説明

キトサン含有飲食品

【課題】キトサンやキトサン分解物が有する苦渋味等の不快な風味が改善された、美味しく食することのできるキトサン含有飲食品を提供すること。
【解決手段】キトサン及び/又はキトサンの分解物と、カテキン含有物とを含有するキトサン含有飲食品とする。カテキン含有物は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶から選ばれた1種以上であることが好ましい。また、カテキン含有物の含有量は、キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対して、0.5〜7.5質量部であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呈味が改善された、キトサン及び/又はキトサン分解物を含有する飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のわが国の食生活は、飽食の時代を迎え、栄養の欠乏による疾病がほとんどなくなった代わりに、高血圧症、糖尿病、高脂血症等の「生活習慣病」が増加する傾向にある。このような生活習慣病の増加、更には高齢化社会の到来により、国民医療費は年々増加の一途を辿り、わが国の保健機構は破綻の危機に立たされている。
【0003】
このような流れの中で、国民の健康指向は、急速な高まりを見せるようになり、生活習慣における食事、運動、喫煙といったものが見直されるようになった。特に、毎日摂取する食品には、「栄養」、「嗜好」に加えて、更に「生体調節機能」が求められるようになり、機能性を高めた食品、つまり健康食品の開発が盛んに行われている。
【0004】
その中でも、キチン、キトサンは、様々な研究により、その有用性が次々に明らかにされている天然素材のひとつであり健康食品素材として開発、利用されている。日本は、カニ、エビの大量消費国であるが、その副産物として大量に産出される甲殻の主成分は多糖類であるキチンであり、キチンを脱アセチル化することによりキトサンが得られる。キトサンはその脂肪吸収阻害作用により、ダイエット素材として広く認知されている。またコレステロール低下作用、整腸作用、血圧上昇抑制作用等が認められており、サプリメント等で広く出回っている。更に、キトサンを酸又は酵素で加水分解して得られるキトサン分解物(低分子キトサン、キトサンオリゴ糖)は水溶性で、免疫賦活効果、コレステロール低下効果、血糖値低下作用の他、更には肝機能改善効果、抗菌作用、エリシター効果等の高分子品にはない新たな有効性も見出されており、生活習慣病の予防に有効な素材である。
【0005】
しかしながら、キトサンは、独自の苦渋味といった不快な味を呈するものであり、また、中性からアルカリ性域では難溶性であるため、口腔内においてザラツキ感、乾燥感といった不快な食感を有し、健康食品素材として使用する場合には種々の制約があった。また、キトサン分解物もやはり独特の苦渋味を呈するため、高配合製品の味は必ずしも好ましいとは言えなかった。
【0006】
その一方で、キトサンのもつ苦渋味などの不快な味を改善する方法も種々検討されており、例えば、酵母エキス(特許文献1参照)、柿の葉(特許文献2参照)、えんどう蛋白(特許文献3参照)、スクラロース(特許文献4参照)等が、キトサンのもつ苦渋味の改善効果を有することが開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、キトサン及び/又はキトサン分解物に、ソーマチンと、アルギン酸ナトリウムナトリウムと、pH調整剤とをそれぞれ配合することにより、キトサン及び/又はキトサン分解物のもつ苦渋味を改善できることが開示されている。
【特許文献1】特公平5−30435
【特許文献2】特開平8−208709
【特許文献3】特開平11−127787
【特許文献4】特開2000−175668
【特許文献5】特開2000−270809
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これまでに開示されている方法では、いずれも効率よくキトサン及び/又はキトサン分解物が有する苦渋味等の独特の不快な風味を充分改善することができず、その改善効果は不充分であったり、また、食品としての汎用性に欠けるものであった。
【0009】
すなわち、上記特許文献1では、酵母エキスをキトサンのマスキング剤としているが、酵母エキス自体の味が強いため、大量に添加すると逆に酵母エキスの味が問題となるため添加量に限界があった。そのため、キトサンの含有量が高く、風味の良好なキトサン含有飲食品とすることは困難であった。
【0010】
また、上記特許文献2では、柿の葉粉末をキトサンのマスキング剤としているが、マスキング効果を充分に発揮するためには、キトサン量の30%以上の柿の葉粉末を加えねばならなかった。また、対象となるキトサンは、易溶性のキトサンに限られており、そのため、キトサンをあらかじめ易溶化処理しなければならないという問題点があり、手間を要するものであった。更には、可溶化のために一旦キトサンを酸処理しているので、味の面で利用は酸性の液体食品に限られていた。
【0011】
特許文献3では、えんどう蛋白質をキトサンのマスキング剤としているが、一度えんどう蛋白とキトサンを水に分散させるため、手間を要するものであった。また、キトサンの苦渋味改善効果は充分とは言えず、そのため、キトサンの含有量が高く、風味の良好なキトサン含有飲食品とすることは困難であった。
【0012】
特許文献4では、スクラロースをキトサンのマスキング剤としているが、その添加量には限りがある。例えば食品1kgあたりの使用基準が、砂糖代替食品として使用するときには12g以下である。それ以外の用途になると食品1kgあたりの使用基準が用途により異なるが、0.4g以下〜2.6g以下に制限されてしまう。また、高用量使用した場合、キトサンの呈味の改善はされるが、かなり甘味が強くなるため、甘味のマスキングをするために酸味を加えることが考えられる。しかしながら、甘味を抑えるため、例えばクエン酸、アスコルビン酸等で酸味を加えた場合、酸性域で溶解する性質を持つキトサンが口腔内で溶解する。溶解したキトサンは舌の味覚を感知する味蕾細胞へ届きやすい性状であるため、更なる苦渋味を呈することになり、良好な呈味を得ることができなかった。
【0013】
特許文献5では、ソーマチンと、アルギン酸ナトリウムナトリウムと、pH調整剤とを併用して、キトサンやキトサン分解物のもつ苦渋味を改善しているが、pH調整剤によって、キトサン含有飲食品のpHを5.5〜6.5程度に調整していることから、食品としての用途がpHで限定されていた。
【0014】
したがって、本発明の目的は、キトサンやキトサン分解物が有する苦渋味等の不快な風味が改善された、キトサンやキトサン分解物の含有量が高くても美味しく食することのできるキトサン含有飲食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、本発明のキトサン含有飲食品は、キトサン及び/又はキトサンの分解物と、カテキン含有物とを含有することを特徴とする。本発明のキトサン含有飲食品によれば、カテキン含有物によって、キトサンやキトサン分解物の苦渋味が充分改善されており、また、その際、キトサン含有飲食品のpHを限定する必要もないので、幅広い形態の飲食品に適用が可能である。更には、このキトサン含有飲食品は、キトサン及び/又はキトサン分解物を高含有しても風味が良好であるので、生理活性作用量のキトサンやキトサン分解物を毎日の生活の中で無理なく摂取することが可能である。
【0016】
本発明のキトサン含有飲食品において、前記カテキン含有物は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶から選ばれた1種以上であることが好ましい。これによれば、キトサンやキトサン分解物の苦渋味改善効果が高く、カテキン含有物の添加量が少量であっても高い苦渋味改善効果が得られる。
【0017】
また、本発明のキトサン含有飲食品において、前記カテキン含有物を、前記キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対して、0.5〜7.5質量部含有することが好ましい。これによれば、キトサン含有食品に、カテキン含有物による風味等を呈することなく、キトサンやキトサン分解物の苦渋味だけが改善されたキトサン含有飲食品とすることができる。
【0018】
また、本発明のキトサン含有飲食品において、乳たんぱくを更に含有することが好ましく、前記キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対して、1〜100質量部含有することがより好ましい。そして、前記乳たんぱくは、脱脂粉乳、全粉乳、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、トータルミルクプロテインから選ばれた1種以上であることが好ましい。これによれば、カテキン含有物によるキトサンやキトサン分解物の苦渋味を相乗的に改善することができると共に、キトサンやキトサン分解物のざらつきある不快な食感も改善することができる。
【0019】
そして、本発明のキトサン含有飲食品において、前記キトサン及び/又はキトサン分解物の平均粒径が、200μm以下であることが好ましい。これによれば、カテキン含有物によるキトサンやキトサン分解物の苦渋味を相乗的に改善することができると共に、キトサンやキトサン分解物のざらつきある不快な食感も改善することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のキトサン含有飲食品は、カテキン含有物を添加することにより、キトサンやキトサン分解物の苦渋味等の風味が改善されており、また、幅広い形態の飲食品に適用が可能である。そして、このキトサン含有飲食品は、キトサン及び/又はキトサン分解物を高含有しても風味が良好であるので、生理活性作用量のキトサンやキトサン分解物を毎日の生活の中で無理なく摂取することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のキトサン含有飲食品は、キトサン及び/又はキトサン分解物と、カテキン含有物とを含有するものである。
【0022】
本発明におけるキトサンとは、甲殻の主成分であるキチンを脱アセチル化することにより得られるものであり、キトサン分解物とは、キトサンを酸又は酵素で加水分解して得られる低分子キトサンや、キトサンオリゴ糖である。
【0023】
本発明で用いられるキトサン及びキトサン分解物(以下、「キトサン類」とも記す)の起源については特に限定されず、種々の物を用いることができ、例えばキトサンとしては、商品名「キトサンPL−90」(焼津水産化学工業株式会社製)、商品名「キトサンPSH−80」(焼津水産化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、キトサン分解物としては、商品名「COS−YS」(焼津水産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0024】
上記キトサン類の平均粒径としては、特に制限されないが、水等に溶解させずに用いる場合は400μm以下であることが好ましく、後述するカテキン含有物によるキトサン類の苦渋味を相乗的に改善でき、更には口腔内におけるザラツキ感を改善して食感を良好にできるという理由から200μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましく、10μm以下が最も好ましい。
【0025】
本発明におけるカテキン含有物とは、カテキン製剤、紅茶等の発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、緑茶等の不発酵茶、ツバキ科の植物の葉、ココア、チョコレート、その他のカカオ使用物、ステビア、りんご、サクランボ、モモ等の果実、ワイン等が挙げられ、発酵茶、半発酵茶及び不発酵茶が好ましく、緑茶が特に好ましく、玉露、煎茶、抹茶が更に好ましく、抹茶が最も好ましい。
【0026】
そして、キトサン含有飲食品中における、カテキン含有物の含有量は、キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対し、0.5〜7.5質量部が好ましく、1.0〜5.0質量部がより好ましい。カテキン含有物の含有量が0.5質量部未満であると、キトサン類の苦渋味をほとんど改善できず、一方、7.5質量部を越えると、カテキン含有物による風味が強くなるばかりか、カテキンによる苦渋味が大きくなる傾向にある。
【0027】
本発明のキトサン含有飲食品においては、更に乳たんぱくを含有することが好ましい。乳たんぱくを含有することによって、キトサン類の苦渋味を相乗的に改善できると共に、キトサン類によるザラツキ感、乾燥感といった不快な食感も改善することができる。
【0028】
乳たんぱくとしては、脱脂粉乳、全粉乳、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、トータルミルクプロテイン等が挙げられ、トータルミルクプロテインが最も好ましい。トータルミルクプロテインとしては、例えば商品名「MPC−80LR」(DMVInternational)、商品名「ミルカ」(日本新薬株式会社製)等が挙げられ、これらを好適に用いることができる。
【0029】
そして、キトサン含有飲食品中における、乳たんぱくの含有量は、キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対し、1.0〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。乳たんぱくの含有量が1.0質量部未満であると、上記効果がほとんど得られず、一方、100質量部を超えると、乳たんぱくが口腔内で溶解しづらくなり、更に食感が悪化するため好ましくない。
【0030】
本発明のキトサン含有飲食品においては、上記カテキン含有物により、キトサン類の苦渋味が充分改善されているが、更に、キトサン含有飲食品の風味を損なわない範囲で、必要に応じて、ソーマチン、スクラロース等の高甘度甘味料や、柿の葉、酵母エキス等の既存のマスキング剤を含有してもよい。上記マスキング剤を用いる場合、その含有量は、キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対し、50質量部以下とすることが好ましい。
【0031】
本発明のキトサン含有飲食品の形態としては、特に制限はなく、様々な形態のサプリメントや、一般食品等に適用できる。
【0032】
例えばサプリメントの場合であれば、液剤、散剤、錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、ゼリー、チュアブル、ペースト等として用いることができる。また、キトサン類の味、物性に悪影響を与えない範囲で、食品に許容される担体、賦形剤、糖類、甘味料、香料、酸味料、着色料、その他補助的添加剤を使用してもよい。
【0033】
一般食品としては、次のような食品が例示できる。
【0034】
(1)清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等の飲料類、(2)トマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品、(3)乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品、(4)カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料、(5)パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(6)食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類、(7)アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等、(8)焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン、アイスクリーム等の菓子類、(9)小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品、(10)蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品、(11)ハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品、(12)ヨーグルト、プリン、練乳、チーズ、発酵乳、バター、アイスクリーム等の酪農製品、(13)加工卵製品、(14)干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(15)だしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂、(16)スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(例えば、炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられる。
【実施例】
【0035】
(試験例)
下記表1に示す平均粒径を有するキトサン100質量部に対して、抹茶粉末及び乳たんぱくを、それぞれ表1に示した割合で混合して、試料1〜31の組成物を得た。
【0036】
試料1〜31の組成物について、それぞれ官能評価を行い、「味」及び「食感」について評価した。官能評価で、キトサンの味・食感に改善が認められない場合を×、キトサンの味・食感にやや改善が認められる場合を△、キトサンの味・食感にかなり改善が認められる場合を○、キトサンの味・食感がほぼ改善されている場合を●、キトサンの味・食感が充分改善され、不快感がほとんど感じられない場合を◎、キトサンの味・食感は改善されたが、新たな不快が認められる場合を□とした。




















【0037】
【表1】

【0038】
上記結果より、キトサンに、抹茶粉末を添加することで、キトサンの苦渋味を改善することができた。
【0039】
抹茶粉末の含有量が、キトサン100質量部に対して10質量部である試料31は、キトサンの苦渋味が充分改善されているものの、抹茶の苦味が強く感じられたが、抹茶粉末の含有量が、キトサン100質量部に対して、0.5〜7.5質量部である試料7〜30の組成物は、抹茶粉末の風味や渋みもほとんど感じられず、キトサンの苦渋味が充分改善されており、喫食しやすいものであった。
【0040】
また、更に乳たんぱくを添加することで、キトサンによるざらつきある不快な食感も改善することができた。
【0041】
乳たんぱくの含有量が、キトサン100質量部に対して、200質量部である試料29の組成物は、キトサンによるざらつきある不快な食感は改善されていたものの、乳たんぱくが口腔内で溶解しづらく、乳たんぱくによる新たな不快な食感が感じられたが、乳たんぱくの含有量が、キトサン100質量部に対して、1〜100質量部である試料17〜28の組成物は、乳たんぱくによる不快な食感はほとんどなく、キトサンによるざらつきある不快な食感が充分改善されており、更には、キトサンの苦渋味の改善効果の特に高いものであった。
【0042】
そして、試料9〜11、試料14〜16、試料19〜21、及び試料24〜26から明らかなように、キトサンの粒径を小さくすることで、食感をより良好なものとすることができた。
【0043】
一方、乳たんぱくのみを含有する試料3〜6は、キトサンの苦渋味はほとんど改善されておらず、喫食しにくいものであった。
【0044】
(実施例1)〔錠剤の製造〕
キトサン及びクラスターデキストリンを、表2に示す配合にて、流動造粒装置(商品名「流動造粒コーチング装置 型式 FLO−5M」;株式会社大川原製作所社製)を用い、常法に従って、造粒加工し、温度温度85℃にて水分が5%以下になるまで乾燥を行った。その後、抹茶粉末、香料、甘味料製剤、マルチトール、乳化剤を表4に示す配合にて混合し、打錠機(商品名「VIRG 0919SS2AZ−00AB03」;株式会社菊水製作所社製)を用いて、常法に従い、打錠圧1600kgで打錠加工を行い、φ15mmの錠剤(1g/個)を得た。
【0045】
【表2】

【0046】
得られた錠剤は、キトサンの苦渋味や、ざらつきある不快な食感がほとんどなく、また、抹茶の味もほとんど感じられないものであった。すなわち、粉末抹茶の味を呈することなくキトサンの味、食感が充分改善されていた。また、この錠剤は、水とともに噛まずに摂取する従来の小型錠剤よりも大型であったがが、キトサンの味、食感が改善されているため、口腔内で崩壊させることにより、水がなくても美味しく摂取することができた。
【0047】
(実施例2)〔顆粒の製造〕
キトサン、抹茶粉末、及び乳たんぱくを、表3に示す配合にて、流動造粒装置(商品名「流動造粒コーチング装置 型式 FLO−5M」;株式会社大川原製作所社製)を用い、常法に従って、造粒加工し、温度温度85℃にて水分が5%以下になるまで乾燥を行い、キトサン顆粒を製造した。
【0048】
【表3】

【0049】
得られた顆粒は、キトサンの苦渋味や、ざらつきある不快な食感がほとんどなく、また、抹茶の味もほとんど感じられないものであった。キトサンの不快な味もマスキングされているため、牛乳、味噌汁等日常摂食する食品に混合して無理なく食すことができた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のキトサン含有食品は、その形態を問わず、サプリメント、一般食品等、幅広い食品として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キトサン及び/又はキトサンの分解物と、カテキン含有物とを含有することを特徴とするキトサン含有飲食品。
【請求項2】
前記カテキン含有物は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶から選ばれた1種以上である請求項1に記載のキトサン含有飲食品。
【請求項3】
前記カテキン含有物を、前記キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対して、0.5〜7.5質量部含有する請求項1又は2に記載のキトサン含有飲食品。
【請求項4】
乳たんぱくを更に含有する請求項1〜3のいずれか一つに記載のキトサン含有飲食品。
【請求項5】
前記乳たんぱくを、前記キトサン及び/又はキトサン分解物100質量部に対して、1〜100質量部含有する請求項4に記載のキトサン含有飲食品。
【請求項6】
前記乳たんぱくは、脱脂粉乳、全粉乳、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、トータルミルクプロテインから選ばれた1種以上である請求項4又は5に記載のキトサン含有飲食品。
【請求項7】
前記キトサン及び/又はキトサン分解物の平均粒径が、200μm以下である請求項1〜6のいずれか一つに記載のキトサン含有飲食品。