説明

ガラスプレス成形機

【課題】
ガラスプレス成形機において、成形品の品質確保のため加熱ステージの複数ゾーンの上下ブロックは温度制御を必要としコストアップになっていた。また、成形ブロックは、断続して配設された下ブロック間を高さ方向の段差を乗り越えて搬送されるときに振動して硝材のズレをおこし、成形品の外観が安定しなかった。
【解決手段】
加熱ステージの複数ゾーンの下ブロックを1枚とし、この下ブロックに埋設された複数のヒータの配設距離や容量を変えることで、1個のゾーンの温度制御のみで複数ゾーンに必要な温度勾配をつけ、さらに、成形ブロックの搬送時には段差を乗り越えることもなくなるので硝材のズレも防止でき、コストダウンとともに成形品の品質も確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスプレス成形機の加熱上下ブロックの構造および温度勾配に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラスプレス成形機は、複数の成形ステージを内包したチャンバ内で、硝材を内包した成形ブロックを挟み込んでいる上下ブロック部の温度や加圧力等を最適に調整しながら、成形ブロックを加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージへと順次ステージ間を定ピッチで搬送しながら高精度のレンズ等の光学素子(以下レンズという)を成形している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図5は特許文献1に示される従来のガラスプレス成形装置の正断面図である。
この図を参照してガラスプレス成形装置の構成とシーケンスを簡単に説明する。
【0004】
図5において、チャンバ51内に配設された架台52上には加熱下ブロック75、加圧下ブロック76および冷却下ブロック77、78が横方向(図中左右方向)1列に配設され、その上方には各下ブロック75、76、77、78に対応して加熱上ブロック70、加圧上ブロック71および冷却上ブロック72、73がそれぞれ配設されている。
【0005】
各上ブロック(詳述しないが、ヒータ、冷却水接続口および熱電対等が装備されている)70、71、72、73、は、それぞれ駆動シリンダ56を介して所要ストロークだけ前後進自在(図中上下方向)に移動可能となっている。
【0006】
成形ブロック60は、円筒状の胴型62と、胴型62の上方より挿入された上型61と、下方より挿入された下型63と、その中間部に内包された硝材64とから構成されている。
【0007】
また、酸化防止のため不活性ガスを注入するためのガス吹出口55がチャンバ51の上部2箇所に設けられ、開閉自在のシャッタ83、85の適切なタイミングでの開閉によりチャンバ51内の雰囲気をコントロールしている。
【0008】
加熱下ブロック75とチャンバ51の外部とはシャッタ83が設けられた投入口53を介して準備台80が連設され、準備台80にはシリンダ82と押し棒81が配設されている。
【0009】
冷却下ブロック78とチャンバ51の外部とはシャッタ85が設けられた回収口54を介して受台84が連設されている。
【0010】
また、チャンバ51の背面側には搬送装置(図示せず)が配設され、成形ブロック60をシーケンスにもとづき次工程へと搬送している。なお、白抜きの矢印は工程の流れを示している。
【0011】
次ぎに、図5により前記構成のガラスプレス成形装置のシーケンスについて説明する。
成形工程の開始に先立ち、加熱、加圧および冷却の3つのステージで合計7組の上下各ブロック70、71、72、73、75、76、77、78は、それぞれ最適な一定温度(設定温度は異なるが定常状態)に制御されている。
【0012】
成形工程時、成形ブロック60が準備台80上に置かれると適切なタイミングでシャッタ83が開となる。
【0013】
シリンダ82が作動し、成形ブロック60は押し棒81を介して押し出され(図中左方向)、投入口53を通過して加熱下ブロック75上に搬送され、その後、シリンダ82は元の位置に引き戻され、シャッタ83は閉となる。
【0014】
加熱上ブロック70が取り付けられた駆動シリンダ56が下降して加熱上ブロック70と加熱下ブロック75間で成形ブロック60を挟み込み加熱工程が開始される。
【0015】
同時にチャンバ51内の各下ブロック75、76、77、78上にすでに搬送されている成形ブロック60に対しては、加熱ステージでは加熱工程が、加圧ステージでは加圧工程が、冷却ステージでは冷却工程がそれぞれ開始される。
【0016】
前記工程が完了して駆動シリンダ56が上昇すると、搬送装置が作動し、搬送装置の送りアーム(図示せず)が前進して各成形ブロック60の間に差し込まれる。
【0017】
続いて、送りアームが搬送方向に作動し各下ブロック75、76、77.78上に載置されている成形ブロック60は、順次次のブロック上に摺動しながら搬送される。
【0018】
例えば、冷却下ブロック78上にある成形ブロック60は、回収口54を通過し受台84上に搬送される。
【0019】
その後、送りアームは元の位置に引き戻され原点位置に復帰する。
【0020】
一方受台84上に搬送された成形ブロック60は次工程のための待機位置に搬送され、同時に次工程で成形される成形ブロック60は、準備台80上に載置される。
順次この動作を一定時間ごとに繰り返して、ガラス成形を連続的に行う。
【0021】
【特許文献1】特開平4−164826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
成形ブロックの急加熱を防止して硝材からの飛散物を最小限に抑えてレンズの品質を確保するため、加熱ステージの各ゾーンは、加熱上下ブロックごとに温度制御をされておりコスト的には高価なものになっていた。
【0023】
さらに、成形ブロックは、加熱ステージの複数の加熱下ブロック上を摺動しながら搬送されるが、各加熱下ブロック間には0.2mm〜0・3mm程度の加工誤差による高さ方向の段差があり、この段差を強制的に乗り越えるときの成形ブロックの振動により成形ブロック内の硝材の位置が安定せず、レンズの表面精度に悪影響を与えていた。
【0024】
そこで、本発明は、これら従来のガラスプレス成形機の問題点を解決して成形機のコストが安く、品質の高いレンズを生産できるガラスプレス成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
そのため、チャンバ内に成形ブロックの加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージが配設されるガラスプレス成形機において、加熱ステージは、複数のゾーンからなり、加熱ステージの加熱下ブロックは、複数個のヒータが埋設される1枚のブロックで構成されるとともに、加熱下ブロックは、加熱ステージ入り口側から加圧ステージ側にむけて低温から高温側に連続的な温度勾配がつけられるものとした。
【0026】
また、複数のゾーンは、前部輻射加熱ゾーン、後部輻射加熱ゾーンおよび予備加圧ゾーンとからなるものとした。
【0027】
さらに、実施例1では、加熱下ブロックに埋設される複数個のヒータは、前部輻射加熱ゾーン側から予備加圧ゾーン側にむけて、成形ブロックの搬送方向における配設距離が粗から次第に密に配設されるものとした。
【0028】
実施例2では、加熱下ブロックに埋設される複数個のヒータは、前部輻射加熱ゾーン側から予備加圧ゾーン側にむけて、ゾーンごとにそのヒータ容量が低容量から高容量へと連続して変化するものとした。
【0029】
加熱ステージの加熱上ブロックは、複数個のヒータが埋設される前部および後部の2枚の加熱上ブロックで構成されるとともに、前部加熱上ブロックは、加熱ステージ入り口側から加圧ステージ側にむけて低温から高温側に連続的な温度勾配がつけられるものとした。
【0030】
また、複数のゾーンは、前部輻射加熱ゾーン、後部輻射加熱ゾーンおよび予備加圧ゾーンであるものとし、2枚の加熱上ブロックは、前部輻射加熱ゾーンと後部輻射加熱ゾーン共用の前部加熱上ブロックと、予備加圧ゾーン用の後部加熱上ブロックであるものとした。
【0031】
実施例1では、加熱上ブロックに埋設される複数個のヒータは、前部輻射加熱ゾーン側から後部輻射加熱ゾーン側にむけて、成形ブロックの搬送方向における配設距離が粗から次第に密に配設されるものとした。
【0032】
実施例2では、加熱上ブロックに埋設される複数個のヒータは、前部輻射加熱ゾーン側から後部輻射加熱ゾーン側にむけて、ゾーンごとにそのヒータ容量が低容量から高容量へと連続して変化するものとした。
【発明の効果】
【0033】
加熱ステージを構成する複数ゾーンの加熱下ブロックを1枚とし、複数個の埋設されたヒータの配設距離または容量を違えることで前部輻射加熱ゾーン側から予備加圧ゾーン側にむけて連続して温度が高くなるように温度勾配をつけることで、予備加圧ゾーンを温度制御(例えば500度に設定制御)するのみで前部輻射加熱ゾーンでは成形ブロックの急加熱を防ぐ温度(例えば400度)にでき、加熱下ブロックの温度制御個数は従来の3個から1個に削減できる。
【0034】
同様に、加熱ステージを構成する前部および後部輻射加熱ゾーンの加熱上ブロックを1枚とし、複数個の埋設されたヒータの配設距離または容量を違えることで前部輻射加熱ゾーン側から後部輻射加熱ゾーン側にむけて連続して温度が高くなるように温度勾配をつけることで、後部輻射加熱ゾーンを温度制御するのみで前部輻射加熱ゾーンでは成形ブロックの急加熱を防ぐ温度にでき、加熱上ブロック部の温度制御個数は従来の3個から2個に削減できる。
【0035】
さらに、加熱ステージを構成する複数ゾーンの加熱下ブロックを1枚とすることで、加熱下ブロック間の加工誤差による高さ方向の段差を成形ブロックが強制的に乗り越えるときの成形ブロックの振動が防止でき、成形ブロック内の硝材の位置ズレがなくなるのでレンズの表面精度の確保ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1を示すガラスプレス成形機の成形部の概略図、図2は同じく加熱ステージ部およびヒータの配列、容量を示す説明図、図3は本発明の実施例2を示す加熱ステージ部およびヒータの配列、容量を示す説明図、図4は本発明の実施例3を示す加熱ステージ部およびヒータの配列を示す説明図である。
【0037】
本発明は、図5の従来のガラスプレス成形装置と加熱ステージ部が異なるのみで、加圧ステージ、冷却ステージ、成形ブロック、成形ブロックの投入および回収装置は同様につき詳細の説明は省略する。
【0038】
図1において、駆動シリンダ56、成形ブロック60、加圧上ブロック71、冷却上ブロック72、73、加圧下ブロック76、冷却下ブロック77、78は図5と同様である。
【0039】
1は成形部であり、チャンバ2の内部には、加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージが横方向1列に配設されており、さらに、加熱ステージは、前部輻射加熱ゾーンS1、後部輻射加熱ゾーンS2および予備加圧ゾーンS3とからなっている。
【0040】
チャンバ2内に配設された架台3上には加熱下ブロック12、加圧下ブロック76および冷却下ブロック77、78が配設されている。
【0041】
その上方には、加熱下ブロック12に対応し前部輻射加熱ゾーンS1および後部輻射加熱ゾーンS2部の前部加熱上ブロック5と、予備加圧ゾーンS3部の後部加熱上ブロック6が、各下ブロック76、77、78に対応して各上ブロック71、72、73がそれぞれ配設されている。
【0042】
各上ブロック5、6、71、72、73は、それぞれ駆動シリンダ56が締結され、この駆動シリンダ56を介して所要ストロークだけ前後進自在に移動可能となっている。
【0043】
図2において、上方の図は加熱ステージ部の説明図、下方の図はヒータの配列および容量を示す説明図である。
【0044】
図において、架台3、前部加熱上ブロック5、後部加熱上ブロック6、駆動シリンダ56、加熱下ブロック12、成形ブロック60、硝材64、前部輻射加熱ゾーンS1、後部輻射加熱ゾーンS2、予備加圧ゾーンS3は図1と同一であるので同一番号をつけ詳細説明は省略する。
【0045】
架台3上に加熱下ブロック12が配設され、その上面に硝材64を内包した成形ブロック60が前部輻射加熱ゾーンS1位置、後部輻射加熱ゾーンS2位置および予備加圧ゾーンS3位置にそれぞれ等間隔(従来例の加圧下ブロック76、冷却下ブロック77、78上の成形ブロック60と同一間隔)で載置されている。
【0046】
加熱下ブロック12上面からの設定位置には、前部輻射加熱ゾーンS1の中央位置に温度監視用検出手段としてのセンサ26が、後部輻射加熱ゾーンS2の中央位置に温度監視用検出手段としてのセンサ28が、予備加圧ゾーンS3の中央位置に制御用検出手段としてのセンサ30がそれぞれ配設されている。
【0047】
また、センサ26、28、30の下方には加熱手段としてのヒータ15が前部輻射加熱ゾーンS1から予備加圧ゾーンS3に向かってその配設距離が疎から次第に密になるように埋設されている。
【0048】
そのため、予備加圧ゾーンS3のセンサ30による温度制御のみで、加熱下ブロック12は、予備加圧ゾーンS3から前部輻射加熱ゾーンS1に向かって次第に温度が低くなるよう温度勾配がつくことになり、そのときの前部輻射加熱ゾーンS1部の温度はセンサ26が、後部輻射加熱ゾーンS2部の温度はセンサ28が監視している。
【0049】
従って、センサ1箇所の温度制御のみで予備加圧時の硝材64に影響を与える加熱ステージ最終ゾーンの温度をコントロールできる。
【0050】
前部加熱上ブロック5下面からの設定位置には、前部輻射ゾーンS1の中央位置に温度監視用検出手段としてのセンサ25が、後部輻射ゾーンS2の中央位置に制御用検出手段としてのセンサ27がそれぞれ配設されている。
【0051】
また、センサ25、27の上方にはヒータ15が加熱下ブロック12のヒータ15の埋設位置と対応した位置、すなわち、その装着距離は前部輻射加熱ゾーンS1から後部輻射加熱ゾーンS2に向かって疎から次第に密になるように埋設されている。
【0052】
従って、前部加熱上ブロック5は、後部輻射加熱ゾーンS2のセンサ27による温度制御のみで、後部輻射ゾーンS2から前部輻射加熱ゾーンS1に向かって次第に温度が低くなるよう温度勾配がつくことになり、そのときの前部輻射加熱ゾーン部の温度はセンサ25が監視している。
【0053】
なお、この前部輻射加熱ゾーンS1および後部輻射加熱ゾーンS2において、前部加熱上ブロック5は、成形ブロック60がより均一に加熱されるよう輻射による加熱方式をとっているので成形ブロック60とは接触していない。
【0054】
予備加圧ゾーンS3に対応する位置には成形ブロック60に接触するよう、ヒータ15と制御用のセンサ29が取り付けられた後部加熱上ブロック6が配設されており、加熱工程時には成形ブロック60中の硝材64の加熱温度を制御すると同時に予備加圧をする。
【0055】
下方の図は、横軸はヒータの取り付け位置で、前部輻射加熱ゾーンS1部から予備加圧ゾーンS3部に向かってL1、L2、L3、L4、L5と次第に連続して疎から密になっており、縦軸はヒータの容量で一定容量となっている。
【0056】
このように、従来例の加熱ステージにおいて温度制御個数は加熱上下ブロック合計で6個必要であったが、本発明の実施例1において温度制御個数は3個となり大幅なコストダウンとなり、また、放熱面積が小さくなるので加熱効率も向上させることができる。
【0057】
次ぎに、図1、図2により前記構成のガラスプレス成形装置のシーケンスについて説明する。
成形工程の開始に先立ち、加熱下ブロック12はセンサ30により、前部加熱上ブロック5はセンサ27により、後部加熱上ブロック6はセンサ29により温度制御されることで予備加圧ゾーンS3から前部輻射加熱ゾーンS1に向けて次第に連続して温度が低くなるよう温度勾配がつけられている。
【0058】
加圧ステージ、冷却ステージは従来例と同様にそれぞれ最適な温度に制御されている。
【0059】
成形工程時、成形ブロック60が加熱下ブロック12上に搬送されるまでは従来例と同様である。
【0060】
駆動シリンダ56の下降により、前部加熱上ブロック5は成形ブロック60の直上で停止し前部輻射加熱ゾーンS1および後部輻射加熱ゾーンS2で成形ブロック60の輻射加熱工程を開始する。
【0061】
同時に予備加圧ゾーンS3で、後部加熱上ブロック6は成形ブロック60に接触して加熱を開始するとともに成形ブロック60内の硝材64を予備加圧する。
【0062】
同時にチャンバ2内の各下ブロック76、77、78上にすでに搬送されている成形ブロック60に対しては、加圧ステージでは加圧工程が、冷却ステージでは冷却工程がそれぞれ開始される。
【0063】
前記工程が完了し、搬送装置が作動して成形ブロック60を次工程に搬送し、その後搬送装置が原点位置に復帰するまでは従来例と同様なので詳細説明は省略する。
【0064】
図3において、本図は本発明の実施例2を示すもので、上方の図は加熱ステージ部の説明図、下方の図はヒータの配列および容量を示す説明図であり、図2とはヒータ16、17、18の配列および容量のみが異なるものである。
【0065】
図において、架台3、センサ25、26、27、28、29、30、成形ブロック60、硝材64、前部輻射加熱ゾーンS1、後部輻射加熱ゾーンS2、予備加圧ゾーンS3は図2と同一であるので同一番号をつけ詳細説明は省略する。
【0066】
架台3上に加熱下ブロック13が配設され、その上面に硝材64を内包した成形ブロック60が前部輻射加熱ゾーンS1位置、後部輻射加熱ゾーンS2位置および予備加圧ゾーンS3位置にそれぞれ等間隔で載置されている。
【0067】
センサ26、28、30の配設位置は図2と同様である。
【0068】
センサ26、28、30の下方にはこれらセンサ26、28、30の配設位置と振り分けで距離L6で各2個のヒータ16、17、18が前部輻射加熱ゾーンS1から予備加圧ゾーンS3に向かってゾーンごとに次第に高容量になるよう埋設されている。
【0069】
従って、予備加圧ゾーンS3のセンサ30による温度制御のみで、加熱下ブロック13は、予備加圧ゾーンS3から前部輻射加熱ゾーンS1に向かって次第に温度が低くなるよう温度勾配がつくことになり、そのときの前部輻射加熱ゾーンS1部および後部輻射加熱ゾーンS2部の温度の監視は図2と同様である。
【0070】
前部輻射加熱ゾーンS1および後部輻射加熱ゾーンS2に対応する上部には1枚の前部加熱上ブロック7が配設され、センサ25、26は図2と同様である。
【0071】
センサ25、27の上方には加熱下ブロック13のヒータ16、17に対応して各2個のヒータ16、17が前部輻射加熱ゾーンS1から後部輻射加熱ゾーンS2に向かってゾーンごとに次第に高容量になるよう埋設されている。
【0072】
従って、前部加熱上ブロック7は、後部輻射加熱ゾーンS2のセンサ27による温度制御のみで、後部輻射ゾーンS2から前部輻射加熱ゾーンS1に向かって次第に温度が低くなるよう温度勾配がつくことになり、そのときの前部輻射加熱ゾーンS1の温度の監視は図2と同様である。
【0073】
予備加圧ゾーンS3に対応する位置には成形ブロック60に接触するよう距離L6でヒータ18とセンサ29が取り付けられた後部加熱上ブロック8が配設されおり、加熱工程時には成形ブロック60中の硝材64の加熱温度を制御すると同時に予備加圧をする。
【0074】
下方の図は、横軸はヒータの取り付け位置でセンサ26、28、30の配設位置と振り分けで距離L6となっており、縦軸は容量で前部輻射加熱ゾーンS1のw2、後部輻射加熱ゾーンS2のw3、予備加圧ゾーンS3のw4とゾーンごとに容量が高容量となっている。
【0075】
次に、図3により前記構成のガラスプレス成形機のシーケンスにつき説明する。
成形工程の開始に先立ち、加熱下ブロック13はセンサ30により、前部加熱上ブロック7はセンサ27により、後部加熱上ブロック8はセンサ29により温度制御されることで予備加圧ゾーンS3から前部輻射加熱ゾーンS1に向けて次第に連続して温度が低くなるよう温度勾配がつけられている。
【0076】
成形工程の開始に先立つその他のステージおよび成形工程における各ステージのシーケンスは図2と同様である。
【0077】
温度制御個数も図2と同様で、加熱ステージにおいて従来例では6個必要であったが、本発明の実施例2においては3個となる。
【0078】
図4において、本図は本発明の実施例3を示すもので、図2とはヒータ19、20a、20b、センサ31、32、33のみが異なるものである。
【0079】
図において、架台3、センサ28、29、30、成形ブロック60、硝材64、前部輻射加熱ゾーンS1、後部輻射加熱ゾーンS2、予備加圧ゾーンS3は図2と同一であるので同一番号をつけ詳細説明は省略する。
【0080】
架台3上に加熱下ブロック14が配設され、その上面に硝材64を内包した成形ブロック60が前部輻射加熱ゾーンS1位置、後部輻射加熱ゾーンS2位置および予備加圧ゾーンS3位置にそれぞれ等間隔で載置されている。
【0081】
加熱下ブロック14上面からの設定位置には、前部輻射加熱ゾーンS1の中央位置に制御用検出手段としてのセンサ31が、後部輻射加熱ゾーンS2の中央位置にセンサ28が、予備加圧ゾーンS3の中央位置にセンサ30がそれぞれ配設されている。
【0082】
センサ28、30の配設位置は図2と同様である。
【0083】
センサ28、30、31の下方にはヒータ20a、20bが埋設されており、センサ31によりヒータ20aが、センサ30によりヒータ20bがそれぞれ制御されている。
【0084】
前部輻射加熱ゾーンS1および後部輻射加熱ゾーンS2に対応する上部には1枚の前部加熱上ブロック9が配設されている。
【0085】
前部加熱上ブロック9下面からの設定位置に、前部輻射加熱ゾーンS1の中央位置に制御用検出手段としてのセンサ32が、後部輻射加熱ゾーンS2の中央位置に温度監視用検出手段としてのセンサ33がそれぞれ配設され、センサ32、33の上方にはヒータ19が埋設されている。
【0086】
予備加圧ゾーンS3に対応する位置にはヒータ19とセンサ29が取り付けられた後部加熱上ブロック10が配設されている。
【0087】
次に、図4により前記構成のガラスプレス成形機のシーケンスにつき説明する。
成形工程の開始に先立ち、加熱下ブロック14はセンサ31、32により、加熱上ブロック9はセンサ32により、加熱上ブロック10はセンサ29により温度制御されている。
【0088】
従って、これらによる温度制御で加熱ステージは、予備加圧ゾーンS3から前部輻射加熱ゾーンS1に向けて次第に連続して温度が低くなるよう温度勾配がつけられている。
【0089】
成形工程の開始に先立つその他のステージおよび成形工程における各ステージのシーケンスは図2と同様である。
【0090】
温度制御個数は、加熱ステージにおいて従来例では6個必要であったが、本発明の実施例3においては4個となる。
【0091】
本発明の構成は以上の通りであって、ガラスプレス成形機の加熱ステージにおいて、加熱ステージの下ブロックを1枚とし、埋設ヒータの配設距離または容量を違えて前部輻射加熱ゾーンから予備加圧ゾーンにむけて温度勾配をつけることで、予備加圧ゾーン部の温度制御のみで前部輻射加熱ゾーンにおける成形ブロックの急加熱を防ぐことができ、高価な温度制御数が削減できてコストダウンが可能になる。
【0092】
同様に、加熱ステージの輻射加熱ゾーンの加熱上ブロックを1枚とし加熱下ブロックと同様とすることで後部輻射加熱ゾーン部の温度制御のみで前部輻射加熱ゾーンにおける成形ブロックの急加熱を防ぐことができ、高価な温度制御ゾーンの数が削減できる。
【0093】
さらに、加熱下ブロックを1枚とすることで、各下ブロック間の加工誤差による高さ方向の段差を強制的に乗り越える必要がなくなり、成形ブロックの振動が防止できるので硝材の位置ズレが防止できレンズの表面精度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施例1を示すガラスプレス成形機の成形部の概略図
【図2】同じく加熱ステージ部およびヒータの配列、容量を示す説明図
【図3】本発明の実施例2を示す加熱ステージ部およびヒータの配列、容量を示す説明図
【図4】本発明の実施例3を示す加熱ステージ部およびヒータの配列、容量を示す説明図
【図5】従来のガラスプレス成形装置の正断面図
【符号の説明】
【0095】
2 チャンバ S1 前部輻射加熱ゾーン
5 前部加熱上ブロック S2 後部輻射加熱ゾーン
6 後部加熱上ブロック S3 予備加圧ゾーン
12 加熱下ブロック
15 ヒータ
25、26 センサ
27、28 センサ
29、30 センサ
60 成形ブロック
64 硝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内に成形ブロックの加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージが配設されるガラスプレス成形機において、前記加熱ステージは、複数のゾーンからなり、前記加熱ステージの加熱下ブロックは、複数個のヒータが埋設される1枚のブロックで構成されるとともに、前記加熱下ブロックは、前記加熱ステージ入り口側から前記加圧ステージ側にむけて低温から高温側に連続的な温度勾配がつけられることを特徴とするガラスプレス成形機。
【請求項2】
前記複数のゾーンは、前部輻射加熱ゾーン、後部輻射加熱ゾーンおよび予備加圧ゾーンとからなることを特徴とする請求項1に記載のガラスプレス成形機。
【請求項3】
前記加熱下ブロックに埋設される複数個のヒータは、前記前部輻射加熱ゾーン側から予備加圧ゾーン側にむけて、前記成形ブロックの搬送方向における配設距離が粗から次第に密に配設されることを特徴とする請求項1に記載のガラスプレス成形機。
【請求項4】
前記加熱下ブロックに埋設される複数個のヒータは、前記前部輻射加熱ゾーン側から予備加圧ゾーン側にむけて、前記ゾーンごとにそのヒータ容量が低容量から高容量へと連続して変化することを特徴とする請求項1に記載のガラスプレス成形機。
【請求項5】
チャンバ内に成形ブロックの加熱ステージ、加圧ステージおよび冷却ステージが配設されるガラスプレス成形機において、前記加熱ステージは、複数のゾーンからなり、前記加熱ステージの加熱上ブロックは、複数個のヒータが埋設される前部および後部の2枚の加熱上ブロックで構成されるとともに、前記前部加熱上ブロックは、前記加熱ステージ入り口側から前記加圧ステージ側にむけて低温から高温側に連続的な温度勾配がつけられることを特徴とするガラスプレス成形機。
【請求項6】
前記複数のゾーンは、前部輻射加熱ゾーン、後部輻射加熱ゾーンおよび予備加圧ゾーンとからなり、前記前部および後部の2枚の加熱上ブロックは、前記前部輻射加熱ゾーンと後部輻射加熱ゾーン共用の前部加熱上ブロックと前記予備加圧ゾーン用の後部加熱上ブロックとからなることを特徴とする請求項5に記載のガラスプレス成形機。
【請求項7】
前記前部加熱上ブロックに埋設される複数個のヒータは、前記前部輻射加熱ゾーン側から後部輻射加熱ゾーン側にむけて、前記成形ブロックの搬送方向における配設距離が粗から次第に密に配設されることを特徴とする請求項5に記載のガラスプレス成形機。
【請求項8】
前記前部加熱上ブロックに埋設される複数個のヒータは、前記前部輻射加熱ゾーン側から後部輻射加熱ゾーン側にむけて、前記ゾーンごとにそのヒータ容量が低容量から高容量へと連続して変化していることを特徴とする請求項5に記載のガラスプレス成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−263170(P2009−263170A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115160(P2008−115160)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)