説明

ガス絶縁開閉装置

【課題】密閉容器を大型化することなく簡単な構成で開閉サージを抑制することができるようにしたガス絶縁開閉装置を提供する。
【解決手段】開閉器の開閉によって開閉サージが発生し、高電圧回路導体9および切り離し用断路器5を通して計器用変圧器6に伝播することになるが、このとき、開閉サージは切り離し用断路器5の可動接触子14内に設けた急峻波サージ抑制体を経由して計器用変圧器6に伝播する。急峻波サージ抑制体は周波数特性を示しこの急峻波サージに対して抵抗成分となり、計器用変圧器6に印加されるサージ電圧を分担されることになり、巻線に伝播するサージ電圧は低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急峻波サージを抑制したガス絶縁開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁開閉装置は、絶縁性ガスを封入した密閉容器内に高電圧回路導体を密閉容器から電気的に絶縁した状態で支持して、遮断器、断路器などの開閉器や、これらの各機器間を接続する接続用母線等の他に、計器用変圧器や計器用変流器等を接続して構成されている。このようなガス絶縁開閉装置においては、遮断器等の開閉器を操作して高電圧回路を開閉したとき、開閉サージと呼ばれる周波数が高い急峻波サージ電圧が発生して回路内を伝播することが知られている。この急峻なサージは高電圧回路導体を経由して特に計器用変圧器などの二次巻線に移行サージとして伝播し、その二次側に接続されている機器に悪影響を与えることが知られている。一般的に、二次側の機器の絶縁耐力は開閉装置の高電圧回路導体における絶縁耐力と比較して低いため、サージ電圧によって絶縁破壊による破損や誤動作が生じることがある。
【0003】
通常、この急峻波サージによる影響を抑制する方法として、断路器や遮断器などの開閉器に抵抗接点を設け、高電圧回路の開閉時に抵抗体を挿入することによって発生するサージ電圧を抑制する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)が、構造が複雑で大型化するため、結果として高価になってしまう。他の方法として、計器用変圧器や計器用変流器の二次側巻線に、例えば酸化亜鉛素子などで構成された過電圧抑制装置を設けることが行われているが、過電圧抑制装置そのものにより大型化また高価になることに加え、過電圧抑制装置を監視するための装置を設けたり、過電圧抑制装置を定期的に交換するなどの対応が必要となり、機器の管理保守に多くの労力が必要となってしまう。さらに、ガス絶縁開閉装置の高電圧回路導体の外周部に近接してフェライト材料から成る磁性体を設け、高電圧回路導体の電波インピーダンスを変化させ、通過する急峻波サージを制限するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−332416号公報
【特許文献2】特開2001−251713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したガス絶縁開閉装置においては、金属製の密閉容器内に高電圧回路導体を密閉容器から電気的に絶縁した状態で支持して構成する必要があり、高電圧回路導体との間の絶縁距離を考慮して密閉容器の径を決定することになるが、新たに急峻波サージを抑制する手段を高電圧回路導体の外周部に設けると密閉容器を大型化してしまい、結果としてガス絶縁開閉装置を大型化してしまう。
【0006】
本発明の目的は、密閉容器を大型化することなく簡単な構成で急峻波サージを抑制することができるようにしたガス絶縁開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、 絶縁性ガスを封入した密閉容器内に、開閉器およびこの開閉器に電気的に接続されて開閉サージの伝播路となる高電圧回路導体を有して構成したガス絶縁開閉装置において、開閉サージが伝播する前記高電圧回路導体中に、周波数特性を有し開閉サージに対して抵抗成分となる急峻波サージ抑制体を電気的に直列に接続したことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に記載の本発明は上記目的を達成するために、絶縁性ガスを封入した密閉容器内に、開閉器と、この開閉器に電気的に接続されて開閉サージが伝播する高電圧回路導体と、この高電圧回路導体に電気的に接続した計器用変圧器とを備えて構成したガス絶縁開閉装置において、前記高電圧回路導体と前記計器用変圧器間に、周波数特性を有し開閉サージに対して抵抗成分となる急峻波サージ抑制体を電気的に直列に接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるガス絶縁開閉装置によれば、急峻波サージ抑制体を高電圧回路導体中に電気的に直列に設けているため、従来のように外周部に配置した場合に比べて外径寸法を抑えることができ、また、これまでのガス絶縁開閉装置の高電圧回路導体のみの場合と見掛け上、全く同一に構成することができる。従って、密閉容器との間の絶縁にも影響を与えずに密閉容器を構成することができる。しかも、密閉容器の内部には周波数成分に対する抵抗体または磁性体などの急峻波サージ抑制体を配置するだけであるため、機器構造を簡略化することができる。
【0010】
また請求項2に記載の本発明によるガス絶縁開閉装置によれば、開閉器の開閉によって開閉サージが発生した場合、高電圧回路導体を通して計器用変圧器に伝播することになるが、このとき、急峻波サージ抑制体を経由して伝播するため急峻波サージ抑制体により周波数特性を示し、この急峻波サージに対して抵抗成分となり、計器用変圧器に印加されるサージ電圧が分担されるため、計器用変圧器へ印加されるサージ電圧が低減される。この場合、開閉器側の仕様を変更しなくても計器用変圧器内部で有害な移行サージが抑制されるので、信頼性が高く安価なガス絶縁開閉装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の一実施の形態によるガス絶縁開閉装置の要部を示す部分断面図である。
【図2】図2は図1に示したガス絶縁開閉装置の要部拡大断面図である。
【図3】図3は本発明のさらに他の実施の形態によるガス絶縁開閉装置の要部を示す部分断面図である。
【図4】図4は本発明のさらに他の実施の形態によるガス絶縁開閉装置の要部を示す部分断面図である。
【図5】図5は本発明によるガス絶縁開閉装置を適用する回路図である。
【図6】図6は本発明のさらに他の実施の形態によるガス絶縁開閉装置の要部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図6は、本発明の一実施の形態によるガス絶縁開閉装置の要部を示す部分断面図である。絶縁性ガスを封入した金属製の密閉容器10内には、高電圧回路導体9が絶縁支持物23,24によって密閉容器10から電気的に絶縁された状態で支持されている。高電圧導体9は、ガス絶縁開閉装置の図示しない遮断器や断路器などの開閉器に接続され、これら開閉器の開閉に伴う開閉サージの伝播路を形成している。この高電圧回路導体9の途中には、所定距離を隔てた対向配置部が形成され、この対向配置部間には、高電圧回路導体9の外径よりもその外径を多少小さくした急峻波サージ抑制体19が配置されている。この急峻波サージ抑制体19は、対向配置した高電圧回路導体9間を電気的に接続している。この急峻波サージ抑制体19の外周部は、絶縁物20によって絶縁被覆している。
【0013】
急峻波サージ抑制体19は、周波数特性を有して急峻波サージに対して抵抗成分となるものであり、抵抗体または磁性体、例えばフェライトや鉄などで構成している。ガス絶縁開閉装置における開閉サージの周波数は、例えば数10MHzと非常に高く、これに対して通常運転時の周波数は50Hzもしくは60Hzと開閉サージの周波数と比較して低い。また、交流電流に対する抵抗成分、すなわちインピーダンスは一般的に周波数と比透磁率に比例するため、開閉サージのような高周波成分に対して高インピーダンスとなり、通常の運転時の周波数に対しては低インピーダンスとなる特性を示す。
【0014】
定常状態で急峻波サージ抑制体19は、周波数特性を有して急峻波サージに対して抵抗成分となるものであるため、高電圧回路に対して殆ど影響を与えない。しかし、高電圧回路に接続されている開閉器の開閉によって開閉サージが発生すると、それは高電圧回路導体9および急峻波サージ抑制体19を通して伝播し、急峻波サージ抑制体19の周波数特性により急峻波サージに対して抵抗成分となりサージ電圧は抑制される。
【0015】
このような構成のガス絶縁開閉装置によれば、急峻波サージ抑制体19は高電圧回路導体9中に設けているため、従来のように外周部に配置した場合に比べて外径を抑えることができ、また、このような構成の急峻波サージ抑制体19は、これまでのガス絶縁開閉装置の高電圧回路導体9のみの場合と見掛け上、全く同一構成である。従って、密閉容器10との間の絶縁にも影響を与えないので密閉容器10を比較的小型に構成することができる。しかも、抵抗接点を設けるなど開閉機器の仕様を変更することなく例えば計器用変圧器へのサージを抑制することが可能となり、信頼性が高く安価なガス絶縁開閉装置を提供することが可能となる。しかも、過電圧抑制装置を設けることなく周波数成分に対する抵抗体または磁性体などの急峻波サージ抑制体19を配置するだけであるから、監視装置を設けたり定期的に交換するなどの対応は不要で、機器の管理保守に多くの労力が必要となることもない。
【0016】
次に、本発明の他の実施の形態によるガス絶縁開閉装置を説明するが、ここでは図5に示した回路図に基づいて構成した場合を説明する。
図5では、遮断器1,4や断路器2,3が高電圧回路導体を介して接続され、他に高電圧回路導体に切り離し用断路器5を介して計器用変圧器6が接続され、また切り離し用断路器7を介して他のガス絶縁開閉装置に至る導出手段8が接続されている。遮断器1,4や断路器2,3などの開閉器の開閉によって開閉サージが発生すると、高電圧回路導体を通して伝播し、特に、前述したように計器用変圧器6に悪影響を及ぼしかねない。
【0017】
そこで、図1に示したようにガス絶縁開閉装置を構成する。
ガス絶縁開閉装置を構成する断路器2と接続した高電圧回路導体9は、絶縁性ガスを封入した密閉容器10内に図示しない絶縁物を介して支持されており、この高電圧回路導体9には切り離し用断路器5を介して計器用変圧器6が接続されている。密閉容器10と計器用変圧器6間には絶縁スペーサ11が配置されて、両者はガス的に区分されている。高電圧回路導体9における計器用変圧器6の対向部には接触子12が設けられ、一方、計器用変圧器6に接続した絶縁スペーサ11の中心導体11aには固定接触子13が設けられ、接触子12と固定接触子13間を開離可能に橋絡した可動接触子14を設けて切り離し用断路器5が構成されている。この切り離し用断路器5は、密閉容器10の外部から電動操作器あるいは手動操作によってレバー15および絶縁ロッド16を介して可動接触子14を駆動し、可動接触子14を固定接触子13から断路することによって計器用変圧器6をガス絶縁開閉装置から切り離すことができる。
【0018】
図2は、可動接触子14を拡大して示す断面図である。
可動接触子14は、閉路状態において固定接触子13と接触するようにアルミニウムや銅などで製作した先端側導体17と、閉路状態において接触子12と接触するようにアルミニウムや銅などで製作した基部側導体18と、これら先端側導体17と基部側導体18間を電気的に接続する急峻波サージ抑制体19と、先端側導体17と基部側導体18間を機械的に連結するように繊維強化プラスチックやエポキシ樹脂などで構成した絶縁物19とから構成している。従って、切り離し用断路器5の閉路状態において、高電圧回路導体9と計器用変圧器6間は切り離し用断路器5によって電気的に接続されているが、より詳細には高電圧回路導体9と計器用変圧器6間は急峻波サージ抑制体19を介して電気的に接続されている。
【0019】
一般に、ガス絶縁開閉装置は、工場での出荷試験を実施後に解体して現地に搬入し、現地で再度組み立て、調整を経た後に絶縁試験を行い、据付および調整作業の健全性の確認を行っている。しかし、ガス絶縁開閉装置に接続された電気機器として、回路の保護および電力量を測定する計器用変圧器6が設置されている場合、計器用変圧器6とガス絶縁開閉装置では規格で定められた絶縁仕様が異なるため、ガス絶縁開閉装置の現地絶縁試験を行うときには計器用変圧器6を切り離し、この絶縁試験終了後に計器用変圧器6を再度接続する必要がある。ガス絶縁開閉装置では、密閉容器10内に絶縁性ガスを封入し、この密閉容器10から電気的に絶縁した状態で高電圧回路導体9を配置して構成しているため、一度密閉容器10内に充填した絶縁性ガスを回収することなく計器用変圧器6をガス絶縁開閉装置から切り離したり接続したりできるように、ガス絶縁開閉装置と計器用変圧器6の間に切り離し用断路器5を設け、現地での絶縁試験時にこの切り離し用断路器5を開動作させて計器用変圧器6を切り離し、試験終了後に切り離し用断路器5を閉動作させて計器用変圧器6を接続するようにしている。
【0020】
通常の運転状態において、切り離し用断路器5は閉路され、可動接触子14の先端側導体17は固定接触子13と接触し、また可動接触子14の基部側導体18は接触子12と接触している。上述した現地絶縁試験を実施する場合は、操作器などによってレバー15を介して絶縁ロッド16および可動接触子14を下方に駆動し、可動接触子14を固定接触子13から断路することによって計器用変圧器6をガス絶縁開閉装置から切り離す。この状態で現地にて絶縁試験を実施し、終了後に絶縁ロッド16および可動接触子14を今度は上方に駆動し、可動接触子14を固定接触子13に接触させることによって計器用変圧器6をガス絶縁開閉装置に接続する。
【0021】
上述した構成において、切り離し用断路器5の閉路状態では、接触子12と固定接触子13間、つまり高電圧回路導体9と計器用変圧器6間には、急峻波サージ抑制体19が電気的に接続されている。ここで急峻波サージ抑制体19は、フェライトなどの構成した周波数特性を有し開閉サージ等の急峻波サージに対して抵抗成分となる抵抗体である。このため、急峻波サージ抑制体19の両端間には、計器用変圧器6の負荷電流に抵抗体の抵抗値を乗じた電圧が生じることとなるが、負荷電流は一般的に非常に小さい値であり、測定しようとする回路電圧と比べて非常に小さく測定誤差などに殆ど影響を及ぼさない。なお、急峻波サージ抑制体19の抵抗体の両端間電圧を無視できない場合、この両端間電圧を考慮して計器用変圧器6の出力を予め調整しておくこともできる。
【0022】
このような構成のガス絶縁開閉装置によれば、開閉器の開閉によって開閉サージが発生し、高電圧回路導体9および切り離し用断路器5を通して計器用変圧器6に伝播することになるが、このとき、開閉サージは切り離し用断路器5の可動接触子14内に設けた急峻波サージ抑制体19を経由して計器用変圧器6に伝播する。このため、急峻波サージ抑制体19は周波数特性を示しこの急峻波サージに対して抵抗成分となり、計器用変圧器6に印加されるサージ電圧が分担されることになる。その結果、計器用変圧器6に印加されるサージ電圧は低減される。しかも、急峻波サージ抑制体19は切り離し装置5の可動接触子14内に設けているため、見掛け上は通常の切り離し用断路器5とほぼ同一構成であり、構成を複雑にすることなく印加されるサージ電圧を低減することができる。しかも、開閉器側の仕様を変更することなく、切り離し用断路器5および計器用変圧器6側で、計器用変圧器6に対して有害なサージを抑制することができるので、信頼性が高く安価なガス絶縁開閉装置を得ることができる。
【0023】
特に、上述した開閉サージは図5の回路構成において計器用変圧器6に影響を及ぼすが、この実施の形態では図6で説明したように高電圧回路導体9の途中に急峻波サージ抑制体19を配置するのではなく、図1および図2に示したように高電圧回路導体9と計器用変圧器6間に急峻波サージ抑制体19を配置している。このため、切り離し用断路器5が閉路された定常状態で計器用変圧器6は高電圧回路導体9に接続されているが、電流は殆ど流れない電圧的な接続であるから、この計器用変圧器6の特性を生かして急峻波サージ抑制体19の抵抗体での発熱などを抑えながら急峻波サージを抑制することができる。
【0024】
しかも、急峻波サージ抑制体19は、従来のように高電圧導体、例えば可動接触子14の外周部に配置するのではなく可動接触子14と一体的に構成しているため、一般的な切り離し用断路器5の構成を殆ど代えることなく急峻波サージ抑制体19を配置することができる。従って、現地での電圧印加試験を行う場合、これまでと全く同様に単に切り離し用断路器5を開閉することができる。
【実施例2】
【0025】
上述した実施の形態では、周波数特性を有して開閉サージに対して抵抗成分となる抵抗体を用いて急峻波サージ抑制体19を構成したが、この抵抗体の代わりに磁性体、例えば鉄などで構成することによっても同様の効果を得ることが可能である。
【0026】
つまり、ガス絶縁開閉装置における開閉サージの周波数は、例えば数10MHzと非常に高く、これに対して通常運転時の周波数は50Hzもしくは60Hzと開閉サージの周波数と比較して低く、また、交流電流に対する抵抗成分、すなわちインピーダンスは一般的に周波数と比透磁率に比例するため、磁性体を用いた場合でも開閉サージのような高周波成分に対して高インピーダンスを示し、通常の運転時の周波数に対しては低インピーダンスを示す。その結果、通常の運転状態では切り離し用断路器5の磁性体で負担する電圧が低く、開閉サージに対しては切り離し用断路器5の磁性体で負担する電圧が高くなり、開閉サージに対しては上述した抵抗体を用いた場合と同等の効果をより簡素な構造で達成することが可能である。
【実施例3】
【0027】
図3は、本発明の他の実施の形態によるガス絶縁開閉装置における計器用変圧器の接続部近傍を示す部分断面図である。
高電圧回路導体9を収納した密閉容器10と計器用変圧器6間には絶縁スペーサ11が配置され、この絶縁スペーサ11の中心導体11aに切り離し用断路器5の固定接触子13を支持するのが一般的であるが、ここでは中心導体11aに開閉サージに対して抵抗成分となる急峻波サージ抑制体19を取り付け、この急峻波サージ抑制体19に固定接触子13を支持固定している。この急峻波サージ抑制体19は、図2に示した急峻波サージ抑制体19の抵抗体、あるいは上述した磁性体から構成したものである。
【0028】
このような構成のガス絶縁開閉装置によれば、高電圧回路導体9を伝播した開閉サージは急峻波サージ抑制体19を経由して計器用変圧器6に伝播することになるため、先の実施の形態の場合と同様に作用する急峻波サージ抑制体21によって計器用変圧器6の二次側への移行サージを低減することができる。この場合も、見掛け上は通常の切り離し装置5とほぼ同一構成であり、構成を複雑にすることはない。また、図2および図3に示したように切り離し用断路器5の可動接触子14内に抵抗体を配置して急峻波サージ抑制体19を構成した場合、この構成が接触子12および固定接触子13との摺動接触部が動作や絶縁特性に悪影響を及ぼさないようにする必要があるのに対して、図3の構成の場合は中心導体11aと固定接触子13間は摺動部を構成していないので構成をより簡単にすることができる。
【実施例4】
【0029】
図4は、本発明のさらに他の実施の形態によるガス絶縁開閉装置における計器用変圧器の接続部近傍を示す部分断面図である。
この実施の形態は、高電圧回路導体9と計器用変圧器6間に接続していた切り離し用断路器5を別の位置に構成したり、または省略した場合を示しており、高電圧回路導体9と計器用変圧器6間を接続導体22によって直接接続し、計器用変圧器6内に、開閉サージに対して抵抗成分となる抵抗体や磁性体から成る急峻波サージ抑制体19を設けている。つまり、高電圧回路導体9を収納した密閉容器10と計器用変圧器6間には絶縁スペーサ11が配置されており、この絶縁スペーサ11の中心導体11aよりも計器用変圧器6側に急峻波サージ抑制体19を取り付けている。
【0030】
このように計器用変圧器6の近傍に切り離し用断路器5がない場合でも、開閉サージに対して抵抗成分を示す抵抗体や磁性体から成る急峻波サージ抑制体19を有する計器用変圧器6として製作し、これをガス絶縁開閉装置側に接続することにより、急峻波サージ抑制体19を経由して計器用変圧器6に伝播するサージを抑制することができる。この場合も、見掛け上は切り離し用断路器5を持たない構成とほぼ同一構成であり、構成を複雑にすることはない。また、ガス絶縁開閉装置側は開閉サージ対策として種々の構成を採用することができ、これに接続する計器用変圧器6としては独自に開閉サージ対策を施したものを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によるガス絶縁開閉装置は、図5に示した回路構成に限らず、他の構成のものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,4 遮断器
2,3 断路器
5,7 切り離し用断路器
9 高電圧回路導体
10 密閉容器
11 絶縁スペーサ
12 接触子
13 固定接触子
14 可動接触子
19 急峻波サージ抑制体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性ガスを封入した密閉容器内に、開閉器およびこの開閉器に電気的に接続されて開閉サージの伝播路となる高電圧回路導体を有して構成したガス絶縁開閉装置において、開閉サージが伝播する前記高電圧回路導体中に、周波数特性を有し開閉サージに対して抵抗成分となる急峻波サージ抑制体を電気的に直列に接続したことを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
絶縁性ガスを封入した密閉容器内に、開閉器と、この開閉器に電気的に接続されて開閉サージの伝播する高電圧回路導体と、この高電圧回路導体に電気的に接続した計器用変圧器とを備えて構成したガス絶縁開閉装置において、前記高電圧回路導体と前記計器用変圧器間に、周波数特性を有し開閉サージに対して抵抗成分となる急峻波サージ抑制体を電気的に直列に接続したことを特徴とするガス絶縁開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−246206(P2010−246206A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90062(P2009−90062)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(501383635)株式会社日本AEパワーシステムズ (168)
【Fターム(参考)】