説明

キャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法

【課題】電子部品を安定した状態で収容することができ、収容された電子部品の実装を安定して行うことができるようにする。
【解決手段】キャリアテープは、長手方向に所定の間隔をおいて設けられ、それぞれに電子部品を収容可能な複数の凹部13を有するテープ本体を備え、
テープ本体には、複数の凹部13におけるテープの幅方向の端部の近傍にスリット部20が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープに関し、特に、半導体装置等の電子部品を収容するキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置等の電子部品の包装には、取り扱いが容易で且つ電子部品の実装効率が良好なキャリアテープを用いたテーピング包装が多く用いられている。なかでも、特に、半導体装置を収容するための凹部が列けられたエンボスキャリアテープを用いたエンボステーピング包装が主流である(例えば、特許文献1等を参照。)。
【0003】
従来のエンボスキャリアテープ及びエンボステーピング包装について図7を参照しながら説明する。
【0004】
図7(a)〜(d)に示すように、エンボスキャリアテープ101には、圧空成形、プレス成形又は真空成形等により、テープの長手方向に所定の間隔をおいて複数の凹部103が設けられている。エンボスキャリアテープ101におけるテープの幅方向の一端部には、エンボスキャリアテープ101をテープの長手方向に送るための複数の送り穴106がテープの長手方向に所定の間隔をおいて設けられている。エンボスキャリアテープ101を用いて半導体装置102を包装する場合、各凹部103に半導体装置102を収容し、その後、熱圧着等によりエンボスキャリアテープ101の上に各凹部103を覆うようにトップカバーテープ104を接着する。なお、図中の符号105は、後に説明するエンボスキャリアテープ101とトップカバーテープ104との接着部である。
【0005】
次に、エンボスキャリアテープ101とトップカバーテープ104との熱圧着工程について図8を参照しながら説明する。
【0006】
図8(a)及び(b)に示すように、エンボスキャリアテープ101の上にトップカバーテープ104を載せ、その後、熱圧着治具107の押圧部108により、凹部103のテープの幅方向の両端部の近傍をテープの長手方向に沿って熱圧着して接着部105を形成する。
【0007】
次に、エンボステーピング包装した後の梱包方法について図9を参照しながら説明する。
【0008】
図9に示すように、通常、エンボスキャリアテープ101の上にトップカバーテープ104を接着した後に、これを輸送用リール109に巻き取った形態でダンボール等に入れて出荷する。
【0009】
また、半導体装置102を実装する際に、エンボステーピング包装は、送り穴106を介して、輸送用リール109からエンボスキャリアテープ101を送り出すと共にトップカバーテープ104を剥がした後、半導体装置102を取り出し、プリント配線基板(Printed Wiring Board:PWB)等に実装する。このため、エンボステーピング包装は、トレイ包装又はマガジン包装よりも実装工程を高速化することができるので、近年、半導体装置の出荷形態として多く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−157767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来のエンボステーピング包装において、エンボスキャリアテープに形成された凹部の周辺部分は、凹部の成形方法及びエンボスキャリアテープの材料等に起因して、湾曲しているため平坦性が損なわれている。このような状態において、熱圧着治具によりエンボスキャリアテープとトップカバーテープとを熱圧着する場合、前記の湾曲によって凹部の周辺部分が押圧部に沿わないため、熱圧着治具からの熱及び圧力が十分に伝わらない。このため、エンボスキャリアテープにおける凹部の周辺部分とトップカバーテープとが接着されず、接着部が途切れて不連続となる。
【0012】
このため、実装の際に送り穴を介して、輸送用リールからエンボスキャリアテープを送り出すと共にトップカバーテープを剥がし、半導体装置を取り出す際に、トップカバーテープの剥離強度のばらつきが大きくて不安定となるので、凹部からの半導体装置の飛び出し及びはみ出し等が起こるおそれがある。このため、実装設備等による吸着等によって半導体装置を良好に取り出すことができないという問題が生じる。
【0013】
また、凹部の周辺部分が湾曲しているため、エンボスキャリアテープの上にトップカバーテープを載せ、熱圧着治具の押圧部により熱圧着する際に振動が発生して、熱圧着工程の際に、凹部に収容した半導体装置が飛び出したり、はみ出したりするという問題も生じる。
【0014】
本発明は、前記の問題に鑑み、その目的は、電子部品を安定した状態で収容することができ、収容された電子部品の実装を安定して行うことができるキャリアテープを得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成するために、本発明はキャリアテープを、電子部品を収容する凹部の近傍にスリット部を設ける構成とする。
【0016】
具体的に、本発明に係るキャリアテープは、長手方向に所定の間隔をおいて設けられ、それぞれに電子部品を収容可能な複数の凹部を有するテープ本体を備え、テープ本体には、複数の凹部におけるテープの幅方向の端部の近傍にスリット部が形成されている。
【0017】
本発明に係るキャリアテープによると、複数の凹部のテープの幅方向の近傍にスリット部を備えているため、凹部の周辺部分に生じる湾曲が抑制されるので、電子部品を安定した状態で収容することができる。
【0018】
本発明に係るキャリアテープにおいて、スリット部は、テープ本体における各凹部のテープの幅方向の両端部のいずれの近傍にも少なくとも1つ設けられていることが好ましい。
【0019】
本発明に係るキャリアテープにおいて、スリット部は、テープ本体における各凹部のテープの幅方向の両端部のうちのいずれか一方の近傍に設けられ、隣り合う凹部同士の近傍に設けられたスリット部は、凹部の互いに異なるテープの幅方向に交互に設けられていてもよい。
【0020】
本発明に係るキャリアテープにおいて、スリット部は、テープ本体の長手方向に延びていることが好ましい。
【0021】
本発明に係るキャリアテープにおいて、スリット部は、テープ本体の幅方向に延びていてもよい。
【0022】
本発明に係る電子部品の梱包体は、テープ本体の各凹部に電子部品がそれぞれ収容された、本発明に係るキャリアテープと、テープ本体の上に各凹部を覆うように接着されたトップカバーテープとを備えている。
【0023】
本発明に係る電子部品の梱包方法は、本発明に係るキャリアテープにおけるテープ本体に設けられた各凹部に電子部品をそれぞれ収容する工程(a)と、工程(a)よりも後に、テープ本体の上に各凹部を覆うようにトップカバーテープを接着する工程(b)と、工程(b)よりも後に、キャリアテープを輸送用リールに巻き取る工程(c)とを備えている。
【0024】
本発明に係る電子部品の実装方法は、本発明に係る電子部品の梱包体が輸送用リールに巻き取られた梱包状態からキャリアテープを引き出す工程と、トップカバーテープを剥がした後に、各凹部から電子部品を順次取り出す工程とを備えている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法によると、キャリアテープの凹部の周辺部分に生じる湾曲が抑制されるため、電子部品を安定して収容できる。また、これにより、実装の際の電子部品の飛び出し及びはみ出し等を防止できるので、電子部品を良好に順次取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)〜(d)は本発明の一実施形態に係るキャリアテープを用いたエンボステーピング包装の構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線における断面図であり、(c)は(a)のIc−Ic線における断面図であり、(d)は(a)のId−Id線における断面図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係るトップカバーテープをキャリアテープに熱圧着する工程を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るエンボステーピング包装の輸送用リールを示す斜視図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の一実施形態の第1変形例に係るキャリアテープを用いたエンボステーピング包装の構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のIVb−IVb線における断面図であり、(c)は(a)のIVc−IVc線における断面図であり、(d)は(a)のIVd−IVd線における断面図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明の一実施形態の第2変形例に係るキャリアテープを用いたエンボステーピング包装の構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のVb−Vb線における断面図であり、(c)は(a)のVc−Vc線における断面図であり、(d)は(a)のVd−Vd線における断面図
【図6】(a)〜(d)は本発明の一実施形態の第3変形例に係るキャリアテープを用いたエンボステーピング包装の構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のVIb−VIb線における断面図であり、(c)は(a)のVIc−VIc線における断面図であり、(d)はVId−VId線における断面図である。
【図7】(a)〜(d)は従来のキャリアテープを用いたエンボステーピング包装のの構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のVIIb−VIIb線の断面図であり、(c)は(a)のVIIc−VIIc線における断面図であり、(d)は(a)のVIId−VIId線における断面図である。
【図8】(a)及び(b)は従来のトップカバーテープをキャリアテープに熱圧着する工程を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図9】従来のエンボステーピング包装の輸送用リールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(一実施形態)
本発明の一実施形態に係るキャリアテープ及び電子部品の梱包体について図1を参照しながら説明する。
【0028】
図1(a)〜(d)に示すように、エンボスキャリアテープ11には、圧空成形、プレス成形又は真空成形等により、テープの長手方向に所定の間隔をおいて複数の凹部13が設けられている。エンボスキャリアテープ11のテープの幅方向における一端部には、エンボスキャリアテープ11をテープの長手方向に送るための複数の送り穴16がテープの長手方向に所定の間隔をおいて設けられている。エンボスキャリアテープ11の各凹部13におけるテープの幅方向の両端部の近傍には、それぞれテープの長手方向に延びるスリット部20が2本ずつ形成されている。エンボスキャリアテープ11を用いて、例えば半導体装置12のような電子部品を包装する場合、各凹部13に半導体装置12を収容し、その後、熱圧着等によりエンボスキャリアテープ11の上に各凹部13を覆うようにトップカバーテープ14を接着する。なお、図中の符号15は、後に説明するエンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14との接着部である。ここで、各凹部13のテープの幅方向の両端部に設けられた2本のスリット部20は、接着部15を挟むように形成されている。
【0029】
次に、エンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14との熱圧着工程について図2を参照しながら説明する。
【0030】
図2(a)及び(b)に示すように、エンボスキャリアテープ11の上にトップカバーテープ14を載せ、その後、熱圧着治具17の押圧部18により、凹部13のテープの幅方向の両端部の近傍をテープの長手方向に沿って熱圧着して接着部15をそれぞれ形成する。
【0031】
これらの構成によると、凹部13のテープの幅方向の両端部の近傍にそれぞれ2本のスリット部20が形成されているため、スリット部20同士に挟まれた領域は、エンボスキャリアテープ11の湾曲部から切り離されて平坦となる。また、エンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14とを熱圧着する際に、2本のスリット部20同士に挟まれて平坦となった領域が熱圧着治具17の押圧部18によってテープの長手方向に沿って押されることにより、熱圧着治具17からの熱及び圧力が十分に伝わって接着部15が形成される。このように形成された接着部15は、途切れることなく連続となる。
【0032】
次に、熱圧着工程の後に行う電子部品の梱包方法及び電子部品の実装方法について図3を参照しながら説明する。
【0033】
図3に示すように、各凹部13に半導体装置12がそれぞれ収容されたエンボスキャリアテープ11の上にトップカバーテープ14が接着している梱包体を輸送用リール19に巻き取り、この状態でダンボール等に収容して出荷する。
【0034】
その後、半導体装置12を実装する際に、送り穴16を介して、輸送用リール19からエンボスキャリアテープ11を送り出すと共にトップカバーテープ14を剥がす。続いて、凹部13から半導体装置12を実装設備等による吸着等によって順次取り出し、プリント配線基板(PWB)等に実装する。
【0035】
一実施形態においては、エンボスキャリアテープを一例として挙げたが、プラスチック及び紙等のパンチキャリアタイプ等でもよい。また、電子部品として半導体装置を例に挙げたが、半導体装置以外のチップ部品等でもよい。
【0036】
本発明の一実施形態に係るキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法によると、キャリアテープの凹部の周辺部分に生じる湾曲を抑制できるため、電子部品を安定して収容できる。また、キャリアテープとトップカバーテープとの接続部が連続となるため、トップカバーテープの剥離強度のばらつきを防ぐことができる。このため、実装の際の電子部品の飛び出し及びはみ出し等を防止できるので、電子部品を良好に順次取り出すことができる。
【0037】
(一実施形態の第1変形例)
以下、本発明の一実施形態の第1変形例に係るキャリアテープ及び電子部品の梱包体について図4を参照しながら説明する。本変形例において、一実施形態と異なる部分について説明し、同一の部分については説明を省略する。
【0038】
図4(a)〜(d)に示すように、エンボスキャリアテープ11に設けられた複数の凹部13のテープの幅方向の両端部の近傍で且つ接着部15と凹部13との間に、テープの長手方向に延びる1本のスリット部20がそれぞれ形成されている。
【0039】
本変形例においても、一実施形態と同様に、熱圧着工程により、半導体装置12を収容したエンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14とを熱圧着し、その後、これを輸送用リール19に巻き取り、この状態でダンボール等に収容して出荷する。また、半導体装置12を実装する際に、送り穴16を介して、輸送用リール19からエンボスキャリアテープ11を送り出すと共にトップカバーテープ14を剥がす。続いて、凹部13から半導体装置12を吸着等によって順次取り出し、PWB等に実装する。
【0040】
これらの構成によると、凹部13のテープの幅方向の両端部の近傍に1本のスリット部20が形成されているため、各スリット部20の近傍の領域は平坦となる。また、熱圧着治具17により、エンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14とを熱圧着する際に、各スリット部20の近傍の平坦となった領域が押圧部18にテープの長手方向に沿って押されることによって、熱圧着治具17からの熱及び圧力が十分に伝わって接着部15が形成される。このように形成された接着部15は、途切れることなく連続となる。
【0041】
第1変形例においては、スリット部20をエンボスキャリアテープ11における凹部13のテープの幅方向の両端部の近傍で且つ接着部15と凹部13との間に形成した一例として挙げたが、接着部15とエンボスキャリアテープ11の端部との間に形成してもよい。
【0042】
一実施形態の第1変形例では、エンボスキャリアテープを一例として挙げたが、プラスチック及び紙等のパンチキャリアタイプ等でもよい。また、電子部品として半導体装置を例に挙げたが、半導体装置以外のチップ部品等でもよい。
【0043】
本発明の一実施形態の第1変形例に係るキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法によると、キャリアテープの凹部の周辺部分に生じる湾曲を抑制できるため、電子部品を安定して収容できる。また、キャリアテープとトップカバーテープとの接続部が連続となるため、トップカバーテープの剥離強度のばらつきを防ぐことができる。このため、実装の際の電子部品の飛び出し及びはみ出し等を防止できるので、電子部品を良好に順次取り出すことができる。
【0044】
(一実施形態の第2変形例)
以下、本発明の一実施形態の第2変形例に係るキャリアテープ及び電子部品の梱包体について図5を参照しながら説明する。本変形例において、一実施形態と異なる部分について説明し、同一の部分については説明を省略する。
【0045】
図5(a)〜(d)に示すように、エンボスキャリアテープ11に設けられた複数の凹部13のテープの幅方向の両端部のうちのいずれか一方の近傍に、それぞれテープの長手方向に延びるスリット部20が2本ずつ形成されている。ここで、各凹部13のテープの幅方向の両端部に設けられた2本のスリット部20は、一実施形態と同様に、接着部15を挟むように形成されている。また、隣り合う凹部13同士の近傍にそれぞれ形成されたスリット部20同士は、凹部13の異なるテープの幅方向に形成されている。すなわち、各スリット部20は、凹部13の一方の端部と他方の端部とに交互に設けられている。なお、各凹部13の近傍には2本のスリット部20が形成されているが、1本でもよい。
【0046】
本変形例においても、一実施形態と同様に、熱圧着工程により、半導体装置12を収容したエンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14とを熱圧着し、その後、これを輸送用リール19に巻き取り、この状態でダンボール等に収容して出荷する。また、半導体装置12を実装する際に、送り穴16を介して、輸送用リール19からエンボスキャリアテープ11を送り出すと共にトップカバーテープ14を剥がす。続いて、凹部13から半導体装置12を吸着等によって順次取り出し、PWB等に実装する。
【0047】
これらの構成によると、凹部13のテープの幅方向の端部の近傍にスリット部20が交互に形成されているため、各スリット部20の近傍の領域は平坦となる。また、熱圧着治具17により、エンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14とを熱圧着する際に、各スリット部20の近傍の平坦となった領域が押圧部18にテープの長手方向に沿って押されることによって、熱圧着治具17からの熱及び圧力が十分に伝って接着部15が形成される。このように形成された接着部15は、途切れる部分が減少し、連続となる部分が増大する。
【0048】
一実施形態の第2変形例では、エンボスキャリアテープを一例として挙げたが、プラスチック及び紙等のパンチキャリアタイプ等でもよい。また、電子部品として半導体装置を例に挙げたが、半導体装置以外のチップ部品等でもよい。
【0049】
本発明の一実施形態の第2変形例に係るキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法によると、キャリアテープの凹部の周辺部分に生じる湾曲を抑制できるため、電子部品を安定して収容できる。また、キャリアテープとトップカバーテープとの接続部が連続となる部分が増大するため、トップカバーテープの剥離強度のばらつきを防ぐことができる。このため、実装の際の電子部品の飛び出し及びはみ出し等を防止できるので、電子部品を良好に順次取り出すことができる。
【0050】
(一実施形態の第3変形例)
以下、本発明の一実施形態の第3変形例に係るキャリアテープ及び電子部品の梱包体について図6を参照しながら説明する。本変形例において、一実施形態と異なる部分について説明し、同一の部分については説明を省略する。
【0051】
図6(a)〜(d)に示すように、エンボスキャリアテープ11に設けられた複数の凹部13のテープの幅方向の両端部の近傍に、テープの幅方向に延びる1本のスリット部20がそれぞれ形成されている。スリット部20は、それぞれの凹部13のテープの幅方向の端部に1本ずつ形成されているが、複数本形成されていてもよい。また、一実施形態の第2変形例と同様に、凹部13のテープの幅方向の両端部のうちのいずれか一方の近傍に形成されていてもよく、この場合、隣り合う凹部13同士の近傍にそれぞれ形成されたスリット部20同士は、凹部13の異なるテープの幅方向に形成される。
【0052】
本変形例においても、一実施形態と同様に、熱圧着工程により、半導体装置12を収容したエンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14とを熱圧着し、その後、これを輸送用リール19に巻き取り、この状態でダンボール等に収容して出荷する。また、半導体装置12を実装する際に、送り穴16を介して、輸送用リール19からエンボスキャリアテープ11を送り出すと共にトップカバーテープ14を剥がす。続いて、凹部13から半導体装置12を吸着等によって順次取り出し、PWB等に実装する。
【0053】
これらの構成によると、凹部13のテープの幅方向の端部の近傍に1本のスリット部20が形成されているため、各スリット部20の近傍の領域は平坦となる。また、熱圧着治具17により、エンボスキャリアテープ11とトップカバーテープ14とを熱圧着する際に、各スリット部20の近傍の平坦となった領域が押圧部18にテープの長手方向に沿って押されることによって、熱圧着治具17からの熱及び圧力が十分に伝わって接着部15が形成される。このように形成された接着部15は、途切れる部分が減少し、連続となる部分が増大する。
【0054】
一実施形態の第3変形例では、エンボスキャリアテープを一例として挙げたが、プラスチック及び紙等のパンチキャリアタイプ等でもよく、また、電子部品として半導体装置を例に挙げたが、半導体装置以外のチップ部品等でもよい。
【0055】
本発明の一実施形態の第3変形例に係るキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法によると、キャリアテープの凹部の周辺部分に生じる湾曲を抑制できるため、電子部品を安定して収容できる。また、キャリアテープとトップカバーテープとの接続部が連続となる部分が増大するため、トップカバーテープの剥離強度のばらつきを防ぐことができる。このため、実装の際の電子部品の飛び出し及びはみ出し等を防止できるので、電子部品を良好に順次取り出すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法は、電子部品を安定して収容でき、実装の際の電子部品の飛び出し及びはみ出し等を防止することができ、特に、半導体装置等の電子部品を収容するキャリアテープ、それを用いた電子部品の梱包体及び梱包方法並びにそれを用いて梱包された電子部品の実装方法等に有用である。
【符号の説明】
【0057】
11 エンボスキャリアテープ
12 半導体装置
13 凹部
14 トップカバーテープ
15 接着部
16 送り穴
17 熱接着治具
18 押圧部
19 輸送用リール
20 スリット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に所定の間隔をおいて設けられ、それぞれに電子部品を収容可能な複数の凹部を有するテープ本体を備え、
前記テープ本体には、前記複数の凹部におけるテープの幅方向の端部の近傍にスリット部が形成されていることを特徴とするキャリアテープ。
【請求項2】
前記スリット部は、前記テープ本体における前記各凹部のテープの幅方向の両端部のいずれの近傍にも少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項3】
前記スリット部は、前記テープ本体における前記各凹部のテープの幅方向の両端部のうちのいずれか一方の近傍に設けられ、
隣り合う前記凹部同士の近傍に設けられた前記スリット部は、前記凹部の互いに異なるテープの幅方向に交互に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープ。
【請求項4】
前記スリット部は、前記テープ本体の長手方向に延びていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のキャリアテープ。
【請求項5】
前記スリット部は、前記テープ本体の幅方向に延びていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のキャリアテープ。
【請求項6】
前記テープ本体の前記各凹部に電子部品がそれぞれ収容された、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のキャリアテープと、
前記テープ本体の上に前記各凹部を覆うように接着されたトップカバーテープとを備えていることを特徴とする電子部品の梱包体。
【請求項7】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のキャリアテープにおける前記テープ本体に設けられた前記各凹部に電子部品をそれぞれ収容する工程(a)と、
前記工程(a)よりも後に、前記テープ本体の上に前記各凹部を覆うようにトップカバーテープを接着する工程(b)と、
前記工程(b)よりも後に、前記キャリアテープを輸送用リールに巻き取る工程(c)とを備えていることを特徴とする電子部品の梱包方法。
【請求項8】
請求項6に記載の電子部品の梱包体が輸送用リールに巻き取られた梱包状態から前記キャリアテープを引き出す工程と、
前記トップカバーテープを剥がした後に、前記各凹部から前記電子部品を順次取り出す工程とを備えていることを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−225242(P2011−225242A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96315(P2010−96315)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】