説明

キナクリドン法における芳香族多環式化合物の配合

【課題】 粒径が小さく、改善された色特性を有し、また改善されたレオロジー特性を有するキナクリドン顔料の製造法を提供する。
【解決手段】 キナクリドン合成の閉環工程において、また随時後のコンディショニング工程において、特定の芳香族多環式化合物および/またはその誘導体を加える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【本発明の分野】本発明は粒径が小さく、改善された色特性を有し、また改善されたレオロジー的性質を有するキナクリドン顔料の製造法に関する。キナクリドン合成の際に或る種の多環式化合物および/またはその誘導体を加えると、濃く、鮮やかで、透明感のあるマストーン(全体の色調、masstone)、増大した金属光沢、改善されたレオロジー的性質をもったキナクリドン顔料が得られる。
【0002】キナクリドンの製造法は公知であり、例えば「キナクリドン」と題するS.S.LabanaおよびL.L.LabanaのChemical Review誌67巻1〜18頁(1967年)の論文、および米国特許第3,157,658号、同第3,265,285号、および同第3,317,539号に記載されている。このようにして得られたキナクリドンは粗製キナクリドンとして知られており、一般に顔料に使用するには不適当であり、顔料としての品質を得るために粒径、粒子の形、または結晶構造を修正する一つまたはそれ以上の仕上げ工程を付け加えなければならない。
【0003】キナクリドンを製造する好適な方法は、ポリ燐酸の存在下において、2,5−ジアニリノテレフタル酸中間体、並びにそのアニリン部分にに置換基をもつ公知の誘導体の閉環を熱的に誘起させる方法である。例えば米国特許第3,257,405参照。閉環が完了した後、キナクリドンが実質的に不溶な過剰な液、通常は過剰な水および/またはアルコールの中に熔融物を注いで沈澱分離を起こさせる。得られた結晶の顔料を次に溶媒で処理するかまたは溶媒処理と混練とを組み合わせてコンディショニングする。
【0004】また閉環反応の原料として2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸を使用することができる。しかしこの場合は得られるジヒドロキナクリドンを酸化した後、コンディショニングする。
【0005】キナクリドン顔料の最終粒径は合成および後処理の両方に使用される方法で調節することができる。例えばキナクリドンは、粒径を減少させることにより透明性を高くすることができ、または粒径を増加させることにより不透明性を増すことができる。公知方法では、粒径は一般に過剰の液に加えて顔料を沈澱させる際、または粗製顔料の混練または溶媒処理の際に調節される。顔料の着色強度および透明度は溶媒処理によっても影響される。粗製顔料の粒径を調節する後処理工程はしばしばコンディショニング法と呼ばれている。
【0006】適当なコンディショニング法は幾つか知られている。しかし最も普通に使用される方法は、乾燥した粗製キナクリドンを混練する方法であるが、この場合一般に望ましくないほど大量の無機塩が使用され、後でこれを取り除かなければならない。顔料のキナクリドンはまた、先ず乾燥した粗製原料を予備混練した後、この混練した顔料を有機液体で処理することにより得ることもできる。他の方法としては、予備混練を行った後水および少量の有機液体を用いて他の混練を行う方法である。さらに顔料のキナクリドンは大量の溶媒中において粗製プレスケーキを熱処理することによっても得ることができる。混練、溶媒処理または溶媒による後処理工程中に種々の添加剤を加え、顔料の特性をさらに改善することができる。例えば米国特許第4,455,173号においては、粗製キナクリドン顔料を酸でペースト化するかボールミル処理を行い、次いで有機液体中で、好ましくは2−フタルイミドメチルキナクリドンの粒径成長抑制剤を存在させて混練する方法が記載されている。米国特許第5,084,100号には、硫酸アルミニウムおよびアルカンジカルボン酸の存在下において粗製キナクリドンにボールミル処理を行う方法が記載されている。
【0007】閉環工程において或る種のキナクリドン誘導体を加えることも報告されている。例えば米国特許第5,368,641号には、2,9−ジメチルキナクリドンの製造に種々のキナクリドン誘導体を使用することが記載されている。これとは対照的に、本発明では閉環工程においてキナクリドンではなく或る種々の芳香族多環式化合物を使用する。ヨーロッパ特許明細書643,110号には、ジヒドロキナクリドン(2,5−ジアニリノ−6.13−ジヒドロテレフタル酸から製造)を酸化してキナクリドンにする際キナクリドン誘導体を使用することが記載されている。これとは対照的に、本発明では添加剤としてキナクリドン以外の芳香族多環式化合物ばかりでなく、閉環工程において添加剤を使用する。
【0008】本発明に適した化合物はキナクリドンを含む種々の顔料を処理するのに有用であるとして記載されている(例えば英国特許2,058,813号)が、従来はこのような誘導体は十分に生成したキナクリドン顔料にだけ加えられていた。本発明方法はキナクリドン合成法の閉環工程中に顔料ではない芳香族多環式化合物を加えるという点において従来の方法とは異なっている。閉環工程において、また随時仕上げ工程中に添加すると、このような化合物は自動車の仕上げに特に望ましい所望の色特性をもったキナクリドン顔料を得ることができる。
【0009】本発明によれば、キナクリドン合成の閉環工程において、また随時後のコンディショニング工程において、或る種の芳香族多環式化合物および/またはその誘導体を加えることによって改善された挙動特性をもった粒径の小さいキナクリドンを得ることができる。キナクリドン合成(閉環)中沈澱させる前においてこのような化合物を加えると、透明性およびレオロジー的性質が改善され、且つ金属光沢が増加した濃く鮮やかな顔料が得られる。本発明方法は原理的には「酸ペースト化」工程を含むすべてのキナクリドン顔料製造法に適用できるが、キナクリドン固溶体の製造に使用される方法を含む閉環法に対し色特性に著しい改善が期待される。
【0010】
【本発明の総括】本発明は(a)(i)2,5−ジアニリノテレフタル酸、2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステル、あるいは少なくとも一つのアニリン環に1個またはそれ以上の置換基を有する2,5−ジアニリノテレフタル酸または2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステルの誘導体、あるいはこれらの混合物、(ii)成分(a)(i)1部当たり約3〜約15重量部(好ましくは3〜10重量部)の脱水剤(好ましくはポリ燐酸)、および(iii)成分(a)(i)に関し約0.1〜約15重量%(好ましくは1〜10重量%)の1種またはそれ以上の顔料でない(好ましくは無色または実質的に無色の)芳香族多環式化合物および/またはその誘導体(好ましくはアントラキノンまたはピレン誘導体)から成る反応混合物を80〜145℃(好ましくは100〜130℃)に(好ましくは約1〜約24時間)加熱し、但しこの際成分(a)(i)が2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステルまたはその誘導体である場合には反応工程(a)はさらに(最初に生成したジヒドロキナクリドン中間体を対応するキナクリドンに変える)酸化工程を含み;
(b)該反応混合物を、成分(a)(i)1部当たりのキナクリドン顔料が実質的に不溶な液約3〜約15重量部(好ましくは5〜10重量部)に加えることにより、工程(a)からの反応混合物を沈澱分離させ;
(c)キナクリドン顔料を単離し;
(d)随時(他の顔料でない芳香族多環式化合物および/またはその誘導体の存在下において)該キナクリドン顔料のコンディショニングを行い;
(e)随時該キナクリドン顔料を1種またはそれ以上のキナクリドン誘導体と配合(好ましくは乾式配合)することを特徴とするキナクリドン顔料の製造法に関する。
【0011】
【本発明の詳細な説明】本発明に従えば、キナクリドン顔料(この言葉は置換基をもたないキナクリドン、キナクリドン誘導体、およびそれらの固溶体を意味するものとする)は、先ずアニリン基に置換基をもつ公知の誘導体を含む2,5−ジアニリノテレフタル酸中間体を閉環させ、脱水剤(好ましくはポリ燐酸)および本発明の芳香族多環式化合物の存在下において該テレフタル酸中間体を加熱するか、或いはあまり好適ではないが、高沸点溶媒中において本発明の芳香族多環式化合物の存在下において閉環を熱的に誘起させることにより製造される。次いでこのキナクリドンを過剰の液に加えて沈澱分離させ、公知方法により分離する。好ましくはこのキナクリドン顔料をさらに他のコンディショニング工程で処理し、顔料としての性質を改善し、必要に応じ他のキナクリドン誘導体と配合する。
【0012】本発明方法は、2,5−ジアリニノテレフタル酸かまたは2個のアニリン環の少なくとも一つに1個またはそれ以上の置換基を有するその誘導体を用いるかに依存して、置換基をもたないキナクリドンまたは環に置換基をもったキナクリドン誘導体の製造に用いることができる。当業界に公知の実質的にすべての2,5−ジアリニノテレフタル酸誘導体を使用することができるが、特に好適な2,5−ジアリニノテレフタル酸誘導体は両方のアニリン部分がハロゲン(好ましくは塩素)、C1〜C6アルキル(好ましくはメチル)、およびC1〜C6アルコキシ(好ましくはメトキシ)のような基(典型的には同じ置換基)がパラの位置に置換しているものである。また両方のアニリン部分がオルトおよびメタの位置で置換されている2,5−ジアリニノテレフタル酸誘導体を使用することもできる。適当な2,5−ジアリニノテレフタル誘導体の例としては、2,5−ジ(4−クロロアニリノ)テレフタル酸、2,5−ジ(4−メチルアニリノ)テレフタル酸、2,5−ジ(4−メトキシアニリノ)テレフタル酸が含まれる。
【0013】2,5−ジアリニノテレフタル酸およびその1種またはそれ以上の誘導体を含む混合物、或いは2種またはそれ以上の2,5−ジアリニノテレフタル酸誘導体を含む混合物も使用することができる。このような混合物を使用する方法はキナクリドンの固溶体を得るのに特に有利な方法である。2,5−ジアリニノテレフタル酸および/またはその誘導体を十分に生成したキナクリドン顔料(一般には粗製の形)と組み合わせた混合物もしばしば使用される。
【0014】閉環工程(a)は脱水剤、特に強酸、例えばポリ燐酸、ポリ燐酸のエステル、または硫酸の中で行われる。例えば米国特許第4,758,665号、および「キナクリドン」と題するS.S.LabanaおよびL.L.LabanaのChemical Review誌67巻1〜18頁(1967年)の論文参照。燐酸基含量が約110〜120%H3PO4に相当するポリ燐酸が特に好適である。ポリ燐酸を使用する場合、ポリ燐酸対テレフタル酸中間体の比は典型的には約3:2〜約10:1(好ましくは4:1〜8:1)である。この比が低いと極めて粘稠な反応生成物の塊が生じるが、コストの観点から見れば一般に好適でる。
【0015】閉環反応の原料として2,5−ジアリニノ−6、13−ジヒドロテレフタル酸エステル(好ましくはC1〜C6−アルキルエステル)またはその誘導体を使用することがしばしば好適であるが、この場合は得られたジヒドロキナクリドンを後で酸化して捕集しなければならない。本発明方法はまたこのようなキナクリドン合成法の変形法にも適用することができる。勿論2,5−ジアリニノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステルおよび/またはその誘導体の混合物を用いてキナクリドン固溶体を得ることも可能である。
【0016】本発明の重要な特徴は閉環反応の際に顔料でない芳香族多環式化合物を存在させることである。本明細書に使用される「顔料でない」という言葉は、その化合物が高度には着色しておらず、一緒に使用されるキナクリドン顔料に比べて良好な顔料特性をもっていないことを意味する。即ち適当な顔料でない芳香族多環式化合物はそれ自身では顔料としての実用性をもっていない。適当な顔料でない芳香族多環式化合物は無色かまたは実質的に無色である。「実質的に無色」という言葉は、その芳香族多環式化合物が可視領域において絶対的に色をもっていないことを意味するものではなく、該芳香族多環式化合物が一緒に使用するキナクリドン顔料に比べてあまり着色してはいないことを意味するだけである。例えば好適な実質的に無色の芳香族多環式化合物は一緒に使用するキナクリドン顔料に比べてモル吸収率が小さい(好ましくは少なくとも一桁小さい)であろう。
【0017】好適な芳香族多環式化合物は式(I)
Q(A−Y)n (I)
をもつ化合物を含んでいる。ここでQは芳香族多環式部分を表し;Aは−O−、−S−、−NRa−(ここでRaは水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C6〜C10アリール、またはC7〜C16アラルキル)、−SO2−、−CO−、−Alk−(ここで−Alk−はC1〜C8アルキレン、チカンシタC1〜C8アルキレン、C5〜C7シクロアルキレン、または置換したC5〜C7シクロアルキレン)、または−Ar−(ここで−Ar−はC6〜C10アリーレンまたは置換したC6〜C10アリーレン)架橋基、このような架橋基の化学的に有意な組み合わせ、またはQとYとの間の直接結合(好ましくは−SO2−NH−Alk−、−CO−NH−Alk−、−Alk−または直接結合)であり;Yは水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル、C6〜C10アリール、5〜6員環のヘテロアリール(ここでこのような環の少なくとも一つの原子はN、O、Sまたはこれらの組み合わせであり、随時1個またはそれ以上の他の芳香環に融合している)、C7〜C16アラルキル、ORb(ここでRbは水素、金属またはC1〜C12アルキル)、−NRcd(ここでRcおよびRdは独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C6〜C10アリールまたはC7〜C16アラルキルであるか、またはRcとRdとは一緒になって複素環基をつくるC4〜C6アルキレンを表すか、またはイミドをつくる脂肪族または芳香族のジカルボニル基を表し、またRcとRdとは随時さらにN、OまたはSのようなヘテロ原子を含んでいることができ、さらに随時C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル、C5〜C7シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリーロキシ、C7〜C16アラルキル、C7〜C16アラルコキシ、−OH、ハロゲン、−CN、カルボキシ−CO−NRcdまたは−SO2−NRcdで置換されていることができる)、またはハロゲンであり;nは約0.01〜約4である。nが分数値をもっていることは該芳香族多環式化合物が置換基をもたない芳香族多環式化合物(即ちQH)を含む種々の置換度をもった化合物の混合物として使用できることを意味している。1個またはそれ以上の−A−Y−基が存在する場合には、種々のAおよびY基は勿論同一であるか互いに異なっていることができる。芳香族部分Qは環の原子の少なくと一つがN、O、Sまたはその組み合わせであるような化合物を含む実質的に任意の種類の顔料でない芳香族多環式化合物、例えばアントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、インドール、チアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、アクリドン、アントラキノン、フェノチアジン、キナゾリン、カルバゾール、ベンズアントロン、およびペリレンから誘導することができる。芳香族多環式部分自身は−A−Y−基以外の置換基、例えばハロゲン(好ましくは塩素)、C1〜C6アルキル(好ましくはメチル)、C1〜C6アルコキシ(好ましくはメトキシ)、C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリーロキシ、C7〜C16アラルキル、C7〜C16アラルコキシ、アミノアルキル、ニトロ、およびシアノを1個またはそれ以上含んでいることができる。特に好適な芳香族多環式化合物はアントラキノンまたはその誘導体(特にモノ−およびジスルフォン酸塩)またはピレンまたはその誘導体(特にテトラスルフォン酸塩)を含んでいる。
【0018】本明細書において「C1〜C12アルキル」という言葉は、炭素数112の直鎖または分岐した炭素鎖をもつ脂肪族炭化水素を意味する。C1〜C12アルキルの例としは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルに、デシル、ウンデシル、ドデシル、およびそれらの異性体がある。「C1〜C12アルコキシ」という言葉は、炭素数1〜12の直鎖または分岐したアルキルオキシ基を意味する。C1〜C12アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチロキシ、ヘキシロキシ、ヘプチロキシ、オクチロキシ、ノニロキシ、デシロキシ、ウンデシロキシ、ドデシロキシ、およびそれらの異性体がある。「C2〜C12アルケニル」という言葉は、炭素数が1〜12で炭素−炭素間二重結合が1個存在する直鎖または分岐した不飽和脂肪族炭化水素を意味する。C2〜C12アルケニルの例にはエテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、およびそれらの異性体がある。「C5〜C7シクロアルキル」という言葉は、炭素数5〜7の脂環式炭化水素を意味する。C5〜C7シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルがある。「C5〜C7シクロアルコキシ」という言葉は、炭素数5〜7のシクロアルキルオキシ基を意味する。C5〜C7シクロアルコキシの例には、シクロペンチロキシ、シクロヘキシロキシおよびシクロヘプチロキシがある。「C5〜C7シクロアルケニル」という言葉は、炭素数か5〜7で炭素−炭素間二重結合が1個存在する脂環式炭化水素を意味する。C5〜C7シクロアルケニルの例にはシクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘプテニルがある。「C6〜C10アリール」という言葉は、フェニル、および1−または2−ナフチル、並びにアルキル、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロで置換されたフェニルおよびナフチル基を意味する。「C6〜C10アリーロキシ」という言葉は、アリール部分が随時上記「アリール」のところで定義した置換基で置換されているフェノキシおよび1−2−ナフトキシを意味する。「ヘテロアリール」という言葉は、環の原子の少なくとも一つがN、O、Sまたはその組み合わせであり、随時1個またはそれ以上の他の芳香環に融合している5−または6員環の芳香族基を意味する。このようなヘテロアリール基は環の炭素の所か、または化学的に有意な場合には環の窒素原子の所で基Aに結合している。ヘテロアリールの例はピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、チオフェニル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル等である。「C7〜C16アラルキル」という言葉は、炭素数が全部で7〜16のC6〜C10アリールで置換されたC1〜C6アルキルを意味する。C7〜C16アラルキルの例はベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルである。「C7〜C16アラルコキシ」という言葉は、全炭素数が716のC6〜C10アリールで置換されたC1〜C6アルコキシを意味する。C7〜C16アラルコキシの例はベンジリオキシである。「C1〜C8アルキレン」という言葉は、炭素数が1〜8の直鎖または分岐した二官能性の脂肪族炭化水素を意味する。C1〜C8アルキレンの例はメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、およびオクチレン、並びにそれらの分岐異性体である。関連した「C4〜C6アルキレン」という言葉は、炭素数が4〜6で、複素環をつくるように2個の異なった炭素原子を介してアミドの窒素原子に結合した直鎖または分岐した二官能性の脂肪族炭素原子基を意味する。C〜Cアルキレンの例は随時メチル基が置換したブチレン(ピロリジノ置換基を形成)およびペンチレン(ピペリジノ置換基を形成)である。「C〜Cシクロアルキレン」という言葉は、炭素数が5〜7の二官能性脂環式炭素原子基を意味する。C〜Cシクロアルキレンの例はシクロペンチレン、シクロヘキシレン、およびシクロヘプチレンである。「C〜Cアリーレン」という言葉は、アリール部分が随時上記「アリール」の所で定義された置換基で置換され得るフェニレンおよび二官能性ナフチレンを意味する。ハロゲンの例はフッ素、塩素、臭素およびヨードである。
【0019】特に好適な芳香族多環式化合物は下記式(II)
Q(SO2−ORbn (II)
を有するスルフォン酸である。ここでQは芳香族多環式化合物を表し;Rbは水素または金属;nは約0.01から約4である。一般式(I)と同様に、nに対する分数値はこの誘導体が置換基をもたない芳香族多環式化合物の混合物を含む混合物として使用できることを意味する。適当な金属にはアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、およびカリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム、カルシウムおよびバリウム)、アルミニウム、遷移金属、および他の重金属(例えばニッケル、鉄、コバルト、マンガン、銅および錫)が含まれる。式(II)のスルフォン酸および塩の中の顔料部分Qは式(I)の化合物に対する上記のものと同じであることができるが、好ましくはアントラキノンおよびピレンである。
【0020】適当な芳香族多環式化合物は下記式(III)
Q(SO2−NH−Alk−NRcdn (III)
をもつスルフィンアミドを含んでいる。ここでQはハロゲンの芳香族多環式化合物を表し;AlkはC1〜C8アルキレンまたはC5〜C7シクロアルキレンであり;RcおよびRdは独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C6〜C10アリール、またはC7〜C16アラルキルであるか、RcおよびRdは一緒になって複素環基をつくるC4〜C6アルキレン基を表し;nは約0.01〜約4である。RcおよびRdはまたN、O,またはSのようなヘテロ原子を含むことができる。一般式(I)と同様にnに対する分数値はこの誘導体を未置換の芳香族多環式化合物を含む混合物を含有する混合物として使用できることを意味する。式(III)のスルフォンアミド中に存在する芳香族部分Qは式(II)の化合物に対して上記に記載したものと同じであることができる。
【0021】本発明の芳香族多環式化合物は閉環工程(a)の途中またはその前の任意の点で加えることができる。例えば2,5−ジアニリノテレフタル酸中間体の製造の際に、芳香族多環式化合物をそれが反応条件に対して安定なかぎり加えることができる。
【0022】工程(a)の反応混合物を温度約80〜約145℃(好ましくは100〜130℃)において好ましくは約1〜24時間(さらに好ましくは1〜12時間)の間加熱する。
【0023】閉環工程(a)が完了した後、強い酸性の熔融物をキナクリドン顔料が実質的に不溶な液体、好ましくは水、水と混合する溶媒(例えばメタノール、または他の低級脂肪族アルコール)、またはそれらの混合物に加えることにより工程(b)においてキナクリドン顔料を沈澱させる(即ち「溺れさせる」、沈澱分離を行う、drowned)。この過剰量の液を酸性の熔融物に加えることもできる(例えば米国特許第3,265,699号)が、本発明は産生の熔融物を溶媒に加えることにより行うことが好ましい (米国特許第4,100,162号参照)。
【0024】過剰量使用する適当な液には水および/または水と混合する有機液体、例えば低級脂肪族アルコール、例えばメタノール;ケトンおよびケトアルコール、例えばアセトン、メチルエチルケトン、およびジアセトンアルコール:アミド、例えばジメチルフォルムアミドおよびジメチルアセトアミド;エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびジオキサン;アルキレングリコールおよびトリオール、例えばエチレングリコールおよびグリセリン;および当業界に公知の他の有機液体が含まれる。他の有機液体も使用することもできるが、一般にあまり好適ではない。
【0025】沈澱分離に使用する液体の温度は通常約5〜約65℃の間である。一般に沈澱分離の温度が低い方が粒径の小さい顔料が得られる。しかし工程のサイクル時間も非常に重要である(製造コストのため)から、過剰量の液を加える時間は短い方が好ましい 部分的に粒径生長抑制剤として作用する芳香族多環式化合物(a)(iii)が存在すると、過剰量の液を加える工程中に溶媒の温度を上げることができるので、粒径が過剰に生長することなく時間を短くすることができる。
【0026】過剰量の液を加える工程において芳香族多環式化合物の一部を含ませることができるが、あまり好適ではない。
【0027】過剰量の液を加えて沈澱させた顔料を次に濾過のような当業界に公知の方法を用いて工程(c)で分離し、次いで必要に応じ乾燥する。当業界に公知の他の捕集方法、例えば遠心分離または単なるデカンテーションも適している。
【0028】工程(c)で得られた結晶の顔料を、当業界に公知の方法、例えば溶媒処理または溶媒処理と組み合わせた混練を用い、随意的な工程(d)においてコンディショニングを行う。顔料の最終粒径は後処理の方法を変えることによりコントロールすることができる。例えば粒径を小さくすることにより顔料の透明度は増加し、粒径を大きくすることにより一層不透明にすることができる。適当な混練法には乾式混練法、例えば添加物を加えまたは加えないサンド・ミル、ボールミル等を用いる方法、または湿式混練法、例えば添加物を加えまたは加えないで水または有機溶媒中で行う塩捏和法、ビーズ・ミル法等がある。一般にあまり好適ではないが、コンディショニング工程(d)において芳香族多環式化合物の一部(好ましくは非キナクリドン顔料の全量の50%より少ない量)を含ませることもできる。
【0029】適当な溶媒中においてしばしば添加剤を存在させ顔料の分散液を加熱することにより行われる溶媒処理によっても顔料の着色力および透明度が影響を受ける。適当な溶媒には有機溶媒、例えばアルコール、エステル、ケトン、および脂肪族並びに芳香族の炭化水素およびその誘導体、および無機溶媒、例えば水が含まれる。適当な添加剤にはフロッキュレーションを減少させるかこれを防止し、顔料の分散安定性を増加させ、被覆粘度を減少させる組成物、例えば重合体分散剤(または表面活性剤)が含まれる。例えば米国特許第4,455,173号、同第4,758,665号、同第4,844,742号、同第4,895,948号および同第4,895,949号参照。
【0030】顔料を分離し随時コンディショニングを行った後、顔料を当業界に公知の1種またはそれ以上のキナクリドン誘導体と配合する(好ましくは乾式配合により)ことができる。工程(e)の適当なキナクリドン誘導体は上記式(I)、(II)および(III)の化合物と同様なキナクリドンスルフォン酸およびスルフォンアミドを含んでいるが、この場合Qはキナクリドン部分を表す。
【0031】従来公知の方法に比べ本発明方法で製造された顔料は濃く(暗く)鮮やかなマストーンを有し、透明度およびレオロジー的性質並びに金属光沢が改善されていることを特徴としている。これらの特性はすべて、特に自動車工業に応用した場合、キナクリドン顔料の極めて望ましい特性である。
【0032】その光安定性および移動特性のために、本発明方法で製造されたキナクリドン顔料は種々の多くの顔料の用途に適している。例えば本発明方法でせいぞうされた顔料は極めて長持ちする顔料混入系、例えば他の材料との混合物、顔料組成物、ペイント、印刷インク、着色紙、または着色された高分子材料に対する着色剤(または1種またはそれ以上の着色剤)として使用することができる。「他の材料との混合物」という言葉は、例えば二酸化チタン(ルチル)またはセメントのような無機白色顔料、または他の無機顔料との混合物を含むものとする。顔料組成物の例には有機液体またはペーストとのフラッシュ・ペーストおよび水、分散剤および必要に応じ防腐剤との分散物が含まれる。本発明の顔料を使用できるペイントの例には、例えば物理的にまたは酸化的に乾燥するラッカー、焼成エナメル、反応性ペイント、二成分ペイント、溶媒または水をベースにしたペイント、防水被膜のための乳化ペイント、および水性塗料が含まれる。印刷インキには紙、織物、およびブリキ印刷に使用されるものが含まれる。高分子物質には天然産のもの、例えばゴム;化学的変性を行ったもの、例えばアセチルセルロース、セルロースブチレート、またはビスコース;または合成品、例えば重合体、付加重合製品、および縮重合製品が含まれる。合成によりつくられる高分子物質の例はプラスチックス材料、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、およびポリプロピオン酸ビニル;ポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン;高分子量ポリアミド;アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエンまたはスチレンの重合体および共重合体;ポリウレタン;およびポリカーボネートを含んでいる。本発明のキナクリドン顔料を用いて着色された材料は任意所望の形をとることができる。
【0033】本発明で製造された顔料は耐水性、耐油性、耐酸性、耐石灰性、耐アルカリ性、耐溶媒性が極めて高く、また過剰塗装に対する耐性、過剰噴霧に対する耐性、昇華耐性、耐熱性、および加硫耐性も極めて高く、しかも良好な着色収率を与え、容易に分散させる(例えばプラスチックス中に)ことができる。
【0034】下記実施例により本発明方法の詳細点を例示する。本発明は上記の説明により限定されるものではなく、またこれらの実施例によってその精神または範囲が限定されるものでもない。当業界の専門家は下記の方法の条件を公知の方法で変形し得ることは容易に理解できよう。特記しない限りすべての温度は摂氏温度であり、すべての割合は重量による。
【0035】
【実施例】下記実施例に従ってつくられた顔料を、Zeiss EM 109装置を使用し透過型の電子顕微鏡により分析した。データを下記の条件で集めた。
【0036】加速電圧: 80kV。
【0037】倍率: 100,000倍、40,000倍、および1,000倍。
【0038】粒径のデータはBET法(即ちSt.Brunauer、P.H.Emmett,およびE.Teller、J.Amer.Chem.Soc.誌、60巻309頁(1938年)の論文記載の方法)によって得た。
【0039】本発明により製造された顔料のX線回折パターンはSiemens D−5000分光器を使用して得た。下記の条件によりデータを集めた。
【0040】出力: 50kV、40mA。
【0041】スリット: ダイヴァージェンス(divergence)1.0mm、アンチスキャッター(antiscatter)1.0mm、検出器0.1mm。
【0042】ステップ・サイズ: 0.01°。
【0043】ステップ時間: 3秒。
【0044】色相および彩度の差はAppied Color System Spectral Sensor(米国ヴァージニア州FairfaxのHunt Associated Laboratoies製)を用いて測定した。
【0045】溶媒をベースにしたペイントの試験溶媒をベースにしたペイントの試験は一般的なアルキッド・メラミン・ペイント・システムを使用して行った。AROPLAZ(商標)1453−X−50アルキッド樹脂(Reichhold Chenicals,Inc)33%、キシレン63%、および顔料4%を使用し、顔料対接合剤の比を4:33、全固体分含量を37%にし、顔料の分散物をつくった。AROPLAZ(商標)1453−X−50アルキッド・メラミン樹脂を2.3%、RESIMENE(商標)717メラミン樹脂(Monsanto Company)6.5%を加え、全固体分含量を40%にして顔料対接合剤の比を1:10に減少させた。マストーンおよび透明度は湿ったフィルムの厚さが152μmおよび38μmで被覆したフィルムを用い、室温で30分間、121℃で30分間気流乾燥を行って測定した。
【0046】顔料対接合剤の比が4:33の上記分散物から、これにAROPLAZ(商標)1453−X−50アルキッド樹脂30%、キシレン20%、NUOSPERSE(商標)657(Huels America)5%、およびTI−PURE(商標)R−960 TiO2顔料(DuPont)50%からつくられた分散物31%;AROPLAZ(商標)1453−X−50アルキッド樹脂21%;およびRESIMENE(商標)717メラミン樹脂7%を加え、顔料対接合剤の比を1:2、全固体分含量を50%、TiO2対顔料の比を90:10にして底色(undertone)の種ペイントをつくった。湿ったフィルムの厚さ76μmで被覆したフィルムを用い、室温で30分間、121℃で30分間気流乾燥を行って色の測定を行った。
【0047】顔料対接合剤の比4:33の上記分散物から、アルミニウム・ペースト(Silberline Manufacturring Co.,Incから5251ARとして市販されている)およびRESIMENE(商標)717メラミン樹脂を顔料対接合剤の比が1:9、アルミニウム対顔料の比が20:80、全固体分顔料が41%になるような量で用いて金属ペイントをつくった。湿ったフィルムの厚さ76μmで被覆したフィルムを用い、室温で30分間、121℃で30分間気流乾燥を行って色の測定を行った。
【0048】水をベースにしたペイントの試験水をベースにしたペイントの試験は耐水性基質被膜/耐溶媒性澄明被膜システムを用いて行った。AROLON(商標)559−G4−70アクリル樹脂(Reichhold Chemicals,Inc)12.4%、SOLSPERSE(商標)27000超分散剤(Zenaca,Inc)3.2%、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(Angus Chemical)1.6%、および顔料18%を用い、顔料対接合剤の比が18:12、全固体分含量が30%になるようにして水性分散物をつくった。次にさらにAROLON(商標)559−G4−70アクリル樹脂(全重量26%)およびCYMEL(商標)325メラミン/フォルムアルデヒド樹脂(Cytec Industry)を25%加え、全固体分含量を50%にして顔料対接合剤の比を10:40に減少させた。湿ったフィルムの厚さをそれぞれ76μmおよび38μmになるようにして被覆したフィルムを用い、室温で15分間、100℃で5分間放置してマストーンおよび透明度の測定を行った。AROLON(商標)1435−X−50アルキッド樹脂80%およびCYMEL(商標)325メラミン/フォルムアルデヒド樹脂20%の混合物を全固体分含量57%で含む澄明な被膜を湿ったフィルムの厚さを76μmにして基質の上に被覆し、室温で15分間、121℃で15分間放置する。
【0049】顔料対接合剤の比が10:40の上記希釈した水性分散物から、これにさらにAROLON(商標)559−G4−70アクリル樹脂、CYMEL(商標)325メラミン/フォルムアルデヒド樹脂、およびTINT−AYD(商標)CW−5003白色分散物(Daniel Products Company)35%を加え、顔料対接合剤の比が1:1.1、全固体分含量55%、TiO2対顔料の比が90:10になるようにして底色の種ペイントをつくった。湿ったフィルムの厚さを38μmにして被覆したフィルムを用い、室温で15分間、100℃で5分間放置して色の測定を行った。次いで澄明な被膜を被覆し、上記のようにして焼き付けた。
【0050】顔料対接合剤の比が18:12の上記分散物から、水に分散させ得るアルミニウム顔料(Silberline Manufacturing Co.,IncからHYDRO PASTE(商標)8726として市販)、AROLON(商標)559−G4−70アクリル樹脂、およびCYMEL(商標)325メラミン/フォルムアルデヒド樹脂を、顔料対接合剤の比1:2、アルミニウム対顔料の比20:80、全固体分含量43%になるような量で用いて金属ペイントをつくった。湿ったフィルムの厚さを38μmにして被覆したフィルムを用い、上記の方法で焼き付けて色の測定を行った。次いで澄明な被膜を被覆し、上記のようにして焼き付けた。
【0051】プラスチックスの分散性の試験ポリ塩化ビニル(「PVC」)中における顔料の分散性は、下記の方法により高温混練および低温混練における発色を比較することにより評価した。試験した各試料に対し、可撓性PVC50gをニップの厚さ25ミル(約0.6mm)の高温(155℃)二ロール・ミルに加え、均一になるまで捏ね合わせた。試験顔料または対照顔料0.050gを約10秒間ニップの上に振り掛け、捏ね合わせた材料を切断し、5分間ミルの上でロール掛けする。次いで顔料を加えたシートをミルから取り出し、きれいな平らな表面上に載せて冷却する。得られたシートから切断し室温に冷却した片を「高温混練」試料として評価に使用する。なお熱いうちに同じシートから切り取った試料を冷たい(24℃)ニップの厚さが21ミル(約0.5mm)の二ロール・ミルの上に載せ、折り畳んでミルに7回通す。冷間ロール掛けしたシートを再び平滑になるまで高温混練機中で捏ね合わせる。得られたシートから切り取った試料片を用いて「低温混練」試料の評価を行う。発色の程度は高温混練および低温混練をした場合の発色の差に基づき、1〜5の尺度で評価した。この場合1は分散性が悪い(発色の程度に著しい差がある)ことを示し、5は優れた分散性(発色の差が実質的に存在しない)を示している。
【0052】実施例 1閉環反応において2,9−ジメチルキナクリドンに関し10重量%のアントラキノンを混入し、本発明に従って顔料の2,9−ジメチルキナクリドンを製造した。
【0053】88℃に加熱した300gのポリ燐酸(燐酸112%)に6.8gのアントラキノンを加え、次いで68.2gの2,5−ジ(4−メチルアニリノ)テレフタル酸を35分間に亙って加え、添加速度を調節して温度を120℃より低い温度に保つ。この混合物を2時間123℃に加熱する。熔融物を93℃に冷却した後、これを494gのメタノール中にゆっくりと注ぎ、外部から冷却し且つ熔融物の添加速度を調節して64℃よりも低い温度に保つ。このスラリを1時間加熱還流させ、60℃より低い温度に冷却し、水で希釈し、濾過し、酸がなくなるまで洗滌する。得られたプレスケーキを再び水中にスラリ化する。pHを7より高い値に調節し、50%水酸化ナトリウム5.5gを加え、得られたスラリを1時間90℃に加熱する。このスラリを冷却して瀘過し、アルカリがなくなるまで水洗した後、再び水中でスラリ化する。pHを9.5に調節した後、閉鎖系(例えば加圧反応器)の中でスラリを143℃に2時間加熱し、40℃に冷却する。スラリを酸性化してpHを3.3にし、陰イオン表面活性剤2.2g、石油溜出物30g、および水80gの乳化物を加え、スラリを3時間撹拌する。濾過して固体成分を捕集し水洗する。湿ったケーキは乾燥して特定の用途に使用する。湿ったケーキを炉中で60℃において乾燥し、マゼンタ色の顔料として約60℃の2,9−ジメチルキナクリドンを得た。
【0054】QUINDO(商標)Magenta RV−6832(Bayer Corporationから入手可能)と比較した場合、上記のようにして製造した水をベースとするペイントは改善されたレオロジー特性を有する。
【0055】実施例 2実施例1と全く同様にして顔料の2,9−ジメチルキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関して5重量%のアントラキノンを使用した。PVC中の分散性が良好なマゼンタ色の顔料として2,9−ジメチルキナクリドン(59g)を得た。
【0056】
PVC中の分散性 試験試料 分散性 実施例2 2 QUINDO(商標)Magenta RV−6832 1〜2実施例 3実施例1と全く同様にして顔料の2,9−ジメチルキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し10重量%のアントラキノン−2−スルフォン酸ナトリウム塩一水和物を使用した。マゼンタ色の顔料として2,9−ジメチルキナクリドン(56g)を得た。
【0057】上記方法で製造されたアルキッド・メラミン・エナメル・ペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、濃く、鮮やかで透明性の高いマストーンを示した。
【0058】上記方法でつくった水をベースにしたペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、透明性が改善され金属光沢が増加した濃く、鮮やかなマストーンを示した。
【0059】実施例 4実施例1と全く同様にして顔料の2,9−ジメチルキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し10重量%のアントラキノン−2,6−ジスルフォン酸二ナトリウム塩を使用した。マゼンタ色の顔料として2,9−ジメチルキナクリドン(58g)を得た。
【0060】上記方法でつくった水をベースにしたペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、透明性が改善された鮮やかなマストーンを示した。
【0061】実施例 5実施例1と全く同様にして顔料の2,9−ジメチルキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し10重量%のアントラキノン対フタルイミドメチルアントラキノンの比が約9:1のアントラキノンとフタルイミドメチルアントラキノン(米国特許第3,275,637号方法により製造)の混合物を用いた。マゼンタ色の顔料として2,9−ジメチルキナクリドン(54g)を得た。
【0062】上記方法で製造されたアルキッド・メラミン・エナメル・ペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、濃く、鮮やかで透明性の高いマストーンを示し、低い粘度をもっていた。
【0063】上記方法でつくった水をベースにしたペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、透明性が改善され金属光沢が増加した濃い鮮やかなマストーンを示した。
【0064】実施例 6実施例1と全く同様にして顔料の2,9−ジメチルキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し10重量%のアントラキノン−2−スルフォン酸ナトリウム塩一水和物を使用し、次いでコンディショニング工程の後に9%のN,N−ジメチルアミノプロピルキナクリドンスルフォンアミドと乾式混合した。マゼンタ色の顔料として2,9−ジメチルキナクリドンを得た。
【0065】上記方法で製造されたアルキッド・メラミン・エナメル・ペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、濃く、鮮やかで透明性の高いマストーンを示し、低い粘度をもっていた。
【0066】上記方法でつくった水をベースにしたペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、透明性が改善され強い金属光沢をもった濃い鮮やかなマストーンを示し、低い粘度をもっていた。
【0067】実施例 7実施例1と全く同様にして顔料の2,9−ジメチルキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し10重量%のアントラキノンナトリウム塩一水和物を使用し、次いでコンディショニング工程の後9%のフタルイミドメチルアントラキノンスルフオン酸(米国特許第3,275,637号方法により製造)を乾式混合した。マゼンタ色の顔料として2,9−ジメチルキナクリドンを得た。
【0068】上記方法で製造されたアルキッド・メラミン・エナメル・ペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、濃く、鮮やかで透明性が改善されたマストーンを示した。
【0069】上記方法でつくった水をベースにしたペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、濃い鮮やかで透明性の高いマストーンを示し、強い金属光沢をもっていた。
【0070】実施例 8実施例1と全く同様にして顔料の2,9−ジメチルキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し2重量%のN,N−ジメチルアミノプロピルピレンテトラスルフォンアミドを使用した。マゼンタ色の顔料として2,9−ジメチルキナクリドン(56g)を得た。
【0071】このN,N−ジメチルアミノプロピルピレンテトラスルフォンアミドは下記方法でつくった。ピレンテトラスルフォン酸(ドイツ、Bayer AGから市販)20gに78gの塩化チオニルを30分間に亙って加え、その後周囲温度において1.5時間の間この混合物を激しく撹拌し、30分間還流させる。この混合物を室温に冷却した後、30.2gのジメチルフォルムアミドを加え、この混合物を30分間加熱還流させる。加熱を止め、さらに30gの塩化チオニルを加える。この混合物を加熱還流させ、2時間還流下に保ち、撹拌しながら室温に冷却し、撹拌した氷水500mlの中で沈澱分離させる。得られた塩化ピレンテトラスルフォニルを17.4g(理論値の89%)のプレスケーキとして捕集した。この塩化ピレンテトラスルフォニル5.0gを温度を30℃より低く保たれた4.5gの3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、4.5gのトリエチルアミンおよび50mlのアセトンの溶液に加える。室温で撹拌しながら反応を行い、瀘過して100mlのアセトンで洗滌して2.7gのN,N−ジメチルアミノプロピルピレンテトラスルフォンアミドを得た。
【0072】実施例8の顔料を用い上記方法でつくった水をベースにしたペイントはQUINDO(商標)Magenta RV−6832を用いてつくったペイントに比べ、透明性が改善された濃く鮮やかなマストーンを示した。
【0073】実施例 9閉環反応においてキナクリドンに関し約10重量%のピレンテトラスルフォン酸四ナトリウム塩を混入して顔料のキナクリドンをつくった。
【0074】90℃に加熱した300gのポリ燐酸(燐酸117%)にピレンテトラスルフォン酸四ナトリウム塩(Justus Liebigs Ann. Chem.誌540巻189〜210頁(1939年)記載の方法で製造)6.8gを加えた後、68.2gの2,5−ジアニリノテレフタル酸を加える。この混合物を120〜125℃に2時間加熱する。この熔融物を88℃に冷却した後、燐酸を滴下して酸度を112%に調節する。得られた熔融物を24℃において453gのメタノール中にゆっくりと注ぐ。沈澱分離させる間外部からの冷却によりコントロールし、また熔融物の添加速度を調節して温度を55℃に上昇させる。このスラリを1時間加熱還流させ(68〜72℃)、水で希釈し、30分間60℃で撹拌する。濾過して固体成分を集め、酸がなくなるまで水洗する。得られたプレスケーキを水中で再びスラリ化する。pHを7より高い値に調節した後、50%水酸化ナトリウム7.5gを加え、得られたスラリを1時間90℃で加熱する。スラリを集め、瀘過し、アルカリがなくなるまで水洗した後、再び水中でスラリ化する。pHを8.5より高い値に調節した後、3.2gの脂環式カルボン酸を加える。得られたスラリを閉鎖系において約140〜145℃に2時間加熱し、冷却し、燐酸で酸性化し、撹拌する。濾過して固体成分を集め水洗する。この湿ったケーキは乾燥して特定の用途に使用することができる。ここでは湿ったケーキを炉中で60℃において乾燥し、光輝ある紫色の顔料として約52gのキナクリドンを得た。
【0075】上記方法で製造された水をベースにしたペイントは対照例12を用いてつくったペイントに比べ、改善された透明性と強い金属光沢を有する濃く鮮やかなマストーンを示した。
【0076】実施例10実施例9と全く同様にして顔料のキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し10重量%のフタルイミドメチルピレン(米国特許第3,275,637号記載の方法で製造)を使用した。光沢をもった紫色の顔料としてキナクリドン(56g)を得た。
【0077】上記方法で製造された水をベースにしたペイントは対照例12を用いてつくったペイントに比べ、改善された透明性をもち金属光沢が増加した濃く鮮やかなマストーンを示した。
【0078】実施例11実施例9と全く同様にして顔料のキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応においてキナクリドンに関し10重量%のアントラキノンスルフォン酸ナトリウム塩を使用した。光輝あるマジェンタ色の顔料としてキナクリドン(56g)を得た。
【0079】上記方法で製造された水をベースにしたペイントは対照例12を用いてつくったペイントに比べ、改善された透明性をもった濃く鮮やかなマストーンと遥かに黄色を呈する鮮やかな色調を有し、且つ金属光沢をもっていた。
【0080】実施例12(対照例)
実施例9および10記載の方法と全く同様にして顔料のキナクリドンをつくったが、但し、閉環反応において本発明の添加剤を省いた。光沢のある紫色の顔料としてキナクリドン(56g)を得た。
【0081】実施例13(対照例)
対照例12記載の方法(即ち本発明の添加剤を存在させないで実施例9および10を行う方法)と全く同様にして本発明の顔料添加剤を存在させずに顔料のキナクリドンをつくったが、但し、キナクリドンを10%のピレンテトラスルフォン酸四ナトリウム塩と乾式混合した。
【0082】上記方法で製造された水をベースにしたペイントは、本発明の実施例9に従って製造したキナクリドンを用いてつくったペイントに比べ、非常に明るく、鈍く且つ不透明なマストーンと一層鈍い金属光沢を示した。
【0083】本発明の主な特徴及び態様は次の通りである。
【0084】1.(a)(i)2,5−ジアニリノテレフタル酸、2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステル、あるいは少なくとも一つのアニリン環に1個またはそれ以上の置換基を有する2,5−ジアニリノテレフタル酸または2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステルの誘導体、あるいはこれらの混合物、(ii)成分(a)(i)1部当たり3〜15重量部の脱水剤、および(iii)成分(a)(i)に関し0.1〜15重量%の1種またはそれ以上の顔料でない芳香族多環式化合物および/またはその誘導体から成る反応混合物を80〜145℃に加熱し、但しこの際成分(a)(i)が2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステルまたはその誘導体である場合には反応工程(a)はさらに酸化工程を含み;
(b)該反応混合物を、成分(a)(i)1部当たりキナクリドン顔料が実質的に不溶な液3〜15重量部に加えることにより、工程(a)からの反応混合物を沈澱分離させ;
(c)キナクリドン顔料を単離し;
(d)随時該キナクリドン顔料のコンディショニングを行い;そして(e)随時該キナクリドン顔料を1種またはそれ以上のキナクリドン誘導体と配合することを特徴とするキナクリドン顔料の製造法。
【0085】2.成分(a)(i)は2,5−ジアニリノテレフタル酸、2,5−ジ(4−メチルアミノ)テレフタル酸、2,5−ジ(4−メトキシアニリノ)テレフタル酸、2,5−ジ(4−クロロアニリノ)テレフタル酸、およびその混合物から成る群から選ばれる請求項1記載の方法。
【0086】3.工程(a)において反応混合物を温度100〜130℃に加熱する請求項1記載の方法。
【0087】4.脱水剤(a)(ii)はポリ燐酸である請求項1記載の方法。
【0088】5.成分(a)(i)に関し3〜10重量部のポリ燐酸を使用する請求項4記載の方法。
【0089】6.成分(a)(iii)は式Q(A−Y)n但し式中Qは芳香族多環式部分を表し;Aは−O−、−S−、−NRa−、−SO2−、−CO−、−Alk−、または−Ar−架橋基、このような架橋基の化学的に有意な組み合わせ、またはQとYとの間の直接結合であり;Yは水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C5〜C77シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル、C6〜C10アリール、5〜6員環から成り該環の少なくとも一つの原子はN、O、Sまたはこれらの組み合わせであるヘテロアリール、C7〜C16アラルキル、ORb、−NRcd、またはハロゲンであり;−Alk−はC1〜C8アルキレン、置換したC1〜C8アルキレン、C5〜C7シクロアルキレン、または置換したC5〜C7シクロアルキレンであり;−Ar−はC6〜C10アリーレンまたは置換したC6〜C10アリーレンであり;Raは水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C6〜C10アリール、またはC7〜C16アラルキルであり;Rbは水素、金属またはC1〜C12アルキルであり;RcおよびRdは独立に水素、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C6〜C10アリールまたはC7〜C16アラルキルであるか、またはRcとRdとは一緒になってC4〜C6アルキレンまたは脂肪族または芳香族のジカルボニル基であり、またRcとはRdは随時さらにN、OまたはSのようなヘテロ原子を含んでいることができ、さらに随時C1〜C12アルキル、C1〜C12アルコキシ、C2〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルケニル、C5〜C7シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリーロキシ、C7〜C16アラルキル、C7〜C16アラルコキシ、−OH、ハロゲン、−CN、カルボキシル、−CO−NRcdまたは−SO2−NRcdで置換されていることができ;nは0.01〜4である、の顔料でない芳香族多環式化合物である請求項1記載の方法。
【0090】7.Qはアントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、インドール、チアゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、アクリドン、アントラキノン、フェノチアジン、キナゾリン、カルバゾール、ベンズアントロン、およびペリレン、またはそれらにハロゲン、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C5〜C7シクロアルキル、C5〜C7シクロアルコキシ、C6〜C10アリール、C6〜C10アリーロキシ、C7〜C16アラルキル、C7〜C16アラルコキシ、ニトロ、またはシアノ基を1個またはそれ以上置換した誘導体から誘導される、顔料でない芳香族多環式部分を表す請求項6記載の方法。
【0091】8.Qが顔料でない芳香族多環式部分であり、AはQとYとの間の直接結合であり、Yは水素である請求項6記載の方法。
【0092】9.成分(a)(iii)がアントラキノンまたはピレンである請求項1記載の方法。
【0093】10.成分(a)(iii)が式Q(SO2−OR)n但し式中Qは芳香族多環式部分を表し、Rは水素または金属であり、nは0.01〜4である、を有する、顔料でない芳香族多環式化合物である請求項1記載の方法。
【0094】11.Qがアントラキノンまたはピレンである請求項9記載の方法。
【0095】12.成分(a)(iii)はアントラキノン−2−スルフォン酸またはそのナトリウム塩、アントラキノン−2,6−ジスルフォン酸またはそのナトリウム塩、フタルイミドメチルアントラキノン、ピレンテトラスルフォン酸またはそのナトリウム塩、またはフタルイミドメチルピレンである請求項1記載の方法。
【0096】13.工程(a)で得られる反応混合物を水、低級脂肪族アルコールまたはその混合物に加えることにより該混合物を沈澱分離させる請求項1記載の方法。
【0097】14.工程(a)で得られる反応混合物をメタノールに加えることにより該混合物を沈澱分離させる請求項1記載の方法。
【0098】15.請求項1記載の方法によってつくられたキナクリドン顔料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)(i)2,5−ジアニリノテレフタル酸、2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステル、あるいは少なくとも一つのアニリン環に1個またはそれ以上の置換基を有する2,5−ジアニリノテレフタル酸または2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステルの誘導体、あるいはこれらの混合物、(ii)成分(a)(i)1部当たり3〜15重量部の脱水剤、および(iii)成分(a)(i)に関し0.1〜15重量%の1種またはそれ以上の顔料でない芳香族多環式化合物および/またはその誘導体から成る反応混合物を80〜145℃に加熱し、但しこの際成分(a)(i)が2,5−ジアニリノ−6,13−ジヒドロテレフタル酸エステルまたはその誘導体である場合には反応工程(a)はさらに酸化工程を含み;
(b)該反応混合物を、成分(a)(i)1部当たりキナクリドン顔料が実質的に不溶な液3〜15重量部に加えることにより、工程(a)からの反応混合物を沈澱分離させ;
(c)キナクリドン顔料を単離し;
(d)随時該キナクリドン顔料のコンディショニングを行い;そして(e)随時該キナクリドン顔料を1種またはそれ以上のキナクリドン誘導体と配合することを特徴とするキナクリドン顔料の製造法。
【請求項2】 請求項1記載の方法によってつくられたことを特徴とするキナクリドン顔料。

【公開番号】特開平10−53713
【公開日】平成10年(1998)2月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−120117
【出願日】平成9年(1997)4月24日
【出願人】(392010599)バイエル・コーポレーシヨン (12)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CORPORATION