説明

キャリア検出方法

【目的】 コードレステレホン等のMCAにおけるキャリア検出時間の短縮。
【構成】 キャリアセンスにより、CPU2は所定の無線チャネルで受信部101を動作させ、入力高周波のレベルをキャリア判定部107で判定する。CPUは検出時間短縮部1をONして、PLLのロック直前までキャリアレベルを上げて、キャリア判定部のしきい値判定時間を短縮する。判定データはCPUに渡され空きチャネルの確定を行い、PLL108のロックを待って、検出時間短縮部をOFFし元に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コードレス電話等のコードレス通信機に用いる空きチャネル検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は従来のコードレステレホン装置の構成図である。コードレス電話装置では親機、子機とも、通信を開始するにあたってまず使用する周波数が空いているかどうかを確認しなければならない。つまりキャリアセンスを行って送信、受信の空きチャネルを確定したのち始めて通信を行うことになる(以降、説明を簡単にするために子機についてのみ説明する)。
【0003】制御部100はキャリアセンス(PLLシンセサイザー回路により)による所定の周波数の無線チャネルで受信部101を動作させる。受信部101は受信アンテナ105からの受信入力による高周波をキャリア判定部107へ入力し、キャリア判定部107では直流検波回路により入力高周波の受信電界強度に対応する直流電圧を出力し、しきい値判定回路で直流電圧のレベルを判定する。
【0004】判定結果を入力した制御部100は、直流電圧のレベルが予め設定されたしきい値以下である場合は、受信電界強度がしきい値以下であることから所定の周波数の無線チャネルは空きチャネルであると確定する。逆に、キャリア判定部107のレベル判定がしきい値以上の場合は、その無線チャネルは使用中と確定してキャリアセンスにより次の空きチャネルを探す。キャリアセンスにより空きチャネルが確定すれば、制御部100はそのチャネルで送信部102を動作させて通信を行う。この場合、キャリア判定部107へ入力される通信電界強度に対応する直流電圧は、受信信号が一定ではないために、どうしても変動し、そのためしきい値判定回路での判定も、空きチャネルまたは使用中の判定が短時間で交替して一定しないという問題があった。そこで、この問題が生じないように、従来キャリア判定部107へ入力された受信電界強度に対応する直流電圧は、一端CR時定数回路を通して判定回路(コンパレータ)へ導入されるようになっており、この時定数は上記判定が安定するように、一般に大きな時定数(大体50〜60ms)に設定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のように、大き目の時定数とすることによっては、キャリアセンスした所定の周波数に使用中の無線信号があって、対応する直流電圧がしきい値を越えた後には、そのレベルが安定してよいのであるが、時定数が大きいために、その検出直流電圧が安定した一定値となるための立ち上がりに要する時間も長目となる。即ち、図3にbのカーブとして示したように、低位のレベルからしきい値(s)へ向かって立ち上がるカーブがゆるやかであるために、電圧が低位のレベルからしきい値(s)まで達するにはt1もの長い時間が必要であったので、正確にキャリアの有無を判定するためには、さらにそれから一定の時間が必要であることから、1回のキャリアセンスに要する検出時間は相当に長くなっていた。さらに、通常のマルチ・チャネル・アクセスにおいては数10チャネルもの多数チャネルを順にキャリアセンスしていくために、一通りのチャネルを空きチャネルがないかどうか検出していくためには、それらが累積した相当に長時間が必要となっていた。
【0006】本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、キャリアセンス時のキャリアの有無の検出時間を早め迅速な空きチャネルの検出を可能にするキャリア検出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は通信回線接続機能を有する親機と、無線回線を介して接続する子機を備えたマルチ・チャネル・アクセス方式のコードレス通信機において、キャリアセンスにより空きチャネルをキャリアレベルから検出するキャリア判定部でのキャリアレベルを、PLLがロックする直前までしきい値レベル近くに保持することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】上記構成とすることにより、キャリアセンスにより空きチャンルをキャリアレベルから検出するキャリア判定部でのキャリアレベルを、PLLがロックする直前までしきい値レベル近くに保持しているので、キャリアセンス時のキャリアの有無の検出時間を早め迅速な空きチャネルの検出を行う。
【0009】
【実施例】以下本発明の一実施例を図に基づいて説明する。図1は本発明方法を実施する一実施例によるキャリア検出方法の構成図である。図1において、1はキャリア判定部107でのキャリアの検出時間を短縮する検出時間短縮部であり、2は装置全体の制御を行い、検出時間短縮部1の動作を、キャリアセンス用のPLL108のロックを検出してそのタイミングで停止する制御部(CPU)である。他の従来例と同一構成には同一符号を付して説明は省略する。
【0010】図2は、図1に示す検出時間短縮部付近の回路図である。図2において、IF用IC9の中にあるコンパレータ回路5と、レベルデータ保持用C1,R1時定数回路でキャリア判定部107を構成し、R2によってバイアスされるTr1の回路が検出時間短縮部1である。
【0011】3はCPU2から検出時間短縮部1へトランジスタTrのオン,オフをコントロールするコントロール信号を送出するコントロール端子、4はコンパレータ5の判定レベルを入力するCARRIER・DET端子であり、6は局部発振器である。また8は検波出力(オーディオ出力)端子である。即ち、局部発振器6で検出された所定周波数の信号は、IF用IC9を経て端子10から検波出力Dとして出力される。また、コンパレータ5の、A端子他側の入力ポートへは、IF用IC9が生成するしきい値電圧Sが入力される。
【0012】次に、動作について説明する。制御部2はキャリアセンスとして、PLL108のデータを変更して所定の周波数の無線チャネルで受信部101を動作させる。受信部101は入力高周波をキャリア判定部107へ入力し、キャリア判定部107では検波した直流電圧をコンパレータ5でしきい値電圧Sと比較する。比較レベルをIF用IC9のB端子からCARRIER・DET端子4へ出力して、制御部2はしきい値以下なら空きチャネル、しきい値以上なら使用中と確定する。この間、IF用IC9のA端子へ入力するレベルデータとしては、Tr1のオン,オフによって、PLL108がロックするまでは抵抗R2による分圧と基準電圧VDDが入力され、PLL108がロックした後は、C1,R1の時定数が課された検波出力Dが入力される。即ち、CPU2が、PLL108のロックタイミングを捕捉してそのタイミングまでは、コントロール端子から“L”を送出してTr1をオンし、ロック以降はコントロール端子3から“H”を送出してTr1をオフする。
【0013】図3は、コンパレータの動作説明図であり、使用中チャネルを検出する場合を図示している。図中、aのカーブが本実施例のカーブであり、bが従来例のカーブである。従来例のbカーブの場合は、PLLのロック,アンロックにかかわらず、A端子へは常にC1,R1時定数を課された検波出力Dが入力されるので、PLLがロックするまでの期間のA端子入力は、抵抗R1の抵抗値によって低レベルとされ、従って、この低レベルからしきい値レベルSまで上昇するのに長い時間t1(50〜60ms)かかる。
【0014】本実施例のaカーブの場合では、CPU2はキャリアセンスの周波数変更と同時にコントロール端子3からコントロール信号“L”を送出してTr1をONすることによりR1をTr1の低下した内部抵抗値によって低下させ、端子Aのレベルは上昇して、しきい値近くに設定される。
【0015】次に、CPU2はPLL108のロックを検出したら、コントロール端子3から“H”信号を送出してTr1をOFFし、時定数を元に復帰させる。このようにして、元の状態を復帰した後、コンパレータ5の出力が“H”となればCPU2は所定チャネルが使用中であることを確定し、キャリアセンスを続行し空きチャネルが確定するまで続け、以降は通常の通信手順で処理を行う。
【0016】このような本実施例によれば、PLLがロックする直前まで検出レベルがしきい値レベル近くまで保持されているので、PLLがアンロックした後、キャリアを検出して検出レベルが上昇するスピードが大時定数により遅くとも、しきい値レベルまで達する時間t2が短くて済む。尚、CPU2の動作のフローチャートを図5に示す。
【0017】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明によれば、MCAの時間が略PLLのロック時間のみで済みMCAにかかる時間が短縮される。また通話時のキャリア検出は復帰した元の時定数で行うため検出回路が安定する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるキャリア検出方法の構成図である。
【図2】図1に示す検出時間短縮部の回路図である。
【図3】図1に示す実施例の動作説明図である。
【図4】従来のコードレステレホン装置の構成図である。
【図5】CPUの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 検出時間短縮部
2 制御部(CPU)
3 コントロール端子
4 CARRIER・DET端子
5 コンパレータ
C1,R1 検出時定数
Tr1 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信回線接続機能を有する親機と、無線回線を介して接続する子機を備えたマルチ・チャネル・アクセス方式のコードレス通信機において、キャリアセンスにより空きチャネルをキャリアレベルから検出するキャリア判定部でのキャリアレベルを、PLLがロックする直前までしきい値レベル近くに保持することを特徴とするキャリア検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開平5−347582
【公開日】平成5年(1993)12月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−181821
【出願日】平成4年(1992)6月15日
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)