説明

ガラス表面へインキを定着させるプラスチックガラス・システム

保護コーティング・システムを付着させた事実上透明な基板と、該保護コーティング上に塗布されたインキとを有する自動車の窓パネルを開示した。インキの組成は、定着材を含み、該定着剤により保護コーティング表面に付着するようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プラスチック製の自動車の窓に装飾機能(ブラックアウト、溶暗、ロゴ等)又は導電機能(デフロスタ、アンテナ等)のいずれかを与えるために使用されるインキは、通常、窓ガラスの表面へ直接に塗布されてから、保護(耐候性、耐摩耗性)コーティングで被覆される。しかし、それによって、印刷された画像の縁部に光学的ひずみが生じることがある。例えば、この光学的ひずみが、デフロスタのグリッド・パターンを作り上げる各グリッド線に沿って、運転者の視界に悪影響を与えることがある。
【0002】
図1の部分10が示すように、この光学的ひずみの原因は、部分10の基板12上で印刷画像14と部分10の残りの表面との界面に生じるコーティング厚さの差に関係すると思われる。図1に示すように、画像と部分との界面に近いコーティング・システム(層1−3と呼ぶ)の厚さA厚さは、往々にして残りの部分のコーティング厚B厚さより事実上厚くなる。異なるコーティング層間の屈折率の差により、図1の光路Aと光路Bとして記載された2区域では光が別様に屈折する。このため、ヒトの眼は、印刷画像近くでは光学的ひずみを感知しよう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
先行技術の前記の欠点その他の限界を考えると、窓を通して光学的ひずみが生じない、又は少なくとも最小化される印刷プラスチック窓パネルが必要と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
先行技術の欠点を克服するために、本発明は、基板に直接画像を印刷する代わりに、コーティング・システムの表面に画像を印刷することで光学的ひずみを排除する構成を提供する。しかし、コーティングの表面特性は、プラスチックの表面特性とは異なるので、コーティングした基板表面に塗布するインキの付着性に関わる問題が発生する。本発明の別の態様では、インキの配合が、プラスチック基板に設けられるガラス・システムの表面へのインキ付着性を高めるために、修正される。
【0005】
本発明のこのほかの目的、特徴、利点は、添付図面と関連して行う以下の説明及び特許請求の範囲の記載を顧慮することによって明らかになるだろう。
【実施例1】
【0006】
更に後述するように、装飾インキ又は導電インキいずれの配合にも或る系統の定着剤を添加することによって、付着性が高められ、プラスチックガラス・システム表面への前記インキの付着が可能になる。図2に示した一実施例では、パネル110が透明のプラスチック基板114を含み、その上にコーティング・システム113と印刷画像112が、この順序で設けられている。定着剤は、印刷画像112を形成するインキと混合される。インキとの定着剤の混合は、プラスチック基板114のコーティング・システム113に、印刷画像112を付着させる前に行われる。定着剤は、ガラス基板115の表面と、インキのポリマー樹脂又はインキの顔料上の有機表面処理剤とのカップリング剤として機能する。
【0007】
定着剤を異なる界面間のカップリング剤として機能させる場合、定着剤の第1目的は、ガラス基板115の表面の分子構造と結合可能にすることである。ガラス基板115は耐摩耗性の表面を有しており、この表面は、通常、シリコーン硬質被覆から生じるシロキサン構造、又はSi層の付着により生じるガラス状構造のいずれかである。この種の表面への付着は、イオン結合、共有結合、水素結合のいずれかの機序で行われ、同じように、ファンデルヴァールス力によっても行われる。水酸基、メトキシ基、エトキシ基のいずれかを含有する種々のシランが、比較的酸素含有量の高い無機表面に効果的に付着することが知られている。
【0008】
基板114のコーティング113への付着に加えて、定着剤は、またインキの固体構造にも類似の機能を発揮する。この具体例では、定着剤は第2の目的を有している。すなわち、インキの組成に含まれる顔料又はポリマー樹脂に付着し得ることである。導電インキに含有される主な顔料は、事実上銀、銅、酸化銀等の金属でよい。装飾インキに通常含有されている顔料は、黒鉛又はカーボンブラックの形でよいが、同じように二酸化チタンの形でもよい。導電インキ、装飾インキいずれの組成にも含有されるポリマー樹脂は、ポリカーボネート基、ポリエステル基、アクリル基、ポリウレタン基のいずれかでよい。
【0009】
下記の表1に示した14の定着剤(A−N)を、導電インキと共に使用する場合について評価した。定着剤の各々を、例えばパレレック社(EXA−101,New Jersey)から入手できる導電銀インキに添加した。定着剤各々の添加は数分間にわたって行い、均一になるように混合物全体を混合した。銀インキに添加した定着剤の量は、3重量%(スクリーン・テストの場合)−16重量%(何らかの最適化テストの場合)の範囲とした。インキはガラス基板115の表面に、従来式スクリーン印刷の技術及び装置を用いて付着させた。しかし、他の技術、例えば多次元スクリーン印刷、転写印刷、ロボットによる分配処置、マスクとスプレー等が、本発明の範囲及び精神を逸脱することのない適当な付着方法となろう。
【0010】
【表1】

【0011】
インキを付着させたガラス基板115は、透明なポリカーボネート基板114と、シリコーン硬質被覆(エクサテックLLC社のSHP−9Xアクリル・プライマー&SHXシリコーン硬質被覆)から成る複数保護コーティング113とを含み、該保護コーティングには、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって析出されたガラス様の層を有するものと有していないものがある。(ガラス様の層/PECVDシステムは、エクサテックLLC社からエクサテック(登録商標)900ガラス張りシステムとして市販されている)。銀インキは、ガラス基板上にデフロスタの格子パターンとして印刷された後、製造者指定の処置により、129°Cで約60分硬化させた。
【0012】
印刷された銀インキの格子パターンの付着試験は、技術的に知られているように、標準クロスハッチ・テープ剥離試験(ASTM D3359−95)を用いて行った。この試験の実際の合格と不合格は、通常、最終顧客との合意で決められるが、テープ引き剥がし後に残る銀ペーストの割合は、理想的には95%を超える値だろう。複数の試験目的の場合、80%を超える付着であれば容認可能、好ましいのは約95%を超える付着と仮定した。種々の定着剤(A−N)を3%含有する銀インキの初期付着の残留率について得られた成績が表2に示されている。
【0013】
【表2】

【0014】
表2に示すように、定着剤のうち8種(A−E,J,M,N)の組成は試験に合格したが、残りの6種の定着剤(F−I,K,L)は不合格だった。比較すると、定着剤を含有しないインキ配合Oの印刷画像は、この試験中、完全に離層(表層剥離)し、付着及び残留が0%であることが分かった。合格した定着剤は、いずれもSHXコーティングのシロキサンへの付着試験と、エクサテック(登録商標)900ガラス張りシステムのガラス様表面への付着試験の双方に合格することが分かった。試験に合格した定着剤の各々は、インキ配合Bを除いて、好適基準である約95%を超える残留率に合致することが分かった。合格定着剤が属す包括的な族は、イソシアネート−、シアノ−、メルカプト−、アミノ−各官能性を有している。定着剤内の炭化水素鎖の長さは、変えることができ、目標官能性にカップリング剤の両末端を付加するさいの立体障害の克服にかなりの利点となろう。イソシアネ7ート−及びシアノ−含有定着剤は、メルカト−及びアミノ−含有定着剤より堅牢な付着特性を有することが、本発明者により明らかにされ、したがって好適である。
【0015】
種々の定着剤によって示された付着特性の堅牢度は、印刷された基板を複数日の間、65°Cの温水に浸漬して評価した。ガラス基板115の表面への印刷画像112の付着性を、既述の付着試験を使用して、1日間の温水浴後と4日間の温水浴後とに評価した。表3は、銀インキに6重量%の定着剤Aを添加した場合に得られた試験データの例を示したものである。別個の4試験の4成績により示した印刷銀画像は、いずれも、温水への4日間の浸漬後にも付着クロスハッチ・テープ剥離試験に合格することが判明した。したがって、この定着剤Aの使用時に観察された付着性の改善は、いずれかの定着剤を含有しない印刷画像Oの場合に観察された表2の0日(初期付着)での付着性損失をうう分に上回っている。
【0016】
【表3】

【0017】
発明人は、更に、導電インキ組成に添加する定着剤量がインキ組成の約6重量%未満に維持されれば、印刷されたインキの面積抵抗率レベルに影響を与えないことを発見した。定着剤のインキ組成への添加量が約6重量%を超えると、印刷されたインキにより示される面積抵抗率が増大しよう。この面積抵抗率の増大は、導電率の低下と相関するので、印刷された画像がデフロスタの格子又はアンテナのいずれかとして機能する必要がある場合には、不都合である。表4には、付着データと定着剤(A)の種々の含有量の印刷画像に対応する測定面積抵抗率のデータとが示されている。
【0018】
【表4】

【0019】
定着剤を含有しない銀インキを直接にポリカーボネートに塗布した場合、得られた標準面積抵抗率の値は、表4のインキ0で示したように5ミリオーム平方の程度である。試験#5及び試験#6では、双方とも類似の成績が得られることが判明した。定着剤Aを含有する銀インキをガラス基板(PECVD)に塗着した場合、その面積抵抗率は、インキの定着剤含有量を約8%に増加させるまでは、約5−6ミリオーム平方に留まることが観察された。図3は、面積抵抗率と定着剤Aの百分率との関係を示す図表である。図3に示すように、含有量約6%は、印刷画像の面積抵抗率が著しく高めることなく定着剤を使用できる最大量である。
【実施例2】
【0020】
別の実施例では、異なる量の定着剤Aが装飾インキに添加されたが、その場合、該インキの組成は、ポリエステルインキ(8452、カンサス州ナズダー社製)から得られたポリエステル樹脂約5−34重量%と、ポリカーボネートインキ(HTR−952、ドイツ、プレル社製)から得られたポリカーボネート樹脂約1−13重量%から成り、重量比は、図5Bに示すように、100:1未満、約50:50以上である。この装飾インキは、更に約0.1−5重量%の芳香族イソシアネート触媒と、残余の溶剤混合物(遅延剤)とを含んでいる。
【0021】
【表5B】

【0022】
表5Bに示した各試験のための組成を用意するのに使用した処置は、次のように説明できる:(1)一定量のインキを容器に量り分け、それに遅延剤と定着剤Aとを混入して10分間攪拌し、次いで触媒を添加した。(2)インキ混合物を、更に15分間十分に攪拌し、その後で、スクリーン印刷でガラス基板に塗着させた。フォウムを生成する恐れのある大きな又は多数の泡が発生しないように注意した。添加した定着剤の割合は、処方の全重量の約5−25%であった。表6には、異なる試験での各硬化インキ層の厚さが示してある。
【0023】
【表6】

【0024】
表7には、装飾インキで印刷したガラス基板(エクサテック(登録商標)900システム)について、65°Cの温水に10日間浸漬した後の行ったクロスハッチ付着試験の成績が示してある。装飾インキの場合、定着剤の添加により、印刷画像は、試験7−9で示されているように、4日以上の温水浸漬試験に合格できる。これに比して、定着剤を含有しない印刷画像(対照)と約25%を超える定着剤を含有する印刷画像(試験10)とは、3日間の温水浸漬後、付着試験に不合格であることが判明した。
【0025】
本発明の装飾インキは、アクリル樹脂インキ、アクリル/ニトロセルローズ樹脂インキ、ニトロセルローズ/ポリアミド樹脂インキ、ビニル/アクリル樹脂インキ、アルキド樹脂インキ、ビニル/ポリエステル樹脂インキ、ビニル樹脂インキ、ポリカーボネート樹脂インキ、ポリエステル樹脂インキ、その他の有機樹脂を含有するインキでよく、同じように、それらの樹脂の混合物、共重合体、ブレンドでもよい。好ましいのは、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの混合物、ブレンド、共重合体を有するインキである。このインキは、事実上、単一成分又は2成分として分類される。
【0026】
【表7】

【0027】
装飾インキの着色顔料は、好ましくはカーボンブラックだが、他の無機及び有機の有色顔料も利用できる。前記着色顔料は、カーボンブラック、銅フタホシアニン・ブルー、ジオキサジン・バイオレット、キナクリドン・マゼンタ、アゾ・ジアリライド・イェロー、ルチル二酸化チタン(白)、ペリレン赤、モリブデート・オレンジ、黄色二酸化鉄、クロムグリーン・オキシド、カドミウム・オレンジを含むが、それらに限定されない。特に効果的な顔料、例えば真珠箔顔料や金属粉顔料を配合に加えてもよい。
【0028】
イソシアネート触媒は、使用する場合、芳香族ポリイソシアネート、例えばNB−70触媒(ナズダー社、カンサス州)が好ましい。この特定イソシアネートを、プロピレングリコール・メチルエーテルアセテート(40%、PMアセテートとも呼ぶ)内に分散させるが、他の溶剤も使用できる。イソシアネートは他の芳香族又は脂肪族ジイソシアネート、例えば特にポリマー・ヘキサメチレン・ジイソシアネート(HMDI)、イソホロン・ジイソシアネート(IPDI)、2,6−トリレン・ジイソシアネート(YDI)、ジフェニルメタン・ジイソシアネート(MDI)、キシレン・ジイソシアネート(XDI)でもよい。
【0029】
顔料を適切に分散させるために、任意の分散剤を使用できる。この任意の分散剤は、イオン又は非イオン分散剤でよい。これらの界面活性剤は、金属石鹸、スルフォネート、燐酸エステル、脂肪酸エステル、フルオロ脂肪族高分子量エステル、チタネート又はジコネート又はアルミネートのカップリング剤、有機変性ポリシロキサン、ポリ(アルキレンオキシド)のブロック共重合体、市販の商標名を有する界面活性剤、例えばハイパーマー(Hypermer)(登録商標)及びソルスパース(Solsperse)(登録商標)高度分散剤(ICI アメリカ社)を包含するが、それらに限定されない。任意の界面活性剤は、ポリエーテル・シロキサン共重合体とも呼ばれる有機変性ポリシロキサン、例えばテゴ(登録商標)ウェットKL245(Tego(登録商標)WetKL245)(ヴァージニア州のゴールドシュミット・ケミカル社)が好ましい。
【0030】
装飾インキに印刷画像の不透明度を保証するために、任意の不透明度増強充填剤を使用することができる。これらの任意の充填剤は、事実上無機性の、例えばアルミナ、シリカ、二酸化チタン、珪酸マグネシウム(タルク)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム(クレイ)、硫酸カリウムアルミニウム(雲母)、金属粉顔料等であり、また事実上有機性のものは、とりわけ、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラックである。著しく屈折性の充填剤、例えば二酸化チタンは、1.0マイクロメートル未満の小さい平均粒度のため、不透明度を高めるのに好適である。例えば平均粒度0.36マイクロメートルの二酸化チタンは、Ti−ピュァ(登録商標)R−706(デラウエア州のデュポン・チタン・テクノロジー社)の名称で市販されている。
【0031】
導電インキは、ポリマー母材内に分散された導電性の粒子、フレーク、粉体、それらの混合物及びブレンドのいずれかから成るものでよい。ポリマー母材は、エポキシ樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、類似の樹脂の混合物及び共重合体のいずれかが好ましい。インキ、ペースト、ペイント等に含有される導電性の粒子、フレーク、粉体は、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、錫、これらの混合物又は合金から成るものや、金属化合物、例えば金属ジカルコゲナイドを包含する金属から成るものでよいが、それらに限定はされない。これらの導電性の粒子、フレーク、粉体は、また当業者には周知の何らかの導電性有機材料、例えばポリアニリン、無定形炭素、炭素−黒鉛でもよい。
【0032】
導電性のインキ、ペースト、ペイント内で担体媒質として働く溶剤は、有機樹脂を溶解可能などのような有機ビヒクル混合物でもよい。金属インキ、金属ペースト、金属ペイントの例には、ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークのデュポン・エレクトロニック・マテリアルズ社(ダイアフラムスイッチ5000、導体配合物5029、銀導体5021、銀導体5096)、ミシガン州ポート・ヒューロンのアチェソン・コロイド社(PF−007及びエレクトロダグSP−405)、イリノイ州シカゴのメソッド・エンジニアリング社(銀配合物31−1A,銀配合物31−3A)、マサチューセッツ州ティングスボロノクリエイティブ・マテリアルズ社(銀118−0292k)、カリフォルニア州アタスカデロのアドバンスト・コンダクティブ・マテリアルズ社(PTF−12)から市販されている銀充填配合物が包含される。
【0033】
基板114上にコーティング113と印刷画像112とが一体に形成される場合、基板114は、熱可塑性プラスチックのポリマー樹脂から成るどのような透明パネルでもよい。本発明の熱可塑性プラスチック樹脂には、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルフォン樹脂が包含され、同じようにそれらの共重合体及び混合物も包含されるが、それらに限定はされない。透明パネルは、当業者には周知の何らかの技術、例えば成形、熱成形、押し出しのいずれかを用いて窓の形状に形成できる。
【0034】
基板114に付着し、導電又は装飾インキ112で印刷された保護コーティング113には、シリコーン硬質被覆、ポリウレタンコーティング、アクリルコーティング、とりわけ「ガラス様」コーティングが包含されるが、それらに限定はされない。「ガラス様」フィルム又はガラス・フィルムのトップコートで表面を保護被覆されたアクリル・プライマー及びシリコーン中間層又はポリウレタン中間層から成る積層コーティング・システムも使用できる。保護コーティングの例には、アクリル・プライマー(ニューヨーク州ウォータフォードのGEシリコーンズ社のSHP401)とシリコーン硬質被覆(GEシリコーンズ社のAS4000)の組み合わせが含まれ、同じく、プラズマCVD法により付着されるSiO「ガラス様」フィルムも含まれる。積層コーティング・システムの例としては、エクステックLLC社(ミシガン州ウィクソム)からプラスチックガラス用のエクステック(登録商標)500及びエクステック(登録商標)900として提供されているアクリル/シリコーン/「ガラス様」コーティング・システムが挙げられる。保護コーティング113は、浸漬被覆、流れ塗り、吹付け塗り、プラズマCVD法、当業者には周知のその他の技術のいずれかによって付着させることができる。
【0035】
以上本発明を複数好適実施例によって説明したが、言うまでもなく、本発明は、それらの実施例に限定されるものではない。なぜなら、当業者には、既述の理論に照らして種々の変更態様が可能だからである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】先行技術の場合に、保護コーティング・システム付着後のプラスチック基板Bと、印刷画像を有するプラスチック基盤Aとの異なる光路を示す略示図。
【図2】本発明の一実施例によるプラスチックガラス・システムの略示図。(実施例1)
【図3】測定面積抵抗率(ミリオーム平方)と、印刷前の導電インキに添加した定着剤Aとの関係を示す図表。
【符号の説明】
【0037】
10 コーティングされたガラスの一部
12 基板
14 印刷画像
110 パネル
112 印刷画像
113 コーティング・システム
114 プラスチック基板
115 ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の窓パネルにおいて、該窓パネルが、
事実上透明なプラスチック基板と、
基板表面に付着させた保護コーティング・システムと
保護コーティング・システムに付着させたインキとを含み、前記インキが定着剤を含み、該定着剤により保護コーティングの表面に付着するようにされ、定着剤なしには保護コーティング表面に付着しないようにされている、自動車の窓パネル。
【請求項2】
前記定着剤が第1と第2の末端を有する分子であり、各末端が反応官能基を包含するシラン・カップリング剤を有する、請求項1に記載された窓パネル。
【請求項3】
カップリング剤の前記反応官能基が、分子の両末端の一方の末端のヒドロキシル官能基及びアルコキシ官能基の1つと、分子の他方の末端のメルカプト−、イソシアネート−、シアノ−、アミノ−各官能基の1つとから成る、請求項2に記載された窓パネル。
【請求項4】
前記インキが、導電インキと装飾インキの少なくとも一方である、請求項1に記載された窓パネル。
【請求項5】
前記インキが、導電性の粒子、フレーク、粉体、それらの混合物の1つを有するポリマー母材から成る、請求項1に記載された窓パネル。
【請求項6】
ポリマー母材が、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、これらの樹脂の混合物の1つである、請求項5に記載された窓パネル。
【請求項7】
前記導電インキが、次の成分、すなわち銀、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、錫、金属ジカルコゲナイド、ポリアニリン、無定形炭素、炭素−黒鉛の少なくとも1つを包含する、請求項5に記載された窓パネル。
【請求項8】
前記インキが装飾インキであり、該装飾インキが、アクリル樹脂インキ、アクリル/ニトロセルローズ樹脂インキ、ニトロセルローズ/ポリアミド樹脂インキ、ビニル/アクリル樹脂インキ、アルキド樹脂インキ、ビニル/ポリエステル樹脂インキ、ビニル樹脂インキ、ポリカーボネート樹脂インキ、ポリエステル樹脂インキ、これらの混合物のいずれか1つから成る、請求項1に記載された窓パネル。
【請求項9】
前記インキが装飾インキであり、該装飾インキが、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、それらの混合物のいずれかから成る、請求項1に記載された窓パネル。
【請求項10】
前記保護コーティング・システムが、シリコーン硬質被覆、ポリウレタン・コーティング、アクリル・コーティング、ポリウレタン−アクリレート共重合体、ガラスフィルム・コーティング、これらの混合物のうちの1つを含む、請求項1に記載された窓パネル。
【請求項11】
前記保護コーティング・システムが、アクリル/シリコーン/ガラス−フィルム・コーティング・システムを含む、請求項1に記載された窓パネル。
【請求項12】
前記保護コーティング・システムが、アクリル・プライマー、シリコーン硬質被覆、プラズマ化学気相成長法(PECVD)により付着させたSiOガラス・フィルムを含む、請求項1に記載された窓パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−543659(P2008−543659A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517181(P2008−517181)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/023626
【国際公開番号】WO2006/138650
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(505365404)エクスアテック、エル.エル.シー. (51)
【Fターム(参考)】