説明

キャップ具及びそのキャップ具に用いられる嵌合体

【課題】
チャイルドレジスタンスの強化を図ることを課題とする。
【解決手段】
弾性片24の自由端側を半径方向内方に押圧して、キャップ30の内周面に設けられた第1爪部32と弾性片24の基端側にある第2爪部34との係合状態を解除すると、キャップ30の回動が可能となる。 このように、弾性片24の自由端側を押圧し、弾性片24の基端側にある第2爪部34の係合を解除するので、弾性片の自由端側を押圧し、弾性片の自由端側にある爪部の係合を解除する場合よりも、爪部の係合状態を解除するのに大きな力を必要とするため、チャイルドレジスタンスの強化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドレジスタンス型(幼児抵抗型)のキャップ具及びそのキャップ具に用いられる嵌合体に関する。
【背景技術】
【0002】
チャイルドレジスタンス型のキャップ具及びそのキャップ具に用いられる嵌合体としては、以下のキャップ付き容器が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
公知のキャップ付き容器では、操作筒を容器体の外周に嵌合し、この操作筒に内方へ弾性変形する弾性板を設け、この弾性板の自由端側の外周に第1鋸状歯を設けている。また、操作筒に装着されるキャップの内周面に、第1鋸状歯と係合する第2鋸状歯を設けている。
【0004】
このキャップ付き容器によれば、弾性板の自由端側を内方に押圧し、第1鋸状歯と第2鋸状歯との係合を解除することで初めて、キャップを開方向に回動できるようになっている。
【特許文献1】特開平11−208691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このキャップ付き容器では、第2鋸状歯と係合する第1鋸状歯は、弾性板の自由端側に設けられているため、弱い力で係合が解除されてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、チャイルドレジスタンスの強化を図ったキャップ具及びそのキャップ具に用いられる嵌合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るキャップ具は、容器の口部に嵌合される嵌合体と、前記嵌合体の外周に螺合されるキャップと、を有するキャップ具において、前記嵌合体に形成され、半径方向に弾性変形する弾性片と、前記キャップの内周面に設けられた第1爪部と、前記弾性片の基端側の外周面に設けられ、自由状態では前記第1爪部と係合して前記キャップの回動を阻止し、前記弾性片の自由端側を半径方向内方に押圧することにより、前記第1爪部との係合状態が解除され、前記キャップの回動が許容される第2爪部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、嵌合体に形成された弾性片を押圧しない自由状態では、キャップの内周面に設けられた第1爪部と、弾性片の基端側の外周に設けられた第2爪部とが係合し、キャップの回動が阻止される。
【0009】
そして、弾性片の自由端側を半径方向内方に押圧して、第1爪部と第2爪部との係合状態を解除すれば、キャップの回動ができるようになる。キャップを回動してキャップをとれば、容器内の液体を注ぐことができる。
【0010】
このように、弾性片の自由端側を押圧し、弾性片の基端側にある第2爪部の係合を解除するので、弾性片の自由端側を押圧し、弾性片の自由端側にある爪部の係合を解除する場合よりも、爪部の係合状態を解除するのに大きな力を必要とする。このため、本発明の請求項1に係るキャップ具によれば、チャイルドレジスタンスの強化を図ることができる。
【0011】
本発明の請求項2に係るキャップ具は、請求項1の構成において、前記弾性片は、前記嵌合体の下端から形成された割溝によって片持状にされていることを特徴とする。
【0012】
このキャップ具では、弾性片が嵌合体の下端から形成された割溝によって片持状にされているので、嵌合体に弾性片を形成するのが容易となる。
【0013】
本発明の請求項3に係る嵌合体は、容器の口部に嵌合され、外周にキャップが螺合する嵌合体において、半径方向に弾性変形する弾性片と、前記弾性片の基端側の外周面に設けられ、自由状態では前記キャップの内周面に設けられた第1爪部と係合して前記キャップの回動を阻止し、前記弾性片の自由端側を半径方向内方に押圧することにより、前記第1爪部との係合状態が解除され、前記キャップの回動が許容される第2爪部と、を備えたことを特徴とする嵌合体。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記構成としたので、チャイルドレジスタンスの強化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のキャップ具に係る一の実施の形態を図1〜図4に基づき説明する。
【0016】
図1、2に示すように、キャップ具10は、容器12の口部14の外周に嵌合される嵌合体16を備えている。この嵌合体16は、口部14に嵌合されると、口部14に設けられた係止リブ18に溝17が係止されて、軸方向の移動を阻止される。また、図3に示すように、口部14の基部には、平面視にて略小判形状の係止部20が形成されている。この係止部20の外周部に形成された平坦部20Aに、嵌合体16の内周部に形成された平面部16Aが面接することにより、嵌合部16の軸線周りの回動が阻止される。また、図1、2に示すように、嵌合体16は、その中央部から上方に延びる筒状の注ぎ口22を備え、この注ぎ口22から、容器12に入っている液体を注ぐことが可能となっている。
【0017】
なお、注ぎ口22は、嵌合体16の中央部から上方に延びる筒状に形成されたものに限られず、例えば、図4(A)に示すように、口部14の開放端を塞ぐ面状とされ、その中央部に孔40が形成されたようなものでも構わない。
【0018】
また、注ぎ口22は、嵌合体16に備えられている場合に限られず、図4(B)に示すように、容器の口部14自体が注ぎ口となっていても構わない。
【0019】
また、嵌合体16には、下端から形成された二つの割溝26によって、片持状にされ、半径方向に弾性変形する一対の弾性片24が対向して設けられている。この弾性片24は、対向する位置に一対設けられているので、両側から挟んで半径方向内方へ押圧することができるようになっている。
【0020】
また、嵌合体16の外周には、雄ネジ部28が設けられ、この雄ネジ部28に、注ぎ口22を開閉するキャップ30が、キャップ30に設けられた雌ネジ部29によって螺合される。
【0021】
このキャップ30の内周面には、図3に示すように、全周にわたって、第1爪部32が設けられている。一方、嵌合体16の弾性片24の外周面の基端側には、第1爪部32と係合する第2爪部34が、3つ形成されている。
【0022】
第1爪部32の断面は、図3に示すように、略直角三角形状をし、この直角三角形の斜辺をなす傾斜面32Aは、キャップ30の閉方向(A方向)に対して傾斜して、キャップ30の閉方向を向いている。また、この直角三角形の高さ辺をなす垂直面32Bは、キャップ30の開方向(B方向)に対して垂直に、キャップ30の開方向を向いている。
【0023】
第2爪部34の断面も、図3に示すように、略直角三角形状をし、この直角三角形の斜辺をなす傾斜面34Aは、第1爪部32の傾斜面32Aに、キャップ30の閉方向に対して傾斜して当接するようになっている。この直角三角形の高さ辺をなす垂直面34Bは、第1爪部32の垂直面32Bに、キャップの開方向に対して垂直に当接するようになっている。
【0024】
傾斜面32Aと傾斜面34Aとは、キャップ30の閉方向に対して傾斜して当接するため、傾斜面32Aが傾斜面34Aに当接しつつ、キャップ30は閉方向に回動できる。一方、垂直面32Bと垂直面34Bとは、キャップ30の開方向に対して垂直に当接するため、弾性片24を半径方向内方に押圧しない自由状態では、キャップは開方向には回動できない(図2(A)参照)。すなわち、このキャップ具10では、キャップ30を閉方向の一方に回動でき、自由状態では開方向には回動できないラチェット機構を利用している。
【0025】
そして、一対の弾性片24を両側から半径方向内方へ押圧すると、垂直面32Bと垂直面34Bとが当接しない位置まで、弾性片24が弾性変形するようになっている。すなわち、弾性片24を両側から半径方向内方へ押圧することにより、第1爪部32と第2爪部34との係合状態が解除され、キャップ30を開方向へ回動できるようになっている(図2(B)参照)。
【0026】
次に、上記の実施の形態について作用を説明する。
【0027】
キャップ30を閉方向に回動させ、一旦、キャップ30を閉めると、嵌合体16に形成された弾性片24を押圧しない自由状態では、キャップ30の内周面に設けられた第1爪部32と、弾性片24の基端側の外周に設けられた第2爪部34とが係合し、キャップ30の開方向への回動が阻止される(図2(A)参照)。
【0028】
そして、一対の弾性片24の自由端側を両側から半径方向内方に押圧して、第1爪部32と第2爪部34との係合状態を解除すれば、キャップ30の開方向に回動ができる(図2(B)参照)。キャップを開方向に回動してキャップをとれば、注ぎ口22から容器内の液体を注ぐことができる。
【0029】
このように、弾性片24の自由端側を押圧し、弾性片24の基端側にある第2爪部34の係合を解除するので、弾性片の自由端側を押圧し、弾性片の自由端側にある爪部の係合を解除する場合よりも、爪部の係合状態を解除するのに大きな力を必要とする。このため本実施の形態のキャップ具10によれば、チャイルドレジスタンスの強化を図ることができる。
【0030】
本発明は、上記の実施の形態に限るものではなく、種々の形態が可能である。
【0031】
例えば、弾性片24は、嵌合体の下端から形成された割溝によって片持状とされているものに限られず、この部分を薄肉として半径方向に弾性変形するようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態に係るキャップ具の斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態に係るキャップ具の側面断面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るキャップ具の上面断面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るキャップ具の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 キャップ具
12 容器
14 口部
16 嵌合体
24 弾性片
26 割溝
30 キャップ
32 第1爪部
34 第2爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に嵌合される嵌合体と、前記嵌合体の外周に螺合されるキャップと、を有するキャップ具において、
前記嵌合体に形成され、半径方向に弾性変形する弾性片と、
前記キャップの内周面に設けられた第1爪部と、
前記弾性片の基端側の外周面に設けられ、自由状態では前記第1爪部と係合して前記キャップの回動を阻止し、前記弾性片の自由端側を半径方向内方に押圧することにより、前記第1爪部との係合状態が解除され、前記キャップの回動が許容される第2爪部と、
を備えたことを特徴とするキャップ具。
【請求項2】
前記弾性片は、前記嵌合体の下端から形成された割溝によって片持状にされていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ具。
【請求項3】
容器の口部に嵌合され、外周にキャップが螺合する嵌合体において、
半径方向に弾性変形する弾性片と、
前記弾性片の基端側の外周面に設けられ、自由状態では前記キャップの内周面に設けられた第1爪部と係合して前記キャップの回動を阻止し、前記弾性片の自由端側を半径方向内方に押圧することにより、前記第1爪部との係合状態が解除され、前記キャップの回動が許容される第2爪部と、
を備えたことを特徴とする嵌合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−76592(P2006−76592A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260766(P2004−260766)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000107491)ジョンソン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】