キャリアテープの製造方法、およびキャリアテープ製造装置
【課題】 凹部の内側面をより平滑としうるキャリアテープの製造方法およびキャリアテープの製造装置を提供すること。
【解決手段】 本発明のキャリアテープの製造方法は、第1金型200と第2金型300とによって基材410を挟むことにより、第1金型200側に開口する凹部420を基材410に形成する工程と、凹部420を形成した後に、凹部420を形成したときよりも第1金型200側においてなす角が大きくなるように基材410を変形させる工程と、第1金型200を凹部420から離間させる工程と、を備える。
【解決手段】 本発明のキャリアテープの製造方法は、第1金型200と第2金型300とによって基材410を挟むことにより、第1金型200側に開口する凹部420を基材410に形成する工程と、凹部420を形成した後に、凹部420を形成したときよりも第1金型200側においてなす角が大きくなるように基材410を変形させる工程と、第1金型200を凹部420から離間させる工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープの製造方法、およびキャリアテープ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリアテープは、チップ抵抗器などの比較的小型の電子部品を収容し、運搬するために広く用いられている。図17〜図19は、従来のキャリアテープの製造方法を示している。これらの図に示されたキャリアテープの製造方法においては、図17に示すように、キャリアテープ製造装置900を用いる。キャリアテープ製造装置900は、第1金型910と第2金型920とを備えている。第1金型910は、中央部911と、この中央部911を包囲する周囲部912とからなる。第2金型920は、第1金型910の下方に位置しており、平らな形状とされている。
【0003】
このキャリアテープの製造方法においては、まず、第2金型920上に基材410を置く。基材410は、たとえば複数の薄い紙材が積層された積層紙からなる。そして、第1金型910に第2金型920との間で基材410を挟む姿勢をとらせる。次いで、図18に示すように、中央部911のみを基材410に対して下降させる。これにより、基材410に凹部420が形成される。次いで、図19に示すように、第1金型910を基材410から離間させる。これにより、キャリアテープ400が得られる。凹部420は、電子部品の収容に用いられる。凹部420に電子部品を収容したのちに、たとえば凹部420を塞ぐカバーテープ(図示略)が貼付される。
【0004】
積層紙からなる基材410は、厚さ方向に複数の紙材が積層された構造となっている。凹部420の形成においては、これらの紙材がせん断させている。このため、凹部420の側面には、上記複数の紙材の切断端が露出している。図18において凹部420を形成した時点では、中央部910が基材410に食い込んでいる。このため、中央部910と凹部420とは、相当に高い圧力で押し合っている。この状態で、図19に示すように第1金型910を離間させると、上述した紙材の切断端が中央部911に引きずりあげられる。この結果、凹部420の内側面は、複数の紙材の切断端が斜め上方に向かって毛羽立った状態となりやすい。このような状態の凹部420に小型の電子部品を収容すると、電子部品が毛羽立った切断端に引っかかってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−300203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、凹部の内側面をより平滑としうるキャリアテープの製造方法およびキャリアテープの製造装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供されるキャリアテープの製造方法は、第1金型と第2金型とによって基材を挟むことにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程と、上記凹部を形成した後に、上記凹部を形成したときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させる工程と、上記第1金型を上記凹部から離間させる工程と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部を形成する工程の前に、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させる工程を備える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°未満である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°である。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、紙からなる。
【0017】
本発明の第2の側面によって提供されるキャリアテープの製造方法は、第1金型と第2金型とによって基材を挟むとともに、上記基材に上記第1金型側においてなす角が180°より大となる姿勢をとらせた状態で上記基材に対して上記第1金型を進入させることにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程を備えることを特徴としている。
【0018】
本発明の第3の側面によって提供されるキャリアテープの製造装置は、基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、上記第2金型は、上記凹部を形成するときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させることが可能であることを特徴としている。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記第1金型による上記凹部の形成に先立ち、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させることが可能である。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°未満である姿勢となるように上記基材を支持する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°である姿勢となるように上記基材を支持する。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、紙からなる。
【0028】
本発明の第4の側面によって提供されるキャリアテープの製造装置は、基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°よりも大となるように上記基材を支持することを特徴としている。
【0029】
このような構成によれば、上記基材から上記第1金型を離間させるときには、上記凹部を形成したときよりも上記凹部が上記第1金型側に開かれた状態となっている。このため、上記凹部と上記第1金型との接触圧力が不当に高い状態は、解除される。したがって、上記金型と上記凹部とがこすれ合うことによって上記凹部の内側面が毛羽立った状態となることを回避することが可能であり、電子部品などを収容するのに適した平滑な内側面を有する上記凹部を具備する上記キャリアテープを製造することができる。
【0030】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図17】従来のキャリアテープの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図18】従来のキャリアテープの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図19】従来のキャリアテープの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープ製造装置を示している。本実施形態のキャリアテープ製造装置101は、第1金型200および第2金型300を備えており、基材410に対して加工を施すことによりキャリアテープを製造するために用いられる。
【0034】
第1金型200は、中央部210および包囲部220からなり、本実施形態においては、基材410に対して上方に位置している。中央部210は、基材410に対して進入する部分であり、図示しない駆動源によって昇降自在となっている。図示されたように、中央部210は、上下方向に沿う平面における断面が矩形状とされている。また、水平方向に沿う平面における中央部210の断面は、製造するキャリアテープに形成する凹部に合わせた形状とされており、たとえば矩形状である。包囲部220は、中央部210を囲んでいる。本実施形態においては、包囲部220の下面は、中央部210に隣接する部分を最下点として周囲に向かうほど上側に位置するように水平面に対して傾いており、その傾斜角度はたとえば1°である。包囲部220は、図示しない駆動源によって昇降自在とされている。第1金型200は、中央部210と包囲部220とが一体となった状態で昇降自在であるとともに、中央部210が包囲部220に対して昇降自在とされている。
【0035】
第2金型300は、1対の支持部310、1対の軸311、1対のローラ312、および駆動部320からなり、本実施形態においては、基材410に対して下方に位置している。1対の支持部310は、厚板状であり、水平方向において中央部210の中心を挟んで互いに離間配置されている。軸311は、支持部310を揺動可能に支持している。ローラ312は、支持部310のうち軸311から離間した位置にある隅に取り付けられている。駆動部320は、板状であり、図示しない駆動源によって昇降自在とされている。駆動部320は、1対のローラ312と接している。なお、1対の軸311を水平方向中央寄りに配置し、1対のローラ312を水平方向外寄りに配置してもよい。その場合、互いに離間した2つの駆動部320を備える構成としてもよい。
【0036】
キャリアテープ製造装置101を用いたキャリアテープの製造方法について、図1〜図7を参照しつつ以下に説明する。
【0037】
まず、図1に示すように、第1金型200および第2金型300を互いに離間させた状態で、これらの間に基材410を配置する。基材410は、たとえば複数の薄い紙材が積層された積層紙からなる。基材410の厚さは製造されるキャリアテープに収容する電子部品のサイズによって様々であるが、例示すると、0.31mm程度、あるいは0.42mm程度である。このとき、中央部210の下端は、包囲部220の下端よりも若干上方にあり、中央部210の下端が包囲部220に入り込んでいる。
【0038】
次いで、図2に示すように、第1金型200を基材410に向けて下降させる。さらに、図3に示すように、第1金型200を下降させるとともに第2金型300の駆動部320を下降させる。これにより、1対の支持部310が1対の軸311を中心として下側に揺動する。図2〜図3における第1金型200および駆動部320の下降量は、1対の支持部310がそれぞれ水平方向に対して1°程度傾く程度とされる。これにより、基材410は、中央部210を挟んでその両側部分が水平方向に対して1°程度傾いた屈曲状態となる。なお、図1に示す状態において、駆動部320をあらかじめ下降させておくことにより、1対の支持部310が傾いた状態で、第1金型200を図1の状態から図3の状態まで下降させてもよい。
【0039】
次いで、図4に示すように、基材410に対して包囲部220および第2金型300を固定した状態で、中央部210を下降させる。このときの中央部210が基材410に対して入り込む量は、基材410の厚さの50〜70%程度であり、例示すると厚さが0.31mm程度の場合、下降量は0.17mm程度、あるいは厚さが0.42mm程度の場合、下降量は0.27mm程度である。中央部210の下降により、基材410を構成する複数の紙材の一部が中央部210によって切断され、基材410には、凹部420が形成される。この状態においては、凹部420と中央部210とは、互いに高い圧力で押し合っている。
【0040】
次いで、図5に示すように、第1金型200と駆動部320とを同時に上昇させる。このときの上昇量は、1対の支持部310が水平になる程度である。これにより、基材410は、上述した屈曲状態が解かれ、水平な状態となる。また、これに伴い、凹部420は、開口が大となるように変形を受けることとなる。
【0041】
次いで、図6に示すように、中央部210を上昇させ、中央部210の下端を包囲部220に入り込ませる。次いで、図7に示すように、基材410に対して第1金型200を上昇させる。以上の工程を経ることにより、基材410に凹部420が形成された構成とされたキャリアテープ400を製造することができる。
【0042】
次に、キャリアテープ製造装置101およびこれを用いたキャリアテープの製造方法の作用について説明する。
【0043】
本実施形態によれば、図5〜図7に示すように、基材410から第1金型200を離間させるときには、凹部420を形成したときよりも凹部420が開かれた状態となっている。このため、凹部420と第1金型200の中央部210との接触圧力が不当に高い状態は、解除されている。したがって、第1金型200の中央部210と凹部420とがこすれ合うことによって凹部420の内側面が毛羽立った状態となることを回避することが可能であり、電子部品などを収容するのに適した平滑な内側面を有する凹部420を具備するキャリアテープ400を製造することができる。
【0044】
図3に示すように、凹部420を形成するに先立って、基材410を第1金型200側に屈曲させておくことにより、基材410の上側部分は若干圧縮される。この状態で、図4に示すように凹部420を形成すると、この時点では凹部420の図示された断面形状は、中央部210の断面と同様に矩形状である。そして、図5に示すように、基材410を水平な状態に戻すと、凹部420は、自ずと上側に開いた形状となる。これにより、第1金型200の中央部210と凹部420とがほとんど接しない状態とすること、あるいは互いの接触圧力がほとんど0の状態にすること、が可能である。これは、凹部420の内側面を平滑な状態とするのに適している。
【0045】
図5に示すように、凹部420を形成したのちに、第1金型200と第2金型300の駆動部320とを同時に上昇させることにより、基材410を水平な状態に戻す過程において、凹部420の内側面と第1金型200の中央部210とが不当に擦れ合ってしまうことを防止することができる。
【0046】
1対の軸311によって揺動可能に支持された1対の支持部310を、駆動部320の昇降によって開閉させることにより、第2金型300の姿勢を容易かつ正確に設定することができる。
【0047】
図8〜図16は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープ製造装置を示している。本実施形態のキャリアテープ製造装置102は、第1金型200の構成と、後述するキャリアテープの製造における動作が、上述した実施形態と異なっている。
【0049】
図8に示すように、本実施形態においては、包囲部220の下面は、水平方向に対して平行な面となっている。以下に、キャリアテープ製造装置102を用いたキャリアテープの製造方法について、図8〜図13を参照しつつ説明する。まず、図8に示すように、第1金型200と第2金型300との間に基材410を配置する。このとき、1対の支持部310は、水平方向に沿った状態となっている。
【0050】
次いで、図9に示すように、第1金型200を基材410に対して下降させ、第1金型200と基材410とを接触させる。
【0051】
次いで、図10に示すように、第2金型300と包囲部220とを基材410に対して固定した状態で、中央部210のみを下降させる。これにより、基材410に凹部420が形成される。
【0052】
次いで、図11に示すように、第1金型200と駆動部320とを上昇させる。このときの上昇量は、1対の支持部310のそれぞれが水平方向となす角が1°程度となる大きさである。これにより、基材410が中央部210を挟んで上方に開き、下方に閉じた屈曲状態となる。これに伴い、凹部420は、開口が大となるように変形を受けることとなる。
【0053】
次いで、図12に示すように、中央部210を上昇させ、中央部210の下端を包囲部220に入り込ませる。次いで、図13に示すように、基材410に対して第1金型200を上昇させる。以上の工程を経ることにより、基材410に凹部420が形成された構成とされたキャリアテープ400を製造することができる。
【0054】
本実施形態によっても、図11〜図13に示すように、基材410から第1金型200を離間させるときには、凹部420を形成したときよりも凹部420が開かれた状態となっている。このため、凹部420と第1金型200の中央部210との接触圧力が不当に高い状態は、解除されている。したがって、第1金型200の中央部210と凹部420とがこすれ合うことによって凹部420の内側面が毛羽立った状態となることを回避することが可能であり、電子部品などを収容するのに適した平滑な内側面を有する凹部420を具備するキャリアテープ400を製造することができる。
【0055】
図14は、本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープ製造装置を示している。本実施形態のキャリアテープ製造装置103は、後述するキャリアテープの製造における動作が、上述した実施形態と異なっている。以下に、キャリアテープ製造装置103を用いたキャリアテープの製造方法について、図14〜図16を参照しつつ説明する。
【0056】
まず、図14に示すように、第1金型200と第2金型300との間に基材410を配置する。このとき、1対の支持部310は、互いに離間した部分が上方に位置するように揺動された状態となっている。各支持部310が水平方向となす角は、たとえば1°程度である。この1対の支持部310に支持された基材410は、上方に開き、下方に閉じた屈曲状態とされる。この状態においては、基材410の上面に張力が生じている。
【0057】
次いで、図15に示すように、第1金型200を基材410に対して下降させ、第1金型200を基材410に接触させる。次いで、図16に示すように、第2金型300と包囲部220とを基材410に対して固定した状態で、中央部210を下降させる。これにより、基材410に凹部420が形成される。基材410の上面には張力が生じていたため、凹部420は、形成されると同時に、この張力によって若干開かれる格好となる。こののちは、図12および図13に示した動作と同様に、第1金型200を上昇させる。以上の工程を経ることにより、基材410に凹部420が形成された構成とされたキャリアテープ400を製造することができる。
【0058】
このような実施形態によっても、基材410の上側部分に張力を生じさせた状態で凹部420を形成することにより、凹部420が形成されると同時に上側が開かれる効果が期待できる。これにより、第1金型200の中央部210と凹部420との接触圧を低減することが可能であり、凹部420を平滑に仕上げることができる。
【0059】
本発明に係るキャリアテープの製造方法およびキャリアテープの製造装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るキャリアテープの製造方法およびキャリアテープの製造装置の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0060】
101,102,103 キャリアテープ製造装置
200 第1金型
210 中央部
220 周囲部
300 第2金型
310 支持部
311 軸
312 ローラ
320 駆動部
400 キャリアテープ
410 基材
420 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープの製造方法、およびキャリアテープ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリアテープは、チップ抵抗器などの比較的小型の電子部品を収容し、運搬するために広く用いられている。図17〜図19は、従来のキャリアテープの製造方法を示している。これらの図に示されたキャリアテープの製造方法においては、図17に示すように、キャリアテープ製造装置900を用いる。キャリアテープ製造装置900は、第1金型910と第2金型920とを備えている。第1金型910は、中央部911と、この中央部911を包囲する周囲部912とからなる。第2金型920は、第1金型910の下方に位置しており、平らな形状とされている。
【0003】
このキャリアテープの製造方法においては、まず、第2金型920上に基材410を置く。基材410は、たとえば複数の薄い紙材が積層された積層紙からなる。そして、第1金型910に第2金型920との間で基材410を挟む姿勢をとらせる。次いで、図18に示すように、中央部911のみを基材410に対して下降させる。これにより、基材410に凹部420が形成される。次いで、図19に示すように、第1金型910を基材410から離間させる。これにより、キャリアテープ400が得られる。凹部420は、電子部品の収容に用いられる。凹部420に電子部品を収容したのちに、たとえば凹部420を塞ぐカバーテープ(図示略)が貼付される。
【0004】
積層紙からなる基材410は、厚さ方向に複数の紙材が積層された構造となっている。凹部420の形成においては、これらの紙材がせん断させている。このため、凹部420の側面には、上記複数の紙材の切断端が露出している。図18において凹部420を形成した時点では、中央部910が基材410に食い込んでいる。このため、中央部910と凹部420とは、相当に高い圧力で押し合っている。この状態で、図19に示すように第1金型910を離間させると、上述した紙材の切断端が中央部911に引きずりあげられる。この結果、凹部420の内側面は、複数の紙材の切断端が斜め上方に向かって毛羽立った状態となりやすい。このような状態の凹部420に小型の電子部品を収容すると、電子部品が毛羽立った切断端に引っかかってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−300203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、凹部の内側面をより平滑としうるキャリアテープの製造方法およびキャリアテープの製造装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供されるキャリアテープの製造方法は、第1金型と第2金型とによって基材を挟むことにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程と、上記凹部を形成した後に、上記凹部を形成したときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させる工程と、上記第1金型を上記凹部から離間させる工程と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部を形成する工程の前に、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させる工程を備える。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°未満である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°である。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、紙からなる。
【0017】
本発明の第2の側面によって提供されるキャリアテープの製造方法は、第1金型と第2金型とによって基材を挟むとともに、上記基材に上記第1金型側においてなす角が180°より大となる姿勢をとらせた状態で上記基材に対して上記第1金型を進入させることにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程を備えることを特徴としている。
【0018】
本発明の第3の側面によって提供されるキャリアテープの製造装置は、基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、上記第2金型は、上記凹部を形成するときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させることが可能であることを特徴としている。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記第1金型による上記凹部の形成に先立ち、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させることが可能である。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°未満である姿勢となるように上記基材を支持する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°である姿勢となるように上記基材を支持する。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記基材は、紙からなる。
【0028】
本発明の第4の側面によって提供されるキャリアテープの製造装置は、基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°よりも大となるように上記基材を支持することを特徴としている。
【0029】
このような構成によれば、上記基材から上記第1金型を離間させるときには、上記凹部を形成したときよりも上記凹部が上記第1金型側に開かれた状態となっている。このため、上記凹部と上記第1金型との接触圧力が不当に高い状態は、解除される。したがって、上記金型と上記凹部とがこすれ合うことによって上記凹部の内側面が毛羽立った状態となることを回避することが可能であり、電子部品などを収容するのに適した平滑な内側面を有する上記凹部を具備する上記キャリアテープを製造することができる。
【0030】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープの製造方法を示す要部断面図である。
【図17】従来のキャリアテープの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図18】従来のキャリアテープの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【図19】従来のキャリアテープの製造方法の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施形態に基づくキャリアテープ製造装置を示している。本実施形態のキャリアテープ製造装置101は、第1金型200および第2金型300を備えており、基材410に対して加工を施すことによりキャリアテープを製造するために用いられる。
【0034】
第1金型200は、中央部210および包囲部220からなり、本実施形態においては、基材410に対して上方に位置している。中央部210は、基材410に対して進入する部分であり、図示しない駆動源によって昇降自在となっている。図示されたように、中央部210は、上下方向に沿う平面における断面が矩形状とされている。また、水平方向に沿う平面における中央部210の断面は、製造するキャリアテープに形成する凹部に合わせた形状とされており、たとえば矩形状である。包囲部220は、中央部210を囲んでいる。本実施形態においては、包囲部220の下面は、中央部210に隣接する部分を最下点として周囲に向かうほど上側に位置するように水平面に対して傾いており、その傾斜角度はたとえば1°である。包囲部220は、図示しない駆動源によって昇降自在とされている。第1金型200は、中央部210と包囲部220とが一体となった状態で昇降自在であるとともに、中央部210が包囲部220に対して昇降自在とされている。
【0035】
第2金型300は、1対の支持部310、1対の軸311、1対のローラ312、および駆動部320からなり、本実施形態においては、基材410に対して下方に位置している。1対の支持部310は、厚板状であり、水平方向において中央部210の中心を挟んで互いに離間配置されている。軸311は、支持部310を揺動可能に支持している。ローラ312は、支持部310のうち軸311から離間した位置にある隅に取り付けられている。駆動部320は、板状であり、図示しない駆動源によって昇降自在とされている。駆動部320は、1対のローラ312と接している。なお、1対の軸311を水平方向中央寄りに配置し、1対のローラ312を水平方向外寄りに配置してもよい。その場合、互いに離間した2つの駆動部320を備える構成としてもよい。
【0036】
キャリアテープ製造装置101を用いたキャリアテープの製造方法について、図1〜図7を参照しつつ以下に説明する。
【0037】
まず、図1に示すように、第1金型200および第2金型300を互いに離間させた状態で、これらの間に基材410を配置する。基材410は、たとえば複数の薄い紙材が積層された積層紙からなる。基材410の厚さは製造されるキャリアテープに収容する電子部品のサイズによって様々であるが、例示すると、0.31mm程度、あるいは0.42mm程度である。このとき、中央部210の下端は、包囲部220の下端よりも若干上方にあり、中央部210の下端が包囲部220に入り込んでいる。
【0038】
次いで、図2に示すように、第1金型200を基材410に向けて下降させる。さらに、図3に示すように、第1金型200を下降させるとともに第2金型300の駆動部320を下降させる。これにより、1対の支持部310が1対の軸311を中心として下側に揺動する。図2〜図3における第1金型200および駆動部320の下降量は、1対の支持部310がそれぞれ水平方向に対して1°程度傾く程度とされる。これにより、基材410は、中央部210を挟んでその両側部分が水平方向に対して1°程度傾いた屈曲状態となる。なお、図1に示す状態において、駆動部320をあらかじめ下降させておくことにより、1対の支持部310が傾いた状態で、第1金型200を図1の状態から図3の状態まで下降させてもよい。
【0039】
次いで、図4に示すように、基材410に対して包囲部220および第2金型300を固定した状態で、中央部210を下降させる。このときの中央部210が基材410に対して入り込む量は、基材410の厚さの50〜70%程度であり、例示すると厚さが0.31mm程度の場合、下降量は0.17mm程度、あるいは厚さが0.42mm程度の場合、下降量は0.27mm程度である。中央部210の下降により、基材410を構成する複数の紙材の一部が中央部210によって切断され、基材410には、凹部420が形成される。この状態においては、凹部420と中央部210とは、互いに高い圧力で押し合っている。
【0040】
次いで、図5に示すように、第1金型200と駆動部320とを同時に上昇させる。このときの上昇量は、1対の支持部310が水平になる程度である。これにより、基材410は、上述した屈曲状態が解かれ、水平な状態となる。また、これに伴い、凹部420は、開口が大となるように変形を受けることとなる。
【0041】
次いで、図6に示すように、中央部210を上昇させ、中央部210の下端を包囲部220に入り込ませる。次いで、図7に示すように、基材410に対して第1金型200を上昇させる。以上の工程を経ることにより、基材410に凹部420が形成された構成とされたキャリアテープ400を製造することができる。
【0042】
次に、キャリアテープ製造装置101およびこれを用いたキャリアテープの製造方法の作用について説明する。
【0043】
本実施形態によれば、図5〜図7に示すように、基材410から第1金型200を離間させるときには、凹部420を形成したときよりも凹部420が開かれた状態となっている。このため、凹部420と第1金型200の中央部210との接触圧力が不当に高い状態は、解除されている。したがって、第1金型200の中央部210と凹部420とがこすれ合うことによって凹部420の内側面が毛羽立った状態となることを回避することが可能であり、電子部品などを収容するのに適した平滑な内側面を有する凹部420を具備するキャリアテープ400を製造することができる。
【0044】
図3に示すように、凹部420を形成するに先立って、基材410を第1金型200側に屈曲させておくことにより、基材410の上側部分は若干圧縮される。この状態で、図4に示すように凹部420を形成すると、この時点では凹部420の図示された断面形状は、中央部210の断面と同様に矩形状である。そして、図5に示すように、基材410を水平な状態に戻すと、凹部420は、自ずと上側に開いた形状となる。これにより、第1金型200の中央部210と凹部420とがほとんど接しない状態とすること、あるいは互いの接触圧力がほとんど0の状態にすること、が可能である。これは、凹部420の内側面を平滑な状態とするのに適している。
【0045】
図5に示すように、凹部420を形成したのちに、第1金型200と第2金型300の駆動部320とを同時に上昇させることにより、基材410を水平な状態に戻す過程において、凹部420の内側面と第1金型200の中央部210とが不当に擦れ合ってしまうことを防止することができる。
【0046】
1対の軸311によって揺動可能に支持された1対の支持部310を、駆動部320の昇降によって開閉させることにより、第2金型300の姿勢を容易かつ正確に設定することができる。
【0047】
図8〜図16は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態に基づくキャリアテープ製造装置を示している。本実施形態のキャリアテープ製造装置102は、第1金型200の構成と、後述するキャリアテープの製造における動作が、上述した実施形態と異なっている。
【0049】
図8に示すように、本実施形態においては、包囲部220の下面は、水平方向に対して平行な面となっている。以下に、キャリアテープ製造装置102を用いたキャリアテープの製造方法について、図8〜図13を参照しつつ説明する。まず、図8に示すように、第1金型200と第2金型300との間に基材410を配置する。このとき、1対の支持部310は、水平方向に沿った状態となっている。
【0050】
次いで、図9に示すように、第1金型200を基材410に対して下降させ、第1金型200と基材410とを接触させる。
【0051】
次いで、図10に示すように、第2金型300と包囲部220とを基材410に対して固定した状態で、中央部210のみを下降させる。これにより、基材410に凹部420が形成される。
【0052】
次いで、図11に示すように、第1金型200と駆動部320とを上昇させる。このときの上昇量は、1対の支持部310のそれぞれが水平方向となす角が1°程度となる大きさである。これにより、基材410が中央部210を挟んで上方に開き、下方に閉じた屈曲状態となる。これに伴い、凹部420は、開口が大となるように変形を受けることとなる。
【0053】
次いで、図12に示すように、中央部210を上昇させ、中央部210の下端を包囲部220に入り込ませる。次いで、図13に示すように、基材410に対して第1金型200を上昇させる。以上の工程を経ることにより、基材410に凹部420が形成された構成とされたキャリアテープ400を製造することができる。
【0054】
本実施形態によっても、図11〜図13に示すように、基材410から第1金型200を離間させるときには、凹部420を形成したときよりも凹部420が開かれた状態となっている。このため、凹部420と第1金型200の中央部210との接触圧力が不当に高い状態は、解除されている。したがって、第1金型200の中央部210と凹部420とがこすれ合うことによって凹部420の内側面が毛羽立った状態となることを回避することが可能であり、電子部品などを収容するのに適した平滑な内側面を有する凹部420を具備するキャリアテープ400を製造することができる。
【0055】
図14は、本発明の第3実施形態に基づくキャリアテープ製造装置を示している。本実施形態のキャリアテープ製造装置103は、後述するキャリアテープの製造における動作が、上述した実施形態と異なっている。以下に、キャリアテープ製造装置103を用いたキャリアテープの製造方法について、図14〜図16を参照しつつ説明する。
【0056】
まず、図14に示すように、第1金型200と第2金型300との間に基材410を配置する。このとき、1対の支持部310は、互いに離間した部分が上方に位置するように揺動された状態となっている。各支持部310が水平方向となす角は、たとえば1°程度である。この1対の支持部310に支持された基材410は、上方に開き、下方に閉じた屈曲状態とされる。この状態においては、基材410の上面に張力が生じている。
【0057】
次いで、図15に示すように、第1金型200を基材410に対して下降させ、第1金型200を基材410に接触させる。次いで、図16に示すように、第2金型300と包囲部220とを基材410に対して固定した状態で、中央部210を下降させる。これにより、基材410に凹部420が形成される。基材410の上面には張力が生じていたため、凹部420は、形成されると同時に、この張力によって若干開かれる格好となる。こののちは、図12および図13に示した動作と同様に、第1金型200を上昇させる。以上の工程を経ることにより、基材410に凹部420が形成された構成とされたキャリアテープ400を製造することができる。
【0058】
このような実施形態によっても、基材410の上側部分に張力を生じさせた状態で凹部420を形成することにより、凹部420が形成されると同時に上側が開かれる効果が期待できる。これにより、第1金型200の中央部210と凹部420との接触圧を低減することが可能であり、凹部420を平滑に仕上げることができる。
【0059】
本発明に係るキャリアテープの製造方法およびキャリアテープの製造装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るキャリアテープの製造方法およびキャリアテープの製造装置の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0060】
101,102,103 キャリアテープ製造装置
200 第1金型
210 中央部
220 周囲部
300 第2金型
310 支持部
311 軸
312 ローラ
320 駆動部
400 キャリアテープ
410 基材
420 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と第2金型とによって基材を挟むことにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程と、
上記凹部を形成した後に、上記凹部を形成したときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させる工程と、
上記第1金型を上記凹部から離間させる工程と、
を備えることを特徴とする、キャリアテープの製造方法。
【請求項2】
上記凹部を形成する工程の前に、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させる工程を備える、請求項1に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項3】
上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°未満である、請求項2に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項4】
上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°である、請求項1に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項5】
上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、
上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている、請求項1ないし4のいずれかに記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項6】
上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である、請求項5に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項7】
上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する、請求項1ないし6のいずれかに記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項8】
上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する、請求項7に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項9】
上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる、請求項1ないし8のいずれかに記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項10】
上記基材は、紙からなる、請求項9に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項11】
第1金型と第2金型とによって基材を挟むとともに、上記基材に上記第1金型側においてなす角が180°より大となる姿勢をとらせた状態で上記基材に対して上記第1金型を進入させることにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程を備えることを特徴とする、キャリアテープの製造方法。
【請求項12】
基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、
上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、
上記第2金型は、上記凹部を形成するときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させることが可能であることを特徴とする、キャリアテープの製造装置。
【請求項13】
上記第2金型は、上記第1金型による上記凹部の形成に先立ち、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させることが可能である、請求項12に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項14】
上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°未満である姿勢となるように上記基材を支持する、請求項13に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項15】
上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°である姿勢となるように上記基材を支持する、請求項12に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項16】
上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、
上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている、請求項12ないし15のいずれかに記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項17】
上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である、請求項16に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項18】
上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する、請求項12ないし17のいずれかに記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項19】
上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する、請求項18に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項20】
上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる、請求項12ないし19のいずれかに記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項21】
上記基材は、紙からなる、請求項20に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項22】
基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、
上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、
上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°よりも大となるように上記基材を支持することを特徴とする、キャリアテープの製造装置。
【請求項1】
第1金型と第2金型とによって基材を挟むことにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程と、
上記凹部を形成した後に、上記凹部を形成したときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させる工程と、
上記第1金型を上記凹部から離間させる工程と、
を備えることを特徴とする、キャリアテープの製造方法。
【請求項2】
上記凹部を形成する工程の前に、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させる工程を備える、請求項1に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項3】
上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°未満である、請求項2に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項4】
上記凹部を形成する工程においては、上記基材が上記第1金型側においてなす角が180°である、請求項1に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項5】
上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、
上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている、請求項1ないし4のいずれかに記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項6】
上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である、請求項5に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項7】
上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する、請求項1ないし6のいずれかに記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項8】
上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する、請求項7に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項9】
上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる、請求項1ないし8のいずれかに記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項10】
上記基材は、紙からなる、請求項9に記載のキャリアテープの製造方法。
【請求項11】
第1金型と第2金型とによって基材を挟むとともに、上記基材に上記第1金型側においてなす角が180°より大となる姿勢をとらせた状態で上記基材に対して上記第1金型を進入させることにより、上記第1金型側に開口する凹部を上記基材に形成する工程を備えることを特徴とする、キャリアテープの製造方法。
【請求項12】
基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、
上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、
上記第2金型は、上記凹部を形成するときよりも上記第1金型側においてなす角が大きくなるように上記基材を変形させることが可能であることを特徴とする、キャリアテープの製造装置。
【請求項13】
上記第2金型は、上記第1金型による上記凹部の形成に先立ち、上記第1金型側においてなす角が小さくなるように上記基材を変形させることが可能である、請求項12に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項14】
上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°未満である姿勢となるように上記基材を支持する、請求項13に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項15】
上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°である姿勢となるように上記基材を支持する、請求項12に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項16】
上記第1金型は、中央部およびこの中央部を包囲する周囲部を有しており、
上記中央部は、上記基材に接近離間する方向において上記周囲部に対して往復動自在とされている、請求項12ないし15のいずれかに記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項17】
上記中央部が往復動する方向を含む平面における上記中央部の断面形状が、矩形状である、請求項16に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項18】
上記第2金型は、上記基材の厚さ方向と直角である方向に互いに離間配置され、かつ互いの相対角度を変更自在とされた1対の支持部を有する、請求項12ないし17のいずれかに記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項19】
上記第2金型は、上記各支持部を揺動自在に支持する軸と、上記基材の厚さ方向において上記1対の支持部に対して往復動することにより上記1対の支持部を揺動させる駆動部と、を有する、請求項18に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項20】
上記基材は、上記凹部の深さ方向に積層された複数の繊維群からなる、請求項12ないし19のいずれかに記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項21】
上記基材は、紙からなる、請求項20に記載のキャリアテープの製造装置。
【請求項22】
基材を挟む第1金型および第2金型を備えており、
上記第1金型は、上記基材に対して進入することにより上記基材に上記第1金型側に開口する凹部を形成可能であり、
上記第2金型は、上記凹部を形成するときに上記第1金型側においてなす角が180°よりも大となるように上記基材を支持することを特徴とする、キャリアテープの製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−218761(P2012−218761A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85243(P2011−85243)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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