説明

キャップ補助具

【課題】キャップに装着して鍔部を大きくすることで蓋体の開閉操作を容易に行なえ、操作性を向上させることができることを目的としている。
【解決手段】注出口を有するキャップ本体21と、キャップ本体21に着脱自在に装着され注出口を開閉すると共に、径方向の外側に向けて突設された鍔部24を備えた有頂筒状の蓋体22と、を有するヒンジキャップ2に装着され、鍔部24に、その表裏面を覆い、かつ鍔部24の先端24aよりも径方向の外側に向けて突出するように装着される操作部10と、操作部10に連結されると共に、蓋体22に嵌合される環状に設けられた装着部11と、を備えて概略構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍔部を有するキャップに装着されるキャップ補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種容器に装着されているヒンジキャップとして、例えば特許文献1に示されるような、容器の口部に被着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して回動自在に連結された蓋体とを備えたものがある。このようなヒンジキャップでは、蓋体の開閉操作を行うために、蓋体の外側に突出する鍔部が設けられているものが知られている。
この場合、蓋体を開ける際、鍔部に指を掛けてキャップ本体に対して引き上げることで、蓋体はヒンジ回りに回動して開く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3682676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のヒンジキャップでは、蓋体の鍔部が大きいほど開蓋時における指への局所的な受圧が小さくなって、指への負担を低減することができることから、鍔部を大きくしたい場合がある。しかしながら、一般的に鍔部はキャップ本体及び蓋体と一体成形されることから、鍔部の大きさを変更するためには新たな成形金型が必要となり、製造コストがかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、キャップに装着して鍔部を大きくすることで蓋体の開閉操作を容易に行なえ、操作性を向上させることができるキャップ補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るキャップ補助具は、注出口を有するキャップ本体と、該キャップ本体に着脱自在に装着され前記注出口を開閉すると共に、径方向の外側に向けて突設された鍔部を備えた蓋体と、を有するキャップに装着されるキャップ補助具であって、前記鍔部に、その表裏面を覆い、かつ該鍔部の先端よりも径方向の外側に突出するように装着される操作部を備えていることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、鍔部に装着された操作部がその表裏面を覆うと共に、鍔部の先端よりも径方向の外側に突出するように設けられているので、操作部の、蓋体から径方向の外側へ向けた張り出し部分が鍔部よりも大きくなる。つまり、キャップ本体に対して蓋体を開ける際に指を掛ける部分の平面積が大きくなり、開蓋し易くなる。
このとき、操作部の裏面の平面積が増え、蓋体を引き上げて開ける際に指にかかる受圧面積が大きくなることから、局所的な受圧にならず不快な感触となるのを抑制することができる。
【0008】
また、操作部を鍔部に装着させるだけで、キャップ本体に対して蓋体を開ける際に指を掛ける部分の大きさを変更することが可能となることから、キャップを成形する金型を変更せずに前述の作用効果が奏効される。
【0009】
また、前記操作部に連結されて、前記蓋体に嵌合される装着部を備えていることが好ましい。
【0010】
この場合には、キャップ補助具をキャップに取り付ける際に、蓋体に装着部を嵌合させることで、この装着部に連結されている操作部を鍔部に装着することができる。これにより、装着部が蓋体に嵌合して固定された状態となるので、開蓋時に操作部が鍔部に対してずれたり、脱落したりするのを防止することができる。
【0011】
また、本発明のキャップ補助具では、前記装着部は、弾性変形可能に形成されていることが好ましい。
【0012】
この場合には、蓋体に装着部を嵌合するに際し、装着部を弾性変形により径方向に拡げその内側に蓋体を遊嵌させることができるので、嵌合させる作業を効率よく行うことができるうえ、蓋体に例えば突起物等がある形状であっても柔軟に対応することができ、しかも蓋体の大きさ、形状が異なる複数種のキャップに対しても容易に装着することができる。
【0013】
また、例えば装着部を周方向に沿って延びる波形状とすれば、周方向に拡げることで波形状を構成する振幅が小さくなるようにして周長を大きくすることができるので、蓋体に装着部を容易に嵌合することができる。さらに、装着部をC型状とすれば、径方向の開口部分を周方向に拡げることも可能となる。さらにまた、装着部をゴムやエラストマーなどの伸縮性を有する軟材質により形成すれば、蓋体に装着部をより一層容易に嵌合することができるとともに、装着部の蓋体に対する嵌合力を容易に高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るキャップ補助具によれば、キャップに装着して鍔部を大きくすることで蓋体の開閉操作を容易に行なえ、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態よるキャップに装着したキャップ補助具の構成を示す側面図である。
【図2】キャップ補助具を装着したキャップを上方から見た平面図である。
【図3】図2に示すA−A線矢視図である。
【図4】図2に示すB−B線矢視図である。
【図5】図1に示すキャップ補助具の縦断面図である。
【図6】キャップ補助具を下方から見た平面図である。
【図7】図6に示すC−C線矢視図である。
【図8】図6に示すD−D線矢視図である。
【図9】変形例によるキャップ補助具の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るキャップ補助具の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のキャップ補助具1は、筒状のキャップ本体21と、キャップ本体21の図示されない注出口を開閉する有頂筒状の蓋体22と、キャップ本体21と蓋体22とを連結するヒンジ体23と、を備えたヒンジキャップ2において、その蓋体22に装着される。
【0017】
図1乃至図4に示すように、キャップ補助具1は、鍔部24に装着される操作部10と、操作部10に連結されると共に、蓋体22に嵌合される環状に設けられた装着部11と、を備えて概略構成されている。
【0018】
ここで、ヒンジキャップ2に装着した状態のキャップ補助具1において、装着部11の径方向の中央部を通る軸線を補助具軸Oといい、補助具軸Oに直交する方向を径方向といい、補助具軸O回りに周回する方向を周方向という。また、ヒンジキャップ2における径方向中央部を通る中心軸と前記補助具軸Oとが一致しており、補助具軸O方向に沿って、蓋体22側を上側といい、キャップ本体21の開放端側を下側という。
【0019】
ヒンジキャップ2において、キャップ本体21は、不図示の容器の口部に被着可能となっている。蓋体22は、円板状に形成された頂壁を有し、その外周縁部には、全周にわたって連続して延在し、キャップ本体21の上縁端に配置される周壁部が下方に向けて突設されている。そして、蓋体22には、これを開閉操作するための鍔部24が径方向の外側に突設されている。ヒンジ体23は、中央連結片26と、中央連結片26を周方向に挟む両側に配設された一対の側連結片27と、を備えている。
【0020】
鍔部24において下方を向く裏面は、蓋体22が閉じられた状態において、キャップ本体21の上端と蓋体22との界面上に配置されている。鍔部24の位置は、径方向でヒンジキャップ2の中心軸を挟んでヒンジ体23とは反対側に位置している。
【0021】
キャップ補助具1の操作部10は、鍔部24の表裏面を覆い、かつ鍔部24の先端24aよりも径方向の外側に向けて突出するように鍔部24に装着される。具体的に操作部10は、樹脂材料から形成され、図5乃至図8に示すように、装着部11の下端に連設され、径方向内側に開口すると共に鍔部24を収容する凹部10bを有している。操作部10の外周部10aは、凹部10bに鍔部24が嵌合された状態で鍔部24の先端24aよりもさらに径方向外側に張り出している。
なお、操作部10が鍔部24の周方向の末端よりも周方向に突出していてもよい。
【0022】
装着部11は、周方向に沿って延びる波形状に形成されている。キャップ補助具1のうち少なくとも装着部11は、ヒンジキャップ2を構成する樹脂材料よりも軟らかい軟材質、例えばオレフィン系、スチレン系、もしくはポリエステル系の熱可塑性エラストマー、ニトリルゴム、グチルゴム、シリコンゴム等のゴム状弾性体またはウレタン等で形成してもよい。この装着部11では、波形状をなしているので、周方向に拡げることで波形を構成する振幅が小さくなるように弾性変形可能となっている。
【0023】
キャップ補助具1は、一般的な射出成形の他に、例えばインサート成形や二色成形で成形してもよい。
【0024】
次に、上述したように構成されたキャップ補助具1の作用について説明する。
図1乃至図4に示すように、鍔部24に装着された操作部10がその表裏面を覆うと共に、鍔部24の先端24aよりも径方向の外側に突出するように設けられているので、操作部10の、蓋体22から径方向の外側へ向けた張り出し部分が鍔部24よりも大きくなる。つまり、キャップ本体21に対して蓋体22を開ける際に指を掛ける部分の平面積が大きくなり、開蓋し易くなる。
このとき、操作部10の裏面10cの平面積が鍔部24の裏面より大きく、蓋体22を引き上げて開ける際に指にかかる受圧面積が大きくなることから、局所的な受圧にならず不快な感触となるのを抑制することができる。
【0025】
また、操作部10を鍔部24に装着させるだけで、キャップ本体21に対して蓋体22を開ける際に指を掛ける部分の大きさを変更することが可能となることから、ヒンジキャップ2を成形する金型を変更せずに前述の作用効果が奏効される。
【0026】
また、操作部10に装着部11を備えているので、キャップ補助具1をヒンジキャップ2に取り付ける際に、蓋体22に装着部11を嵌合させることで、この装着部11に連結されている操作部10を鍔部24に装着することができる。これにより、装着部11が蓋体22に嵌合して固定された状態となるので、開蓋時に操作部10が鍔部24に対してずれたり、脱落したりするのを防止することができる。
【0027】
また、装着部11は、波形状であって弾性変形可能に形成されており、周方向に拡げることで波形状を構成する振幅が小さくなるようにして周長を大きくすることができるので、蓋体22に装着部11を容易に嵌合することができる。そのうえ、蓋体22に例えば突起物等がある形状であっても柔軟に対応することができ、しかも蓋体22の大きさ、形状が異なる複数種のキャップに対しても容易に装着することができる。
そして、装着部11がゴム状弾性体などの軟材質により形成されているので、蓋体22に装着部11をより一層容易に嵌合することができるとともに、装着部11の蓋体22に対する嵌合力を容易に高めることができる。
【0028】
上述のように本実施形態によるキャップ補助具では、ヒンジキャップ2に装着して鍔部24を大きくすることで蓋体22の開閉操作を容易に行なえ、操作性を向上させることができる。
【0029】
以上、本発明に係るキャップ補助具の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0030】
例えば、本実施形態では装着部11として周方向に沿う波形状に形成された樹脂材料からなる部材としているが、このような形態に限定されることはない。例えば、装着部を樹脂材料からなるC型状とすれば、径方向の開口部分を周方向に拡げて蓋体に嵌合させることも可能となる。
また、装着部を環状のゴム状弾性体により形成した構成のものであってもかまわない。この場合、装着部自体の弾性変形により、蓋体に装着部をより一層容易に嵌合することができるとともに、装着部の蓋体に対する嵌合力を容易に高めることができる。
【0031】
また、キャップ補助具1を装着する対象となるキャップの形状、大きさ等の構成は必要に応じて適宜変更が可能である。例えば、本実施の形態ではヒンジ体23を備えたヒンジキャップ2を対象としているが、ヒンジ体を有しない構成のキャップであってもかまわない。
【0032】
さらに、本実施形態では操作部10と装着部11とを一体成形により製造しているが、別体で設け、両者を組み付ける製造方法であってもよい。
また、操作部10の凹部10bは、鍔部24が挿入される箱状に形成されているが、表裏面の少なくとも一部が覆われるような縦断面コ字状に形成してもよい。
なお、凹部10bの大きさは、鍔部24の大きさに対応させて設けることができるが、複数の大きさに対応させるため、目的とする鍔部のうち最も大きな鍔部の大きさに対応させることが好ましい。なおこの際、前記凹部10bの内面に鍔部24をその厚さ方向で保持するための凸リブを設けたり、装着部11の嵌合力で径方向に締め付けるように構成することが好ましい。
【0033】
さらにまた、上述した実施形態のキャップ補助具1は、操作部10と装着部11とを備えた構成としているが、これに制限されることはなく、操作部のみの構成とすることも可能である。例えば、図9に示す変形例によるキャップ補助具1Aは、鍔部24の表裏面を覆う凹部12aを有し、かつ鍔部24の先端24aよりも径方向の外側に突出するように装着される操作部12からなる。この凹部12aの内面には、鍔部24をその厚さ方向で圧接させて保持するための凸リブ12bが設けられている。キャップ補助具1Aは、凸リブ12bが鍔部24に圧接することで、鍔部24に対してずれたり、脱落することなく固定される。この場合もまた、操作部12の、蓋体22から径方向の外側へ向けた張り出し部分が鍔部24よりも大きくなることから、蓋体22を開ける際に指を掛ける部分の平面積が大きくなり、開蓋し易くなる。
【0034】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0035】
1、1A キャップ補助具
2 ヒンジキャップ
10、12 操作部
10a 外周部
10b、12a 凹部
10c 裏面
11 装着部
21 キャップ本体
22 蓋体
23 ヒンジ体
24 鍔部
24a 先端
O 補助具軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口を有するキャップ本体と、該キャップ本体に着脱自在に装着され前記注出口を開閉すると共に、径方向の外側に向けて突設された鍔部を備えた蓋体と、を有するキャップに装着されるキャップ補助具であって、
前記鍔部に、その表裏面を覆い、かつ該鍔部の先端よりも径方向の外側に突出するように装着される操作部を備えていることを特徴とするキャップ補助具。
【請求項2】
前記操作部に連結されて、前記蓋体に嵌合される装着部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ補助具。
【請求項3】
前記装着部は、弾性変形可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のキャップ補助具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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