説明

キッチンユニット

【課題】調理台としての高さを食卓としての高さに合わせるためにキッチンユニット本体12の上面を上下動できるキッチンユニットを提供する。
【解決手段】キッチンユニット本体12の上面に加熱調理機器14とシンク16が設けられ、かつキッチンユニット本体12の背面側の外縁部18に食卓用カウンター20が設けられた対面式のキッチンユニットである。キッチンユニット本体12を、キッチン床に設置される下部構造物22と、上面に加熱調理機器14とシンク16を装備し、かつ下部構造物22に対して昇降可能に配置された上部構造物24とに分割構成した。キッチンユニット本体12の内部に、上部構造物24の上面が下部構造物22に対して上下動するように上部構造物24を昇降させる昇降装置26を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンユニット本体の上面に加熱調理機器とシンクが設けられ、かつキッチンユニット本体の背面側に食卓用カウンターが設けられたキッチンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンの分野において、主婦が炊事作業中でも家族とコミュニケーションを取る目的で、対面式キッチンユニットが採用されている。
従来の対面式キッチンユニットにはキッチンユニット本体の背面側の外縁部に食卓用カウンターを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。食卓用カウンターはキッチンユニット本体の上面とほぼ同一の高さに設けられており、食事の際にキッチンユニット本体の上面も食卓として有効利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−19600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
上記従来の食卓用カウンターを設けた対面式キッチンユニットは、食卓用カウンターがキッチンユニット本体の上面とほぼ同一の高さに設けられているので、食卓用カウンターが調理台としての高さとなり、通常の食卓としての高さより高くなり食事の際に違和感が生じ易い。
【0005】
このため、食卓用カウンターをキッチンユニット本体の上面より低い位置に設けることが検討されている。しかし、食卓用カウンターをキッチンユニット本体の上面より低い位置に設けた場合、調理が終了した段階で、キッチンユニット本体の上面と食卓用カウンターとが高さが異なることから、食事の際にキッチンユニット本体の上面を食卓として有効に使えないという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解消するためになされたもので、調理台としての高さを食卓としての高さに合わせるためにキッチンユニット本体の上面を上下動できるキッチンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
キッチンユニット本体の上面に加熱調理機器とシンクが設けられ、かつ前記キッチンユニット本体の背面側の外縁部に食卓用カウンターが設けられた対面式のキッチンユニットであって、前記キッチンユニット本体を、キッチン床に設置される下部構造物と、上面に前記加熱調理機器と前記シンクを装備し、かつ前記下部構造物に対して昇降可能に配置された上部構造物とに分割構成し、キッチンユニット本体の内部に、前記上部構造物が前記下部構造物に対して上下動するように前記上部構造物を昇降させる昇降装置を設けたことを特徴とするキッチンユニット。
【0008】
〈構成2〉
構成1に記載のキッチンユニットにおいて、前記食卓用カウンターを、前記上部構造物の上面より低い位置に設けたことを特徴とするキッチンユニット。
【0009】
〈構成3〉
構成1又は2に記載のキッチンユニットにおいて、前記上部構造物の正面側の外縁部に、前記上部構造物に垂下され、もしくは前記上部構造物の内部に配置された状態から前記上部構造物の上面とほぼ平行な状態となるように移動される補助カウンターを出し入れ自在に設け、前記昇降装置を、前記上部構造物の上面が調理時の高さと前記食卓用カウンターの上面の高さとの範囲で上下動するように設けたことを特徴とするキッチンユニット。
【0010】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載のキッチンユニットにおいて、前記昇降装置は、前記上部構造物を支承する支持部材と前記支持部材を上下動可能に支持する可動部材および前記可動部材をスライド可能に保持する不動部材により構成された脚部とを有する架台と、端部が前記不動部材の上部に固定されて垂下され、前記可動部材の下部に取付けられたガイドローラで折り返されて前記可動部材の側面に沿って上向きにガイドされたベルト又はワイヤーと、前記架台の支持部材に設置されて前記上向きにガイドされたベルト又はワイヤーを巻取り巻戻しする回転体を正逆転駆動するモータとを備えたことを特徴とするキッチンユニット。
【0011】
〈構成5〉
構成4に記載のキッチンユニットにおいて、前記不動部材を、両方の側面側に沿ってそれぞれ嵌合溝が形成された長方形状のガイドケースにより構成し、前記可動部材を、両方の側面側に沿ってそれぞれ嵌合溝が前記ガイドケースの前記嵌合溝に対向する位置に形成された長方形状のスライドケースにより構成し、前記ガイドケースの嵌合溝とこれに対向する前記スライドケースの嵌合溝との間に長方形状のスライダーを配置すると共に、前記スライダーの一側端部を前記不動部材の前記嵌合溝に嵌合固定し、前記スライダーの他側端部を前記可動部材の前記嵌合溝にスライド可能に嵌合して取付けて、前記ガイドケースと前記スライドケースと前記スライダーとの間に横断面偏平な空間を形成し、前記空間内に前記ベルト又はワイヤーの、前記脚部の側面に沿う部分を収納したことを特徴とするキッチンユニット。
【0012】
〈構成6〉
構成4又は5に記載のキッチンユニットにおいて、前記ベルト又はワイヤーの端部は、張力調節装置を介して前記不動部材の上部に固定されていることを特徴とするキッチンユニット。
【0013】
〈構成7〉
構成4乃至6のいずれかに記載のキッチンユニットにおいて、前記ベルト又はワイヤーは、その中間部が前記モータの前記回転体の軸心を縦断する保持溝に挿通されて固定されると共に、前記回転体の両側方の、前記回転体の軸心を通る水平面上にそれぞれ設けられたガイドローラに掛けられて水平方向にガイドされ、さらに、他のガイドローラに掛けられて前記架台の脚部側面に沿って垂下するようにガイドされ、前記可動部材の下部に取付けられた前記ガイドローラで折り返されて上向きにガイドされた両端部が前記不動部材の上部に固定されていることを特徴とするキッチンユニット。
【発明の効果】
【0014】
〈構成1の効果〉
キッチンユニット本体の上面を、調理台としての高さと食卓としての高さとに自在に上下動することができる。すなわち、キッチンユニット本体の上面は、調理時には調理し易い高さに保持され、食事時には降下されて食事し易い高さに調整できる。
〈構成2の効果〉
食事時等に昇降装置を駆動して上部構造物を下降することにより上部構造物の上面を食卓用カウンターとほぼ同一平面として広い食卓面とすることができる。すなわち、キッチンユニット本体の上面を食卓用カウンターと同様に食事し易い高さとすることができる。
〈構成3の効果〉
補助カウンターを設けたことにより上部構造物の上面を拡張できる。さらに昇降装置を駆動することにより、補助カウンターを含む上部構造物の上面と食卓用カウンターの上面とを加えて食卓面を大幅に拡張できる。
〈構成4の効果〉
回転体を正逆転駆動することによりベルト又はワイヤーに牽引力が作用し、この牽引力により上下動する可動部材を介して上部構造物を自在に昇降させることができる。
〈構成5の効果〉
ベルト又はワイヤーの、脚部の側面に沿う部分がガイドケースおよびスライドケースにより外界から遮蔽されるので、狭い空間でのベルト又はワイヤーの上下動作が他の構造物に接触することなくスムーズに行われる。
〈構成6の効果〉
ベルト又はワイヤーの張力を、使用状況に応じて自在に調節できる。
〈構成7の効果〉
ベルト又はワイヤーの中間部がモータの回転体の保持溝に挿通された後に水平方向にガイドされていることにより、回転体によりベルト又はワイヤーの中間部を巻取りしたときに回転体を境界としてベルト又はワイヤーの両側で巻取り量に差異が生じることがなく、回転体を境界とする両側で均等にベルト又はワイヤーの上下動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のキッチンユニットの概要を正面から示す説明図で、(a)は同キッチンユニット本体の上部構造物の移動前の状態を示す説明図、(b)は同上部構造物の移動後の状態を示す説明図である。
【図2】同キッチンユニットの概要を側面から示す説明図で、(a)は同上部構造物の移動前の状態を示す説明図、(b)は同上部構造物の移動後の状態を示す説明図である。
【図3】同キッチンユニットを示す正面図である。
【図4】同キッチンユニットを示す平面図である。
【図5】同キッチンユニットに取付けられる昇降装置の概要を示す説明図である。
【図6】同昇降装置の一部の部品とその組立て状況を示す説明図で、(a)は同昇降装置の一部の部品を分解した状態を示す説明図、(b)は同部品を合体した状態を示す説明図、(c)は同部品を合体した状態を示す斜視図である。
【図7】同昇降装置の主要部を示す説明図である。
【図8】同主要部の一部を拡大して示す説明図である。
【図9】同昇降装置の一部を示す図で、(a)は同昇降装置の動く前の状態を示す説明図、(b)は同昇降装置が動いた後の状態を示す説明図である。
【図10】同昇降装置の動きを示す図で、(a)は同昇降装置の動く前の状態を示す説明図、(b)は同昇降装置が動いた後の状態を示す説明図である。
【図11】同昇降装置のベルトの取付け状況を示す図で、(a)は同ベルトをモータの回転体に水平に取付けた状態を示す説明図、(b)は同ベルトをモータの回転体に傾斜して取り付けた状態を示す説明図である。
【図12】図10に示した昇降装置とは異なる方式でベルトを掛け渡した昇降装置の動きを示す図で、(a)は同昇降装置の動く前の状態を示す説明図、(b)は同昇降装置が動いた後の状態を示す説明図である。
【図13】本発明に係る昇降装置の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は実施例1のキッチンユニット10の概要を正面から示した図で、(a)は同キッチンユニット本体の上部構造物の移動前の状態、(b)は同上部構造物の移動後の状態をそれぞれ示している。図2は同キッチンユニットの概要を側面から示した図で、(a)は同上部構造物の移動前の状態、(b)は同上部構造物の移動後の状態をそれぞれ示している。図3は図2(a)の正面図である。図4は図2(b)の平面図である。
【0018】
これらの図において、キッチンユニット10は、キッチンユニット本体12の上面に加熱調理機器14とシンク16が設けられ、かつキッチンユニット本体12の背面側の外縁部に食卓用カウンター20が設けられ、対面式に構成されている。加熱調理機器14は、ガスコンロ式でもIHクッキングヒーター式でもよい。
【0019】
図4の符号18はシンク16の排水口を示している。図示を省略したが、加熱調理機器14およびシンク16には、給電、ガス、給水、給湯、排水等の各種配管に対応する周知の管体が連結されている。これらの配管は周知のフレキシブル管でもよい。
【0020】
キッチンユニット本体12は、キッチン床に設置される下部構造物22と、下部構造物22の上に配置された上部構造物24とに分割された構成とされている。上部構造物24は下部構造物22に対して上下移動可能にされている。
【0021】
上部構造物24の下方に、下部構造物22を固定した状態で上部構造物24を昇降させる昇降装置26が設けられている。昇降装置26は下部構造物22とほぼ並列に配設されている。
【0022】
加熱調理機器14とシンク16は上部構造物24の上面に装備されている。食卓用カウンター20は、下部構造物22の背面側の外縁部に設けられている。食卓用カウンター20は、上部構造物24の上面より低い位置に設けられている。
【0023】
図2に示したように、食卓用カウンター20に対応して配置された椅子23は、食卓用カウンター20を食卓として使用するのに好適である。図3に示したように、下部構造物22には、物品収納部70、配管設備を備えるPS72等が配設されている。
【0024】
上部構造物24の上面の正面側外縁部に、上部構造物24の上面とほぼ同一平面となる補助カウンター28とスライドカウンター29とが設けられている。下部構造物22の物品収納部70に隣接する空間に2台の引出し式椅子25が収納されている。引出し式椅子25は下部構造物22の正面側の外方に引き出される。
【0025】
引出し式椅子25は、出し入れ自在にする車輪74と小物品を収容可能な内部空間とを備えている。下部構造物22に配置された引出し式椅子25は、補助カウンター28とスライドカウンター29を食卓として使用するのに好適である。
【0026】
スライドカウンター29は、図4に示されるように上部構造物24正面の中央に位置し、その両隣に補助カウンター28が位置するようにほぼ同一平面に並列に設けられている。補助カウンター28とスライドカウンター29は、常時は邪魔にならないように上部構造物24の正面からなるべく外方に突出しないようにされている。
【0027】
補助カウンター28は、図示しないが上部構造物24に蝶番で支持されている。補助カウンター28は上部構造物24の正面に沿って垂下された状態から回動されて外方に出し入れ自在に設けられている。図2にキッチンユニット本体12で使用する補助カウンター28の動きを示している。
【0028】
図2(a)は補助カウンター28が動く前の垂下した状態を示しており、図2(b)は補助カウンター28が動いた後の水平状態を示している。
【0029】
すなわち、補助カウンター28は、図2(a)に示すように垂下された状態から回動されて図2(b)に示すようにキッチンユニット本体12の上面とほぼ同一面に沿った水平状態となるように出し入れ自在に設けられている。
【0030】
補助カウンター28は、下部構造物22に回動自在に取り付けられたブラケット(図示せず)により支持されている。スライドカウンター29はキッチンユニット本体12の内部空間に配置されたほぼ水平な状態から外方に引き出されて固定される。スライドカウンター29は出し入れ自在に設けられている。
【0031】
使用時に補助カウンター28とスライドカウンター29を外方に出すことにより、上部構造物24の上面を実質的に拡大できる。
【0032】
また、補助カウンター28のみを上部構造物24の外方に引き出してスライドカウンター29を上部構造物24内に収納した状態とすることにより、調理人がスライドカウンター29の引出しスペースに入り込んで2枚の補助カウンター28を利用して配膳スペースが広い状態で調理することができる。
【0033】
図1、図2に示したように、下部構造物22の上位の背面側外縁部と側面側外縁部に、それぞれシンク16もしくは加熱調理機器14からの水はねもしくは油はねを受ける遮蔽板21Aと21Bとを起立させて設けてもよい。
【0034】
これらの遮蔽板21Aと21Bは、下部構造物22に固定されるか、あるいは図示しないが下部構造物22の背面側外縁部と側面側外縁部を支点として蝶番等を介して回動自在に設けられる。
【0035】
遮蔽板21Aは、図2に示すように、L字形の板体であり、下部構造物22の上位の背面側外縁部に設けられている食卓用カウンター20の上面を被うように配置されている。この場合は、遮蔽板21Aが食卓用カウンターとなる。
【0036】
シンク16の排水口18に連結される排水管19は、図1、図2に示されるように外径の異なる複数の管体を連結してなる伸縮自在管が使用されている。
【0037】
昇降装置26は、上部構造物24の上面が調理時の高さから食卓用カウンター20の上面の高さまでの範囲(H)で上部構造物24を上下動するように設けられている。
【0038】
図5は同キッチンユニットに取付けられる昇降装置の概要を示す図である。図6(a)は同昇降装置の一部の部品を分解した状態を示す図、(b)および(c)は同部品を合体した状態を示す図である。図7は同昇降装置の主要部を示している。図8は同主要部の一部を拡大して示している。図9は(a)は同昇降装置の動く前の状態を示している。(b)は同昇降装置が動いた後の状態を示している。図10(a)は同昇降装置の動く前の状態を示している。(b)は同昇降装置が動いた後の状態を示している。
【0039】
昇降装置26は、図5に示すように、上部構造物24を支承する平板状の支持部材30とこの支持部材30を支持する脚部36とを有する架台38と、支持部材30と脚部36とに沿って掛け渡されたベルト42と、ベルト42を巻取り巻戻しする回転体44を正逆転駆動するモータ46とを備えている。
【0040】
モータ46を正逆転駆動することによりベルト42に牽引力が作用し、この牽引力により上下動する可動部材32を介して上部構造物24を自在に昇降させることができる。
【0041】
回転体44はモータ46の駆動軸に減速機構を介して連結され、モータ46の両側に突出するように設けられている。ベルト42は2組使用され、それぞれが回転体44に巻取り又は巻戻しされるように取付けられると共に、各回転体44の両側方に配置された脚部36の近傍にガイドされている。
【0042】
脚部36は支持部材30を上下動可能に支持する可動部材32と可動部材32をスライド可能に保持する不動部材34とから構成されている。
【0043】
不動部材34は、図6に示されるように両方の側面側に沿ってそれぞれ嵌合溝48が形成された長方形状のガイドケース50により構成されている。可動部材32は、両方の側面側に沿ってそれぞれ嵌合溝49がガイドケース50の嵌合溝48に対向する位置に形成された長方形状のスライドケース52により構成されている。
【0044】
ガイドケース50の嵌合溝48とこれに対向するスライドケース52の嵌合溝49との間に長方形状のスライダー54が嵌合配置されている。スライダー54の一側端部は不動部材34の嵌合溝48にかしめ、あるいは接着剤を介して固定されている。スライダー54の他側端部は可動部材32の嵌合溝49にスライド可能に嵌合されている。
【0045】
ガイドケース50とスライドケース52とスライダー54との間に横断面偏平な空間56が形成されている。空間56は、図7に示されるようにベルト42の、脚部36の側面に沿う部分を収納している。
【0046】
ベルト42の、脚部36の側面に沿う部分がガイドケース50およびスライドケース52により外界から遮蔽されるので、キッチンユニット本体12内の狭い空間でのベルト42の上下動作が他の構造物に接触することなくスムーズに行われる。
【0047】
ベルト42は、図8に示されるようにその中間部がモータ46の回転体44の軸心を縦断する保持溝68に嵌入されて固定されると共に、回転体44の両側方の水平面上にそれぞれ設けられたガイドローラ40Aに掛けられて水平方向にガイドされている。
【0048】
さらに、ベルト42は、他のガイドローラ40Bに掛けられて架台38の脚部36側面に沿って垂下するようにガイドされ、可動部材32の下部に取付けられたガイドローラ40Cで折り返されて上向きにガイドされた両端部が張力調節装置76を介して不動部材34の上部に固定されている。
【0049】
上部構造物24はベルト42の張力により可動する可動部材32および支持部材30を介して支持されている。ベルト42の張力は張力調節装置76により使用状況に応じて自在に調節できる。
【0050】
張力調節装置76は、図8に示されるように外周にねじ溝58を有するロッド60と、このロッド60に螺合されたナット62と、ロッド60を挿通させる貫通孔を有しかつ不動部材34に取付けられたブラケット66とを備えている。
【0051】
ロッド60の上端はベルト42の端部に連結されている。ロッド60の下端部にはブラケット66の貫通孔に通した状態でナット62が螺合される。ナット62の回動によりブラケット66に対してロッド60を上下移動させ、ベルト42の張力を調節する。
【0052】
図11(a)はベルト42をモータの回転体44に水平に取付けた状態を示している。(b)は同ベルトをモータの回転体に傾斜して取り付けた状態をしている。
【0053】
ベルト42は、図11(a)に示されるように、その中間部がモータの回転体44の軸心を縦断する保持溝68に嵌入されて固定されると共に、回転体44の両側方の、回転体の軸心を通る水平面上にそれぞれ設けられたガイドローラ40Aに掛けられて水平方向にガイドされることが望ましい。
【0054】
すなわち、ベルト42の中間部が回転体44の軸心の両側において水平方向にガイドされていることにより、回転体44によりベルト42の中間部を巻取りしたときに回転体を境界としてベルト42の両側で巻取り量に差異が生じることがなく、回転体を境界とする両側で均等にベルト42の上下動作を行うことができるからである。
【0055】
図11(b)に示されるように、ベルト42の中間部がモータの回転体の保持溝68に嵌入された後に傾斜した状態でガイドされていると、回転体44によりベルト42の中間部を巻取りしたときに回転体44を境界としてベルト42の両側における巻取り量に差異が生じてくる。
【0056】
すなわち、図11(b)に示すように、回転体44を境界として図中左側の右肩上がりのベルト42aが図中右側の右肩下がりのベルト42bに比べて間隔Sの差異が生じてくる。このため、回転体を境界とする両側で均等にベルトの上下動作を行うことができない。
【0057】
図12は図10に示した昇降装置とは異なる方式でベルトを掛け渡した構造の昇降装置の動きを示しており、(a)は同昇降装置の稼働前の状態、(b)は同昇降装置の稼働後の状態をそれぞれ示している。
【0058】
図10に示した上記実施例では回転体44の保持溝68に嵌入固定されたベルト42が左右に2つのガイドローラ40Aを介して次のガイドローラ40Bに掛け渡されて架台38の脚部側面に沿って垂下するようにガイドされている例につき説明した。
【0059】
本発明に係る昇降装置は、図12に示すようにベルト42を1つのガイドローラ40Dに掛け渡すだけで架台38の脚部側面に沿って垂下するようにガイドされる構成を含むものとする。
【0060】
また、上記実施例ではベルト42を使用する例につき説明したが、本発明はベルト42に換えてワイヤーを使用して同様の機能を発揮させる構成としたものを含むものとする。
【0061】
図13は本発明に係る昇降装置の他の例を示す説明図である。本発明に係る昇降装置においては、架台38の支持部材30に設置されるモータ46を、図13に示すように支持部材30の下面に取付けられて支持部材30の下方に突出するように設置されているものも含むものとする。
【0062】
モータ46を支持部材30の下面に設置することにより、支持部材30の上面が平坦になるので、支持部材30の上方に配置される構造物のレイアウトを変えたり、すっきりした外観にすること等が可能である。
【0063】
本発明に係るキッチンユニットによれば、キッチンユニット本体12の上面を、調理台としての高さと食卓としての高さとに自在に上下動することができる。すなわち、キッチンユニット本体12の上面は、調理時には調理し易い高さに保持され、食事時には降下されて食事し易い高さに調整できる。
【0064】
食事時等に昇降装置26を駆動して上部構造物24を下降することにより上部構造物24の上面を食卓用カウンター20とほぼ同一平面として広い食卓面とすることができる。すなわち、キッチンユニット本体12の上面を食卓用カウンター20と同様に食事し易い高さとすることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 キッチンユニット
12 キッチンユニット本体
14 加熱調理機器
16 シンク
18 排水口
19 排水管
20 食卓用カウンター
21A 遮蔽板
21B 遮蔽板
22 下部構造物
24 上部構造物
23 椅子
25 引出し式椅子
26 昇降装置
28 補助カウンター
29 スライドカウンター
30 支持部材
32 可動部材
34 不動部材
36 脚部
38 架台
40A ガイドローラ
40B ガイドローラ
40C ガイドローラ
40D ガイドローラ
42 ベルト
44 回転体
46 モータ
48 嵌合溝
49 嵌合溝
50 ガイドケース
52 スライドケース
54 スライダー
56 空間
58 ねじ溝
60 ロッド
62 ナット
66 ブラケット
68 保持溝
70 物品収納部
72 配管設備を備えるPS
74 車輪
76 張力調節装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンユニット本体の上面に加熱調理機器とシンクが設けられ、かつ前記キッチンユニット本体の背面側の外縁部に食卓用カウンターが設けられた対面式のキッチンユニットであって、
前記キッチンユニット本体を、キッチン床に設置される下部構造物と、上面に前記加熱調理機器と前記シンクを装備し、かつ前記下部構造物に対して昇降可能に配置された上部構造物とに分割構成し、
キッチンユニット本体の内部に、前記上部構造物が前記下部構造物に対して上下動するように前記上部構造物を昇降させる昇降装置を設けたことを特徴とするキッチンユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のキッチンユニットにおいて、
前記食卓用カウンターを、前記上部構造物の上面より低い位置に設けたことを特徴とするキッチンユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキッチンユニットにおいて、
前記上部構造物の正面側の外縁部に、前記上部構造物に垂下され、もしくは前記上部構造物の内部に配置された状態から前記上部構造物の上面とほぼ平行な状態となるように移動される補助カウンターを出し入れ自在に設け、
前記昇降装置を、前記上部構造物の上面が調理時の高さと前記食卓用カウンターの上面の高さとの範囲で上下動するように設けたことを特徴とするキッチンユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のキッチンユニットにおいて、
前記昇降装置は、
前記上部構造物を支承する支持部材と前記支持部材を上下動可能に支持する可動部材および前記可動部材をスライド可能に保持する不動部材により構成された脚部とを有する架台と、
端部が前記不動部材の上部に固定されて垂下され、前記可動部材の下部に取付けられたガイドローラで折り返されて前記可動部材の側面に沿って上向きにガイドされたベルト又はワイヤーと、
前記架台の支持部材に設置されて前記上向きにガイドされたベルト又はワイヤーを巻取り巻戻しする回転体を正逆転駆動するモータと
を備えたことを特徴とするキッチンユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のキッチンユニットにおいて、
前記不動部材を、両方の側面側に沿ってそれぞれ嵌合溝が形成された長方形状のガイドケースにより構成し、
前記可動部材を、両方の側面側に沿ってそれぞれ嵌合溝が前記ガイドケースの前記嵌合溝に対向する位置に形成された長方形状のスライドケースにより構成し、
前記ガイドケースの嵌合溝とこれに対向する前記スライドケースの嵌合溝との間に長方形状のスライダーを配置すると共に、前記スライダーの一側端部を前記不動部材の前記嵌合溝に嵌合固定し、前記スライダーの他側端部を前記可動部材の前記嵌合溝にスライド可能に嵌合して取付けて、前記ガイドケースと前記スライドケースと前記スライダーとの間に横断面偏平な空間を形成し、
前記空間内に前記ベルト又はワイヤーの、前記脚部の側面に沿う部分を収納したことを特徴とするキッチンユニット。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のキッチンユニットにおいて、
前記ベルト又はワイヤーの端部は、張力調節装置を介して前記不動部材の上部に固定されていることを特徴とするキッチンユニット。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載のキッチンユニットにおいて、
前記ベルト又はワイヤーは、その中間部が前記モータの前記回転体の軸心を縦断する保持溝に挿通されて固定されると共に、前記回転体の両側方の、前記回転体の軸心を通る水平面上にそれぞれ設けられたガイドローラに掛けられて水平方向にガイドされ、さらに、他のガイドローラに掛けられて前記架台の脚部側面に沿って垂下するようにガイドされ、前記可動部材の下部に取付けられた前記ガイドローラで折り返されて上向きにガイドされた両端部が前記不動部材の上部に固定されていることを特徴とするキッチンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−22178(P2013−22178A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158634(P2011−158634)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(506312445)風越建設株式会社 (4)
【出願人】(509163293)
【Fターム(参考)】