説明

ガラスファイバを製造するための高効率フィンアッセンブリ

【課題】ガラスフィラメントの製造で使用するのに適した材料で形成された冷却フィンアッセンブリを提供する。
【解決手段】冷却フィンアッセンブリは、第1端、第2端、及びこれらの間の内部通路を持つマニホールドを含む。内部通路は、冷却流体を流すように形成されている。複数のバッフルが内部通路内に位置決めされている。複数のブレードがマニホールドに連結されている。これらのブレードは、熱をマニホールドに伝達するように形成されている。バッフルはマニホールド内に冷却流体用の蛇行流路を形成するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連続したガラスフィラメントの製造では、ガラスをガラス溶融器又は溶解炉で溶融し、一つ又はそれ以上のブッシュに流す。各ブッシュは、溶融ガラスの流れが通過する多数のノズル又はチップを有する。ガラス流は、巻き取り装置によってノズルから機械的に引き出され、連続したガラスフィラメントを形成する。
【背景技術】
【0002】
ブッシュ内の溶融ガラスの温度は、ガラスを液体状態に維持するのに十分に高くなければならない。しかしながら、温度が高すぎると、溶融ガラスは、ブッシュチップの通過後にフィラメントを形成するのに十分な粘性を持つように十分に冷却されない。かくして、ガラスフィラメントを形成するため、ガラスがブッシュチップから流れた後、ガラスを急速に冷却し、即ち急冷しなければならない。ガラスの冷却が緩慢であると、ガラスフィラメントは切れ、フィラメント形成工程が停止する。
【0003】
フィラメント形成機の下のフィラメント形成領域を冷却するための多くの種類の装置がある。従来の冷却装置は、熱をブッシュの下のフィラメント形成領域から伝達し、ガラスフィラメントを冷却するため、空気、水、又はこれらの両方を使用する。ガラスフィラメント形成装置の一例が、ドウラティ等に賦与された米国特許第6,192,714号に開示されている。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0004】
冷却装置は、複数の冷却フィンを含んでいてもよい。ブッシュから引き出されたフィラメントは、冷却フィンのいずれかの側を通過できる。ガラスからの熱は、複写及び対流によってガラスフィラメントからフィンに伝達される。熱は、伝導により、フィンを通して水冷式マニホールドに伝えられる。このような冷却フィンは冷却装置の表面積を増大し、これによってフィラメントから及びフィラメント形成領域から伝達できる熱の量を増大する。
【0005】
水等の冷却流体供給がマニホールドに入り、マニホールド内のチャンバを通過し、マニホールドの反対側の端部から冷却流体リターンとして出る。冷却流体は、マニホールドを通って流れるときに熱を吸収し、これによってマニホールド及び冷却フィンを冷却し、フィラメント形成領域を間接的に冷却する。しかしながら、このような冷却装置がフィラメント形成領域から除去できる熱の量は限られている。ブッシュの下のフィラメント形成領域から熱を迅速に除去できる場合、ブッシュ及びブッシュ内の溶融ガラスの温度を上昇でき、これによってスループットを全体として増大できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,192,714号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ブッシュの下のフィラメント形成領域を冷却し、大量の熱を除去するための改良された方法及び装置を提供するのが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例によれば、ガラスフィラメントの製造で使用するのに適した材料で形成された冷却フィンアッセンブリが提供される。冷却フィンアッセンブリは、第1端、第2端、及びこれらの端部間の内部通路を持つマニホールドを含む。内部通路は、冷却流体を流すように形成されている。複数のバッフルが内部通路内に位置決めされている。複数のブレードがマニホールドに連結されている。これらのブレードは、熱をマニホールドに伝達するように形成されている。バッフルは、マニホールド内に冷却流体用の蛇行経路を形成するように形成されている。
【0009】
本発明の実施例によれば、更に、ガラスフィラメントを製造するように形成された装置が提供される。この装置は、複数のノズルを持つブッシュを含む。ブッシュは、複数のノズルに溶融ガラスを供給するように形成されている。ノズルはガラスフィラメントを製造するように形成されている。ノズルは、フィラメント形成領域を形成する。冷却フィンアッセンブリがフィラメント形成領域に位置決めされている。冷却フィンアッセンブリは、マニホールドに連結された複数のブレードを含む。マニホールドは、第1端、第2端、及びこれらの端部間の内部通路を有する。内部通路は、冷却流体を流すように形成されている。複数のバッフルが内部通路内に位置決めされている。複数のブレードは、熱をマニホールドに伝達するように形成されている。バッフルは、マニホールド内に冷却流体用の蛇行経路を形成するように形成されている。ガラスフィラメントを収集するように形成された機構が設けられている。
【0010】
本発明の実施例によれば、更に、ガラスフィラメントの製造方法が提供される。この方法は、ブッシュを提供する工程を含む。ブッシュは、複数のノズルに溶融ガラスを供給するように形成されている。複数のノズルは、ガラスフィラメントを製造するように形成されている。ノズルはフィラメント形成領域を形成する。本方法は、更に、冷却フィンアッセンブリをフィラメント形成領域に位置決めする工程を含む。冷却フィンアッセンブリは、マニホールドに連結された複数のブレードを含み、マニホールドは、第1端、第2端、及びこれらの端部間の内部通路を有する。内部通路は、冷却流体を流すように形成されている。複数のバッフルが内部通路内に位置決めされている。複数のブレードは、熱をマニホールドに伝達するように形成されている。バッフルは、マニホールド内に冷却流体用の蛇行経路を形成するように形成されている。本方法は、更に、溶融ガラスをブッシュに供給する工程と、ノズルを通してガラスフィラメントを形成する工程と、マニホールドを通る冷却流体の流れを提供する工程と、熱をフィラメント形成領域から吸収し、マニホールドに伝達する工程と、冷却流体がマニホールドを通って蛇行経路に沿って流れるとき、熱をマニホールドから冷却流体に伝達する工程とを含む。
添付図面を参照して本発明の以下の詳細な説明を読むことにより、本発明の様々な利点が当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明による冷却フィンアッセンブリを示す、ガラスフィラメント形成装置の概略正面図である。
【図2】図2は、図1の冷却フィンアッセンブリの分解斜視図である。
【図3】図3は、図1の冷却フィンアッセンブリの組み立てた状態での斜視図である。
【図4】図4は、図3の4−4線に沿った、図1の冷却フィンアッセンブリの一部の側面図である。
【図5】図5は、冷却流体の蛇行流を示す、図1の冷却フィンアッセンブリを正面から見た断面図である。
【図6】図6は、図1の冷却フィンアッセンブリ内で使用するためのバッフルの第1実施例の正面図である。
【図7】図7は、図6のバッフルの側面図である。
【図8】図8は、図1の冷却フィンアッセンブリ内で使用するためのバッフルの第2実施例の正面図である。
【図9】図9は、図1の冷却フィンアッセンブリ内で使用するためのバッフルの第3実施例の正面図である。
【図10】図10は、図1の冷却フィンアッセンブリ内で使用するためのバッフルの第4実施例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の特定の実施例を参照して本発明を説明する。しかしながら、本発明は、様々な形態で実施されてもよく、本明細書中に説明した実施例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が包括的であり且つ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えようとするために提供されるものである。
【0013】
特段の定義がなされていない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を持つ。本明細書中で本発明を説明するのに使用された用語は、単に特定の実施例を説明するためであって、本発明を限定しようとするものではない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数で記載されているものには、本明細書中に明確に表示されていない限り、複数の形態が含まれる。
【0014】
特段の表示がなされていない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用された、長さ、幅、高さ、等の寸法の量を表す全ての数字は、全ての場合において、「約」という用語によって変更されるということは理解されるべきである。従って、特段の表示がなされていない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記載された、性質を表す数字は近似値であって、本発明の実施例で得られるべきと考えられる所望の特性に応じて変化してもよい。本発明の広い範囲に記載された数値範囲及びパラメータが近似値であるにも関わらず、特定の例に記載された数値は、できるだけ正確に報告してある。しかしながら、これらの数値には、夫々の計測におけるエラーから必然的に生じる特定のエラーが含まれる。
【0015】
本発明の実施例によれば、ブッシュの下方のフィラメント形成領域を冷却するための改良された方法及び装置が提供される。「フィラメント」という用語は、本明細書中で使用されているように、フィラメント形成装置から形成された何らかのファイバを意味するものと定義される。「ブッシュ」という用語は、本明細書中で使用されているように、溶融ガラスをフィラメント形成ノズルに供給するように形成された任意の構造、デバイス、又は機構を意味するものと定義される。「フィラメント形成領域」という用語は、本明細書中で使用されているように、フィラメント形成ノズルと隣接した領域を意味するものと定義される。「マニホールド」という用語は、本明細書中で使用されているように、熱をフィラメント形成領域から運び去るように形成された任意の構造、デバイス、又は機構を意味するものと定義される。「ブレード」という用語は、本明細書中で使用されているように、熱をフィラメント形成領域からマニホールドに伝達するように形成された任意の構造、デバイス、又は機構を意味するものと定義される。「蛇行」という用語は、本明細書中で使用されているように、直線状でない任意の経路を意味するものと定義される。
【0016】
以下の説明及び添付図面は、ブッシュの下方のフィラメント形成領域を冷却するように形成された、改良された装置及び方法を開示する。一般的には、本装置は、複数のブレード及びマニホールドを含むフィンアッセンブリを含む。マニホールドは、マニホールド内の蛇行形状通路に冷却流体を強制的に通すように形成されている。
【0017】
次に、添付図面を参照すると、図1において、ガラスフィラメント形成装置の全体に参照番号10が付してある。ガラスフィラメント形成装置10は、冷却フィンアッセンブリ12を含む。図1に示すように、ブッシュ18に連結された複数のノズル16からフィラメント14が引き出される。ギャザリングシュー22によってこれらのフィラメント14を合わせてストランド20にする。随意であるが、サイズアプリケータ24によって、サイズ剤をコーティングとしてフィラメント14に適用できる。往復動デバイス26は、ストランド20を案内するように形成されている。ストランド20は、巻き取り装置30の回転コレット28の周囲に巻き付けられ、円筒形パッケージ32を形成する。
【0018】
図1を再び参照すると、冷却フィンアッセンブリ12は、ブッシュ18の下に配置されており、フィラメント形成領域34を冷却又は急冷するように形成されている。図2及び図3に示すように、冷却装置12はマニホールド36を含む。マニホールド36は内部流体通路37を含む。内部流体通路37を以下に更に詳細に説明する。マニホールド36は、任意の所望の長さLMを備えていてもよい。
【0019】
冷却フィンアッセンブリ12は、更に、マニホールド36に連結された複数のブレード38を含む。これらのブレード38は、マニホールド36の長さLMに沿って間隔が隔てられている。ブレード38は、フィラメント形成領域34から熱を吸収し、吸収した熱をマニホールド36に伝達するように形成されている。例示の実施例では、ブレード38は実質的に矩形の断面形状を有する。しかしながら、ブレード38はこの他の所望の断面形状を備えていてもよい。例示の実施例には6枚のブレード36が示してあるが、任意の所望の数のブレード38を使用できるということは理解されるべきである。
【0020】
図2及び図3を再び参照すると、ブレード38は、隣接したブレード38から間隔が隔てられており、隣接したブレード間に空間44が形成される。空間44により、ブレード38をノズル16の個々の列又は列群間に取り付けることができ、図1に示すようにガラスフィラメント14をブレードのいずれかの側に通すことができる。
【0021】
図2及び図3を再び参照すると、ブレード38は、マニホールド36の前面46に形成されたブレードスロット48に連結される。ブレード38は、マニホールド36の前面46のブレードスロット48に任意の所望の方法で連結できる。こうした方法には、非限定的例として、鑞付けが含まれる。
【0022】
ブレード38は、任意の所望の高温耐蝕性熱伝達材料で形成されていてもよい。ブレード材料の非限定的例には、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタニウム、銀、及び合金が含まれ、合金の非限定的例にはニッケル−クロム−モリブデン−タングステン合金が含まれる。ブレード38は、任意の所望の寸法を備えていてもよく、任意の所望の表面仕上げ又はコーティングを備えていてもよい。
【0023】
図2及び図3を再び参照すると、マニホールド36は、上面50、下面52、及び後面54を有する。上面50には複数の上バッフルスロット60が設けられており、下面52には複数の下バッフルスロット62が設けられている。一般的には、上バッフルスロット60は、上バッフル64を受け入れるように形成されており、下バッフルスロット62は下バッフル66を受け入れるように形成されている。上バッフル64及び下バッフル66は、これらの上下のバッフル64及び66の一部が内部流体通路37内に延びるように上下のバッフルスロット60及び62に挿入される。内部流体通路37内に延びる上下のバッフル64及び66の一部が、内部冷却流体の蛇行流を形成する。
【0024】
上下のバッフル64及び66は、上下のバッフルスロット60及び62をシールするようにマニホールド36に連結されており、これによって内部冷却流体が上下のバッフル64及び66の周囲に漏れないようにする。バッフル64及び66をマニホールド36に連結するのに、非限定的例である銀鑞付けを含む任意の所望の方法を使用できる。
【0025】
図2及び図3に示すように、マニホールド36は第1端70及び第2端72を有する。マニホールド36の後面54には、第1端70と実質的に隣接して位置決めされた第1穴(図示せず)が設けられている。第1穴には第1導管74が連結される。同様に、マニホールド36の後面には、第2端72と実質的に隣接して位置決めされた第2穴(図示せず)が設けられている。第2穴には第2導管76が連結される。第1及び第2の導管74及び76は、冷却流体をマニホールド36に供給するように形成されている。第1及び第2の導管74及び76は、任意の所望の大きさ、形状、及び形態を備えていてもよい。
【0026】
マニホールド36及び上下のバッフル64及び66は、任意の所望の高温耐蝕性熱伝達材料で形成されていてもよい。マニホールド及びバッフルの材料の非限定的例には、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタニウム、銀、及び合金が含まれ、合金の非限定的例にはニッケル−クロム−モリブデン−タングステン合金が含まれる。マニホールド36及び上下のバッフル64及び66は、任意の所望の表面仕上げ又はコーティングを備えていてもよい。
【0027】
次に図4を参照すると、マニホールドは幅がWMであり、高さがHMである。例示の実施例では、マニホールド36の幅WM及び高さHMは、約1.91cm乃至約3.81cm(約0.75インチ乃至約1.50インチ)の範囲内にある。別の態様では、マニホールド36の幅WM及び高さHMは、約1.91cm(約0.75インチ)よりも小さくてもよく、又は約3.81cm(約1.50インチ)よりも大きくてもよい。例示の実施例では、マニホールド36の結果的断面積は、約3.63cm2乃至約14.52cm2(約0.56平方インチ乃至約2.25平方インチ)である。しかしながら、マニホールドの断面積は、約3.63cm2(約0.56平方インチ)よりも小さくてもよく、又は約14.52cm2(約2.25平方インチ)よりも大きくてもよい。
【0028】
図2乃至図4に示すマニホールド36は実質的に矩形の断面形状を備えているが、マニホールド36は、この他の断面形状を備えていてもよいということは理解されるべきである。
【0029】
図2を参照すると、マニホールド36の上面50、下面52、前面46、及び後面54は、内部流体通路37を形成する。例示の実施例では、図4に示すように、内部流体通路37は、丸みのある矩形の断面形状を有する。しかしながら、内部流体通路37は、この他の所望の断面形状を備えていてもよい。
【0030】
内部流体通路37は、幅WFP及び高さHFPを有する。例示の実施例では、内部流体通路37の幅WFP及び高さHFPは、約1.587cm乃至約3.81cm(約0.625インチ乃至約1.50インチ)である。別の態様では、内部流体通路37の幅WFP及び高さHFPは、約1.587cm(約0.625インチ)よりも小さくてもよく、又は約3.81cm(約1.50インチ)よりも大きくてもよい。
【0031】
内部流体通路37の幅WFP及び高さHFPで通路の断面積が決まる。通路の断面積の大きさは、熱をマニホールド36から冷却流体通路までマニホールドを通して伝達する上での1ファクタである。例示の実施例では、通路の断面積のマニホールドの断面積に対する比は、約40%乃至約70%である。他の実施例では、通路の断面積のマニホールドの断面積に対する比は、約40%よりも小さくてもよく、又は約70%よりも大きくてもよい。
【0032】
図4は、マニホールド36内に位置決めされた下バッフル66を示す。下バッフル66の一部が内部流体通路37内に延びている。例示の実施例では、下バッフル66は、内部流体通路37の面積の約70%を遮断するように内部流体通路37内に延びる。他の実施例では、下バッフル66は、内部流体通路37の面積を約70%よりも大きく、又は約70%よりも小さくを遮断するように内部流体通路37内に延びていてもよい。図2乃至図4に示す実施例は、内部流体通路37内に同じ距離だけ延びる上下のバッフル64及び66を示すが、本発明では、様々な上下のバッフル64及び66が内部流体通路37内に異なる距離だけ延びていてもよいということが考えられる。
【0033】
図4を再び参照すると、下バッフル66は随意のバッフル穴78を含む。一般的には、バッフル穴78は、流れる冷却手段を下バッフル66を通して流すことができるように形成されており、これによって下バッフル66の後側に渦が実質的に形成されないようにする。図4に示す実施例はバッフル穴78を含むが、冷却フィンアッセンブリ12は、バッフル穴78なしで実施できるということは理解されるべきである。バッフル穴78を以下に更に詳細に説明する。
【0034】
図5を参照すると、マニホールド36には上下のバッフル64a乃至64c及び66a乃至66b、及び第1及び第2の導管74及び76が挿入されている。図5に示すように、上下のバッフル64a乃至64c及び66a乃至66bはマニホールド36内で交互になっており、これによって内部流体通路37内に蛇行経路を形成する。マニホールド36内の冷却流体の様々な流れを示す。第1蛇行流を経路F1で示す。上下のバッフル64a乃至64c及び66a乃至66bを通る第2流を経路F2で示す。作動では、冷却流体は第2導管76からマニホールド36に進入する。冷却流体の一部が経路F1に沿って上バッフル64aの下を移動し、冷却流体の一部が経路F2に沿ってバッフル穴78aを通過する。バッフル穴78aを通過する冷却流体は、経路F1に沿って及び上バッフル64aの後方に渦が実質的に形成されないように形成されている。ひとたび上バッフル64aを通過すると、経路F1及びF2に沿った冷却流体は互いに結合する。次に、連結流体の一部は、下バッフル66aを越えて経路F1に沿って移動し、連結流体の一部は、経路F2に沿ってバッフル穴78bを通過する。バッフル穴78bを通過する冷却流体は、経路F1に沿って及び下バッフル66aの後方に渦が実質的に形成されないように形成される。ひとたび下バッフル66aを越えると、経路F1及びF2に沿った冷却流体は互いに結合する。上バッフルの下及び下バッフルの上の交互の流れのプロセスは、一部が上バッフル及び下バッフルを通過するが、冷却流体が第1導管74を通ってマニホールド36を出るまで繰り返す。図5でわかるように、上下のバッフルの交互パターンによって形成された冷却流体の蛇行流は、冷却流体に露呈されるマニホールド36の表面積を効果的に増大する。
図5を再び参照すると、マニホールド36内を流れる冷却流体は、所定の圧力及び所定の流量を有する。例示の実施例では、冷却流体の圧力は、1.406kg/cm2乃至4.218kg/cm2(約20psi乃至約60psi)の範囲内にあり、流量は約1.5gpm乃至約4.0gpmの範囲内にある。しかしながら、他の実施例では、冷却流体の圧力は、1.406kg/cm2(約20psi)よりも小さくてもよく、又は4.218kg/cm2(約60psi)よりも大きくてもよいということは理解されるべきである。更に、他の実施例では流量は約1.5gpmよりも小さくてもよく、又は約4.0gpmよりも大きくてもよいということは理解されるべきである。
【0035】
上文中に論じたように、冷却流体は第2導管76からマニホールド36に進入し、マニホールド36を通って蛇行経路を移動し、最後に第1導管74を通ってマニホールド36を出る。冷却流体がマニホールド36を通って移動するとき、冷却流体がブレード38から熱を吸収する。冷却流体の蛇行経路は、冷却流体がマニホールドを通って流れるとき、冷却流体の温度をほぼ一定にする。例示の実施例では、マニホールド36に進入する冷却流体の温度とマニホールド36を出る冷却流体の温度との温度差は、約1.67℃乃至約8.33℃(約3溶存酸°F乃至約15°F)の範囲内にある。他の実施例では、マニホールド36に進入する冷却流体の温度とマニホールド36を出る冷却流体の温度との温度差は、約1.67℃(約3°F)よりも小さくてもよく、約8.33℃(約15°F)よりも大きくてもよい。
【0036】
図5に示す実施例では、上下のバッフル64a乃至64c及び66a乃至66bは、これらのバッフルがブレード38の両側に交互に配置されるように位置決めされる。上下のバッフルを交互のパターンをなすように配置することにより、一枚のブレード38に上バッフルの下のクーラント流及び下バッフルを越えるクーラント流の両方が作用する。従って、クーラント流が各ブレード38について最大にされる。しかしながら、バッフルをこの他の所望の量及びパターンで使用できるということは理解されるべきである。
【0037】
冷却流体を蛇行して流すマニホールド36は、有利には、多くの利点を提供する。第1に、蛇行流により、マニホールド36の長さ全体に亘り、冷却流体の一貫したレベルの乱流が発生する。冷却流体の一貫したレベルの乱流は、フィラメント形成領域からの熱除去速度を全体として高くする。熱除去速度が全体として高ければ高い程、ガラス形成装置10を比較的高いスループットレベルで作動できる。
【0038】
第2に、冷却流体の一貫したレベルの乱流により、マニホールド36の長さに沿った温度が比較的均等になる。マニホールド36の長さに沿った温度が均等であると、マニホールド36内の無機質スケール形成が減少し、冷却流体の局所的沸騰が減少する。
【0039】
第3に、マニホールド36の長さに沿って温度が均等であることにより、冷却流体の処理に掛かる費用を低減できる。
【0040】
第4に、マニホールド36の長さに沿って温度が均等であることにより、冷却流体の流れが少ない領域即ち再循環ゾーンが減少する。
【0041】
次に図6及び図7を参照すると、これらの図には下バッフル66が示してある。下バッフル66は、上バッフル64とほぼ同じであるか或いは類似しているが、異なっていてもよい。簡潔にすることを目的として、下バッフル66だけを説明する。下バッフル66は着座部分80、ブロック部分82、ブロック縁部84、及びバッフル穴78を含む。着座部分80は、図2に示すように下バッフルスロット62内に位置決めされるように形成されている。ブロック部分82は、上文中に論じたように、通路37内に延びるように形成されている。
【0042】
下バッフル66は、高さがHBで厚さがTBである。下バッフル66の高さHBは、上文中に論じたように、下バッフル66が通路37内に所望距離延びるように形成されている。例示の実施例では、下バッフル66の高さHBは、約1.91cm(約0.75インチ)である。しかしながら、下バッフル66の高さHBは、約1.91cm(約0.75インチ)よりも大きくてもよいし、これよりも小さくてもよい。下バッフル66の厚さTBは、バッフルスロット62の幅と対応するように形成されている。例示の実施例では、下バッフル66の厚さTBは、約0.318cm(約0.125インチ)である。しかしながら、下バッフル66の厚さTBは、約0.318cm(約0.125インチ)よりも大きくてもよいし、これよりも小さくてもよい。
【0043】
次に図6を参照すると、着座部分80の幅はWSPであり、ブロック部分82の幅はWBPである。着座部分80の幅WSPは、マニホールド36の幅WMと実質的に同じであるように形成されている。例示の実施例では、幅WSPは、約1.91cm乃至約3.81cm(約0.75インチ乃至1.50インチ)である。別の態様では、幅WSPは、約1.91cm(約0.75インチ)よりも小さくてもよく、又は約3.81cm(1.50インチ)よりも大きくてもよい。
【0044】
同様に、ブロック部分82の幅WBPは、内部流体通路37の幅WFPと実質的に同じであるように形成されている。例示の実施例では、幅WBPは、約1.588cm乃至約3.81cm(約0.625インチ乃至約1.50インチ)である。別の態様では、幅WBPは、約1.588cm(約0.625インチ)よりも小さくてもよく、又は約3.81cm(約1.50インチ)よりも大きくてもよい。
【0045】
上文中に論じたように、バッフル穴78は、下バッフル66を通して冷却流体を流すことができるように形成されている。例示の実施例では、バッフル穴78は円形の断面形状を有し、その直径は約0.483cm(約0.19インチ)である。しかしながら、バッフル穴78は、例えば矩形の断面形状等のこの他の所望の断面形状を備えていてもよく、直径D又は長い方の寸法が約0.483cm(約0.19インチ)よりも小さくてもよく、又はこれよりも小さくてもよい。
【0046】
理論によって括られるものではないが、ブロック縁部84の形状は、バッフルによって冷却流体の流れに加えられる乱流のレベルに寄与するものと考えられる。図6に示す実施例では、バッフル縁部84は直線状形状である。しかしながら、バッフル縁部は、バッフルによって冷却流体に加えられる乱流のレベルを変化するようになったこの他の所望の形状であってもよい。
【0047】
図8を参照すると、この図には、下バッフル166の別の実施例が示してある。下バッフル166は、着座部分180、ブロック部分182、ブロック縁部184、及びバッフル穴178を含む。着座部分180ブロック部分182、及びバッフル穴178は、図6に示し且つ上文中に論じた着座部分80、ブロック部分82、及びバッフル穴78と同じであるか或いは実質的に同様である。ブロック縁部184は、内方に円弧状をなした形状を有する。
【0048】
次に図9を参照すると、この図には下バッフル266の別の実施例が示してある。この実施例では、ブロック縁部284が曲線形状を有する。
【0049】
更に大きな乱流を発生するように形成された穴をバッフルのブロック部分に設けることが本発明の範疇で考えられる。こうした穴は、円やスロット等の任意の所望の断面形状又は形態を備えていてもよい。
【0050】
次に図10を参照すると、この図には下バッフル366の別の実施例が示してある。この実施例では、ブロック縁部384は、実質的に水平な部分386及び実質的に垂直な部分388の両方を含む。実質的に垂直な部分388は下方に延びており、円弧状部分390と結合する。円弧状部分390は、流れる冷却流体の一部が下バッフル366を通過できるように形成されており、これによって、バッフル穴78について上文中に説明したように、下バッフル366の後側に渦が実質的に形成されないようにする。図10に示す実施例では、垂直部分388は下方に延びており、これらの部分が結合して円弧状部分390を形成するけれども、他の実施例では、垂直部分388が結合し、流れる冷却流体の一部を下バッフル366に通すことによって下バッフル366の後側に渦が実質的に形成されないようにするのに十分な任意の所望の形状を形成してもよいということは理解されるべきである。
【0051】
更に、本発明の範疇で、乱流発生作用を更に高くする形態の穴がバッフルのブロック部分に形成されてもよいと考えられる。こうした穴は円やスロット等の任意の所望の断面形状又は形態を備えていてもよい。
【0052】
本発明の原理及び作動モードを特定の実施例に説明した。しかしながら、本発明は、その範囲から逸脱することなく、特定的に例示し且つ説明した以外で実施してもよいということは着目されるべきである。
【符号の説明】
【0053】
10 ガラスフィラメント形成装置
12 冷却フィンアッセンブリ
14 フィラメント
16 ノズル
18 ブッシュ
20 ストランド
22 ギャザリングシュー
24 サイズアプリケータ
26 往復動デバイス
28 回転コレット
30 巻き取り装置
32 円筒形パッケージ
34 フィラメント形成領域
36 マニホールド
37 内部流体通路
38 ブレード
44 空間
46 前面
48 ブレードスロット
50 上面
52 下面
54 後面
60 上バッフルスロット
62 下バッフルスロット
64 上バッフル
66 下バッフル
70 第1端
72 第2端
74 第1導管
76 第2導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスフィラメントの製造で使用するのに適した材料で形成された冷却フィンアッセンブリにおいて、
第1端、第2端、及び冷却流体を流すように形成された、前記第1端と前記第2端との間の内部通路を持つマニホールドと、
前記内部通路内に位置決めされた複数のバッフルと、
前記マニホールドに連結された、熱をマニホールドに伝達するように形成された複数のブレードとを含み、
前記バッフルは前記マニホールド内に前記冷却流体用の蛇行経路を形成するように形成されている、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記マニホールドは上面及び下面を有し、
前記バッフルは前記上面及び前記下面から前記内部通路内に延びている、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルは、前記上面及び前記下面に配置された複数のバッフルスロットに位置決めされている、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルの各々は、着座部分及びブロック部分を有する、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルの前記ブロック部分は前記内部通路内に延びている、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルの前記ブロック部分は前記内部通路の約70%を塞ぐ、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルの前記ブロック部分は前記内部通路内に異なる距離だけ延びている、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルの各々は、前記冷却流体を前記バッフルに通すことができるように形成されたバッフル穴を含む、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルは前記マニホールド内の前記冷却流体の流れを第1流れ及び第2流れに分けるように形成されており、
前記第1流れは前記マニホールド内で蛇行経路を辿り、バッフルの周囲を流れ、
前記第2流れは前記マニホールド内及び前記バッフル穴を通過する、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項10】
請求項2に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記マニホールドは所定の長さを有し、
前記バッフルは前記マニホールドの前記長さに沿って前記上面及び前記下面から交互に延びており、
前記ブレードは前記マニホールドの前記長さに沿って前記交互のバッフル間に位置決めされている、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の冷却フィンアッセンブリにおいて、
前記バッフルの各々はブロック縁部を有し、
前記ブロック縁部は円弧形状を有する、冷却フィンアッセンブリ。
【請求項12】
ガラスフィラメントを製造するように形成された装置において、
複数のノズルを持つブッシュであって、前記ノズルに溶融ガラスを供給するように形成されており、前記ノズルはガラスフィラメントを製造するように形成されており、前記ノズルに近い領域がフィラメント形成領域である、ブッシュと、
前記フィラメント形成領域に位置決めされた請求項1に記載の冷却フィンアッセンブリと、
ガラスフィラメントを収集するように形成された機構とを含む、装置。
【請求項13】
ガラスフィラメントの製造方法において、
複数のノズルを持つブッシュを提供する工程であって、前記ノズルに溶融ガラスを供給するように形成されており、前記ノズルはガラスフィラメントを製造するように形成されており、前記ノズルに近い領域がフィラメント形成領域である、工程と、
請求項1に記載の冷却フィンアッセンブリをフィラメント形成領域に位置決めする工程と、
溶融ガラスを前記ブッシュに供給する工程と、
前記ノズルを通してガラスフィラメントを形成する工程と、
前記マニホールドを通る冷却流体の流れを提供する工程と、
熱を前記フィラメント形成領域から吸収し、前記マニホールドに伝達する工程と、
前記冷却流体が前記マニホールドを通って蛇行経路に沿って流れるとき、熱を前記マニホールドから前記冷却流体に伝達する工程とを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−507314(P2013−507314A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533241(P2012−533241)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/051396
【国際公開番号】WO2011/044077
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(508076428)オーシーヴィー インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー (43)
【Fターム(参考)】