説明

キトサン生成方法

甲殻類の殻等の自然に存在するキチン含有の生のマテリアルからのキトサン生成方法であって、生のマテリアル(例、エビの殻)から非キチン質が豊富な有機マテリアル(例、エビの肉)を除去する任意の前処理工程を含む方法である。任意の前処理の後に、低濃度の塩酸溶液を用いる脱ミネラル工程、及び低濃度の水酸化ナトリウム溶液を用いる脱タンパク質工程が続き、その後、脱アセチル化工程が続く。それは、N−アセチルグルコサミン(キチン)からアセチル基を除き、アミン基を形成し、d−グルコサミン(キトサン)を産生する。各工程の後に、洗浄工程が続き、好ましくは約65℃を超えない温度で、製品を乾燥させる。最終的なキトサン製品を生成するために、公知の精製及び挽砕工程が用いられ得る。該生成方法は、実質的に同一又は類似の一連のタンク及び乾燥機(適切に相互接続される)を含む装置において行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然に存在するキチン含有マテリアルからキトサンを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キチン(C13NO)nは、自然に存在するN−アセチルグルコサミンの多糖類であり、さまざまなソース(sources)、特に海洋動物の外骨格から入手可能である;例えば、キチンは、甲殻類の殻の主成分である。非特許文献1を参照にする(この記載は、本明細書中に参照として組み入れられる)。
【0003】
以下の文献は、キトサン生成のためのさまざまなスキームが記載されている多数のうちの典型例である(特許文献1〜5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0205932号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第1371922号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第1158335号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第101177328号明細書
【特許文献5】米国特許第4,066,735号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mathur,N.K.and Narang,C.K.;“Chitin and chitosan,versatile polysaccharides from marine animals”;Journal of Chemical Education;v.67,1990,p. 938
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概して、本発明の生成方法は、前処理(すべての場合で必要ではない)、脱ミネラル、脱タンパク質、脱アセチル化及び乾燥(各工程後に水洗浄を行う(言うまでもなく、乾燥及び脱水工程で除く))の工程を含む、キトサンの生成方法を含む。該生成方法の工程は好ましくは、記載された順序で行われる。出発マテリアルは、甲殻類の殻、例えばエビの処理で生じるエビの殻の廃棄物といった、自然に存在するいかなるキチン源でもよい。本発明のプロセスは、先行技術のいずれかであるキトサンの脱色工程の必要なしに、白色の医療グレートの品質のキトサンを提供する。
【0007】
さらに具体的には、本発明によれば、自然に存在するキチン源からキトサンを生成するための方法が提供される。該プロセスは下記の工程を含む。自然に存在するキチン源は、該キチン源を脱ミネラル(時に、“DMIN”という)塩酸溶液に浸し(好ましくは約0.5M〜約2MのHCl、より好ましくは約0.9M〜約1.1MのHCl、温度約20℃〜約30℃、より好ましくは温度約22℃〜約26℃、DMIN時間は、好ましくは約0.5時間〜約2時間、より好ましくは約0.75時間〜約1.25時間)、その後、酸性溶液から脱ミネラルされたキチン源を分離し、DMIN洗浄水中で該キチン源を洗浄し(DMIN洗浄時間は、好ましくは約0.5時間〜約2時間、より好ましくは約0.9時間〜約1.1時間)、及びその後、DMIN洗浄水から脱ミネラルされたキチン源を分離することにより、脱ミネラルされる。脱ミネラルされたキチン源は、脱タンパク質(時に、“DPRO”という)が行われる。それは、DPRO水酸化ナトリウム溶液中(NaOHを好ましくは約1%w/v〜約10%w/v、より好ましくは約4%w/v〜約6%w/v含有し、温度は、好ましくは約60℃〜約80℃、より好ましくは約70℃〜約75℃、DPRO時間は、好ましくは約4時間〜約24時間、より好ましくは約4時間〜約6時間)で脱ミネラルされたキチンを処理し、その後、脱タンパク質水酸化ナトリウム溶液からDMIN及びDPROされたキチン源を分離し、DPRO洗浄水中で分離されDMIN及びDPROされたキチン源を洗浄し(DPRO洗浄時間は、好ましくは約0.5時間〜約2時間、より好ましくは約1時間)、及びその後、脱タンパク質洗浄水からDMIN及びDPROキチン源を分離することにより行われる。残りの水はその後、DMIN及びDPROされたキチン源から分離される。脱タンパク質工程により得られた該キチン源は、高濃度の水酸化ナトリウム脱アセチル化(時に、“DEAC”という)溶液に浸される(NaOHを好ましくは約40%w/w〜約50%w/w、より好ましくは約45%w/w〜約50%w/w含有し、温度は約90℃〜約110℃、DEAC時間は、脱タンパク質工程により得られた該キチン源のアセチル基をアミン基に変換し、それによりキチンバイオポリマーのモノマーとしてのd−グルコサミンを有するキトサンバイオポリマーを形成するのに十分な時間である)。得られたキトサンバイオポリマーは、DEAC溶液から分離され、分離されたキトサンバイオポリマーは、DEAC洗浄水中で洗浄され(DEAC洗浄時間は、好ましくは約1時間〜約3時間、より好ましくは約0.9時間〜約1.1時間である)、その後DEAC洗浄水からキトサンバイオポリマーを分離する。残りの水はその後、キトサンバイオポリマーから分離される。その後、空気中で乾燥させる(温度は、好ましくは約50℃〜約65℃であり、より好ましくは約50℃〜約60℃であり、時間は、好ましくは約4時間〜約6時間、より好ましくは約2時間〜約5時間である)。医療グレートの品質のキトサンを提供するために、該キトサンバイオポリマーの水分含有量を10%未満に低減させる。
【0008】
本発明の他の態様では、前述の生成方法において、自然に存在するキチン源から、非キチン質が豊富な有機マテリアルを除くために、任意であり、初期段階に行われる前処理(時に、“PTRT”という)工程が提供される。それは、低濃度の前処理水酸化ナトリウム溶液で該キチン源を処理する(好ましくはNaOHを約1%w/v〜約4%w/v含有し、約2時間〜約24時間、温度は好ましくは約20℃〜約30℃である)ことにより行われる。前処理されたキチン源は、前処理水酸化ナトリウム溶液から分離され、その後、前処理されたキチン源は、PTRT洗浄時間が好ましくは約0.5時間〜約2時間で、洗浄される。
【0009】
本発明の他の態様は、後述の工程の単独、又は適切な組み合わせの1又は2以上を提供する。自然に存在する該キチン源は、海洋動物の外骨格を含み得る;自然に存在する該キチン源は、甲殻類の殻を含み得る;自然に存在する該キチン源は、エビの殻を含み得る;脱ミネラル工程は、脱タンパク質工程の前に行ってもよい;脱アセチル化工程から得られる該キトサンポリマーは、フレーク状であり、その後、粉末状に挽砕される;該生成方法の1又は2以上の付加的な工程が提供されてもよく、付加的な該工程は、異物、ヒ素、水銀、鉛、及び他の重金属、ならびに該キチン源からの微生物学的混入物質を本質的に除去することからなる;上述の生成工程のいずれか又はすべてにおいて規定されるもの以外の、該キトサン製品の白色化をめざす付加的な生成工程は、除かれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一態様による、エビの殻からキチンを抽出するための生成ラインの平面図である。
【図2】本発明の一態様による、キチンからキトサンに変換するための生成ラインの平面図である。
【図3】図1及び図2の生成ラインにおいて用いられる、典型的な生成タンクの横断立面図である。
【図3A】図3の生成タンクの概略平面図である。
【図3B】図3Aの図における位置から左回りに90°回転した、図3の生成タンクの横断立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の該プロセスのすべての工程は、図3、図3A及び図3Bの図で示されるタイプの、実質的に同型の一連のシリンダー状のタンク/スクリーン/ミキサーのアレンジメント(arrangement)により、便利に実施され得る。必要とされるいくつかの反応器の実質的な均一性は、初期資本投資ならびに維持及び修理において、経済性をもたらす。多数のポンプが図において示されているが、付番されておらず、又は特に言及されていない。それらの機能は、ポンプの位置及び生成方法の記述から、当業者に明らかである。下記に記載のすべての処理後の洗浄のために用いられる水は、該生成方法が行われている設備に供給される、加熱されていない温度の水である。
【0012】
(前処理工程)
該前処理工程は、該キチン源が、非キチン質が豊富な有機マテリアルを多量に含む場合に限り必要とされるという意味では、任意的である(“非キチン質が豊富な有機マテリアル”という用語は、キチンを含まないマテリアルを含む)。このような場合、該前処理工程は、キチンの有機源から非キチン質が豊富な有機マテリアルを除くために用いられる。例えば、エビの殻から、残っているエビの肉を除くため、である。当然のことながら、他の海洋生物の外骨格(殻、特には甲殻類の殻)は主要な天然のキチン源であり、本発明の生成方法で用いるのに適しているが、以下の記載は、自然に存在するキチン源としてのエビの殻に関する。他の天然のキチン源としては、例えば、菌類、藻類、酵母菌、昆虫、及びいくつかの植物が挙げられる。
【0013】
エビの殻の廃棄物からの、非キチン質が豊富な有機マテリアルの除去は、低濃度の水酸化ナトリウム前処理溶液、例えば1%w/vNaOHを用いることにより行われる。この工程は、非キチン質が豊富な有機マテリアル(例えば、エビの処理機により捨てられるエビの殻に存在するエビの肉)が、多量に存在する場合に必要とされる。該前処理工程において、エビの殻の表面から少量のタンパク質も除かれ得る。それは、後の脱タンパク質工程でのタンパク質の除去において一助となる。
【0014】
図1で示されるように、該殻は、矢印1で示されるように、前処理タンク10に導入される。該殻は、室温で2時間、低濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)溶液に浸され、電動ミキサー12により攪拌される。タンク10における液体/固体比は、エビの殻1kgにつき水酸化ナトリウム溶液6Lであってもよい(6L/kgは、0.72gal/lbmに等しい)。実験室での実験においては、ベンチスケールとラージスケールの両方で、エビの該殻は典型的には、攪拌なしで低濃度の水酸化ナトリウム溶液に一晩浸された。観察によれば、該殻は2時間以内は“クリーン(clean)”であり、攪拌の存在は、非キチン質が豊富な有機マテリアル(それは、エビの肉である)除去のプロセスの一助となる、ことが示唆された。それゆえ、エビの殻の機械的な攪拌を伴う該前処理プロセス時間は、安全に、室温で約2時間であってもよい。
【0015】
該前処理プロセスの完了後、前処理されたエビの殻は、前処理洗浄工程に移送される。それは、エビの殻を、ライン14を通って、前処理洗浄タンク18の上部に設置される固定スクリーン16に、ポンプで汲み上げることにより行われる。使用済みの水酸化ナトリウムの液体は、固定スクリーン16によりエビの殻から分離され、ライン20を通って廃水処理システム(図示せず)に汲み上げられる。エビの殻は、前処理洗浄タンクにおいて水の中に投入され、電動ミキサー22により機械的に攪拌される。前処理洗浄タンク18における液体/固体比は、処理されたエビの殻1kgにつき約6Lである(6L/kgは、0.72gal/lbmに等しい)。エビの殻が洗浄タンク18に加えられた時点で、該液体は固定スクリーンを通して循環される。そこでは、該前処理洗浄水は除去され、廃水処理システム(図示せず)に送られる。エビの殻は該洗浄タンク18に戻る。同時に、液体/固体比を維持するために、図示されない方法により、新鮮な水が該洗浄タンク18に加えられる。このプロセスは、約1時間行われ、その後、水/エビの殻の混合物は、後述に記載のとおり、脱ミネラルタンク26に送られる。
【0016】
(脱ミネラル)
エビの殻は、本質的に3成分を含む:ミネラル、タンパク質及びキチンである。該脱ミネラル工程は、低濃度の塩酸溶液(例えば、1MのHCl)を用いてエビの殻におけるミネラルを除去する。
【0017】
前処理されたエビの殻は、ライン24を通って、該前処理洗浄タンク18から固定スクリーン28に汲み上げられる。そこでは、該液体がクリーン(clean)な殻から分離され、ライン30を通って、廃液処理システム(図示せず)に汲み上げられる。エビの殻は、スクリーン28から脱ミネラルタンク26に落とされる。常温の水が、電動ミキサー32により攪拌される。すべてのエビの殻が該タンク26に加えられた後、該タンク26において1MのHCl脱ミネラル溶液を作るために必要とされる高濃度のHCl(22°Be(ボーメ))量が計測され、20分間にわたって該液体に投入される。該プロセスにおける高濃度のHClの計測及び投入は、酸とミネラル(後者は主として炭酸カルシウムを含む)との間の反応からの、二酸化炭素の産生に起因する、過剰な形成を防ぐ。該溶液は、約1時間、室温で混合され、この時間は、HClが計測されて該液体に投入される時間を含む。脱ミネラルタンク26における液体/固体比は、クリーン(clean)な殻1Kgにつき約4Lである(4L/kg又は0.48gal/lbm)。該処理時間の終わりに、脱ミネラルされたエビの殻が、ライン34を通って、脱ミネラル洗浄タンク36の上部に設置される固定スクリーン35に汲み上げられる。脱ミネラル液体は、脱ミネラルされたエビの殻から、固定スクリーン35において分離され、該液体は、ライン37を通って廃水処理システム(図示せず)に汲み上げられる。エビの殻は、脱ミネラル洗浄タンク36に入れられる。
【0018】
洗浄タンク36における脱ミネラル洗浄工程は、前処理洗浄工程と同様に行われる。液体/固体比は、脱ミネラルされた殻1キログラムにつき4Lである(4L/kg又は0.48gal/lbm)。該殻が電動ミキサー38による攪拌で1時間洗浄された時点で、水/脱ミネラルされた殻の混合物は、後述のように、脱タンパク質工程に汲み上げられる。
【0019】
(脱タンパク質)
脱タンパク質工程は、低濃度の水酸化ナトリウム溶液(例えば、約5%w/vのNaOH)を用いて、エビの殻からタンパク質を除去する。脱タンパク質工程が完了すると、残っている成分は、バイオポリマーキチンである。
【0020】
脱ミネラルされたエビの殻は、ライン40を通って、脱ミネラル洗浄タンク36から、脱タンパク質タンク44a、44bの上部にそれぞれ位置する固定スクリーン42a、42bに汲み上げられる。脱ミネラル液体は、スクリーン42a、42bにおいて脱ミネラルされた殻から分離され、ライン46a、46bをとって、廃水処理システム(図示せず)に汲み上げられる。脱ミネラルされた殻は、脱タンパク質タンク44a、44bに入り、そこでは約70℃に熱せられた5%w/vのNaOH脱タンパク質溶液が、電動ミキサー43a、43bにより攪拌されている。プロセスラインのデザイン及びプロセスタイムテーブルの決定において、脱タンパク質工程のためには、他の工程の場合のような1つの(タンクの)代わりに、2つの生成タンクを有することが好都合となる。2つの脱タンパク質タンクを用いることで、単一のラインにより1日で処理されるエビの殻の6つのバッチが可能となった。その結果、1つの生成ラインの処理能力を向上させ、必要とされる生成ラインの数を減らし、資本コストを削減できる。該溶液は、温度が約70℃に維持されている脱タンパク質タンク44a、44bにおいて、6時間混合される。脱タンパク質タンク44a、44bにおける液体/固体比は、脱ミネラルされた殻1Kgにつき約4Lである(4L/kg又は0.48gal/lbm)。実験室において行われる脱タンパク質工程は、時間で4時間から19時間(一晩の操作)の範囲であった。4時間より長いプロセス時間は、該プロセスのキトサン製品の品質において顕著な違いを作らなかった。しかし、該プロセスのタイミングのスキームは、脱タンパク質工程において6時間の処理時間により恩恵を受けた。
【0021】
脱タンパク質工程処理時間の終了後、得られたキチンはライン48を通って、脱タンパク質タンク44a、44bから固定スクリーン49に汲み上げられる。そこでは、該液体が該キチンから分離される。該液体は、ライン51を通って廃水処理システム(図示せず)に送られ、該キチンは脱タンパク質洗浄タンク50に入れられる。そこには、図示されない方法により洗浄水が供給される。該洗浄工程は、前の洗浄工程と同様に行われ、電動ミキサー52による攪拌を伴い室温で行われる。液体/固体比はキチン1Kgにつき約4Lである(4L/kg又は0.48gal/lbm)。該キチンが1時間洗浄された時点で、水/キチンの混合物は、ライン54を通って、単一のベルトプレス58の上部に備えられた固定スクリーン56に汲み上げられる。脱タンパク質洗浄水は、該キチンから分離され、ライン56a及び58aを通って、それぞれスクリーン56及びベルトプレス58から廃水される。該キチンは、該ベルトプレス58に落下し、該キチンから過剰な水が絞られる。該キチンはその後、スクリューオーガー60により(又は、コンベアベルト若しくは他の適切な方法により)、回転乾燥機62に移送される。それは、乾燥機モーター64により回転されている。乾燥温度は、キトサン製品の乾燥に関連して、後述の段落0028に記載されるのと同じである。該乾燥機62は、オーガー68、70(又は、スクリューコンベア若しくは同様のもの)及びリバーシブルコンベアベルト72から構成されるリターンシステム66を包含する。リターンシステム66は、部分的に乾燥されたキチンを、適切な程度にマテリアルを乾燥させるために、1又は2回以上、該乾燥機62に再導入するために操作されてもよい。適切な乾燥は、キチンに重要である。なぜならば、キチンに水分がより多く含まれると、図2に関連して後述される脱アセチル化工程おける水酸化ナトリウム溶液の濃度をより下げることとなるからである。脱アセチル化工程において、水酸化ナトリウム溶液の濃度を下げることは、同時に脱アセチル化プロセスの有効性を低減させることとなる。
【0022】
ホッパ74は、乾燥機62から乾燥させたキチンを排出するために、乾燥機62により供給を受け、乾燥されたキチンは、エア輸送パイプ76(又は、他の適切な手段)により、保存タンク(図示せず)に、直接図2及び後述で示されるキトサン生成物ラインに、又は他の処理工程に輸送される。
【0023】
前述のMathur/Narangの文献は、脱ミネラル及び脱タンパク質工程の順序は、処理される殻に応じて、入れ替えられ得ることを示唆する。実験室での実験は、エビの殻を用いて、脱ミネラルに先立ち脱タンパク質、及びその逆もまた同様に行われた。より良い結果は、脱タンパク質工程の前に脱ミネラルを行うことより得られることが見出された。特定の理論に縛られることを望むものではないが、脱タンパク質の前に脱ミネラルを行うことより得られるより良い結果の理由は、2工程においてターゲットとされる分子のサイズにあるだろうと考えられる。ミネラルは、タンパク質よりも非常に小さい分子であり、より多数ある;それゆえ、タンパク質の加水分解は、ミネラルが存在しない場合に、より容易に成し遂げられ得る。それは、甲殻類を含む他の海洋動物の殻にもあてはまる。
【0024】
(脱アセチル化)
図2は、図1において示される生成物ラインにより生成されるキチンからキトサンを生成するための生成ラインを示す。脱アセチル化工程は、N−アセチルグルコサミン(キチンモノマー)からアセチル基を除去し、アミン基を作るために用いられる。それにより、キトサンモノマーとしてのd−グルコサミンが生じ、バイオポリマーキトサンを形成する。変換されたキチンモノマーの数、又は脱アセチル化の程度(パーセンテージとして表現される)は、脱アセチル化工程の有効性の目安となる。高い程度のアセチル化が当然のごとく望まれる。
【0025】
図1に関連して記載されるプロセスにより得られた乾燥キチンは、パイプ76を通って、高濃度の水酸化ナトリウム脱アセチル化溶液に加えられる。それは、脱アセチル化タンク78における約100℃の温度の約50%w/wのNaOHであり、電動ミキサー80により攪拌される。脱アセチル化タンク78に供給された該キチンは、該キチンから残存水をできる限り除去することにより、適切な程度に乾燥させた。それは、水の量を減らし、その結果、脱アセチル化タンク78における高濃度の水酸化ナトリウムの希釈の量を減らすためである。残存水の除去は、いかなる適切な手段、例えば、絞る、最大温度65℃で加熱する、又は絞ること及び加熱することの組み合わせにより行われてもよい。脱アセチル化タンク78における液体/固体比は、キチン1Kgにつき約50Lである(50L/kg又は5.99gal/lbm)。この工程は、約3時間行われる。該処理時間が終了した時点で、キトサン/水酸化ナトリウム脱アセチル化溶液は、ライン82を通って、単一のベルトプレス86の上部に設けられた固定スクリーン84に汲み上げられる。該水酸化ナトリウム脱アセチル化溶液は、固定スクリーン84においてキトサンから分離され、ライン88を通ってサージタンク90に汲み上げられる。キトサンは、ベルトプレス86上に落下し、過剰な水酸化ナトリウム溶液が絞られる。それはまた、ライン88a及び88を通って、サージタンク90に送られる。サージタンク90における液体は、ライン92及びフィルターシステム94を通って、使用済み水酸化ナトリウム貯蔵タンク96に汲み上げられる。タンク96における水酸化ナトリウムは、ライン98を通って、脱アセチル化タンク78に汲み上げられることにより、再利用される。
【0026】
キトサンはその後、ベルトプレス86から水平オーガー100及び鉛直オーガー102を通って、脱アセチル化洗浄タンク104に移送される。脱アセチル化洗浄タンク104は、前の工程の洗浄タンクと同様に機能する。該キトサンが電動ミキサー106により攪拌され、常温で約1時間脱アセチル化洗浄水において洗浄された時点で、ライン105を通って、単一のベルトプレス110の上部に設けられたスクリーン108に汲み上げられる。該水は該キトサンから分離され、分離された水は、ライン107を取って排水管に送られる。該キトサンはベルトプレス110の上に落下し、該キトサンから水が絞られる。この使用済みの脱アセチル化洗浄水は、ライン109を通って排水管に送られる。キトサンはその後、オーガー60’を通って、乾燥機62’に移送される。
【0027】
オーガー60’は、リターンシステム66’の一部であり、実質的には図1のリターンシステム66と同様であり、リターンシステム66と同様に機能する。リターンシステム66’は、乾燥機62’から移動されたキトサンを乾燥機62’に戻すことができる。それは、該キトサンを繰り返される乾燥サイクルにさらすためである。適切な乾燥は、重要である。キトサンにおける低い水分含有量が最終製品に所望されるからである。ゆえに、乾燥は可能な限り完全に行うべきである。キトサンの乾燥温度は、しかしながら、約65℃を超えるべきではない。温度が高くなると、キトサンが白色から淡黄色に変化するからである。リターンシステム66’は、低温の乾燥機を通る2又は3以上の通過を提供することにより、キトサン乾燥プロセスを助ける。例えば、約37℃から約60℃〜65℃の温度で操作されてもよい。温度の上限は、特に温度変化が起こり得る場合は、キトサンの黄色化が起こらないことを保証するために、65℃より若干低くてもよい。それゆえ、上限は、例えば約60℃、61℃、62℃、63℃、若しくは64℃、又はより低い温度で維持されてもよい。
【0028】
リターンシステム66’の部品は、プライム記号の追加を除いては、リターンシステム66と同様に付番される。それらはリターンシステム66の部品と同様に機能するため、システム66’及びその機能の詳細な記載を提供する必要はない。エア輸送パイプ76’は、乾燥させたキトサンを、リターンシステム66’から包装システム112に移送する。そこでは、フレーク状のキトサンが発送用に適切に包装される。明らかに、包装されるかわりに、キトサンの一部又はすべては、パイプ76’により直接、使用又はさらなる処理のための他の製品ラインに運ばれてもよい。同様に明らかに、他の処理装置(図示せず)が図1又は図2の生成ラインに導入されてもよく、後述のように、キトサンの精製、挽砕等の、公知の方法による他の処理のために適切に配置される。
【0029】
図3、3A、及び3Bに関して、図1及び2の、スクリーンが備えられたタンクに特有である、生成タンク114が示される。生成タンク114は、タンク体116を備える。それは、(該タンク体に)取り付けられた、モーター118a(図3A及び3B)により作動される電動ミキサー118を有する。電動ミキサー118は、クレードル120により、タンク体116の上部に支持される。タンク体116は、複数の支柱122、124により支持される。スクリーン126はまた、クレードル120により保持され、スクリーン注入ライン128及びスクリーン排出ライン130を有する。それらは、注入ライン128を通ってスクリーン126にプロセスマテリアルを導入するために、及び排出ライン130を通ってスクリーンからの液体を排出させるために接続される。
【0030】
タンク体116は当然のごとく、鋼鉄又はガラス繊維といった適切なマテリアルにより作られ得る。上昇する温度で操作される生成タンクのために、図3、3A、及び3Bで示されるものと実質的に同様なタンク構造体が利用される。ただし、該タンクが、外部周囲に設けられた蒸気ジャケットを有し、タンク内に熱を維持するためにヒンジ付けされた蓋を備えられる(該蓋はタンク内部へのアクセスが許可される)ことを除く。タンク114の内容物は、タンク排出ライン132、ポンプ134、及びポンプ排出ライン136を通って、排出されてもよい。
【0031】
一般に、キトサン生成プロセスからの廃棄物処理の流れは、地域の排出条件を超える汚染に焦点をあわせている、同様の水性廃棄物の流れと同様の方法で行われる。廃水をより効率的に処理するために、前処理、前処理洗浄、脱タンパク質、脱タンパク質洗浄、及び脱アセチル化洗浄からの廃棄物の流れは、pHが約13(塩基性廃棄物)である単一の流れを作るよう、混合される。脱ミネラル及び脱ミネラル洗浄からの廃棄物の流れは、結合され、酸性廃棄物を作り出す。それは、後に塩基性廃棄物に加えられる。酸性廃棄物は、塩基性廃棄物に加えられ、水酸化カルシウム(Ca(OH))が溶液から凝集し、該廃水の全体のpHを約10に下げる結果となる。また、水酸化カルシウムを凝集させることにより、懸濁物質を取り込むことで、該廃水をきれいにできる。水酸化カルシウムの凝集物の除去により、廃水は半透明で淡黄色となり、その後、中和され、排水条件を満たすよう処理される。
【実施例】
【0032】
前述に記載の生成方法によるエビの殻由来のキトサンマテリアルについて、記載される。それにより、脱アセチル化の程度(後述の表1において“DDA”)、分子量、水分含有量、及び残存タンパク質及び灰含有量についての、マテリアルの特性が規定される。脱アセチル化の程度(“DDA”)は、pH指示薬としてメチルオレンジを用いる酸塩基滴定に基づき定められた(Broussignac P.Chim.Ind.Genie.Chim.1968,99:1241;Domszy J G,Roberts G A F.Makromol.Chem.1985,186:1671)。該マテリアルの分子量は、粘度測定に基づき(Wang W,Bo S,Li S,Qin W.Int J Biol Macromol,13:281−285,1991)、及び標準としてデキストランを用いたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により(Ratajska M,Wisniewska−Wrona M,Strobin G,Struszczyk H,Boryniec S,Ciechanska D.Fibers&Textiles in Eastern Europe,11:59−63,2003)、定められた。水分含有量は、ASTM F2103−01 Standard Guide for Characterization and Testing of Chitosan Salts as Starting Materials Intended for Use in Biomedical and Tissue−Engineering Medical Product Applicationsにより定められた。残存タンパク質含有量は、Pierce Biotechnology of Rockford,ILにより製造されたBCA Protein Assay Kitを利用するビシンコニン酸(“BCA”)アッセイにより定められた。残灰含有量は、CHITOSAN(Tingda Jiang,Chemical industry press,Beijing,China.2001,p108)に記載されるように、550℃での燃焼によって定められた。
【0033】
結果
前述に記載された方法により生成され、及び“サンプルA”に示される、キトサン生成物の分析の結果は、下記の表(表2は、GPC分子量分析の結果を含む)に示される。サンプルAは、44Kgのエビの殻を用いて行われる“ラージスケール”のキトサン生成運転により生成された。サンプルAは、一晩、前処理し、0.909MのHCl溶液中で1.25時間脱ミネラルし、洗浄し、平均温度72℃で一晩脱タンパク質し、洗浄し、平均温度111℃で50%のNaOH溶液中で3時間脱アセチル化し、洗浄し、65℃で乾燥した。得られたキトサンは、白色のフレークだった。サンプルAは、精製されず、又は粉に粉砕されなかった。値は、表で示されるように、測定されるサンプル数(n)の平均値±標準偏差として表現される。残存タンパク質含有量は、前述のBCAアッセイの検出限界以下であったことが示される。
【表1】

(1)脱アセチル化の程度は、除かれたアセチル基の数を、もともと存在するアセチル基の数で割ることにより得られる割合であり、100を乗じる。
(2)分子量(粘度−平均)の値。
【表2】

(3)分子量(重量平均)の値。
(4)分子量(数平均)の値。
(5)重量平均分子量の数平均分子量に対する比率。
【0034】
前述の生成方法により得られたキトサンの特性は、後述に要約される。前述に記載の生成方法は、医療グレードの品質としての保証が与えられるキトサンを生成することができるよう意図された。医療グレードの品質のキトサンの特性に関する基準は定められていないようではあるものの、薬剤グレードのキトサンに関する、インターネットから得られた情報は、表3の“値”項目以下に示されるマテリアルの特性は、医療グレードの品質のキトサンに典型的であることを示唆する。表2が示すように、サンプルAのキトサンについて報告された値は、医療グレードの品質のキトサンの必要条件を上回る。
【表3】

【0035】
前述に記載の生成方法により生成されたキトサンの上記の特性は、すべてのグレードのキトサンのための完璧な出発点としての役割を有する。それは、医療グレードに合致し、及び医療グレードを含むものである。前述に記載された生成工程に加えて、異物、重金属、ヒ素、水銀、鉛、及び微生物学的混入物質を除去するための精製工程が、該技術分野での公知の方法により行われてもよい。また、キトサン粉末(高いグレードのキトサンの一般的な形態と考えられる)を精製するための挽砕工程が行われてもよい。
【0036】
該プロセスにおけるすべての工程のタンク/スクリーン/ミキサーのアレンジメント(arrangement)を利用することで、エビの殻又は他のキトサン含有の生のマテリアルの1日あたりの量を実際上扱うよう、全体のプロセスを見積もることができる。設計者は、タンクのサイズを大きくする、又はエビの殻又は他のキトサン含有の生のマテリアルについて所望の処理速度を得るために、多様なラインを利用する選択肢を有する。各工程におけるマテリアルのロス率は、実験的に測定された。したがって、単一のバッチにおいて処理されるエビの殻の量を知ることで、設計者は、各工程における必要水量及び化学的必要条件ならびにタンクサイズを特定し得る。これらの値は、生成されるキトサンがバッチごとで一致するように、処理コンディション及びタイミングとともに処理コントロールシステムにプログラミングされ得る。
【0037】
前述に記載の基本的な4工程の生成方法は、少なくとも工業グレードを有する、一貫した高品質のキトサンを生成する。それは、公知の精製及び挽砕工程を付加することで、より高いグレードのキトサン生成に対する前駆体としての役割を有し得る。該生成方法は、処理されるエビの殻又は他のキトサン含有の生のマテリアルの量を知ることで、容易に見積もり可能である。該生成方法は、エビの殻の廃棄物又は他のキトサン含有の生のマテリアルが利用可能である、いかなる状況にも適合され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キチン源を脱ミネラルするのに十分な温度で及び脱ミネラル(時に、“DMIN”という)時間において、該キチン源をDMIN塩酸溶液に浸し、その後、該酸性溶液から脱ミネラルされたキチン源を分離し、塩酸及び生じたカルシウム塩を除去するのに十分なDMIN洗浄時間において、該キチン源をDMIN洗浄水中で洗浄し、その後、該DMIN洗浄水から脱ミネラルされたキチン源を分離することにより、自然に存在するキチン源が脱ミネラルされる工程と、
(b)脱ミネラルされたキチン源を脱タンパク質するのに十分な脱タンパク(時に、“DPRO”という)時間において及び温度で、DPRO水酸化ナトリウム溶液中で脱ミネラルされたキチン源を処理し、その後、該脱タンパク質水酸化ナトリウム溶液から脱ミネラル及び脱タンパク質されたキチン源を分離し、脱ミネラル及び脱タンパク質されたキチン源から水酸化ナトリウムを除去するのに十分なDPRO洗浄時間において、DPRO洗浄水中で分離され脱ミネラル及び脱タンパク質されたキチン源を洗浄し、その後脱タンパク質洗浄水から脱ミネラル及び脱タンパク質されたキチン源を分離することにより、脱ミネラルされたキチン源をDPROさせる工程と、
(c)工程(b)において得られた該キチン源から残存水を分離する工程と、
(d)工程(b)において得られた該キチン源を水酸化ナトリウム脱アセチル化(時に、“DEAC”という)溶液に浸し、工程(c)から得られた該キチン源のアセチル基をアミン基に変換し、キチンバイオポリマーのモノマーとしてのd−グルコサミンを有するキトサンバイオポリマーを形成するのに十分な温度で及びDEAC時間において、脱アセチル化を行い、その後、DEAC溶液から得られた該キトサンバイオポリマーを分離し、該キトサンポリマーから水酸化ナトリウムを除去するのに十分なDEAC洗浄時間において、DEAC洗浄水中で分離された該キトサンバイオポリマーを洗浄し、その後、DEAC洗浄水から該キトサンバイオポリマーを分離する工程と、
(e)残存水はその後、該キトサンバイオポリマーから分離される(該キトサンバイオポリマーはその後、医療グレードの品質のキトサンを提供するために、重量で約10%未満まで該キトサンバイオポリマーの水分含有量を低減させるのに十分な乾燥時間において、約65℃以下の温度で空気中で乾燥させる)工程と、
を含む、自然に存在するキチン源からのキトサン生成方法。
【請求項2】
工程(a)は、塩酸溶液が約0.5Mから約2Mであり、温度が約20℃から約30℃であり、DMIN時間が約0.5時間から約2時間であり、及びDMIN洗浄時間が約0.5時間から約2時間である、ことを含む条件下で行われ、
工程(b)は、水酸化ナトリウム溶液がNaOHを約1%w/wから約10%w/w含有し、DPRO温度が約60℃から約80℃であり、DPRO時間が約4時間から約24時間であり、及びDPRO洗浄時間が約0.5時間から約2時間である、ことを含む条件下で行われ、
工程(d)は、水酸化ナトリウム溶液がNaOHを約40%w/wから約50%w/w含有し、温度が約90℃から約110℃であり、DEAC洗浄時間が約1時間から約3時間である、ことを含む条件下で行われ、
工程(e)は、温度が約50℃から約65℃であり、乾燥時間が約2時間から約5時間である、ことを含む条件下で行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載の生成方法。
【請求項3】
工程(a)は、塩酸溶液が約0.9Mから約1.1Mであり、温度が約22℃から約26℃であり、DMIN時間が約0.75時間から約1.25時間であり、及びDMIN洗浄時間が約0.9時間から約1.1時間である、ことを含む条件下で行われ、
工程(b)は、水酸化ナトリウム溶液がNaOHを約4%w/wから約6%w/w含有し、温度が約70℃から約75℃であり、脱タンパク質時間が約4時間から約6時間であり、及びDPRO洗浄時間が約0.9時間から約1.1時間である、ことを含む条件下で行われ、
工程(d)は、水酸化ナトリウム溶液がNaOHを約45%w/wから約50%w/w含有し、温度が約100℃から約110℃であり、及び脱アセチル化洗浄時間が約0.9時間から約1.1時間である、ことを含む条件下で行われ、
工程(e)は、温度が約50℃から約60℃であり、乾燥時間が約2時間から約3時間である、ことを含む条件下で行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載の生成方法。
【請求項4】
該キチン源から非キチン質の有機マテリアルを除去するために、前処理(時に、“PTRT”という)時間において、ならびに時間及び温度の条件下で、低濃度のPTRT水酸化ナトリウム溶液で該キチン源を処理し、その後、前処理されたキチン源を該PTRT水酸化ナトリウム溶液から分離し、及び水酸化ナトリウムを除去するのに十分なPTRT洗浄時間において前処理されたキチン源を洗浄することによる、自然に存在するキチン源から非キチン質が豊富な有機マテリアルを除去するための、初期段階のPTRT工程をさらに含む請求項1に記載の生成方法。
【請求項5】
該PTRT水酸化ナトリウム溶液がNaOHを約1%w/vから約4%w/v含有する低濃度の前処理水酸化ナトリウム溶液を含み、該PTRT時間が約2時間から約24時間であり、温度が約20℃から約30℃であり、及び該PTRT洗浄時間が約0.5時間から約2時間である、ことを特徴とする請求項4に記載の生成方法。
【請求項6】
工程(a)の条件は、塩酸溶液が約0.9Mから約1.1Mであり、温度が約22℃から約26℃であり、脱ミネラル時間が約0.75時間から約1.25時間であり、及び洗浄時間が約0.9時間から約1.1時間であり、
工程(b)の条件は、水酸化ナトリウム溶液がNaOHを約4%w/vから約6%w/v含有し、温度が約70℃から約75℃であり、脱タンパク質時間が約4時間から約6時間であり、及び洗浄時間が約0.9時間から約1.1時間であり、
工程(d)の条件は、水酸化ナトリウム溶液がNaOHを約45%w/wから約50%w/w含有し、温度が約100℃から約110℃であり、及び脱アセチル化洗浄時間が約0.9時間から約1.1時間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の生成方法。
【請求項7】
該キチン源は海洋動物の外骨格を含む、ことを特徴とする請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の生成方法。
【請求項8】
自然に存在する該キチン源は甲殻類の殻を含む、ことを特徴とする請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の生成方法。
【請求項9】
該キチン源はエビの殻を含む、ことを特徴とする請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の生成方法。
【請求項10】
脱ミネラル工程(a)が脱タンパク質工程(b)の前に行われる、ことを特徴とする請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の生成方法。
【請求項11】
工程(e)より得られたキトサンポリマーがフレーク状であり、その後、粉末状に挽砕される、ことを特徴とする請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の生成方法。
【請求項12】
工程(a)のキチン源の少なくとも1より、及び工程(a)のキチン源の処理から得られたキチンマテリアルのいずれかより、異物、ヒ素、水銀、鉛、及び他の重金属、ならびに微生物学的混入物質を本質的に除去することからなる付加的な工程を、さらにもうひとつ含む、請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の生成方法。
【請求項13】
キトサン製品の白色化に向けられた付加的な生成工程を除く、請求項1、2、4又は5のいずれか1項に記載の生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2011−515541(P2011−515541A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500927(P2011−500927)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/037533
【国際公開番号】WO2009/117499
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510252830)アグラテック インターナショナル インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】