説明

キャスタ装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はキャスタ装置に関し、特に家具などの底面にてこれを支持すると共に選択的に移動容易とするためのキャスタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば家具などの底部に設けるキャスタとしては、複数の車輪と、この車輪のストッパとを組み合わせたものが一般的であった。
【0003】しかしながら、このようなキャスタは、特にその家具等を据え付けた場合に車輪やストッパが露出していることから美観を損ねるばかりでなく、車輪及び方向転換用の回転軸の分だけ嵩ばり、場合によっては家具等の背が高くなってその使い勝手が低下する恐れがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記したような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その主な目的は、家具などの物品を据え付けた場合にも美観及び家具などの使い勝手を損ねることのないキャスタ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した目的は本発明によれば、物品の底面にて該物品を支持すると共に選択的に前記物品を水平移動容易とするためのキャスタ装置であって、前記物品の底面に取付けられるベースと、上下方向軸を中心に第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動可能なように前記ベースに係合するキャップと、前記ベースと前記キャップとの間に支持された少なくとも1つ以上のボールとを有し、前記ベースが、前記ボールを回転可能に支持する支承面を有し、前記キャップが、前記ボールが底部に形成された開口を介して部分的に突出する第1の位置と該キャップ内に没入する第2の位置との間で移動可能なように、かつ回転可能に前記ボールを保持する保持部を有し、前記支承面が、前記キャップが前記第1の回動位置にあるときに前記ボールを前記第1の位置に向けて押圧するための凸部と、前記キャップが前記第2の回動位置にあるときに前記ボールが前記第2の位置をとり得ることを許容するための凹部とを有することを特徴とするキャスタ装置を提供することにより達成される。
【0006】
【作用】このようにすれば、家具などの物品を据え付ける場合にキャップを第2の回動位置に回動させることでボールが没入し、外部に露出するのはキャップのみとなる。また、このキャップを第1の回動位置に回動させるのみでボールが突出し、移動容易となる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の好適実施例を添付の図面について詳しく説明する。
【0008】図1及び図2は、本発明が適用されたキャスタ装置の縦断面図である。このキャスタ装置は、例えばテレビ等の物品10の底部10aに両面テープ4及びねじ5により固定された概ね円板上のベース1と、このベース1に対して荷重のかかる方向、即ち図の上下方向に沿う軸を中心に60゜の範囲で回動可能なように周縁部の弾発係合部6にて係合するキャップ2とを有している。また、キャップ2には等角度間隔(120゜間隔)で上下方向に延在する後記するボールの保持部としての3つの円筒部2aが設けられ(図3)、ベース1とキャップ2との間に郭成された部屋7内でキャップ2と共に60゜の範囲で回動可能となっている。
【0009】各円筒部2a内には各々ボール3が回転自在に受容されている。従って、上記荷重のかかる方向と直交する面内の各ボール3の位置がキャップ2により規定され、即ちキャップ2の回動に伴い各ボール3の位置も移動するようになっている。また、キャップ2の各円筒部2aは各ボール3が飛び出さない範囲で突出可能な大きさに底部側に開口2bとして開口している。
【0010】一方、図4に併せて示すように、各ボール3に当接するベース1の底面には、ボール3の移動範囲で凸部9aと、凹部9bと、これら凸部9aと凹部9bとの間に設けられた傾斜部9cとから構成される支承面9が設けられている。各ボール3がこの凸部9aに当接する位置にあるときにはボール3が開口2bから突出する第1の位置をとり、各ボール3が凹部9bに当接する位置にあるときにはボール3が開口2bから円筒部2a内に没入する第2の位置をとり得ることとなる。傾斜部9cはその間のボール3の移動が円滑に行われるように設けられている。
【0011】従って、キャップ2の回動位置に応じて各ボール3が開口2bから突出/没入することとなる。即ち、キャップ2が図1を下方から見た図5に示す第1の回動位置にあるときにボール3が開口2bから突出する第1の位置をとり、キャップ2が図2に示す第2の回動位置にあるときにボール3が開口2bから円筒部2a内に没入する第2の位置をとり得ることとなる。
【0012】以下に、本実施例の作動要領について説明する。
【0013】まず、図5に実線で示すように、底部10aに固定されたベース1に対してキャップ2を第1の回動位置にセットする。すると、各ボール3が凸部9aに当接して開口2bから突出した第1の位置にセットされる。この状態では各ボール3が回転自在に床Fに当接し、その上部に載置された物品10の移動が容易になっている。
【0014】次に、物品10を据え付ける場合、図5に想像線で示すように、ベース1に対してキャップ2を第2の回動位置に回動させる。すると、各ボール3が凸部9aから傾斜部9cを経て凹部9bに当接するようになることから、物品10の重みで各ボール3が円筒部2a内に没入する第2の位置にセットされる(図2)。この状態では床Fに直接キャップ2が当接し、物品10が移動することを防止している。尚、再度物品10を移動させるにはキャップ2を上記第1の回動位置に回動させれば良い。
【0015】尚、本発明は上記実施例に限定されず様々な応用が可能であることは云うまでもなく、例えば上記実施例では凸部と傾斜部と凹部とからボールの支承面を構成したが、凸部と凹部のみであっても良く、また、凸部と凹部との間に凸部よりも更に突出した凸部を形成し、荷重がかかった状態ではボールが突出した第1の位置から没入した第2の位置に移動し難くしても良い。
【0016】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発明によるキャスタ装置によれば、物品の底面に取付けられるベースに第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動可能なようにキャップを係合すると共に内部にボールを回転自在に受容し、このキャップが第1の回動位置にあるときにボールがキャップ底面から突出する第1の位置をとり、キャップが第2の回動位置にあるときにボールがキャップ内に没入する第2の位置をとるようにすることで、キャップの回動のみでボールが突出/没入し、操作性が向上するばかりでなく、物品を据え付けた状態でボールが没入して外部に露出しないことから美観が向上する。更にボールが任意の方向に回転可能であることから、車輪を用いる場合と異なり、方向転換用の回転軸を必要とせず、嵩を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたキャスタ装置の縦断面図であり、キャップが第1の回動位置にあり、かつボールが第1の位置にある状態を示す。
【図2】本発明が適用されたキャスタ装置の縦断面図であり、キャップが第2の回動位置にあり、かつボールが第2の位置にある状態を示す。
【図3】図1の状態のキャップのみを下方からみた底面図である。
【図4】図1の状態のベースのみを上方からみた平面図である。
【図5】図1の全体を下方から見た底面図である。
【符号の説明】
1 ベース
2 キャップ
2a 円筒部
2b 開口
3 ボール
4 両面テープ
5 ねじ
6 弾発係合部
7 部屋
9a 凸部
9b 凹部
9c 傾斜部
10 物品
10a 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 物品の底面にて該物品を支持すると共に選択的に前記物品を水平移動容易とするためのキャスタ装置であって、前記物品の底面に取付けられるベースと、上下方向軸を中心に第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動可能なように前記ベースに係合するキャップと、前記ベースと前記キャップとの間に支持された少なくとも1つ以上のボールとを有し、前記ベースが、前記ボールを回転可能に支持する支承面を有し、前記キャップが、前記ボールが底部に形成された開口を介して部分的に突出する第1の位置と該キャップ内に没入する第2の位置との間で移動可能なように、かつ回転可能に前記ボールを保持する保持部を有し、前記支承面が、前記キャップが前記第1の回動位置にあるときに前記ボールを前記第1の位置に向けて押圧するための凸部と、前記キャップが前記第2の回動位置にあるときに前記ボールが前記第2の位置をとり得ることを許容するための凹部とを有することを特徴とするキャスタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】特許第3124428号(P3124428)
【登録日】平成12年10月27日(2000.10.27)
【発行日】平成13年1月15日(2001.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−351962
【出願日】平成5年12月28日(1993.12.28)
【公開番号】特開平7−195901
【公開日】平成7年8月1日(1995.8.1)
【審査請求日】平成12年4月12日(2000.4.12)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【参考文献】
【文献】特開 平1−299110(JP,A)
【文献】実開 昭55−84674(JP,U)
【文献】実開 昭63−114077(JP,U)