説明

ガス絶縁母線

【課題】熱伸縮による母線への力を抑制するとともに、地震による力に対しては、その方向に係わらず母線タンクの変位を抑制する支持構造を備えたガス絶縁母線を提供すること。
【解決手段】母線タンク35を架台6に取り付ける一方の取付部である取付部A2,B3においては、母線タンク35を、母線タンク35の軸方向(X方向)、この軸方向に垂直な水平方向(Y方向)および鉛直方向(Z方向)のいずれにも動かないように固定する。母線タンク35の他方の取付部である取付部C4,D5においては、母線タンク35を、Y,Z方向には固定しX方向には可動に構成する。地震発生時には、架台6に設けられたラッチ部を上昇させ、母線タンク35に接続されたラッチ部と接触させることにより母線タンク35をX方向についても固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁母線に関し、特にその支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1では、従来のガス絶縁母線の支持構造として、母線タンクを支える摺動脚が開示されている。この摺動脚は摺動部と台座部とにより構成されている。摺動部は、母線タンクを下側面から支える一対の脚からなる。台座部は、母線軸に直交する方向に延在する部材からなり、基礎上に固定されている。また、台座部の両端の上面には、一対の摺動脚の底面が搭置される。そして、摺動部の底面と台座部の上面との間に設けられた摺動面を介して、摺動部が台座部上を摺動可能な構成となっている。
【0003】
さらに、台座部の上方には水平方向に延伸する梁部が設けられ、その両端はそれぞれ一対の摺動部に固定されている。また、梁部と台座部との間にはロック機構が設けられている。このロック機構は、梁部側に固定されピンおよびばねを収容するケースと、台座部側に固定された受け台とを備えている。
【0004】
ケース内のピンは、鍔部とその下面に設けられた突出部とを備え、鍔部の上面にはばねの先端が当接している。また、ケースの下面には穴が形成され、ばねに付勢されたピンの突出部が、この穴から下方に突出している。
【0005】
一方、受け台は、その中央に平坦部を有し、ケースの穴から突出したピンの突出部の先端が当接している。また、母線軸直交方向における受け台の両端部には、突出部が挿入可能な溝が形成されている。
【0006】
このように構成された従来のガス絶縁母線の支持構造では、地震時に母線軸直交方向に力が加わり、同方向に変位が生じた場合には、ばねによって付勢されたピンの突出部が受け台の両端部のいずれかの溝に入り、この溝により突出部が係止されるので、母線軸直交方向の変位は拘束される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−122762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のガス絶縁母線の支持構造では、地震時に母線軸方向に力が加わる場合には、ピンの突出部が受け台のいずれの溝に入ったとしても、突出部は溝に沿って母線軸方向に移動するため、母線軸方向の変位を抑制できないという問題点があった。
【0009】
また、一般に、ガス絶縁母線と基礎との間の熱膨張差によってガス絶縁母線には熱応力が発生する。そのため、ガス絶縁母線の支持構造では、このような熱応力を抑制する構造が必要とされている。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、熱伸縮による母線への力を抑制するとともに、地震による力に対してはその方向に係わらず母線タンクの変位を抑制する支持構造を備えたガス絶縁母線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるガス絶縁母線は、絶縁ガスを封入した筒状のタンク内に導体が収納され、前記タンクが架台によって基礎上に支持されたガス絶縁母線において、前記タンクを前記架台に固定する一方の取付部と、前記タンクに取り付けられたタンク側取付部材と、前記架台に取り付けられ、前記タンク側取部材を前記タンクの軸方向に垂直な方向および鉛直方向に固定するとともに前記軸方向には可動に取り付ける架台側取付部材とを具備して、前記一方の取付部に対して前記軸方向に設けられた他方の取付部と、前記タンク側取付部材の前記軸方向の移動を拘束可能なラッチ機構と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本実施の形態によれば、タンク側取部材をタンクの軸方向に垂直な方向および鉛直方向に固定するとともに軸方向には可動に取り付け、さらにタンク側取付部材の軸方向の移動を拘束可能なラッチ機構を設けるようにしたので、ガス絶縁母線と基礎との間の熱膨張の差による熱応力を抑制するとともに、地震時にはその方向に係わらずタンクの変位を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるガス絶縁母線の概略構成図である。
【図2】図2は、母線タンクの取付部C4のX−Z平面に平行な面による断面図である。
【図3】図3は、母線タンクの取付部C4のY−Z平面に平行な面による断面図である。
【図4】図4は、取付部C4の組み立て工程の一部を示した斜視図である。
【図5】図5は、実施の形態2にかかるガス絶縁母線の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかるガス絶縁母線の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかるガス絶縁母線の概略構成図である。図1に示すように、ガス絶縁母線1は、主たる構成要素として、内部に図示しない母線等を具備し、略水平に延設された例えば円筒状の母線タンク35と、基礎7上に固定され、母線タンク35を支持搭載する架台6と、母線タンク35の例えば下側面に設けられ、母線タンク35を架台6に取り付ける例えば4箇所からなる取付部A2,B3,C4,D5と、架台6に取り付けられた油圧装置8と、母線タンク35の加速度を検出する機能を有し、地震による加速度を検出した場合にケーブル10を介して地震情報信号を油圧装置8に送出する加速度計9と、例えば気象庁が発信する緊急地震速報を受信し、ケーブル12を介して地震情報信号を油圧装置8に送出する緊急地震速報受信装置11と、を備えている。なお、以下では、母線タンク35の軸方向をX方向、X方向に対して垂直な水平方向をY方向、鉛直方向をZ方向とする。
【0016】
取付部A2,B3(一方の取付部)は母線タンク35を挟んでY方向に対向して配置され、ともに同じ構成である。母線タンク35は、架台6に対して、X,Y,Z方向のいずれの方向にも動かないように、例えばボルト(図示せず)などを用いて取付部A2,B3により架台6に固定されている。
【0017】
取付部C4,D5(他方の取付部)は母線タンク35を挟んでY方向に対向して配置され、ともに同じ構成である。取付部C4,D5は、母線タンク35をY,Z方向に関しては架台6に固定するとともに、X方向に関しては可動な構造とするが、例えば加速度計9が加速度を検出した場合など、地震発生時に作用する力に対してはX方向に関して固定する構造とする。
【0018】
なお、図1では、母線単体に対する支持構造を示しているが、母線タンク35を軸方向に複数連結した場合も同様である。以下、図2〜図4を参照して、取付部C4を例にその構成の詳細について説明する。
【0019】
図2は、母線タンクの取付部C4のX−Z平面に平行な面による断面図であり、図3は、母線タンクの取付部C4のY−Z平面に平行な面による断面図である。また、図4は、取付部C4の組み立て工程の一部を示した斜視図である。
【0020】
図2〜図4に示すように、母線タンク35の下側面には、取付座14(タンク側取付部材)がボルト50により取り付けられている。取付座14は、母線タンク35の形状に応じた取付面を有する座部に下方に延伸する例えば断面方形状の軸部を接続され、その軸部の下端にはラッチ部15が形成されている。このラッチ部15にはZ方向に対して傾斜する傾斜面が形成されている。また、取付座14の軸部には外周に沿って切欠14aが形成され、この切欠14aに一対の板状の部材からなるスライド部17が嵌めこまれている。取付座14に嵌めこまれたスライド部17の外周の形状は、例えばX方向に長寸の矩形である。
【0021】
一方、架台6には取付座14を支持する押さえ具16(架台側取付部材)が設けられ、押さえ具16は例えばボルト13により架台6に固定されている。押さえ具16は、下面がほぼ開口するとともに上面には取付座14の軸部が挿通可能な例えばX方向に長寸の矩形の開口部を有する箱状の形状である。ラッチ部15は、押さえ具16に形成された開口部を上から下に貫通し、さらにその下部に位置する板状の架台6に形成された同様にX方向に長寸の矩形の開口部を貫通して、架台6の下面に取り付けられたハウジング22内に至っている。
【0022】
また、押さえ具16内にはスライド部17が配置され、このスライド部17はX方向にのみ移動できるように構成されている。以下、この構成について詳細に説明すると、まず、押さえ具16内における架台6上では、この架台6の開口部の周縁を帯状に囲うように環状の摺動部材18bが配置され、さらにこの摺動部材18b上にスライド部17が配置されている。具体的には、スライド部17は、そのX方向に沿った1対の周縁部の下面が摺動部材18bの上面と摺動接触するように配置されている(図2、図3)。
【0023】
また、摺動部材18b上では、スライド部17の周囲を囲うように環状の摺動部材18cが配置され、この摺動部材18cのX方向に沿った各内側面はそれぞれスライド部17の対応する外側面と摺動接触するように構成されている。すなわち、スライド部17は、Y方向に関しては、摺動部材18cの内側に嵌め込まれた構造となっている(図3)。これに対して、摺動部材18cのX方向の内寸はスライド部17の同方向の寸法よりも大きく、スライド部17がX方向に移動できるように構成されている(図2)。さらに、摺動部材18b上では、摺動部材18cを内側に嵌め込んだ形で環状の弾性部材21bが配置されている。また、図3に示すように、押さえ具16のY方向に対向する内壁面の一部は階段状に形成されており、弾性部材21bはこの階段状の内壁面の下側一段と摺動部材18bとの間に嵌められている。弾性部材21bは、その付勢力により、摺動部材18cとスライド部17との接触を確保するとともに、取付座14がY方向に移動しないように拘束する。
【0024】
また、スライド部17上には、押さえ具16の開口部の周縁を帯状に囲うように環状の摺動部材18aが配置され、さらにこの摺動部材18a上にはこれと同じ形状の弾性部材21aが配置されている。そして、摺動部材18aの下面とスライド部17のX方向に沿った1対の周縁部の上面とが摺動接触するように構成されている。また、弾性部材21aは、前述の階段状の内壁面の上側一段に嵌められている(図3)。弾性部材21aは、摺動部材18aを介してスライド部17に対してZ方向の下方に向かう力を加え、スライド部17上下の摺動接触面を確保するとともに、取付座14がZ方向に移動しないように拘束する。
【0025】
このように、スライド部17はX方向にのみ移動できるように、Y方向に関しては摺動部材18c,弾性部材21bを介して拘束されるとともに、Z方向に関しては、上下にそれぞれ摺動部材18a,18bを配し、架台6と押さえ具16との間に挟まれるようにして、上側から弾性部材21aにより付勢することでスライド部17を架台6に対して押さえつけるようにして拘束している。なお、摺動部材18a,18b,18cは、例えばテフロン(登録商標)製である。
【0026】
一方、ハウジング22はボルト23により架台6に固定され、ハウジング22の下端にはピストンケース24がボルト25により取り付けられている。ピストンケース24内にはピストン26が収納され、ピストン26はピストンケース24の下端に接続された管から注入された油27の駆動圧によりピストンケース24内を上方に摺動する(図2、図3)。また、油27を抜くことでピストン26はピストンケース24内を下方に摺動する。油27は、ピストン26の駆動装置としての油圧装置8から供給される(図1)。
【0027】
また、ピストン26には軸部34を介してラッチ部28が接続されている。ラッチ部28は、ピストン24に連動して、ハウジング22の内部空間内を往復動する。軸部34は軸受31により軸支され、軸受31は軸受押さえ30によりハウジング22に固定され、さらに軸受押さえ30はボルト29によりハウジング22に取り付けられている。ラッチ部28は、その上端にラッチ15部の傾斜面と平行な傾斜面を有する。また、ラッチ部28の傾斜面の傾斜方向の長さは、ラッチ部15の傾斜面の傾斜方向の長さより大きい。
【0028】
次に、本実施の形態の動作について図1〜図4を参照して説明する。まず、周囲温度の変化あるいはガス絶縁母線1の通電による温度上昇により、取付部A2,B3と取付部C4,D5との間においてガス絶縁母線1と基礎7との間に熱膨張差が生じた場合、取付部C4,D5の各取付座14は、この熱膨張差に起因する熱応力を抑制するようにX方向に移動する。例えば、ガス絶縁母線1の通電による温度上昇により母線タンク35が軸方向に伸びる場合、取付座14は、固定された取付部A2,B3から離れる方向に移動し、これにより架台6と母線タンク35に加わる熱応力が抑制される。
【0029】
なお、Y方向については、取付部A2と取付部B3との間および取付部C4と取付部D5との間の距離が、取付部A2,B3と取付部C4,D5との間の距離と比較して十分短く、ガス絶縁母線1と基礎7との間の熱膨張差も無視できる程度に小さくなるため、前記と同様なスライド構造を設けない場合においてもガス絶縁母線1での熱応力の発生は小さい。また、スライド部17と押さえ具16のZ方向の熱膨張差は無視し得るものであり、母線タンク35を、Z方向について取付座14を介して架台6に固定することによる弊害はないといえる。
【0030】
次に、ガス絶縁母線1において加速度計9が加速度を検知した場合、地震が発生したと判定して、加速度計9から油圧装置8にケーブル10を介して地震情報信号を伝達する。また、緊急地震速報受信装置11にて地震情報を受信した場合においても、緊急地震速報受信装置11から油圧装置8にケーブル12を介して地震情報信号を伝達する。
【0031】
地震情報を検出した油圧装置8はピストンケース24に油27を供給しピストン26およびラッチ部28を上昇させ、ラッチ部28とラッチ部15とを互いに平行な傾斜面を介して接触させ、ラッチ部28をラッチ部15に対して下方から上方に押し付けることで、取付座14のX方向の移動を拘束する。ラッチ部28とラッチ部15の接触面は互いに平行な傾斜面であるため、ガス絶縁母線1と基礎7との間に熱膨張差が生じ、スライド部17の移動に伴ってラッチ部15がX方向に移動した場合でも、常に接触面を確保することができ、ラッチ部28はラッチ部15を拘束することができる。なお、熱伸縮を考慮して、ラッチ部28の傾斜面の傾斜方向の長さが、ラッチ部15の傾斜面の傾斜方向の長さよりも大きくなるようにしたので、常にラッチ部15の傾斜面の全面をラッチ部28の傾斜面の一部で拘束することが可能である(図2)。ラッチ部15がラッチ部28により拘束されると、母線タンク35が地震によるX方向の力を受けても、取付座14は動かず、母線タンク35も固定される。
【0032】
また、緊急地震速報によりラッチ部28がラッチ部15を拘束すると、地震のS波(主要動)がガス絶縁母線1の設置位置に到達する前にラッチ部28がラッチ部15を拘束できる可能性がある。
【0033】
また、ガス絶縁母線1において加速度計9が地震のS波(主要動)の第1波を検知した後にラッチ部28がラッチ部15を拘束する場合においても、地震のS波(主要動)の第2波以降に対しては、ラッチ部28がラッチ部15を拘束しているため、ガス絶縁母線1のX方向の振動の増大を抑制できる。
【0034】
以上のように、本実施の形態は、一方の取付部である取付部A2,B3においては母線タンク35をX,Y,Z方向のいずれにも動かないように架台6に固定し、他方の取付部である取付部C4,D5においては母線タンク35をY,Z方向については固定しX方向については可動にするとともに、地震発生時には母線タンク35に接続されたラッチ部15をラッチ部28により拘束して母線タンク35の変位を抑制する構成(ラッチ機構)としたものである。したがって、本実施の形態によれば、ガス絶縁母線1と基礎7との間の熱膨張の差による熱応力を抑制するとともに地震時にはガス絶縁母線1の変位を抑制することができるという効果がある。
【0035】
また、本実施の形態では、ラッチ部28とラッチ部15に互いに平行な傾斜面を設けるようにしたので、ガス絶縁母線1と基礎7との間に熱膨張差が生じ、スライド部15がX方向に移動した場合においても、ラッチ部28はラッチ部15を確実に拘束することができる。なお、ラッチ機構は、取付座14のX方向の移動を拘束可能なものであれば上記以外の構成も可能である。
【0036】
なお、本実施の形態では、ラッチ部28の駆動源が油圧装置8である場合を示したが、これに限定されず、例えば電磁石、バネ等を用いた場合であっても同様な効果を得ることができる。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態1では、加速度計9により母線タンク35の加速度を検出して地震情報を取得したが、本実施の形態では、加速度計9のかわりにひずみ計32を用いて地震情報を取得する。
【0038】
図5は、本実施の形態にかかるガス絶縁母線の概略構成図である。図5に示すように、本実施の形態では、ひずみ計32を母線タンク35および架台6の両方に設け、各ひずみ計32と油圧装置8とをケーブル33によって接続している。そして、ひずみ計32がガス絶縁母線1を構成する部品のひずみの変化を検出した場合、地震が発生したと判定して、地震情報信号を油圧装置8に送出することにより、油圧装置8を動作させるようにしたものである。なお、ひずみ計32は、母線タンク35および架台6のいずれか一方に設ける構成でもよい。本実施の形態のその他の構成は図2〜図4に示す実施の形態1の構成と同様である。
【0039】
本実施の形態によれば、地震発生時に部品に生ずるひずみをひずみ計32で検出することで、実施の形態1と同様に、地震情報信号を油圧装置8に伝達して駆動することができる。なお、本実施の形態のその他の効果は実施の形態1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかるガス絶縁母線は、熱応力の抑制および地震による母線タンクの変位の抑制に適している。
【符号の説明】
【0041】
1 ガス絶縁母線
2A,3B,4C,5D 取付部
6 架台
7 基礎
8 油圧装置
9 加速度計
10,12 ケーブル
11 緊急地震速報受信装置
14 取付座
14a 切欠
15,28 ラッチ部
16 押さえ具
17 スライド部
18a,18b,18c 摺動部材
21a,21b 弾性部材
22 ハウジング
23,25,29 ボルト
24 ピストンケース
26 ピストン
27 油
30 軸受押さえ
31 軸受
32 ひずみ計
34 軸部
35 母線タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスを封入した筒状のタンク内に導体が収納され、前記タンクが架台によって基礎上に支持されたガス絶縁母線において、
前記タンクを前記架台に固定する一方の取付部と、
前記タンクに固定されたタンク側取付部材と、前記架台に固定され、前記タンク側取部材を前記タンクの軸方向に垂直な方向および鉛直方向に固定するとともに前記軸方向には可動に取り付ける架台側取付部材とを具備して、前記一方の取付部に対して前記軸方向に設けられた他方の取付部と、
前記タンク側取付部材の前記軸方向の移動を拘束可能なラッチ機構と、
備えることを特徴とするガス絶縁母線。
【請求項2】
前記タンク側取付部材は、
前記タンクに固定される座部と、
この座部に接続され下方に延伸する軸部と、
この軸部の外周に取り付けられその一部が前記架台側取付部材と前記架台とにより上下に挟まれて前記軸方向にのみ移動可能となるように拘束された板状のスライド部と、
前記軸部の下端に設けられた第1のラッチ部と、を有し、
前記ラッチ機構は、
前記第1のラッチ部と、
前記架台に軸支され上方に移動して前記第1のラッチ部と接触して下方から押さえることで前記タンク側取付部材の前記軸方向の移動を拘束可能な第2のラッチ部と、
この第2のラッチ部を上下に駆動させる駆動装置と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のガス絶縁母線。
【請求項3】
前記第1のラッチ部の下端には第1の傾斜面が形成され、前記第2のラッチ部の上端には前記第1の傾斜面と平行な第2の傾斜面が形成され、
前記第2のラッチ部は前記第2の傾斜面を前記第1の傾斜面と接触させることで、前記タンク側取付部材の前記軸方向における移動を拘束することを特徴とする請求項2に記載のガス絶縁母線。
【請求項4】
前記タンクには加速度計が設けられ、前記加速度計による計測に基づいて地震情報を取得すると、前記ラッチ機構を駆動して前記タンク側取付部材の前記軸方向の移動を拘束することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス絶縁母線。
【請求項5】
前記タンクおよび前記架台の少なくとも一方にひずみ計が設けられ、前記ひずみ計による計測に基づいて地震情報を取得すると、前記ラッチ機構を駆動して前記タンク側取付部材の前記軸方向の移動を拘束することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス絶縁母線。
【請求項6】
緊急地震速報を受信する緊急地震速報受信装置を備え、前記緊急地震速報を受信すると、前記ラッチ機構を駆動して前記タンク側取付部材の前記軸方向の移動を拘束することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス絶縁母線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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