説明

ガス化ガス生成装置およびガス化ガス生成方法

【課題】改質炉における酸素消費に対して、タールを効率よく除去しつつ、単位体積あたりの燃焼ガスの割合の低減を防止することが可能となる。
【解決手段】ガス化ガス生成装置200は、ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成するガス化炉210と、ガス化炉210にガス化原料が導入された時点から所定時間が経過するまでに生成されたガス化ガスである第1ガス250aを、900℃〜1500℃で改質する改質炉220と、ガス化炉210において所定時間が経過した後に生成されたガス化ガスである第2ガス250bと改質炉220で改質された第1ガス250aとを合流させる合流部230とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成するガス化ガス生成装置およびガス化ガス生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油に代えて、石炭やバイオマス、タイヤチップ等の固体原料をガス化してガス化ガスを生成する技術が開発されている。このようにして生成されたガス化ガスは、石炭ガス化複合発電(IGCC: Integrated coal Gasification Combined Cycle)といった効率的な発電システムや、水素の製造、合成燃料(合成石油)の製造、化学肥料(尿素)等の化学製品の製造等に利用されている。ガス化ガスの原料となる固体原料のうち、特に石炭は、可採年数が150年程度と、石油の可採年数の3倍以上であり、また、石油と比較して埋蔵地が偏在していないため、長期に亘り安定供給が可能な天然資源として期待されている。
【0003】
従来、石炭のガス化プロセスは、酸素や空気を用いて部分酸化することにより行われていたが、2000℃といった高温で部分酸化する必要があるため、ガス化炉のコストが高くなるといった欠点を有していた。
【0004】
この問題を解決するために、水蒸気を利用し、700℃〜900℃程度で石炭をガス化する技術が開発されている。この技術では、温度を低く設定することでコストを低減することが可能となるが、生成されたガス化ガスには、2000℃の高温で部分酸化して生成したガス化ガスと比較して、タールが多く含まれていた。
【0005】
そこで、生成されたガス化ガスに酸素や空気を加えて1000℃以上にし、酸化改質することで、ガス化ガスに含まれるタールを除去する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2)。また、バイオマスをガス化した後、1100℃以上に加熱された多孔状の蓄熱体に通過させることで、タールを除去する技術も開示されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−40862号公報
【特許文献2】特開2007−45857号公報
【特許文献3】特開2005−60533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、タールを酸化改質するためには、酸化改質反応のための改質炉を1000℃以上にする必要があり、改質炉の温度を上昇させるために、ガス化ガス中の水素やメタンを酸素や空気で燃焼させている。したがって、改質炉には、多量の酸素を供給することになり、酸素生成のためのコストがかかってしまっていた。
【0008】
また、改質炉の温度を上昇させるためにガス化ガス中の水素やメタンを消費(燃焼)してしまうので、改質炉で処理したガス化ガスは、単位体積あたりの燃焼ガス(水素やメタン)の割合が低下していた。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み、改質炉における酸素消費に対して、タールを効率よく除去しつつ、単位体積あたりの燃焼ガスの割合の低減を防止することが可能な、ガス化ガス生成装置およびガス化ガス生成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のガス化ガス生成装置は、ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成するガス化炉と、ガス化炉にガス化原料が導入された時点から所定時間が経過するまでに生成されたガス化ガスである第1ガスを、900℃〜1500℃で改質する改質炉と、ガス化炉において所定時間が経過した後に生成されたガス化ガスである第2ガスと改質炉で改質された第1ガスとを合流させる合流部とを備えることを特徴とする。
【0011】
上記ガス化炉は、ガス化原料が導入される第1ガス化炉と、第1ガス化炉と別体または一体的に形成され、第1ガス化炉を通過した未燃ガス化原料が導入される第2ガス化炉とを含んで構成され、第1ガス化炉で生成されたガス化ガスが第1ガスであり、第2ガス化炉で生成されたガス化ガスが第2ガスであってもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のガス化ガス生成方法は、ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成するガス化炉と、導入されたガス化ガスを900℃〜1500℃で改質する改質炉とを用いたガス化ガス生成方法であって、ガス化炉にガス化原料が導入された時点から所定時間が経過するまでに生成されたガス化ガスである第1ガスを改質炉に導入し、ガス化炉において所定時間が経過した後に生成されたガス化ガスである第2ガスと改質炉で改質された第1ガスとを合流させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、改質炉における酸素消費に対して、タールを効率よく除去しつつ、単位体積あたりの燃焼ガスの割合の低減を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ガス化ガス精製システムを説明するための説明図である。
【図2】ガス化炉を含むガス化ガス生成装置の構成の一例を説明するための説明図である。
【図3】ガス化炉を含むガス化ガス生成装置の構成の一例を説明するための説明図である。
【図4】ガス化ガス生成装置を用いたガス化ガス生成方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
水蒸気を利用し、700℃〜900℃程度で石炭をガス化してガス化ガスを生成、改質炉に導入し、改質炉においてガス化ガスに酸素や空気を加え、1000℃以上にしてタールを酸化改質することで、ガス化ガスに含まれるタールを除去する技術が開発されている。
【0017】
しかし、改質炉における酸化改質反応では、酸素を多量に利用するので、この酸素を生成するためコスト高となっていた。また、酸素の代わりに空気を改質炉に加える場合、空気中に含まれる窒素がガス化ガスと混合するため、酸化改質後のガス化ガスの単位体積あたりの燃焼ガスの割合(以下、熱量と称する)が低下してしまっていた。さらに、改質炉の温度を上昇させるためにガス化ガス中の燃焼ガス(水素やメタン)を燃焼させるため、ガス化ガスの熱量がさらに低下してしまっていた。
【0018】
そこで、本実施形態では、ガス化ガス生成装置の構成を工夫することで、ガス化ガス生成装置において、改質炉における酸素消費に対して、タールを効率よく除去しつつ、単位体積あたりの熱量の低減を防止することが可能となるガス化ガス生成装置200について説明する。以下、まず、ガス化ガス生成装置200で生成されたガス化ガスの精製の流れを簡単に説明し、続いてガス化ガス生成装置200の具体的な構成について詳述する。
【0019】
(ガス化ガス精製システム100)
図1は、本実施形態にかかるガス化ガス精製システム100を説明するための説明図である。図1に示すように、ガス化ガス精製システム100は、ガス化ガス生成装置200と、熱交換器110と、第1冷却器120と、第2冷却器130と、昇圧器140と、排水処理器150と、脱硫器160と、脱アンモニア器170と、脱塩器180とを含んで構成される。なお、図1中、原料の流れを破線の矢印で、ガス化ガスの流れを実線の矢印で、水の流れを一点鎖線の矢印でそれぞれ示す。
【0020】
図1に示すように、ガス化ガス生成装置200で生成されたガス化ガスは、熱交換器110、第1冷却器120、第2冷却器130、昇圧器140、脱硫器160、脱アンモニア器170、脱塩器180でそれぞれ処理され、精製される。
【0021】
ガス化ガス生成装置200は、ガス化炉210と、改質炉(酸化改質炉)220と、合流部230とを含んで構成される。ガス化ガス生成装置200の具体的な構成については、後に詳述する。
【0022】
熱交換器110は、ガス化ガス生成装置200から導入されたガス化ガスと水蒸気との熱交換を行い、すなわち、ガス化ガスの顕熱を水蒸気で回収し、ガス化ガスの出口温度を300℃〜600℃にする。
【0023】
第1冷却器120は、水をスプレー噴霧することにより、300℃〜600℃となったガス化ガスをさらに冷却する。これにより、ガス化ガスに残存するタールや粉塵が凝縮し、ガス化ガスから除去される。
【0024】
第2冷却器130は、海水、ブライン等を用いて、ガス化ガスを30℃以下にさらに冷却し、さらに残存するタールや粉塵を凝縮して除去する。なお、第2冷却器130の後段に電機集塵機等で構成されるミスト・粉塵除去器を設け、タールや粉塵をさらに除去することもできる。
【0025】
昇圧器140は、圧縮機やターボ型のポンプ、容積型のポンプ等で構成され、第2冷却器130を通過したガス化ガスを1MPa〜5MPaに昇圧する。なお、昇圧器140の後段にガス化ガスを30℃以下に冷却する冷却器を設け、タールや粉塵をさらに除去することもできる。
【0026】
排水処理器150は、熱交換器110、第1冷却器120、第2冷却器130、昇圧器140で発生するタールや粉塵を含有する排水からタールや粉塵を除去する処理を行う。排水処理器150で処理した後の水(処理後水)は、熱交換器110や第1冷却器120等に再利用される。
【0027】
脱硫器160は、ガス化ガスに含まれる硫黄や硫黄化合物を除去する。脱アンモニア器170は、ガス化ガスに含まれるアンモニア等の窒素化合物を除去する。脱塩器180は、ガス化ガスに含まれる塩素や塩素化合物を除去する。
【0028】
このように、ガス化ガス生成装置200で生成されたガス化ガスは、熱交換器110、第1冷却器120、第2冷却器130、昇圧器140においてタールや粉塵が除去され、脱硫器160で硫黄が、脱アンモニア器170でアンモニアが、脱塩器180で塩素がそれぞれ除去されることにより精製され、精製ガス化ガスとなる。
【0029】
(ガス化ガス生成装置200)
上述したように、ガス化ガス生成装置200は、ガス化炉210と、改質炉220と、合流部230とを含んで構成される。
【0030】
ガス化炉210は、褐炭等の石炭、石油コークス(ペトロコークス)、バイオマス、タイヤチップ等の固体原料や、黒液等液体原料のガス化原料を700℃〜900℃でガス化させてガス化ガスを生成する。本実施形態では、ガス化炉210に水蒸気を供給することにより、ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成する(水蒸気ガス化)。
【0031】
改質炉220は、ガス化炉210で生成されたガス化ガスに酸素や空気を加え、ガス化ガスに含まれるタールを改質(酸化改質)する。本実施形態において、改質炉220は、ガス化炉210にガス化原料が導入された時点から所定時間が経過するまでに生成されたガス化ガスである第1ガス250aを、900℃〜1500℃で改質する。
【0032】
合流部230は、ガス化炉210において所定時間が経過した後に生成されたガス化ガスである第2ガス250bと改質炉220で改質された第1ガス250aとを合流させる。
【0033】
本願発明者は、タールを含むガス化ガスは、その発生時期が偏っており、特に、ガス化炉210におけるガス化反応の初期段階で比較的多く発生することを見いだした。そこで、ガス化反応の経過時間に基づいて、ガス化ガスを分離し、タールを多く含む第1ガス250aのみを改質炉220に導入する。また、合流部230は、タールをあまり含まない第2ガス250bを、改質炉220を通過させずに、改質炉220で改質された第1ガス250aと合流させる。
【0034】
このように、第1ガス250aのみを改質炉220に導入することで、ガス化ガス全量(第1ガス250aおよび第2ガス250b)を改質炉220に導入する場合と比較して、改質炉220で利用する酸素の容量を削減することができ、酸素消費に対するタールの除去効率を向上することが可能となる。
【0035】
具体的に説明すると、改質炉220で酸化改質する第1ガス250aは、ガス化炉210で生成される全体のガス化ガスの1/4程度であり、改質炉220を900℃〜1500℃に上昇させるために必要となる酸素や空気の量は、ガス化ガスを全量導入する場合と比較して1/3程度と少なくなる。
【0036】
また、ガス化炉210で生成される全体のガス化ガスのうち第1ガス250aが1/4を占めるので、第1ガス250aと第2ガス250bとの比は1:3となり、仮に、ガス化炉210で生成されるガス化ガス全量に含まれるタールの濃度が約20g/Nmであり、そのタールが全て第1ガス250aに含まれるとすると、第1ガス250aに含まれるタールの濃度は、約80g/Nm(20g×(1+3)/1)となる。すなわち、改質炉220に導入される第1ガス250aのタールの濃度は、ガス化ガス全量におけるタールの濃度と比較して4倍程度となる。
【0037】
したがって、ガス化ガス全量を改質炉220に導入する際と同等のタール除去率を維持するためには、第1ガス250aの滞留時間を2倍程度にする必要がある。しかし、改質炉220に導入される第1ガス250aの流量は、ガス化ガス全量を導入する場合と比較して1/4程度になるため、結果的に改質炉220の容量を1/2程度(2倍×1/4)に低減することが可能となる。こうして、ガス化ガス全量を改質するのと同等のタール除去率を維持しつつ、改質炉220の容量を削減できる。
【0038】
また、改質炉220の容量を削減できるので、改質炉220の温度を上昇させるために必要な燃焼ガスの容量を低減させることができる。したがって、生成したガス化ガス(合流部230を通過したガス化ガス)における燃焼ガスの割合を増加させるとことができ、すなわち生成したガス化ガスの熱量を増加させることが可能となる。
【0039】
このように、第1ガス250aはタールを多く含むものの、改質炉220でそのほとんどが除去され、第2ガス250bには元々タールがほとんど含まれないので、第1ガス250aと第2ガス250bとを合流したとしても、タールはほとんど含まれていないこととなる。
【0040】
ところで、本実施形態において、ガス化ガスを、改質炉220に導入する第1ガス250aと、改質炉220を通過させず合流部230に直接導入する第2ガス250bとに分離して生成するため、ガス化炉210は、第1ガス化炉と第2ガス化炉との組み合わせで構成される。
【0041】
第1ガス化炉は、導入されたガス化原料を用いて第1ガス250aを生成する。
【0042】
第2ガス化炉は、第1ガス化炉と別体または一体的に形成され、第1ガス化炉を通過し、第1ガス250aが除かれたガス化原料(未燃ガス化原料)を用いて第2ガス250bを生成する。
【0043】
図2、図3は、ガス化炉210を含むガス化ガス生成装置200の構成の一例を説明するための説明図である。図2は、第1ガス化炉210aと第2ガス化炉210bとが別体で形成された例を示し、図3は、第1ガス化炉210aと第2ガス化炉210bとが一体的に形成された例を示す。なお、図2、図3中、ガス化原料の流れを破線の矢印で、ガス化ガスを含むガスの流れを実線の矢印で、砂の流れを一点鎖線の矢印でそれぞれ示す。
【0044】
図2、図3に示すように、ガス化ガス生成装置200は、燃焼炉202と、媒体分離装置204と、第1ガス化炉210aと、第2ガス化炉210bと、改質炉220と、合流部230とを含んで構成される。ここでは、図1を用いて説明したガス化ガス生成装置200に、さらに燃焼炉202と、媒体分離装置204とを含んで構成される二塔式の流動層ガス化炉を例に挙げて説明する。
【0045】
ガス化ガス生成装置200は、二塔式の流動層ガス化炉であって、硅砂(珪砂)等の砂で構成される流動媒体を熱媒体として循環させる。流動媒体としての砂の流れに着目すると、燃焼炉202で1000℃程度に加熱された高温の砂は、燃焼排ガスと共に媒体分離装置204に導入され、媒体分離装置204において高温の砂と、燃焼排ガスに分離される。媒体分離装置204で分離された高温の砂は、第1ガス化炉210aに導入され、その後、第2ガス化炉210bに導入され、最終的に燃焼炉202に戻る。また、媒体分離装置204で分離された燃焼排ガスは、ボイラ等で熱回収される。
【0046】
第1ガス化炉210aにおいて、砂は、第1ガス化炉210aの下方から導入される水蒸気、窒素、空気、酸素等の気体によって流動層を形成する。流動層が形成された第1ガス化炉210aにガス化原料が供給されると、ガス化原料がガス化され、第1ガス250aを生成する。ガス化原料が石炭である場合、第1ガス250aは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンを主成分とし、タール、窒素や窒素化合物、硫黄や硫黄化合物を少量含んでいる。第1ガス250aに含まれるタールは、絶対量としては少量であるが、第2ガス250bに含まれるタールの量よりも多い。
【0047】
なお、第1ガス化炉210aは、予め、第1ガス化炉210aにおけるガス化原料の滞留時間が、第1ガス250aを生成する所定時間となるように、第1ガス化炉210aのガス化原料の移動方向の長さや、構造が設計される。なお、該ガス化原料の滞留時間は1分から5分の間で設計される。
【0048】
第2ガス化炉210bには、第1ガス化炉210aを通過した未燃ガス化原料(第1ガス250aが除かれたガス化原料)と砂が、第1ガス化炉210aから導入される。第2ガス化炉210bにおいても、砂は、第2ガス化炉210bの下方から導入される水蒸気、窒素、空気、酸素等の気体によって流動層を形成する。そして、第2ガス化炉210bにおいて、未燃ガス化原料(以下、残渣と称する)がガス化されて第2ガス250bが生成される。ガス化原料が石炭である場合、第2ガス250bは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンを主成分とし、タール、窒素や窒素化合物、硫黄や硫黄化合物を少量含んでいる。第2ガス250bに含まれるタールは、絶対量としても少量であり、第1ガス250aに含まれるタールの量よりもさらに少量である。なお、第2ガス化炉210bで第2ガス250bが除かれたガス化原料(チャー、固定炭素)は、砂とともに燃焼炉202に戻り、燃焼炉202における燃料となる。
【0049】
図2に示すような、別体で形成された第1ガス化炉210aと第2ガス化炉210bでガス化炉210を構成したり、図3に示すような、一体的に形成された第1ガス化炉210aと第2ガス化炉210bでガス化炉210を構成したりすることで、まず第1ガス化炉210aでガス化原料をガス化して第1ガス250aを生成し、所定時間経過後、第2ガス化炉210bで第2ガス250bを生成し、別々にガスを回収することにより、第1ガス250aと第2ガス250bとを効率よく分離することが可能となる。
【0050】
そして、第1ガス化炉210aで生成された第1ガス250aを改質炉220に導入し、第2ガス化炉210bで生成された第2ガス250bを、改質炉220を通過させず、合流部230に直接導入して、改質炉220で改質された第1ガス250aと合流させる。
【0051】
なお、図2および図3では、循環流動層方式のガス化炉210を例に挙げて説明したが、第1ガス250aと第2ガス250bとを分離できれば、単なる流動層方式のガス化炉や、砂が自重で鉛直下方向に流下することで移動層を形成する移動層方式のガス化炉であってもよい。
【0052】
以上説明したように本実施形態にかかるガス化ガス生成装置200によれば、ガス化炉210で生成したガス化ガスのうち、タール濃度の高い第1ガス250aのみを改質炉220に導入することで、改質炉220における酸素消費に対して、ガス化ガスから効率よくタールを除去しつつ、ガス化ガスの単位体積あたりの燃焼ガスの割合(熱量)の低減を防止することが可能となる。
【0053】
(ガス化ガス生成方法)
図4は、本実施形態にかかるガス化ガス生成装置200を用いたガス化ガス生成方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
図4に示すように、まず、第1ガス化炉210aにガス化原料が導入され(S300)、ガス化原料が第1ガス化炉210aに導入された時点から所定時間が経過するまでに生成された第1ガス250aが改質炉220に導入される(S302)。本実施形態では、第1ガス化炉210aにおけるガス化原料の滞留時間が、第1ガス250aが生成される所定時間となるように、予め第1ガス化炉210aが設計されているため、第1ガス化炉210aで生成された第1ガス250aを全量、改質炉220に導入することができる。なお、該ガス化原料の滞留時間は1分から5分の間で設計されている。
【0055】
そして、第1ガス化炉210aを通過した残渣が第2ガス化炉210bに導入されると(S304)、第2ガス化炉210bにおいて生成された第2ガス250b、すなわち、第1ガス化炉210aにおいて所定時間が経過した後に、第2ガス化炉210bで生成された第2ガス250bが、改質炉220を通過することなく、合流部230に直接導入される(S306)。
【0056】
改質炉220に導入された第1ガス250aは、改質炉220において、改質され、すなわち、第1ガス250aからタールが除去され(S308)、合流部230に導入される(S310)。そして合流部230は、改質炉220で改質された第1ガス250aと、第2ガス化炉210bで生成された第2ガス250bとを合流させ、後段の熱交換器110に送出する(S312)。このようにして送出されたガス化ガスには、タールがほとんど含まれていないこととなる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態にかかるガス化ガス生成方法によっても、改質炉220における酸素消費に対して、ガス化ガスから効率よくタールを除去しつつ、単位体積あたりの燃焼ガスの割合(熱量)の低減を防止することが可能となる。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
なお、本明細書のガス化ガス生成方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成するガス化ガス生成装置およびガス化ガス生成方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
200 …ガス化ガス生成装置
210 …ガス化炉
210a …第1ガス化炉
210b …第2ガス化炉
220 …改質炉
230 …合流部
250a …第1ガス
250b …第2ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成するガス化炉と、
前記ガス化炉にガス化原料が導入された時点から所定時間が経過するまでに生成されたガス化ガスである第1ガスを、900℃〜1500℃で改質する改質炉と、
前記ガス化炉において前記所定時間が経過した後に生成されたガス化ガスである第2ガスと前記改質炉で改質された第1ガスとを合流させる合流部と、
を備えることを特徴とするガス化ガス生成装置。
【請求項2】
前記ガス化炉は、
ガス化原料が導入される第1ガス化炉と、
前記第1ガス化炉と別体または一体的に形成され、第1ガス化炉を通過した未燃ガス化原料が導入される第2ガス化炉と、
を含んで構成され、
前記第1ガス化炉で生成されたガス化ガスが第1ガスであり、前記第2ガス化炉で生成されたガス化ガスが第2ガスであることを特徴とする請求項1に記載のガス化ガス生成装置。
【請求項3】
ガス化原料をガス化させてガス化ガスを生成するガス化炉と、導入されたガス化ガスを900℃〜1500℃で改質する改質炉とを用いたガス化ガス生成方法であって、
前記ガス化炉にガス化原料が導入された時点から所定時間が経過するまでに生成されたガス化ガスである第1ガスを前記改質炉に導入し、
前記ガス化炉において前記所定時間が経過した後に生成されたガス化ガスである第2ガスと前記改質炉で改質された第1ガスとを合流させることを特徴とするガス化ガス生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−111847(P2012−111847A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261926(P2010−261926)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)