説明

ガラスプレス成形機

【課題】
ガラスプレス成形機において、加熱、加圧および冷却ステージの各上ブロックの前後進ストロークは、成形ブロック摺動面の清掃や上下ブロック交換作業の必要から成形工程時では必要のない長ストロークがとられており、そのため、成形工程時におけるサイクルタイムの短縮には非常に問題があった。
【解決手段】
加熱、加圧および冷却ステージの駆動装置に各上ブロックの上昇限位置を決定するストローク調整装置を配設することで、成形工程時は、約10mmのストロークで、メンナンス工程時は、最長のストロークとすることが可能となり、成形工程時のサイクルタイムの短縮と、メンテナンス工程時の作業性の向上が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスプレス成形機の加熱上ブロック、加圧上ブロックおよび冷却上ブロックのストローク上限位置を調整し決定するストローク調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスプレス成形機は、複数の成形ステージを内包したチャンバ内で、ガラス素材を内包した成形ブロックを挟み込んでいる上下ブロック部の温度や加圧力等を最適に調整しながら、加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージと順次ステージ間を定ピッチで搬送しながら高精度のレンズ等の光学素子(以下レンズという)を成形している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図6は特許文献1に示される従来のガラスプレス成形機のチャンバ部の概略構成図、図7は同じく成形ブロックの搬送装置の概略構成図である。
これらの図を参照して、ガラスプレス成形機のチャンバ部の構成とシーケンスを簡単に説明する。
【0004】
図6において、チャンバ80の内部には、投入ステージを構成する投入受台101、加熱ステージを構成する加熱下ブロック87と加熱上ブロック85、加圧ステージを構成する加圧下ブロック90と加圧上ブロック89、冷却ステージを構成する冷却下ブロック93と冷却上ブロック91および回収ステージを構成する回収受台103とが横方向(図中左右方向)1列に配設されている。
【0005】
加熱下ブロック87は、内部にヒータ88が、同様に加熱上ブロック85は、内部にヒータ86がそれぞれ組み込まれ、さらに、加熱上ブロック85は、上部に空圧で駆動される駆動シリンダ95が配設され、前後進自在(図中上下方向)に移動可能となっている。
【0006】
加圧上ブロック89は、上部に同様の駆動シリンダ96が配設され、前後進自在に移動可能となっている。
【0007】
冷却下ブロック93は、内部に冷却媒体を流す冷却配管94が、冷却上ブロック91は、内部に冷却配管92がそれぞれ組み込まれ、さらに、冷却上ブロック91は、上部に同様の駆動シリンダ97が配設され、前後進自在に移動可能となっている。
【0008】
投入受台101は、下部に駆動シリンダ104が、回収受台103は、下部に駆動シリンダ105がそれぞれ配設され、前後進自在(図中上下方向)に移動可能となっている。
【0009】
チャンバ80の上面には、成形ブロック20は通過させるが投入受台101は通過させない開口部があり、その開口部を覆うように蓋構造の投入室100が配設されている。
【0010】
下面にOリング(図示せず)をもつ投入室100は、開閉アクチュエータ(図示せず)により開閉され、投入室100閉のときはチャンバ80内の気密を保持している。
【0011】
回収室102は、投入室100と同様の構造なので詳細は省略する。
【0012】
また、酸化防止のためチャンバ80内には不活性ガスが注入され(図示せず)、制御機構(図示せず)によりチャンバ80内の雰囲気をコントロールしている。
【0013】
加熱下ブロック87、加圧下ブロック90、冷却下ブロック93および回収受台103上には成形ブロック20がそれぞれ載置されている。
【0014】
成形ブロック20は、円筒状の胴型と、胴型の上方より挿入された上型と、胴型の下方より挿入された下型とからなる金型と、その金型内に内包されたガラス素材とから構成されている。
【0015】
また、チャンバ80内には後述するが搬送装置110が配設され、この搬送装置110は、各ステージ上に載置された成形ブロック20をそのステージでの成形工程終了後次のステージへと搬送している。なお、白抜きの矢印は工程の流れを示している。
【0016】
図7において、搬送装置110は、チャンバ80内に配設され、投入受台101、各下ブロック87、90、93および回収受台103上に載置された成形ブロック20を各ステージ間に搬送している。
【0017】
搬送装置110は、成形ブロック20を投入ステージから加熱ステージへ搬送する搬送ユニット111、加熱ステージから加圧ステージへ搬送する搬送ユニット112、加圧ステージから冷却ステージへ搬送する搬送ユニット113および冷却ステージから回収ステージへ搬送する搬送ユニット114とから構成されている。
【0018】
次ぎに、図6、図7により従来のガラスプレス成形機のシーケンスについて説明する。
投入室100が閉の状態で投入受台101が、および、回収室102が閉の状態で回収受台102が、それぞれ上昇を開始すると同時に駆動シリンダ95は下降を開始して、加熱下ブロック87上に載置された成形ブロク20の加熱工程が開始される。
【0019】
同様に、加圧ステージおよび冷却ステージの各駆動シリンダ96、97は、加熱ステージの駆動シリンダ95と同タイミングで下降を開始してそのステージで必要な成形工程を実施する。
【0020】
投入受台101がストローク上昇限に達したとき、投入室100は開となり、投入受台101上に成形ブロック20が載置され、その後投入室100は閉となる。
【0021】
同様に成形ブロック20を載置された回収受台102がストローク上昇限に達したとき回収室102は開となり、回収受台102上に載置された成形ブロック20が取り出されて次工程に送られ、その後回収室102は閉となる。
【0022】
投入受台101および回収受台103が下降を開始してストローク下降限に達する間に成形ブロック20の加熱、加圧および冷却工程時間は終了し、その後、駆動シリンダ95、96および97が作動し各上ブロック85、89および91はストローク上昇限まで上昇を開始する。
【0023】
投入受台101がストローク下降限に達すると、搬送ユニット111が作動し成形ブロック20は加熱下ブロック87上に搬送される。
【0024】
同時に、成形ブロック20は、搬送ユニット112により加熱ステージから加圧ステージへ、搬送ユニット113により加圧ステージから冷却ステージへ、搬送ユニット114により冷却ステージから回収ステージへと搬送される。
【0025】
ステージ間搬送が終了し、搬送装置110が原点位置に復帰完了すると1サイクルが終了し、次サイクルがスタートし投入受台101および回収受台103は上昇を開始する。
以後順次この動作を繰り返してガラス成形を連続的に行う。
【0026】
【特許文献1】特開2006−199537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
各ステージの上ブロックを前後進させる駆動シリンダのストロークは、成形工程時においてはレンズの製品厚みにより高さが異なる成形ブロックの成形を可能とすること、および、メンテナンス工程時においては広いメンテナンススペース(各下ブロック上面の成形ブロック摺動面の清掃スペース、および、各上下ブロック交換時の交換スペース)を確保することとの両面から決定されている。
【0028】
従来のガラスプレス成形機は、メンテナンス工程時の広いメンテナンススペース確保の必要性から成形工程時では必要のない長ストロークとなっており、そのため、成形工程時は無駄なストロークを前後進することになりサイクルタイムの短縮には問題があった。
【0029】
そこで、本発明はこれら従来のガラスプレス成形機の問題点を解決して、各ステージの駆動部にストローク調整装置を配設することで、成形工程時は短ストロークによるサイクルタイムの短縮が可能な、メンテナンス工程時は長ストロークによる広いメンテナンススペースを確保できることが可能なガラスプレス成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
そのため、チャンバ内に成形ブロックの加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージが配設されたガラスプレス成形機において、加熱ステージは成形ブロックを加熱する加熱上ブロック、連結ロッドおよび駆動部を、加圧ステージは成形ブロックを加圧する加圧上ブロック、連結ロッドおよび駆動部を、冷却ステージは成形ブロックを冷却する冷却上ブロック、連結ロッドおよび駆動部をもち、各駆動部は、各上ブロックのストローク上限位置を調整し決定するストローク調整装置をもつことととし、ストローク調整装置は、各ステージの上ブロックのストローク上限位置を単独に調整し決定するものとした。
【0031】
また、実施例2のストローク調整装置は、各上ブロックのストローク上限位置を同時に調整し決定できるものとし、ボルトナット方式であるものとした。
【0032】
さらに、実施例3のストローク調整装置は、各上ブロックのストローク上限位置を同時に調整し決定できるものとし、シリンダ方式であるものとした。
【発明の効果】
【0033】
ガラスプレス成形機において、各上ブロックの駆動装置にストローク調整装置を設けることで成形工程時は短ストローク(約10mm)での成形が可能となり、大幅なサイクルタイムの短縮が可能(2〜3秒/サイクルの短縮)となる。
【0034】
メンテナンス工程時は、成形工程時のストローク上限位置の制限を解除することで長ストロークが可能となり、広いメンテナンススペースが確保できる。
【0035】
また、ストローク調整装置は、ボルトナット方式により駆動シリンダごとの調整ではなく一括して調整可能とすることで調整箇所が少なくでき、さらに、シリンダ方式により調整箇所がさらに少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明を実施したガラスプレス成形機の成形部の正断面図、図2は図1のA矢視による断面部、図3はメンテナンス工程時の加圧上ブロック最上限位置の状態を示す断面図、図4は本発明の実施例2を説明するストローク調整装置の概略構成図、図5は本発明の実施例3を説明するストローク調整装置の概略構成図である。
【0037】
図1において、成形部1は、チャンバ3、基台4、各上ブロック部10、11、12、13、各下ブロック部14、15、16、17および成形ブロック20の投入および回収機構等から構成されている。
【0038】
チャンバ3は、メインフレーム2の上面に配設され、基台4は、チャンバ3の内部でメインフレーム2の上面に配設されている。
【0039】
基台4は、成形工程の流れに沿った長手方向で各下ブロック部14、15、16、17の取り付け箇所の下方位置に形成された2個の貫通した冷却水通水孔7(図中左右方向)による通水機構を備え、冷却水貫通孔7の端面には配管接続用のねじ部が加工され継ぎ手5、6がチャンバ3を貫通してねじ込まれている。
【0040】
基台4上面には加熱下ブロック部14、加圧下ブロック部15および冷却下ブロック部16、17が横方向(図中左右方向)1列に配置され、その上面には上型21、下型22および胴型23とからなる金型と、その金型内に内包されたガラス素材24とから構成される成形ブロック20が載置されている。
【0041】
加熱下ブロック部14の上方には加熱上ブロック部10が、加圧下ブロック部15の上方には加圧上ブロック部11が、冷却下ブロック部16、17の上方には冷却上ブロック部12、13がそれぞれ対向して配設されている。
【0042】
各上ブロック部10、11、12、13は、チャンバ3の上面を貫通して配設されエアーシリンダなどの駆動源(図示せず)によって駆動される可動軸52を介して所要ストロークだけ前後進自在(図中上下方向)となっている。
【0043】
また、酸化防止のため不活性ガスを注入するためのガス吹出し口33がチャンバ3の上部2箇所に設けられている。
【0044】
加熱下ブロック部14とチャンバ3の外部とはシャッタ28が設けられた投入口29を介して準備台25と連設され、準備台25にはシリンダ26と押し棒27が配設されている。
【0045】
冷却下ブロック部17とチャンバ3の外部とはシャッタ30が設けられた回収口31を介して受台32が配設されている。なお、白抜きの矢印は工程の流れを示している。
【0046】
図2において、メインフレーム2の上面には、成形部1を構成するチャンバ3と、冷却水通水孔7を形成された基台4と、チャンバ3とは分離した位置に上部フレーム46が配設されている。
【0047】
上部フレーム46の上面には、駆動部47の一部を構成しエアー等の駆動源(図示せず)にて駆動される駆動シリンダ48が配設されている。
【0048】
基台4の上面にはスペーサ40が、スペーサ40の上面には加圧下ブロック部15の加圧下ブロック39がそれぞれ配設されている。
【0049】
加圧下ブロック39には(加熱および冷却各下ブロック部14、16も同様)ヒータ41およびセンサ42が配設されている。
【0050】
可動軸52の下面にはスペーサ36が、スペーサ36の下面には加圧上ブロック部11の加圧上ブロック35がそれぞれ配設されている。
【0051】
上ブロック35には(加熱および冷却各上ブロック部10、12も同様)ヒータ37およびセンサ38が配設されている。
【0052】
なお、冷却上ブロック部13と冷却下ブロック部17には冷却配管およびセンサがそれぞれ配設されている。
【0053】
加圧下ブロック部15と加圧上ブロック部11とは互いに対向する位置にあり、その加圧下ブロック39の上面に成形ブロック20(高さはガラスの製品形状によりことなるが通常は20〜35mm)が載置されている。
【0054】
チャンバ3の上面には可動軸52を通すための貫通孔があけられ、この貫通孔は、チャンバ3内部の雰囲気を保つようOリングなど(図示せず)を装着した割りフランジ56により蓋がされている。
【0055】
また、この割りフランジ56は、上部フレーム46の下面板上面の連結ロッド50側に配設されてもよい。
【0056】
駆動シリンダ48のピストンロッド49の先端は連結ロッド50にねじ込まれ、その連結ロッド50の下面には連結ブロック51が、さらに連結ブロック51の下面には可動軸52がそれぞれ取り付けられている。
【0057】
本例ではピストン49の先端ねじ部は、連結ロッド50に直接ねじ込まれて締結されているので、ピストン49と連結ロッド50とは同一軸心となっているが、フレキシブルジョイントを用いることで、連結ロッド50とピストン49間との軸心は傾いてもよい。
【0058】
連結ロッド50の一端と上部フレーム46の間には連結ロッド50に取り付けられたガイドブロック57と、上部フレーム46に取り付けられたガイドレール58が配設されている。
【0059】
ガイドブロック57は、ガイドレール58に沿って摺動し、それにより、連結ブロック51、可動軸52およびスペーサ36を介して加圧上ブロック35は前後進すると同時に、加圧上ブロック35と加圧下ブロック39間との平行度を保持している。
【0060】
連結ブロック51の下面には、可動軸52の中心軸と同芯にあけられたねじ部をもつ通水孔が上方にむかって形成され、連結ブロック51の側面にはこの通水孔と連通するよう端部にねじ部をもつ通水孔が形成されている。
【0061】
連結ブロック51下面のねじ部には、中空軸53の先端が、連結ブロク51側面のねじ部には給水側の継ぎ手54がそれぞれねじ込まれている。
【0062】
可動軸52は、下端側の内部が有底の中空となっており、その中空部に連結ブロック51にねじ込まれた中空棒状の中空軸53が差し込まれている。
【0063】
可動軸52上方側面には可動軸52の中空部に連通した端部にねじ部をもつ通水孔があけられ、そのねじ部に排水側の継ぎ手55がねじ込まれている。
【0064】
ストローク調整装置60は、当接部材としてのブラケット59、測定部としての指針61、被測定部としての目盛板62、被当接部材としてのストッパボルト63および固定部材としてのナット64とから構成されている。
【0065】
ブラケット59は、連結ロッド50の側面に配設され、その側端部には指針61が取り付けられている。
【0066】
目盛板62は、上部フレーム46の上部部材の下面位置において、チャンバ3方向側に向かって配設され、目盛板62と指針61との間で指し示される目盛の読みが加圧上ブロック35と加圧下ブロック39間との距離を表示している。
【0067】
ストッパボルト63は、上部フレーム46の上面に貫通して加工されたねじ部にねじ込まれ、ナット64により上部フレーム46にロックされている。
【0068】
そのロック位置は、駆動シリンダ48と目盛板62との中間位置で、ストッパボルト63の下面端部とブラケット59の上面が接触可能な位置になっている。
【0069】
成形工程時の加圧上ブロック35のストローク上限位置は、ストッパボルト63の下端面部とブラケット59の上面とが接触することで決定され(加熱ステージおよび冷却ステージも同様)、通常では成形ブロック20の高さ+成形ストローク(約10mm)とされている。
【0070】
次に、図1、図2により前記構成の成形機のシーケンスについて説明する。
成形工程に先立つ成形準備工程時、成形ブロック20の高さが決まるとストローク調整装置60のナット64を緩めてからストッパボルト63を必要方向に回転させる。
【0071】
ストッパボルト63は、ストッパボルト63の下端面部とブラケット59の上面が接触したときに加圧上ブロック35と加圧下ブロック39間との距離が成形ブロック20の高さ+成形ストローク(約10mm)になるように上下方向に回転調整され、その後ナット64で上部フレーム46にロックされる。
【0072】
したがって、加圧上ブロック35がストローク上限位置に達して上昇を停止しても駆動シリンダ48内のピストンロッド49は、さらに上昇側にストロークを残した状態となっている。
【0073】
成形準備工程時にはストロークの調整箇所は7本の駆動シリンダごと、すなわち、7箇所実施する必要がある。
【0074】
加圧上ブロック35は、ヒータ37およびセンサ38により、加圧下ブロック39は、ヒータ41およびセンサ42により所定の温度に制御されており、一方可動軸52および基台4の冷却機構には常時通水され、ヒータ37、41の熱が成形機全体に伝導することを防止している。
【0075】
成形工程時、成形ブロック20が準備台25上に置かれるとシリンダ26が作動し、成形ブロック20は押し棒27を介して押し出され(図1中左方向)、加熱下ブロック部14上に搬送され、その後、シリンダ26は元の位置に引き戻される。次に次工程で使用される成形ブロック20が準備台25上に載置される。
【0076】
加熱ステージでは、加熱上ブロック部10が取り付けられた可動軸52が下降し、加熱上ブロックと加熱下ブロック間で成形ブロック20を挟み込み、ガラス素材24を軟化変形できる温度まで昇温させる。
【0077】
加圧ステージでは、加圧上ブロック部11が下降して、上型21を加圧することでガラス素材24を変形させ、冷却ステージでは、成形ブロック20を所定の取り出し温度まで冷却させる。
【0078】
各ステージでの成形工程が完了して可動軸52が上昇すると搬送装置(図示せず)が作動し、それぞれの下ブロック部14、15、16、17上に載置されている成形ブロック20は、次のステージの下ブロック部上に搬送される。
【0079】
例えば、冷却下ブロック17上にある成形ブロック20は、回収口31を通過し受台32上に搬送される。
順次この動作を一定時間ごとに繰り返して、ガラス成形を連続的に行う。
【0080】
図3はメンテナンス工程時の加圧上ブロック35の最上限位置を示すもので、チャンバ3、基台4、加圧上ブロック35、加圧下ブロック39、上部フレーム46、駆動シリンダ48、ピストンロッド49、連結ロッド50、ブラケット59、指針61および目盛板62は、図2と同様であるので同一部品には同一品番をつけ詳細説明は省略する。
【0081】
メンテナンス工程時に移行する場合、ストローク調整装置60のストッパボルト63は、ナット64を緩めた後ピストンロッド49が上昇する方向に回転される。
【0082】
ピストンロッド49は、駆動シリンダ48のストロークエンドに達するが、ブラケット59の上面とストッパボルト63の下端面部は接触しない。
【0083】
この調整により、加圧上ブロック35のストローク上昇限位置は、ピストンロッド49の最上昇限位置となり広いメンテナンススペースが確保できる。
【0084】
ところが、メンテナンス工程時に移行する場合にはストロークの調整箇所は7本の駆動シリンダごと、すなわち、7箇所調整を実施する必要がある。
【0085】
図4は調整を簡素化した実施例2を示す。図4の右側の図はメンテナンス工程時のピストンロッド49の最上限位置を、左側の図は成形工程時のピストンロッド49のストローク上限位置(成形ブロックの高さ+成形ストローク)を示している。
【0086】
上部フレーム46、駆動シリンダ48、ピストンロッド49、連結ロッド50、ブラケット59および指針61は図2と同様であるので同一部品には同一品番をつけ詳細説明は省略する。
【0087】
ストローク調整装置68は、調整ボルト69、取り付けボルト73、ストッパロッド取り付け板71、ナット70、ストッパロッド72、ブラケット59、指針61および目盛板74とから構成されている。
【0088】
先端部にねじが加工された2本の調整ボルト69は、1列に並んで配設(図中左右方向)されている駆動シリンダ48の手前側(図3におけるストッパボルト63の取り付けライン)で、さらに、駆動シリンダ48の両外側の設定位置に取り付けボルト73により上部フレーム46上に取り付けられている。
【0089】
左右側に貫通穴があけられたストッパロッド取り付け板71は、その貫通穴に調整ボルト69の先端部のねじ部が差し込まれ、ナット70により調整ボルト69に固定されている。
【0090】
また、ストッパロッド取り付け板71は、駆動シリンダ48軸芯位置に相当する中間部にねじ穴が貫通加工され、そのねじ穴に上部フレーム46を貫通して配設されたストッパロッド72がねじ込まれ固定されている。
【0091】
一方、連結ロッド50の側面にはブラケット59が配設されており、そのブラケット59とストッパロッド72は、お互いが接触可能な位置関係とされている。
【0092】
指針61は、ストッパ取り付け板71の左右の端面に取り付けられ、指針61のさらに両外側の上部フレーム46上面には目盛板74が取り付けられている。
【0093】
成形工程時(左側の図)に先立つ成形準備工程時、ナット70を緩めた後、ストッパロッド取り付け板71は、ストッパロッド72の下端面部とブラケット59の上面が接触したときに加圧上ブロック35と加圧下ブロック39間との距離が成形ブロック20の高さ+成形ストロークになるように上下方向に調整され、調整完了後、ナット70で調整ボルト69に固定される。
【0094】
この位置が成形工程時のピストンロッド49のストローク上限位置となり、指針61と目盛板74との間で指し示される目盛の読みがその位置を表示している。
【0095】
成形準備工程時には、レンズの製品形状による成形ブロック20の高さの違いによるストローク調整のため2本の調整ボルト69の箇所、すなわち、2箇所調整を実施する必要がある。
【0096】
メンテナンス工程移行時(右側の図)、ナット70を緩めた後、ストッパロッド取り付け板71は、ピストンロッド49が駆動シリンダ48のストロークエンドに達してもブラケット59とストッパロッド72が接触しない位置とされ、その後ナット70により調整ボルト69に固定される。
【0097】
したがって、加圧上ブロック35のストローク上昇限位置は、ピストンロッド49の最上昇限位置となり広いメンテナンススペースが確保できる。
【0098】
メンテナンス工程時に移行する場合、ストローク調整のため2本のストッパボルト63の調整、すなわち、2箇所実施する必要がある。
【0099】
本実施例2では、駆動シリンダごとのストローク調整装置ではなく、ボルトナット方式の調整装置とすることによりストローク調整の1括同時調整が可能となる。
【0100】
図5は実施例2より調整をさらに簡素化した実施例3を示す。図4の右側の図はメンテナンス工程時のピストンロッド49の最上限位置を、左側の図は成形工程時のピストンロッド49のストローク上限位置を示している。
【0101】
ストローク調整装置76は、ロック付シリンダ77、調整ボルト69、取り付けボルト78、ストッパロッド取り付け板71、ナット70、ストッパロッド72、ブラケット59、指針61および目盛板74とから構成されている。
【0102】
なお、ストローク調整装置76は、図4におけるストローク調整装置68の調整ボルト69がロック付シリンダ77に置き換わったのみなので同一部品には同一番号をつけ詳細説明は省略する
【0103】
ピストンロッド先端部にねじが加工された2本のロック付シリンダ77は、取り付けボルト78により、図4の調整ボルト69の取り付け位置に固定されている。
【0104】
このロック付シリンダ77は、ストロークロック部(詳細図示せず)へのエアーの供給をON、OFFすることでピストンロッド部をストロークの希望設定位置に強固にロックすることが可能なものである。
【0105】
2本のロック付シリンダ77は、7本の駆動シリンダ48の合計の上昇力に耐えてピストンロッド49の位置を保持することが可能となっている。
【0106】
メンテナンス工程時に移行する場合は、駆動エアーを切り替えてロック付シリンダ77のロックを解除するのみで調整箇所は0、すなわち、調整不要となる。
【0107】
本発明の構成は以上の通りであって、ガラスプレス成形機において、各ステージの上ブロックのストローク上限位置を調整し決定するストローク調整装置を設けるので、成形工程時においては最短のストロークでの成形が可能となり大幅なサイクルタイムの短縮となり、メンテナンス工程時においては最長のストロークの使用による確実なメンテナンス作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明を実施したガラスプレス成形機の成形部の正断面図
【図2】図1のA矢視による断面図
【図3】メンテナンス工程時の加圧上ブロックの最上限位置の状態を示す断面図
【図4】本発明の実施例2を説明するストローク調整装置の概略構成図
【図5】本発明の実施例3を説明するストローク調整装置の概略構成図
【図6】従来のガラスプレス成形機のチャンバ部の概略構成図
【図7】同じく成形ブロックの搬送装置の概略構成図
【符号の説明】
【0109】
2 メインフレーム
3 チャンバ
11 加圧上ブロック部
15 加圧下ブロック部
20 成形ブロック
46 上部フレーム
48 駆動シリンダ
49 ピストンロッド
50 連結ロッド
60、68、76 ストローク調整装置
62、74 目盛板
63 ストッパボルト
64 ナット
69 調整ナット
71 ストッパロッド取り付け板
72 ストッパロッド
77 ロック付シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内に成形ブロックの加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージが配設されるガラスプレス成形機において、前記加熱ステージは、前記成形ブロックを加熱する加熱上ブロック、連結ロッドおよび駆動部を、前記加圧ステージは、前記成形ブロックを加圧する加圧上ブロック、連結ロッドおよび駆動部を、前記冷却ステージは、前記成形ブロックを冷却する冷却上ブロック、連結ロッドおよび駆動部をもち、前記各駆動部は、前記各上ブロックのストローク上限位置を調整し決定するストローク調整装置をもつことを特徴とするガラスプレス成形機。
【請求項2】
前記ストローク調整装置は、各ステージの上ブロックのストローク上限位置を単独に調整し決定できるように配設されることを特徴とする請求項1に記載のガラスプレス成形機。
【請求項3】
前記ストローク調整装置は、各ステージの上ブロックのストローク上限位置を同時に調整し決定できるように配設されることを特徴とする請求項1に記載のガラスプレス成形機。
【請求項4】
前記ストローク調整装置は、ボルトナット方式であることを特徴とする請求項3に記載のガラスプレス成形機。
【請求項5】
前記ストローク調整装置は、シリンダ方式であることを特徴とする請求項3に記載のガラスプレス成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−126739(P2009−126739A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302620(P2007−302620)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)