説明

ガス化炉

【課題】冷却部の側壁に付着した溶融スラグを除去し、かつ、ガス化炉内の温度低下を低減することにある。
【解決手段】微粉炭9をガス化剤11でガス化反応させて生成ガス4を生成するとともに、微粉炭9中の灰分を溶融スラグ8とするガス化部3と、ガス化部3から流下される溶融スラグ8を底部に貯留した冷却水13に落下させて冷却する冷却部5と、冷却部5に設けられ側壁に沿って冷却水13の液面に向けて気体を噴射するスートブローノズル31を備え、冷却部5の側壁に付着した溶融スラグ8にスートブローノズル31から噴射した気体を衝突させて溶融スラグ8を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化炉に係り、特に、炭素含有固体原料中の灰分を溶融させた溶融スラグを冷却して排出するガス化炉に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、炭素含有固体原料とガス化剤、例えば、石炭を空気で部分燃焼させ、部分燃焼で発生させた熱で石炭をガス化反応させて生成ガスを生成するとともに、石炭中の灰分を溶融して溶融スラグとして流下させる竪型のガス化炉が提案されている。そして、ガス化炉の底部に冷却水を貯留した冷却部を接続し、流下させた溶融スラグをガス化炉の下部に設けた孔から冷却水に落下させて排出するようにしている。特に、同文献によれば、落下させた溶融スラグが飛散して冷却部の側壁に付着するのを抑止するため、冷却部の側壁に設けたノズルから水又は水蒸気を噴射して、溶融スラグの落下路の周りに水又は水蒸気の壁を作るようにしている。これによれば、飛散した溶融スラグを水又は水蒸気の壁に衝突させて冷却水へ落下させることができるから、溶融スラグが冷却部の側壁に付着することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−85343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、噴射した水を溶融スラグに衝突させると、噴射した水の分だけガス化炉から排出される水が増加して、排水の処理量が増加するという問題がある。
【0005】
一方、水蒸気は密度が小さいから溶融スラグを落下させにくく多量の水蒸気を噴射することになり、多量の水蒸気がガス化炉内に侵入して、ガス化炉内の温度も低下するという問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、冷却部の側壁に付着した溶融スラグを除去し、かつ、ガス化炉内の温度低下を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のガス化炉は、炭素含有固体原料をガス化剤でガス化反応させて生成ガスを生成するとともに、炭素含有固体原料中の灰分を溶融スラグとするガス化部と、ガス化部から流下される溶融スラグを底部に貯留した冷却水に落下させて冷却する冷却部と、冷却部に設けられ側壁に沿って冷却水の液面に向けて気体を噴射するノズルを備えたことを特徴とする。
【0008】
これによれば、冷却部の側壁に付着した溶融スラグに向けて気体を噴射できることから、付着した溶融スラグを冷却部の側壁から除去できる。そして、溶融スラグの付着量などに応じて気体の噴射量を調整でき、ガス化部に侵入する気体の量を少なくできるから、ガス化炉の温度低下を低減できる。
【0009】
この場合において、気体の噴射を間欠的にすることで、気体の噴射量を一層少なくすることができる
【0010】
また、噴射する気体をガス化反応に不活性な気体、例えば、窒素ガスや生成ガスとすることができる。特に、生成ガスを噴射すると、冷却部で噴射した気体によりガス化部で生成した生成ガスが希釈されないから、生成ガスの熱量が低下することを防止できる。
【0011】
また、複数のノズルを設ける場合は、冷却部の側壁を水平方向に複数の領域に分けて各領域毎にノズルを設け、各領域毎に気体を間欠的に噴射して、気体の噴射量を少なくすることができる。
【0012】
一方、冷却水の貯留量が多くなりすぎるとガス化炉の運転に支障がある場合、冷却水の水位を測定して、水位が設定水位を超えた場合にガス化炉の運転を停止する停止手段を設けることがある。この場合、気体を噴射して付着した溶融スラグを側壁から冷却水に落下させると、冷却水の液面が波打って一時的に設定推移よりも上昇し、停止手段がガス化炉の運転を停止する場合がある。そのため、気体を噴射している間は停止手段を止めることで、ガス化炉が停止することを防止でき、ガス化炉を長時間安定運転できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、冷却部の側壁に付着した溶融スラグを除去でき、かつ、ガス化炉内の温度低下を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態1のガス化炉の概略構成図である。
【図2】図1のスートブローノズル位置の水平断面図である。
【図3】図1のスートブローノズルの拡大図である。
【図4】制御手段の制御を例示した図である。
【図5】本発明の実施形態2のガス化炉を含むガス化プラントの概略構成図である。
【図6】本発明の実施形態3のガス化炉の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
(実施形態1)
図1は実施形態1のガス化炉の概略構成図であり、図2は図1のスートブローノズルの位置の水平方向の断面図であり、図3は図1のスートブローノズルの拡大図である。図示のように実施形態1のガス化炉1は、円筒状の竪型のガス化炉1で、炉頂には図示していない生成ガスの排出口が形成され、炉底には図示していないスラグの排出口が形成されている。ガス化炉1の上部にはガス化部3が形成され、下部には冷却部5が形成されている。
【0016】
ガス化部3は、炭素含有固体原料をガス化剤でガス化反応させて生成ガス4を生成するとともに、炭素含有固体原料中の灰分を溶融して溶融スラグ8とするようになっている。ガス化部3の側壁にはバーナ7が設けられている。バーナ7には、図示していない供給設備から炭素含有固体原料とガス化剤、例えば、微粉炭9と酸素11が供給されるようになっている。バーナ7は、微粉炭9と酸素11を噴射して、ガス化部3内に旋回流を形成できるようになっている。なお、酸素11に代えて、酸素富化空気を用いることができる。
【0017】
冷却部5は、ガス化部3から流下される溶融スラグ8を底部に貯留した冷却水13に落下させて冷却するようになっている。冷却部5の側壁には、鉛直方向に水が通流する水冷管14が埋設されている。隣り合う水冷管14管は、メンブレンバー16で接続されている。水冷管14の側面の一部は冷却部5内に露出するようになっている。冷却部5の上部には助燃バーナ15が設けられている。助燃バーナ15には、図示していない供給設備から重油、天然ガス、精製した生成ガス4などの燃料17と空気などの酸化剤19が供給されるようになっている。冷却部5の下部の冷却水13中には、スラグクラッシャ21が設けられている。スラグクラッシャ21は、冷却水13中を沈降してきた水砕スラグ23をガス化炉1の底部の排出口から排出できる大きさに粉砕するようになっている。スラグクラッシャ21には、モータ25が接続されている。モータ25は、スラグクラッシャ21を所定の回転数で回転駆動するようになっている。
【0018】
ガス化部3と冷却部5の間には、スラグタップ27が設けられている。スラグタップ27には、ガス化炉1の側壁から軸中心に向けて下方に傾斜させた傾斜部28が形成されている。スラグタップ27のガス化炉1の軸中心には、ガス化部3の側壁を流下した溶融スラグ8を冷却水13へ落下させる孔34が形成されている。
【0019】
次に、実施形態1のガス化炉1の特徴構成を説明する。スラグタップ27の直下の冷却部5の側壁には、スートブローノズル31が設けられている。スートブローノズル31は、冷却部5の側壁を位置29で水平方向に複数の領域、例えば、領域30a、30b、30c、30dの4つの領域分け、各領域毎に複数設けられている。スートブローノズル31は、冷却部5の側壁の周方向に沿って同じ高さの位置に設けられている。スートブローノズル31には、図示していない供給設備から昇圧した気体、例えば、窒素ガスが供給されるようになっている。スートブローノズル31の先端には、冷却部5の側壁に沿って冷却水13の液面に向けて窒素ガスを噴射する噴射口36形成されている。スートブローノズル31の後端側には、窒素ガスが通流する配管32が接続されている。配管32は分岐して形成され、各領域毎に1つずつ設けられ、1つの配管32を各領域の複数のスートブローノズル31に接続できるようになっている。各配管32には、窒素ガスの流量を所定の流量に調整する調整弁33と、調整弁33の上流側に設けられ、配管32内の流路を遮断する遮断弁35が設けられている。遮断弁35には、制御手段37が接続され、遮断弁35の開閉を制御するようになっている。
【0020】
このように構成される実施形態1のガス化炉1の動作を説明する。バーナ7からガス化部3内に供給した微粉炭9を酸素11で部分燃焼して熱を発生させる。この熱により、微粉炭9と酸素11をガス化反応させ、水素や一酸化炭素を含む生成ガス4を発生させる。さらに、ガス化部3の温度を微粉炭9中の灰分の融点以上に維持し、微粉炭9中の灰分を溶融して溶融スラグ8とする。溶融スラグ8は、ガス化部3内の旋回流による遠心力でガス化部3の側壁に付着して重量により流下する。流下した溶融スラグ8は、スラグタップ27の傾斜部28に沿って孔34に導かれ、孔34から自重により冷却部5に落下する。この際、溶融スラグ8は、助燃バーナ15からの熱風で加熱されて孔34を流下しやすくなる。落下した溶融スラグ8は、冷却水13により急冷されて固化するとともに、熱応力により粉砕されて水砕スラグ23となる。水砕スラグ23は、冷却水13中を沈降してスラグクラッシャ21により所定の粒径に粉砕されてガス化炉1から排出される。
【0021】
次に、実施形態1の特徴動作を説明する。孔34から落下した溶融スラグ8は、ガス化部3内の旋回流や助燃バーナ15から吹き付けられた熱風により冷却部5内を広がりながら落下する。そのため、溶融スラグ8の一部は冷却部5の側壁に付着する。冷却部5の側壁は水冷管14により温度を低く維持されているから、溶融スラグ8は付着したまま冷却部5の側壁で固化する。固化した溶融スラグ8に、飛散した溶融スラグ8が付着して、冷却部5の側壁で溶融スラグ8が次第に成長する。また、付着した溶融スラグ8が助燃バーナ15からの熱風を受けると、溶融スラグ8の表面が焼結して強度が上がる。この溶融スラグ8は自重で脱落することも多いが、温度が下がり強度が上がった溶融スラグ8は冷却水13で粉砕されにくい。そして、固化した溶融スラグ8が大きな塊のまま冷却水13中を沈降するから、スラグクラッシャ21やスラグの排出口を閉塞させることがある。そのため、スートブローノズル31から噴射した高圧の窒素ガスを付着した溶融スラグ8に衝突させて、付着した溶融スラグ8を冷却水13に落下させて、冷却部5の側壁から除去する。
【0022】
また、制御手段37は、領域30a、30b、30c、30dの各々に接続された遮断弁35を順次開閉して、スートブローノズル31の窒素ガスの噴射を間欠的にする。ここで、図4を使用して窒素ガスの噴射時間(T1)、噴射停止時間(T2)、噴射周期(T3)について説明する。制御手段37は領域30aに接続された配管32の遮断弁35のみをT1の間、例えば、2秒間空ける。これにより、領域30aに設けられたスートブローノズル31から2秒間窒素ガスが噴射される。そして、制御手段37はT1が経過したのち遮断弁35を閉じて、領域30aの窒素ガスの噴射を停止する。そして、遮断弁35を閉じてT2が経過した後、例えば、10秒経過した後、領域30bに接続された配管32の遮断弁35のみを2秒間空け、領域30bに設けたスートブローノズル31から窒素ガスを噴射する。窒素ガスを2秒間噴射した後、遮断弁35を閉じる。この動作を領域30c、30dでも同様に行う。つまり、制御手段37は、30a、30b、30c、30dの順に窒素ガスを噴射し、かつ、1つの領域が窒素ガスを噴射している間は他の領域で窒素ガスを噴射しない制御を行う。そして、制御手段37がこの制御をT3の周期、例えば、6時間周期で行うことで、窒素ガスを間欠的に噴射でき、付着した溶融スラグ8を冷却部5の側壁から定期的に除去できる。
【0023】
これによれば、冷却部5の側壁から溶融スラグ8を定期的に除去できるから、成長した溶融スラグ8によりスラグクラッシャ21やスラグ排出口が閉塞することを抑制でき、ガス化炉1を安定運転できる。そして、窒素ガスを間欠的に噴射して、窒素ガスの噴射量を少なくできるから、ガス化部3に侵入する窒素ガスの量を少なくでき、ガス化部3の温度低下を低減できる。さらに、窒素ガスの噴射量を少なくできることから、噴射した窒素ガスにより生成ガス4が希釈することを低減でき、生成ガス4の熱量を高く維持できる。
【0024】
また、冷却部5の側壁に付着した溶融スラグ8は、付着力が弱く容易に除去できることから、窒素ガスの噴射量を少なくできる。
【0025】
なお、実施形態1は、窒素ガスの噴射を間欠的にしているが、調整弁33に制御手段37を接続し、調整弁33の開度を調整して窒素ガスの流量を適宜増減させて、窒素ガスを連続的に噴射することができる。
【0026】
また、実施形態1は、複数のスートブローノズル31を1つの遮断弁35で制御しているが、各スートブローノズル31に遮断弁35を設けることができる。
【0027】
また、スートブローノズル31の設置位置や数は実施形態1に限定されるものではなく、ガス化炉1の大きさや石炭に含まれる灰分の量、付着性などに応じて適宜選択できる。
【0028】
また、スートブローノズル31から噴射する気体は窒素ガスに限定されるものではなく、ガス化反応に不活性な気体や、生成ガス4と反応しない気体などを使用することができる。
【0029】
(実施形態2)
図5に実施形態2のガス化炉の概略構成図を示す。実施形態2が実施形態1と相違する点は、スートブローノズル31から窒素ガスに代えて生成ガスの一部を噴射している点である。さらに、ガス化炉1から排出された生成ガス4に含まれるチャーを捕集してガス化炉1に供給してガス化している点である。その他の構成は実施形態1と同一であるから、同一の符号を付して説明を省略する。なお、図5は説明をわかりやすくするため実施形態2のガス化炉を含むガス化プラントを図示したが、本実施形態は図示したガス化プラントに限定されるものではない。
【0030】
ガス化炉1の頂部には、配管を介して生成ガス4の熱を回収する熱回収ボイラ45が接続されている。熱回収ボイラ45内には、生成ガス4と熱交換する熱媒体が通流する伝熱管47が設けられている。熱回収ボイラ45の底部には、配管を介して生成ガス4中のチャーを回収するチャー回収手段49が接続されている。チャー回収手段49は、例えば、バグフィルタ51とサイクロン53により構成され、生成ガス4からチャーを分離できるようになっている。チャー回収手段49は、ホッパ54を介して図示していないガス化炉1の側壁に設けたチャーバーナにチャーを供給できるようになっている。チャーが分離された生成ガス4は、ガス精製手段55に導入されるようになっている。ガス精製手段55から排出された精製された生成ガス57は一部が分岐されてガス圧縮手段59を介してスートブローノズル31に生成ガス57を供給できるようになっている。
【0031】
このように構成される実施形態2の動作を説明する。ガス化炉1で生成した生成ガス4は、熱回収ボイラ45により熱回収され、チャー回収手段49に導入される。チャー回収手段49は、生成ガス4をバグフィルタ51とサイクロン53を通過させて、生成ガス4からチャーを分離する。分離したチャーはホッパ54に貯留され、ホッパ54の底部に設けた図示していない供給手段によりガス化炉1のガス化部3に供給され、チャーとガス化剤を反応させて生成ガス4を生成する。
【0032】
一方、チャーを分離した生成ガス4は、ガス精製手段55に導入され、生成ガス中の硫黄化合物や窒素化合物が除去され、精製された生成ガス57として排出される。生成ガス57は、一部が分岐されてガス圧縮手段59に導入され、残分は原料ガスやガスタービンなどの燃料ガスとして使用される。ガス圧縮手段59に導入された生成ガス57は昇圧され、スートブローノズル31から噴射される。
【0033】
これによれば、スートブローノズル31から生成ガス57を噴射して付着した溶融スラグ8を除去できることから、冷却部5で噴射した気体により生成ガス4が希釈されて生成ガス4の熱量が低下することを防止できる。
【0034】
(実施形態3)
図6に実施形態3のガス化炉の要部構成図を示す。実施形態3が実施形態1と相違する点は、冷却部5の底部に供給する冷却水13の流量を制御する流量制御手段61を設けた点である。さらに、冷却水13の水位を測定して水位を設定水位に制御する水位制御手段63と、水位が設定水位を超えた場合にガス化炉の運転を停止する停止手段65を設け、窒素ガスを噴射している間は停止手段65を止めている点である。その他の構成は実施形態1と同一であるから、同一の符号を付して説明を省略する。なお、図6は、助燃バーナ15とガス化炉1の外壁の記載を省略して図示をわかりやすくしたものである。
【0035】
流量制御手段61は、流量計67で測定したガス化炉1に供給する冷却水13の流量を測定し、測定した流量に応じて調整弁69の開度を調整し、冷却水を一定の流量で冷却部5に供給でき、スラグとともに排出された冷却水13を補充できるようになっている。
【0036】
水位制御手段63は、冷却水13の水位を測定する水位測定手段71と、ガス化炉1からの冷却水13の排出量を調整する調整弁73で構成されている。水位制御手段63は、水位測定手段71で測定した冷却水13の水位に応じて調整弁73を空けて冷却水13を排水し、冷却水13の水位を所定の範囲に制御している。水位測定手段71は、周知の水位センサを適用することができる。例えば、冷却部5の水位の上下を連通する連通管を設けて、その連通管内の水位を電磁フロートなどにより検出するセンサを用いることができる。調整弁73は、冷却水13を排水する配管に設けられ、弁の開度を調整して冷却水13の排出量を調整できるようになっている。
【0037】
停止手段65には、遮断弁35を開閉する制御手段37と水位測定手段71が接続されている。停止手段65は、水位測定手段71で測定した水位が設定水位を超えると、ガス化炉1の運転を停止するようになっている。また、停止手段65は、制御手段37が遮断弁35を開けてスートブローノズル31から窒素ガスを噴射している間は、ガス化炉1の運転を停止する動作が止まるようになっている。さらに、停止手段65は、制御手段37が遮断弁35を閉じてスートブローノズル31からの窒素ガスの噴射が止まると、止めた動作を再開するようになっている。
【0038】
これによれば、窒素ガスを噴射している間は停止手段65の動作を止めていることから、噴射した窒素ガスや落下した溶融スラグ8が冷却水13の水面を波打たせて冷却水13の水位が設定水位を超えても、ガス化炉1が停止することを防止できる。つまり、窒素ガスの噴射や落下した溶融スラグ8が冷却水13の水面を上昇させるのは一時的であり、ガス化炉1の運転を停止する必要がないから、停止手段65を止めることでガス化炉1を安定して長時間運転することができる。
【0039】
なお、スートブローノズル31から窒素ガスを噴射している間は、水位制御手段63が調整弁73を開けて冷却水13を排出する動作も止め、窒素ガスの噴射による冷却水13の排出量の増加を防止できる。
【符号の説明】
【0040】
1 ガス化炉
3 ガス化部
4 生成ガス
5 冷却部
8 溶融スラグ
31 スートブローノズル
35 遮断弁
65 停止手段
71 水位測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有固体原料をガス化剤でガス化反応させて生成ガスを生成するとともに、前記炭素含有固体原料中の灰分を溶融スラグとするガス化部と、該ガス化部から流下される前記溶融スラグを底部に貯留した冷却水に落下させて冷却する冷却部と、該冷却部に設けられ側壁に沿って前記冷却水の液面に向けて気体を噴射するノズルを備えてなるガス化炉。
【請求項2】
請求項1に記載のガス化炉において、
前記気体は、窒素ガス又は前記生成ガスであることを特徴とするガス化炉。
【請求項3】
請求項1に記載のガス化炉において、
前記ノズルには、前記気体を間欠的に噴射する制御手段が備えられることを特徴とするガス化炉。
【請求項4】
請求項3に記載のガス化炉において、
前記冷却部の側壁を水平方向に複数の領域に分けて各領域毎に前記ノズルが備えられ、前記制御手段は前記領域毎に前記ノズルの前記気体の噴射を制御することを特徴とするガス化炉。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のガス化炉において、
前記冷却水の水位を測定する測定手段と、前記冷却水の水位が設定水位を超えた場合に前記ガス化炉の運転を停止する停止手段を備え、
前記ノズルが前記気体を噴射している間は前記停止手段の動作を止めることを特徴とするガス化炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−195781(P2011−195781A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66785(P2010−66785)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)