説明

ガス清浄器

流体の補助でガス中粒子を除去するためのガス清浄器は、少なくとも二つの混合チャンバ(4)を備えたフィルターを具備し、各混合チャンバ(4)は、流体取り込み空間(9)と、各混合チャンバ(4)内に配置された、孔を備えた噴霧器(12)とを有し、ガスはその孔を通過せしめられ、これによって、ガス中粒子を除去するための泡が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の補助でガス中粒子を除去するためのガス清浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
清浄な空気についての要求が、産業界、例えば、半導体産業、食品産業、及び医療/獣医の医療分野において、今日非常に大きい。さらに、特に、閉じ込められた空間内における吸入空気に関して言えば、改善された衛生状態に対する要求はこの上なく高い。
【0003】
空気で満たされた部屋及び建物は種々のタイプの浮遊粒子を含みうる。大きな粒子は、種々のタイプの粉塵から成り且つ多くの種々の源からもたらされうる。小さな粒子は、植物の花粉、バクテリア、及びウィルスでありうる。
【0004】
空気は、機械的なフィルターの補助で、粉塵、花粉、及び同様の浮遊粒子から清浄にされることができる。しかしながら、胞子、バクテリア、及びウィルスのような小さな粒子はフィルター内において小さなメッシュサイズを必要とするが、小さなメッシュサイズは粉塵のような大きな粒子によって直ぐに塞がれる。
【0005】
現在のところ、真空清浄器の構造において、フィルターバッグは水槽によって置き換えられ、空気は水槽内に導かれ、ここで、異なるサイズの粒子が多かれ少なかれ効果的に水槽に付着する。バクテリア及びウィルスのような小さな粒子について、これらが、噴霧された水のカーテン内の小さな水滴、すなわち水霧内の小さな水滴によって捕捉され、その後、浄化された空気から分離せしめられうることが知られている。
【0006】
食肉店、食品産業、研究所、及び病院において、浮遊粒子、無機粒子、並びに有機化合物及び感染体の量を減少させることが重要である。航空機、電車、事務所の建物、及び家においても、空気を清浄にすることは必要であり又は望まれる。
【0007】
全ての度合において空気の浄化は非常に重要でありうる。空気の浄化の大きな度合について、例えば、花粉、胞子、バクテリア、及びウィルスについての空気の浄化について、システムの複雑さ、コスト、及びメンテナンスが増加する。
【0008】
他のタイプのガス又はガス混合物、例えば、プラントを発電する動力ガスからの天然ガスと、種々のタイプの燃焼からの煙ガスとに関して言えば粒子も問題である。
【0009】
このため、単純且つ好ましくは実質的にメンテナンスフリーのガス清浄器システムであって、それでもなおガス中粒子について広帯域において比較的有効であるガス清浄器システムについての要求が存在する。ここで、小さな粒子を除去するのに必要とされる小さなメッシュサイズが直ぐに塞がれて交換されなければならないので、流体に基づくシステムは機械的なフィルターよりも好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一つの目的は、ガスの組成に望ましくない効果を与えることなく且つガスの後処理を要求することなく、効率的な態様においてガス中粒子を除去するためのガス清浄器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このことは、独立クレームにおいて定義されるような本発明に係る装置を用いて達成される。
【0012】
本発明の発展形及び好ましい実施形態は下位クレームにおいて定義される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る装置の一つの実施形態の概略図を示す。
【図2】図2は、噴霧器を備えたキャップの上方からの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、添付の図面において示される発明に係るガス清浄器の例示的な実施形態を参照して、以下、より詳細に記述される。
図1では、粗目フィルター3を備えたガス注入口2を有するベースチャンバ1を備えたフィルターの形態における本発明に係る装置の第1実施形態が概略的に示される。
【0015】
ガスの流れ方向において見ると、ベースチャンバ1の後に、少なくとも二つの混合チャンバ4が互いの後に連続して配置される。混合チャンバ4のベース5が、ベースチャンバ1と、下部の混合チャンバの上方の境界壁とをそれぞれ構成し、且つ、好ましくは円錐テーパ状のガスの流れ方向において、混合チャンバ内に導くガス出口6を具備する。ガス出口の制限壁7が混合チャンバ4の壁8と共に混合チャンバ内の流体取り込み空間9の境界を定める。
【0016】
混合チャンバ4内にはキャップ10が配置され、キャップ10はガス出口6を覆って配置され且つ外側に少し離れて下方に向かって制限壁7を所定の距離だけ越えて流体取り込み空間9内の混合チャンバのベースの上方へ延在する。示される実施形態では、ディスク状孔(hole disc)の形態の孔11が提供された噴霧器12がキャップの下縁に配置され且つキャップの下縁と接続される。
【0017】
流体取り込み空間には流体13が配置される。フィルターが使用されていないとき、流体13の高さは好ましくは噴霧器12よりも上方である。
【0018】
ガスの流れ方向において見ると、フィルターは、好ましくは円錐テーパ状の頂部14と、ガス出口孔15、及び飛沫フィルター(splash filter)16を更に具備する。
【0019】
図2では、リング形状の噴霧器12を備えたキャップ10の概略図が示され、リング形状の噴霧器12はキャップ10の下縁上に配置される。噴霧器の役割は、ガスが、流体と共に、ガスで満たされた気泡(bubble)を有する泡(foam)を形成するようにガスを霧状にすることである。図1において示された、孔が提供されたディスクの代わりに、噴霧器は、図に暗に示されるように、例えば区域内において懸架された、小さなメッシュサイズを有するネット(net)又は格子から成ってもよい。噴霧器は、貫通チャネルを示す材料、又は材料内に結合された空洞を含む材料からも製造されることができ、ガスはこれら材料を通って霧状にされる。
【0020】
通路のサイズの選択は、使用される液体だけでなく、粒子状不純物の予想されるサイズにも依存しうる。
【0021】
サイズが変化する粒子状不純物を有するガスの浄化では、連続して接続された混合チャンバ内の噴霧器の通路のサイズは、次第に減少する小さなサイズで構成されることができる。
【0022】
図1においてガスの流れが矢印Pで暗に示される。浄化されるべきガスはフィルターを通してファン又はその均等物によって吸い込まれ又は押し付けられる。したがって、流体13の一部は、図の右側において17で暗に示されるように、噴霧器12内の孔11を通して押圧される。ガスの流れは、霧状にされて、流体と共に泡18を形成する気泡にされる。したがって、ガス中粒子は泡の気泡の内側及び外側の流体表面上に付着する。
【0023】
圧力差及び重力によって泡の気泡は破裂し、このことによって、浄化されたガス又は部分的に浄化されたガスが放たれる。
【0024】
付着した汚れ粒子を有する、破裂した泡からの流体は、泡の頂部から周辺に向かって外側に流れ、その後、泡の側部及び/又は混合チャンバの壁8に沿って流れて、噴霧器のディスクを示す孔の上方及び下方のリング形状のチャンバ内の流体貯蔵部13に戻る。
【0025】
ガス出口6と、キャップ10とガス出口を囲んでいる壁7との間の隙間とを通って前記流体取り込み空間9における流体13内において下方に流れるガスの捕捉、すなわち前記流体取り込み空間9における流体13内において下方に流れるガスの捕捉を改善するために、19で暗に示されるように、境界が噴霧器の外周に配置されることができる。
【0026】
フィルター内において使用される流体は、存在する使用状態について最適なフィルター機能のために選択されることができる。このため、流体は、水、オイル、又はその他適切な流体にされうる。ガスがフィルターを通過するときに、浄化されるガスの湿度が増加することを避けるのが望ましい場合、好ましくは、存在する圧力及び温度において気化しない流体、例えばオイル又はグリセロールが使用される。
【0027】
水を使用するとき、水は適切な時間間隔で清浄な水によって置き換えられることができる。低い蒸気圧を有するオイル又は他の流体が使用されるとき、オイル又は他の流体は、好ましくは連続的に捌けることができ、又はフィルターがフィルターとして働かないときには清浄にされることができ、その後、フィルター内に送り戻されることができる。
【0028】
示される実施形態では、フィルターは二つの混合チャンバを示す。バクテリア、ウィルス等のような極端に小さな粒子が除去される場合、フィルターは任意の数の混合チャンバの段を具備することができる。
【0029】
交互に続く混合チャンバの段において異なるタイプの流体を配置することも可能である。
【0030】
飛沫フィルター16は、多層化された薄いメッシュから成ることができ、浄化されたガスは、多層化された薄いメッシュを通って流れる。フィルター内において、破裂する泡の気泡からの流体の飛沫が捕捉される。また、飛沫フィルターは、ガス内に残りうる流体の気泡の表面張力を破るために、帯電せしめられ又は静電フィルターに結合されることができる。
【0031】
空気を浄化する際に、このときの気温において低い蒸気圧を有する流体、例えば、オイル、グリセリン、又は他の無毒流体を使用することによって、空気の湿度が浄化の際に変化しないという大きな利点が実現される。この文脈において、低い蒸気圧とは、流体が、存在する圧力及び温度において気化されることなく、このため、浄化された空気内に実質的に存在しないことを意味する。
【0032】
例えば、起こりうる湿気の増加が不利にならない、湿気が既に非常に高い又は低い国及び建物では、好ましくは水が空気清浄において流体として使用される。このため、泡の生産量を高めるために、界面活性剤、又は泡を促進する他の添加剤を加えることは有利でありうる。
【0033】
所望の空気の湿気を得るために、水が、フィルター内の、低い蒸気圧を有する流体に加えられることができる。このことは、流入する空気の測定された湿度に基づいて行われてもよく、このことによって、空気の浄化と同時に、制御された湿気の増加が例えば建物内において実現されることができる。
【0034】
最も清浄な流体が最後の段において存在し且つ最も汚染された流体が(汚染された空気中の最も大きな粒子が捕捉される)最初の段において存在するように、流体が、例えばサイフォン効果によって、最も近い下部の段に徐々に捌けるようにフィルター内の最後の段において加えられることは有利でありうる。このため、最初の段における流体が、上述されてきたように定期的に浄化され、その後、最後の段における工程において戻されることができる。このとき、流体フィルター及び流体ポンプが装置の底部に設置されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の補助でガス中粒子を除去するためのガス清浄器であって、
汚染されたガス(P)のための注入口(2)及び浄化されたガス(P)のための出口(15)を備えたフィルターと、該フィルター内に配置された流体(13)とを具備し、ガスが前記フィルターを通して吸い込まれ又は押し付けられる、ガス清浄器において、
粗目フィルター(3)が備えられたガスの注入口(2)を有するベースチャンバー(1)と、
少なくとも二つの混合チャンバ(4)であって、各混合チャンバ(4)が、中央のガス出口(6)と、該ガス出口を囲む壁(7)とを有する開頂部を備えた容器を具備し、且つ、このことによって、前記容器の外壁(8)と、前記ガス出口を囲む前記壁(7)との間に流体取り込み空間(9)を構成し、キャップ(10)が、前記中央のガス出口を覆って配置され、且つ、前記流体取り込み空間(9)内に下向きに延在するように配置されて、当該キャップ(10)の下縁に噴霧器を示し、該噴霧器が、前記流体と共に泡を形成するガスの気泡を生成する、少なくとも二つの混合チャンバ(4)と、
飛沫フィルター(16)及びガス出口孔(15)を具備する、頂部(14)の形態の出口部と
を示すことを特徴とする、ガス清浄器。
【請求項2】
前記ガスの流れ方向において見ると、上流の混合チャンバ(4)内の噴霧器(12)が下流の混合チャンバ(4)内の噴霧器(12)よりも大きな孔(11)を有することを特徴とする、請求項1に記載のガス清浄器。
【請求項3】
前記流体が、存在する圧力及び温度において気化しない流体、例えば、オイル、グリセロール、又はこれらと均等な低い蒸気圧を有する他の無毒流体であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガス清浄器。
【請求項4】
前記流体が、水、場合によっては、表面張力を減少させる薬剤を含む水であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガス清浄器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−516774(P2012−516774A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549122(P2011−549122)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050121
【国際公開番号】WO2010/090585
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511189388)
【Fターム(参考)】