説明

ガスタービンエンジンのタービン排気ケースおよびガスタービンエンジンの組立方法

【課題】ガスタービンエンジンの重量およびコストを削減する。
【解決手段】ガスタービンエンジンのタービン排気ケース(70)は、CMCコアナセル後方部分(76)とCMCテールコーン(74)との間に配置された複数のCMCタービン排気ケース支柱(72)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、特にガスタービンエンジン用セラミック基複合材料(CMC)タービン排気ケースの構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
過酷な酸化性ガスフロー環境において高温で動作するガスタービンエンジンの各部の構成要素は、一般に耐熱超合金で製造されている。ガスタービンエンジンの最後方部分は、一般にタービン排気ケースであり、このタービン排気ケースは、アセンブリを構成するように締結されたノズルとテールコーンとを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ガスタービンエンジンの重量およびコストを削減する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な形態によるガスタービンエンジンのタービン排気ケースは、CMCコアナセル後方部分とCMCテールコーンとの間に設けられた複数のCMCタービン排気ケース支柱を備える。
【0005】
本発明の例示的な形態によるガスタービンエンジンは、タービンケースに取り付けられたCMCタービン排気ケースを備える。
【0006】
本発明の例示的な形態によるガスタービンエンジンの組立方法は、タービンケースにCMCタービン排気ケースを取り付けることを含む。
【0007】
以下の限定的でない実施形態によって、種々の特徴が当業者に明らかとなる。実施形態に伴う図面について、以下に簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ガスタービンエンジンの概略断面図である。
【図2】ガスタービンエンジンの一部の拡大断面図である。
【図3】タービンケースに取り付けられたCMCタービン排気ケースの概略断面図である。
【図4】CMCタービン排気ケースの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、ガスタービンエンジン20を概略的に示している。ガスタービンエンジン20は、ファン部22、圧縮機部24、燃焼器部26およびタービン部28を一般に含む二軸ターボファンとして示されている。別のエンジンは、他のシステムや特徴部のうち特にオーグメンタ部(図示省略)を含みうる。ファン部22は、バイパス流路に沿って空気を送り、圧縮機部24は、空気が圧縮されて燃焼器部26に連通し、次いでタービン部28を通って膨張するように、コア流路に沿って空気を送る。開示された限定的でない実施例では、ターボファンガスタービンエンジンとして示しているが、本明細書で説明する概念はターボファンでの使用に限定されるものではなく、他の種類のタービンエンジンにも教示を適用することができる。
【0010】
エンジン20は、複数の軸受システム38によってエンジンの長手方向中心軸Aを中心にエンジンの静止構造体36に対して回転するように取り付けられた低速スプール30と高速スプール32とを備える。種々の軸受システム38を種々の位置において代替的にまたは追加で設けることができる。
【0011】
低速スプール30は、ファン42、低圧圧縮機44および低圧タービン46を相互に接続する内側シャフト40を一般に有する。内側シャフト40は、ファン42を低速スプール30よりも低速で駆動するように減速構造体48を介してファン42に接続されている。高速スプール32は、高圧圧縮機52および高圧タービン54を相互に接続する外側シャフト50を有する。燃焼器56が高圧圧縮機52と高圧タービン54との間に配置される。内側シャフト40と外側シャフト50は、同軸で、これらの長手方向軸と同一直線上にあるエンジン長手方向中心軸Aを中心に回転する。
【0012】
コアエアフローは、低圧圧縮機44で圧縮された後に高圧圧縮機52で圧縮され、燃焼器56で燃料と混合されて燃料とともに燃焼され、次いで高圧タービン54および低圧タービン46を通って膨張する。タービン54,46は、膨張に応じて対応する低速スプール30および高速スプール32を回転駆動する。
【0013】
図2を参照すると、亜音速飛行用に設計された航空機で一般的なように、ガスタービンエンジン20はエンジンナセルアセンブリ62内に取り付けられている。ナセルアセンブリ62は、コアナセル64およびファンナセル66を一般に有する。実施例では、特定の構成要素の配置を示しているが、種々のパイロン構造およびナセルアセンブリが本開示内容の恩恵を受ける。図3を参照すると、低圧タービン46は、複数の低圧タービン段を含む低圧タービンケース68を一般に備える。開示された限定的でない一実施例では、低圧タービンケース68は、セラミック基複合(ceramic matrix composite CMC)材料または金属超合金で製造される。本明細書で説明する全ての構成要素に用いられるCMC材料の例は、S200およびSiC/SiCを含むが、これらに限定されない。また、本明細書で説明する全ての構成要素に用いられる金属超合金の例は、インコネル718(INCO 718)およびワスパロイ(Waspaloy)を含むが、これらに限定されない。開示された実施例では、低圧タービンとして示したが、本明細書で説明する概念は、低圧タービンでの使用に限定されるものではなく、高圧タービン、高圧圧縮機、低圧圧縮機、および三軸構造のガスタービンエンジンの中間圧タービンや中間圧圧縮機に適用することができる。
【0014】
CMCタービン排気ケース70が、低圧タービンケース68のフランジ68Fに取り付けられるフランジ70Fで低圧タービン46の下流に取り付けられている。CMCタービン排気ケース70は、セラミック基複合(CMC)材料で製造され、複数のタービン排気ケース支柱72、テールコーン74およびコアナセル後方部分76を単一の一体型CMC構造として画成する。複数のタービン排気ケース支柱72は、径方向に配置された空力的部材であり、種々の形態および数とすることができる。本明細書では、一般的なタービン排気ケース支柱72に関して説明するが、ここで説明する構成は特に種々の静的エアフォイルに好適でありうる。各々のタービン排気ケース支柱72は、対応する前縁72Lおよび後縁72Tの間に画定される。各々のタービン排気ケース支柱72は、正圧面72Pを成す略凹状部分と、負圧面72Sを成す略凸状部分とを含む(図4参照)。CMCテールコーン74は、略円錐形部材である。コアナセル後方部分76は、後縁78およびコアナセル64に沿った実質的に連続するフローのための外側空力面80を画成する。すなわち、外側空力面80は、これまで独立した構造体であったコアナセル64の最も外側の面である。
【0015】
限定的でない一実施例では、タービン排気ケース70は、テールコーン74およびコアナセル後方部分76をそれぞれ構成するように延在する完全な輪を成す内径リング82および外形リング84によって複数のタービン排気ケース支柱72が連結されたリング−支柱ーリング構造を有する。テールコーン74およびコアナセル後方部分76の延長部も、所望の剛性を提供するように完全な輪を成すリングとして構成することができる。
【0016】
CMCタービン排気ケース70は、例えば、体積が大きいフランジや締結具をなくすことによって、かなりの重量およびコストを削減する。
【0017】
全図を通して、対応部および相当部には同一番号を付している。図示の実施例には、特定の構成要素の配置を開示しているが、他の配置も本開示内容の恩恵を受ける。
【0018】
特定の連続するステップを開示、説明および請求項に記載したが、これらのステップは、特に記載がなければあらゆる順序で実行するとともに、分離あるいは組み合わせることができ、それでも本開示内容の恩恵を受ける。
【0019】
上述の説明は、例示的なものであり、説明中の限定によって定められるものではない。本明細書では、種々の限定的でない実施例を開示したが、当業者であればわかるように、上述の教示に照らした種々の改良および変更も添付の請求の範囲内に含まれる。よって、添付の請求の範囲内であれば、詳細に説明した以外の方法で開示内容を実施することができる。このため、本発明の真の範囲および内容の判断には添付の請求項の検討が必要である。
【符号の説明】
【0020】
46…低圧タービン
68…低圧タービンケース
68F,70F…フランジ
70…タービン排気ケース
72…タービン排気ケース支柱
72P…正圧面
72S…負圧面
72L…前縁
72T…後縁
74…テールコーン
76…コアナセル後方部分
78…後縁
80…外側空力面
82…内径リング
84…外径リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMCコアナセル後方部分と、
CMCテールコーンと、
前記CMCコアナセル後方部分と前記CMCテールコーンとの間に設けられた複数のCMCタービン排気ケース支柱と、を備えることを特徴とするガスタービンエンジンのタービン排気ケース。
【請求項2】
前記CMCコアナセル後方部分は、コアナセルの後縁を定めていることを特徴とする請求項1記載のタービン排気ケース。
【請求項3】
前記CMCコアナセル後方部分は、コアナセルに沿って実質的に連続するフローを提供するように外側空力面の一部を画成していることを特徴とする請求項1記載のタービン排気ケース。
【請求項4】
タービンケースと、
前記タービンケースに取り付けられたCMCタービン排気ケースと、を備えることを特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項5】
前記タービンケースは、低圧タービンケースであることを特徴とする請求項4記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
前記タービンケースはCMCで製造されていることを特徴とする請求項4記載のガスタービンエンジン。
【請求項7】
前記CMCタービン排気ケースは、
CMCコアナセル後方部分と、
CMCテールコーンと、
前記CMCコアナセル後方部分と前記CMCテールコーンとの間に設けられた複数のCMCタービン排気ケース支柱と、を備えることを特徴とする請求項4記載のガスタービンエンジン。
【請求項8】
前記CMCタービン排気ケースは、フランジにおいて前記タービンケースに取り付けられていることを特徴とする請求項4記載のガスタービンエンジン。
【請求項9】
前記複数のCMCタービン排気ケース支柱は、前記CMCコアナセル後方部分と前記CMCテールコーンとの間に連結されていることを特徴とする請求項7記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
CMCタービン排気ケースをタービンケースに取り付けることを含むことを特徴とするガスタービンエンジンの組立方法。
【請求項11】
前記CMCタービン排気ケースを前記タービンケースにボルトで固定することを特徴とする請求項10記載のガスタービンエンジンの組立方法。
【請求項12】
前記CMCタービン排気ケースによってコアナセルの少なくとも一部を画成することを特徴とする請求項10記載のガスタービンエンジンの組立方法。
【請求項13】
前記CMCタービン排気ケースによってコアナセルの空力外側面の少なくとも一部を画成することを特徴とする請求項10記載のガスタービンエンジンの組立方法。
【請求項14】
前記CMCタービン排気ケースによってコアナセルの後縁を画成することを特徴とする請求項10記載のガスタービンエンジンの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246921(P2012−246921A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116114(P2012−116114)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION