説明

ガスタービン燃焼器及び発電システム

【課題】ガスタービン燃焼器及び発電システムにおいて、排気ガスにおける酸素の残留を抑制して燃焼効率の向上を図ると共に、発電効率の向上を可能とする。
【解決手段】燃焼筒40内に排気循環ガスを供給する排気循環ガス供給ライン25と、燃焼筒40内にガス燃料を供給するガス燃料供給ライン26と、燃焼筒40内に酸素を供給する酸素供給ライン27とを設け、排気循環ガス供給ライン25から燃焼筒40内の中心部に排気循環ガスを供給するスクープ47と、燃焼筒40内の外周部側に排気循環ガスを供給する第1噴射ノズル41とを設け、スクープ47から供給された排気循環ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンから排出された排気循環ガスに対して、ガス燃料と酸素を供給し、この混合ガスを燃焼して燃焼ガスを得るガスタービン燃焼器、並びに、このガスタービン燃焼器からの燃焼ガスによりタービンを駆動して発電する発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンは、圧縮機と燃焼器とタービンにより構成されている。従って、空気を圧縮機により圧縮することで高温・高圧の圧縮空気とし、燃焼器にて、この圧縮空気に対して燃料を供給して燃焼させ、高温・高圧の燃焼ガスによりタービンを駆動し、このタービンに連結された発電機を駆動して発電することができる。また、このようなガスタービンにガス化炉を適用した複合発電システムがある。この複合発電システムでは、ガス化炉で固体燃料または液体燃料をガス化し、生成したガスを燃料としてガスタービンへ送給して燃焼させ、発生した燃焼ガスによりタービンを駆動して発電すると共に、ガスタービンから排出された高温の排気ガスをボイラに送って蒸気を生成し、生成された蒸気により蒸気タービンを駆動して発電している。
【0003】
ところで、上述した複合発電システムでは、ガスタービンから排出された排気ガスに、二酸化炭素(CO)が含まれていることから、この二酸化炭素の排出抑制が重要な問題となっている。そこで、回収した二酸化炭素を効果的に利用するガス化炉と、排気ガスにガス燃料と酸素を混合して燃焼させるクローズドガスタービンを組み合わせた複合発電システムが例えば、下記非特許文献1に提案されている。
【0004】
また、このような複合発電システムとしては、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】財団法人電力中央研究所 研究報告M07003 「CO2回収型高効率石炭ガス化複合発電システムの提案とその課題」
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−262951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した非特許文献1の複合発電システムでは、ガスタービンを循環する二酸化炭素と水蒸気で構成される循環ガスと、酸素製造装置で製造させる酸素とを混合させ、その混合ガスを酸化用流体として、燃焼器内に供給される燃料を燃焼させている。そのため、燃焼器にて、ガス燃料と酸素の混合が不十分となり、排気ガスに酸素が残留してしまい、酸素の効率的な利用を阻害してしまう。一方、特許文献1では、燃焼器に対して酸素流入ラインとガス燃料流入ラインが記載されているだけであり、ガス燃料と酸素の混合が不十分となる可能性が高い。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、排気ガスにおける酸素の残留を抑制して燃焼効率の向上を図るガスタービン燃焼器、並びに、発電効率の向上を可能とする発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するための本発明のガスタービン燃焼器は、燃焼筒と、該燃焼筒内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、前記燃焼筒内にガス燃料を供給するガス燃料供給手段と、前記燃焼筒内に酸素を供給する酸素供給手段とを備え、前記不活性ガス供給手段は、前記燃焼筒内の外周部側に不活性ガスを供給する第1不活性ガス供給手段と、前記燃焼筒内の中心部に不活性ガスを供給する第2不活性ガス供給手段とを有し、前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、前記第2不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する、ことを特徴とするものである。
【0010】
本発明のガスタービン燃焼器では、前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、前記第1不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスより内側にガス燃料及び酸素を供給することを特徴としている。
【0011】
本発明のガスタービン燃焼器では、前記酸素供給手段は、前記第1不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスに対して酸素を供給することを特徴としている。
【0012】
本発明のガスタービン燃焼器では、前記ガス燃料供給手段、前記酸素供給手段、前記第1不活性ガス供給手段は、それぞれスワラーを介してガス燃料、酸素、不活性ガスを前記燃焼筒内に供給し、前記第2不活性ガス供給手段は、外部から前記燃焼筒を径方向に貫通するスクープを介して不活性ガスを前記燃焼筒内に供給することを特徴としている。
【0013】
本発明のガスタービン燃焼器では、前記酸素供給手段は、前記ガス燃料供給手段から供給されたガス燃料より内側に酸素を供給する第1酸素供給手段と、前記ガス燃料供給手段から供給されたガス燃料より外側に酸素を供給する第2酸素供給手段とを有することを特徴としている。
【0014】
本発明のガスタービン燃焼器では、前記ガス燃料供給手段は、酸素及び不活性ガスより高速でガス燃料を供給することを特徴としている。
【0015】
本発明のガスタービン燃焼器では、前記酸素供給手段は、不活性ガスより高速で酸素を供給することを特徴としている。
【0016】
本発明のガスタービン燃焼器では、前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、ガス燃料と酸素を前記燃焼筒の周方向で交互に供給することを特徴としている。
【0017】
本発明のガスタービン燃焼器では、不活性ガスは、二酸化炭素を含有することを特徴としている。
【0018】
また、本発明の発電システムは、固体燃料または液体燃料をガス化してガス燃料を生成するガス化炉と、酸素を製造する酸素製造装置と、圧縮機で圧縮した排気ガスにガス燃料と酸素を供給した混合気を燃焼器で燃焼して発生した燃焼ガスによりタービンを駆動するガスタービンと、ガスタービンの駆動力により発電する発電機と、前記ガスタービンからの排気ガスを前記圧縮機に戻す循環経路と、を備える発電システムにおいて、前記燃焼器は、内部に排気循環ガスを供給する排気循環ガス供給手段と、内部にガス燃料を供給するガス燃料供給手段と、内部に酸素を供給する酸素供給手段とを有し、前記排気循環ガス供給手段は、外周部側に排気循環ガスを供給する第1排気循環ガス供給手段と、中心部に排気循環ガスを供給する第2排気循環ガス供給手段とを有し、前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、第2排気循環ガス供給手段から供給された排気循環ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、燃焼筒と、燃焼筒内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、燃焼筒内にガス燃料を供給するガス燃料供給手段と、燃焼筒内に酸素を供給する酸素供給手段とで構成し、不活性ガス供給手段として、燃焼筒内の外周部側に不活性ガスを供給する第1不活性ガス供給手段と、燃焼筒内の中心部に不活性ガスを供給する第2不活性ガス供給手段とを設け、ガス燃料供給手段及び酸素供給手段が、第2不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給するようにしている。従って、燃焼筒内にて、中心部より外側に供給される不活性ガスより外側にガス燃料と酸素が隣接して供給されることで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、不活性ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。
【0020】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、ガス燃料供給手段及び酸素供給手段が、第1不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスより内側にガス燃料及び酸素を供給するので、燃焼筒内にて、内外の不活性ガスの間にガス燃料と酸素が供給されることとなり、ガス燃料と酸素との混合を促進することができると共に、不活性ガスにより燃焼温度の上昇を抑制することができる。
【0021】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、酸素供給手段が、第1不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスに対して酸素を供給するので、燃焼筒内にて、酸素を事前に不活性ガスと混合して酸素濃度を低下させることで、燃焼温度の上昇を抑制し、窒素酸化物の発生を抑制することができる。
【0022】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、ガス燃料供給手段、酸素供給手段、第1不活性ガス供給手段が、スワラーを介してガス燃料、酸素、不活性ガスを燃焼筒内に供給し、第2不活性ガス供給手段が、外部から燃焼筒を径方向に貫通するスクープを介して不活性ガスを燃焼筒内に供給するので、簡単な構成で各供給手段を構成することができ、構造の簡素化を可能とすることができる。
【0023】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、酸素供給手段として、ガス燃料供給手段から供給されたガス燃料より内側に酸素を供給する第1酸素供給手段と、ガス燃料供給手段から供給されたガス燃料より外側に酸素を供給する第2酸素供給手段とを設けるので、ガス燃料を酸素により挟み込むことで、ガス燃料と酸素との混合を更に促進することができる。
【0024】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、ガス燃料供給手段が酸素及び不活性ガスより高速でガス燃料を供給するので、ガス燃料の供給速度を高めることで、酸素との混合を促進することができる。
【0025】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、酸素供給手段が不活性ガスより高速で酸素を供給するので、ガス燃料に加えて酸素の供給速度を高めることで、ガス燃料と酸素との混合を促進することができる。
【0026】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、ガス燃料供給手段及び酸素供給手段が、ガス燃料と酸素を燃焼筒の周方向で交互に供給するので、ガス燃料と酸素との混合を促進することができる。
【0027】
本発明のガスタービン燃焼器によれば、不活性ガスが二酸化炭素を含有するので、発生した二酸化炭素を含有する不活性ガスを循環することで、二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
【0028】
また、本発明の発電システムによれば、ガス化炉と、酸素製造装置と、ガスタービンと、発電機と、循環経路とで構成し、ガスタービンの燃焼器として、排気循環ガス供給手段と、ガス燃料供給手段と、酸素供給手段を設け、排気循環ガス供給手段として、燃焼筒内の外周部側に排気循環ガスを供給する第1排気循環ガス供給手段と、燃焼筒内の中心部に排気循環ガスを供給する第2排気循環ガス供給手段とを設け、ガス燃料供給手段及び酸素供給手段が、第2排気循環ガス供給手段から供給された排気循環ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給するようにしている。従って、燃焼筒内にて、排気循環ガスより外側にガス燃料と酸素が隣接して供給されることで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができ、その結果、発電効率の向上を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るガスタービン燃焼器を表す概略図である。
【図2】図2は、実施例1のガスタービン燃焼器を表す図1のII−II断面図である。
【図3】図3は、実施例1の複合発電システムを表す概略図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係るガスタービン燃焼器を表す概略図である。
【図5】図5は、実施例2のガスタービン燃焼器を表す図4のV−V断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施例3に係るガスタービン燃焼器を表す概略図である。
【図7】図7は、実施例3のガスタービン燃焼器を表す図6のVII−VII断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例4に係るガスタービン燃焼器を表す概略図である。
【図9】図9は、実施例4のガスタービン燃焼器を表す図8のIX−IX断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例5に係るガスタービン燃焼器の要部を表す概略図である。
【図11】図11は、本発明の実施例6に係るガスタービン燃焼器を表す概略図である。
【図12】図12は、本発明の実施例7に係るガスタービン燃焼器の要部を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るガスタービン燃焼器及び発電システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0031】
図1は、本発明の実施例1に係るガスタービン燃焼器を表す概略図、図2は、実施例1のガスタービン燃焼器を表す図1のII−II断面図、図3は、実施例1の複合発電システムを表す概略図である。
【0032】
実施例1の複合発電システムは、図3に示すように、ガス化炉11、ガス精製装置12、酸素製造装置13、ガスタービン14、発電機15、排熱回収ボイラ(HRSG)16、蒸気タービン17、発電機18とから構成されている。
【0033】
ガス化炉11は、固体燃料としての微粉炭(石炭)を不完全燃焼して未燃ガス(H,CO,CO,Nなど)を生成するものである。ガス精製装置12は、ガス化炉11で生成された未燃ガスから浄化処理などを行うことで、不純物を除去してガス燃料(H,CO)を精製するものである。即ち、ガス化炉11で生成された未燃ガスをガス精製装置12の各種装置に通過させることで、自身のもつ熱により硫黄分化合物、窒素化合物、その他の有害物質を除去することができる。
【0034】
また、酸素製造装置13は、大気から高濃度の純酸素を製造するものであって、例えば、深冷分留法(液化分留法)、ゼオライト吸着剤を使用した圧力掃引吸着(PSA)法、カーボンモレキュラーシーブを使用した圧力掃引吸着(PSA)法など、いずれのものであってもよい。
【0035】
ガスタービン14は、圧縮機21と燃焼器22とタービン23とを有しており、圧縮機21及びタービン23はタービン軸24を介して連結されている。このガスタービン14には、タービン軸24を介して発電機15が連結されている。
【0036】
そして、ガスタービン14にて、圧縮機21から燃焼器22に対して、排気循環ガス供給ライン(不活性ガス供給手段)25が設けられている。また、この燃焼器22に対して、ガス精製装置12からガス燃料供給ライン(ガス燃料供給手段)26が連結されると共に、酸素製造装置13から酸素供給ライン(酸素供給手段)27が連結されている。そして、燃焼器22からタービン23に対して、燃焼ガス供給ライン28が連結されている。
【0037】
排熱回収ボイラ16は、例えば、高圧ボイラと中圧ボイラと低圧ボイラを有しており、ガスタービン14から排出された排気ガスにより各ボイラでそれぞれ蒸気を発生させることができる。そのため、排熱回収ボイラ16には、タービン23から排出された排気ガス(CO+HO)の排出ライン29が連結されると共に、排熱回収ボイラ16からガスタービン14の圧縮機21に対して、排気ガス戻しライン30が設けられている。そして、排気ガス戻しライン30から分岐して排気ガス回収ライン31が設けられている。
【0038】
蒸気タービン17は、排熱回収ボイラ16で発生した蒸気が供給されることで駆動し、連結された発電機18を運転することができる。そして、この蒸気タービン17に供給された蒸気は図示しない復水器に送られて凝縮された後、復水ポンプにより排熱回収ボイラ16に送られるようになっている。なお、この場合、ガスタービン14と蒸気タービン17とを同軸上に配置し、一つの発電機を共用してもよい。
【0039】
なお、排気循環ガス供給ライン25、燃焼ガス供給ライン28、排気ガス排出ライン29、排気ガス戻しライン30により排気ガスの循環経路が構成される。なお、以下の説明では、タービン23から排出されたガスを排気ガスと称し、圧縮機21で圧縮され、排気循環ガス供給ライン25により燃焼器22に供給されるガスを排気循環ガスと称すが、両者は温度と圧力が相違するが、同質のガスである。また、排気ガスと排気循環ガスは、本発明の不活性ガスとして機能する。
【0040】
ここで、上述した複合発電システムの作動について説明する。
【0041】
ガス化炉11では、酸素、窒素、微粉炭が供給され、内部で微粉炭が燃焼して未燃ガスが生成される。そして、この未燃ガスは、熱交換器で冷却されてからチャーが除去され、その後、ガス精製装置12で硫黄分化合物、窒素化合物、その他の有害物質が除去させてガス燃料が精製される。
【0042】
ガスタービン14では、排気ガス戻しライン30を通して圧縮機21に取り込まれた排気ガスが圧縮されることで高温・高圧の圧縮ガス(排気循環ガス)となり、排気循環ガスとして排気循環ガス供給ライン25を通して燃焼器22に送られる。また、ガス精製装置12で精製されたガス燃料がガス燃料供給ライン26を通して燃焼器22に送られると共に、酸素製造装置13で製造された酸素が酸素供給ライン27を通して燃焼器22に送られる。
【0043】
この燃焼器22では、排気循環ガスとガス燃料と酸素との混合ガスに対して着火され、燃焼する。燃焼器22で生成された高温・高圧の燃焼ガスは、燃焼ガス供給ライン28を通してタービン23に送られ、図示しない複数の静翼及び動翼を通過することでタービン軸24を駆動回転する。ここで、発電機15が作動して発電が行われる。
【0044】
また、タービン23から排出された排気ガスは、排気ガス排出ライン29を通って排熱回収ボイラ16に送られ、ここで、高温・高圧の排気ガスにより蒸気を生成する。ここで生成された蒸気は蒸気タービン17に送られ、この蒸気タービン17を駆動することで発電機18が作動して発電が行われる。この排熱回収ボイラ16で熱回収された排気ガスは、排気ガス戻しライン30を通して圧縮機21に戻され、一部が排気ガス回収ライン31を通して回収される。
【0045】
このように構成された実施例1の複合発電システムでは、燃焼器22に排気循環ガスとガス燃料と酸素を供給して燃焼させることから、ガス燃料と酸素を十分に混合して効率的に燃焼させる必要がある。そこで、実施例1の燃焼器(ガスタービン燃焼器)22では、中心部に供給される排気循環ガスと外周部に供給される排気循環ガスとの間に、ガス燃料と酸素を隣接して供給するようにしている。
【0046】
即ち、燃焼器22にて、図1及び図2に示すように、燃焼筒40は、円筒形状をなし、基端部側(図1にて、左端側)にリング形状をなす3つの噴射ノズル41,42,43が設けられると共に、各噴射ノズル41,42,43にスワラー44,45,46が設けられている。そして、最も外側に位置する第1噴射ノズル41に排気循環ガス供給ライン(不活性ガス供給手段)25が連結され、第1噴射ノズル41より内側に位置する第2噴射ノズル42にガス燃料供給ライン(ガス燃料供給手段)26が連結され、最も内側に位置する第3噴射ノズル43に酸素供給ライン(酸素供給手段)27が連結されている。
【0047】
また、燃焼筒40には、外周部から中心部に向けて貫通するスクープ(不活性ガス供給手段)47が、周方向に均等間隔で4〜8つ(本実施例では、4つ)設けられている。この各スクープ47には、図示しないが、排気循環ガス供給ライン25から分岐した排気循環ガスが供給可能となっている。ここで、本発明の不活性ガス供給手段は、燃焼筒40内の外周部側に排気循環ガスを供給する第1不活性ガス供給手段として第1噴射ノズル41が機能し、燃焼筒40内の中心部に排気循環ガス(不活性ガス)を供給する第2不活性ガス供給手段としてスクープ47が機能することとなる。
【0048】
そのため、実施例1の燃焼器22では、スクープ47からは、燃焼筒40の中心部に排気循環ガスを供給し、燃焼ガスの流れ方向の前後に流動する。一方、第1噴射ノズル41からは、燃焼筒40の外周部に排気循環ガスを供給する。そして、第2、第3噴射ノズル42,43からは、スクープ47からの排気循環ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して噴射する。また、第2、第3噴射ノズル42,43からは、第1噴射ノズル41からの排気循環ガスより内側にガス燃料及び酸素を噴射する。つまり、ガス燃料及び酸素は、内外の排気循環ガスにより挟まれた空間に噴射されることとなる。
【0049】
なお、燃焼筒40は、外周部に、外部から排気循環ガスを取り入れ、フィルム流体として内周面に排気循環ガスを沿わせることで、冷却する複数の開口部48が形成されている。
【0050】
従って、燃焼筒40内には、第1噴射ノズル41から排気循環ガスが噴射され、第2噴射ノズル42からガス燃料が噴射され、第3噴射ノズル43から酸素が噴射され、スクープ47から中心部に向けて排気循環ガスが供給される。そのため、ガス燃料と酸素は、排気循環ガスにより挟まれた空間で混合し、着火されることとなり、十分な混合が可能となり、適正な位置に火炎面が形成されて効率的に燃焼することとなる。また、燃焼ガス(火炎)は、第2、第3噴射ノズル42,43の近傍から排気循環ガスにより冷却されることとなり、燃焼ガス温度が適正温度に維持される。
【0051】
このように実施例1のガスタービン燃焼器22にあっては、燃焼筒40内に排気循環ガスを供給する排気循環ガス供給ライン25と、燃焼筒40内にガス燃料を供給するガス燃料供給ライン26と、燃焼筒40内に酸素を供給する酸素供給ライン27とを設け、排気循環ガス供給ライン25から燃焼筒40内の中心部に排気循環ガスを供給するスクープ47と、燃焼筒40内の外周部側に排気循環ガスを供給する第1噴射ノズル41とを設け、スクープ47から供給された排気循環ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する。
【0052】
従って、燃焼筒40内にて、排気循環ガスより外側にガス燃料と酸素を隣接して供給することで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気循環ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。
【0053】
また、実施例1のガスタービン燃焼器22では、第1噴射ノズル41から供給された排気循環ガスより内側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する。従って、燃焼筒40内にて、内外の排気循環ガスの間にガス燃料と酸素が供給されることとなり、ガス燃料と酸素との混合を促進することができると共に、排気循環ガスにより燃焼温度の上昇を抑制することができる。
【0054】
また、実施例1のガスタービン燃焼器22では、ガス燃料、酸素、排気循環ガスがスワラー44,45,46を介して燃焼筒40内に供給されると共に、排気循環ガスがスクープ47を介して燃焼筒40内に供給される。従って、簡単な構成でガス燃料、酸素、排気循環ガスの供給機構を構成することができ、構造の簡素化を可能とすることができる。
【0055】
また、実施例1の複合発電システムにあっては、ガス化炉11と、ガス精製装置12と、酸素製造装置13と、ガスタービン14と、発電機15と、循環経路25,28,29,30とで構成し、ガスタービン14の燃焼器22として、燃焼筒40内に排気循環ガスを供給する排気循環ガス供給ライン25と、燃焼筒40内にガス燃料を供給するガス燃料供給ライン26と、燃焼筒40内に酸素を供給する酸素供給ライン27とを設け、排気循環ガス供給ライン25から燃焼筒40内の中心部に排気循環ガスを供給するスクープ47と、燃焼筒40内の外周部側に排気循環ガスを供給する第1噴射ノズル41とを設け、スクープ47から供給された排気循環ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する。
【0056】
従って、燃焼筒40内にて、排気循環ガスより外側にガス燃料と酸素を隣接して供給することで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができ、その結果、発電効率の向上を可能とすることができる。
【0057】
また、実施例1の複合発電システムでは、排気循環ガスが二酸化炭素を含有しており、発生した二酸化炭素を含有する排気循環ガスを循環することで、二酸化炭素の排出量を抑制することができる。
【実施例2】
【0058】
図4は、本発明の実施例2に係るガスタービン燃焼器を表す概略図、図5は、実施例2のガスタービン燃焼器を表す図4のV−V断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0059】
実施例2では、図4及び図5に示すように、燃焼器22の中心部に供給される排気循環ガスと外周部に供給される排気循環ガスとの間に、ガス燃料と酸素を隣接して供給すると共に、酸素及び排気循環ガスより高速でガス燃料を供給するようにしている。
【0060】
即ち、燃焼器22にて、燃焼筒40は、基端部側にリング形状をなす3つの噴射ノズル41,42,43が設けられている。この噴射ノズル41,43にスワラー44,46が設けられる一方、噴射ノズル42の先端部に多数の絞り噴孔51が設けられている。この絞り噴孔51は、周方向に均等間隔で形成され、噴射ノズル41,43から噴射される酸素及び排気循環ガスより、ガス燃料を高速で噴射可能となっている。そして、最も外側に位置する第1噴射ノズル41に排気循環ガス供給ライン25が連結され、第1噴射ノズル41より内側に位置する第2噴射ノズル42にガス燃料供給ライン26が連結され、最も内側に位置する第3噴射ノズル43に酸素供給ライン27が連結されている。また、燃焼筒40には、外周部から中心部に向けて貫通するスクープ47が、周方向に均等間隔で4つ設けられており、この各スクープ47には、排気循環ガス供給ライン25から分岐した排気循環ガスが供給可能となっている。
【0061】
そのため、実施例2の燃焼器22では、スクープ47から燃焼筒40の中心部に供給された排気循環ガスと、第1噴射ノズル41から燃焼筒40の外周部に供給された排気循環ガスとの間に、第2、第3噴射ノズル42,43から、ガス燃料と酸素を隣接して噴射する。このとき、第2噴射ノズル42は、多数の絞り噴孔51から排気循環ガスや酸素よりも高速でガス燃料を噴射する。
【0062】
従って、燃焼筒40内には、第1噴射ノズル41から排気循環ガスが噴射され、第2噴射ノズル42からガス燃料が噴射され、第3噴射ノズル43から酸素が噴射され、スクープ47から中心部に向けて排気循環ガスが供給される。そのため、ガス燃料と酸素は、排気循環ガスにより挟まれた空間で混合し、着火される。このとき、ガス燃料は、排気循環ガスや酸素より高速で噴射されることから、酸素と十分な混合が可能となり、適正な位置に火炎面が形成されて効率的に燃焼することとなる。また、燃焼ガス(火炎)は、第2、第3噴射ノズル42,43の近傍から排気循環ガスにより冷却されることとなり、燃焼ガス温度が適正温度に維持される。
【0063】
このように実施例2のガスタービン燃焼器22にあっては、燃焼筒40内の外周部に排気循環ガスを供給する第1噴射ノズル41と、燃焼筒40内の中心部に排気循環ガスを供給するスクープ47と、内外の排気循環ガスの間の空間にガス燃料を噴射する第2噴射ノズル42、酸素を噴射する第3噴射ノズル43とを設け、第2噴射ノズル42の先端部に絞り噴孔51を設けている。
【0064】
従って、燃焼筒40内にて、内外の排気循環ガスにより挟まれる空間にガス燃料と酸素を隣接して供給し、且つ、酸素及び排気循環ガスよりガス燃料を高速で供給することで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気循環ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0065】
図6は、本発明の実施例3に係るガスタービン燃焼器を表す概略図、図7は、実施例3のガスタービン燃焼器を表す図6のVII−VII断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0066】
実施例3では、図6及び図7に示すように、燃焼器22の中心部に供給される排気循環ガスと外周部に供給される排気循環ガスとの間に、ガス燃料と酸素を隣接して供給すると共に排気循環ガスより高速でガス燃料及び酸素を供給するようにしている。また、燃焼筒40内に、ガス燃料と酸素を周方向で交互に供給するようにしている。
【0067】
即ち、燃焼器22にて、燃焼筒40は、基端部側にリング形状をなす2つの噴射ノズル41,42が設けられている。この噴射ノズル41にスワラー44が設けられる一方、噴射ノズル42の先端部には、2種類の絞り噴孔51,52が設けられている。この各絞り噴孔51,52は、周方向に均等間隔で交互に形成され、噴射ノズル41から噴射される排気循環ガスより、ガス燃料及び酸素を高速で噴射可能となっている。そして、最も外側に位置する第1噴射ノズル41に排気循環ガス供給ライン25が連結され、第1噴射ノズル41より内側に位置する第2噴射ノズル42にガス燃料供給ライン26及び酸素供給ライン27が連結されている。この場合、第2噴射ノズル42における絞り噴孔51にガス燃料供給ライン26が連結され、第2噴射ノズル42における絞り噴孔52に酸素供給ライン27が連結される。また、燃焼筒40には、外周部から中心部に向けて貫通するスクープ47が、周方向に均等間隔で4つ設けられており、この各スクープ47には、排気循環ガス供給ライン25から分岐した排気循環ガスが供給可能となっている。
【0068】
そのため、実施例3の燃焼器22では、スクープ47から燃焼筒40の中心部に供給された排気循環ガスと、第1噴射ノズル41から燃焼筒40の外周部に供給された排気循環ガスとの間に、第2噴射ノズル42から、ガス燃料と酸素を隣接して噴射する。このとき、第2噴射ノズル42は、多数の絞り噴孔51,52から排気循環ガスよりも高速でガス燃料と酸素を噴射する。
【0069】
従って、燃焼筒40内には、第1噴射ノズル41から排気循環ガスが噴射され、第2噴射ノズル42からガス燃料と酸素が噴射され、スクープ47から中心部に向けて排気循環ガスが供給される。そのため、ガス燃料と酸素は、排気循環ガスにより挟まれた空間で混合し、着火される。このとき、ガス燃料と酸素は、排気循環ガスより高速で、且つ、周方向に交互に隣接して噴射されることから、ガス燃料と酸素との十分な混合が可能となり、適正な位置に火炎面が形成されて効率的に燃焼することとなる。また、燃焼ガス(火炎)は、第2噴射ノズル42の近傍から排気循環ガスにより冷却されることとなり、燃焼ガス温度が適正温度に維持される。
【0070】
このように実施例3のガスタービン燃焼器22にあっては、燃焼筒40内の外周部に排気循環ガスを供給する第1噴射ノズル41と、燃焼筒40内の中心部に排気循環ガスを供給するスクープ47と、内外の排気循環ガスの間の空間にガス燃料と酸素を噴射する第2噴射ノズル42を設け、第2噴射ノズル42の先端部にガス燃料と酸素用の2種類の絞り噴孔51,52を設けている。
【0071】
従って、燃焼筒40内にて、内外の排気循環ガスにより挟まれる空間にガス燃料と酸素を隣接して供給し、且つ、排気循環ガスよりガス燃料と酸素を高速で供給することで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気循環ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。
【0072】
この場合、排気循環ガスより高速でガス燃料と酸素を燃焼筒40内に供給することから、ガス燃料と酸素との混合を促進することができる。また、ガス燃料と酸素を燃焼筒40の周方向で交互に供給することから、ガス燃料と酸素との混合を更に促進することができる。
【実施例4】
【0073】
図8は、本発明の実施例4に係るガスタービン燃焼器を表す概略図、図9は、実施例4のガスタービン燃焼器を表す図8のIX−IX断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0074】
実施例4では、図8及び図9に示すように、燃焼器22の中心部に供給される排気循環ガスと外周部に供給される排気循環ガスとの間に、ガス燃料と酸素を隣接して供給すると共に、ガス燃料の内外の両側に酸素を供給するようにしている。
【0075】
即ち、燃焼器22にて、燃焼筒40は、基端部側にリング形状をなす3つの噴射ノズル41,42,43が設けられている。また、第1噴射ノズル41と第2噴射ノズル42との間に第4噴射ノズル61が設けられている。この各噴射ノズル41,42,43,61にスワラー44,45,46,62が設けられている。そして、第1噴射ノズル41に排気循環ガス供給ライン25が連結され、第1噴射ノズル41より内側に位置する第4噴射ノズル61に酸素供給ライン26が連結され、第4噴射ノズル61より内側に位置する第2噴射ノズル42にガス燃料供給ライン26が連結され、第2噴射ノズル42より内側に位置する第3噴射ノズル43に酸素供給ライン27が連結されている。また、燃焼筒40には、外周部から中心部に向けて貫通するスクープ47が、周方向に均等間隔で4つ設けられており、この各スクープ47には、排気循環ガス供給ライン25から分岐した排気循環ガスが供給可能となっている。
【0076】
そのため、実施例4の燃焼器22では、スクープ47から燃焼筒40の中心部に供給された排気循環ガスと、第1噴射ノズル41から燃焼筒40の外周部に供給された排気循環ガスとの間に、第2、第3、第4噴射ノズル42,43,61から、ガス燃料と酸素を隣接して噴射する。このとき、第3、第4噴射ノズル43,61からは、第2噴射ノズル42から噴射されたガス燃料を挟むように、ガス燃料の内外に酸素を噴射する。
【0077】
この場合、第3噴射ノズル43が本発明の第1酸素供給手段として機能し、第4噴射ノズル61が本発明の第2酸素供給手段として機能する。
【0078】
従って、燃焼筒40内には、第1噴射ノズル41から排気循環ガスが噴射され、第2噴射ノズル42からガス燃料が噴射され、第3、第4噴射ノズル43,61から酸素が噴射され、スクープ47から中心部に向けて排気循環ガスが供給される。そのため、ガス燃料と酸素は、排気循環ガスにより挟まれた空間で混合し、着火される。このとき、ガス燃料は、酸素により挟まれた空間に噴射されることから、この酸素と十分な混合が可能となり、適正な位置に火炎面が形成されて効率的に燃焼することとなる。また、燃焼ガス(火炎)は、第2、第3噴射ノズル42,43の近傍から排気循環ガスにより冷却されることとなり、燃焼ガス温度が適正温度に維持される。
【0079】
このように実施例4のガスタービン燃焼器22にあっては、燃焼筒40内の外周部に排気循環ガスを供給する第1噴射ノズル41と、燃焼筒40内の中心部に排気循環ガスを供給するスクープ47と、内外の排気循環ガスの間の空間にガス燃料を噴射する第2噴射ノズル42と、内外の排気循環ガスの間で且つガス燃料の内外に酸素を噴射する第3、第4噴射ノズル43,61とを設けている。
【0080】
従って、燃焼筒40内にて、内外の排気循環ガスにより挟まれる空間で、且つ、内外の酸素により挟まれる空間にガス燃料を供給することで、このガス燃料が酸素により挟み込まれることとなり、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気循環ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。
【実施例5】
【0081】
図10は、本発明の実施例5に係るガスタービン燃焼器の要部を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0082】
実施例5では、図10に示すように、燃焼器22の中心部に供給される排気循環ガスと外周部に供給される排気循環ガスとの間に、ガス燃料と酸素を隣接して供給すると共に、ガス燃料の内外の両側に酸素を供給し、且つ、酸素及び排気循環ガスより高速でガス燃料を供給するようにしている。
【0083】
即ち、燃焼器22にて、燃焼筒40は、基端部側にリング形状をなす4つの噴射ノズル41,42,43,61が設けられている。この各噴射ノズル41,43,61にスワラー44,46,62が設けられる一方、噴射ノズル42の先端部に多数の絞り噴孔63が設けられている。そして、第1噴射ノズル41に排気循環ガス供給ライン25が連結され、第2噴射ノズル42にガス燃料供給ライン26が連結され、第3、第4噴射ノズル43,61に酸素供給ライン27が連結されている。また、燃焼筒40には、外周部から中心部に向けて貫通するスクープ47が、周方向に均等間隔で4つ設けられており、この各スクープ47には、排気循環ガス供給ライン25から分岐した排気循環ガスが供給可能となっている。
【0084】
そのため、実施例5の燃焼器22では、スクープ47から燃焼筒40の中心部に供給された排気循環ガスと、第1噴射ノズル41から燃焼筒40の外周部に供給された排気循環ガスとの間に、第2、第3、第4噴射ノズル42,43,61から、ガス燃料と酸素を隣接して噴射する。このとき、第3、第4噴射ノズル43,61からは、第2噴射ノズル42から噴射されたガス燃料を挟むように、ガス燃料の内外に酸素を噴射する。また、第2噴射ノズル42は、多数の絞り噴孔63から排気循環ガスや酸素よりも高速でガス燃料を噴射する。
【0085】
従って、燃焼筒40内には、第1噴射ノズル41から排気循環ガスが噴射され、第2噴射ノズル42からガス燃料が噴射され、第3、第4噴射ノズル43,61から酸素が噴射され、スクープ47から中心部に向けて排気循環ガスが供給される。そのため、ガス燃料と酸素は、排気循環ガスにより挟まれた空間で混合し、着火される。このとき、ガス燃料は、酸素により挟まれた空間に排気循環ガスや酸素より高速で噴射されることから、この酸素と十分な混合が可能となり、適正な位置に火炎面が形成されて効率的に燃焼することとなる。また、燃焼ガス(火炎)は、第2、第3噴射ノズル42,43の近傍から排気循環ガスにより冷却されることとなり、燃焼ガス温度が適正温度に維持される。
【0086】
このように実施例5のガスタービン燃焼器22にあっては、燃焼筒40内の外周部に排気循環ガスを供給する第1噴射ノズル41と、燃焼筒40内の中心部に排気循環ガスを供給するスクープ47と、内外の排気循環ガスの間の空間にガス燃料を噴射する第2噴射ノズル42と、内外の排気循環ガスの間で且つガス燃料の内外に酸素を噴射する第3、第4噴射ノズル43,61とを設け、第2噴射ノズル42の先端部に絞り噴孔63を設けている。
【0087】
従って、燃焼筒40内にて、内外の排気循環ガスにより挟まれる空間で、且つ、内外の酸素により挟まれる空間にガス燃料を高速で供給することで、この高速で供給されたガス燃料が酸素により挟み込まれることとなり、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気循環ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。
【実施例6】
【0088】
図11は、本発明の実施例6に係るガスタービン燃焼器を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0089】
実施例6では、図11に示すように、燃焼器22の中心部に供給される排気循環ガスと外周部に供給される排気循環ガスとの間に、ガス燃料と酸素を隣接して供給し、この場合、排気循環ガスに対して酸素を供給している。
【0090】
即ち、燃焼器22にて、燃焼筒40は、基端部側にリング形状をなす2つの噴射ノズル41,42が設けられており、この噴射ノズル41,42にスワラー44,45が設けられている。この場合、第1噴射ノズル41には、スワラー44より上流側に位置して2つの供給口71,72が形成されている。そして、第1噴射ノズル41の供給口71に排気循環ガス供給ライン25が連結され、供給口72に酸素供給ライン27が連結され、第2噴射ノズル42にガス燃料供給ライン26が連結されている。また、燃焼筒40には、外周部から中心部に向けて貫通するスクープ47が、周方向に均等間隔で4つ設けられており、この各スクープ47には、排気循環ガス供給ライン25から分岐した排気循環ガスが供給可能となっている。
【0091】
そのため、実施例6の燃焼器22では、スクープ47から燃焼筒40の中心部に供給された排気循環ガスと、第1噴射ノズル41から燃焼筒40の外周部に供給された排気循環ガスとの間に、第1、第2噴射ノズル41,42から、酸素とガス燃料を隣接して噴射する。この場合、第1噴射ノズル41は、排気循環ガスと酸素との混合ガスを噴射する。
【0092】
従って、燃焼筒40内には、第1噴射ノズル41から排気循環ガスと酸素の混合ガスが噴射され、第2噴射ノズル42からガス燃料が噴射され、スクープ47から中心部に向けて排気循環ガスが供給される。そのため、少なくともガス燃料は、排気循環ガスにより挟まれた空間で酸素と混合し、着火されることから、十分な混合が可能となり、適正な位置に火炎面が形成されて効率的に燃焼することとなる。また、ガス燃料は、排気循環ガスを含有する酸素と混合して燃焼することから、燃焼ガスの温度が高温とはならず、酸素に窒素が混入していたとしても、窒素酸化物(NOx)の発生が抑制される。
【0093】
このように実施例6のガスタービン燃焼器22にあっては、燃焼筒40に第1噴射ノズル41と第2噴射ノズル42とスクープ47を設け、第1噴射ノズル41から排気循環ガスと酸素の混合ガスを噴射可能とし、第2噴射ノズル42からガス燃料を噴射可能とし、スクープ47から排気循環ガスを供給可能としている。
【0094】
従って、燃焼筒40内にて、内外の排気循環ガスにより挟まれる空間にガス燃料を供給し、且つ、外側の排気循環ガスに対して酸素を供給することで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気循環ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。また、酸素を事前に排気循環ガスと混合して酸素濃度を低下させ、ガス燃料が低濃度の酸素と混合して燃焼することから、燃焼ガス温度の上昇が抑制され、窒素酸化物の発生を抑制することができる。
【実施例7】
【0095】
図12は、本発明の実施例7に係るガスタービン燃焼器の要部を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0096】
実施例7では、図12に示すように、燃焼器22の中心部に供給される排気循環ガスと外周部に供給される排気循環ガスとの間に、ガス燃料と酸素を隣接して供給し、この場合、内外の排気循環ガスに対して酸素を供給している。
【0097】
即ち、燃焼器22にて、燃焼筒40は、基端部側にリング形状をなす3つの噴射ノズル41,42,43が設けられており、この各噴射ノズル41,42,43にスワラー44,45,46が設けられている。この場合、第1噴射ノズル41には、スワラー44より上流側に位置して2つの供給口71,72が形成され、第3噴射ノズル43には、スワラー46より上流側に位置して2つの供給口73,74が形成されている。そして、第1噴射ノズル41の供給口71に排気循環ガス供給ライン25が連結され、供給口72に酸素供給ライン27が連結され、第2噴射ノズル42にガス燃料供給ライン26が連結され、第3噴射ノズル43の供給口73に排気循環ガス供給ライン25が連結され、供給口74に酸素供給ライン27が連結されている。
【0098】
そのため、実施例7の燃焼器22では、第1噴射ノズル41から燃焼筒40の外周部に供給された排気循環ガスと、スクープ47から燃焼筒40の中心部に供給された排気循環ガスとの間に、第2噴射ノズル42から、ガス燃料を噴射する。この場合、第1、第3噴射ノズル41,43は、排気循環ガスと酸素との混合ガスを噴射する。
【0099】
従って、燃焼筒40内には、第1噴射ノズル41から排気循環ガスと酸素の混合ガスが噴射され、第2噴射ノズル42からガス燃料が噴射され、第3噴射ノズル43から排気循環ガスと酸素の混合ガスが噴射される。そのため、少なくともガス燃料は、排気循環ガスにより挟まれた空間で酸素と混合し、着火されることから、十分な混合が可能となり、適正な位置に火炎面が形成して効率的に燃焼することとなる。また、ガス燃料は、排気循環ガスを含有する酸素と混合して燃焼することから、燃焼ガスの温度が高温とはならず、酸素に窒素が混入していたとしても、窒素酸化物(NOx)の発生が抑制される。
【0100】
このように実施例7のガスタービン燃焼器22にあっては、燃焼筒40に第1噴射ノズル41と第2噴射ノズル42を設け、第1、第3噴射ノズル41,43から排気循環ガスと酸素の混合ガスを噴射可能とし、第2噴射ノズル42からガス燃料を噴射可能としている。
【0101】
従って、燃焼筒40内にて、内外の排気循環ガスにより挟まれる空間にガス燃料を供給し、且つ、各排気循環ガスに対して酸素を供給することで、ガス燃料と酸素との混合が良好となり、燃焼による酸素の利用率を100%に近づけることができ、排気循環ガスにおける酸素の残留を抑制し、燃焼効率の向上を図ることができる。また、酸素を事前に排気循環ガスと混合して酸素濃度を低下させ、ガス燃料が低濃度の酸素と混合して燃焼することから、燃焼ガス温度の上昇が抑制され、窒素酸化物の発生を抑制することができる。
【0102】
なお、上述した実施例6、7にて、実施例2のように、ガス燃料を噴射する第2噴射ノズル42の先端部に絞り噴孔を形成し、ガス燃料を酸素や排気循環ガスよりも高速で噴射するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係るガスタービン燃焼器及び発電システムは、不活性ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給することで、排気ガスにおける酸素の残留を抑制して燃焼効率の向上を図ると共に、発電効率の向上を可能とするものであり、いずれの種類の燃焼器、発電システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
11 ガス化炉
12 ガス精製装置
13 酸素製造装置
14 ガスタービン
15,18 発電機
16 排熱回収ボイラ
17 蒸気タービン
21 圧縮機
22 燃焼器
23 タービン
25 排気循環ガス供給ライン(不活性ガス供給手段)
26 ガス燃料供給ライン(ガス燃料供給手段)
27 酸素供給ライン(酸素供給手段)
28 燃焼ガス供給ライン
29 排気ガス排出ライン
30 排気ガス戻しライン
40 燃焼筒
41 第1噴射ノズル(第1不活性ガス供給手段)
42 第2噴射ノズル
43 第3噴射ノズル(第1酸素供給手段)
44,45,46,62 スワラー
47 スクープ(第2不活性ガス供給手段)
51,52,63 絞り噴孔
61 第4噴射ノズル(第2酸素供給手段)
71,72,73,74 供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筒と、
該燃焼筒内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、
前記燃焼筒内にガス燃料を供給するガス燃料供給手段と、
前記燃焼筒内に酸素を供給する酸素供給手段とを備え、
前記不活性ガス供給手段は、
前記燃焼筒内の外周部側に不活性ガスを供給する第1不活性ガス供給手段と、
前記燃焼筒内の中心部に不活性ガスを供給する第2不活性ガス供給手段とを有し、
前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、前記第2不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する、
ことを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項2】
前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、前記第1不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスより内側にガス燃料及び酸素を供給することを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項3】
前記酸素供給手段は、前記第2不活性ガス供給手段から供給された不活性ガスに対して酸素を供給することを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項4】
前記ガス燃料供給手段、前記酸素供給手段、前記第1不活性ガス供給手段は、それぞれスワラーを介してガス燃料、酸素、不活性ガスを前記燃焼筒内に供給し、前記第2不活性ガス供給手段は、外部から前記燃焼筒を径方向に貫通するスクープを介して不活性ガスを前記燃焼筒内に供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のガスタービン燃焼器。
【請求項5】
前記酸素供給手段は、前記ガス燃料供給手段から供給されたガス燃料より内側に酸素を供給する第1酸素供給手段と、前記ガス燃料供給手段から供給されたガス燃料より外側に酸素を供給する第2酸素供給手段とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のガスタービン燃焼器。
【請求項6】
前記ガス燃料供給手段は、酸素及び不活性ガスより高速でガス燃料を供給することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のガスタービン燃焼器。
【請求項7】
前記酸素供給手段は、不活性ガスより高速で酸素を供給することを特徴とする請求項6に記載のガスタービン燃焼器。
【請求項8】
前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、ガス燃料と酸素を前記燃焼筒の周方向で交互に供給することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のガスタービン燃焼器。
【請求項9】
不活性ガスは、二酸化炭素を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載のガスタービン燃焼器。
【請求項10】
固体燃料または液体燃料をガス化してガス燃料を生成するガス化炉と、
酸素を製造する酸素製造装置と、
圧縮機で圧縮した排気ガスにガス燃料と酸素を供給した混合気を燃焼器で燃焼して発生した燃焼ガスによりタービンを駆動するガスタービンと、
ガスタービンの駆動力により発電する発電機と、
前記ガスタービンからの排気ガスを前記圧縮機に戻す循環経路と、
を備える発電システムにおいて、
前記燃焼器は、
内部に排気循環ガスを供給する排気循環ガス供給手段と、
内部にガス燃料を供給するガス燃料供給手段と、
内部に酸素を供給する酸素供給手段とを有し、
前記排気循環ガス供給手段は、
外周部側に排気循環ガスを供給する第1排気循環ガス供給手段と、
中心部に排気循環ガスを供給する第2排気循環ガス供給手段とを有し、
前記ガス燃料供給手段及び前記酸素供給手段は、第2排気循環ガス供給手段から供給された排気循環ガスより外側にガス燃料及び酸素を隣接して供給する、
ことを特徴とする発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−94573(P2011−94573A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251162(P2009−251162)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)