説明

ガラス板面へのモールの接着方法および装置

【課題】ガラス板面の外周縁面の全周または一部にモールを精度良く接着する。
【解決手段】該ガラス板の外周縁に沿った金型上の全周または一部に沿った支持部材を配設し、ガラス接着部と脚部を少なくとも有するモールの脚部を前記支持部材の上面に設けた凹溝部内に着脱自在に嵌合させた後、ガラス板を載置するまで該凹溝部とモールの脚部との空間を吸引して負圧にしてモールが凹溝部から外れないようにし、支持部材の上方位置でガラス板を四方向から挟持して押圧する押圧ロールによってセンタリング後、ガラス板の下面側に設けた吸着パッドによりガラス板を吸着固定して下降させて前記モール側へ押しつけ、モールの上面に接着した両面粘着テープによってガラス板の外周縁の下面の全周または一部に配設したモールを一斉に接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の窓枠に接着方式で取り付けるタイプの窓ガラスの周縁部に位置精度良くモールを接着する方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の窓枠へのガラス板の取り付けにあたっては、ガラス板の端面の保護や雨水の浸入防止のため、ガラス板の全周囲にゴム製や樹脂製の弾性モールを配設するウエザーストリップ方式や、エンキャップ方式が汎く採用されているが、最近では自動車のボディの金属製の窓枠にガラス板を直接接着するタイプのものも広く採用されてきている。
【0003】
この窓枠への接着によるガラス板の取付構造としては、ガラス板の周縁部と窓枠間の夫々に弾性モールを配設し、車外側から観て弾性モールがガラス板の周縁エッジから食み出さないようにして、外観を損なわないようにするために、ボディの窓枠へのガラス板の取付位置を精度良く行う必要がある。
【0004】
例えば、特開2008−238954号公報には、窓ガラスに平行に延びる平行部とこの平行部から車体に向かって延びる鉛直部とを含むウインドモール、及び前記鉛直部を収納する溝を備える治具を準備し、この治具に前記ウインドモールを載せ、前記平行部の上面に局部的に接着剤を載せ、この接着剤に窓ガラスの縁部の下面を押付けることで、窓ガラスの縁部にウインドモールを取付けるウインドモールの取付方法において、前記接着剤を厚くするという対策と、前記平行部は全体又は少なくとも前記接着剤に臨む部分を軟質材で構成する対策と、前記治具は前記接着剤に臨む部分を弾性材で構成する対策とのうちの少なくとも1つの対策を講じることにより、前記窓ガラスの縁部に上向き作用する反力を緩和するようにしたことを特徴とするウインドモールの取付方法が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、特開昭55−1210号公報には、ガラス板(G)の周辺部に嵌合させたモール(M)を前記ガラス板(G)周辺又は周辺近くの板面に接着剤層(C)を介して押付け保持することにより、このモール(M)をガラス板(G)周辺に接着固定するための冶具であって、前記ガラス板(G)よりも小さくて、その周辺形状と相似又はほぼ相似する形状を有し、かつガラス板面に当て付け保持可能なフレーム(1)を設け、このフレーム(1)の周辺部には、前記モールMに外嵌させた複数個の押付け部材(2)・・をガラス板(G)周辺部側に弾性移動可能な状態で、かつ、フレーム(1)周辺方向に位置変更可能な状態に装着してあることを特徴とするガラス板周辺へのモール装着固定用冶具が開示されている(特許文献2)。
【0006】
さらにまた、特開昭55−1237号公報には、ガラス板(G)の周辺部に嵌合させたモールMを前記ガラス板(G)周辺又は周辺近くの板面に接着剤層(C)を介して押付け保持することにより、このモールMをガラス板(G)周辺に接着固定するための装置であって、一方のガラス板面に当て付け保持可能なフレーム(1)に、前記ガラス板(G)に付設の複数の孔(g1)、(g2)に挿通してガラス板(G)の位置および姿勢を固定保持する突起部材(3)・・を設けるとともに、前記モールMに外嵌させた複数個の押付け部材(4)・・を前記モールMの対ガラス板(G)接着姿勢および形状が所要の状態に規制されるまでガラス板(G)周辺側に移動可能な状態で前記フレーム(1)に装着してあることを特徴とするガラス板周辺へのモール装着固定用装置が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−238954号公報
【特許文献2】特開昭55−1210号公報
【特許文献3】特開昭55−1237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載のものは、冶具に設けた溝にウィンドモールを嵌めた時に、ウィンドモールと冶具の四季による温度変化によって膨張収縮の影響を受け、溝に嵌めたウィンドモールが冬場に緩くなって外れたり、浮き上がったりする恐れがあり、このような状態でガラス板を載置したときに、歪んだ状態のままの接着となったり、接着ムラ、位置ズレ等の接着不良となったりする恐れがあった。
【0009】
また、前記特許文献2、および特許文献3に記載のものは、モールをガラス板の端面に当てて取り付ける方式であるため、モールの取付位置がガラス板の端面基準となるが、ガラス板寸法には公差があるため端面基準で取り付けた時には取付位置精度にバラツキが発生し、車体の中心基準で取り付ける必要がある場合には、ガラス板面へのモールの取付位置精度をより向上させる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の問題点を解決する、すなわち、ガラス板の周縁面部へのモールの接着位置をガラス板の中心基準とすることができ、四季等による温度変化があってもガラス板の周縁面へのモールの接着を効率良く、迅速に、位置精度よくでき、接着不良や接着ムラを防止することを目的とする。
【0011】
すなわち本発明は、ガラス板面の外周縁面の全周または一部にモールを接着する方法において、該ガラス板の外周縁に沿った金型上の全周または一部に沿った支持部材を配設し、ガラス接着部と脚部を少なくとも有するモールの脚部を前記支持部材の上面に設けた凹溝部内に着脱自在に嵌合させた後、ガラス板を載置するまで該凹溝部とモールの脚部との空間を吸引して負圧にしてモールが凹溝部から外れないようにし、支持部材の上方位置でガラス板を四方向から挟持して押圧する押圧ロールによってセンタリング後、ガラス板の下面側に設けた吸着パッドによりガラス板を吸着固定して下降させて前記モール側へ押しつけ、モールの上面に接着した両面粘着テープによってガラス板の外周縁の下面の全周または一部に配設したモールを一斉に接着することを特徴とするガラス板面へのモールの接着方法である。
【0012】
さらにまた、本発明は、前記凹溝部に嵌合したモールの上面にセンタリングしたガラス板を吸着パッドで吸着固定した状態で下降させて載置したときに、前記凹溝部とモールの脚部との空間を加圧により正圧にしてモールをガラス板の周縁部に押しつけて接着させるようにしたことを特徴とする上述のいずれかに記載のガラス板面へのモールの接着方法である。
【0013】
さらにまた、本発明は、前記支持部材と嵌合するモール上に、位置決めされたガラス板を載置し固定した状態で、該ガラス板の周縁部に沿って複数個所に配設した支持部材の夫々にクランプ手段を配設し、ガラス板をクランプし、ガラス板の周縁部をモール側に押圧して強固な接着力を得るようにしたことを特徴とする上述のいずれかに記載のガラス板面へのモールの接着方法である。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記各クランプ部材の先端にガラス板の周縁上面形状に沿った形状の長尺の押圧プレートを配設して、ガラス板の周縁面形状に略沿った長尺の押圧プレートによってガラス板面への押圧力を均一とすることを特徴とする上述のいずれかに記載のガラス板面へのモールの接着方法である。
【0015】
さらにまた、本発明は、ガラス板面の外周縁面の全周または一部にモールを接着する装置において、該ガラス板の外周縁に沿った形状の金型上の周縁部の全周または一部に沿って配設した支持部材と、ガラス下面との接着部と脚部とを少なくとも有する略L型モールの脚部を着脱自在かつ嵌合自在な凹溝部を前記支持部材の上面に設け、前記凹溝部内にモールを嵌合させた時に該凹溝部内の圧力を減圧加圧調整自在なエア圧調整手段と、
ガラス板を前記支持部材上に移載するガラス搬出入手段と、
ガラス板を四方向で挟持する押圧ロールによってセンタリング位置決めする位置決め手段と、ガラス板の下面側より吸着パッドでガラス板を吸着して固定すると共に、ガラス板を前記モール側に下降させて押圧する吸引固定手段とからなることを特徴とするガラス板面へのモール接着装置である。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記支持部材は、円弧状または略直線状の部材とし、複数本で構成することを特徴とする上述のいずれかに記載のガラス板面へのモールの接着装置である。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記ガラス板とモールとの接着力を強固とするためのクランプ手段を、ガラス板の周縁部位置に相当する各支持部材2に設け、ガラス板の周縁部をモールに押圧させることを特徴とする上述のガラス板面へのモール取付装置である。
【0018】
さらにまた、本発明は、前記クランプ手段のクランプ先端部に、ガラス板の周縁の上面形状に沿った長尺の押圧プレートを配設し、該押圧プレートのガラス板当接面には弾性緩衝材を配設したことを特徴とする上述のいずれかに記載のガラス板面へのモール取付装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法及び装置を用いることにより、ガラス板の周縁部の全周または一部に同時にモールを接着固定する事ができる。
【0020】
また、支持部材に設けた凹溝部内をエア圧調整手段によって吸引するため、ガラス板を載置するまでの間に、冬場の気温低下によるモールの収縮により緩くなる凹溝部から外れ易くなるモールをエア圧調整手段によって凹溝部内の空気を吸引して負圧にするため、モールを凹溝部内に固定でき、接着する段階でモールの一部が凹溝部から外れたり、浮き上がったりすることによる接着不良や接着ムラを防止することができる。
【0021】
さらに、モール上にガラス板を載置した時点で、凹溝部内に圧縮空気を送り正圧にすることによってガラス板の下面に向けてモールを押しあげて接着力を増加させることができる。
【0022】
さらにまた、ガラス板の周縁部の全周または一部に接着するモールの接着位置をガラス板の中心を基準とした位置とし、ガラス板とモールとの接着位置のガラス板の上部側より複数個所に設けたクランプ手段で押圧するので、強固な接着力が得られる。
【0023】
さらに、複数個所のクランプアームの先端にモールの接着面形状に沿った円弧状又は略直線状の押圧プレートを介してガラス板をモールに押圧するので、接着力のムラを減少させることができる。
【0024】
これらの組合わせによって、モールを取り付けたガラス板を自動車の窓枠に嵌め込む場合において、位置ズレを起こすことなく正確に、作業性良く、迅速に嵌め込むことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のモール接着装置のガラス板の位置決め手段と吸引固定手段の側面図。
【図2】本発明のモール接着装置のガラス板の位置決め手段と吸引固定手段の平面図。
【図3】本発明のモール接着装置の正面図。
【図4】本発明のモール接着装置のクランプ手段の側断面図。
【図5】本発明で使用するモールの斜視図。
【図6】本発明のモール接着装置のクランプ手段の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図3に示すように、ガラス板Gの外周縁に概ね沿った形状の剛性の金型1上に、その周縁部の全周または一部に沿って支持部材2を配設し、該支持部材2の上面に長尺の凹溝部2aを設け、該凹溝部2a内に長尺の略L型形状のモール5の脚部5bを着脱かつ嵌合自在に配設する。前記支持部材2には、該支持部材2を金型1に取付固定するための長孔2bを有し、該長孔2bによって支持部材2の取付位置を調整でき、ガラス板Gの外周縁形状の変化に対応できる。支持部材2は、略円弧状、略直線状の複数の部材に分割して、ガラス板の外周縁形状に沿った支持部材2、・・として一列に並べて用いる。
【0028】
該略L型形状のモール5は、図5に示したように、ガラス板Gの周縁下面と接着させる接着部5aと、自動車等の窓枠フランジ(図示しない)にはめ込み接着させる脚部5bと、該窓枠フランジに当接させたときに窓枠フランジからの雨水の浸入を遮断するリップ部5cからなる。前記接着部5aに接着層6として両面接着テープを貼着し、ガラス板Gの周縁下面とモール5の接着部5aとを接着できるようにした。
【0029】
また、支持部材2の凹溝部2a内には、モール5の脚部5bを嵌合した時に、該凹溝部2a内の空気を吸引減圧し負圧状態とする、または圧縮空気を該凹溝部2a内に送り込むことによって凹溝部2a内の空気を加圧し正圧状態とするエア圧調整手段30を有している。
【0030】
さらに、前記支持部材2上のモール5近傍の位置決め位置へのガラス板Gの投入動作、あるいは該モール5上のガラス板Gを取り出す動作は、図示しないガラス搬出入手段によって行う。また、該移載手段によってモール5近傍の位置決め位置に載置されたガラス板Gの各辺を位置決め手段10の押圧ロール12、12・・によって押圧し、挟持してガラス板Gをセンタリング位置決め完了後、ガラス板Gの下面側より吸着パッド21でガラス板Gを吸着して固定すると共に、ガラス板Gをモール5側に下降させ、前記モール5の接着部5a上の接着層6にガラス板Gを押し付けて接着させる吸引固定手段20とを有している。
【0031】
前記モール5を嵌めこむ支持部材2は、ガラス板Gの略周辺形状に沿って、その全周または一部を円弧状または略直線状に分割した複数本の部材とするのが望ましいが、ガラス板Gの略周辺形状に沿った一体形状のものとすることもできる。
【0032】
前記ガラス搬出入手段(図示しない)は、図示しないパレット上に積載されたガラス板Gや、搬送コンベアライン上のガラス板Gを、作業者によるハンドリングで、あるいは多関節等の移載ロボットのハンドや移載専用装置のハンドに取り付けた吸着パッドによって吸着支持して、モール接着装置の所定の位置決め位置まで搬送移載する。
【0033】
さらに、モール接着装置でモール5の接着が完了したガラス板Gを前記と同様に、作業者による人手で、あるいは多関節等の移載ロボットのハンドや移載専用装置のハンドに取り付けた吸着パッドによって吸着支持して、モール5の接着を完了したガラス板Gを所定の載置位置に搬送移載する。
【0034】
前記位置決め手段10は、図1、図2に示したように、前記ガラス搬出入手段(図示しない)によって移載された所定の位置決め位置に載置されたガラス板Gの各辺と直交する外方向より押圧ロール12、12・・によって押圧し、挟持する。該押圧ロール12は、図3の二点鎖線に示したような略台形状のガラス板Gを位置決めする場合には、短辺である左辺、右辺の両側辺の各中央部に1箇所、また長辺である上辺、下辺の各辺に2箇所の押圧ロール12を設けるのが一般的である。
【0035】
位置決め位置に載置されたガラス板Gは、複数個の自在キャスター11、11・・上で移動自在に載置された状態で支持され、略台形状のガラス板の上下左右の四辺方向に設けられた押圧ロール12、12・・は、それぞれ押圧シリンダ13、13・・によって押圧したときに、ガラス板Gは前記自在キャスター11、11・・によって滑らかに滑動し、押圧ロール12、12・・によって上下方向、左右方向でセンタリングすることができる。尚、片側一辺側の押圧ロール12を固定し、他辺側の押圧ロール12だけを進退させることで片側辺を基準とした位置決めとすることもできる。
【0036】
前記吸引固定手段20は、前記位置決め手段10によって位置決めされたガラス板Gの下面側中央部を吸着パッド21によって吸着して固定するものである。該吸着パッド21は、昇降板24に複数個取り付けられ、該昇降板24は昇降シリンダ22のシリンダロッドの先端に固定され、昇降シリンダ22の作動により吸着パッド21を昇降させることができる。
【0037】
また、昇降板24が、昇降シリンダ24によって滑らかに昇降できるように昇降シリンダ22の左右両側に昇降ガイド23、23を設けた。尚、吸着パッド21はガラス板Gを吸着していない状態のとき、または押圧ロール12、12・・によって押圧挟持されていないときに、ガラス板を吸着状態で昇降させることができる。
【0038】
前記エア圧調整手段30は、複数個所に設けた支持部材2、2・・のそれぞれの凹溝部2aの底部に少なくとも1箇所、好ましくは2箇所の給排孔31を設け、該給排孔31に給排管32を連結させ、図示しない電磁弁の切り替えによって真空発生装置(図示しない)、または圧縮エア供給装置(図示しない)に連通するように配管した。
【0039】
モール5の脚部5bを前記支持部材2の凹溝部2aに嵌合した後、ガラス板Gをモール上に載置するまでは、前記電磁弁を真空発生装置(図示しない)に連結するようにして、凹溝部2a内の空気を減圧し負圧とすることにより、モールが凹溝部2aから外れないようにする。
【0040】
一方、モール5上にガラス板Gを載置した後は、前記電磁弁を切り替えて圧縮エア供給装置(図示しない)と連結するようにし、凹溝部2a内の空気を加圧して正圧とすることにより、モール5をガラス板の周縁部下面に押し付けて、モール5とガラス板間の接着層6により強固に接着させることができる。
【0041】
図4、図6に示したように、ガラス板Gの周縁形状に沿って配設した前記支持部材2に嵌合させたモール5上の接着層6上に、位置決めされたガラス板Gを載置した時点で、ガラス板Gとモール5とをクランプして接着を強固とするためのクランプ手段40を、ガラス板Gの周縁部に沿って配設した複数個の支持部材2、2・・の夫々に設けた。
【0042】
前記クランプ手段40は、複数個の夫々の支持部材2、2・・の外側上面端部近傍より延ばし、回転可能なクランプアーム43の先端部にクランプヘッド41を設け、該クランプヘッド41の先端に押圧プレート42を設け、該押圧プレート42のガラス板Gの当接面には、押圧プレート42と同一形状面を有する弾性緩衝材47を配設した。
【0043】
該押圧プレート42がガラス板Gの周縁の上面側よりモール5側に向けて押圧する。押圧プレート42は点状部材でも良いが、ガラス板Gの周縁の上面形状に沿った長尺部材とするのが望ましく、長尺部材とする場合には、ガラス板Gの周縁の上面形状に沿った円弧状または直線状とすれば良い。
【0044】
前記クランプ手段40は、図4に示すようにマニュアル操作でクランプレバー44を矢印の方向に起倒させるようにしても良く、あるいは、図6に示すように、支持部材2に図示しないブラケットを介して設けたクランプシリンダ45を作動させてシリンダロッド46の伸縮によりクランプアーム43を矢印の方向に起倒させるようにしても良い。
【0045】
前記支持部材2の凹溝部2aへのモール5の嵌め込みは、図示しないモール嵌込手段を別途配置して行う。該モール嵌込手段(図示しない)は、例えば回転可能なターンテーブル上に背中合わせに2系統の支持金型および支持部材をセットとしておき、一方の支持部材にセットしたモール5をガラス板に接着している最中に、他方の支持部材にモールをセットし、2系統の支持部材を交互に入れ替えて使用するようにする。このようなはめ込み処理を作業者によるハンドリングで行っても良い。
【0046】
また、ガラス板Gをセンタリングする押圧ロール12の駆動装置としてエアシリンダー13を用いたが、サーボモーターによって停止位置を制御するようにしても良い。
【0047】
ガラス板Gはフラットなガラス板から湾曲したガラス板までを対象とし、単板、合わせガラスであってもよい。
【0048】
次に、本発明の装置の動作順序を説明する。
まず、予めモール5の接着部5aに接着層6としての両面接着テープを貼ったものを準備し、支持部材2の凹溝部2a内に凹溝部2aの長さに合わせて切断したモール5を嵌めこみ、凹溝部2a内への嵌め込みが完了した後、前記モール5の接着部5aに貼着した両面接着テープの剥離紙を剥がす。
【0049】
モール5の脚部5bを前記支持部材2の上面に設けた凹溝部2a内に着脱自在に嵌合させた後、ガラス板Gを載置するまで該凹溝部2aとモール5の脚部5bとの空間を吸引して負圧にしてモール5が凹溝部2aから外れないようにする。
【0050】
さらに、モール5を接着するガラス板G面をアルコールにて清掃して、該ガラス板G面のモール5の接着位置にはプライマーを塗布しておく。このようなガラス板Gを図示しないガラス搬出入手段によってモール接着装置のガラス板の位置決め手段10の自在キャスター11、11・・上に載置する。
【0051】
位置決め手段10の自在キャスター11、11・・上に載置されたガラス板Gは、該自在キャスター11、11・・上でガラス板Gの左右両側辺をそれぞれ1つの押圧ロール12、12を押圧シリンダ13、13の作動によって押圧挟持し、センタリングする。さらにこれと同時に、上辺と下辺のそれぞれに2箇所づつ押圧方向を自在とする首振り式の押圧ロール12、12を設けてガラス板Gを挟持して位置決めした。
【0052】
センタリングされたガラス板Gは、その中央部下方位置に設けられた昇降シリンダ22によって、吸着パッド21をガラス板Gの下面に押付けられ、吸着固定されると、位置決めの各押圧ロール12は退避してガラス板Gのエッジから離れる。各押圧ロールが退避したのち、昇降シリンダによってガラス板Gを吸着パッド21で吸着固定した状態のまま下降させると、ガラス板Gの下面周縁部はモールの接着部に貼着した両面接着テープの粘着面に押し付けられる。
【0053】
ガラス板Gがモール5に押し付けられた後、凹溝部2a内の空間をエア圧調整手段30によって正圧にするとともに、クランプ手段40によってガラス板Gの周縁部をモール5はガラス板Gの下面周縁部に押し付けらる。
【0054】
この時、前記各クランプ部材の先端にガラス板の周縁上面形状に沿った形状の長尺の押圧プレートを配設してあるので、ガラス板Gの周縁面形状に略沿った長尺の押圧プレート42によってガラス板面への押圧力を均一となる。
【0055】
クランプ手段40によってガラス板面に押圧プレート42を一定時間当接させたのちエア圧調整手段30による凹溝部2a内への加圧を停止し、吸引固定手段20によってモール5を接着したガラス板Gを上昇させたのち、図示しない搬出入手段によってガラス板Gを搬出し、待機している次のガラス板Gを搬入する。
【0056】
尚、自動車用の窓ガラス板Gを接着によってボディに接着固定する場合は、ガラス板の周辺にセラミックペーストによる黒枠部がプリント等によって施されることが多く、この黒枠部によって接着層が隠蔽されるので見栄えが良い。
【0057】
以上、好適な例を実施例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、自動車、船舶、航空機、鉄道用をはじめとした移動体用の窓枠、および建設機械の窓枠に応用でき、ガラス板を樹脂モールを介して接着させる場合に、予め窓ガラスの周縁面部に樹脂モールを精度良く強固な接着力で接着させ、前記窓枠へのガラス板の取付作業を作業効率良く、また位置精度良く行う。
【符号の説明】
【0059】
G ガラス板
1 金型
2 支持部材
2a 凹溝部
2b 長孔
5 モール
5a 接着部
5b 脚部
5c リップ部
6 接着層
10 位置決め手段
11 自在キャスター
12 押圧ロール
13 押圧シリンダ
20 吸引固定手段
21 吸着パッド
22 昇降シリンダ
23 昇降ガイド
24 昇降板
30 エア圧調整手段
31 吸排孔
32 吸排管
40 クランプ手段
41 クランプヘッド
42 押圧プレート
43 クランプアーム
44 クランプレバー
45 クランプシリンダ
46 シリンダロッド
47 弾性緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板面の外周縁面の全周または一部にモールを接着する方法において、該ガラス板の外周縁に沿った金型上の全周または一部に沿った支持部材を配設し、ガラス接着部と脚部を少なくとも有するモールの脚部を前記支持部材の上面に設けた凹溝部内に着脱自在に嵌合させた後、ガラス板を載置するまで該凹溝部とモールの脚部との空間を吸引して負圧にしてモールが凹溝部から外れないようにし、支持部材の上方位置でガラス板を四方向から挟持して押圧する押圧ロールによってセンタリング後、ガラス板の下面側に設けた吸着パッドによりガラス板を吸着固定して下降させて前記モール側へ押しつけ、モールの上面に接着した両面粘着テープによってガラス板の外周縁の下面の全周または一部に配設したモールを一斉に接着することを特徴とするガラス板面へのモールの接着方法。
【請求項2】
前記凹溝部に嵌合したモールの上面にセンタリングしたガラス板を吸着パッドで吸着固定した状態で下降させて載置したときに、前記凹溝部とモールの脚部との空間を加圧により正圧にしてモールをガラス板の周縁部に押しつけて接着させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のガラス板面へのモールの接着方法。
【請求項3】
前記支持部材と嵌合するモール上に、位置決めされたガラス板を載置し固定した状態で、該ガラス板の周縁部に沿って複数個所に配設した支持部材の夫々にクランプ手段を配設し、ガラス板をクランプし、ガラス板の周縁部をモール側に押圧して強固な接着力を得るようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載のガラス板面へのモールの接着方法。
【請求項4】
前記各クランプ部材の先端にガラス板の周縁上面形状に沿った形状の長尺の押圧プレートを配設して、ガラス板の周縁面形状に略沿った長尺の押圧プレートによってガラス板面への押圧力を均一とすることを特徴とする請求項4記載のガラス板面へのモールの接着方法。
【請求項5】
ガラス板面の外周縁面の全周または一部にモールを接着する装置において、該ガラス板の外周縁に沿った形状の金型上の周縁部の全周または一部に沿って配設した支持部材と、ガラス下面との接着部と脚部とを少なくとも有する略L型モールの脚部を着脱自在かつ嵌合自在な凹溝部を前記支持部材の上面に設け、
前記凹溝部内にモールを嵌合させた時に該凹溝部内の圧力を減圧加圧調整自在なエア圧調整手段と、ガラス板を前記支持部材上に移載するガラス搬出入手段と、
ガラス板を四方向で挟持する押圧ロールによってセンタリング位置決めする位置決め手段と、ガラス板の下面側より吸着パッドでガラス板を吸着して固定すると共に、ガラス板を前記モール側に下降させて押圧する吸引固定手段とからなることを特徴とするガラス板面へのモール接着装置。
【請求項6】
前記支持部材は、円弧状または略直線状の部材とし、複数本で構成することを特徴とする請求項5記載のガラス板面へのモールの接着装置。
【請求項7】
前記ガラス板とモールとの接着力を強固とするためのクランプ手段を、ガラス板の周縁部位置に相当する各支持部材2に設け、ガラス板の周縁部をモールに押圧させることを特徴とする請求項5または6に記載のガラス板面へのモール取付装置。
【請求項8】
前記クランプ手段のクランプ先端部に、ガラス板の周縁の上面形状に沿った長尺の押圧プレートを配設し、該押圧プレートのガラス板当接面には弾性緩衝材を配設したことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のガラス板面へのモール取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−195080(P2010−195080A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39478(P2009−39478)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)