説明

キャッサバ葉脈モザイクウィルスプロモーター及びその使用

【課題】トランスジェニック植物の生産に有益な組成物及び方法を提供する。
【解決手段】本発明はキャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)プロモーター配列及びCsVMVプロモーター配列を含む発現カセットに関する。本発明は異種DNA配列に操作により結合されるCsVMVプロモーターから誘導されたプロモーターを含む核酸分子、ベクター及びトランスジェニック植物、並びにこれらのプロモーターを含むトランスジェニック植物の生産方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明はトランスジェニック植物の生産に有益な組成物及び方法に関する。特に、本発明は植物ウィルス(CsVMV)プロモーター配列及びCsVMVプロモーター配列を含む発現カセットに関する。又、本発明は異種DNA配列に作用できるように結合されているCsVMVプロモーター配列を含むベクター及びトランスジェニック植物に関する。更に、本発明はCsVMVプロモーター配列を含むベクターを使用することによるトランスジェニック植物の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
単離された植物ウィルスプロモーターは所望の表現型特性を有するトランスジェニック植物を生産するための植物の遺伝子操作に有益である。このようなトランスジェニック植物を生産するために、単離されたプロモーターがベクターに挿入され、異種DNA配列に作用できるように結合される。次いで植物細胞が異種DNA配列に融合された単離されたプロモーターを含むDNA構築物により種々の方法で形質転換し得る。この形質転換の結果は、異種DNAに作用できるように結合されたプロモーターが形質転換された植物細胞のゲノムに挿入されることである。更に、形質転換された植物細胞中の異種DNAの発現の調節がプロモーターにより調節される。
【0003】
単離されたプロモーターに結合された異種配列の性質に応じて、トランスジェニック植物中に所望の表現型を生じるのに種々の異なるアプローチがある。例えば、植物又は植物の特別な組織中で通常発現されない新規な遺伝子の発現は表現型の変化を与え得る。又、トランスジェニック植物に導入されたセンス又はアンチセンス構築物の発現は内因性植物遺伝子の発現の抑制を生じ得る。この発現の抑制は、順に、所望の表現型の変化を生じ得る。
【0004】
種々の異なるプロモーターが植物の遺伝子操作に使用されることが要望される。これらのプロモーターは幾つかの型のものである。構成的プロモーターがプロモーターの一つのこのような普通に使用される型である。構成的プロモーターは通常の発育中の植物の全ての組織中で作用できるように結合されたDNA配列を発現することができる。構成的プロモーターとは対照的に、組織特異性プロモーターは或る植物組織中で異種DNA配列を選択的に発現することができるプロモーターである。又、プロモーターは、例えば、外部誘発剤の適用により誘導性であってもよい。構成的プロモーター、誘導プロモーター及び組織特異性プロモーターは植物の遺伝子操作に使用され、この分野における多くの異なる潜在用途につき価値を有する。
【0005】
構成的植物プロモーターは、構成的に発現される植物オペロンの調節領域を単離することにより得られてもよい。植物遺伝子から得られたプロモーターに加えて、植物組織中で新規な配列を構成的に発現するのに使用されたバクテリア起源及びウィルス起源のプロモーターがある。バクテリアからのこのようなプロモーターの例として、オクトピンシンターゼ(ocs)プロモーター、ノパリンシンターゼ(nos)プロモーター及び天然Tiプラスミド(Herrera-Estrellaら,Nature,303:209-213,1983を参照のこと)から誘導されたその他のプロモーターが挙げられる。カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター及び19Sプロモーターがウィルスプロモーターの普通使用される例である(Odelら,Nature,313:810-812,1985を参照のこと)。
【0006】
構成的プロモーターとは対照的に、組織特異性プロモーターは一般に特定の植物組織中で選択的に発現される植物遺伝子のプロモーター領域から単離される。
【0007】
これらのプロモーターは異種DNA配列と融合でき、植物細胞を形質転換して特定の組織中で異種DNAを選択的に発現するトランスジェニック植物をつくるのに使用し得る。
例えば、果実特異性のエチレン調節遺伝子E4及びE8並びに果実特異性のポリガラクツロナーゼ遺伝子からのプロモーター領域がトランスジェニックトマト植物中で異種DNA配列の果実特異性発現を誘導するのに使用されていた(Cordesら,Plant Cell,1:1025-1034,1989;Deikmanら,EMBO J.,7;3315-3320,1988;及びDella Pennaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:6420-6424,1986を参照のこと)。
【0008】
幾つかの異なる植物ウィルスからのプロモーターのゲノムクローニング、分子特性決定及び配列決定を含む特性決定の局面、及び記載が、カリフラワーモザイクウィルス(CaMV),Hull,“Virus Taxonomy”,Murphyら編集,Wein,New York,Springer-Verlag,189-192頁,1995;コメリナ・イエロー・モトルウィルス(ComYMY),Medberryら,Nuc.Acid Res.,18:5505-5513,1990;米ツンゴ・バシリフォルムウィルス(RTBV),Hayら,Nuc.Acids Res.,19:2615-2621,1991;サトウキビ・バシリフォルムウィルス(ScBV),Bouhidaら,J.Gen.Virol.,74:15-22,1993;大豆クロロチック・モトルウィルス(SbCMV)Hasegawaら,Nuc.Acids Res.,17:9993-10013,1989;ゴマノハグサモザイクウィルス(FMV),Richinsら,Nuc.Acids Res.,15:8451-8466,1987;カーネーション・エッチ・リングスポットウィルス(CERV),Hullら,EMBO J.,5:3083-3090,1986;落花生クロロチック・ストリークウィルス(PCSV),Reddyら,phytopathol.,83:129-133,1993;ストロベリー葉脈バンディングウィルス(SVBV)、ジーンバンク受理番号X97304;及びカカオ膨潤シュートウィルス(CSSV)、ジーンバンク受理番号L14546を含めて記載されていた。
【0009】
キャッサバ葉脈モザイクウィルス(従来CVMVと称され、今CsVMVと称される)がCalvertら,J.Gen.Virol.,76:1271-1276,1995により記載され、又配列データがジーンバンク受理番号U59751及びU20341として公表されている。加えて、CsVMVプロモーターが最近Verdaguerら,Plant Mol.Biol.,31:1129-1139,1996に記載された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
新規な構成的プロモーター及び新規な組織特異性プロモーターの両方の発見がトランスジェニック植物に操作される種々の核酸配列の調節された発現に所望される。植物の遺伝子操作の多くの有益な潜在用途がある。異なる特性を有し、かつ異なる種の植物に有効である種々の植物プロモーターがこれらの潜在用途を実施させるために望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の簡単な要約
異種遺伝子発現のためのプロモーターとして種々のトランスジェニック植物細胞型中で使用し得るCsVMVから誘導されたプロモーターが今クローン化され、分子的に特性決定された。本明細書に記載されたCsVMVプロモーター、及び誘導体プロモーターが種々の利点及び利益を与える。
【0012】
プロモーターは単子葉植物種及び双子葉植物種の両方で活性であることが示され、それ故、種々の栽培穀物に容易に適用し得る。一般に構成的であるが、本明細書に記載された誘導体プロモーターとして、発現を組織特異性様式で調節することができ、それ故、異種遺伝子の発現を組織特異性様式で調節するのに有益であるプロモーターが挙げられる。
【0013】
こうして、一実施態様において、本発明は植物細胞中で作用できるように結合された異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子を意図しており、そのヌクレオチドは配列番号3(pA)に示されたキャッサバ葉脈モザイクウィルス(CsVMV)プロモーターの18連続ヌクレオチドに対し少なくとも80%の同一性を有する。
【0014】
好ましい核酸分子はCVP1、CVP2、pA、pB、pC、pD、pE、pΔB、pΔC、pΔD1、pΔD2、pΔD3、pΔDE1、pΔDE2、pΔDE3及びpΔEからなる群から選ばれた核酸配列を含む。
【0015】
又、異種核酸配列に作用できるように結合される本発明のプロモーターヌクレオチド配列を含むベクターが意図されている。又、異種核酸配列に作用できるように結合されたプロモーターを含むキメラ遺伝子が記載される。
【0016】
更に、本発明は異種核酸配列に作用できるように結合される本発明のプロモーターヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物を意図している。
【0017】
又、本発明は
a)植物細胞を本発明のベクターで形質転換し、そして
b)植物細胞を、異種核酸配列が植物細胞中で発現される条件下で生育する
ことを特徴とする植物細胞中の異種核酸配列の発現方法を記載する。
その他の利点及び利益が本明細書の開示に基いて当業者に容易に明らかであろう。
【0018】
図面の簡単な説明
この開示の一部を形成する図面中、
図1はCsVMVウィルスゲノム中のCsVMVプロモーターの構造及び実施例1に記載されたCVP1又はCVP2 CsVMVプロモーターフラグメントを含むuidA融合遺伝子の構築を図示する略図である。プロモーターフラグメントの位置はCsVMVゲノムDNA中で番号を付される。CVP1フラグメントはAluI制限部位を使用して単離され、一方、5'末端に付加的な75ヌクレオチドそして3'末端に52ヌクレオチドを含むCVP2フラグメントは記載されたようなプライマーを使用してPCR増幅により得られた。CVP2の3'末端はウィルスゲノム中の最初のATGコドンの丁度上流にある。転写開始部位(“Tsp”、右の矢印)及びコンセンサスtRNA結合部位(“tRNA met”)の位置が又示される。スキームは縮尺して描かれていない。
【0019】
図2は実施例2に記載されたCsVMVプロモーターの転写開始部位の決定を示す。プライマー伸長反応が記載されたようにして行われ、二つのアニール温度(30℃及び40℃)を用いて得られた伸長反応及び同じ標識プライマーで行われたCVP1-uidA遺伝子構築物の基準配列決定反応(レーンA、C、G及びT)の生成物が7Mの尿素、7.5%のポリアクリルアミドゲル中で電気泳動にかけられた。プラスストランドDNA配列(ゲルで読まれた配列に相補性)が示され、転写開始部位(A*)がヌクレオチド番号(nt.)7604で矢印により示される。番号はCsVMVゲノムのヌクレオチド配列番号に相当する(Calvertら,J Gen Virol,76:1271-1276,1995)。
【0020】
図3は実施例2に記載されたCVP1プロモーターフラグメント及びCVP2プロモーターフラグメントを含む、配列番号3に又示されたCsVMVプロモーター領域のヌクレオチド配列を示す。ゲノム配列ナンバリング系とは異なる転写に基くナンバリング系を使用して、転写開始部位は+1と称される。コンセンサスTATAボックス、asl様配列(Lamら,Proc Natl Acad of Sci USA,86:7890-7894,1989)及びComYMVプロモーター(Medberryら,Plant J,619-626,1993)と相同の領域が箱形にされる。AluI部位(矢印)はCVP1プロモーターの5'末端及び3'末端を示す。植物プロモーター中の既に特性決定されたシス要素と同様の配列モチーフが下線を施されている(rbcSプロモーターのボックスI要素(Donaldら,EMBO J,9:1717-1726,1990)と類似性を有するモチーフ、MNF1結合部位(Yanagisawaら,Plant Mol Biol,19:545-553,1992)、SV40コアーエンハンサー(Ondekら,EMBO J,6:1017-1025,1987)が示されている)。
【0021】
図4は実施例2に記載されたカリモウィルス及びバドナウィルスのウィルスゲノムとのCsVMVのゲノム編制の比較を示す。全ての地図は遺伝子間領域の開始で始まる。同様の推定機能をコードするORF又はORFセグメントが垂直の線により連鎖される。数字“1”はDNA複製起点を示す。
【0022】

【0023】
図5は実施例7.a)に記載されたタバコプロトプラスト及びキャッサバプロトプラスト中のCsVMVプロモーターの発現を示す。キメラuidA遺伝子構築物がエレクトロポレーションによりキャッサバ(点描されたバー)及びタバコ(クロスハッチされたバー)のプロトプラストにルシフェラーゼを発現するプラスミドと同時導入された。プロモーター活性が同じタンパク質抽出物のGUS活性とLUC活性の比として表される。結果として、GUS活性は放出された光の単位当たり時間当たりの4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド(MUG)のpモルとして測定される。バーは4回の独立の実験の平均±標準偏差を表す。夫々の実験が異なるプロトプラスト製剤で行われた。pe35GNは、“増進された”35Sプロモーター(Kayら,Science,236:1299-1302,1987)がuidA遺伝子の転写を調節する構築物である。pGN100は無プロモーターuidA遺伝子を含む対照プラスミドである。
【0024】
図6A-6Jは実施例7b)に記載されたCsVMVプロモーター-uidAキメラ遺伝子を含むトランスジェニックタバコ植物及びトランスジェニック米植物中のGUS発現の組織化学的局在化を示す。GUS活性はX-Glucによる染色後の濃いインジゴ色素沈殿によりトランスジェニック組織中で示される。A:タバコ葉切片;B:中骨の道管組織を示すタバコ葉切片の詳細(x10);C:タバコ葉身中の横断切片(x30);D:タバコ幹断面中の道管組織(x30);E:タバコ根(x10);F:タバコ子房中の横断切片(x10);G:米葉断片(x50);H:米葉鞘の断片(x50);I:軸方向に割かれ、続いてGUS活性について染色された米花(x10);J:in vitro小植物からのキャッサバ幹のGUS一時的発現(x5)bs:束鞘;cy:同化組織;ep:外部師部;ip:内部師部;mx:後生木部;p:師部;ph:髄;pm:さく状葉肉;pp:師部柔組織;py:柔組織;rt:根先端;sc:厚膜組織;sm:スポンジ状葉肉;x:木部;xp:木部柔組織。
【0025】
図7A及び7Bは実施例7b)に記載されたCsVMV/uidAキメラ遺伝子により発現されたタバコトランスジェニック植物系(A)及び米トランスジェニック植物系(B)中の異なる器官組織中のGUS活性の定量的分布を示す。GUS比活性が毎分タンパク質1ミリグラム当たりの4−メチルウンベリフェロンのピコモル数(pモル)として表される。キメラ遺伝子中にCVP1(中実ドット)又はCVP2(開放ドット)を含むトランスジェニックタバコ系統又はトランスジェニック米系統が長さ3〜5cmの若い(Y)葉、長さ10cm以上の成熟した(M)葉、幹(S)、根(R)及び葉鞘外植体(ST)中のGUS活性について分析された。タンパク質抽出のためのサンプルが温室中で生育された成熟した(生後5−7週)R1トランスジェニックタバコ植物から採取された。使用された米植物は温室中で生育されたRO形質転換体(生後2ケ月)であった。夫々のドットは単一の独立のトランスジェニック系統を表す。試験した系統の数が図中に示される。夫々の構築物について異なる器官中のGUS活性の平均レベルが中実矢印により示される。対数目盛りが系統間の大きな変化を収容するのに使用された。
【0026】
図8は実施例9に記載されたようにして調製された種々のキメラCsVMVプロモーター/uidA遺伝子融合発現構築物の略図を示す。構築物を含む異なるプラスミド及び構築物中の5'欠失及び内部欠失の終点の名称が図の左側に示される。内部欠失は記号“Δ”により示される。pAは図3に示された完全長CsVMVプロモーターを含む。全ての5'末端欠失プロモーターはそれらの5'末端でBamHI部位を有する。内部欠失は5'末端トランケートプロモーターと3'末端欠失プロモーターフラグメントのBamHI連結反応によりつくられた。
【0027】
図9A-9Iは実施例10b)に記載されたCsVMYプロモーター/uidAキメラ基欠失構築物を含むトランスジェニックタバコ植物中のGUS発現の組織化学的局在化を示す。全ての写真は写真h及びIを除いて、生後5週のトランスジェニックタバコ植物からの若い拡大された葉の断片である。a)pB;b)pD;c)pE;d)pΔC;e)pΔD1;f)pΔDE1;g)pΔDE2;h)pB構築物(右)又はpD構築物(左)を有する生後10日のトランスジェニック幼植物からの葉;I)pC構築物(上)又はpD構築物(下)を含むトランスジェニックタバコ植物からの根。m:葉肉;v:葉脈;py:柔組織;RT:根先端。
【0028】
図10は実施例10c)に記載されたCsVMVプロモーター/uidAキメラ遺伝子欠失構築物により発現されたトランスジェニックタバコ葉中のGUS酵素活性を示す。タンパク質が生後5週のトランスジェニック植物の若い拡大された葉から回収された葉盤から抽出された。夫々の構築物について、6−10の独立のトランスジェニック系統がGUS活性について分析された。データは図7に記載されたようにして表される。夫々の植物からの結果が開放ドットとして示される。夫々の異なるプロモーター構築物が別々に示される。平均GUSレベルが垂直の矢印により示される。対数目盛りがトランスジェニック系統間の大きな変化を収容するのに使用された。
【0029】
図11は実施例10e)に記載されたBY-2(クロスハッチ付きのバー)及び葉肉(斜め縞状のバー)プロトプラスト中のCsVMVプロモーター/uidAキメラ遺伝子構築物による一時的GUS発現を示す。BY-2細胞懸濁液又はタバコ葉から調製されたエレクトロポレーションされたプロトプラストが培養24時間後にGUS活性について分析された。種々の示されたプロモーター構築物が内部標準としてのルシフェラーゼプラスミドで同時トランスフェクトされた。GUS発現レベルがルシフェラーゼ発現に関して基準化され、完全長プロモーター活性(100%値が構築物pAに指定された)を使用してGUS発現に対する%として表された。夫々のバーは4回の独立の実験の平均を夫々表し、±標準偏差が又示される。
【0030】
図12は実施例11に記載されたCsVMVプロモーターの機能地図の略図を示す。数字は図3の転写開始部位ナンバリング系を使用して相対位置及び特徴を示す。垂直の矢印は組織特異性機能を示し、その機能についてのドメインの相対的重要性が矢印の相対サイズにより示される。図の上の矢印は実施例11に説明された相乗的相互作用を表す。モチーフas1、GATA及びGTAAが同定され、プロモーター調節機能に重要な役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1はCsVMVウィルスゲノム中のCsVMVプロモーターの構造及び実施例1に記載されたCVP1又はCVP2 CsVMVプロモーターフラグメントを含むuidA融合遺伝子の構築を図示する略図である。
【図2】図2は実施例2に記載されたCsVMVプロモーターの転写開始部位の決定を示す。
【図3】図3は実施例2に記載されたCVP1プロモーターフラグメント及びCVP2プロモーターフラグメントを含む、配列番号3に又示されたCsVMVプロモーター領域のヌクレオチド配列を示す。
【図4】図4は実施例2に記載されたカリモウィルス及びバドナウィルスのウィルスゲノムとのCsVMVのゲノム編制の比較を示す。
【図5】図5は実施例7.a)に記載されたタバコプロトプラスト及びキャッサバプロトプラスト中のCsVMVプロモーターの発現を示す。
【図6】図6A-6Jは実施例7b)に記載されたCsVMVプロモーター-uidAキメラ遺伝子を含むトランスジェニックタバコ植物及びトランスジェニック米植物中のGUS発現の組織化学的局在化を示す。
【図7】図7A及び7Bは実施例7b)に記載されたCsVMV/uidAキメラ遺伝子により発現されたタバコトランスジェニック植物系(A)及び米トランスジェニック植物系(B)中の異なる器官組織中のGUS活性の定量的分布を示す。
【図8】図8は実施例9に記載されたようにして調製された種々のキメラCsVMVプロモーター/uidA遺伝子融合発現構築物の略図を示す。
【図9】図9A-9Iは実施例10b)に記載されたCsVMYプロモーター/uidAキメラ基欠失構築物を含むトランスジェニックタバコ植物中のGUS発現の組織化学的局在化を示す。
【図10】図10は実施例10c)に記載されたCsVMVプロモーター/uidAキメラ遺伝子欠失構築物により発現されたトランスジェニックタバコ葉中のGUS酵素活性を示す。
【図11】図11は実施例10e)に記載されたBY-2(クロスハッチ付きのバー)及び葉肉(斜め縞状のバー)プロトプラスト中のCsVMVプロモーター/uidAキメラ遺伝子構築物による一時的GUS発現を示す。
【図12】図12は実施例11に記載されたCsVMVプロモーターの機能地図の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
A.定義
本明細書に使用される“核酸”という用語は、DNA又はRNAを表す。“核酸配列”又は“ポリヌクレオチド配列”は5'末端から3'末端へと読み取られたデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマーを表す。それは自己複製プラスミド、DNA又はRNAの感染性ポリマー及び非機能性のDNA又はRNAを含む。
本明細書に使用されるポリヌクレオチド表記法において、特にことわらない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5'末端である。二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5'方向と称される。
【0033】
“プロモーター”という用語は、翻訳開始コドンから上流のDNAの領域を表し、これはRNAポリメラーゼ及び転写を開始するその他のタンパク質の認識及び結合に関係する。“植物プロモーター”は植物細胞中で転写を開始することができるプロモーターである。本明細書に使用される“CsVMV植物プロモーター”又は“CsVMVプロモーター”という用語はCsVMVゲノムのプロモーター領域から誘導され、更に本明細書で特定されるプロモーターを表す。
【0034】
本明細書に使用される“構成的プロモーター又は構成的植物プロモーター”という用語は、通常の発育中に植物の全ての組織又はほぼ全ての組織中で作用できるように結合されたDNA配列を発現することができる植物プロモーターを表す。本明細書に使用される“誘導プロモーター”又は“誘導植物プロモーター”という用語は、内因的刺激又は外部刺激に応答して特別な時間で又は特別な組織中で作用できるように結合されたDNA配列を選択的に発現することができる植物プロモーターを表す。
【0035】
本明細書に使用される“組織特異性プロモーター”という用語は特別な組織中で作用できるように結合されたDNA配列を選択的に発現することができるプロモーターを表す。
これは、作用できるように結合されたDNA配列の発現が植物のその他の組織中よりも一つ又は幾つかの植物組織中で高いことを意味する。例えば、構築物pΔDE1中に存在するCsVMVプロモーターは根先端組織中で作用できるように結合された異種DNA配列を選択的に発現する組織特異性プロモーターである。
【0036】
本明細書に使用される“作用できるように結合された”という用語は、プロモーターが結合されたDNA配列の転写を媒介するように、異種核酸配列に対し5'のプロモーターの結合を表す。プロモーター配列は又転写開始コドンと翻訳開始コドンの間に転写された配列を含むことが理解される。
【0037】
“発現カセット”という表現は、核酸配列又は構造遺伝子の発現をこのような配列と適合性の宿主中で誘導することができるヌクレオチド配列を表す。このようなカセットは少なくともプロモーター及び転写終止シグナルを含む。発現を行うのに必要又は有益な付加的な因子が又本明細書に記載されるように使用されてもよい。
【0038】
“ベクター”という用語は発現系、核酸をベースとするシャトルビヒクル、核酸送出に適した核酸分子、及び自律自己複製環状DNA(例えば、プラスミド、コスミド、ハージミド等)を表す。組換え微生物又は細胞培養物が“発現ベクター”を宿していると記載される場合、これは染色体外環状DNA(例えば、ミトコンドリアDNA又は葉緑体)、一つ以上の宿主染色体にとり込まれたDNA、又はその両方を含む。ベクターが宿主細胞により維持されている場合、ベクターは自律構造として有糸分裂中に細胞により安定に複製され、宿主のゲノム内にとり込まれ、又は宿主の核もしくは細胞質中で維持し得る。
【0039】
“プラスミド”という用語は、細胞中で複製することができる自律環状DNA分子を表し、発現型及び非発現型の両方を含む。組換え微生物又は細胞培養物が“発現プラスミド”を宿していると記載される場合、これは染色体外環状DNA分子及び一つ以上の宿主染色体にとり込まれたDNAの両方を含む。プラスミドが宿主細胞により維持されている場合、プラスミドは自律構造として有糸分裂中に細胞により安定に複製され、又は宿主のゲノム内にとり込まれる。
【0040】
本明細書に使用される“異種配列”、“異種DNA配列”、又は“異種核酸配列”は外来起源(又は種)に由来するものであり、又はそれが同じ起源からのものである場合、その初期の形態から修飾される。こうして、プロモーターに作用できるように結合された配列をコードする異種DNAは、プロモーターが誘導された起源とは異なる起源からのものであり、又はそれが同じ起源からのものである場合、その初期の形態から修飾される。異種DNA配列の修飾は、例えば、DNAを制限酵素で処理してプロモーターに作用できるように結合し得るDNAフラグメントを生成することにより起こり得る。又、修飾は部位誘導突然変異誘発の如き技術により起こり得る。
【0041】
“選択的にハイブリッド形成する”という表現は、標的配列が製剤又は全細胞DNAもしくはRNA中に存在する場合、特別な標的DNA配列又はRNA配列にのみハイブリッド形成し、二重らせん形成し、又は結合する核酸プローブを表す。“相補”又は“標的”核酸配列は、核酸プローブに選択的にハイブリッド形成するこれらの核酸配列を表す。適当なアニール条件は、例えば、プローブの長さ、温度、塩基組成、並びにミスマッチの数及びプローブにおけるそれらの位置に依存し、しばしば実験により決定される必要がある。核酸プローブ設計及びアニール条件の説明につき、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Labora-tory Manual(第2編),1-3巻、Cold Spring Harbor Laboratory,(1989)又はCurrent Protocols in Molecular Biology,Ausubelら編集,Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York(1987)を参照のこと。
【0042】
“コードする核酸配列”という表現は、特定のタンパク質、ペプチド又は核酸の発現をコードする核酸を表す。核酸配列はRNAに転写されるDNAストランド配列及びタンパク質に翻訳されるRNA配列の両方を含む。核酸配列は完全長核酸配列並びに完全長配列から誘導された非完全長配列の両方を含む。更に、その配列は天然配列又は特定の宿主細胞中でコドン優先を得るために導入し得る配列の縮重コドンを含むことが理解される。
【0043】
核酸配列及び核酸分子について言及される場合の“単離された”という用語は、天然産の隣接相対配列、例えば、CsVMVゲノムに関してCsVMVプロモーターを含まないが、むしろCsVMVゲノムのその他の部分から分離され、又は異種配列で組換えられるように操作される主題核酸を表す。
【0044】
核酸について言及される場合の“実質的に純粋”という表現は、主題核酸がその生物起源から精製され、いつでも使えるように組成物中で優勢な分子種であり、その他の物質、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質等と比べて好ましくは少なくとも50%の純度、更に好ましくは少なくとも90%の純度の核酸であることを示す。
【0045】
“植物”という用語は全植物、植物器官(例えば、葉、幹、根等)、種子並びに植物細胞及びその子孫を含む。本発明の方法に使用し得る植物のクラスは一般に形質転換技術を受け易い高等植物のクラスと同じ程度に広く、単子葉植物及び双子葉植物の両方を含む。
それは多倍数体、二倍体及びハプロイドを含む種々の倍数性レベルの植物を含む。
【0046】
“トランスジェニック植物”という用語は遺伝子操作技術により生産された植物を表す。例えば、異種DNA配列に作用できるように結合されたCsVMVプロモーターを含むベクターで形質転換された植物細胞が変化された表現型特性を有するトランスジェニック植物を生産するのに使用し得る。
【0047】
下記の用語が2種以上の核酸又はポリヌクレオチドの間の配列関係を記載するのに使用される:“基準配列”、“比較ウィンドー”、“配列同一性”、“配列同一性の%”、及び“実質的な同一性”。“基準配列”は配列比較の基礎として使用される特定の配列である。基準配列は、例えば、配列表に示された完全長遺伝子配列、例えば、核酸配列のセグメントのような更に大きい配列のサブセットであってもよく、又は完全遺伝子配列を含んでもよい。
【0048】
比較ウィンドーを配列するための配列の最適の配列はSmithら,Adv.Appl.Ma-th.,2:482,1981の局所相同アルゴリズム、Needlemanら,J.Mol.Biol.,48:443,1970の相同配列アルゴリズム、Pearsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),85:2444,1988の類似性方法に関する検索、又はこれらのアルゴリズムのコンピュータ化実施(ウィスコンシン・ゲネチクス・ソフトウェア・パッケージ・リリーズ7.0(ゲネチクス・コンピュータ・グループ、575Madison科学博士、Wis.)中のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)により行われてもよい。その他の方法が本明細書に記載される。
【0049】
核酸配列に適用され、本明細書に使用される“実質的な同一性”又は“実質的な配列同一性”という用語はポリヌクレオチド配列の特性を表し、そのポリヌクレオチドは少なくとも20ヌクレオチド位置の比較ウィンドー、頻繁には少なくとも25-50ヌクレオチドのウィンドーにわたって基準配列と比較して少なくとも85%の配列同一性、好ましくは少なくとも90〜95%の配列同一性、更に好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含み、配列同一性の%は基準配列をポリヌクレオチド配列(これは比較のウィンドーにわたって基準配列の合計20%以下になる欠失又は付加を含んでもよい)と比較することにより計算される。基準配列は、例えば、本明細書に開示されたCsVMVプロモーター領域のセグメントのような更に大きい配列のサブセットであってもよい。
【0050】
B.キャッサバ葉脈モザイクウィルス(CsVMV)プロモーター
本発明はCsVMVプロモーター及び異種核酸配列に作用できるように結合されたCsVMVプロモーターを含むDNA構築物を提供する。CsVMVプロモーターは本明細書に記載された転写を支持することができる転写媒体、例えば、植物細胞、植物等の環境中に存在する場合に異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターヌクレオチド配列である。プロモーターはプロモータ一に作用できるように結合された異種核酸の転写を開始する。
【0051】
本明細書に使用される“CsVMVプロモーター”は本明細書で同定された野生型CsVMVプロモーター、そのフラグメント、例えば、本明細書に記載されたCVP1フラグメント及びCVP2フラグメント、並びにこれらの誘導体、例えば、本明細書に記載された欠失構築物を含み、これらの全てが本明細書に記載され、配列番号3に示された完全長CsVMVプロモーターの配列から誘導されたヌクレオチド配列を含むという性質を共有する。
【0052】
好ましいCsVMVプロモーターは配列番号3に示されたCsVMVプロモーターの18連続ヌクレオチドに対し少なくとも80%の同一性を有するヌクレオチド配列である。同一性は少なくとも90%であることが好ましく、少なくとも98%であることが更に好ましい。同一性は20連続ヌクレオチド中に存在することが好ましく、25連続ヌクレオチド中に存在することが更に好ましい。同一性%は特定の長さの標的ヌクレオチド配列と比較した時にヌクレオチドの中断されない線状の(即ち、連続の)配列中の同一のヌクレオチドの数の目安である。
【0053】
本明細書に使用されるヌクレオチド配列の“同一性”は、二つの別個の配列中の比較されたヌクレオチド残基が同じであることを意味する。こうして、例えば、100%の同一性は二つの異なる分子中の25連続ヌクレオチドを比較する際に、比較されたヌクレオチドの全ての25対中の両方の残基が同じであることを意味する。
【0054】
転写媒体は、植物バイオテクニカル分野で公知であるような、種々の環境のいずれであってもよく、それ故、限定される必要はない。しかしながら、例示かつ好ましい媒体は主題プロモーターを含む核酸により形質転換された植物細胞、例えば、培養された植物細胞、植物プロトプラスト、又は培養された小植物、トランスジェニック植物、成熟植物中のその他の植物組織培養形態、非分化植物細胞、分化植物細胞等の媒体を含む。又、当業界で公知であるように、精製されたタンパク質を含む再生発現媒体、基質及び転写を支持するのに必要とされる成分を含むin vitro生化学的発現系が含まれる。
【0055】
本発明のプロモーターは、本明細書に特定されるように、単離された核酸、キメラ遺伝子、発現カセット等の組換えDNA(rDNA)形態の形態をとり得る。
【0056】
単離された核酸分子は上記のCsVMVプロモーターを含むプロモーターヌクレオチド配列を含む。
【0057】
キメラ遺伝子は2種の異なるヌクレオチド配列を含む融合であり、その中で主題プロモーターヌクレオチド配列が異種核酸配列に作用できるように結合され、その結果、適当な転写媒体中で、異種核酸が主題プロモーターの調節下で転写される。キメラ遺伝子中の使用のための例示の異種核酸配列は有益な遺伝子産物をコードするあらゆる核酸配列であってもよい。有益な遺伝子産物及び異種核酸配列が本明細書に更に記載される。
【0058】
転写が促進される植物又は植物組織の型にわたって調節を可能にする本明細書に記載された種々のプロモーターが特に有益である。例えば、植物の殆どの組織を含む多種の植物型、単子葉植物及び双子葉植物の両方中の発現に構成的であるプロモーターが本明細書に記載され、転写を植物の或る組織に優先的に制限する記載されたプロモーターがある。
【0059】
好ましいプロモーターヌクレオチド配列は配列番号3に示されたCsVMVプロモーターから誘導されるヌクレオチド配列を含む。この状況の“から誘導される”は、主題プロモーターが欠失、断片化又は置換によるCsVMVプロモーターの機械的操作によるようにつくられ、又は誘導体が本明細書で同定されたCsVMVプロモーターの重要な機能的特性を保持する配列の分析並びにその配列の設計及び合成によるように設計されたことを意味する。
【0060】
プロモーターヌクレオチド配列は本明細書に記載された配列の一つ、即ち、CVP1、CVP2、pA、pB、pC、pD、pE、pF、pΔB、pΔC、pΔD1、p△D2、pΔD3、pΔDE1、pΔDE2、pΔDE3及びpΔEと称される構築物中に存在するプロモーター配列のいずれか一つである。これらの好ましいプロモーターヌクレオチド配列が夫々配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16及び17として配列表に示される。
【0061】
CsVMVプロモーターはトランスジェニック植物の生産に有益である。所望の表現型がCsVMVプロモーターに作用できるように結合された異種DNA配列を含むDNA構築物による植物細胞の形質転換の結果としてトランスジェニック植物中で生じられる。それ故、DNA構築物は種々の植物細胞中の使用のための種々の発現ベクターのいずれか中に発現カセットを含むことができる。
【0062】
CsVMVプロモーターの調製又は単離に使用し得る当業者に知られている種々の方法がある。例えば、CsVMVプロモーターはゲノムCsVMV DNAフラグメントから単離し得る。
【0063】
CsVMVプロモーター配列は又植物cDNAライブラリーを本明細書に示されたCsVMVプロモーターのDNA配列から誘導された配列を有するオリゴヌクレオチドプローブでスクリーニングすることにより単離し得る。又、本明細書に記載された種々のクローニング方法が配列番号3のCsVMVプロモーター配列を使用してCsVMVプロモーターの単離に使用し得る。又、当業者に知られているその他の方法がCsVMVプロモーターを含む植物DNAフラグメントを単離するのに使用し得る。既知配列のDNA分子に関するDNAの単離のためのその他の技術の記載について、Sambrookらを参照のこと。
【0064】
cDNAライブラリーを調製するために、mRNAがクローン化される標的発現遺伝子を発現する組織から単離される。例えば、植物の果実の果皮組織が使用し得る。cDNAがmRNAから調製され、次いで第二の相補DNAストランドが合成される。続いて、この二重らせんDNA分子が組換えベクターにつながれる。ベクターが増殖、スクリーニング及びクローニングのための組換え宿主にトランスフェクトされる。cDNAライブラリーをつくり、スクリーニングする方法が公知である。Gublerら,Gene,25:263-269,1983及びSambrookらを参照のこと。
【0065】
ゲノムライブラリーについて、典型的にはDNAが植物組織から抽出され、機械的に剪断され、又は酵素消化されて約15-20kbのフラグメントを生じる。次いでフラグメントが望ましくないサイズから勾配遠心分離により分離され、バクテリオファージラムダベクター中で構築される。これらのベクター及びファージがSambrookらに記載されたようにしてin vitroでパッケージされる。組換えファージはBentonら,Science,196:180-182,1977に記載されたようなプラークハイブリダイゼーションにより分析される。コロニーハイブリダイゼーションは一般にGrunsteinら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,72:3961-3965,1975により記載されたようにして行われる。関係するDNAが、例えば、サザンブロットでヌクレオチド酸プローブとハイブリッド形成するその能力によりcDNAライブラリー又はゲノムライブラリー中で同定でき、これらのDNA領域が当業者に良く知られている通常の方法により単離される。Sambrookらを参照のこと。
【0066】
核酸増幅技術、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術がmRNA、cDNA、及びゲノムライブラリー又はcDNAライブラリーから核酸配列を増幅するのに使用し得る。
PCR技術において、増幅されるDNA領域の二つの3'境界に相補性のオリゴヌクレオチドプライマーが合成され、次いで2種のプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応が行われる。PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら編集),Academic Press,San Diego(1990)を参照のこと。プライマーは所望のプロモーターを含む全領域を増幅するように選択し得る。又、PCRが所望されたこの領域の小さいDNAセグメントを増幅するのに使用し得る。
【0067】
PCR増幅技術及び関連増幅技術が幾つかの方法で使用されて、CsVMVプロモーターを含むDNA分子を単離し得る。例えば、PCRが種々のプロトコルで使用されてCsVMVプロモーターを含む核酸を単離し得る。これらのプロトコルにおいて、CsVMVプロモーターを含むDNAを増幅するのに適したプライマー及びプローブが本明細書にリストされたDNA配列の分析から生成される。
【0068】
開示された操作に使用するためのオリゴヌクレオチドは、Needham-VanDevanterら,Nucl.AcidsRes.,12:6159-6168,1984に記載されたような自動化合成装置を使用して、Beaucageら,Tetrahedron Lett.,22(20):1859-1862,1981により記載された固相ホスホルアミジトトリエステル方法に従って化学的に合成し得る。オリゴヌクレオチドの精製は天然アクリルアミドゲル電気泳動又はPearsonら,J.Chrom.,255:137-149,1983により記載されたような陰イオン交換HPLCによる。合成オリゴヌクレオチドの配列は、Maxamら,Meth.Enzymol.,65:499-560,1980の化学的分解方法を使用して確かめ得る。
【0069】
本明細書に示されたような異なる性質を有するCsVMVプロモーターの異なる形態が生成し得る。CsVMVプロモーターは当業者に知られている種々の方法で構築し得る。例えば、プロモーターはCsVMVプロモーター中の制限酵素部位をマッピングし、次いで構築された地図を使用して適当な制限酵素開裂を決定して配列のサブセットを切除することにより構築し得る。次いで短い制限フラグメントが好適なベクターに挿入し得る。作用できるように結合された異種DNA配列の発現を調節する特定のプロモーターの構築物が本明細書に示される。又、プロモーターのその他の形態が同様の様式で調製し得る。
【0070】
プロモーターの誘導体形態は作用できるように結合された異種DNA配列を発現することが示される。これは最初にリポーター遺伝子に作用できるように結合されたプロモーターの別の形態を有するベクターを調製することにより行い得る。次いで植物細胞がベクターで形質転換され、トランスジェニック植物が形質転換された植物細胞から生産される。
次いでプロモーターの制御下の遺伝子の発現が測定される。CsVMVプロモーターの別の形態による異種DNA配列の発現の実証について本明細書中の実施例を参照のこと。
【0071】
又、本発明のプロモーターを含む核酸分子が本明細書に記載されたプロモーターの配列に基いて種々の方法により合成し得る。合成は本明細書に記載されるようにオリゴヌクレオチドの生成に関する化学合成方法により行い得る。加えて、核酸分子はプロモーターの異なる部分を有する配列に相当し、連結反応により化合されて更に大きな核酸分子を生成し得る一連のオリゴヌクレオチドの合成により調製し得る。
【0072】
C.異種タンパク質を発現するためのベクター
本明細書に記載されたCsVMVプロモーターの異なる形態が発現カセット、ベクター及びその他のDNA構築物中に使用し得る。
【0073】
本発明のベクターは異種核酸配列に作用できるように結合される本発明のプロモーターヌクレオチド配列を含む核酸分子である。典型的には、ベクターは作用できるように結合されたプロモーター及びキメラ遺伝子としての異種核酸配列を発現することができる。キメラ遺伝子を発現するための使用に適したベクターは一般に公知であり、制限されることを必要としない。
【0074】
本明細書のベクター中の使用のためのキメラ遺伝子は異種核酸配列に作用できるように結合された本発明のプロモーターヌクレオチド配列の間の融合である。種々の異種核酸配列のいずれもが植物表現型を変化することができるキメラ遺伝子中に使用でき、植物、動物又はその他の生物のタンパク質又は核酸を含み得る。例示のタンパク質として、植物生産、疾患耐性、変性栄養素を利用する能力を増大するのに農業上有益なタンパク質等のタンパク質が挙げられる。
【0075】
例えば、CsVMVプロモーターは、例えば、除草剤耐性の遺伝子、菌類病耐性の遺伝子(例えば、キチナーゼ及びグルカナーゼ)、バクテリア病耐性の遺伝子(例えば、セクロピン)、及び昆虫耐性の遺伝子(例えば、B.スリンギエンシストキシン)に作用できるように結合されて使用し得る。付加的な例として、ウィルス外殻タンパク質、例えば、CsVMVの外殻タンパク質又はアフリカン・キャッサバ・モザイクウィルスのレプリカーゼが挙げられる。
【0076】
又、CsVMVプロモーターは、例えば、熟成又は分解の遺伝子(例えば、Accオキシダーゼ、Accシンターゼ、ポリガラクツロナーゼ、フィトエンシンターゼ)、着色の遺伝子、甘昧の遺伝子等の遺伝子に作用できるように結合されて使用し得る。
【0077】
CsVMVプロモーターを含む発現カセットは種々の方法で構築し得る。これらの技術は当業者に知られており、一般にSambrookらの上記文献に記載されている。
【0078】
例えば、部位誘導突然変異誘発の如き種々の操作が異種遺伝子フラグメントの開始コドンで制限部位を誘導するのに使用し得る。次いで異種DNA配列がCsVMVプロモーターに結合され、その結果、異種配列の発現がプロモーターにより調節される。次いで異種DNA配列に作用できるように結合されたCsVMVプロモーターを含むDNA構築物が種々のベクターに挿入し得る。このようなベクターとして、植物細胞の形質転換に有益である発現ベクターが挙げられる。植物細胞の形質転換に有益な多くのその他のこのようなベクターが当業者に公知の組換えDNA技術の使用により構築し得る。
【0079】
プロトプラスト又は植物組織中の発現のための例示ベクターとして、pUC 18/19又はpUC 118/119(GIBCO BRL社、MD)、pブルースクリプトSK(+/-)及びpブルースクリプトKS(+/-)(ストラタゲン、ラ・ジョラ、CA)、pT7ブルーT-ベクター(ノバゲン社、WI)、pGEM-3Z/4Z(プロメガ社、マジソン、WI)等の本明細書に記載されているようなベクターが挙げられる。
【0080】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス媒介植物形質転換を使用する発現のための例示ベクターとして、pBin19(クロンテク社)、Frischら,Plant Mol.B-iol.,27:405-409,1995;pCAMBIA 1200及びpCAMBIA1201(Center for the A-plication of Molecular Biology to International Agriculture,キャンベラ,オーストラリア)、pGA482、Anら,ENBO J.,4:277-284,1985、pCGN547、(カルゲン社)McBrideら,Plant Mol.Biol.,14:269-276,1990等の本明細書に記載されているようなベクターが挙げられる。
【0081】
遺伝子の核酸操作のための技術、例えば、発現ベクターへの主題プロモーター又は異種核酸配列のサブクローニング、標識プローブ、DNAハイブリダイゼーション等が一般にSambrookら,Molecular Cloning-A Laboratory Manual(第2編),1-3巻,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989に記載されており、これが参考として本明細書に含まれる。このマニユアルが本明細書中”Sambrookら”と称される。

D.トランスジェニック植物
【0082】
又、本発明は本明細書に記載されたキメラ遺伝子構築物中に本発明のプロモーターを含むトランスジェニック植物を意図している。植物は主題プロモーターの制御下で発現される異種核酸配列の発現のために変化された表現型を有する。それ故、トランスジェニック植物は植物の一部として本明細書に特定された発現カセットを含み、そのカセットは本発明のベクターによる植物の形質転換により導入された。
【0083】
本発明のプロモーターは単子葉植物及び双子葉植物を含む多種の植物中で機能し得るので、トランスジェニック植物は主題プロモーターを含み、プロモーターを含むキメラ遺伝子中の異種核酸配列を発現することができる植物のあらゆる型であってもよい。例示植物の種及び属が本明細書に更に記載される。
【0084】
多種の植物種を形質転換する技術は公知であり、技術文献及び科学文献に記載されている。例えば、Weisingら,Ann.Rev.Genet.,22:421-477,1988を参照のこと。本明細書に記載されるように、構成的CsVMVプロモーター又は誘導CsVMVプロモーターが好適なベクター中で所望の異種DNA配列に作用できるように結合される。異種DNAに融合されたCsVMVプロモーターを含むベクターは典型的には選択可能な表現型を植物細胞に与えるマーカー遺伝子を含むであろう。例えば、マーカーは殺生物剤耐性、特に抗生物質耐性、例えば、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ヒグロマイシンに対する耐性、又は除草剤耐性、例えば、クロルスルフロンもしくはバスタに対する耐性をコードし得る。このような選択的マーカー遺伝子はトランスジェニック植物の生産のプロトコルに有益である。
【0085】
異種DNAに結合されたCsVMVプロモーターを含むDNA構築物は種々の通常の技術により所望の植物宿主のゲノムに導入し得る。例えば、DNA構築物は植物細胞プロトプラストのエレクトロポレーション及びマイクロインジェクションの如き技術を使用して植物細胞のDNAに直接導入し得る。又、DNA構築物はDNA微粒子衝撃の如きバイオリスチック(biolistic)方法を使用して植物組織に直接導入し得る。加えて、DNA構築物は好適なT-DNA隣接領域と組み合わされて、アグロバクテリウム・ツメファシエンス宿主ベクターに導入し得る。アグロバクテリウム・ツメファシエンス宿主のビルレンス機能は、細胞がバクテリアにより感染される時に植物細胞DNAへの構築物及び隣接マーカーの挿入を誘導するであろう。
【0086】
マイクロインジェクション技術は当業界で知られており、科学文献及び特許文献に良く記載されている。ポリエチレングリコール沈殿を使用するDNA構築物の導入がPaszkowskiら,EMBO J.,3:2717-2722,1984に記載されている。エレクトロポレーション技術はFrommら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:5824,1985に記載されている。バイオリスチック形質転換技術はKleinら,Nature 327:70-73,1987に記載されている。引用された全ての文献の完全な開示が参考として本明細書に含まれる。
【0087】
変化は小さいビーズもしくは粒子のマトリックス内、又はその表面における核酸を含む小さい粒子による高速のバイオリスチック侵入を伴う(Kleinら,Nature,327:70-73,1987)。典型的には新しい核酸セグメントの単一導入のみが必要とされるが、特にこの方法は多重導入を与える。
【0088】
アグロバクテリウム・ツメファシエンス媒介形質転換技術は科学文献に良く記載されている。例えば、Horschら,Science,233:496-498,1984、及びFraleyら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:4803,1983を参照のこと。アグロバクテリウム・ツメファシエンスによるCsVMVプロモーターを含むベクターによる植物細胞の形質転換の実証に関する本明細書中の実施例を参照のこと。
【0089】
更に詳しくは、植物細胞、外植体、分裂組織又は種子がセグメントで形質転換されたアグロバクテリウム・ツメファシエンスで感染される。当業界で知られている適当な条件下で、形質転換された植物細胞が生育されて茎、根を形成し、更に植物に発育する。核酸セグメントは、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのTiプラスミドにより適当な植物細胞に導入し得る。Tiプラスミドはアグロバクテリウム・ツメファシエンスによる感染後に植物細胞に伝搬され、植物ゲノムに安定に組込まれる(Horschら,Science,233:496-498,1984; Fraleyら,Proc.Nat'1.Acad.Sci.USA,80:4803,1983)。
【0090】
Tiプラスミドは形質転換された細胞の生産に必須の二つの領域を含む。転移DNA(T DNA)と称されるこれらの一つが腫瘍形成を誘発する。ビルレント領域と称されるその他の領域が植物へのT DNAの導入に必須である。転移DNA領域(これは植物ゲノムに転移する)は、その転移能力に影響しないで、外来核酸配列の挿入によりサイズを増大し得る。腫瘍を生じる遺伝子を除去し、それらが最早干渉しないようにすることにより、修飾Tiプラスミドはその後に適当な植物細胞への本発明の遺伝子構築物の転移のためのベクターとして使用でき、このようなベクターが“不能Tiベクター”である。
【0091】
アグロバクテリウムにより形質転換し得る全ての植物細胞及びその形質転換された細胞から再生された全植物が又転移された外来核酸配列を含む形質転換された全植物を生産するように本発明に従って形質転換し得る。
【0092】
植物細胞をアグロバクテリウムにより形質転換するのに種々の方法があり、
(1)培養された単離されたプロトプラストと一緒のアグロバクテリウムの同時培養、 (2)アグロバクテリウムと一緒の細胞又は組織の同時培養、又は
(3)アグロバクテリウムによる種子、頂部又は分裂組織の形質転換
が挙げられる。
【0093】
方法(1)はプロトプラストの培養及び培養されたプロトプラストからの植物再生を可能にする樹立された培養系を必要とする。
【0094】
方法(2)は(a)植物細胞又は組織がアグロバクテリウムにより形質転換でき、かつ(b)形質転換された細胞又は組織が全植物に再生するように誘導し得ることを必要とする。
【0095】
方法(3)は微量繁殖を必要とする。
【0096】
2成分系において、感染力を有するために、2種のプラスミド:T-DNA含有プラスミド及びvirプラスミドが必要とされる。幾つかのT-DNA含有プラスミドのいずれか一つが使用でき、唯一の要件は一種のプラスミドが2種のプラスミドの夫々について独立に選択し得ることである。
【0097】
植物細胞又は植物の形質転換後に、Tiプラスミドにより形質転換され、その結果、所望のDNAセグメントが組込まれるこれらの植物細胞又は植物が適当な表現型マーカーにより選択し得る。これらの表現型マーカーとして、抗生物質耐性、除草剤耐性又は目視観察が挙げられるが、これらに限定されない。その他の表現型マーカーが当業界で知られており、本発明に使用し得る。
【0098】
本発明は双子葉植物及び単子葉植物の両方を含むあらゆる植物の形質転換における特許請求されたプロモーターの使用を含む。双子葉植物の形質転換が上記文献に記載されている。エレクトロポレーション(例えば、Shimamotoら,Nature,338:274-276,1992;バリスチックス(例えば、欧州特許出願第270,356号)、及びアグロバクテリウム(例えば、Bytebierら,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA,84:5345-5349,1987)を含む種々の技術を使用する単子葉植物の形質転換が知られている。
【0099】
上記形質転換技術のいずれかにより誘導される形質転換された植物細胞が培養されて所望の形質転換された表現型を有する全植物を再生し得る。このような再生技術はヌクレオチド配列と一緒に導入された殺生物剤及び/または除草剤マーカーに典型的にたよる組織培養培地中の或る種の植物ホルモンの操作に頼る。培養されたプロトプラストからの植物再生がEvansら,Handbook of Plant CellCulture,124-176頁,MacMillan Publishing Company,New York,1983、及びBinding,Regeneration of Plants,Plant Protoplasts,21-73頁,CRC Press,Boca Raton,1985に記載されている。又、再生は植物カルス、外植体、器官、又はこれらの部分から得られる。このような再生技術が一般にKleeら,Ann.Rev.Plant Phys.,38:467-486,1987に記載されている。
【0100】
本発明に有益なトランスジェニック植物を生産するための付加的な方法が米国特許第5,188,642号、同第5,202,422号、同第5,463,175号、及び同第5,639,947号明細書に記載されており、これらの開示が参考として本明細書に含まれる。
【0101】
当業者は、CsVMVプロモーターを含む発現カセットがトランスジェニック植物に安定にとり込まれ、作用し得ることが確かめられた後に、それが有性交雑によりその他の植物に導入し得る。幾つかの通常の育種技術のいずれかが、交雑される種に応じて使用し得る。
【0102】
本発明の方法及び組成物は、フラガリア属、ロータス属、メジカゴ属、オノブリチス属、トリフォリウム属、トリゴネラ属、ビグナ属、シトラス属、リナム属、ゼラニウム属、マニホット属、ダウカス属、アラビドピス属、ブラシカ属、ラファナス属、シナピス属、アトロパ属、カプシクム属、ヒョーシャマス属、リューコペルシコン属、ニコチアナ属、ソラナム属、ペツニア属、ジギタリス属、マジョラナ属、シオホリウム属、ヘリアンサス属、ラクツカ属、ブロムス属、アスパラガス属、アンチリナム属、ヘレコカリス属、ネメシア属、ペラルゴニウム属、パニカム属、ペニセタム属、ラナンカルチス属、セネシオ属、サルピグロシス属、ククミス属、ブロワリア属、グリシン属、ロリウム属、ゼア属、トリチクム属、ソルグム属、ダツラ属、クリサンセマム属、ジアンタス属、ゲルベラ属、ユウフォルビア属、イポモエア属、パッシフロラ属、シクラメン属、マルス属、プルナス属、ローザ属、ルバス属、ポプラス属、サンタルム属、アリウム属、リリウム属、ナルシサス属、アナナス属、アラキス属、ファセオラス属及びピスム属からの種を含み、更に特別に油穀物、例えば、カノラ(ブラシカ種)、綿(ゴシピウム種)、落花生(アラキス種)、ヒマワリ(ヘリアンタス種)、ヤシ(エラエイス種)、アマ(リナム種)、サフラワー(カルタムス種)、ココナツ(ココス種)及び大豆(グリシン種);穀物、例えば、コムギ(トリチクム種)、トウモロコシ(ゼア種)、モロコシ(モロコシ種)、大麦(ホルデウム種)、ラィ麦(セカル種)、エンバク(アベリア種)及び米(オリザ種);果実作物、例えば、バナナ(ムサ種)、シトラス(シトラス種)、ベリー(例えば、ストロベリー(フラガリア種)又はラズベリー(ラバス種))、マンゴ(マンギフェラ種)、メロン(ククミス種)、ナシ(ピラス種)、キュウリ(ククミス種)、及びアンズ、モモ、サクランボ、プラム及びプルーン(プラナス種);野菜作物、例えば、エンドウ豆(ピスム種)、豆(ビシア種)、ブロッコリー及び関連アブラナ科植物(ブラシカ種)、ホウレンソウ(スピナシア種)、タマネギ(アリウム種)、セロリ(アピウルチ種)、ニンジン(ダウカス種)、アスパラガス(アスパラガス種)、及びアーティチョーク(ヘリアンタス種);トマト(リューコペルシコン・エスクレニウム)、コショウ(カプシクム・アヌウム);付加的な鑑賞作物、例えば、チューリップ(チューリッパ種)、キンギョソウ(アンチリナム種)、ユリ(アイリス種)、ラン(シンビジウム種及びカトレア種)、テンジクアオイ;飲料用作物、例えば、コーヒー(コフィー種)及び茶(ティー種);ハーブ作物、例えば、ミント(メンタ種)、ジャコウソウ(チムス種)、マヨラナ(オリガナム種)、オクラ、コーヒー、ジャガイモ、塊茎植物、タロイモを含む広範囲の植物の型にわたって用途を有する。

E.植物中で異種核酸を発現する方法
【0103】
本発明のCsVMVプロモーターを含むDNA構築物、キメラ遺伝子及び発現カセットを使用して植物細胞を形質転換し、所望の表現型特性を有するトランスジェニック植物を生産し得る。所望の表現型をトランスジェニック植物中に生じるのに使用し得る種々の異なるアプローチがある。例えば、本明細書に記載された方法を使用することにより、新規な遺伝子をCsVMVプロモーターに作用できるように結合し、植物細胞を形質転換することができる。トランスジェニック植物は、新規な遺伝子産物がトランスジェニック植物の全ての組織又は或る種の組織のみ中で生じられるように形質転換された植物細胞から生産し得る。これに関して、“新規な遺伝子”という用語は植物中に通常存在しない遺伝子又は存在する場合に、特別な植物細胞組織中で通常発現されない遺伝子を表す。新規な遺伝子の発現は変化された表現型をトランスジェニック植物に与えるタンパク質の生産をもたらし得る。
【0104】
こうして、本発明は
a)植物細胞を異種核酸配列に作用できるように結合される本発明のプロモーターヌクレオチド配列を含むベクターで形質転換し、そして
b)異種核酸配列が植物細胞中で発現される条件下で植物細胞を生育することを特徴とする植物細胞中で異種核酸配列を発現する方法を意図している。
【0105】
植物細胞を形質転換する方法は広く変化することができ、制限される必要はない。例示の形質転換方法が本明細書に記載される。
【0106】
発現方法は異種核酸配列の発現及び転写後に所望の表現型を与える異種タンパク質を与え、アンチセンス分子として機能し得る発現された核酸を与え、遺伝子発現又は核酸のプロセシングを調節することができる発現された核酸を与えるような物体等の物体をトランスジェニック植物内に含むことができる。
【0107】
それ故、異種DNA配列に作用できるように結合されたCsVMVプロモーターを含む DNA構築物が内因性植物遺伝子の発現を抑制する幾つかの技術、例えば、センス又はアンチセンス抑制に使用し得る。アンチセンス技術において、所望の植物遺伝子からの核酸セグメントがクローン化され、CsVMVプロモーターに作用できるように結合され、その結果、RNAのアンチセンスストランドが合成されるであろう。次いで構築物が植物に形質転換され、RNAのアンチセンスストランドが生成される。植物細胞中で、アンチセンスRNAが遺伝子発現を抑制することが示されていた。例えば、Sheehyら,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,85:8805-8809,1988、及びHiattらの米国特許第4,801,340号(これらは参考として本明細書に含まれる)を参照のこと。
【0108】
アンチセンス抑制において導入される核酸セグメントは一般に抑制される内因性の一つ以上の遺伝子、一つ以上の機能の少なくとも一部と実質的に同じであるが、同じである必要はない。本発明のベクターは、抑制効果が標的遺伝子に対し相同性又は実質的な相同性を示す遺伝子のファミリー内のその他のタンパク質に適用されるように設計し得る。遺伝子からのセグメントは(1)異なる植物種中で相同遺伝子の発現を直接抑制し、又は(2)相当する配列(これらは遺伝子を抑制するのに使用し得る)を得る手段として使用し得る。
【0109】
又、導入された配列は一次転写産物又は充分にプロセシングされたmRNAに関して完全長である必要はない。一般に、高い相同性が短い配列の使用を補完するのに使用し得る。更に、導入された配列は同じイントロン又はエキソンパターンを有する必要はなく、非コーディングセグメントの相同性が同等に有効であろう。通常、約30又は40ヌクレオチド〜約2,000ヌクレオチドの配列が使用されるべきであるが、少なくとも約100ヌクレオチドの配列が好ましく、少なくとも約200ヌクレオチドの配列が更に好ましく、少なくとも約500ヌクレオチドの配列が特に好ましい。
【0110】
又、触媒RNA分子又はリボザイムが内因性植物遺伝子の発現を抑制する手段としての用途を有することが報告されていた。実際にあらゆる標的RNAと特異的に対合し、ホスホジエステル主鎖を特定の位置で開裂し、それにより標的RNAを機能上不活化するリボザイムを設計することが可能である。この開裂を行う際に、リボザイムそれ自体は変化されず、こうしてその他の分子を循環し、開裂することができ、それを真の酵素にする。アンチセンスRNA内のリボザイム配列の包含はその時にRNA開裂活性を与え、それにより構築物の活性を増大する。
【0111】
幾つかの場合のリボザイムが同定された。リボザイムの一つのクラスは植物中で自己開裂し、複製することができる幾つかの小さい環状RNAから誘導される。RNAは単独で複製し(ウイロイドRNA)、又はヘルパーウィルスにより複製する(サテライトRNA)。例として、アボカド・サンブロッチ(avocado sunb-lotch)ウイロイドからのRNA並びにタバコ・リングスポットウィルス、ルサーン・トランジエント・ストリーク(lucern transient streak)ウィルス、ベルベット・タバコ・モトルウィルス、ソラナム・ノジフロラム・モトル(solanum no-diflorum mottle)ウィルス及びサブターラネアン・クロバー・モトル(subterra-nean clover mottle)ウィルスからのサテライトRNAが挙げられる。標的RNA特異性リボザイムの設計及び使用がHaseloffら,Nature,334:585-591,1988に記載されている。
【0112】
好ましい抑制方法はセンス抑制である。センス配向の形態の核酸の導入は標的遺伝子の転写をブロックするのに有効な手段であることが示されていた。内因性遺伝子の発現を調節するためのこの方法の使用の例について、Napoliら,The P-lant Cell,2:279-289,1990、及び米国特許第5,034,323号明細書を参照のこと。センス抑制は熟成調節(例えば、Accオキシダーゼ又はAccシンターゼ)、甘味調節(例えば、ADPGピロホスホリラーゼ)、又は着色改良(例えば、カルコンシンターゼ)に好ましい方法である。米国特許第5,034,323号明細書を参照のこと。
【0113】
一般に、センス抑制において、導入された配列の転写が生じる。又、導入された配列がコーディング配列それ自体を含まないが、イントロン又は内因性配列の一次転写産物中に存在する配列に相同の未翻訳配列のみを含む場合に、その効果が生じ得る。導入された配列は一般に抑制されることが意図されている内因性配列と実質的に同じであろう。この最小の同一性は典型的には約65%より大きいであろうが、それより高い同一性が内因性配列の発現の更に有効な抑制を与えるのに有益である。約80%よりも実質的に大きい同一性が好ましいが、約95%〜絶対同一性が最も好ましいであろう。その効果は相同性又は実質的な相同性を示す遺伝子の同様のファミリー内のその他のタンパク質に適用し得る。遺伝子からのセグメントは(1)異なる植物種中で相同遺伝子の発現を抑制するのに直接使用でき、又は(2)相当する配列(これらは遺伝子を抑制するのに使用し得る)を得る手段として使用し得る。
【0114】
センス抑制において、導入された配列(絶対同一性より小さい同一性を必要とする)は一次転写産物又は充分にプロセシングされたmRNAに関して完全長であることを又必要としない。完全長より短い配列中の高い同一性が長い、それ程同一ではない配列を補完する。更に、導入された配列は同じイントロン又はエキソンパターンを有する必要はなく、非コーディングセグメントの同一性が同等に有効であり得る。少なくとも50塩基対のサイズの配列が好ましく、更に大きい長さの配列が更に好ましい。米国特許第5,034,323号明細書を参照のこと。
【0115】
CsVMVプロモーターに結合された異種DNA配列の発現は、異種配列の性質に応じて幾つかの方法で検出し得る。例えば、所望の表現型について分析し得る。CsVMVプロモーターの制御下の異種DNA配列の成功裏の発現をもたらす所望の表現型は、導入される表現型形質に応じて種々の方法で測定し得る。例えば、除草剤に対する耐性が除草剤による処理により検出し得る。
【0116】
又、異種DNAの発現は特定のRNA転写産物の測定により検出し得る。これは、例えば、RNAse保護操作又はノーザンブロット作用できるように行い得る。異種DNA配列が新規なタンパク質をコードする場合、タンパク質生成物は、例えば、その機能又は種々のイムノアッセイ技術により分析し得る。例えば、酵素活性を有する新規なタンパク質生成物が酵素アッセイで測定し得る。
【実施例】
【0117】
実施例
下記の実施例は説明のために示されるのであり、限定のためではない。
1.キャッサバ葉脈モザイクウィルス(CsVMV)プロモーターの単離
分子技術をSambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Sp-ring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に実質的に記載されたようにして行った。
【0118】
ヌクレオチド番号はCalvertら,J Gen Virol,76:1271-1276,1995により報告され、ジーンバンク受理番号U59751及びU20341により公表されたようなキャッサバ葉脈モザイクウィルスゲノムヌクレオチド配列を表す。ジーンバンクは米国国立健康協会(ベセスダ、MD)にある国立バイオテクノロジー情報センターにある国立医療ライブラリーにより提供されたヌクレオチド配列データベースである。初期のCsVMV完全長ゲノムクローンはR.Shepherd博士(ケンタッキー大学)により提供された。プラスミドpCKIZ(Anza,O.,Replication and mapping of caul-imoviruses,PhD thesis,University of California,David,USA,1982)のBalII部位の特異なBaglII部位で切断された完全長CsVMVウィルスゲノムDNAをつなぐことによりクローンを構築した。都合の良い制限部位を使用して、6種のオーバーラップフラグメントを単離し、夫々のフラグメントをプラスミドpUC119中でクローン化した。アプライド・バイオシステムズ モデル373A配列決定装置を使用して、色素標識プライマーを使用するTaq媒介延長により自動配列決定を行った。必要な場合、PCR反応を行い、PCR産物の直接配列決定を行った。自動配列決定装置の製造業者により提供されたSeqEdソフトウェアを使用して配列データを編集した。
【0119】
ゲノムクローンから直接誘導した制限フラグメントをpUC119プラスミドにクローン化した。これらのサブクローンを使用して、コンセンサスTATAボックスモチーフを含む2種のウィルスDNAフラグメントを単離した(図1)。CVP1と称されるフラグメントはCsVMVヌクレオチド7235-7623を含み、これをAluI酵素消化により得た。CsVMVヌクレオチド7160-7675を含む更に大きいフラグメントをCVP2と称し、PCR増幅により単離した。PCR反応に使用した2種のオリゴヌクレオチドは、プライマー1、5'ACCGGTACCAGAAGGTAATTATCCAAGATGT3'(配列番号18)(5'末端にKpnI制限部位を付加したヌクレオチド7160-7183からのCsVMV配列)及びプライマー2、5'CGGAATTCAAACTTACAAATTTCTCTGAAG3'(配列番号19)(5'末端にEcoRI制限部位を付加したヌクレオチド7652-7675に相補性のCsVMV配列)であった。増幅反応は25pモルの夫々のプライマー、200μHの夫々のdNTP、増幅される配列を含むプラスミドDNA100ng、2.5U Pfuのポリメラーゼ及び適当な緩衝剤(ストラタゲン)を含んでいた。初期の変性を94℃で5分間行い、次いで反応混合物を15サイクルの夫々について94℃で1分間変性し、60℃で1分間アニールし、72℃で1分間延長した。最終伸長を72℃で5分間行った。続いて増幅産物の配列の正確さをジデオキシヌクレオチド鎖終止配列決定(シーケナーゼ−USB)により確認した。
【0120】
キメラプラスミドpILTAB:CVP1及びpILTAB:CVP2(図1)を使用してプロモータ活性を研究し、これらを以下に記載されるようにして調製した。CVP1プロモーターフラグメント及びCVP2プロモーターフラグメントをpGN100のSmaI部位及びEcoRI/KpnI部位に夫々つないだ。pUC119誘導プラスミドは図1に示されるようにノパリンシンターゼ遺伝子の3'ポリアデニル化シグナル(nos3')に結合されたuidAコーディング配列を含んでいた。
【0121】
CsVMVプロモーター:uidA融合遺伝子を含むカセットをpILTAB:CVP1及びpILTAB:CVP2からKpnI/HindIII消化により切除し、アグロバクテリウム媒介植物形質転換に使用されるpBIN19 2成分ベクター(クロンテク)中のKpnI/HindIII部位でサブクローン化した。プラスミドpe35GNは増進された35Sプロモーター(Kayら,Science,236:1299-1302,1987)、及びnos3'末端に結合されたuidAコーディング配列を含む。プラスミドpDO432は35Sプロモーターの制御下にフォチヌス・ピラリスからのルシフェラーゼコーディング配列を含む(Owら,Science,234:856-859,1986)。一時的アッセイ実験に使用したプラスミドpILTAB:CVP1、pILTAB:CVP1及びpe35GNは夫々約5.5kbのサイズである。
【0122】
2.CsVMVプロモーターに関する転写開始部位
実施例4に記載されるようにして調製したCVP1:uidA融合遺伝子を宿しているトランスジェニックタバコ植物から回収した全RNAを使用して、CsVMVプロモーターの転写開始部位をプライマー伸長分析により決定した。
【0123】
全RNAをPrescott及びMartin,Plant Mol Biol Reporter,4:219-224,1987に記載されたようにして、わずかに改良して、トランスジェニックタバコ植物の若い葉から抽出した。プライマー伸長を配列5'-CGCGATCCAGACTGAATGCCCACAGGCCGTCGAG-3'(配列番号20)を有する34bpの長さのオリゴヌクレオチド(これはuidA遺伝子中のATG開始コドンの下流の領域34ヌクレオチドに相補性である)を用いて行った。6UのT4ポリヌクレオチドキナーゼ(USB)及び7μCiの[γ-32P]ATP(3000μCi/ミリモル、10μCi/μl)を使用して、オリゴヌクレオチド(20pモル)を5'末端標識した。標識反応後に、ヌクトラップ・プッシュカラム(ストラタゲン)を使用して、プライマーを精製した。標識したプライマ−1/10pモルをトランスジェニック植物からの全RNA50μgと混合した。アニールを12時間にわたって30℃又は40℃で行い、伸長反応を20UのAMV逆転写酵素(ギブコ-BRL)を用いて42℃で1時間進行させた以外は、実験をSambrookら,Molecular c-loning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に従って行った。伸長産物を7Mの尿素を含む7.5%のポリアクリルアミドゲルで分離した。同標識プライマーを用いて行った配列反応(シーケナーゼ-USB)を同じゲル上の隣接ライン中で電気泳動にかけた。
【0124】
単一主要伸長産物を検出し、推定TATAボックスの35ヌクレオチド下流に位置されたアデニン残基(nt.7604)にマッピングした(図2)。その他の植物パラレトロウィルスプロモーターについて報告された転写の開始の位置(Guilleyら,C-ell,30:763-773,1982; Hayら,Nucl Acids Res,19:2615-2621,1991;Medbe-rryら,Nucl Acids Res,18:5505-5513,1990;及びSanfa on,H.,Virology,198:39-49,1994)との比較により、nt.7604にあるここに報告された転写開始部位はCsVMV転写産物の5'末端に相当する。TATAボックスから転写の開始までのCsVMVプロモーターの配列をカリモウィルスプロモーターFMV34S及びCaMV35S(Gardnerら,Nucl Acids Res,9:2871-2887,1981.17;及びRichinsら,Nucl Acids Res 15:8451-8466,1987)の配列と比較することにより、本発明者らはこれらの3種のプロモータ一がこの領域中で互いに密接に関係しているものと結論した。対照的に、バドナウィルスからのプロモーター(ComYMV及びRTBV)とはそれ程相同性がない。
【0125】
CsVMVゲノムのプロモーター領域のヌクレオチド配列が図3に示され、Calvertら,J Gen Virol,76:1271-1276,1995により報告された結果により確認した。図3に示されたナンバリング系は転写開始部位に基き、この場合、+1はゲノム配列番号を使用してnt.7604として本明細書に報告された転写開始部位に相当する。こうして、CVP1は位置-368〜+20の387ヌクレオチドを含み、CVP2は位置-443〜+72の514ヌクレオチドのフラグメントを含む(図3)。
【0126】
パラレトロウィルスプロモーター配列、即ち、35SCaMV(Gardnerら,Nucl Acid Res,9:2871-2887,1981)、34S FMV(Richinsら,Nucl Acids Res 15:8451-8466)、RTBV(Quら,Virology,185:354-364,1991)、及びComYMV(Medberryら,Nucl Acids Res,18:5505-5513,1990)プロモーターとのCsVMVプロモーター配列の比較は前記保存TATAボックス、及び35CaMVプロモーター、FMVプロモーター及びComYMVプロモーターに見られる転写エンハンサーas1との強い相同性を有する17ヌクレオチドモチーフAGACGTAAGCACTGACG(位置-203〜-219)(配列番号21)の存在を明らかにした。又、ComYMVプロモーター中に存在するが、RTBVプロモーター又はカリモウィルスプロモーター中に存在しない22ヌクレオチド配列CTTATCACAAAGGAATCTTATC(位置-90〜-111)(配列番号22)を同定した。この制限された相同性は、本発明者らが特有の植物パラレトロウィルスプロモーターを単離したことを示した。
【0127】
加えて、ウィルス分類学の分野における最近の開発はカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)とキャッサバ葉脈モザイクウィルス(CsVMV)の相違を新しい属がCsVMVに適用された程度に認めていた。詳しくは、ウィルスの分類学に関する国際会議(ICTV)が1997年5月に集会してウィルス命名法の変化を採用し、その結果、CsVMVは属“キャッセモウィルス”にあり、CaMVは属カリモウィルスにある。
【0128】
その変化の基礎が図4に要約され、これは種々の関連ウィルスのゲノム編制の比較を示す。特に、主要タンパク質の2種(外殻タンパク質及び運動タンパク質)の順位がCaMVに対してゲノムで逆転され、これらの2種のタンパク質がポリタンパク質としてプロセシングされる単一ORFによりコードされ、一方、CaMVでは、これらの2種のタンパク質がORF1及びORF4と称される二つの別々のORFによりコ一ドされ、ORFの多くの実際のヌクレオチド配列がCaMVとは実質的に異なることが注目される。
【0129】
マッキントッシュ用のDNASTARパッケージ(DNASTAR社、マジソン、WI)からのプログラムを使用して、ウィルス配列を分析した。夫々のウィルス株について下記の公開番号(括弧中)を使用して、公表された配列をジーンバンクから得た。CaMVストラスブルグ株(J02048)、CERV(X04658)、FMV(X06166)、SVBV(X97304)、PCSV(U13988)、SbCMV(X15828)、RTBV(M65026)、ComYMV(X52938)、CSSV(L14546)、ScBV(M89923)。
【0130】
CaMVとCsVMVの間の相同性の程度に関して、プロモーター配列間に約23%の相同性があり、一方、CaMVプロモーター及びFMVプロモーターは約47%の相同性を示すことが注目される。同様に、ORF1の開始〜ORF5の末端の領域の配列により、CaMVとFMVの間の56%の相同性と較べて、CsVMVとCaMVの間に35%の相同性がある。
【0131】
3.プロトプラスト単離、形質転換及び培養
タバコプロトプラストをBY-2(ニコチアナ・タバクムL、cv.ブライトイエロー)細胞懸濁培養物から単離し、Kikkawaら,J.Gen.Virol.,63:457-467,1982により実質的に記載されたようにしてDNAでトランスフェクトした。
【0132】
キャッサバプロトプラストをマニホット・エスクレンタL.cv TMS60444胚細胞懸濁培養物(Taylorら,Proceedings of the Second International Scientific Meeting of the Cassava Biotechnology Network‐CBN II,Bogor,Indonesia,229-240頁,1995)から調製した。生後10日の培養物(培地を2日毎に更新した)50mlをプロトプラスト単離のために回収した。酵素消化の前に、細胞を0.55Mのマンニトール、3.2g/lのシュレンク及びヒルデルブラント塩(シグマ)、1xムラシゲ及びスコーグビタミン(シグマ)、20mMのCaCl2、pH5.8を含む培地[培地A]30ml中で再度懸濁させた。細胞を沈降させ、培地Aを2%セルラーゼ・オノズカRS及び0.1%のペクトリアーゼY23により補給された培地Aからなる酵素溶液により交換した。消化を暗所で27℃で3.5時間行った。細胞を最初の1時間の処理中に穏やかに攪拌した。インキュベーション混合物を100μm及び70μmの篩により連続して濾過した。プロトプラストを培地A中で100xgで10分間にわたって遠心分離により3回洗浄した。血球計数器を使用して、プロトプラストの数を推定した。
【0133】
精製プロトプラストを5mMのMes、130mMのNaCl、10mMのCaCl2、0.45Mのマンニトール、pH5.8を含むエレクトロポレーション緩衝液中で106細胞m/lの最終密度まで再度懸濁させた。ここで調製された夫々のプラスミド30μgを含むエレクトロポレーション緩衝液200μlを0.4cmの路長のキュベット中のプロトプラスト懸濁液800μlに添加した。500μFのキャパシタンスで300Vのパルスを送出するジーン・パルサー装置(バイオラド)を使用して、DNAとり込みを行った。エレクトロポレーション後に、プロトプラストを氷中で30分間インキュベートし、その後にそれらを2%の蔗糖及び5x10-5Mのピクロランを補給した培地A中で105細胞/mlの密度で再度懸濁させた。暗所で27℃で24時間のインキュベーション後に、プロトプラストを遠心分離(100xgで10分間)により回収し、GUS抽出緩衝液(Jeffersonら,EMBO J,6:3901-3907,1987,pH7.7)中で再度懸濁させた。

4.アグロバクテリウムによる植物形質転換
【0134】
pBIN19プラスミド中に存在し、実施例に記載されたようにして調製された遺伝子構築物をエレクトロポレーション(Singhら,Focus,15:84-87,1993)によりアグロバクテリウム・ツメファシエンス株LBA4404に導入した。Horschら,Plant Molecular Biology Manual,A5/1-A5/9.Kluwer academic publishers,Dordre-cht,1988に記載された操作に従って、修飾アグロバクテリウムを使用してニコチアナ・タバクムcvキサンチNN葉盤を感染した。再生カナマイシン耐性植物を土壌に移し、温室中で生育した。CVP1構築物を含む7種の独立のトランスジェニック系統及びCVP2構築物を含む8種を生産した。温室生育植物を自家受精させ、R1種子を回収した。R1種子をカナマイシンを含むムラシゲ及びスコーグ(MS)培地(Murashigeら,Physiol Plant,15:473-497,1962)で発芽させ、幼植物を温室で生育した。
【0135】
5.粒子衝撃を使用する植物形質転換
葉及び幹をMS塩及びビタミン、蔗糖20g/l、CuSO42μM、フィタゲル3g/l、pH5.7を含む培地でin vitro生育したキャッサバ小植物(品種Mcol1505)から切断した。外植体を切片化し、続いて組織フラグメントを固化培地を含む9cmのペトリ皿の中央に配置した。微量衝撃をヘリウム誘導粒子送出系(PDS1000/He-バイオラド)を用いて行った。金粒子(平均直径1.6μm)の調製及びDNAによる粒子の被覆を指示マニュアル(バイオラド)により実質的に記載されたようにして行った。標的プレートを底から第三レベルにあるガンチャンバーに入れ、その間アッセンブリーマクロキャリア/ストッピングスクリーンを第五レベルに置いた。夫々のプレートを実施例に記載されたようにして調製されたプラスミドDNA約1μgで1100PSIの圧力で2回ショットした。衝撃後に、無菌水をプレートに添加して物質の乾燥を防止した。外植体を組織化学GUS分析の前に暗所で25℃で2日インキュベートした。
【0136】
pMON410(モンサント社)と混在してpILTAB:CVP2を使用して、7種のトランスジェニック米系統(オリザ・サチバL.タイペイ309)をLiら,Plant Cell Reports,12:250-255,1993により記載されたようにして粒子衝撃により得た。pMON410はヒグロマイシンに対する耐性の遺伝子を有する。
【0137】
6.CsVMVプロモーター活性を測定するためのルシフェラーゼアッセイ及びグルクロニダーゼアッセイ
トランスフェクトされたプロトプラストをGUS抽出緩衝液、pH7.7中で2分間攪拌することにより溶解した。抽出物を小型遠心分離機中で4℃で遠心分離(5000xg、5分間)により浄化した。上澄みを回収し、MUGアッセイ及びLUCアッセイに使用した。4−メチル−ウンベリフェリル−β−D−グルクロニド(MUG-シグマ)を使用して、GUS活性をJeffersonら,EMBO J,6:3901-3907,1987の方法により測定し、抽出物50μlについて1時間当たりのメチルウンベリフェロン(MU)pモル数として定量した。ルシフェラーゼアッセイ(アナリチカル・ルミネセンス・ラボラトリー、サンジエゴ、CA)を使用して、LUC活性を同タンパク質抽出物50μlについてルミノメーター(モノライト2010)で測定した。uidA遺伝子+ルシフェラーゼプラスミドによる細胞のコトランスフェクションが本発明者らに実験間のGUS活性の変化を標準化させた(Leckieら,BioTechniques,17:54-57,1994)。標準化GUSデータを放出された光の単位当たり時間当たりのメチルウンベリフェロン(MU)pモル数として表した。
【0138】
トランスジェニック植物組織をGUS緩衝液、pH8中で粉砕し、GUS活性をJef-fersonら,EMBO J,6:3901-3907,1987に記載されたようにして評価した。酵素活性(pモル/分)をBradford,M.,Anal.Biochem,72:248-254,1976の色素結合方法により測定してmgタンパク質と称した。
【0139】
GUS活性の組織化学分析をJeffersonら,EMBO J,6:3901-3907,1987により実質的に記載されたようにして行った。一次形質転換体又はR1子孫からの葉及び幹の小さいフラグメントを1mMの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルグルクロニド(X-gluc)、100mMのリン酸ナトリウ ム緩衝液、pH7、2mMのフェロシアン化カリウム及びフェリシアン化カリウム、及び0.1%のトリトンX-100を含む反応緩衝液中で4〜8時間にわたって37℃でインキュベートした。根及び花器官をシアン化物塩を欠き、組織褐変を減少するための0.1%のメルカプトエタノールを含む同培地中でインキュベートした。手で切断した組織切片を採取し、70%のエタノール中できれいにした。染色切片をザイス顕微鏡で視覚化した。
【0140】
7.CsVMVプロモーターを使用する内因性遺伝子の発現
a.タバコプロトプラスト及びキャッサバプロトプラスト中の発現
細胞懸濁培養物から得られたタバコプロトプラスト及びキャッサバプロトプラストを使用して、プロモーターフラグメントCVP1及びCVP2を一時的アッセイ実験で試験した。この実験において、本発明者らはプラスミドpILTAB:CVP1及びpILTAB:CVP2を使用した。増進35Sプロモーター(e35S)(Kayら,Science,236:1299-1302,1987)の制御下にuidA配列を含むプラスミドpe35GNが陽性対照として利用することができた。夫々のプラスミドをCaMV35Sプロモーター(Owら,Science,234:856-859,1986)の制御下にルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドとともにプロトプラストに同時導入した。GUS/LUC比を夫々のトランスフェクション実験後に測定した。4回の独立のトランスフェクション実験を行い、同様の結果を得、図5に要約する。タバコプロトプラストでは、CVP1プロモーターに関するGUS/LUC比は0.58、又はe35Sプロモーターにより測定した発現のレベル(1.32)の約50%であった。しかしながら、CVP2フラグメントを使用した場合、その比は1.3、又はCVP1よりも2倍活性であった。2種のフラグメントの相違は、CVP1が高レベル発現に一つ以上の重要な要素を欠いていることを示す。CVP2プロモーター及びe35Sプロモーターは同様のGUS活性を生じ、CsVMVプロモーターがタバコプロトプラスト中で強力なプロモーターであることを示した。キャッサバプロトプラストにおける同様の研究はタバコの結果に匹敵する結果を生じ、CsVMVプロモーターが又これらの細胞中で非常に有効であることを示した。
【0141】
b.タバコ植物及び米植物中の発現
CVP1プロモーター-uidA遺伝子融合を含む7種の形質転換されたタバコ系統及びCVP2プロモーターを含む8種を本明細書に記載されたようにして得た。完全長遺伝子カセットの存在を一次形質転換体(トランスジェニックカルスから再生された植物)のPCR分析により確認した。
【0142】
一次形質転換体及びそれらのR1子孫からの種々の器官の手で切断した新鮮な組織切片を使用して、GUS蓄積の詳細な組織化学分析を行った。CVP1フラグメント又はCPV2フラグメントを含む全ての形質転換されたタバコ植物は実質的に同じ遺伝子発現パターンを有していたが、染色の強さが形質転換体の間で変化した。葉では、強いGUS活性が中骨中の師部組織及び側部第二葉脈中で観察された(図6A及び6B)。木部要素に隣接する柔組織細胞は又青色の染色パターンを発生し、一方、中骨の柔組織細胞は表皮の丁度下の同化組織細胞(図6C)以外は検出できるGUS活性を含まなかった(図6A及び6B)。葉身中のさく状層及びスポンジ状葉肉の細胞は非常に強い染色を示し(図6A及び6C)、一方、表皮中では、孔辺細胞及び毛、特に腺先端細胞が強い染色を発生した。非特殊化表皮細胞は染色を殆ど又は全く蓄積しなかった。幹の断片は中央髄組織中に位置された内部師部束及び木部に外部に位置された師部細胞を含む師部細胞の強い染色を示した(図6D)。又、弱い発現が木部柔組織細胞中に見られた。GUS染色は髄細胞又は幹の皮柔組織細胞中で検出できなかった(図6D)。X-GLUCとともにインキュベートされた根組織は青色に染色された維管を明らかにした(図6E)。断片が組織の脆い性質のために採取されなかった。根先端は根中のあらゆる領域の中で最も強く染色した(図6E)。花では、子房の基部が強い青色の染色を示した。花組織の道管要素が子房(図6F)内部のおしべ、花柱及び胎座、並びにがく片及び花弁中で強い染色を示した。又、花粉粒が青色を示した。R1幼植物は、双子葉植物の葉肉中のGUS活性が成熟した葉中よりも弱いことが明らかである以外は、R0親形質転換体と同じ染色の一般パターンを発生した。
【0143】
GUS活性を検出するための組織化学分析をCVP2:uidA遺伝子を宿している7種の独立に形質転換された米系統について同様の様式で行った。CVP2プロモーター:uidA遺伝子の一般パターンは、これらの植物の解剖学的構造の相違にもかかわらず米及びタバコで全く同様であった。X-Gluc基質とともにインキュベートされた葉の横断切片は維管束及び葉肉細胞中で強い染色をもたらした(図6G)。小さい師部柔組織細胞及び木部柔組織細胞が強い染色を示し、一方、後生木部気管要素及び大きな篩要素は青色の沈殿を含まないことが明らかであった。又、維管束鞘細胞、ブリフォーム(bulliform)細胞及び厚膜組織繊維が染色を示さなかった。孔辺細胞及び葉毛細胞が葉表皮中で染色された。葉鞘組織の断片中であきらかにされたGUS活性のパターン(図6H)は葉中で観察されたパターンと同様であった。タバコ植物で観察されたように、GUS活性は柔組織細胞中で検出できなかった(図6H)。根は道管及び先端中でのみ染色された。米花組織はタバコ花と実質的に同じGUS活性のパターンを有していた(図6I)。
【0144】
4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド(MUG)蛍光アッセイ(Je-ffersonら,EMBO J,6:3901-3907,1987)を使用して、異なる器官から調製された抽出物中のGUS活性を実施例に記載されたようにして調製されたタバコ形質転換体及び米形質転換体の間で定量的に測定した。試験した器官は若い葉、成熟した葉、幹及び根を含んでいた。これらのアッセイの結果を図7に示し、CsVMVプロモーターが米及びタバコの両方の全ての器官中で活性であることを確認する。CsVMVプロモーターはその他の器官中よりも葉中で活性であり、一方、発現の最低レベルは根中であった。CVP2プロモーターを宿しているタバコ植物中のGUS活性はCVP1プロモーターを含む植物中よりも有意に強くないことが明らかである。プロトプラスト中で測定されたCVP1及びCVP2の間のプロモーター活性の2倍の相違が、トランスジーン発現の変化、MUGアッセイの相対的ばらつき及びGUSの大きな安定性(これらは植物組織中のタンパク質の蓄積をもたらす)のためにトランスジェニック植物中で検出し得ないかもしれない。
【0145】
c.キャッサバ葉脈外植体中の一時的発現
図1に示されたCVP2フラグメントのプロモーター活性をin vitroで生育された物質からの幹及び葉外植体について微粒子衝撃によりキャッサバ植物中で試験した。プラスミドpILTAB:CVP2及びプラスミドpe35GN(陽性対照として)をこの研究に使用し、形質転換を実施例5に記載された衝撃により行った。その後、小植物を実施例6の組織化学方法により組織発現について分析した。両プロモーターを含むプラスミドを使用して、GUS発現を示す強く青色に染色されたフォーカスのほぼ同じ数(図6J)が見られた。青色に染色された細胞が表皮細胞、孔辺細胞、葉肉細胞中そして小葉の葉脈に沿って見られた。これらの実験はキャッサバの異なる細胞型中のCVP2フラグメントに関するプロモーター活性の証拠を与える。

8.実施例1−7の説明
【0146】
実施例は新しく特性決定されたキャッサバ葉脈モザイクウィルス(Calvertら,J Gen Virol,76:1271-1276,1995)のウィルスゲノムからのプロモーターの単離を記載する。pCsVMV-uidA遺伝子を含むトランスジェニック植物から単離されたRNAを使用して、プロモーターの転写開始部位を決定した。ここでの結果は、CsVMVプロモーターがタバコプロトプラスト及びキャッサバプロトプラスト中で比較的強力であり、その活性がe35Sプロモーターで得られた活性と同様であることを示す。プロトプラスト中で試験した2種のプロモーターフラグメントのうち、短いフラグメントCVP1が長いCVP2フラグメントよりも約2倍活性が小さい。しかしながら、両方のフラグメントはトランスジェニックタバコ植物及び米植物中で同じ発現のパターンをもたらす。プロトプラスト中で観察された発現のレベルの相違は大きいフラグメントの5'領域中の転写エンハンサー又は大きい未翻訳リーダー配列のためであり得る。
【0147】
比較として、CaMVリーダーの最初の60ヌクレオチド(+1から最初のATGまで)が下流遺伝子の発現を約2倍刺激することが注目される(Dowsonら,Plant Mol Biol,23:97-109,1993;及びFyttererら,EMBO J,9:1697-1707,1990)。同様の効果が米ツングロ・バシリフォルムウィルス(RTBV)プロモーターの未翻訳リーダーについて報告されていた(Fyttererら,EMBO J,9:1697-1707,1990)。しかしながら、CsVMVリーダーとCaMVリーダー又はRTBVリーダーのそれらとの間に制限された配列相同性がある。トランスジェニック植物の分析は、CsVMVプロモーターが、カリモウィルスプロモーターの場合と同様に、全ての器官及び種々の細胞型中で活性であることを示す。CsVMVプロモーターは米植物及びタバコ植物の道管組織、葉肉細胞及び根先端中で強く発現される。しかしながら、GUS活性はタバコ髄及び皮柔組織の非葉緑素細胞中で不在であった。これは、CsVMVプロモーターが活性の二つの主要ドメイン、即ち、道管要素及び緑色の葉緑体を含む細胞を有することを示し得る。しかしながら、本発明者らは、これらの観察が染色アッセイの制限のためであるという可能性を排除できない。わずかな細胞質を有する大きい細胞(例えば、柔組織細胞)は稠密な細胞質を有する小さい細胞と比較して染色を殆ど又は全く含まないことが明らかであり得る。同様に、異なる代謝活性を有する細胞は異なる強さで染色し得る。
【0148】
本明細書中のデータは、プロトプラスト及びトランスジェニック植物中のCsVMVプロモーターの発現が35Sプロモーターの発現に比較的似ていることを示す。しかしながら、CsVMVプロモーターのヌクレオチド配列はカリモウィルスプロモーターと制限された相同性を有し、プロモーターの調節のメカニズムの相違を意味し得る。CsVMVプロモーター配列の分析は、転写調節に関係している既に同定されたシス要素に似ている幾つかのモチーフの存在を示す。CsVMVプロモーター中のこのようなモチーフの存在はトランスジェニック植物中の発現のパターンを説明し得る。CaMV35Sプロモーター(Lamら,Proc Natl Acad of Sci USA,86:7890-7894,1989)のas1要素と強い相同性を有する16bpモチーフがnt-203〜-219でCsVMVプロモーター中で同定された。TGACG直接リピートにより特性決定されたas1要素はAS1核因子(Frommら,Plant Cell,1:977-984,1989)、並びにクローン化TGA1転写因子(Katagiriら,Mol Cell.Biol,12:4809-4816,1992)に結合し、根組織特異性遺伝子発現(Benfeyら,EMBO J,8:2195-2202,1989)を誘導する。根中のCsVMVプロモーターの発現はCaMV35S(Benfeyら,EMBO J,8:2195-2202,1989)、及びComYMVプロモーター(Medberryら,Plant Cell,4:185-192,1992)(これらの両方がas1要素を含む)により誘導された発現に似ている。CsVMVプロモーターでは、as1モチーフが位置-203〜-219に位置され、一方、カリモウィルスプロモーターでは、それは一般にTATAボックスに近い(35S CaMVプロモーターではn.t.-83〜-63; FMVプロモーターでは-57〜-73)。しかしながら、ComYMVプロモーターでは、as1モチーフがヌクレオチド-205〜-227に位置され、根活性に必須ではない(Medberryら,Plant J,619-626,1993)。付加的な要素がComYMVプロモーターの根中の発現の調節に関与していることが示唆される。付加的な研究は、TATAボックス配列に対するas1要素の位置が根遺伝子発現におけるその役割を調節するか否かを測定するのに必要である。
【0149】
位置-90〜-111で、22ヌクレオチド配列CTTATCACAAAGGAATCTTATC(配列番号23)が同定され、これはComYMVプロモーター中で同じ相対位置(n.t.-78〜n.t.-100)に存在するが、その他の植物パラレトロウィルスプロモーター中に存在しない。このモチーフは道管組織中の発現に必要とされる領域中でComYMVプロモーター中に配置される(Medberryら,Plant J,619-626,1993)。又、CsVMVプロモーターはRbcs遺伝子プロモーター(Donaldら,EMBO J,9:1717-1726,1990)中に存在するボックスIコンセンサスGATAAGを含むモチーフAAGATAAGG(n.t.-186〜-194)を含む。加えて、位置-257〜-263で同定された配列GTAGAAAはPEPc遺伝子プロモーター並びに35Sプロモーター(Yanagisawaら,Plant Mol Biol,19:545-553,1992)中に見られるMNF1葉特異性核因子に関する結合部位配列と同じである。これらのモチーフは葉肉細胞中のCsVMVプロモーターの強い遺伝子発現に関与し得る。ヌクレオチド-170〜-130(図3)はSV40エンハンサーコア配列GTGGAAAG(Ondekら,EMBO J,6:1017-1025,1987)に似ている二つのモチーフを含む。
【0150】
9.CsVMVプロモーター欠失構築物の調製
CsVMVプロモーターを漸次5'欠失及び内部欠失により突然変異させた。
この研究のための出発プラスミドは位置+72から-443まで延びるCsVMVプロモーターフラグメントを含むpILTAB:CVP2であった(Verdaguerら,Plant Mol Biol,31:1129-39,1996)。CsVMVプロモーターフラグメント中の都合の良い制限部位の不在のために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して5'末端欠失及び内部欠失の組を生成した。
【0151】
プロモーターの5'末端欠失をPCR増幅により直接得た。本発明者らはCsVMV特異性プライマーP2、P3、P4、P5及びP6(表1)と対合されたプロモーターの3'末端でハイブリッド形成する共通リバースプライマーP1'(表1)を使用して野生型CsVMVプロモーター配列の種々の欠失を有するB、C、D、E及びFと称される5種のプロモーターフラグメントを生成した。
【0152】
【表1】

【0153】
表1はPCR増幅によりCsVMVプロモーターフラグメントを生成するのに使用したオリゴヌクレオチドプライマーを示した。“SID”は配列番号を示す。プライマーはセンス(+)又は逆配向(-)のCsVMVプロモーター配列を含む。図3に示された転写開始部位に対するプライマーの座標が表示される。P2〜P6と混在したプライマーP1'がCsVMVプロモーターの5'末端欠失をつくるのに使用された。同様に、P2'〜P7'と混在したP1が3'末端欠失に使用された。P1及びP1'はそれらの5'末端に夫々XbaI及びEcoRI部位を含み、一方、その他のプライマーはBamHI部位を有する。制限部位が太字により示される。
【0154】
表1中のオリゴヌクレオチドプライマーを商用売り主(ギブコBRLライフ・テクノロジー社)による自動化号装置でホスホルアミジト化学合成により調製した。
【0155】
得られるPCR増幅フラグメントは位置+72に共通3'末端及び夫々位置-330、-222、-178、-112、-63にそれらの5'終点を有する(図8)。又、プライマーP1及びP1'(表1)を使用して、完全長プロモーターフラグメント(Aフラグメント)を再度合成した。PCR反応を100ngのpILTAB:CVP2、2.5UのTaq NAポリメラーゼ(ギブコ-BRL)及び標準濃度のプライマー、MgC12及びdNTPを用いて行った。増幅の20サイクル(94℃、30秒; 56℃、30秒、72℃、30秒)を行い、続いて72℃で5分間の最終伸長を行った。5種の増幅DNAフラグメントの夫々をBamH1及びEcoRIにより消化し、ノパリンシンターゼ遺伝子の3'ポリアデニル化シグナルに結合されたuidA遺伝子(β−グルクロニダーゼ-GUSをコードする)のコーディング配列を含むプラスミドの同じ部位につないだ(図8)。得られるプラスミドを、それらが有するプロモーター欠失に従ってpA、pB、pC、pD、pE、pFと命名した(図8)。
【0156】
内部プロモーター欠失を二つの工程で構築した。最初に、PCR条件を上記のようにして行ってCsVMVプロモーターの3'欠失の組を生成した。プロモーターの5'末端でハイブリッド形成するセンスプライマー(P1、表1)を6種の特定のCsVMVリバースプライマー(P2'〜P7'、表1)の夫々と対合して位置-443に共通5'末端及び位置-116から-334までスパンする3'終点を有する6種のトランケートプロモーターを生成した。次いで、5'末端欠失プロモーターの上流の異なる3'末端トランケートプロモーターフラグメントを既に得られたプラスミド(pB〜pF)にクローニングすることにより、内部欠失を操作した。それ故、ヌクレオチド-443〜-334を含む3'欠失プロモーターフラグメントをBamH1及びXbaIにより消化し、pCプラスミド中の同じ部位につないだ。pΔBと称する得られたプラスミドはヌクレオチド-334から-222まで内部欠失を含む(図8)。同様に、ヌクレオチド-443〜-228をスパンするフラグメントをDプロモーターフラグメントに融合してプラスミドpΔCをつくった(図8)。-443に共通の5'末端及び位置-182、-173、及び-149に位置された3'末端を有する3種のフラグメントを個々にプラスミドpEにクローン化して夫々プラスミドpΔ1及びpΔ2並びにpΔ3をつくった(図8)。同じ3種のフラグメントをpFにクローン化してプラスミドpΔDE1及びpΔDE2並びにpΔDE3をつくった(図8)。ヌクレオチド-443〜-116を含むフラグメントをプラスミドpFと同じ方法でクローン化してプラスミドpΔEを生成した(図8)。全てのプロモーター配列をジ−デオキシヌクレオチド配列決定により確認した。異なるCsVMVプロモーター-uidA融合遺伝子をXbaI及びHindIIIにより切除してアグロバクテリウム媒介植物形質転換に使用されるpBin19 2成分ベクターの同じ部位につないだ。

10.CsVMVプロモーター欠失構築物の発現分析
a.アグロバクテリウムによる植物の形質転換
【0157】
欠失プロモーター構築物を有するpBin19誘導プラスミドをエレクトロポレーションによりアグロバクテリウム・ツメファシエンス株LBA4404に転移した。ニコチアナ・タバクムcvキサンチNNのアグロバクテリウム媒介形質転換を既に記載されたようにして行つた(Horschら,Plant molecular biology manual,A5/1-A5/9頁.Kluwer academic publishers,1988)。再生カナマイシン耐性植物を温室中で成熟まで生育して、自家受精させた。R1種子を100mg/lのカナマイシンを含むムラシゲ及びスコーグ(MS)培地(Murashige&Skoog,Physiol Plant,15:473-497,1962)で発芽させ、温室中の土壌に移した。10〜20の独立のトランスジェニック系統を夫々の構築物について生育した。夫々のプロモーター構築物に関する独立のR1系統を分析した。
【0158】
b.幼植物中のCsVMV発現の組織化学分析
発育の早期段階における欠失プロモーターの発現パターンを分析するために、プラスミドで形質転換された生後10日の幼植物に関する組織化学GUS分析を行った。
【0159】
植物の上部の若い拡大した葉をGUS分析のために回収した。新鮮な組織切片を採取し、1mMの5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルグルクロニド(X-gluc)、100mMのリン酸ナトリウム緩衝液pH7、2mMのフェロシアン化カリウム及びフェリシアン化カリウム、及び0.1%のトリトンX-100を含む反応緩衝液中で37℃で6〜12時間インキュベートした。若いR1幼植物のGUS組織化学分析について、全小植物を発芽の約1週後に回収し、GUS緩衝液(Jeffersonら,Embo J,6:3901-7,1987)に浸漬した。真空浸潤の数分後に、インキュベーションを37℃で一夜行った。サンプルをエタノール70%中で数回の洗浄によりきれいにした。基質4−メチルウンベリフェロン−β−D−グルクロニド(MUG)を使用する定量的GUS分析をJeffersonら,Embo J,6:3901-7,1987に記載されたようにして行った。
【0160】
GUS活性の組織化学染色を使用して、異なるプロモーター構築物の発現パターンを形質転換されたトランスジェニックタバコ植物で分析した。無傷プロモーター:uidA遺伝子カセットの存在をPCR及び/又はサザン分析により確認した。同プロモーター構築物を含む植物間で観察されたGUS発現パターンは以下に報告した二三の例外があるが同様であった。幾つかのプロモーター構築物間の染色強さの有意かつ再現性の相違が明らかに見られた。この研究で試験した植物はuidA融合遺伝子の1〜5のコピーを含んでいた。コピー数は夫々の構築物で観察された発現の特徴的パターンに影響しなかった。更に、明らかな相関関係がコピー数と染色の見掛強さの間に認められなかった。プロモーター構築物間の異なる染色パターンはプロモーター調節に関する欠失の効果を示した。CsVMVプロモーターはトランスジェニック植物の全ての器官中で発現される。最高のプロモーター発現の領域は道管要素、葉の葉肉細胞及び根先端に位置された。それ故、GUS活性をこれらの三つの異なる組織中で分析し、結果を表2に要約する。
【表2】

【0161】
プロモーター構築物の名称及び欠失の終点が表2に示された夫々の構築物について示される。検出されたGUS活性発現レベルが四つのレベルで表2中に比較され、報告される:“+”:完全長プロモーター(即ち、pA)と目視できる相違なし;“(+/-)”:完全長プロモーターよりも低い染色;“(-)”:非常にわずかな発現;“-”:検出可能な染色なし。
【0162】
a)5'末端欠失:
位置-222に欠失されたプロモーター構築物(構築物pC)を有するトランスジェニック植物中のGUS染色が完全長プロモーター(構築物pA、図9A)で観察されたものと同じパターン(表2)で生じ、同じ強さの範囲であった。位置-178へのプロモーターの更なる欠失(構築物pD)はGUS発現パターンの重要な変化を生じた(表2)。pD構築物を有する植物の殆どの葉断面中で、道管要素に限定された強い染色が観察された(図9B)。検出可能なGUS活性がさく状葉肉細胞及びスポンジ状葉肉細胞中で検出されなかった。しかしながら、10種のうちの3種の植物系統が葉肉細胞中に低い染色を示した。pD構築物で形質転換された全ての植物中、根先端がGUS染色を示さず(図9I)、一方、この組織は完全長プロモーターで強く染色される。位置-112に欠失されたプロモーター構築物pEからのGUS発現は道管要素に限定された(表2、図9C)。発現の強さは非常に低く、長いインキュベーション時間が青色の沈殿を検出するのに必要とされた。構築物pFは検出可能な発現を示さなかった。この研究は、器官特異性機能が特有のプロモーター領域に起因し得ることを示した。ヌクレオチド-443〜-222をスパンする領域はプロモーター活性に非必須であることが明らかであったが、-222から-178までの領域は葉肉細胞並びに根先端中のプロモーター発現の原因であることが明らかである。従って、位置-178に欠失されたプロモーターは生組織中で殆ど不活性であるが、それは道管発現に必要な全ての要素を含む。pE構築物は非常に弱い道管発現を示すことが示された。pD構築物を含む視覚化された強い道管発現は(-178/-112)領域中の強い道管要素又はEプロモーター中に存在する道管要素に影響するこの領域に存在する非特異性アクチベーターのためであり得る。
【0163】
b)内部欠失
ヌクレオチド-334から-222までの領域の内部欠失(プロモーターΔB)はCsVMVプロモーターの一般の発現パターンに影響しなかった(表2)。GUS発現のかなりの減少がpΔCで形質転換された植物の葉肉組織中で視覚化された(表2、図9D)。5'末端欠失から得られたデータと一致して、この結果は、-222〜-178領域が生組織中でプロモーター発現を調節する重要な要素を含むことを示した。しかしながら、葉肉細胞中の低い染色が試験された全ての系統中で観察され、おそらくヌクレオチド-443〜-222を含む領域中に位置された低い重要性の付加的な要素が又この細胞型中のプロモーター発現に関係していることを示唆する。更に、道管要素は強い染色を示し、この組織中のプロモーター活性がこの欠失により影響されなかったことを示唆する(図9D)。pΔC構築物は根先端中で発現を抑制しなかった。これは、(-222/-178)領域に加えて、(-443/-222)領域に位置された別の要素がおそらくこの組織中のプロモーター発現に関係していることを示唆した。-182から-112までの領域の欠失(構築物pΔD1)はプロモーター発現に著しい効果を有していた(表2)。実際に、構築物pΔD1は道管要素中のわずかな弱い染色でもって発現の道管特異性プロフィールを示した(図9E)。更に、GUS発現が又根先端中で観察された。このプロモーター構築物は前記のように葉肉組織発現に関与したドメインの殆どを含む。ΔD1欠失に関するこの葉肉ドメインは生組織中でプロモーターを活性化することができなかった。この結果はヌクレオチド-182〜-112に位置され、葉肉ドメインのプロモーター活性化に必要とされた一つ以上のシス要素の欠失のためであり得る。構築物pΔEは非欠失プロモーターと同様の発現の構成的パターンを示した(表2、図9G)。この構築物で観察された強い道管発現は、(-112/-63)領域に存在する前記道管要素が道管組織中の強いプロモーター発現に必要とされないことを示唆した。それ故、重要な道管機能は領域(-178/-112)に起因し得る。ヌクレオチド-182〜-63を含む内部欠失(pΔDE1)はプロモーター活性に顕著な効果を有していた(表2)。試験した10種の独立のトランスジェニック植物のうちの、8種が葉及び幹中で検出可能なGUS活性を有していなかった。師部要素中に局在化された非常に淡い青色の中断が延長されたインキュベーション後に2種の植物中で視覚化された(図9F)。対照的に、強い染色が根先端中で明らかにされただけでなく、弱い染色が根の道管要素中で明らかにされた。これらの結果は上記データと若干一致する。実際に、ΔDE1プロモーターは道管発現のための領域(-178〜-63)並びに葉肉組織中の発現に必要とされる領域(-182〜-112)を含まない。根組織中で検出されたGUS活性はおそらく根先端発現に関係していることが示された(-443〜-182)領域の存在のためである。
【0164】
c)(-178〜-112)プロモータードメイン
5'末端欠失の結果はCsVMVプロモーターの構成的発現に(-182〜-112)領域の重要性を強調した。実際に、欠失pΔD1は葉肉組織中でプロモーター活性を抑制し、又道管発現を減少した(図9E)。従って、本発明者らは構築物pΔD2及びpΔD3をつくってこの領域を大いに詳しく研究した(表)。ヌクレオチド-173〜-112から欠失された構築物pΔD2は完全長CsVMVプロモーターと同様の発現のプロフィールを示した(図9G)。この結果は、(-182/-112)欠失の5'終点における9ヌクレオチドの付加が構築物ΔD1で変化された完全発現パターンを回復し得ることを示唆した。重要なことに、これらの9ヌクレオチドはGATAモチーフを含む。最も著しい相違が葉肉細胞中で観察され、これらはΔD1構築物で形質転換された時に青色を示した。こうして、-182〜-173からの領域は葉肉発現に必要である。有意差が構築物pΔD2とpΔD3の間で検出できなかった。
【0165】
対照的に、夫々pΔDE2及びpΔDE3をつくるためのpΔDE1への配列-182/-173及び-182/-149の付加は根先端以外はプロモーター活性の回復をもたらさなかった(表2)。pΔDE2及びpΔDE3で形質転換された植物では、GUS染色が葉肉細胞中で観察されず、一方、道管要素中の発現が非常に低かった(図9E)。構築物pΔD2及びpΔD3と構築物pΔDE2及びpΔDE3との比較は一般のプロモーター活性に(-112/-63)領域の重要な役割を示した。しかしながら、この領域の欠失の著しい効果は、pΔDE3をpΔEと比較する時に示唆されたように(-149/-116)領域の付加により抑制し得る(表2、図9E及び9G)。これらの結果は、-222から-173までの上流領域が単独では発現の完全な構成的パターンを得られないことを示した。上流領域(-222〜-173)と混在して、(-149〜-116)領域(pΔEにより示される)又は-112から-63までの領域(pΔD2及びpΔD3により示される)(これらは機能的に重複性であり得る)の存在が全ての組織中でCsVMVプロモーターの最適活性に必要である。
【0166】
本発明者らの結果は、(-149/-116)領域がおそらくトランケートプロモーターDで観察された強い道管発現の原因であることを示す(pΔEとpΔDE3を比較して示されるように)。
【0167】
欠失プロモーター構築物は成体植物中で観察されたパターンと同様である特定の発現パターンを誘導した。双子葉植物の葉では、構築物pD、pE、pΔD1(これらは成体植物の拡大した葉中で道管特異性発現パターンを与える)は道管要素中でのみGUS染色プロフィールを示した(図9H)。同様に、pB構築物及びpC構築物(これらはタバコ植物中の葉肉組織及び道管組織の両方中で活性である)は幼植物中で同じ構成的発現パターンを有していた(図9H)。これらの結果は、トランスジェニック植物中の異なる欠失で観察された特定の発現パターンが植物の発育段階により影響されないことを示唆した。
【0168】
c.トランスジェニック幼植物中の発現
蛍光光度アッセイ(Jeffersonら,Embo J,6:3901-7,1987)を使用して、葉組織から調製されたタンパク質抽出物中のGUS活性を定量的に測定した。サンプルを実施例10.a)に記載されたようにして調製された生後5週のトランスジェニックタバコ植物からの若い拡大した葉の道管間組織から回収した。その結果、検出された酵素活性レベルは主として葉肉組織中のプロモーター発現を反映した。図10に示されるように、同じプロモーター構築物を有する異なるトランスジェニック系統のGUS活性の値は最大17の係数だけ変化した。トランスジーン発現の変化は遺伝子発現に関する周囲クロマチンの影響を反映する推定の位置効果、コピー数の相違又は遺伝子サイレンシングを含む因子の組み合わせに起因し得る。これらのデータはトランスジェニック植物中のGUS発現に関する組織化学局在化を確認する。最低GUS活性レベルがプロモーター構築物pΔD1、pΔDE1、pΔDE2及びpΔDE3を有する植物からの抽出物中で検出された。この結果は組織化学分析と一致した。何とならば、これらの欠失構築物はトランスジェニック植物の葉肉細胞中でリポーター遺伝子を発現しなかったが、道管要素中で弱いGUS染色を示したからである。それ故、これらの欠失のGUS活性レベルは、トランスジェニック植物中で強い構成的発現パターンを示した構築物pB及びpCで検出されたレベルよりも約20倍低かった。-222から-178までの配列が構築物pDにより示されるように欠失された場合、活性のレベルの有意な低下が見られた。同様に、-228から-178までの配列の内部欠失は高発現構築物pB又はpCで測定されたGUS活性のレべルを係数5だけ低下した。これらの結果は生組織中のプロモーター発現についてヌクレオチド-228から-178までの領域の役割を強調した。
【0169】
構築物pΔD2及びpΔD3で測定された活性の平均レベルはpΔD1構築物で測定されたレベルよりも高かった。しかしながら、pΔD3活性レベルは高い範囲にあり、一方、構築物pΔD2は発現の適度のレベルを生じた。組織化学アッセイを使用して、この相違は検出されなかった。構築物pΔD2はトランスジェニック植物の葉肉細胞中で発現されたが、蛍光光度アッセイに基いて、GUS染色観察はこのプロモーター構築物の活性のレベルを過大推定したことが可能である。従って、蛍光光度GUS測定は、ヌクレオチド-173〜-149を含む領域が生組織中の発現のレベルに重要であることを示唆した。組織化学アッセイで観察されたように、構築物pΔD3で測定された高い発現レベルはヌクレオチド-112〜-63をスパンする領域の欠失(構築物pΔDE3)により無効にされた。しかしながら、GUS活性の高レベルがヌクレオチド-116〜-63を含む領域の欠失(構築物pΔE)にもかかわらず測定され、-149〜-116の領域がプロモーター活性の高レベルに有益であることを示した(pΔDE3とpΔEを比較する時に示されるように)。
【0170】
d.プロトプラスト単離、形質転換、及び培養
BY-2タバコ懸濁細胞からのプロトプラストを調製し、Watanabeら,FEBS Lett-ers,219:65-69,1987により実質的に記載されたようにしてDNAでトランスフェクトした。タバコ葉肉プロトプラストを生育チャンバー中で生育された生後5週の植物の充分に拡大した葉から単離した。葉を5%クロロックス溶液中で5分間浸漬し、続いて無菌水で3回洗浄することにより表面滅菌した。葉を層流フード中で乾燥させ、下の表皮を剥離により除去した。剥離した葉片を0.6Mのマンニトール中で洗浄し、1.5%のセルラーゼR10、0.3%のマセロザイムR10、及び0.6Mのマンニトールを含む酵素溶液、pH5.8に移した。消化を28℃で12〜16時間行った。消化混合物をミラクロスの一層により濾過し、続いて臨床用遠心分離機中で300rpmで10分間遠心分離した。上澄みを回収し、同じ設定でもう一度遠心分離した。プロトプラストペレットを20%の蔗糖溶液中で再度懸濁させ、50mlのメスフラスコに移した。フラスコを100gで7分間にわたってJ6Bベックマンローター中で遠心分離した。蔗糖溶液の表面に浮遊している無傷の丸形プロトプラストをパスツールピペットで回収し、血球計を使用してカウントした。約100万のプロトプラストを夫々のエレクトロポレーションに使用した。
【0171】
葉肉プロトプラストを0.55Mのマンニトール、5mMのMES、70mMのKClを含む600μlのエレクトロポレーション緩衝液、pH5.8中で再度懸濁させた。内部標準として使用した35S-ルシフェラーゼ構築物(Owら,Science,234:856-859,1986)30μgとともにプラスミドDNA30μgをプロトプラスト溶液に添加し、バイオラド遺伝子パルサー装置を使用して、DNA転移を200ボルト及び250μFで行った。パルス後に、プロトプラストを氷の上で1時間にわたって沈降させた。プロトプラストを0.4Mのマンニトール、30%の蔗糖、4.3g/lのMS塩、10mg/lのチアミンHCl、5mg/lのニコチン酸、10mg/lのピリドキシンHCl、100mg/lのミオイノシトール、2mg/lのグリシン、2mg/lのNAA、0.5mg/lのBAPを含む培地、pH5.8中で105細胞/mlの密度で培養した。プロトプラストを25℃で24時間の培養後にタンパク質抽出のために回収した。
【0172】
MUGアッセイ及びLUCアッセイを上記のようにしてプロトプラストタンパク質抽出物について行った。結果をCsVMVプロモーター構築物のGUS活性と内部対照のLUC活性の比として表した。
【0173】
e.プロトプラスト中のCsVMVプロモーター構築物の発現
BY-2懸濁細胞並びにタバコ葉からの葉肉細胞から調製したプロトプラストを実施例10に記載されたようにしてCsVMVプロモーター構築物でトランスフェクトした。GUSの一時的発現を同時トランスフェクトされたルシフェラーゼプラスミドから発現された内部標準に関してエレクトロポレーションの24時間後に実施例6に記載されたようにして測定した。夫々のプロトプラスト系に関する4回の独立のトランスフェクション実験を行った。得られた結果を図11に要約する。
【0174】
BY-2プロトプラスト中で、位置-222に欠失されたCsVMVプロモーターを含む構築物pCは完全長プロモーターフラグメントの活性の88%を保持した。プロモーター活性は位置-178に更なる欠失により完全活性のわずかに24%まで急激に低下した。構築物pD及びpEは殆ど同じ発現レベルを有し、一方、活性の第二の低下が位置-63まで延びる欠失で観察された。完全プロモーター活性の12%を有する構築物pFはバックグラウンドレベルの丁度上であった。ヌクレオチド-228〜-178からの内部欠失(構築物pΔC)は全発現を50%以上低下した。驚くことに、トランスジェニック植物中で非常に低い発現を示した構築物pΔD1及びpΔDE1は高レベルの発現を可能にした。この結果は、本発明者らが植物中で観察したものと鮮明に対照的であり、二つの系に使用した細胞型、即ち、無傷植物からの分化細胞vs細胞培養物からの末分化細胞の相違をおそらく反映し得る。この疑問に取り組むために、本発明者らは葉肉プロトプラストを使用するトランスフェクション実験を試みた。-443から-222までの5'欠失(構築物pC)はプロモーター発現の35%の低下をもたらす。構築物pDからのGUS活性は完全長プロモーターからの活性のわずかに15%であり、一方、構築物pFからの活性のレベルはバックグラウンドより上ではなかった。BY-2細胞について、葉肉プロトプラスト中の(-228/-178)内部欠失の効果は著しかった。実際に、構築物pΔCを使用した場合、GUS発現レベルは28%に低下した。構築物pΔD1は完全長プロモーターの活性の57%を保持し、これは構築物pΔE(BY-2細胞中で試験しなかった)の活性とほぼ同じであった。ΔDE1プロモーターの活性を非欠失CsVMVプロモーターのレベルの43%で測定した。
【0175】
両方のプロトプラスト系において、-222から176までの配列が5'欠失又は内部欠失により除去された時に、遺伝子発現の著しい低下が観察された。本発明者らは、この領域がプロトプラスト中のプロモーター発現の約60%の原因であると推定し得る。pD及びpEの低活性は幾つかの面でトランスジェニック植物(その中でこれらの構築物が発現の道管特異性パターンを示す)からの組織化学データと一致する。
【0176】
構築物pΔD1は完全長プロモーターの50%より上のGUS活性を一貫して示した。葉肉プロトプラスト中で、この構築物はpΔEと同じ活性の範囲であったが、それらは植物中で発現の非常に異なるレベルを示した。同様に、構築物pΔDEIはトランスジェニック植物中で得られた結果と一致しない高レベルの発現を示した。これらの結果に基いて、本発明者らは、プロトプラスト中で、CsVMVプロモーターの活性を支配する調節メカニズムが植物中で作用するメカニズムとは異なるものと結論した。(-222/-178)領域はプロトプラスト中で重要な役割を果たし、一方、-178から-63までの範囲は植物中よりもプロトプラスト中で重要性が低いことが明らかである。
【0177】
11.実施例9−10の説明
この研究を行ってCsVMVプロモーターの機能構造を測定した。トランスジェニック植物中のプロモーター発現の原因の異なるドメインをプロモーターの調節領域の欠失分析により同定した。本発明者らの結果は、CsVMVプロモーターの発現の構成的パターンが特有の組織特異性ドメインによることを示した。更に、要素間の相乗的相互作用が最適プロモーター活性に必要とされる。トランスジェニック植物からの全てのデータが合わされて図12に示されるようなCsVMVプロモーターの第一機能地図を決定した。ヌクレオチド-222から-173までをスパンする領域は生組織及び根先端中のプロモーター発現を調節するシス要素を含む。既に記載されたように(Verdaguerら,Plant Mol Biol,31:1129-39,1996)、この領域は35S CaMVプロモーター(Lamら,Proc Natl Acad Sci USA,86:7890-4,1989)中で同定された活性化配列1(as1)のコンセンサス配列を含む。そのプロモーター中で、as1要素は根先端発現に直接関係し(Frommら,Plant Cell,1:977-84,1989)、その間にそれは上流要素と相互作用してその他の組織中でプロモーター活性を可能にする(Benfey&Chua,Science,250:959-966,1989;Fangら,Plant Cell,1:141-50,1989;Benfeyら,Embo Journal,9:1677-1684,1990a;及びBenfeyら,Embo Journal,9:1685-96,1990b)。Lamら,Proc Natl Acad Sci USA,86:7890-4,1989aは、35Sプロモーター中のこの要素の突然変異が根及び幹中のプロモーター活性の80%低下及び葉中の50%低下をもたらすと報告した。又、ヌクレオチド-178までのCsVMVプロモーターのトランケーションは根先端中の遺伝子発現のためのas1領域の役割を強調した。構築物pΔDEI(182/-63領域の欠失)(これは根組織に限定されたGUS染色パターンを誘導した)が無傷のas1要素を有していた。as1は主として根組織中に存在するタバコからのbzip転写因子であるTGA1a(Katagiriら,Nature,340:727-730,1989;及びNeuhausら,Plant Cell,6:827-834,1994)と相互作用することが示された。従って、pΔDE1構築物で観察された根発現パターンはTGA1aとas1配列の相互作用に起因し得る。しかしながら、pΔDE1構築物並びにpΔD1欠失(-182〜-112)は、CsVMVプロモーター中で、as1要素それ自体が生組織中でプロモーター発現を活性化し得ないことを示した。一方、本発明者らは、-182から-173までの領域が葉肉細胞中でプロモーター発現を誘導するのに必須であることを示した。重要なことに、この短い領域はGATAモチーフを含む。このGATA領域の特定の役割はas1要素とは独立に評価し得ない。従って、二つの仮説が考えられる。GATA領域それ自体が生組織中でプロモーター発現を調節するか、又はGATA領域及びas1要素が相乗的に一緒に作用して葉肉組織中でCsVMVプロモーター活性を調節する。公表されたデータは、活性化配列2(as2)(Lam&Chua,Plant Cell,1:1147-56,1989)と称されるCaMVプロモーター中のGATAモチーフが又葉発現に関係することを報告した。更に、このGATA領域により調節された葉発現が35Sプロモーターの-90〜-46領域内に配置された配列(これらはas1要素を含む)に依存した。同じ型の相互作用が生組織中でCsVMVプロモーター発現を調節し得る。しかしながら、CsVMVプロモーター中で同定されたGATAモチーフはCaMVプロモーターのas2要素と同一ではない。本発明者らは、米ツンゴ・バシリフォルム・バドナウィルスプロモーター中で同定されたGATAボックス(Yin&Beachy,Plant J,7:969-980,1995)(これは又このプロモーターの活性化に重要な役割を果たす)との強い相同性を見い出した。又、本発明者らは、CsVMVプロモーター中で、GATAモチーフが幾つかの光及び概日時計調節プロモーター(Donald&Cashmore,The Embo Journal,9:1717-1726,1990;及びTeakle及びKey,Plant Molecular Biology,29:1253-1266,1995)に見られるボックスIコンセンサス(GTAAPu)に似ていることを観察した。
【0178】
as1要素及びGATA要素を含む構築物pΔDE2及びpΔDE3はトランスジェニック植物中で弱いGUS発現パターンを示した。このデータは、一つ以上の付加的な要素が生組織中のプロモーター活性化に必要とされることを意味した。本発明者らは、ヌクレオチド-149〜-112からの領域又は-112/-63からの領域がpΔDE2及びpΔDE3構築物で失われた葉肉細胞中のプロモーター活性を回復し得ることを観察した。これらの二つの領域は生組織中のプロモーター活性化に必要である多重複機能を有するシス作用性要素を含み得る。それが構築物pD又はpEにより示されたように、これらの推定シス要素は葉肉細胞中で遺伝子発現を誘導することができないプロモーター領域中に配置される。相乗メカニズム又はコンビナトリアルメカニズムはGATA領域と-149〜-63領域の間で支配して発現を葉肉細胞中で可能にし得る。しかしながら、別の説明が提案し得る。本発明者らは、少なくとも49ヌクレオチドがGATA要素(-182〜-173)と位置-63の問に存在する時にプロモーターが実際に活性であることを観察した。GATA領域とTATAボックスの距離が観察された結果の原因であり得る。GATA領域とTATAボックスの間の正確な距離を保つ中性リンカーを含む構築物がこの疑問に取り組むことを可能にするであろう。それにもかかわらず、CaMV 35Sプロモーター中で、as1モチーフ及びGATAモチーフが位置-64と-105の間に配置され、こうしてCsVMVプロモーター中よりもTATAボックスに極めて近い。こうして、pΔDE2及びpΔDE3内部欠失により生じたGATA領域とTATAボックスの間の小さい距離はasl要素及びGATAシス要素の活性を妨げるべきではない。更に、構築物pD(これは道管要素中で遺伝子発現の高レべルを誘導することができる)で得られた結果は、-178から-63までの領域が重要なシス作用性要素を含むことを明らかに示唆する。この仮説を支持して、領域-161〜-56で行われたinvitro結合アッセイは核タンパク質との特定の相互作用を明らかにした。本発明者らは唯一の遅延バンドを検出し、その形成はヌクレオチド-141から-99に延びる43ヌクレオチドフラグメントとの競合により有効に分断された。二つの遅延複合体が検出された場合、それは本発明者らのinvivoデータと更に一致したであろう。何とならば、-149〜-112及び-112〜-63の両方の領域が活性化プロセスに活性な役割を果たすからである。一つの特異的結台は本発明者らの核抽出物中の転写因子の低濃度のため又は結台部位に対する低いアフィニティーのため或いはその他の因子との共同結合が必要とされるので検出し得ないことが可能である。ヌクレオチドデータベースによる-149/-99フラグメントの配列比較分析は強い相同性を明らかにしなかった。このフラグメントのヌクレオチド配列の試験は位置-129〜-113に配置されたGTAAリピートの存在を明らかにした。GTAAモチーフは種々の機能性シス作用性要素、例えば、ゼイン遺伝子プロモーターの胚乳ボックス(Maierら,The Embo Journal,6:17-22,1987;及びMul-ler&Knudsen,Plant J,4:343-55,1993)、as1要素及びOCSコンセンサス(Ellisら,Plant J,4:433-43,1993)中に見られた。アラビドプシス・タリアニア(Curieら,Nucleic Acids Res,19:1305-1310,1991; Curieら,Plant Mol Biol,18:1083-1089,1992)、及びリューコペルシコン・エスクレンタムのEF-1a遺伝子のプロモーターのtef1ボックスは又GTAAリピートを含み、CsVMVプロモーターのGTAAボックスと類似性を示す。EF-1aプロモーターの-100領域に配置されるtef1ボックスは循環細胞中でプロモーター活性化に関係すると報告されていた(Regadら,MolGen Genet,248:703-711,1995)。CsVMVプロモーター中のGTAAリピートの役割が更に測定される必要があるであろう。
【0179】
道管要素中のCsVMVプロモーターの発現はヌクレオチド-178〜-63を含む領域により誘導される。この道管ドメインは夫々-149/-112領域及び-112/-63領域に夫々配置された二つの独立の要素を含む。先に記載されたように(Verdaguerら,Plant Mol Biol,31:1129-39,1996)、後者はCTTATCリピート(これはコメリナ・イエロー・モトル・バドナウィルスプロモーター(ComYMV)(Medberry&Olszews-ki,Plant J,3:619-26,1993)の道管ドメイン中の同じ相対位置(-78〜-100)に存在する)により特性決定された22ヌクレオチド配列を含む。本発明者らの結果は、CsVMVプロモーターの道管発現に関係する要素が上流の葉肉領域と相互作用するものであり得ることを示唆する。CsVMVプロモーター中の道管要素がTATAボックスの直接上流に配置されることを注目することが重要である。この配置は、RTBVプロモーター及びComYMVプロモーター(Medberry&Olszewski,Plant J,3:619-26,1993;及びYin&Beachy,Plant J,7:969-980,1995)について報告されたものと極めて似ている。Benfeyら,Embo J,9:1685-96,1990bにより報告されたようなCaMVプロモーターでは、道管要素がヌクレオチド-310〜-209をスパンするB4サブドメインに配置される。更に、このプロモーターでは、as1要素が又道管発現の調節に関係している。CsVMV中のas1領域の欠失は道管発現に影響しなかった。おそらく、CsVMVプロモーター及びCaMVプロモーター中で道管プロモーター活性を調節するメカニズムが異なる。
【0180】
プロトプラストでは、CsVMVプロモーター活性はas1コンセンサス配列を含むヌクレオチド-222〜-178を含む領域により実質的に調節されることが明らかであった。プロモーターからの発現は-182から-63までの配列とは独立であることを観察することは驚くべきである。例えば、BY-2プロトプラストでは、本発明者らは、pΔDEプロモーター構築物が野生型プロモーター活性の80%以上を保持することを示した。プロトプラストに基く一時的アッセイとトランスジェニック植物の間の結果の不一致が又35SCaMVプロモーターについて記載された(Fangら,Plant Cell,1:141-50,1989;及びLam,Results Probl Cell Differ,20:181-196,1994)。OWら,Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA,84:4870-4874,1987はトランスジェニック植物中よりもニンジンプロトプラスト中で-90トランケート35SCaMVプロモーターの高い活性を報告した。同様に、本発明者らは、35Sプロモーターの-90誘導体がBY-2プロトプラスト中で強いCAT活性を示すことを観察したが(データは示されていない)、同じ構築物をトランスジェニック植物中で使用して、CAT転写産物が検出できないことが報告された(Fangら,Plant Cell,1:141-50,1989)。プロトプラストは高度にストレスのある生理状態である(Roestら,Acta Botanica Neerlandica,42:1-25,1993)。ストレス条件はプロモーターと相互作用する種々のトランス作用性因子の活性化又は不活化の原因であり得る。これに関して、多ストレス関連シグナル、例えば、オーキシン、サリチル酸、メチルジャスモネートに対するas1要素の応答に関する幾つかの論文が特に関連する(Liu&Lam,J Biol Chem,269:668-675,1994;Qinら,The Plant Cell,6:863-874,1994;Zhang&Singh,ProcNatl Acad Sci USA,91:2507-11,1994;及びXiangら,Plant Mol Biol,32:415-26,1996)。
【0181】
本発明者らは、BY-2プロトプラストでは、ヌクレオチド-368〜+20を含むCsVMVプロモーター構築物が完全長プロモーター(-443〜+72)よりも2倍活性が小さいことを既に示した(Verdaguerら,Plant Mol Biol,31:1129-39,1996)。本研究は、位置-222までのプロモーターの5'末端トランケーションが活性レベルに影響しないことを示した。実際に、BY2プロトプラストでは、構築物pCは完全長プロモーター活性の80%以上を保持した。従って、先に検出したプロモーター発現の相違はおそらく大きいリーダーフラグメントのためである。未翻訳ウィルスリーダーは通常メッセンジャー安定性又は翻訳開始に影響することが知られている(Gallie&Walbot,Nucleic Acids Res,20:4631-4638,1992;及びDowsonら,Plant Mol Biol,23:97-109,1993)。最近、Chenら,J Virol,70:8411-8421,1996は転写活性化に関するRTBVリーダーの直接効果を報告した。本発明者らはCsVMVリーダーフラグメント中のこのようなシス作用性配列の存在の可能性を除外することができない。
【0182】
CsVMVプロモーターは組織特異性発現のパターンに特有の影響を与える異なるドメインからつくられたモジュラー構造を有する。更に、プロモーター発現は異なるシス要素間に相乗的相互作用又はコンビナトリアル相互作用を必要とする。これらの結論はCaMV35Sプロモーターで得られた結論(Benfey&Chua,Science,250:959-966,1990)を連想させる。CaMVプロモーター及びCsVMVプロモーターの発現の構成的パターンは同じ調節戦略により得られることが明らかである。それらの機能編制の類似性はas1素及びGATAシス要素の共通の重要性により強調される。しかしながら、これらの2種のプロモーターはそれらの機能構造において全く相同ではない。CsVMVプロモーターでは、位置-63から-149まで延びる領域が植物中の発現に必須の要素を含む。これらの要素はCaMVプロモーター中で同定されず、これらの2種のカリモウィルスプロモーターにより使用される調節メカニズムに或る種の相違を示し得る。
【0183】
以上記載された明細書は本発明の説明であり、限定ではないと考えられる。実際に、本明細書に示され、記載された改良に加えて本発明の改良が以上の記載から当業者に明らかになり、請求の範囲内に入る。
【0184】
配列表
(2) 配列番号1に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 392 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号1
AGCTCAGCAA GAAGCAGATC AATATGCGGC ACATATGCAA CCTATGTTCA AAAATGAAGA 60

ATGTACAGAT ACAAGATCCT ATACTGCCAG AATACGAAGA AGAATACGTA GAAATTGAAA 120

AAGAAGAACC AGGCGAAGAA AAGAATCTTG AAGACGTAAG CACTGACGAC AACAATGAAA 180

AGAAGAAGAT AAGGTCGGTG ATTGTGAAAG AGACATAGAG GACACATGTA AGGTGGAAAA 240

TGTAAGGGCG GAAAGTAACC TTATCACAAA GGAATCTTAT CCCCCACTAC TTATCCTTTT 300

ATATTTTTCC GTGTCATTTT TGCCCTTGAG TTTTCCTATA TAAGGAACCA AGTTCGGCAT 360

TTGTGAAAAC AAGAAAAAAT TTGGTGTAAG CT 392
【0185】
(2) 配列番号2に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 524 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号2
GGTACCAGAA GGTAATTATC CAAGATGTAG CATCAAGAAT CCAATGTTTA CGGGAAAAAC 60

TATGGAAGTA TTATGTGAGC TCAGCAAGAA GCAGATCAAT ATGCGGCACA TATGCAACCT 120

ATGTTCAAAA ATGAAGAATG TACAGATACA AGATCCTATA CTGCCAGAAT ACGAAGAAGA 180

ATACGTAGAA ATTGAAAAAG AAGAACCAGG CGAAGAAAAG AATCTTGAAG ACGTAAGCAC 240

TGACGACAAC AATGAAAAGA AGAAGATAAG GTCGGTGATT GTGAAAGAGA CATAGAGGAC 300

ACATGTAAGG TGGAAAATGT AAGGGCGGAA AGTAACCTTA TCACAAAGGA ATCTTATCCC 360

CCACTACTTA TCCTTTTATA TTTTTCCGTG TCATTTTTGC CCTTGAGTTT TCCTATATAA 420

GGAACCAAGT TCGGCATTTG TGAAAACAAG AAAAAATTTG GTGTAAGCTA TTTTCTTTGA 480

AGTACTGAGG ATACAAGTTC AGAGAAATTT GTAAGTTTGA ATTC 524
【0186】
(2) 配列番号3に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 526 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号3
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAAGATA AGGTCGGTGA TTGTGAAAGA GACATAGAGG 300

ACACATGTAA GGTGGAAAAT GTAAGGGCGG AAAGTAACCT TATCACAAAG GAATCTTATC 360

CCCCACTACT TATCCTTTTA TATTTTTCCG TGTCATTTTT GCCCTTGAGT TTTCCTATAT 420

AAGGAACCAA GTTCGGCATT TGTGAAAACA AGAAAAAATT TGGTGTAAGC TATTTTCTTT 480

GAAGTACTGA GGATACAAGT TCAGAGAAAT TTGTAAGTTT GAATTC 526
【0187】
(2) 配列番号4に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 411 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号4
GGATCCTATG TTCAAAAATG AAGAATGTAC AGATACAAGA TCCTATACTG CCAGAATACG 60

AAGAAGAATA CGTAGAAATT GAAAAAGAAG AACCAGGCGA AGAAAAGAAT CTTGAAGACG 120

TAAGCACTGA CGACAACAAT GAAAAGAAGA AGATAAGGTC GGTGATTGTG AAAGAGACAT 180

AGAGGACACA TGTAAGGTGG AAAATGTAAG GGCGGAAAGT AACCTTATCA CAAAGGAATC 240

TTATCCCCCA CTACTTATCC TTTTATATTT TTCCGTGTCA TTTTTGCCCT TGAGTTTTCC 300

TATATAAGGA ACCAAGTTCG GCATTTGTGA AAACAAGAAA AAATTTGGTG TAAGCTATTT 360

TCTTTGAAGT ACTGAGGATA CAAGTTCAGA GAAATTTGTA AGTTTGAATT C 411
【0188】
(2) 配列番号5に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 305 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号5
GGATCCTGAA GACGTAAGCA CTGACGACAA CAATGAAAAG AAGAAGATAA GGTCGGTGAT 60

TGTGAAAGAG ACATAGAGGA CACATGTAAG GTGGAAAATG TAAGGGCGGA AAGTAACCTT 120

ATCACAAAGG AATCTTATCC CCCACTACTT ATCCTTTTAT ATTTTTCCGT GTCATTTTTG 180

CCCTTGAGTT TTCCTATATA AGGAACCAAG TTCGGCATTT GTGAAAACAA GAAAAAATTT 240

GGTGTAAGCT ATTTTCTTTG AAGTACTGAG GATACAAGTT CAGAGAAATT TGTAAGTTTG 300

AATTC 305
【0189】
(2) 配列番号6に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 261 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号6
GGATCCGGTC GGTGATTGTG AAAGAGACAT AGAGGACACA TGTAAGGTGG AAAATGTAAG 60

GGCGGAAAGT AACCTTATCA CAAAGGAATC TTATCCCCCA CTACTTATCC TTTTATATTT 120

TTCCGTGTCA TTTTTGCCCT TGAGTTTTCC TATATAAGGA ACCAAGTTCG GCATTTGTGA 180

AAACAAGAAA AAATTTGGTG TAAGCTATTT TCTTTGAAGT ACTGAGGATA CAAGTTCAGA 240

GAAATTTGTA AGTTTGAATT C 261
【0190】
(2) 配列番号7に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 193 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号7
GGATCCTTAT CACAAAGGAA TCTTATCCCC CACTACTTAT CCTTTTATAT TTTTCCGTGT 60

CATTTTTGCC CTTGAGTTTT CCTATATAAG GAACCAAGTT CGGCATTTGT GAAAACAAGA 120

AAAAATTTGG TGTAAGCTAT TTTCTTTGAA GTACTGAGGA TACAAGTTCA GAGAAATTTG 180

TAAGTTTGAA TTC 193
【0191】
(2) 配列番号8に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 143 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号8
GGATCCGTGT CATTTTTGCC CTTGAGTTTT CCTATATAAG GAACCAAGTT CGGCATTTGT 60

GAAAACAAGA AAAAATTTGG TGTAAGCTAT TTTCTTTGAA GTACTGAGGA TACAAGTTCA 120

GAGAAATTTG TAAGTTTGAA TTC 143
【0192】
(2) 配列番号9に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 420 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号9
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGGATC 120

CTGAAGACGT AAGCACTGAC GACAACAATG AAAAGAAGAA GATAAGGTCG GTGATTGTGA 180

AAGAGACATA GAGGACACAT GTAAGGTGGA AAATGTAAGG GCGGAAAGTA ACCTTATCAC 240

AAAGGAATCT TATCCCCCAC TACTTATCCT TTTATATTTT TCCGTGTCAT TTTTGCCCTT 300

GAGTTTTCCT ATATAAGGAA CCAAGTTCGG CATTTGTGAA AACAAGAAAA AATTTGGTGT 360

AAGCTATTTT CTTTGAAGTA CTGAGGATAC AAGTTCAGAG AAATTTGTAA GTTTGAATTC 420
【0193】
(2) 配列番号10に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 482 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号10
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGGATCCGGT CGGTGATTGT 240

GAAAGAGACA TAGAGGACAC ATGTAAGGTG GAAAATGTAA GGGCGGAAAG TAACCTTATC 300

ACAAAGGAAT CTTATCCCCC ACTACTTATC CTTTTATATT TTTCCGTGTC ATTTTTGCCC 360

TTGAGTTTTC CTATATAAGG AACCAAGTTC GGCATTTGTG AAAACAAGAA AAAATTTGGT 420

GTAAGCTATT TTCTTTGAAG TACTGAGGAT ACAAGTTCAG AGAAATTTGT AAGTTTGAAT 480

TC 482
【0194】
(2) 配列番号11に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 458 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号11
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAGGATC CTTATCACAA AGGAATCTTA TCCCCCACTA 300

CTTATCCTTT TATATTTTTC CGTGTCATTT TTGCCCTTGA GTTTTCCTAT ATAAGGAACC 360

AAGTTCGGCA TTTGTGAAAA CAAGAAAAAA TTTGGTGTAA GCTATTTTCT TTGAAGTACT 420

GAGGATACAA GTTCAGAGAA ATTTGTAAGT TTGAATTC 458
【0195】
(2) 配列番号12に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 468 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号12
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAAGATA AGGTCGGATC CTTATCACAA AGGAATCTTA 300

TCCCCCACTA CTTATCCTTT TATATTTTTC CGTGTCATTT TTGCCCTTGA GTTTTCCTAT 360

ATAAGGAACC AAGTTCGGCA TTTGTGAAAA CAAGAAAAAA TTTGGTGTAA GCTATTTTCT 420

TTGAAGTACT GAGGATACAA GTTCAGAGAA ATTTGTAAGT TTGAATTC 468
【0196】
(2) 配列番号13に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 491 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号13
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAAGATA AGGTCGGTGA TTGTGAAAGA GACATAGAGG 300

ATCCTTATCA CAAAGGAATC TTATCCCCCA CTACTTATCC TTTTATATTT TTCCGTGTCA 360

TTTTTGCCCT TGAGTTTTCC TATATAAGGA ACCAAGTTCG GCATTTGTGA AAACAAGAAA 420

AAATTTGGTG TAAGCTATTT TCTTTGAAGT ACTGAGGATA CAAGTTCAGA GAAATTTGTA 480

AGTTTGAATT C 491
【0197】
(2) 配列番号14に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 408 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号14
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAGGATC CGTGTCATTT TTGCCCTTGA GTTTTCCTAT 300

ATAAGGAACC AAGTTCGGCA TTTGTGAAAA CAAGAAAAAA TTTGGTGTAA GCTATTTTCT 360

TTGAAGTACT GAGGATACAA GTTCAGAGAA ATTTGTAAGT TTGAATTC 408
【0198】
(2) 配列番号15に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 418 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号15
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAAGATA AGGTCGGATC CGTGTCATTT TTGCCCTTGA 300

GTTTTCCTAT ATAAGGAACC AAGTTCGGCA TTTGTGAAAA CAAGAAAAAA TTTGGTGTAA 360

GCTATTTTCT TTGAAGTACT GAGGATACAA GTTCAGAGAA ATTTGTAAGT TTGAATTC 418
【0199】
(2) 配列番号16に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 441 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号16
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAAGATA AGGTCGGTGA TTGTGAAAGA GACATAGAGG 300

ATCCGTGTCA TTTTTGCCCT TGAGTTTTCC TATATAAGGA ACCAAGTTCG GCATTTGTGA 360

AAACAAGAAA AAATTTGGTG TAAGCTATTT TCTTTGAAGT ACTGAGGATA CAAGTTCAGA 420

GAAATTTGTA AGTTTGAATT C 441
【0200】
(2) 配列番号17に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 476 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号17
TCTAGACCAG AAGGTAATTA TCCAAGATGT AGCATCAAGA ATCCAATGTT TACGGGAAAA 60

ACTATGGAAG TATTATGTGA GCTCAGCAAG AAGCAGATCA ATATGCGGCA CATATGCAAC 120

CTATGTTCAA AAATGAAGAA TGTACAGATA CAAGATCCTA TACTGCCAGA ATACGAAGAA 180

GAATACGTAG AAATTGAAAA AGAAGAACCA GGCGAAGAAA AGAATCTTGA AGACGTAAGC 240

ACTGACGACA ACAATGAAAA GAAGAAGATA AGGTCGGTGA TTGTGAAAGA GACATAGAGG 300

ACACATGTAA GGTGGAAAAT GTAAGGGCGG AAAGGATCCG TGTCATTTTT GCCCTTGAGT 360

TTTCCTATAT AAGGAACCAA GTTCGGCATT TGTGAAAACA AGAAAAAATT TGGTGTAAGC 420

TATTTTCTTT GAAGTACTGA GGATACAAGT TCAGAGAAAT TTGTAAGTTT GAATTC 476
【0201】
(2) 配列番号18に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 31 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号18
ACCGGTACCA GAAGGTAATT ATCCAAGATG T 31
【0202】
(2) 配列番号19に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 30 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号19
CGGAATTCAA ACTTACAAAT TTCTCTGAAG 30
【0203】
(2) 配列番号20に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 34 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号20
CGCGATCCAG ACTGAATGCC CACAGGCCGT CGAG 34
【0204】
(2) 配列番号21に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 17 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号21
AGACGTAAGC ACTGACG 17
【0205】
(2) 配列番号22に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 22 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号22
CTTATCACAA AGGAATCTTA TC 22
【0206】
(2) 配列番号23に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 22 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号23
CTTATCACAA AGGAATCTTA TC 22
【0207】
(2) 配列番号24に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 28 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号24
GCTCTAGACC AGAAGGTAAT TATCCAAG 28
【0208】
(2) 配列番号25に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 26 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号25
TATGGATCCT ATGTTCAAAA ATGAAG 26
【0209】
(2) 配列番号26に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 26 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号26
AAAGGATCCT GAAGACGTAA GCACTG 26
【0210】
(2) 配列番号27に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 25 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号27
AGAGGATCCG GTCGGTGATT GTGAA 25
【0211】
(2) 配列番号28に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 25 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号28
AAAGGATCCT TATCACAAAG GAATC 25
【0212】
(2) 配列番号29に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 27 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: NO
(xi) 配列:配列番号29
TATGGATCCG TGTCATTTTT GCCCTTG 27
【0213】
(2) 配列番号30に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 29 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: YES
(xi) 配列:配列番号30
CGGAATTCAA ACTTACAAAT TTCTCTAAG 29
【0214】
(2) 配列番号31に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 25 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: YES
(xi) 配列:配列番号31
TAAGGATCCT TTCCGCCCTT ACATT 25
【0215】
(2) 配列番号32に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 25 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: YES
(xi) 配列:配列番号32
CATGGATCCT CTATGTCTCT TTCAC 25
【0216】
(2) 配列番号33に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 22 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: YES
(xi) 配列:配列番号33
ACAGGATCCG ACCTTATCTT CT 22
【0217】
(2) 配列番号34に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 26 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: YES
(xi) 配列:配列番号34
ACCGGATCCT CTTCTTTTCA TTGTTC 26
【0218】
(2) 配列番号35に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 24 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: YES
(xi) 配列:配列番号35
TCAGGATCCT TTTCTTCGCC TGGT 24
【0219】
(2) 配列番号36に関する情報
(i) 配列の特徴:
(A) 配列の長さ: 23 塩基対
(B) 配列の型: 核酸
(C) 鎖の数: 1本鎖
(D) トポロジー: 直鎖状
(ii) 配列の種類: DNA (genomic)
(iii) ハイポセティカル配列: NO
(iv) アンチセンス: YES
(xi) 配列:配列番号36
ATAGGATCCA TATGTGCCGC ATA 23
【0220】
本発明は以下に関するものである。
1.植物細胞中で作用できるように結合された異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターであって、前記プロモーターが
配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1、
配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2、
配列番号3に示されたヌクレオチド配列からなるpA、
配列番号4に示されたヌクレオチド配列からなるpB、
配列番号5に示されたヌクレオチド配列からなるpC、
配列番号6に示されたヌクレオチド配列からなるpD、
配列番号7に示されたヌクレオチド配列からなるpE、
配列番号9に示されたヌクレオチド配列からなるpΔB、
配列番号10に示されたヌクレオチド配列からなるpΔC、
配列番号11に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD1、
配列番号12に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD2、
配列番号13に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD3、
配列番号14に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE1、
配列番号15に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE2、
配列番号16に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE3又は
配列番号17に示されたヌクレオチド配列からなるpΔE
であることを特徴とする、プロモーター。
2.前記植物細胞が単子葉植物又は双子葉植物である前記1に記載のプロモーター。
3.前記転写が植物葉肉組織中で開始される前記1に記載のプロモーター。
4.前記転写が植物師部組織中で開始される前記1に記載のプロモーター。
5.前記転写が植物根先端組織中で開始される前記1に記載のプロモーター。
6.植物細胞中で作用できるように結合された異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターを含むベクターであって、前記プロモーターが
配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1、
配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2、
配列番号3に示されたヌクレオチド配列からなるpA、
配列番号4に示されたヌクレオチド配列からなるpB、
配列番号5に示されたヌクレオチド配列からなるpC、
配列番号6に示されたヌクレオチド配列からなるpD、
配列番号7に示されたヌクレオチド配列からなるpE、
配列番号9に示されたヌクレオチド配列からなるpΔB、
配列番号10に示されたヌクレオチド配列からなるpΔC、
配列番号11に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD1、
配列番号12に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD2、
配列番号13に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD3、
配列番号14に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE1、
配列番号15に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE2、
配列番号16に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE3又は
配列番号17に示されたヌクレオチド配列からなるpΔE
であり、
該プロモーターが該異種核酸配列に作用できるように結合されることを特徴とするベクター。
7.植物細胞中で作用できるように結合された異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターを含むトランスジェニック植物であって、前記プロモーターが
配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1、
配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2、
配列番号3に示されたヌクレオチド配列からなるpA、
配列番号4に示されたヌクレオチド配列からなるpB、
配列番号5に示されたヌクレオチド配列からなるpC、
配列番号6に示されたヌクレオチド配列からなるpD、
配列番号7に示されたヌクレオチド配列からなるpE、
配列番号9に示されたヌクレオチド配列からなるpΔB、
配列番号10に示されたヌクレオチド配列からなるpΔC、
配列番号11に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD1、
配列番号12に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD2、
配列番号13に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD3、
配列番号14に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE1、
配列番号15に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE2、
配列番号16に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE3又は
配列番号17に示されたヌクレオチド配列からなるpΔE
であり、
該プロモーターが該異種核酸配列に作用できるように結合されることを特徴とするトランスジェニック植物。
8.植物細胞中の異種核酸配列の発現方法であって、
a)前記植物細胞を、植物細胞中で作用できるように結合された異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターを含むベクターで形質転換する工程であって、前記プロモーターが
配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1、
配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2、
配列番号3に示されたヌクレオチド配列からなるpA、
配列番号4に示されたヌクレオチド配列からなるpB、
配列番号5に示されたヌクレオチド配列からなるpC、
配列番号6に示されたヌクレオチド配列からなるpD、
配列番号7に示されたヌクレオチド配列からなるpE、
配列番号9に示されたヌクレオチド配列からなるpΔB、
配列番号10に示されたヌクレオチド配列からなるpΔC、
配列番号11に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD1、
配列番号12に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD2、
配列番号13に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD3、
配列番号14に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE1、
配列番号15に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE2、
配列番号16に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE3又は
配列番号17に示されたヌクレオチド配列からなるpΔE
であり、該プロモーターが該異種核酸配列に作用できるように結合される工程、及び
b)前記植物細胞を、異種核酸配列が前記植物細胞中で発現される条件下で生育する工程、
を含むことを特徴とする発現方法。
9.5'から3'方向の配列中に作用できるように結合された、
a)植物細胞中で作用できるように結合された異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターであって、前記プロモーターが
配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1、
配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2、
配列番号3に示されたヌクレオチド配列からなるpA、
配列番号4に示されたヌクレオチド配列からなるpB、
配列番号5に示されたヌクレオチド配列からなるpC、
配列番号6に示されたヌクレオチド配列からなるpD、
配列番号7に示されたヌクレオチド配列からなるpE、
配列番号9に示されたヌクレオチド配列からなるpΔB、
配列番号10に示されたヌクレオチド配列からなるpΔC、
配列番号11に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD1、
配列番号12に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD2、
配列番号13に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD3、
配列番号14に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE1、
配列番号15に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE2、
配列番号16に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE3又は
配列番号17に示されたヌクレオチド配列からなるpΔE
であるプロモーター、及び
b)前記プロモーターに対し異種である構造核酸配列
を含むことを特徴とする、植物細胞中で異種核酸配列を発現するキメラ遺伝子。
10.前記プロモーターが、配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1又は配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2である、前記1に記載のプロモーター。
11.前記プロモーターが、配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1又は配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2である、前記6に記載のベクター。
12.前記プロモーターが、配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1又は配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2である、前記7に記載のトランスジェニック植物。
13.前記プロモーターが、配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1又は配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2である、前記8に記載の方法。
14.前記プロモーターが、配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1又は配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2である、前記9に記載のキメラ遺伝子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物細胞中で作用できるように結合された異種核酸配列の転写を開始することができるプロモーターであって、前記プロモーターが
配列番号1に示されたヌクレオチド配列からなるCVP1、
配列番号2に示されたヌクレオチド配列からなるCVP2、
配列番号3に示されたヌクレオチド配列からなるpA、
配列番号4に示されたヌクレオチド配列からなるpB、
配列番号5に示されたヌクレオチド配列からなるpC、
配列番号6に示されたヌクレオチド配列からなるpD、
配列番号7に示されたヌクレオチド配列からなるpE、
配列番号9に示されたヌクレオチド配列からなるpΔB、
配列番号10に示されたヌクレオチド配列からなるpΔC、
配列番号11に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD1、
配列番号12に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD2、
配列番号13に示されたヌクレオチド配列からなるpΔD3、
配列番号14に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE1、
配列番号15に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE2、
配列番号16に示されたヌクレオチド配列からなるpΔDE3又は
配列番号17に示されたヌクレオチド配列からなるpΔE
であることを特徴とする、プロモーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−29697(P2012−29697A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248756(P2011−248756)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【分割の表示】特願2007−260132(P2007−260132)の分割
【原出願日】平成9年6月20日(1997.6.20)
【出願人】(399038620)ザ スクリプス リサーチ インスティチュート (51)
【Fターム(参考)】