース部材61に物体9の数トンもの大重量が掛かり、滑りクラッチ機構65によりケース部材61と第1ラック部材71との間が滑る。その後、バランス状態に近づくと、滑りクラッチ機構65による摩擦力が作用し、第1ラック部材71がケース部材61に摩擦固定されることで滑りが停止し、上側支持体12と下側支持体16との間が固定されることで、高さ位置調節手段の上下方向の長さが上側支持体と下側支持体との間の長さに対応して自動的に調節される。
【0055】
この際、物体9に不意な衝撃が付加されバランサ装置10が揺れ動いても、連結棒63と下側支持体16とが遊嵌状に連結されているため、高さ位置調節手段60への振動を緩和することができ、ケース部材61や、上側支持体12に固定された第2ラック部材72などの破損を防止することができる。
【0056】
物体9の高さ位置調節65を行うには、物体9がバランス状態のときにラック式リニアアクチュエータ74のハンドル78を手動で回転操作し、ピニオン77に噛合された第2ラック部材72を上方或いは下方へ移動させる。ここで、ハンドル78の半径がピニオン77の半径より大径に形成されているため手動の力を増力する効果を奏する。第2ラック部材72は第1ラック部材71に噛合され、第1ラック部材71が滑りクラッチ機構65によりケース部材61に摩擦固定されているので、ケース部材61も第2ラック部材72と共に上下方向へ駆動可能となり、下側支持体16と共に物体9の上下両方への高さ位置の調節を容易にすることができる。また、ラック式リニアアクチュエータ74という既存の製品を組み込むことで容易に高さ位置調節可能なバランサ装置を製作することができる。
【0057】
このように、2本のバランサ20により下側支持体16を介して大重量の長尺物体9を吊持するので、吊持対象の物体9の安定性が向上する。2本のバランサ20の中間の位置に高さ位置調節手段65を設けるので、安定性を維持したまま1人で高さ位置を調節でき、物体9を搬送することができる。高さ位置調節手段60により、上側支持体12と下側支持体16との間の長さを調節することで、長尺物体9であっても、物体9の高さ位置を簡単に調節することができる。高さ位置調整手段60が増力機能を有するので、圧縮ガスが高圧に設定されていても容易に大重量の物体9の高さ位置を調節できる。高さ位置調節手段60は手動で駆動してもよく、電動工具で駆動してもよいが、1人で簡単に大重量の長尺物体の高さ位置を調節することができ、作業能率を高めることができるので経済性が改善される。
【0058】
また、物体9が吊持された際に、所定の力(約200Kgf)以上の負荷が下側支持体16を介して高さ位置調節手段60に掛かるが、高さ位置調節手段60に滑りクラッチ機構65が組み込まれているので、ケース部材61と第1ラック部材71との間が滑り、ケース部材61に対する第1ラック部材71の位置が自動的に変更されるため、高さ位置調節手段60の破損を防止することができる。
【0059】
さらに、コントロールユニット55が装着されているため、ガス圧力計により各ガス作動室27のガス圧を常時確認できるので、圧縮ガスが僅かに漏出しガス圧が徐々に低下してきても、それを直ぐに確認できガス充填手段により充填口からガスを充填することができる。また、バランサ装置10の用途に応じてガス圧を低下させたい場合、排出口からガスを排出させることでガス圧を低下させ、ガスによる付勢力を調整することができる。
【0060】
このバランサ装置10に使用されるガススプリング21が圧縮ガスによりロッド部材33を本体ケース22から進出させる方向へ付勢するプッシュ型ガススプリングであるので、ガススプリング21のガス作動室27の周辺のシール箇所を少なくし、ガス作動室27に充填封入した圧縮ガスのリークを少なくすることができ、圧縮ガスの充填などのメンテナンス費用を低減できる。
【実施例2】
【0061】
次に、ガススプリング式バランサ装置10Aの高さ位置調節手段60Aについて図面に基づいて説明する。但し、前記実施例1の構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し説明を省略し異なる構成についてのみ説明する。
この高さ位置調節手段60Aは、電動ホイスト80からなり、この電動ホイスト80により、下側支持体16と物体9の高さ位置を上方へのみ調節可能に構成されている。
【0062】
図7に示すように、電動ホイスト80は、電動アクチュエータによる増力機能を有し、フレーム81と、駆動部82と、チェーン部材83と、チェーン部材収容部84と、フック85から構成され、フレーム81が上側支持体12の中心部に螺着された連結部12cにワイヤ86を介して吊持されている。
【0063】
フレーム81の内部には、滑りクラッチ機構が内蔵されており、前記実施例1と同様に所定の力(約200Kgf)以上の負荷がチェーン部材83に掛かった場合にチェーン部材83がフレーム81から滑り出すように構成されている。チェーン部材83は、駆動部82により上方に巻き上げられ、巻き上げられたチェーン部材83の余剰長さ分がチェーン部材収容部84に収容される。
【0064】
チェーン部材83の先端に装着された鍵付きフック85は、下側支持体16の上面中心付近の2箇所に螺着された連結部16dにワイヤ87を介して連結し、下側支持体16を介して物体9を吊持している。
それ以外の構成要素は、前記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0065】
次に、ガススプリング式バランサ装置10Aの作用及び効果について説明する。
このバランサ装置10Aを天井クレーン1に吊持し、物体9をバランサ装置10Aに連結すると物体9はバランサ装置10Aを介して吊持され、前記実施例1と同様にロッド部材33が本体ケース38に退入移動し物体9がバランス状態になる。このバランス状態に移行する間、大重量の物体9により下側支持体16が下降することで上側支持体12と下側支持体16との間が長くなる。電動ホイスト80には滑りクラッチ機構が内蔵されているので、電動ホイスト80のチェーン部材83がフレーム81から自動的に滑り出す。
【0066】
バランス状態に移行し、物体9の高さ位置調節を行うには、電動ホイスト80の駆動部82を駆動させ、チェーン部材83を巻き上げることで、下側支持体12と物体9を上方へ引き上げることができ、容易に物体9を上方へのみ高さ位置を調節することができる。
【0067】
但し、この高さ位置調整手段60Aでは、大重量の物体を吊持し、バランサのロッド部材33が最大限退入してしまった状態(フルストローク状態)の際、電動ホイスト80に掛かる物体の重量の割合が高くなるため、滑りクラッチ機構によるクラッチが解除され、電動ホイスト80を巻き上げ、物体9を上方へ移動させても、電動ホイスト80を緩めると物体9の自重でチェーン部材83が滑り、物体9が下降してしまう。
【0068】
このため、このフルストローク状態で高さ位置調節を行う場合、電動ホイスト80で巻き上げることで上方へ調節可能であると共に、電動ホイスト80を緩めると物体9の自重により下降することで下方へも調節可能となるので、上下両方への高さ位置調節が可能となる。
【0069】
さらに、電動ホイスト80が、上側支持体12と下側支持体16との間にワイヤ86,87で介装されているため、物体9に衝撃が付加され振動しても、振動が緩和されるので電動ホイスト80の破損を防止することができる。
【0070】
既存の製品である電動ホイスト80を組み込むことで、容易に高さ位置調節可能なバランサ装置10Aを製作することができる。また、手動では調節が困難な数トンの大重量の物体9をバランサ装置10Aに吊持しても、物体9の高さ位置調節するための力をバランサ20により極力小さくすることができるため、小型で安価な電動ホイスト80が使用できる。
それ以外の効果は前記実施例1と略同様の効果を奏するので、説明は省略する。
【実施例3】
【0071】
次に、バランサ20Aについて図面に基づいて説明する。但し、前記実施例1の構成要素と同一の構成要素には同一符号を付し説明を省略し異なる構成についてのみ説明する。
図8に示すように、このバランサ20Aは、プル型ガススプリング91と、ケース部材92と、第1の吊りピース51と、第2の吊りピース52とを有する。
【0072】
先ず、プル型ガススプリング91について説明する。
プル型ガススプリング91は、シリンダ孔92と、ロッド部材95と、ガス作動室99とを有する。このロッド部材95は、ガス作動室99に充填された圧縮ガスによりシリンダ孔92へ退入する方向へ付勢されている。
【0073】
シリンダ孔92を形成する本体ケース93は、円筒部材107に内嵌されて、円筒部材107に例えば接着剤で強力に接着されている。本体ケースの93上端部には、ロッド部材95が上限位置に達したときに、ピストン部96を係止する環状の係止部93aが形成されている。
【0074】
ロッド部材95は、ピストン部96と、延長部97と、ロッド部98とを有する。ピストン部96には環状シール部材96aが装着されている。ピストン部96から上方へ連なる延長部97は、係止部93aを挿通して上方へ延びている。ロッド部98は、ロッド側端壁部100と下蓋部材109を挿通してシリンダ孔92の外部へ延びている。ロッド部95の下端部分は段付き部を境にして小径に形成され、その先端部に第2の吊りピース52が固着されている。
【0075】
ガス作動室99は、シリンダ孔92内に区画され、ガス充填孔100に装着されたガス充填バルブ101により、このガス作動室99には圧縮ガスが充填封入されている。ガス作動室99内の下端部には、圧縮ガスがリークしないようにシールするための潤滑油を少量収容しておくことが望ましい。
【0076】
ロッド側端壁部102は、C形リング部材103を介して本体ケース93に内嵌固定されている。外周面には、本体ケース93との間の隙間をガス密にシールする環状シール部材104aが装着され、内周面には、ロッド部との間の摺動隙間をガス密にシールする環状シール部材104bが装着されている。環状シール部材104bの下方には、ロッドガイドリング105aとダストシール105bが装着されている。
【0077】
ケース部材106は、円筒部材107と、円筒部材107の上部と下部を夫々塞ぐ上蓋部材108と下蓋部材109とで構成されている。上蓋部材108の軸心部に、第1の吊りピース51のボルト部が螺合されている。下蓋部材109の中心側部分に貫通孔が形成され、ロッド部材98が上下方向へ移動自在に挿通されている。それ以外の構成は前記実施例1と同様の構成を有するので説明は省略する。
【0078】
次に、バランサ20Aが装着されたガススプリング式バランサ装置10の作用及び効果について説明する。
このバランサ20Aは、前記実施例1とほぼ同様の効果を奏するが、このバランサ20Aに組み込まれたガススプリング91が、圧縮ガスによりロッド部材95を本体ケース93へ退入させる方向へ付勢するプル型ガススプリングであるので、バランサ20Aの構造を簡単化、小型化することができ、安価に製作することができる。
【0079】
次に、前記実施例を部分的に変更する変更例について説明する。
1)実施例1〜3に係るガススプリング式バランサ装置10,10Aは、必ずしも2本のバランサ20,20Aだけで構成する必要は無く、それ以上の複数のバランサを有する構成であっても良い。
2)実施例1〜3に係るコントロールユニット55が、バランサ装置10,10Aに設けられているが、コントロールユニット55は必ずしも必要ではなく、圧縮ガスが充填された複数のバランサのみを設ける構成であっても良い。
3)実施例1,2に係る高さ位置調整手段60,60Aは、ラック式リニアアクチュエータ65や電動ホイスト80に限らず、増力機能を有する構成のものであれば良い。
4)その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において前記実施例に種々の変形を付加した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1に係るガススプリング式バランサ装置10の略全体図である。
【図2】ガススプリング式バランサ装置10の正面図である。
【図3】ガススプリング式バランサ装置10のバランス状態の縦断面図である。
【図4】バランサ20のバランス状態の縦断面図である。
【図5】高さ位置調節手段60のケース部材61の横断面図である。
【図6】下側支持体16とケース部材61の要部拡大図である。
【図7】実施例2に係るガススプリング式バランサ装置10Aの略全体図である。
【図8】実施例3に係るバランサ20Aの縦断面図である。
【符号の説明】
【0081】
1 天井クレーン
9 物体
10,10A ガススプリング式バランサ装置
12 上側支持体
16 下側支持体
20,20A ガススプリング式バランサ
21 プッシュ型ガススプリング
60,60A 高さ位置調節手段
61 縦長のケース部材
65 滑りクラッチ機構
71 第1ラック部材
72 第2ラック部材
74 ラック式リニアアクチュエータ
80 電動ホイスト
91 プル型ガススプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を吊持する吊持手段の吊持部に連結されて物体を吊持するのに使用されるガススプリング式バランサ装置において、
前記吊持手段の吊持部で吊持される上側支持体と、
前記上側支持体の下方に所定間隔あけて平行に対置された下側支持体であって、吊持対象の物体が吊持される下側支持体と、
前記上側支持体と下側支持体の相互に離隔した複数部位に上端部と下端部が夫々連結された複数のバランサであって、前記上端部と下端部を接近させる方向へ付勢するガススプリングを夫々有する複数のバランサと、
前記複数のバランサの中間の位置において上側支持体と下側支持体に連結されて、複数のバランサの付勢力で物体を吊持した状態で、下側支持体に少なくとも上方向きの力を作用させることで、下側支持体と物体の高さ位置を少なくとも上方へ調節可能で且つ増力機能を有する高さ位置調節手段と、
を備えたことを特徴とするガススプリング式バランサ装置。
【請求項2】
前記高さ位置調節手段は、下側支持体に固定された縦長のケース部材と、このケース部材に滑りクラッチ機構を介して装着された第1ラック部材と、この第1ラック部材に噛み合った鉛直方向へ延びる第2ラック部材と、前記上側支持体に固定され且つ第2ラック部材を介して第1ラック部材とケース部材と下側支持体と吊持された物体とを上下方向へ駆動可能なラック式リニアアクチュエータとを有し、
この高さ位置調節手段により、下側支持体と物体の高さ位置を少なくとも上下両方へ調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のガススプリング式バランサ装置。
【請求項3】
前記高さ位置調節手段は電動ホイストからなり、前記高さ位置調節手段により、下側支持体と物体の高さ位置を上方へのみ調節可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のガススプリング式バランサ装置。
【請求項4】
前記ガススプリングは、本体ケースと、この本体ケースのシリンダ孔に摺動自在のピストン部とこのピストン部から延び本体ケースのロッド側端壁部を挿通して外部へ延びるロッド部とを有するロッド部材と、前記シリンダ孔内に区画されたガス作動室とを有し、
圧縮ガスによりロッド部材を本体ケース内へ退入させる方向へ付勢するプル型ガススプリングであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガススプリング式バランサ装置。
【請求項5】
前記ガススプリングは、本体ケースと、この本体ケースに装着され本体ケースのロッド側端壁部を挿通して外部へ延びるロッド部と、前記本体ケース内に区画されたガス作動室とを有し、
圧縮ガスによりロッド部材を本体ケースから進出させる方向へ付勢するプッシュ型ガススプリングであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガススプリング式バランサ装置。
【請求項6】
前記バランサの外面側を覆うテレスコピック形のケーシングを有することを特徴とする請求項5に記載のガススプリング式バランサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−84041(P2009−84041A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260000(P2007−260000)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)