説明

ガドリニウム混晶パイロクロア相を有する層組織

断熱層組織は良好な断熱特性のほかに断熱層の長い実用寿命も有しなければならない。本発明に係る層組織(1)は、ジルコン酸ガドリニウムとハフニウム酸ガドリニウムとの混晶を有する外側セラミック層(13)から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロクロアを含有してなる層組織に関する。
【背景技術】
【0002】
このような層組織は、ニッケル基又はコバルト基の金属合金を備えた基材を有する。このような製品は、なかんずく、ガスタービンの部材として、特にガスタービン翼又は遮熱体として、利用される。これらの部材は、侵食性燃焼ガスの高温ガス流に曝されるので、高い熱的負荷に耐えることができなければならない。更に、これらの部材は、耐酸化性及び耐食性であることが必要である。その上、なかんずく、可動部材、例えばガスタービン翼、に対しては、しかし静的部材に対してもそうであるが、機械的要件が課されねばならない。高温ガスに曝され得る部材が使用されているガスタービンの出力及び効率は、作動温度の上昇に伴って増大する。高い効率及び高い出力を達成するために、特に高温に曝されるガスタービン構成要素は、セラミック材料で被覆される。この材料は高温ガス流と金属基材との間で断熱層として働く。
【0003】
金属基体は、侵食性高温ガス流から、被覆によって保護される。最近の部材は一般に、複数の被覆を有し、それぞれの被覆が特定の役割を果たす。従って、多層組織が使用されている。
【0004】
ガスタービンの出力及び効率が作動温度の上昇に伴って増大するので、被覆組織の改良によってガスタービンの性能を一層高くすることが再三試みられてきた。
【0005】
欧州特許第0944746号明細書には、パイロクロアを断熱層として使用することが開示されている。しかし、断熱層として利用される材料に要求されるのは、良好な断熱特性だけでなく、基材への良好な結合も不可欠である。
【0006】
欧州特許出願公開第0992603号明細書には、酸化ガドリニウムと酸化ジルコニウムとから成る断熱層組織が開示されているが、この断熱層組織はパイロクロア構造を有していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、良好な断熱特性と基材への良好な結合とを示し、従って長い実用寿命を有する層組織を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、基材(4)を有し、この基材上にパイロクロア構造GdV(ZrxHfy)OZを含有して成る外側セラミック層(13)が存在して成る層組織によって解決される。
【0009】
本発明は、長い実用寿命を得るためには、全組織を単一ユニットとして考慮せねばならず、個々の層又はいくつかの層を別々に考慮して最適化してはならないという知見に基づいている。
【0010】
従属請求項に列挙されたその他の有利な諸措置は有利な仕方で任意に組合せることができる。
その他の有利な諸方法は、これらは、所望により、有利に組合せることができるが、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明に係る層組織は、外側セラミック層を含有して成り、この外側セラミック層は、ジルコン酸ガドリニウムとハフニウム酸ガドリニウムとの混晶を含有し、この混晶は、特別良好な熱特性(基材に適合した膨張係数、低い熱伝導率)を有し、かつ部材の中間層及び基材と、ごく良好に調和する。
【0012】
以下、本発明の実施例が図面を参考に更に詳しく説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明に係る層組織1を示す。
【0014】
この層組織1は、金属基材4を含有してなり、この金属基材4は、特に高温用部材の場合、ニッケル基又はコバルト基超合金(図2)から成る。
【0015】
MCrAlX型、特にNiCoCrAlX型、の金属結合層7は、基材4上に直接存在するのが好ましく、好ましくは、(11〜13)重量%コバルト、特に12重量%コバルト、(20〜22)重量%クロム、特に21重量%クロム、(10.5〜11.5)重量%アルミニウム、特に11重量%アルミニウム、(0.3〜0.5)重量%イットリウム(=X)、特に0.4重量%イットリウム、(1.5〜2.5)重量%レニウム、特に2.0重量%レニウム、残部ニッケルからなるか、又は好ましくは、(24〜26)重量%コバルト、特に25重量%コバルト、(16〜18)重量%クロム、特に17重量%クロム、(9.5〜10.5)重量%アルミニウム、特に10重量%アルミニウム、(0.3〜0.5)重量%イットリウム(=X)、特に0.4重量%イットリウム、(1〜2.0)重量%レニウム、特に1.5重量%レニウム、残部ニッケルからなるか、又は好ましくは、29%〜31%ニッケル、特に30%ニッケル、27%〜29%クロム、特に28%クロム、7%〜9%アルミニウム、特に8%アルミニウム、0.5%〜0.7%イットリウム、特に0.6%イットリウム、0.6%〜0.8%ケイ素、特に0.7%ケイ素、及び残部コバルトからなるか、又は好ましくは、27%〜29%ニッケル、特に28%ニッケル、23%〜25%クロム、特に24%クロム、9%〜11%アルミニウム、特に10%アルミニウム、0.3%〜0.7%イットリウム、特に0.6%イットリウム、及び残部コバルトからなるか、のいずれかである。
【0016】
特に、NiCoCrAlX結合層7はこれらの組成の1つから成る。
【0017】
この金属結合層7上に、更にセラミック層を形成するよりも前に既に酸化アルミニウム層が生成しているか、又は作動中にそのような酸化アルミニウム層(TGO)が生成する。
好ましくは、内側セラミック層10が、好ましくは完全に又は部分的に安定化された酸化ジルコニウム層が、金属結合層7上に又は酸化アルミニウム層(図示せず)上に、存在する。イットリウムで安定化した、好ましくは6重量%〜8重量%のイットリウムを有する、酸化ジルコニウムを使用するのが好ましい。同様に、酸化ジルコニウムを安定させるためには、酸化カルシウム、酸化セリウム又は酸化ハフニウムを使用することができる。
好ましくは、酸化ジルコニウムは、プラズマ溶射層として塗布され、また、好ましくは、柱状構造として電子ビーム蒸着(EBPVD)によって塗布することもできる。
【0018】
外側セラミック層13が、TGO上、結合層7上、又は内側層10上に、塗布されており、この外側セラミック層は、本発明によれば、ガドリニウムとハフニウムとジルコニウムとから成るパイロクロア構造の混晶を含有して成る。
パイロクロア構造は、経験式A227又は一般式AVXZを有し、式中v=2、x=2、z=7である。この化学量論組成からのv、x及びzの逸脱が、欠陥によって、又は、僅かな、意識的若しくは無意識的ドーピングによって発生することがある。
【0019】
本発明に係る外側セラミック層13については、Aにはガドリニウム(Gd)が、Bにはハフニウム及びジルコニウム(Hf、Zr)が、つまり混晶構造Gdv(HfXZrY)Ozが、使用される。ここでも、この化学量論組成からの僅かな逸脱が起こりうる。
好ましくは、外側セラミック層13は、Gdv(HfxZry)OZ(ここで、x+y=2である。)を含有してなる。
好ましくは、外側セラミック層13は、また、Gdv(HfxZry)O7を含有してなる。
好ましくは、外側セラミック層13は、Gd2(HfxZry)OZを含有してなる。
好ましくは、外側セラミック層13は、GdV(HfXZrY)OZから成る(特にv=2、x+y=2、z=7である。)。
【0020】
ジルコニウムとハフニウムとの所望の混合比y:xを使用することができる。 好ましくは、より大きな割合のジルコニウムが使用される。
好ましくは、10:90、20:80、30:70又は40:60のハフニウムとジルコニウムとの混合比を使用することもできる。
50:50、60:40、70:30、80:20又は90:10のハフニウムとジルコニウムとの混合比を使用することも有利である。
従って、x対yの比については、ハフニウム対ジルコニウムの比の前記データがあてはまる(Hf:Zr=80:20は、y:x=1.6:0.4に相当)。
【0021】
この層は、前記組成の割合を生じる粉末から製造しておくことができる。同様に、被覆プロセス時に、又は被覆プロセス後の熱処理によっても、混晶は製造することができる。
【0022】
好ましくは、内側層10の層厚は、内側層10及び外側層13の合計層厚Dの10%〜50%である。
好ましくは、内側層10の層厚は合計層厚の10%〜40%又は10%〜30%である。
同様に、内側層10の層厚が、合計層厚の10%〜20%であると有利である。
同様に、内側層10の層厚が合計層厚の20%〜50%又は20%〜40%であると好ましい。
合計層厚に占める内側層10の割合が20%〜30%であるとき、有利な結果が同様に達成される。
好ましくは、内側層10の層厚は、合計層厚の30%〜50%である。
【0023】
同様に、内側層10の層厚が合計層厚の30%〜40%であると有利である。
同様に、内側層10の層厚が合計層厚の40%〜50%であると有利である。
パイロクロア相はZrO2層よりも良好な断熱特性を有するのではあるが、ZrO2層はパイロクロア相と全く同じ厚さに作成することができる。
【0024】
好ましくは、内側セラミック層10は、40μm〜60μm、特に50μm±10%の厚さを有する。
内側層10及び外側層13の合計層厚は、好ましくは300μm又は好ましくは400μmである。最大合計層厚は、有利には800μm又は好ましくは最大600μmである。
【0025】
図3は、ガスタービン100を、例示的に、縦部分断面図で示す。
ガスタービン100は、内部に、軸101を備えて回転軸線102の周りで回転可能に支承されるロータ103を有し、このロータはタービンロータとも称される。
ロータ103に沿って、順に、吸込ケーシング104、圧縮機105、同軸に配置される複数のバーナ107を備えた例えば円環体状の燃焼室110、特に環状燃焼室、タービン108、そして排気ケーシング109が続く。
環状燃焼室110は、例えば環状の高温ガス通路111と連通している。そこでは、例えば、直列接続された4つのタービン段112がタービン108を形成する。
各タービン段112は、例えば2つの翼輪で形成されている。作動媒体113の流れ方向に見て、高温ガス通路111内で、静翼列115に動翼120で形成される列125が続く。
【0026】
静翼130がステータ143の内部ケーシング138に固定されており、一方、翼列125の動翼120は、例えばタービンディスク133によってロータ103に取付けられている。ロータ103に発電機又は作業機械(図示せず)が連結されている。
【0027】
ガスタービン100の作動中、空気135が、圧縮機105によって吸込ケーシング104を通して吸い込まれ、圧縮される。圧縮機105のタービン側末端で供給される圧縮空気は、バーナ107へと送られ、そこで燃料と混合される。次に混合気は、燃焼室110内で燃焼させられて作動媒体113を形成する。そこから、作動媒体113は、高温ガス通路111に沿って静翼130及び動翼120を通流する。動翼120で作動媒体113が膨張して運動量を伝達し、動翼120がロータ103及びロータに連結された作業機械を駆動する。
【0028】
ガスタービン100の作動中、高温作動媒体113に曝される部材は、熱的負荷を受ける。作動媒体113の流れ方向に見て最初のタービン段112の静翼130及び動翼120は、環状燃焼室110に内張りされる遮熱要素とともに、最大の熱的負荷を受ける。
そこでの温度に耐えるために、それらは、冷却材によって冷却することができる。
同様に、部材の基材は配向構造を有することができる。即ち、基材は単結晶(SX構造)であるか、又は縦配向粒子(DS構造)のみから成る。
【0029】
部材用、特にタービン翼120、130及び燃焼室110の部材用、の材料として、例えば鉄基、ニッケル基又はコバルト基超合金が使用される。
【0030】
そのような超合金は、例えば欧州特許第1204776号明細書、欧州特許第1306454号明細書、欧州特許出願公開第1319729号明細書、国際公開第99/67435号パンフレット又は国際公開第00/44949号パンフレットにより公知である。これらの文献は、合金の化学組成に関して、本発明の開示の一部を構成する。
【0031】
静翼130は、タービン108の内部ケーシング138に向き合う静翼付根(ここには図示せず)と静翼付根とは反対側の静翼端とを有する。静翼端はロータ103に向き合い、ステータ143の固定輪140に固定されている。
【0032】
図4は、縦軸線121に沿って延びた流体機械の動翼120又は静翼130を斜視図で示す。
【0033】
流体機械は、電気を生成するための発電所の若しくは飛行機のガスタービン、蒸気タービン又は圧縮機であり得る。
【0034】
翼120、130は長手軸線121に沿って、順に、取付部400、これに隣接する翼プラットホーム403、翼板406、そして翼端415を有する。
翼130は、静翼130として、その翼端415に他のプラットホーム(図示せず)を有することができる。
【0035】
動翼120、130を軸又はディスク(図示せず)に取付けるのに使用される翼付根183は、取付部400に形成される。
翼付根183は、例えばハンマ頭部形に形成されている。他に、クリスマスツリー形又はダブテール形付根としての形成が可能である。
翼120、130は、翼板406を通流する媒体用に前縁409と後縁412とを有する。
【0036】
従来の翼120、130では、翼120、130の全ての部分400、403、406において、例えば中実金属材料、特に超合金が使用されている。
そのような超合金は、例えば欧州特許第1204776号明細書、欧州特許第1306454号明細書、欧州特許出願公開第1319729号明細書、国際公開第99/67435号パンフレット又は国際公開第00/44949号パンフレッにより公知である。これらの文献は、合金の化学組成に関して本発明の開示の一部である。
その際、翼120、130は鋳造法によって、方向性凝固によって、鍛造法によって、フライス加工法によって、又はそれらの組合せによって作製することができる。
【0037】
単数又は複数の単結晶構造を有する工作物は、作動時に高い機械的、熱的及び/又は化学的負荷に曝される機械用の部材として利用される。
【0038】
このような単結晶工作物の作製は、溶融体から、例えば方向性凝固によって行われる。これらは、液状金属合金が凝固されて、単結晶構造を形成する、即ち、単結晶工作物を形成する、つまり方向性を持って凝固される鋳造法である。
この場合、樹枝状結晶が熱流束に沿って整列し、柱状結晶質粒状構造(柱状。即ち、工作物の全長にわたって延びる粒子。ここでは、一般的用語法により、方向性凝固されたという。)又は単結晶構造のいずれかを形成する。即ち、工作物全体が単一の結晶から成る。この方法では、球状(多結晶)凝固への移行を避けねばならない。というのも、非方向性成長によって不可避的に横方向及び縦方向粒界が生じ、これが、方向性凝固部材又は単結晶部材の良好な特性を無にするからである。
【0039】
一般に方向性凝固組織というとき、それは、粒界を有しないか又はせいぜい小角粒界を有する単結晶と、縦方向に延びる粒界を有するが横方向粒界を持たない柱状結晶構造も意味している。後者の結晶構造は方向性凝固組織(directionally solidified structures)とも称される。
このような方法が米国特許第6024792号明細書及び欧州特許出願公開第0892090号明細書により公知である。これらの明細書は、凝固プロセスに関して本発明の開示の一部を構成する。
【0040】
同様に、翼120、130は腐食又は酸化に備えた被覆、例えば、MCrAlX(Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)及び/又はケイ素及び/又は少なくとも1つの希土類元素、或いはハフニウム(Hf)である)、を有することができる。このような合金は、欧州特許第0486489号明細書、欧州特許第0786017号明細書、欧州特許第0412397号明細書又は欧州特許出願公開第1306454号明細書により公知であり、これらは合金の化学組成に関して本発明の開示の一部となるものである。
その密度は、好ましくは、理論密度の95%である。
保護的酸化アルミニウム層(TGO=熱成長酸化物層)がMCrAlX層上に(中間層として又は最外層として)生成する。
【0041】
MCrAlX上に断熱層が存在してもよく、この断熱層は、好ましくは最外層であり、本発明に係る層組織1を含有してなる。
この断熱層は、MCrAlX層全体を被覆する。
好適な被覆法、例えば電子ビーム蒸着(EB−PVD)、によって、断熱層内に柱状粒子が生成される。
【0042】
別の被覆法、例えば大気プラズマ溶射(APS)、LPPS、VPS又はCVDが考えられてもよい。断熱層は耐熱衝撃性を改善するために多孔質、マイクロクラック又はマクロクラックを有する粒子を有することができる。つまり、断熱層は有利にはMCrAlX層よりも多孔質である。
【0043】
翼120、130は、中空又は中実に形成される。翼120、130が冷却されねばならないとき、これは中空に形成され、場合によって膜冷却用孔418(破線で図示)を有する。
【0044】
図5はガスタービン100の燃焼室110を示す。燃焼室110は、例えば、いわゆる環状燃焼室として設計され、そこでは、回転軸線102を中心として円周方向に配置された、火炎156を発生する複数のバーナ107が、共通燃焼室空間154に開口している。そのために、燃焼室110は、全体として、回転軸線102の周りに配置された環状構造物として設計されている。
【0045】
比較的高い効率を達成するために、燃焼室110は、作動媒体Mの比較的高温、約1,000℃〜1,600℃の温度用に設計されている。材料にとって不都合なこれらの作動パラメータのもとでも比較的長い作動時間を可能とするために、燃焼室壁153には、その作動媒体Mに面する側に遮熱要素155で形成された内張り(ライニング)が設けられている。
【0046】
それに加えて、燃焼室110の内部の高い温度のゆえに、遮熱要素155用又はその保持要素用に冷却システムを設けておくことができる。その場合、遮熱要素155は、例えば中空であり、場合によっては、燃焼室空間154に開口する冷却孔(図示せず)を有していてもよい。
【0047】
合金製の各遮熱要素155は、作動媒体側に特別耐熱性の保護層(MCrAlX層及び/又はセラミック被覆)を装備しており、又は耐熱材料(中実セラミック煉瓦)から作製されている。
【0048】
これらの保護層はタービン翼と類似させることができる、つまり、例えばMCrAlXであってよい:Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)からなる群から選ばれる少なくとも1つの元素、Xは活性元素であり、イットリウム(Y)及び/又はケイ素及び/又は少なくとも1つの希土類元素、或いはハフニウム(Hf)である。このような合金は、欧州特許第0486489号明細書、欧州特許第0786017号明細書、欧州特許第0412397号明細書又は欧州特許出願公開第1306454号明細書により公知であり、これらは合金の化学組成に関して本開示の一部となるものである。
【0049】
MCrAlX上に、例えば、本発明に係る層組織1を含有してなるセラミック断熱層を、設けておくことができる。
好適な被覆法、例えば電子ビーム蒸着(EB−PVD)、によって断熱層内に柱状粒子が生成される。
別の被覆法、例えば大気プラズマ溶射(APS)、LPPS、VPS又はCVDが考えられてもよい。断熱層は、耐熱衝撃性を改善するために多孔質、マイクロクラック又はマクロクラックを有する粒子を有することができる。
【0050】
再処理(磨き直し)とは、場合によっては、タービン翼120、130、遮熱要素155から、それらの利用後に、保護層を(例えばサンドブラストによって)取り除かねばならないことを意味する。その後、腐食層及び/又は酸化層ないし腐食生成物及び/又は酸化生成物の除去が行われる。場合によっては、タービン翼120、130又は遮熱要素155の亀裂も、また、修理される。その後、タービン翼120、130、遮熱要素155の再被覆が行なわれ、タービン翼120、130又は遮熱要素155の再利用が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る層組織を示す。
【図2】超合金の組成を示す。
【図3】ガスタービンを示す。
【図4】タービン翼の斜視図である。
【図5】燃焼室の斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
4 基材
7 結合層
10 内側セラミック層
13 外側セラミック層
D 合計層厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(4)を有し、この基材上にパイロクロア構造GdV(ZrxHfy)OZを含有して成る外側セラミック層(13)が存在して成る層組織。
【請求項2】
外側セラミック層(13)がGdv(ZrxHfy)Oz(ここで、x+y=2である。)を含有して成る請求項1に記載の層組織。
【請求項3】
外側セラミック層(13)がGd2(ZrxHfy)Ozを含有して成る請求項1又は2に記載の層組織。
【請求項4】
外側セラミック層(13)がGdv(ZrxHfy)O7を含有して成る請求項1、2又は3に記載の層組織。
【請求項5】
外側セラミック層(13)がGdv(ZrxHfy)Ozから成る請求項1、2、3又は4に記載の層組織。
【請求項6】
外側セラミック層(13)がGdv(ZrxHfy)Ozから、特にGd2(ZrxHfy)O7(ここで、x+y=2である。)から、成る請求項1、2、3、4又は5に記載の層組織。
【請求項7】
外側セラミック層(13)の下に、内側セラミック層(10)、特に安定化酸化ジルコニウム層、特にイットリウム安定化酸化ジルコニウム層、が存在している請求項1〜6のいずれか1つに記載の層組織。
【請求項8】
内側セラミック層(10)が6重量%〜8重量%のイットリウム安定化酸化ジルコニウム層から成る請求項7に記載の層組織。
【請求項9】
内側セラミック層(10)が、内側セラミック層(10)及び外側セラミック層(13)の合計層厚(D)の10%〜50%の層厚を、有する請求項7又は8に記載の層組織。
【請求項10】
内側セラミック層(10)及び外側セラミック層(13)の層厚が合わせて300μmとなる請求項7、8又は9に記載の層組織。
【請求項11】
内側層(10)及び外側層(13)の層厚が合わせて400μmとなる請求項7、8又は9に記載の層組織。
【請求項12】
基材(4)上、且つ、内側セラミック層(10)の下、又は外側セラミック層(13)の下に、金属結合層(7)、特にNiCoCrAlX合金から成るもの、が設けられている請求項1又は7に記載の層組織。
【請求項13】
金属結合層(7)が、重量%表示で、11%〜13%コバルト、特に12%コバルト、20%〜22%クロム、特に21%クロム、10.5%〜11.5%アルミニウム、特に11%アルミニウム、0.3%〜0.5%イットリウム、特に0.4%イットリウム、1.5%〜2.5%レニウム、特に2.0%レニウム、残部ニッケルの組成を有する請求項12に記載の層組織。
【請求項14】
金属結合層(7)が、重量%表示で、24%〜26%コバルト、特に25%コバルト、16%〜18%クロム、特に17%クロム、9.5%〜10.5%アルミニウム、特に10%アルミニウム、0.3%〜0.5%イットリウム、特に0.4%イットリウム、1%〜2.0%レニウム、特に1.5%レニウム、残部ニッケルの組成を有する請求項12に記載の層組織。
【請求項15】
金属結合層(7)が、重量%表示で、29%〜31%ニッケル、特に30%ニッケル、27%〜29%クロム、特に28%クロム、7%〜9%アルミニウム、特に8%アルミニウム、0.5%〜0.7%イットリウム、特に0.6%イットリウム、0.6%〜0.8%ケイ素、特に0.7%ケイ素、残部コバルトの組成(重量%)を有する請求項1に記載の層組織。
【請求項16】
金属結合層(7)が、重量%表示で、27%〜29%ニッケル、特に28%ニッケル、23%〜25%クロム、特に24%クロム、9%〜11%アルミニウム、特に10%アルミニウム、0.3%〜0.7%イットリウム、特に0.6%イットリウム、残部コバルトの組成を有する請求項1に記載の層組織。
【請求項17】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が10:90である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項18】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が20:80である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項19】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が30:70である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項20】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が40:60である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項21】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が50:50である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項22】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が60:40である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項23】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が70:30である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項24】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が80:20である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項25】
ハフニウムとジルコニウムとの混合比が90:10である請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項26】
y>xである請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。
【請求項27】
y<xである請求項1、2、3、4、5又は6に記載の層組織。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−517241(P2009−517241A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541674(P2008−541674)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067497
【国際公開番号】WO2007/060062
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】