説明

キャッシュレジスタ

【課題】キャッシュレジスタにおいて、記録用紙の両面において無駄なく印字できるようにする。
【解決手段】記録用紙の裏面13Aに領収書が印字され、表面13Bに取引情報が印字される場合、領収書の印字情報の方が取引情報の印字情報よりも、記録用紙の搬送方向についての長さが長い場合には、領収書の印字情報が搬送方向について縮小される。さらに、表面13Bに空白がある場合には、広告データP4を挿入される。また、レシートの裏面13Aの押印欄の領域P5に背中合わせとなる、図20(B)の表面13Bの領域P6が空白とされるように、調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュレジスタに関し、特に、記録用紙の両面に印字可能なキャッシュレジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャッシュレジスタにおいて、記録用紙の両面に印字をするものがあった。
たとえば、特許文献1(特開2009−157833号公報)には、記録用紙の節約および精算処理の迅速化の観点から、用紙の一方の面に購入された個々の商品の情報を含むレシートを印字し、当該一方の面とは異なる面に領収書を印字する精算装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−157833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のキャッシュレジスタによって印字されるレシートの印字内容の一例を、図21に示す。図21(A)には、レシートの裏面90Aに印字された領収書が示され、図21(B)には、レシートの表面90Bに印字された取引明細が示されている。
【0005】
従来のキャッシュレジスタでは、表面と裏面の印字内容は互いに独立している。よって、両面を印字されたレシートが顧客に渡される場合、図21(A)の裏面90Aにおいて空白P90として示されるように、当該レシートの裏面90Bには空白の領域が生じる。
【0006】
特許文献1では、当該空白領域を、領収書が印字された領域とを区切る破線を、併せて印字することが開示されている。
【0007】
しかしながら、昨今のさまざまな材料の価格の高騰などを考慮すると、用紙の使用量を最小限に抑えるためなど、紙面の有効利用について、より詳細な検討が必要とされる。
【0008】
本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、記録用紙の両面において無駄なく印字できるキャッシュレジスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面に従ったキャッシュレジスタは、取引明細のデータを登録可能なキャッシュレジスタであって、記録用紙を搬送させながら、当該記録用紙の第1の面および第1の面と異なる第2の面に印字する印字部と、登録された取引明細のデータに基づき、第1の面の印字情報および押印用の領域を含む第2の面の印字情報を生成し、印字部に、第1の面および第2の面の印字情報に基づいて印字させる制御部とを備え、制御部は、第2の面の印字情報における押印用の領域と背中合わせとなる第1の面の印字情報の領域に印字情報があるか否かを判断し、押印用の領域と背中合わせとなる第1の面の印字情報の領域に印字があると判断した場合には、押印用の領域と背中合わせとなる領域には印字されないように、第1の面の印字情報の修正して印字する。
【0010】
また、本発明のキャッシュレジスタでは、制御部は、第1の面の印字情報の文字サイズを小さくあるいは行間を狭くすることにより印字情報の修正を行うことが好ましい。
【0011】
また、本発明のキャッシュレジスタでは、第1の印字情報は複数のブロック状に構成されており、制御部は、第1の面の印字情報をブロック単位に移動させることにより修正を行うことが好ましい。
【0012】
また、本発明のキャッシュレジスタでは、制御部は、搬送方向について、第1の面の印字情報が修正されることによりその長さが第2の面の印字情報よりも短くなった場合には、第1の面の印字情報に、広告情報を追加するようにさらに修正することが好ましい。
【0013】
本発明の他の局面に従ったキャッシュレジスタは、取引明細のデータを登録可能なキャッシュレジスタであって、記録用紙を搬送させながら、当該記録用紙の第1の面および第1の面と異なる第2の面に印字する印字部と、登録された取引明細のデータに基づき、第1の面の印字情報および押印用の領域を含む第2の面の印字情報を生成し、印字部に、第1の面および第2の面の印字情報に基づいて印字させる制御部とを備え、制御部は、第2の面の印字情報における押印用の領域と背中合わせとなる第1の面の印字情報の領域に印字情報があるか否かを判断し、押印用の領域と背中合わせとなる第1の面の印字情報の領域に印字があると判断した場合には、押印用の領域と背中合わせとなる領域には印字されないように、第2の面の印字情報の印字位置を変更して印字する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録用紙についての、第1の面の印字情報と第2の面の印字情報の、搬送方向についての長さが異なる場合には、両者の長さが近づくように、これらの印字情報が修正される。
【0015】
これにより、搬送方向に記録用紙が送られながら印字がなされ、印字が完了した箇所で切断されて、レシートとして顧客に渡される場合、当該方向について、一方の面に印字される長さが他方の面より著しく短いことにより当該一方の面において大きな空白領域が生じることを回避できる。
【0016】
したがって、本発明によれば、記録用紙のいずれの面においても空白領域が生じることを抑えることができ、これにより、記録用紙の両面を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のキャッシュレジスタの一実施の形態のブロック構成を示す図である。
【図2】図1のキャッシュレジスタの外観を模式的に示す図である。
【図3】図1のキャッシュレジスタにおいて実行されるレシート印字処理のフローチャートである。
【図4】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図5】図3の印字データ調整処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図6】図3の押印欄調整処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図7】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図8】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図9】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図10】図3の印字縮小処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図11】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図12】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図13】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図14】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図15】図3の広告挿入処理のサブルーチンのフローチャートである。
【図16】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図17】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図18】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図19】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図20】図1のキャッシュレジスタにおいて扱われる印字情報に基づくレシートの一例を示す図である。
【図21】従来のキャッシュレジスタによる印字情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明のキャッシュレジスタの実施の形態について説明する。
[1.キャッシュレジスタの構成]
[1−1.キャッシュレジスタの全体構成]
図1は、本発明のキャッシュレジスタの一実施の形態であるキャッシュレジスタ100のブロック構成を示す図である。
【0019】
キャッシュレジスタ100は、POS(Point Of Sales)ターミナル1と両面レシートプリンタ2から主に構成される。
【0020】
POSターミナル1は、当該POSターミナル1の動作を全体的に制御する制御部110と、制御部110が実行するプログラム等のデータを記憶する記憶部120と、表示部130と、外部からの情報の入力を受付ける入力部140と、光学的手法等によって商品等に付されたバーコードを読取るバーコードリーダ150と、両面レシートプリンタ2との間の通信におけるインターフェイスとなる通信部160とを含む。
【0021】
POSターミナル1は、1回の取引毎に、顧客が購入する個々の商品の情報をまとめて、購入商品リスト情報記憶部124に購入商品リスト情報として保存する。具体的には、たとえば、POSターミナル1のオペレータが、顧客が購入する個々の商品の商品コードをバーコードリーダ150に読取らせ、読取った商品コードに基づいて、購入商品リスト情報を生成する。購入商品リスト情報としては、顧客が購入した商品に関する情報の一例として、商品の品名、価格、数量および金額(価格×数量)が登録されている。
【0022】
制御部110は、購入商品リスト情報記憶部124に登録された商品の情報を、取引明細のデータとして、両面レシートプリンタ2に印字させる。
【0023】
制御部110は、取引明細のデータについて、記録用紙の紙面のレイアウトを作成する。具体的には、制御部110は、購入商品リスト情報として記憶された情報を記録用紙に印字する際の、行間の長さや、文字のフォントの種類やポイント数を制御する。制御部110は、このような行間の長さの制御を行なう行間制御部111と、フォントの種類やポイント数(大きさ)を制御するフォント制御部112とを含む。
【0024】
制御部110は、行間制御部111とフォント制御部112によって設定された取引明細のデータのレイアウトに基づいて、当該取引明細のデータの印刷に必要とされる、記録用紙の搬送方向についての長さを算出する印刷長演算部113を含む。また、制御部110は、生成した印字情報に従った両面レシートプリンタ2に印字命令を出力する印字制御部114を含む。
【0025】
ここで、記録用紙の搬送方向について説明する。
図2は、キャッシュレジスタ100の外観を模式的に示す図である。
【0026】
図2を参照して、キャッシュレジスタ100の本体200には、液晶表示装置等からなる表示部130と、複数のキーを含む入力部140と、印字された記録用紙PRを排出する排出口201が設けられている。図2では、記録用紙の搬送方向が矢印R1で示されている。
【0027】
図1に戻って、POSターミナル1は、記録用紙の表面および裏面の両面に印字させることができる。表面には、上記したように購入商品リスト情報記憶部124に登録された商品の情報である取引明細のデータを印字させる。記録用紙の裏面には、1回の取引全体についての領収書を印字させる。
【0028】
印字される領収書のフォーマットは、領収書印字フォーマット記憶部123に記憶されている。制御部110は、領収書印字フォーマット記憶部123からフォーマットを読出し、購入商品リスト情報記憶部124に登録された商品の金額の合計(顧客に対する1回の取引における請求金額)を当該フォーマットに挿入することにより、領収書を印字させるための印字情報を生成する。
【0029】
制御部110は、取引明細の印字情報を生成する場合、購入商品リスト情報記憶部124に登録された商品の情報に加えて、ヘッダブロックデータ125およびPOS情報ブロックデータ126を、印字情報に含める。また、制御部110は、取引明細の印字情報に、広告データ記憶部122に記憶された広告データを適宜挿入する。
【0030】
後述するように、制御部110は、取引明細の印字情報および/または領収書の印字情報を、他方の面に印字される印字情報等に基づいて修正する。当該印字情報の修正は、印字内容最適化プログラム記憶部121に記憶された印字内容最適化プログラムを制御部110が実行することにより実現されるものであり、その詳細な内容は後述する。
【0031】
制御部110において取引明細の印字情報および領収書の印字情報が生成されると、印字制御部114は、通信部160を介して、これらのデータを両面レシートプリンタ2に送信し、印字させる。
【0032】
両面レシートプリンタ2は、通信部230を介して、取引明細の印字情報、領収書の印字情報およびこれらの印字命令を受信する。
【0033】
両面レシートプリンタ2の印字データ格納用メモリ部220は、記録用紙の表面用のバッファと裏面用のバッファを含む。POSターミナル1から受信した取引明細の印字情報を一方のバッファに、領収書の印字情報を他方のバッファに、それぞれ蓄積される。そして、蓄積された印字情報は、印字機構部210によって、記録用紙上に印字され、排出口201を介して、印字された記録用紙は出力される。
【0034】
[1−2.記憶部の記憶内容]
記憶部120は、印字内容最適化プログラム記憶部121、広告データ記憶部122、領収書印字フォーマット記憶部123、購入商品リスト情報記憶部124、ヘッダブロックデータ記憶部125、およびPOS情報ブロックデータ記憶部126を含む。
【0035】
印字内容最適化プログラム記憶部121は、上記のように、本実施の形態における印字情報の修正を実現するためのプログラム(修正印字内容最適化プログラム)を記憶する。
【0036】
広告データ記憶部122は、広告としてレシートの表面および/または裏面に印字させるためのデータ(広告データ)を記憶する。
【0037】
領収書印字フォーマット記憶部123は、上記のように、レシートの裏面に印字される領収書のフォーマットを記憶する。
【0038】
購入商品リスト情報記憶部124は、顧客が購入する商品の情報を記憶する。
ヘッダブロックデータ記憶部125は、後述するヘッダブロックを印字するためのデータを記憶する。
【0039】
POS情報ブロックデータ記憶部126は、後述するPOS情報ブロックを印字するためのデータを記憶する。
【0040】
キャッシュレジスタ100では、レシートの表面に印字される取引明細は、複数のブロックを含む。具体的には、図4(B)のレシートの表面10Bとして示すように、取引明細は、キャッシュレジスタ100が設置されている店舗を特定する情報等のヘッダブロック11と、購入された個々の商品についての情報である購入商品リスト情報ブロック12と、購入された商品の合計額等の情報である精算情報ブロック13と、店舗において個々のキャッシュレジスタ100を特定する情報であるPOS情報ブロック14とを含む。
【0041】
また、キャッシュレジスタ100では、レシートの裏面に領収書ブロック(領収書の画像全体を含む)が印字される。
【0042】
そして、広告データ記憶部122は広告ブロックの、領収書印字フォーマット記憶部123は領収書ブロックの、購入商品リスト情報記憶部124は購入商品リスト情報ブロックおよび清算情報ブロックの、ヘッダブロックデータ記憶部125はヘッダブロックの、POS情報ブロックデータ記憶部126はPOS情報ブロックの、属性情報を記憶している。
【0043】
属性情報は、レシートにそのまま印字された際のサイズ、その内容の調整の可/不可、そのフォントやサイズの調整(リサイズ)の可/不可、レシートの表面または裏面における基本的な配置、基本的な配置の変更(移動)の可/不可、レシートにおける印字場所(裏面および/または表面、ならびに、各面における印字場所の条件)についての情報(場所)、および、一度印字情報に含められた後削除することの可/不可についての情報を含む。
【0044】
たとえば、広告データ記憶部122では、ブロックA印刷情報122A、ブロックB印刷情報122B、およびブロックC印刷情報122Cとして、各広告の画像情報が記憶されている。そして、管理情報122Xとして、ブロックA印刷情報122A等の各広告の画像情報についての上記属性情報が、図1に示されるように記憶されている。
【0045】
また、POS情報ブロックの属性情報は、たとえば、フォントおよび行間の調整は不可、ブロックのリサイズの可否としては左右方向のサイズの半減(この場合、上下方向のサイズは倍増)のみ可、配置の変更は可、そして、配置場所として、表面に限定され、かつ、ヘッダブロック・購入商品リスト情報ブロック・清算情報ブロック・広告ブロックより下という情報が含まれる。さらに、POS情報ブロックの属性情報には、変数として、実際に配置を調整された後の、ブロックサイズ、表示される座標、および印字内容が含まれる。
【0046】
また、キャッシュレジスタ100では、出力されるレシートの表面および/または裏面に空白ブロックが配置される場合がある。そして、記憶部120の図示せぬ領域に、空白ブロックについての属性情報が記憶されている。具体例としては、フォントおよび行間の調整は可、ブロックのリサイズは可、ブロックの移動は可、ブロックの場所については条件無し、削除可否については削除可という情報が記憶されている。
【0047】
[2.印字処理]
以下、キャッシュレジスタ100がレシートを印刷する際に実行する処理について、当該処理(レシート印字処理)のフローチャートである図3を参照して説明する。
【0048】
図3を参照して、レシート印字処理では、制御部110は、まずステップS1で、バーコードリーダ150または入力部140から、商品コードの入力を受付けて、ステップS2へ処理を進める。
【0049】
ステップS2では、制御部110は、ステップS1で入力を受付けた商品コードおよび商品の数量に基づいて、商品名および価格を取得し、取得した価格と入力された数量に基づいて商品金額を算出し、これらに基づいて購入商品リスト情報に当該商品についての情報を追加するように購入商品リスト情報記憶部124を更新して、ステップS3へ処理を進める。
【0050】
ステップS3では、制御部110は、取引終了のための操作がなされるまで、ステップS1およびステップS2の処理を続け、当該操作があったと判断すると、ステップS4へ処理を進める。
【0051】
ここで、取引終了のための操作とは、精算キー141が操作され、そして、顧客からの預かり金額の入力があったことを意味する。なお、制御部110は、精算キー141が操作されたことに応じて、購入商品リスト情報記憶部124に登録された金額の合計額を、小計額として算出し、表示部130に表示させる。顧客は、表示部130に表示された小計額に基づいて、支払う金額を決定し、キャッシュレジスタ100のオペレータに当該金額を手渡す。オペレータは、預かり金額を、入力部140を介してPOSターミナル1へ入力する。これに応じて、制御部110は、釣銭の金額を算出し、表示部130に表示させる。精算キー141は、実行中の取引についての商品の登録が終了したときにキャッシュレジスタのオペレータによって操作されるキーである。
【0052】
ステップS4では、制御部110は、購入商品リスト情報記憶部124に登録された商品の情報に基づいて、レシートに印字する情報を生成して、ステップS5へ処理を進める。ここでは、制御部110は、レシートの印字情報として、記録用紙の表面の印字情報と裏面の印字情報を生成する。表面の印字情報とは、取引明細を印字するための情報であり、ヘッダブロック、購入商品リスト情報ブロック、精算情報ブロック、およびPOS情報ブロックの各情報を含む。裏面の印字情報とは、領収書を印字するための情報であり、領収書ブロックの情報を含む。なお、各ブロックの情報の生成は、周知の方法を用いることができる。
【0053】
また、レシートの印字情報は、レシートが印字される記録用紙の幅の用紙について、表面と裏面において同じ長さだけ印字するための情報とされる。よって、表面に対して裏面の方が長さ足りない場合には長さを合わせるために裏面に空白ブロックが挿入され、裏面に対して表面の方が長さ足りない場合には長さを合わせるために表面に空白ブロックが挿入される。
【0054】
ステップS5では、ステップS4で生成したレシートの表面の印字情報および/または裏面の印字情報についての、レイアウトを調整する印字データ調整処理を実行して、ステップS6へ処理を進める。印字データ調整処理の詳細については、後述する。
【0055】
ステップS6では、ステップS5で調整した後の印字情報に従って印字動作を実行するよう、両面レシートプリンタ2に印字命令を出力して、処理を終了する。
【0056】
両面レシートプリンタ2は、POSターミナル1からの印字命令を受信すると、当該印字命令に従って、記録用紙PRに対して印字動作を実行する。
【0057】
ここで、ステップS4で生成される印字情報について、そのまま(後述するステップS5の印字データ調整処理をされることなく)、両面レシートプリンタ2に対して印字命令がなされた場合に出力されるレシートの一例を、図4に示す。
【0058】
図4(A)はレシートの裏面10Aを、図4(B)はレシートの表面10Bを示す。裏面10Aには、領収書ブロック31が印字される。レシートの表面10Bには、取引明細の情報が印字されている。
【0059】
表面10Bの取引明細の情報には、キャッシュレジスタ100が設置されている店舗を特定する情報等のヘッダブロック11と、購入された個々の商品についての情報である購入商品リスト情報ブロック12と、購入された商品の合計額等の情報である精算情報ブロック13と、店舗において個々のキャッシュレジスタ100を特定する情報であるPOS情報ブロック14とを含む。
【0060】
ヘッダブロック11は、ヘッダブロックデータ記憶部125に記憶されたデータが印字されたものである。購入商品リスト情報ブロック12は、購入商品リスト情報記憶部124に記憶された情報が印字されたものである。購入商品リスト情報記憶部124の記憶内容は、個々の取引が終了するたびに消去される。なお、記憶部120には、別途購入履歴を記憶する領域が設けられ、各取引の購入商品リスト情報は、購入商品リスト情報記憶部124から消去される際に、当該記憶領域にコピーされ、蓄積されてもよい。POS情報ブロック14は、POS情報ブロックデータ記憶部126に記憶された情報が印字されたものである。
【0061】
ステップS4では、制御部110は、ヘッダブロック11として印字させる情報の種類、購入商品リスト情報ブロック12や精算情報ブロック13の行間の長さおよび印字するフォントの種類および大きさ、ヘッダブロック11と購入商品リスト情報ブロック12との記録用紙の搬送方向についての間隔、購入商品リスト情報ブロック12と精算情報ブロック13との上記搬送方向についての間隔、そして、精算情報ブロック13とPOS情報ブロック14との上記搬送方向についての印字間隔に、行間制御部111およびフォント制御部112においてデフォルトで設定された内容を挿入して、印字情報を生成する。
【0062】
図4(A)および図4(B)から理解されるように、裏面10Aと表面10Bの、記録用紙の搬送方向R1についての印字の長さは異なっている。具体的には、裏面10Aの、領収書ブロック31が印字される領域より、表面10Bの、ヘッダブロック11、購入商品リスト情報ブロック12、精算情報ブロック13およびPOS情報ブロック14のいずれかが印字される領域の方が長く、これにより、裏面10Aでは、領域P10で示された空白領域が生じている。ステップS4で生成された印字情報において、領域P10に対応する領域には、空白ブロックが挿入されている。
【0063】
印字データ調整処理(ステップS5)では、領域P10のような、片面にのみ空白領域が生じることによる印字スペースの無駄を排除すべく、レシートの表面および/または裏面の印字情報が調整される。
【0064】
[2−1.印字データ調整処理]
図5は、ステップS5の印字データ調整処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0065】
図5を参照して、印字データ調整処理では、制御部110は、ステップS10で、ステップS4で生成した表面の印字情報と裏面の印字情報の、記録用紙の搬送方向についての印字量(印字される長さ)を比較して、ステップS20へ処理を進める。
【0066】
ステップS20では、制御部110は、広告データ記憶部122に広告としてレシートに印字させるためのデータ(広告データ)を記憶しているか否かを判断し、記憶されていると判断するとステップS30へ処理を進め、されていないと判断するとステップS140へ処理を進める。なお、ステップS20での判断は、たとえば表面または裏面の印字情報に空白ブロックが挿入されているか否かが判断されることにより実現される。
【0067】
ステップS140では、制御部110は、ステップS10の比較結果について、表面の印字量が裏面の印字量よりも多いか否かを判断し、そうであると判断するとステップS150へ処理を進め、表面の印字量が裏面の印字量以下であると判断するとステップS160へ処理を進める。
【0068】
ステップS150では、制御部110は、表面の印字ピッチおよび/または印字フォントのサイズを、表面の印字量が裏面の印字量とほぼ一致するように調整して、ステップS170へ処理を進める。
【0069】
ステップS160では、制御部110は、裏面の印字量を、表面とほぼ一致するように調整して、ステップS170へ処理を進める。
【0070】
ステップS170では、制御部110は、押印欄調整処理を実行して、印字データ調整処理を終了させ、処理を図3にリターンさせる。
【0071】
[2−2.押印欄調整処理]
図6は、押印欄調整処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0072】
押印欄調整処理では、制御部110は、ステップSA10で、ステップS4で生成した印字情報において、押印欄が存在するか否かを判断し、存在すると判断するとステップSA20へ処理を進め、存在しないと判断すると、そのまま処理を図5にリターンさせる。
【0073】
ステップSA20では、制御部110は、記録用紙において、ステップSA10で存在すると判断した押印欄と背中合わせとなる表面の位置に、印字データが存在するか否かを判断し、存在すると判断するとステップSA30へ処理を進め、存在しないと判断するとそのまま処理を図5へリターンさせる。なお、ステップSA20では、空白ブロック以外のブロックが当該位置に存在するか否かが判断されることにより実現される。
【0074】
ステップSA30では、制御部110は、表面の印字情報において空白ブロックが存在しないかどうかを判断し、存在しないと判断するとステップSA40へ処理を進め、存在すると判断するとステップSA90へ処理を進める。
【0075】
ステップSA40では、制御部110は、表面の印字情報において、裏面の押印欄と背中合わせの位置に配置されているブロックが削除不可のものであるか否かを判断し、削除不可のものであると判断するとステップSA60へ処理を進め、削除可能であると判断するとステップSA50へ処理を進める。
【0076】
ここで、表面の印字情報を構成するブロックが削除可能であるか否かは、当該各ブロックについての表示データに削除可能であるデータが含まれているか否かによって判断される。
【0077】
ステップSA40では、押印欄と背中合わせに配置されたブロックが広告データのブロックである場合に、当該画像についての管理情報の「削除」が不可であるか否かを判断することに相当する。
【0078】
なお、削除の可否についてのデータを有しているのは、広告データのみであって、ヘッダブロック、POS情報ブロックおよび購入商品リスト情報ブロックは、レシートの表面から削除できないものであり、「削除」は不可のものとして取扱われる。
【0079】
ステップSA50では、押印欄と背中合わせにある表面の位置に配置されたブロックを削除するように、表面の印字情報を更新して、図5へ処理をリターンさせる。
【0080】
ステップSA60では、制御部110は、表面の押印欄と背中合わせの位置に配置されたブロックがリサイズが可能なブロックであるか否かを判断し、可能であると判断するとステップSA70へ処理を進め、リサイズ不可であると判断するとステップSA80へ処理を進める。
【0081】
ステップSA70では、制御部110は、表面の押印欄と背中合わせの位置に近いブロックをリサイズ(縮小)して、当該ブロックの近傍に空白ができるようにする。これにより、押印欄と背中合わせの位置のすべてが空白とならない場合には、当該背中合わせの位置に空白ブロックを挿入するように表面の印字情報を修正して、ステップSA90へ処理を進める。
【0082】
ステップSA80では、表面の印字情報の、押印欄と背中合わせの位置に空白ブロックを追加するように、表面の印字情報を修正して、ステップSA90へ処理を進める。なお、ここで追加される空白ブロックのサイズは、裏面の押印欄と同じサイズ(または、それ以上のサイズ)とされる。
【0083】
ステップSA90では、制御部110は、表面の印字情報において、押印欄と背中合わせの位置が空白ブロックとなったか否かを判断し、そうであると判断すると図5へ処理をリターンさせる。一方、まだ当該背中合わせの位置が空白ブロックとなっていない場合には、ステップSA100へ処理を進める。
【0084】
ステップSA100では、制御部110は、裏面の印字情報を、押印欄の位置が、表面の空白ブロックと背中合わせとなるような位置に移動させて、ステップSA110へ処理を進める。
【0085】
ステップSA110では、制御部110は、さらに、表面の印字情報を、裏面の押印欄と背中合わせとなる位置に移動させて、ステップSA120へ処理を進める。
【0086】
ステップSA120では、押印欄と背中合わせの位置が空白ブロックとなったか否かを判断し、なったと判断すると図5へ処理をリターンさせる。一方、空白ブロックとなっていないと判断すると、ステップSA130で、さらに、表面の印字情報を、押印欄と背中合わせの位置に空白ブロックを追加するように修正して、図5へ処理をリターンさせる。
【0087】
以上説明したステップS140〜170の処理によれば、まずステップS140〜ステップS160の処理によって、表面と裏面の印字情報の、記録用紙の搬送方向についての長さがほぼ一致するように調整される。
【0088】
これにより、図4に示したレシートの裏面10Aと表面10Bの印字情報は、図7(A)の裏面23Aと図7(B)に示した表面23Bのように調整される。
【0089】
図7(B)の表面23Bは、図4(B)の表面10Bと比較して、ヘッダブロック11の最下部にある日付および時刻が削除され、また、購入商品リスト情報ブロック12および精算情報ブロック13の、搬送方向についての行間(ピッチ)が狭められるように調整されている。これにより、表面23Bの搬送方向の長さは、裏面23Aの領収書の搬送方向の長さとほぼ一致している。これにより、図4(A)において領域P10として示したような空白領域が消失している。
【0090】
図7(A)の裏面23Aには、領収書についての押印欄P24が含まれている。
図8(A)および図8(B)は、図7(A)および図7(B)と同様に、印字方向の長さを調整された、レシートの表面と裏面を示している。ここで、表面23Bの中の領域P25は、裏面23Aの押印欄と背中合わせの位置となる領域である。
【0091】
図8(B)の表面23Bでは、裏面23Aの押印欄と背中合わせとなる位置が、領域P25で示されている。図8(B)の表面23Bでは、領域P25は、POS情報ブロックの印字位置に含まれている。
【0092】
本実施の形態において、POS情報ブロックは、上記したようにリサイズが可能なものであるとする。
【0093】
そして、本実施の形態の押印欄調整処理において、図8の表面23Bは、ステップSA60の処理により、POS情報ブロックがリサイズ可能であると判断されてステップSA70へ処理を進められ、ステップSA70で、POS情報ブロックがリサイズされて、図9(B)の表面24Bとされる。図9(B)の表面24Bでは、図8(B)の表面23Bと比較して、POS情報ブロックがリサイズされることにより、2列で記載されていたところが、1列にまとめられている。これにより、領域P25は、空白領域(空白ブロック)となっている。これにより、ステップSA90の処理の後、処理が図5に戻される。
【0094】
図5に戻って、ステップS30では、制御部110は、記録用紙の搬送方向について、ステップS140と同様に、表面の印字量が裏面の印字量よりも多くなっているか(長くなっているか)否かを判断し、そうであると判断するとステップS40へ処理を進め、表面の印字量が裏面の印字量以下であると判断するとステップS90へ処理を進める。
【0095】
ステップS40では、制御部110は、ステップS4で生成した表面および/または裏面の印字情報を、フォントの大きさや行間を調整することによって印字領域を縮小する印字縮小処理を実行して、ステップS50へ処理を進める。
【0096】
[2−3.印字縮小処理]
図10は、ステップS40(図5参照)のサブルーチンのフローチャートである。
【0097】
図10を参照して、制御部10は、印字縮小処理において、まずステップSB10で、ステップS4で生成した表面または裏面の印字情報において、空白ブロックがあるか否かを判断し、あると判断するとステップSB20で削除して、ステップSB30へ処理を進める。ないと判断すると、そのまま、ステップSB30へ処理を進める。
【0098】
ここで、空白ブロックとは、印字情報は存在しないが、その背中合わせとなる部分には印字情報が存在する領域をいう。具体的には、図4(A)の裏面10Aの領域P10をいう。
【0099】
ステップSB30では、制御部110は、ステップS4で生成した表面の印字情報について、調整をするか否かを判断し、すると判断するとステップSB40へ処理を進め、しないと判断すると、ステップSB60へ処理を進める。
【0100】
つまり、ステップSB30では、印字縮小処理が呼び出された際に、表面の印字情報の縮小を必要とされていたか、そうでないか(裏面の印字情報の縮小を必要とされていたか)が判断される。
【0101】
ステップSB40では、制御部110は、ステップS4で生成した表面の印字情報において、文字のフォントの大きさおよび/または行間の調整が可能なブロックがあるか否かを判断し、あると判断するとステップSB50へ処理を進め、ないと判断するとステップSB80へ処理を進める。
【0102】
なお、ステップSB40では、制御部110は、具体的には、表面の印字情報を構成しているブロックにおいて、その属性情報のフォント/行間の調整が可とされているブロックがあるか否かを判断する。
【0103】
ステップSB50では、制御部110は、ステップS4で生成した表面の印字情報について、ステップSB40で調整が可能であると判断したブロックについて、文字のフォントの大きさおよび行間を、縮小するように修正して、ステップSB80へ処理を進める。なお、ステップSB50では、たとえば、属性情報でフォント等の調整が可とされているブロックについて、文字および/または行間を縮小可能な限り縮小するようにデータが修正される。
【0104】
一方、ステップSB60では、制御部110は、ステップS4で生成した裏面の印字情報において、フォントの大きさおよび/または行間の調整が可能なブロックがあるか否かを判断し、あると判断するとステップSB70へ処理を進め、ないと判断するとステップSB80へ処理を進める。
【0105】
ここで、ステップSB60では、制御部110は、具体的には、裏面の印字情報を構成しているブロックにおいて、その属性情報のフォント/行間の調整が可とされているブロックがあるか否かを判断する。
【0106】
ステップSB70では、制御部110は、ステップS4で生成した裏面の印字情報において、印字する文字の大きさおよび/または行間を縮小するように修正して、ステップSB80へ処理を進める。
【0107】
ステップSB70では、たとえば、属性情報でフォント等の調整が可とされているブロックについて、文字および/または行間を縮小可能な限り縮小するようにデータが修正される。
【0108】
ステップSB80では、制御部110は、ステップSB20〜ステップSB70で修正した印字情報について、表面および裏面の修正後の印字情報を、記録用紙の搬送方向の先頭方向に詰めるように配置を修正して、ステップSB90へ処理を進める。
【0109】
ステップSB90では、制御部110は、ステップSB80で修正した表面および裏面の印字情報において、空白エリアを検出し、検出された空白エリアに空白ブロックを挿入するよう印字情報を更新して、印字縮小処理を終了させ、処理を図5にリターンさせる。なお、空白エリアの有無は、表面と裏面の印字情報を、記録用紙の搬送方向についての長さが同じになるようにした場合、各面の印字情報において、なんらのブロックも配置されていない領域が存在するか否かを判断することにより、判断される。
【0110】
以上説明した印字縮小処理によれば、図4(A)および図4(B)に示された、ステップS4で生成された裏面10Aと表面10Bの印字情報は、図12(A)および図12(B)に示された裏面18Aおよび表面18Bのように修正される。
【0111】
具体的には、ステップSB20の処理により、裏面10Aの空白の領域P10が削除される。
【0112】
また、ステップSB50の処理により、表面10Bのヘッダブロック11の日付および時刻の情報が削除され、購入商品リスト情報ブロック12および精算情報ブロック13の行間が縮小されて、ヘッダブロック11P、購入商品リスト情報ブロック12P、精算情報ブロック13Pとして示されている。
【0113】
そして、ステップSB80の処理により、裏面および表面の印字情報が、それぞれ、記録用紙の搬送方向の先頭に向けて詰められている。
【0114】
これにより、図11(A)の裏面17Aが、図12の(A)の裏面18Aでは削除され、そして、領収書の印字情報が、記録用紙の搬送方向の先頭部分に詰められて位置している。
【0115】
そして、ステップSB90の処理により、図12(B)の表面18Bにおいて、領域P14および領域P15が空白エリアとして検出され、空白ブロックとして設定される。
【0116】
次に、ステップS4で生成された印字情報において、記録用紙の搬送方向について、裏面の印字情報の長さの方が表面の印字情報よりも長かった場合についての印字縮小処理の効果について説明する。
【0117】
図13(A)および図13(B)には、ステップS4で生成された印字情報に基づく裏面19Aと表面19Bの一例が示されている。
【0118】
裏面19Aは、領域P16は、領収書の印字情報が占める領域を示している。
表面19Bは、ヘッダブロック11Xと、購入商品リスト情報ブロック12Xと、精算情報ブロック13Xと、POS情報14Xとを含む。
【0119】
図13(A)の裏面19Aについて、ステップSB70の処理により、フォントの大きさおよび行間が縮小されることにより、図14(A)の裏面20Aでは、領収書の印字領域が領域P17として示されるように、記録用紙の搬送方向R1について縮小されている。
【0120】
そして、このように領収書の印字領域が縮小されたことにより、裏面20Aには、空白の領域P18が生じている。
【0121】
ステップSB90の処理により、領域P18が空白エリアとして検出され、空白ブロックとして設定される。
【0122】
図5に戻って、ステップS40で印字縮小処理を実行した後、制御部110は、ステップS50で、ステップS40で設定した空白ブロックが、広告データ記憶部122において記憶している管理情報122Xの最小のサイズ以上のサイズを有しているか否かを判断し、そのようなサイズを有していると判断するとステップS60へ処理を進め、空白ブロックのサイズが最小の広告データのサイズよりも小さいと判断するとステップS70へ処理を進める。
【0123】
ステップS60では、制御部110は、広告挿入処理を実行して、ステップS80へ処理を進める。
【0124】
[2−4.広告挿入処理]
図15は、ステップS60の広告挿入処理のサブルーチンのフローチャートである。
【0125】
図15を参照して、広告挿入処理では、制御部110は、まずステップSC10で、表面または裏面の印字情報について、ステップS40の印字縮小処理において空白ブロックの設定がなされているか否かを判断し、なされていないと判断すると、広告挿入処理を終了させて、図5に処理をリターンさせる。
【0126】
一方、空白ブロックが設定されていると判断すると、制御部110は、ステップSC20で、各空白ブロックに対して広告データ記憶部122に記憶された広告データの中で、各空白ブロックに収まる最大限の広告データを挿入して、ステップSC30へ処理を進める。
【0127】
なお、制御部110は、広告データのサイズは、管理情報122Xを参照することにより取得する。
【0128】
次に、ステップSC30では、制御部110は、ステップSC20で挿入した各広告データについて、各ブロックの属性情報に基づいて再配置を行なって、広告挿入処理を終了し、図5へ処理をリターンさせる。
【0129】
以上説明した広告挿入処理による、印字縮小処理後の印字情報の調整について説明する。
【0130】
図16(A)および図16(B)に、縮小処理後の印字情報に基づくレシートの裏面21Aおよび表面21Bの一例を示す。
【0131】
図16(B)の表面21Bでは、空白ブロックとして、領域P19および領域P20が設定されているものとする。
【0132】
広告挿入処理のステップSC20によって、領域P20に、「○○セール実施中 ○月○日〜○月○日」という文字を含む広告データが挿入されている。
【0133】
なお、当該広告データには、配置についての属性情報が、広告データ記憶部122に記憶されているものとする。
【0134】
当該属性情報は、POS情報ブロックよりも、上方に(記録用紙の搬送方向R1の先端側に)、配置させる、というものであるとする。
【0135】
図16(B)の表面21Bでは、領域B20内の広告データは、「店No.0001」等のPOS情報ブロックよりも下方に配置されている。
【0136】
そして、ステップSC30の処理により、上記広告データの属性情報に基づいて、領域P20内に配置された広告データは、POS情報ブロックよりも上方に配置されるように、再配置される。再配置後のレシートの表面の印字情報に従った表面を、図17(B)に示す。
【0137】
図17(B)の表面22Bでは、表面21Bの領域P20がPOS情報ブロックよりも上方に位置するように、つまり、POS情報ブロックが配置された領域P22と空白ブロックの領域P23(表面21Bの領域P19に相当)が、広告データを含む領域P21よりも下方に配置されている。
【0138】
図5に戻って、ステップS50において、印字縮小処理後の印字情報に広告データを挿入するスペースがないと判断すると、制御部110は、ステップS70において、ステップS150と同様に、表面の印字情報を、その印字情報における行間やフォントの種類および大きさを調整することにより、裏面の印字情報の、記録用紙の搬送方向の長さとほぼ一致するように調整して、ステップS80へ処理を進める。
【0139】
ステップS80では、制御部110は、上記したステップS170と同様に、押印欄調整処理を実行して、印字データ調整処理を終了させ、処理を図3にリターンさせる。
【0140】
なお、本実施の形態において、ステップS80等の押印欄調整処理の後、ステップS60として説明した広告挿入処理が適宜実行されても良い。つまり、押印欄調整処理によって表面の印字情報が修正されることにより、表面の印字情報が裏面の印字情報よりも、搬送方向について短くなって空白ブロックが追加された場合、当該表面の印字情報が裏面の印字情報に対して足りない短い部分(空白ブロックが挿入されている部分)に広告ブロックが挿入されても良い。
【0141】
[3.印字データ調整処理のまとめ]
以上説明した本実施の形態におけるレシート印字処理によって生成される印字情報およびその調整の概略について、説明する。
【0142】
キャッシュレジスタ100において、商品コード等の入力に基づき、ステップS4において、図4(A)および図4(B)に示されるように、レシートの裏面および表面についての印字情報が生成される。
【0143】
ステップS4で生成された印字情報は、ステップS5の印字データ調整処理によって、適宜調整される。
【0144】
具体的には、キャッシュレジスタ100において広告データが記憶されている場合(ステップS20で「はい」)、ステップS40の印字縮小処理により、裏面10Aの空白ブロックである領域P10が削除され(ステップSB20)、そして、表面10Bの印字情報におけるフォントの種類や大きさおよび行間が縮小されるように、表面の印字情報が修正される(ステップSB50)。これにより、図4(A)の裏面10Aおよび図4(B)の表面10Bとして示される印字情報は、図18(A)の裏面11Aおよび図18(B)の表面11Bとして示されるものに修正される。つまり、図18(B)では、ヘッダブロック11はヘッダブロック11Pとして、購入商品リスト情報ブロック12は購入商品リスト情報ブロック12Pとして、精算情報ブロック13は精算情報ブロック13Pと、POS情報ブロック14はPOS情報ブロック14Pとして、示されている。
【0145】
そして、修正後の印字情報において、広告データ挿入スペースがあると判断されると(ステップS50で「はい」)、ステップS60の処理により、広告データが挿入される。これにより、図18(A)の裏面11Aと図18(B)の表面11Bとして示された印字情報は、図19(A)の裏面12Aと図19(B)の表面12Bとして示されるものに修正される。図19(B)の表面12Bでは、図18(B)の表面11BのPOS情報ブロック14Pがそれよりも下方の空白の領域に移動し、当該移動によりできた空白の領域に広告データ19が挿入されている。
【0146】
ステップS60の処理により表面12Bに広告データを挿入された後、ステップS80の押印欄調整処理により、裏面12Aの領収書内の押印欄の領域P4と背中合わせとなる表面12Bが空白となるように、POS情報ブロックのレイアウトが変更される。変更後の印字情報を、図20に示す。
【0147】
図20(A)の裏面13Aの押印欄の領域P5に背中合わせとなる、図20(B)の表面13Bの領域P6が、POS情報ブロック14Aのレイアウトが変更されることによって空白とされる(印字情報において文字等を印字しないように規定される)ようになっている。
【0148】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
1 POSターミナル、2 両面レシートプリンタ、10A〜13A,17〜24A 裏面、10B〜13B,17〜24B 表面、11 ヘッダブロック、12 購入商品リスト情報ブロック、13 精算情報ブロック、14,14A POS情報ブロック、110 制御部、111 行間制御部、112 フォント制御部、113 印字長演算部、114 印字制御部、120 記憶部、121 印字内容最適化プログラム記憶部、122 広告データ記憶部、123 領収書印字フォーマット記憶部、124 購入商品リスト情報記憶部、125 ヘッダブロックデータ記憶部、126 POS情報ブロックデータ記憶部、130 表示部、140 入力部、150 バーコードリーダ、160,230 通信部、221 印字機構部、220 印字データ格納用メモリ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引明細のデータを登録可能なキャッシュレジスタであって、
記録用紙を搬送させながら、当該記録用紙の第1の面および前記第1の面と異なる第2の面に印字する印字部と、
前記登録された取引明細のデータに基づき、前記第1の面の印字情報および押印用の領域を含む前記第2の面の印字情報を生成し、前記印字部に、前記第1の面および第2の面の印字情報に基づいて印字させる制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第2の面の印字情報における押印用の領域と背中合わせとなる前記第1の面の印字情報の領域に印字情報があるか否かを判断し、
前記押印用の領域と背中合わせとなる前記第1の面の印字情報の領域に印字があると判断した場合には、前記押印用の領域と背中合わせとなる領域には印字されないように、前記第1の面の印字情報の修正して印字する、キャッシュレジスタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の面の印字情報の文字サイズを小さくあるいは行間を狭くすることにより印字情報の修正を行う、請求項1に記載のキャッシュレジスタ。
【請求項3】
前記第1の印字情報は複数のブロック状に構成されており、
前記制御部は、前記第1の面の印字情報をブロック単位に移動させることにより修正を行う、請求項1に記載のキャッシュレジスタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記搬送方向について、前記第1の面の印字情報が修正されることによりその長さが前記第2の面の印字情報よりも短くなった場合には、前記第1の面の印字情報に、広告情報を追加するようにさらに修正する、請求項2または3に記載のキャッシュレジスタ。
【請求項5】
取引明細のデータを登録可能なキャッシュレジスタであって、
記録用紙を搬送させながら、当該記録用紙の第1の面および前記第1の面と異なる第2の面に印字する印字部と、
前記登録された取引明細のデータに基づき、前記第1の面の印字情報および押印用の領域を含む前記第2の面の印字情報を生成し、前記印字部に、前記第1の面および第2の面の印字情報に基づいて印字させる制御部とを備え、
前記制御部は、
前記第2の面の印字情報における押印用の領域と背中合わせとなる前記第1の面の印字情報の領域に印字情報があるか否かを判断し、
前記押印用の領域と背中合わせとなる前記第1の面の印字情報の領域に印字があると判断した場合には、前記押印用の領域と背中合わせとなる領域には印字されないように、前記第2の面の印字情報の印字位置を変更して印字する、キャッシュレジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−123705(P2011−123705A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281303(P2009−281303)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(592032522)シャープシステムプロダクト株式会社 (23)
【Fターム(参考)】