説明

ガス供給装置

【課題】 本発明は被充填タンクに供給されるガス供給量を精度良く制御することを課題とする。
【解決手段】 ディスペンサユニット16のガス供給経路18には、質量流量計20と、流量制御ユニット62と、圧力伝送器26とが配設されている。流量制御ユニット62は、質量流量計20より下流のガス供給経路18に配置された第1の開閉弁66a、第1の絞り68aと、第1のバイパス経路64に配置された第2の開閉弁66b、第2の絞り68bと、第2のバイパス経路65に配置された第3の開閉弁66c、第3の絞り68cとが並列に設けられている。制御回路40は、圧力伝送器26により測定された圧力に基づいて複数の開閉弁66a〜66cを段階的に開弁させるように制御して燃料タンク14に供給されるガスの流量及び圧力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素ガスや圧縮天然ガス(CNG)等のガス供給装置に係り、特に被充填タンクガスを供給する際に所定の制御則でガス供給量を制御するよう構成されたガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスを圧縮した圧縮天然ガス(CNG)を燃料にして走行する自動車(CNG車)の開発と共に圧縮天然ガスを自動車の燃料タンク(被充填タンク)に供給するガス供給装置の実用化が進められている。この種のガス供給装置では、圧縮されたガスをガス蓄圧器に貯蔵しておき、ガス充填ホースの下流端部に設けられたガス充填カップリングをCNG車の接続カップリングに接続し、ガス充填ホースの先端部に連通された三方弁を切り替え操作することによりガス蓄圧器に貯蔵されたガスをCNG車の燃料タンクに充填するように構成されている。
【0003】
また、従来のガス供給装置では、ガス充填ホースのガス充填カップリングを被充填タンクの供給口に接続させた後、三方弁を切り替え操作して管路及びガス充填ホース内に残留するガスがCNG車の燃料タンクに供給される際の圧力変化を検出し、検出された圧力変化から燃料タンクの残量を演算し、燃料タンクの残留圧力に応じた供給圧力に制御しながら効率良くガス充填を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、昨今、高圧の水素ガスを利用した燃料電池車の開発が進んでおり、この燃料電池車に高圧水素ガスを供給するガス供給装置の開発も進んでいる。
【特許文献1】特開平10−103595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のガス供給装置では、燃料タンクの圧力等に応じて制御弁の弁開度を制御して燃料タンクに供給される圧力及び流量を制御している。
【0006】
しかし、高圧ガスを取り扱う場合には、制御弁等からのガスの漏れを防ぐために、従来より強力なシールが必要となり、さらに、このシールに高圧力がかかるため、弁の摺動抵抗が大きくなって弁開度を正確に制御することが困難(ヒステリシス大)である(ヒステリシスも大きくなる)。また、防爆の観点から弁の駆動にエアを用いる場合があり、この場合も弁開度を正確に制御することが困難である。
【0007】
そこで、本発明は上記課題を解決したガス供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0009】
請求項1の本発明は、圧縮されたガスを被充填タンクに供給するガス供給経路と、該ガス供給経路に並列に設けられた複数のバイパス経路と、該複数のバイパス経路の夫々に設けられ、前記複数のバイパス経路を個別に開または閉とする複数の開閉弁と、前記複数の開閉弁を選択的に開弁または閉弁させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、圧縮されたガスを被充填タンクに供給するガス供給経路と、該ガス供給経路に並列に設けられた複数のバイパス経路と、該複数のバイパス経路の夫々に設けられ、開弁時の最大流量が夫々異なる複数の開閉弁と、該複数の開閉弁の開閉により制御されたガス供給圧力を測定する圧力測定手段と、該圧力測定手段により測定された圧力が予め定められた目標値になるように前記複数の開閉弁を選択的に開弁または閉弁させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガス供給経路に並列に設けられた複数のバイパス経路の夫々に設けられた複数の開閉弁を選択的に開弁または閉弁させるため、開弁された開閉弁の数によって被充填タンクに供給される流量を精度良く制御することが可能になる。
【0012】
また、本発明によれば、ガス供給経路に並列に設けられた複数のバイパス経路の夫々に設けられた複数の開閉弁が夫々開弁時の最大流量が異なるため、複数の開閉弁を選択的に開弁または閉弁させることにより、被充填タンクに供給される流量を精度良く制御することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明になるガス供給装置の実施例1を示す系統図である。図1に示されるように、ガス供給装置10は、例えば自動車12の燃料タンク(被充填タンク)14に都市ガスを所定圧力に圧縮した圧縮天然ガス(CNG)を供給するガス供給ステーションなどに設置されている。
【0015】
ガス供給装置10は、大略、都市ガスを所定圧力に圧縮し加圧されたガスを生成する圧力発生ユニット(図示せず)と、圧力発生ユニットにより圧縮されたガスを燃料タンク14に供給するためのディスペンサユニット16とを有する。
【0016】
また、ディスペンサユニット16のガス供給経路18には、上流側から順に、ガス供給経路18を流れるガスの供給量を計測する質量流量計20と、流量制御ユニット62と、流量制御ユニット62により制御された2次圧力を測定する圧力伝送器(圧力トランスミッタ)26とが配設されている。
【0017】
この流量制御ユニット62は、質量流量計20より下流のガス供給経路18に配置された第1の開閉弁66a、第1の絞り68aと、第1のバイパス経路64に配置された第2の開閉弁66b、第2の絞り68bと、第2のバイパス経路65に配置された第3の開閉弁66c、第3の絞り68cとが並列に設けられている。第1のバイパス経路64は、ガス供給経路18から分岐して第1の開閉弁66a、第1の絞り68aの上流、下流間をバイパスする。第2のバイパス経路65は、第1のバイパス経路64と並列に設けられ、第1の開閉弁66a、第1の絞り68aの上流、下流間をバイパスする。
【0018】
さらに、ガス供給経路18の下流側端部には、ガス充填ホース28が連通されており、ガス充填ホース28の下流側端部には、電磁駆動式の三方弁30が接続されている。三方弁30は、ガス充填ホース28が接続された流入ポートaと、脱圧管路32が接続された排気ポートbと、ガス充填カップリング34が接続された充填ポートcとを有する。この三方弁30は、ガス充填時に流入ポートaと充填ポートcとが連通された開弁状態に切替えられ、ガス充填完了後の脱圧操作を行う際に排気ポートbと充填ポートcとが連通するように切替えられてガス充填カップリング34内の圧力を減圧する。
【0019】
また、圧力伝送器26は、開閉弁66aの下流に配置され、三方弁30を流入ポートaと充填ポートcとが連通された開弁状態に切替えることにより、燃料タンク14に連通されたガス供給経路18の圧力を測定することで、間接的に燃料タンク14の残留圧力を測定することができる。
【0020】
さらに、ディスペンサユニット16には、制御回路40、充填開始スイッチ釦42、充填停止スイッチ釦44が配設されている。ディスペンサユニット16の制御回路40は、充填開始スイッチ釦42がオンに操作されると、ガス供給経路18に設けられた開閉弁66a〜66cの開閉制御、三方弁30の切替制御を行なうと共に、質量流量計20により測定された流量、及び圧力伝送器26により測定された圧力値に基づいて開閉弁66aの弁開度制御を行なうことで、燃料タンク14に目標圧力のガスを充填する。
【0021】
制御回路40は、上記開閉弁66a〜66cを段階的に開弁させることで燃料タンク14に供給される圧力を徐々に昇圧させる。また、絞り68a〜68cは、夫々絞り開度による抵抗R1<R2<R3が異なり、開閉弁66a〜66cを個別に開弁させた際の流量もQ1>Q2>Q3となる。従って、全ての開閉弁66a〜66cを同時に開弁させた場合のガス供給流量Qは、各絞り68a〜68cを流れる流量の合計値(Q1+Q2+Q3=最大流量)となる。
【0022】
また、制御回路40は、質量流量計20及び圧力伝送器26から出力された流量及び圧力の検出信号により燃料タンク14に充填された流量及び圧力を演算する。
【0023】
また、自動車12では、ディスペンサユニット16のガス充填カップリング34が連結される被充填側のレセプタクル50と、レセプタクル50と燃料タンク14とを連通する管路52と、管路52に配設され、燃料タンク14に充填されたガスの逆流を防止する逆止弁54とを有する。
【0024】
制御回路40のメモリ(ROM)には、圧力伝送器26により測定された圧力が予め定められた目標値になるように複数の開閉弁66a〜66cを選択的に開弁または閉弁させる制御プログラム(制御手段)が格納されている。そして、制御回路40は、後述するようにメモリに格納された各制御プログラムを読み込んで三方弁30の切替制御を行なうと共に、質量流量計20により測定された流量、及び圧力伝送器26により測定された圧力値に基づいて開閉弁66a〜66cの弁開度制御を実行する。
【0025】
次に上記構成になるガス供給装置10におけるガス充填作業について説明する。上記自動車12の燃料タンク14にガスを充填する際、作業者は、先ず、ディスペンサユニット15の掛止部(図示せず)からガス充填カップリング34を外して自動車12のレセプタクル50に結合させる。そして、作業者は、充填開始スイッチ釦42をオンに操作する。
【0026】
これにより、制御回路40は、開閉弁66a〜66cを段階的に開弁させて三方弁30より上流のガス供給経路18を最大供給圧力(目標圧力)に昇圧させる。次に、制御回路40は、開閉弁66a〜66cを閉弁させてから三方弁30を開弁状態に切替えて開閉弁66a〜66cより下流のガス供給経路18に充填されたガスを燃料タンク14に供給する。尚、上記所定圧力は、燃料タンク14の上流に設けられた逆止弁54の閉弁力(弁体を付勢する力)より十分大きい圧力値に設定されている。
【0027】
そして、制御回路40は、開閉弁66a〜66cより下流のガス供給経路18の圧力が燃料タンク14の圧力と均衡した状態になったとき、圧力伝送器26により測定された圧力値をメモリに記憶し、この圧力値に基づいて燃料タンク14の容積及び残留ガス量を演算し、この燃料タンク14の容積及び残留ガス量に応じた制御則(一定圧力制御あるいは一定流量制御)により開閉弁66a〜66cを段階的に開弁させるように開閉制御する。
【0028】
燃料タンク14へのガス供給が行なわれて圧力伝送器26により測定された圧力値が目標圧力に達すると、開閉弁66a〜66cを閉弁した後、三方弁30を脱圧状態に切替えてガス充填カップリング34の圧力を減圧する。これにより、作業者は、軽い力でガス充填カップリング34を自動車12のレセプタクル50から分離させることが可能になる。
【0029】
その後、作業者は、ディスペンサユニット16のガス充填カップリング34を掛止部(図示せず)に掛止させる。そして、充填停止釦44がオンに操作されると、一連のガス充填作業が完了する。
【0030】
ここで、上記構成になるガス供給装置10の制御回路40が実行するガス供給制御処理につき図2のフローチャート及び図3のグラフを参照して説明する。尚、図3はガス供給制御と共に変化する圧力値の変化パターンを示すグラフである。
【0031】
制御回路40は、図2のS11において、ガス充填カップリング34が自動車12のレセプタクル50に結合されて充填開始スイッチ釦42がオンに操作されると、S12に進み、燃料タンク14に充填すべき最大供給圧力(目標圧力)Pをメモリから読み込む。続いて、S13に進み、三方弁30を脱圧状態(流入ポートaが閉止、排気ポートbと充填ポートcとが連通)に切替える。尚、前回のガス供給終了時には、三方弁30を脱圧状態に切替えているが、本実施例では、三方弁30より上流側のガス供給経路18を確実に密閉させるため、三方弁30の流入ポートaを閉止させる(図3中、経過時間T1)。
【0032】
次のS14では、第1の開閉弁66aを開弁させる。これにより、三方弁30より上流のガス供給経路18に圧力発生ユニットで生成された高圧ガスが供給される。そのため、三方弁30より上流のガス供給経路18を瞬時に最大供給圧力(目標圧力)に昇圧させることができる(図3中、経過時間T2)。このように、上記14、S15で三方弁30の流入ポートaを閉止した後、開閉弁66aを開弁させることで、ガス供給経路18を短時間で最大供給圧力に昇圧させることができ、燃料タンク14に残留している圧力の測定に要する時間を短縮することができる。
【0033】
続いて、S15に進み、圧力伝送器26により測定された圧力値を読み込み、測定された圧力値が最大供給圧力(目標圧力)Pに達したか否かをチェックする。このS15において、圧力伝送器26により測定された圧力値が最大供給圧力(目標圧力)Pに達したときは(図3中、経過時間T2)、S16に進み、ガス供給開閉弁22を閉弁させてガス供給経路18へのガス供給を停止させる(図3中、経過時間T3)。続いて、S17では、三方弁30を開弁状態(流入ポートaと充填ポートcとが連通、排気ポートbが閉止)に切替える。これにより、ガス供給開閉弁22と三方弁30との間のガス供給経路18に充填されたガスがガス充填カップリング34、レセプタクル50を介して逆止弁54を開弁させ、燃料タンク14に供給される。
【0034】
次のS18では、圧力伝送器26により測定された圧力値が最大供給圧力(目標圧力)Pより低下したか否かをチェックする。このS18において、圧力伝送器26により測定された圧力値が低下した場合、S19に進み、圧力伝送器26により測定された圧力値が所定時間一定値を維持するか否かをチェックする。このS19において、圧力伝送器26により測定された圧力値が低下している場合には、測定された圧力値が所定時間一定値を維持するまでS18,S19の処理を繰り返して待機状態となる。
【0035】
そして、圧力伝送器26により測定された圧力値が所定時間一定値を維持した場合には(図3中、経過時間T4〜T5)、S20に進み、この一定圧力値を燃料タンク14に残留している充填前タンク圧力値Ptとして記憶する。続いて、S21では、燃料タンク14の容積を上記充填前タンク圧力値Ptから演算する。尚、この燃料タンク14の容積を求める演算式としては、例えば、開閉弁66a〜66cと三方弁30との間のガス供給経路18の容積と、この容積に充填されたガス量(流量測定値)との関係式から求まり、既に周知であるので、その説明は省略する。
【0036】
次のS22では、開閉弁66a〜66cを段階的に開弁して燃料タンク14に対するガス供給を開始すると共に、開閉弁66a〜66cの開閉を燃料タンク14の容積に応じた制御則(定圧力上昇制御または定流量制御など)により制御する。これにより、燃料タンク14へのガス供給が行なわれ、タンク圧力も徐々に上昇する(図3中、経過時間T5〜T6)。
【0037】
次のS23では、圧力伝送器26により測定された圧力値が最大供給圧力(目標圧力)Pに達したか否かをチェックする。このS23において、圧力伝送器26により測定された圧力値が最大供給圧力(目標圧力)Pに達したときは(図3中、経過時間T6)、S24に進み、開閉弁66a〜66cを全て閉弁させてガス供給経路18へのガス供給を停止させる。そして、S25で三方弁30を脱圧状態(流入ポートaが閉止、排気ポートbと充填ポートcとが連通)に切替える。これにより、ガス充填カップリング34及びレセプタクル50の圧力が減圧されると共に、逆止弁54が圧力差により閉弁する。この後、ガス充填カップリング34をレセプタクル50から分離させてディスペンサユニット16の掛止部(図示せず)に掛止させる。これで、燃料タンク14に対するガス供給作業が終了する。
【0038】
また、上記S18において、圧力伝送器26により測定された圧力値が低下しない場合には、開閉弁66a〜66cの何れかが閉弁できない等の異常が発生しているため、S26に進み、警報を発してS25に進み、三方弁30を脱圧状態(流入ポートaが閉止、排気ポートbと充填ポートcとが連通)に切替えてガス供給を中止する。
【0039】
このように、燃料タンク14の充填前圧力を測定する際にガス供給経路18を短時間で所定圧力に昇圧させることができので、燃料タンク14に残留している圧力の測定に要する時間を短縮することができる。
【0040】
ここで、上記S22における開閉弁66a〜66cの開閉制御について図3に示すグラフを参照して説明する。制御回路40は、経過時間T4〜T5で圧力が所定時間一定値を維持した場合、経過時間T5で第3の開閉弁66cを開弁させる。このとき、他の開閉弁66a,66bは閉弁しているので、燃料タンク14へは流量Q3でガスが供給される。これにより、燃料タンク14の圧力は充填前タンク圧力値Ptから緩やかな圧力上昇率で徐々に昇圧する。
【0041】
その後、経過時間がT5aになり、圧力伝送器26により測定された圧力値がPaに達すると、第2の開閉弁66b及び第3の開閉弁66cを開弁させる。このとき、他の開閉弁66aは閉弁しているので、燃料タンク14へは流量Q2+Q3でガス供給量が増大される。
【0042】
さらに、経過時間がT5bになり、圧力伝送器26により測定された圧力値がPbに達すると、全ての開閉弁66a〜66cを同時に開弁し、ガス供給流量QをQ1+Q2+Q3(最大流量)に増大させる。そのため、燃料タンク14の圧力は、急激に昇圧する。
【0043】
そして、経過時間がT5cになり、圧力伝送器26により測定された圧力値がPc(目標圧力に近い圧力)に達すると、第1の開閉弁66a及び第2の開閉弁66bを閉弁させる。このとき、第3の開閉弁66cのみが開弁しているので、燃料タンク14へは流量Q3でガスが供給される。
【0044】
その後、経過時間がT6になり、圧力伝送器26により測定された圧力値が最大供給圧力(目標圧力)Pに達すると、全ての開閉弁66a〜66cを閉弁して燃料タンク14に対するガス供給を終了する。
【0045】
このように、本実施例では、開閉弁66a〜66cを段階的に開弁または閉弁させることで、最適な流量制御によるガス供給を行なうことが可能になり、図3に示すような理想的な圧力上昇率で効率良くガス供給を行なうことができる。
【0046】
なお、高圧の水素ガスの供給の場合、燃料タンクに急激にガスを供給するとタンク内の温度が上昇し、十分にガスを供給する前に圧力の測定値が最大供給圧力(目標圧力)Pに達してしまうことがあるので、水素ガスを充填する場合は、この点を踏まえ、開閉弁66a〜66cの開閉タイミングを決定する必要がある。
【実施例2】
【0047】
図4は実施例2の構成を示す系統図である。尚、図4において、前述した図1と共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。図4に示されるように、ガス供給装置70は、ディスペンサユニット16のガス供給経路18には、流量制御ユニット72が設けられている。この流量制御ユニット72は、質量流量計20より下流のガス供給経路18に配置された第1の制御弁76aと、ガス供給経路18から分岐した第1のバイパス経路74に配置された第2の開閉弁76bと、第2のバイパス経路75に配置された第3の開閉弁76cとが並列に設けられている。
【0048】
制御回路40は、上記開閉弁76a〜76cを段階的に開弁させることで燃料タンク14に供給される圧力を徐々に昇圧させる。また、開閉弁76a〜76cは、夫々口径が異なり、最大流量に関連する係数Cv1>Cv2>Cv3が異なっている。そのため、開閉弁76a〜76cは、個別に開弁させた際の流量がQ1>Q2>Q3となる。従って、全ての開閉弁76a〜76cを同時に開弁させた場合のガス供給流量Qは、最大流量Q1+Q2+Q3となる。
【0049】
ここで、制御回路40は、前述した実施例1の上記S22において、開閉弁66a〜66cと同様に開閉弁76a〜76cを段階的に開弁または閉弁させると共に、開閉弁76a〜76cの開閉制御を行なうことで、図3に示すような理想的な圧力上昇率でガス供給を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明になるガス供給装置の実施例1を示す系統図である。
【図2】ガス供給装置10の制御回路40が実行するガス供給制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】開閉弁66a〜66cの開閉制御による圧力変化を示すグラフである。
【図4】実施例2の構成を示す系統図である。
【符号の説明】
【0051】
10,70 ガス供給装置
12 自動車
14 燃料タンク
16 ディスペンサユニット
18 ガス供給経路
20 質量流量計
26 圧力伝送器
28 ガス充填ホース
30 三方弁
32 脱圧管路
34 ガス充填カップリング
40 制御回路
62,72 流量制御ユニット
64,74 第1のバイパス経路
65,75 第2のバイパス経路
66a〜66c 開閉弁
68a〜68c 絞り
76a〜76c 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮されたガスを被充填タンクに供給するガス供給経路と、
該ガス供給経路に並列に設けられた複数のバイパス経路と、
該複数のバイパス経路の夫々に設けられ、前記複数のバイパス経路を個別に開または閉とする複数の開閉弁と、
前記複数の開閉弁を選択的に開弁または閉弁させる制御手段と、
を有することを特徴とするガス供給装置。
【請求項2】
圧縮されたガスを被充填タンクに供給するガス供給経路と、
該ガス供給経路に並列に設けられた複数のバイパス経路と、
該複数のバイパス経路の夫々に設けられ、開弁時の最大流量が夫々異なる複数の開閉弁と、
該複数の開閉弁の開閉により制御されたガス供給圧力を測定する圧力測定手段と、
該圧力測定手段により測定された圧力が予め定められた目標値になるように前記複数の開閉弁を選択的に開弁または閉弁させる制御手段と、
を有することを特徴とするガス供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−92927(P2007−92927A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−285038(P2005−285038)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(水素安全利用等基盤技術開発 水素インフラに関する研究開発 水素充てん機の実用化技術の開発、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】