キラル精製置換ベンゾチアゾールジアミンの合成
【解決手段】 キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン、例えば(6R)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製、および鏡像異性的に富化した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの混合物からの置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの主要な鏡像異性体の精製方法を本願明細書で提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願出願は2007年3月14日付出願の「Methods of Synthesizing and Purifying and S(−) Pramipexole」と題した米国仮出願第60/894,829号、および2007年3月14日付出願の「Methods of Enantiomerically Purifying Chiral Compounds」と題した米国仮出願第60/894,814号に対して優先権およびその利益を主張するものであり、その内容はこの参照によって本願明細書に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
化合物2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは合成アミノベンゾチアゾール誘導体であり、その(6S)鏡像異性体は、一般にはプラミペキソールとして周知であってミラペックス(登録商標)の名称で市販されている有効なドーパミン作動薬であり、神経伝達物質ドーパミンの効果を模倣するものである。プラミペキソールは、神経保護およびドーパミン作動活性の両方を有することが示されており、これらの活性は、脂質過酸化反応、ミトコンドリア代謝の正常化、および/または酸素ラジカルの解毒作用を介することが推定されている。従って、プラミペキソールは神経変性疾患で観察される細胞死カスケードおよび細胞生存能力喪失の阻害剤としての効用を有し、患者が必要とするおよび許容する極少量の1日用量によってドーパミン受容体を活性化しパーキンソン病、群発性頭痛、むずむず脚症候群、および双極性障害を治療するこが示唆されている。さらに、酸化ストレスは、酸素および他のフリーラジカルの増加によって引き起こされ、致命的な神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と関連付けられてきた。ALSは、大脳皮質、脳幹、および脊髄の運動ニューロンと関連した進行性神経変性疾患である。ALSの全患者の約10%が家族性症例であり、そのうち20%はスーパーオキシドジスムターゼ1(superoxide dismutase 1:SOD−1)遺伝子に変異を有する。SOD−1酵素は家族性筋萎縮性側索硬化症(familial amyotrophic lateral sclerosis:FALS)の発症および進行において非常に重要な役割を果たす可能性がある。最近の研究では、ALSに関連した早期の神経細胞死は、ミトコンドリア中のエネルギー生産経路の機能障害をもたらすミトコンドリアの変異遺伝子ともまた関連付けられている。
【0003】
プラミペキソールの鏡像異性体の両方の神経保護活性は、約10mg/日〜約1,500mg/日の範囲の典型的な治療用量を有する。しかし、ドーパミン受容体のD2ファミリーに対するプラミペキソールのアゴニスト作用は、わずか0.5〜5.0mg/日の範囲の治療用量を必要としており、このような比較的低用量であっても不都合な副作用が報告されている。例えば、ベーリンガーインゲルハイムのミラペックス(登録商標)の製品説明書においてヒトに対する最大許容量は4.5mg/日と定められており、わずか1.5mgの低容量のプラミペキソールであってもヒトにおいて眠気を引き起こすことが示されている。プラミペキソールの経口投与後の単回毒性は、齧歯類、イヌ、サル、およびヒトで研究されている。齧歯類では、70〜105mg/kgの用量で死亡が生じ、それ以上の量はヒトでの7〜12mg/kg/または70kg(〜150ポンド)の個体に対する約500〜850mgの用量と同等である。イヌでは、0.0007mg/kgおよびそれ以上で嘔吐が生じ、一方サルでは3.5mg/kgで際だった興奮状態を示した。ヒト被験者では、0.20mg以上のプラミペキソールの初回投与量が許容されなかった。全ての種で、プラミペキソールに対してドーパミン作動性に関連した過度の薬力学反応に関連した毒性の兆候が示された。
【0004】
従って、ミトコンドリアを標的とした抗酸化剤としてのプラミペキソールの臨床用途については、ドーパミン受容体が(6S)鏡像異性体に対して高い親和性を有するため、神経保護または抗酸化/ミトコンドリア正常化作用に必要とされる高用量は利用できないことから、見込みがないとされている。それとは対照的に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、投与時に不都合な副作用が無く、優れた抗酸化作用を示すミトコンドリアを標的とした有効な神経保護剤である。従って、高用量の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは患者にとって許容可能であり、脳、脊髄、およびミトコンドリアでのより高い濃度で酸化ストレスおよび/またはミトコンドリア機能障害を減少させる度合いを増加することが可能である。本開示の組成物の神経保護作用は、プラミペキソールの(6R)鏡像異性体の能力の少なくとも一部に由来し、3つのメカニズムのうち少なくとも1つによる神経細胞死を抑制するするものである。第1に、プラミペキソールの(6R)鏡像異性体は、ミトコンドリアのエネルギー生産機能が低下した細胞中での活性酸素種形成を減少可能である。第2に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症と関連するミトコンドリアの膜電位低下を部分的に回復することができる。第3に、プラミペキソールの(6R)鏡像異性体は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、およびミトコンドリア機能障害の薬理学モデルにおいて生じるアポトーシス細胞死の経路をブロックする。それらの神経保護作用を引き出すために必要とされる高用量の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのコンタミネーション上限(0.5mg〜5.0mg)を考慮に入れた上で非常に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの調製を必要とする。
【0005】
単純なアルキル化反応を用いた2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法は、米国特許第4,843,086号および第4,886,812号明細書に最初に記述された。2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの他の調製法は単純なアルキル化ではなく還元的アミノ化を伴うものであり、従って、RおよびS光学異性体の混合物を生成し、前記光学異性体のさらなる精製の直接的な方法は無い。それら、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの既知の生成方法は費用がかかり、労力を要し、さらに安全性リスクをもたらすヒドリド還元剤を使用する。さらに、ジアミンからの純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの直接合成方法は現在知られていない。従って、前記R異性体は、光学異性体の混合物として合成し、それを他の問題のある可能性のある物質を利用した費用と時間のかかる方法で精製する必要がある。さらに、脱アミノ化を伴う既知の方法は鏡像異性体の純度を損なう結果となり、混合物からの光学異性体の有用な分割方法では、キラル的におよび化学的に純粋なR鏡像異性体またはS鏡像異性体の調製が不十分である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書において示した本発明の実施形態は、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの調製方法を対象とするものであって、この方法は、鏡像異性的に富化した化学式(1)の4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程であって、
【0007】
【化1】
【0008】
式中、
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル核は1または2のハロゲン原子で置換されていても良く、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル核はフッ素、塩素、または臭素原子で置換されていても良く、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表し、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素であり、
溶媒中のアルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルは反応混合物と反応する反応混合物を形成するものである、
前記加熱する工程と、
キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを回収する工程とを含む。
【0009】
様々な実施形態において、前記アルキルスルホン酸は化学式(11)であっても良く、
【0010】
【化2】
【0011】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基であり、
Zは1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基である。特定の実施形態ではXはプロピル基とすることができ、いくつかの実施形態では前記アルキルスルホン酸基は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択したプロピルスルホン酸とすることができる。他の実施形態では、ハロゲン化アルキルは化学式(12)とすることができ、
【0012】
【化3】
【0013】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基であり、
Xは、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ化物を含むあらゆるハロゲン化物である。特定の実施形態では、Xはプロピル基とすることができ、一部の実施形態では、ハロゲン化アルキルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択したハロゲン化プロピルとすることができる。
【0014】
キラル精製した様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは、少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0015】
様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.99%以上である。
【0016】
いくつかの実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)鏡像異性体を鏡像異性的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)鏡像異性体をキラル精製したものであり、特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを鏡像異性的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。他の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)−鏡像異性体を鏡像異性体的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)鏡像異性体をキラル精製したものであり、特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを鏡像異性的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。さらに他の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾールジアミンは、(6R)−鏡像異性体が(6S)−鏡像異性体に対して約1:4以上から(6R)−鏡像異性体が(6S)−鏡像異性体に対して約4:1の比率までとすることができる。
【0017】
様々な実施形態の溶媒は有機溶媒および水と混合した有機溶媒から選択することができ、いくつかの実施形態では、これに限定されるものではないが、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択することができる。
【0018】
一部の実施形態において、加熱、反応、および回収する工程はそれぞれ独立して攪拌する工程を含む。他の実施形態において、前記加熱及び反応工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施する。さらに他の実施形態において、前記加熱工程は、加熱した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンにアルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルを添加する工程をさらに含む。さらに他の実施形態では、前記添加する工程は約0.5時間〜約2時間実施し、特定の実施形態では、約1.0〜約2.0モル当量のアルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルを添加する。特定の実施形態では、前記反応工程は約12時間実施する。さらに他の実施形態において、前記回収する工程は、これに限定されるものではないが、沈殿物の単離のための反応混合物の濾過、沈殿物の洗浄、および沈殿物の乾燥から選択した1若しくはそれ以上の工程を含み、特定の実施形態の工程は反応工程後に約25℃の温度に反応混合物を冷却する工程を含む。
【0019】
本発明の他の実施形態は、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの調製方法を含み、この方法は、化学式(1)の鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程であって、
【0020】
【化4】
【0021】
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル部分は1または2のハロゲン原子で置換できるものであり、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキノイル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル部分はフッ素、塩素、または臭素原子で置換できるものであり、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表すものであり、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素である、
前記加熱する工程と、
前記加熱溶液にプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加し、反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程とを含む。
【0022】
一部の実施形態では、プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択することができ、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択する。
【0023】
キラル精製した様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは、少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0024】
様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.99%以上である。
【0025】
特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。特定の他の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。いくつかの実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物を含み、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む。特定の実施形態では、前記混合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、鏡像異性的に富化した混合物は、(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを約1:4以上から(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを約4:1までの比率とする。
【0026】
いくつかの実施形態において、溶媒は、極性または有機溶媒、および水と混合した極性または有機溶媒から選択することができ、特定の実施形態において、溶媒はエタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択される。他の実施形態では、加熱および反応工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含む。さらに他の実施形態では、加熱、添加、および反応工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施する。さらに他の実施形態では、処理は、反応工程の後の約25℃の温度への反応混合物の冷却工程をさらに含むことができる。特定の実施形態では、添加工程は約2時間まで実行することができる。様々な実施形態はキラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの回収工程をさらに含み、いくつかの実施形態において、回収工程は、沈殿物を混合物から単離するための濾過、沈殿物の洗浄、および沈殿物の乾燥から選択した1若しくはそれ以上の工程を含む。特定の実施形態では、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加される。
【0027】
本発明の様々な実施形態は、、鏡像異性的に富化した2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよびハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を含む溶液を加熱し反応混合物を形成する前記加熱する工程と、前記反応混合物を反応させる工程と、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程とを含む方法によって調製したキラル精製2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。いくつかの実施形態において、プロピルスルホン酸は、これに限定されるものではないが、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択され、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択される。
【0028】
様々な実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0029】
様々な実施形態の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.99%以上である。
【0030】
特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの(6S)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールに対する比率は約2:1以上とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、溶媒は、有機溶媒と水との混合有機溶媒から選択され、特定の実施形態では、前記溶媒はエタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択することができる。
【0032】
様々な実施形態において、前記加熱および反応の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含み、いくつかの実施形態において、前記加熱および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施される。他の実施形態において、前記方法は、前記反応工程の後に約25℃の温度に反応混合物を冷却する工程をさらに含む。さらに他の実施形態において、前記方法は、加熱した鏡像異性的に富化した2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールにハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を添加する工程をさらに含み、特定の実施形態では、前記添加する工程は約2時間実行される。特定の実施形態において、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルが添加される。さらに他の実施形態では、前記反応工程は約12時間実行される。さらなる実施形態において、前記回収工程は、沈殿物を単離するための混合物の濾過、沈殿物の洗浄、および沈殿物の乾燥から選択した1若しくはそれ以上の工程を含む。
【0033】
本発明の他の様々な実施形態は、有機溶媒中での2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを含む溶液の加熱工程、反応混合物を形成するためのプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルの加熱溶液への添加工程、および約12時間までの反応混合物の反応工程を含むところの、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。いくつかの実施形態において、プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択することができ、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択される。
【0034】
実施形態の方法によって、少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋な、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが得られる。いくつかの実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0035】
いくつかの実施形態の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。特定の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、特定の他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.99%以上である。
【0036】
いくつかの実施形態において、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、(6R)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。他の実施形態において、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。さらに他の実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物であり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物とである。特定の実施形態において、混合物はラセミ混合物である。他の実施形態において、前記混合物は、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが約1:4以上から(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが約4:1までの比率とすることができる。
【0037】
実施形態の有機溶媒は、有機溶媒および水と混合した有機溶媒から選択され、いくつかの実施形態では、前記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択することができる。
【0038】
様々な実施形態において、加熱、添加、および反応の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含み、いくつかの実施形態において、前記加熱、添加、および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施される。特定の実施形態において、本方法は反応工程後に約25℃の温度への反応混合物の冷却工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加する工程を加えても良く、特定の実施形態における前記添加する工程は約2時間まで実施される。さらに他の実施形態において、本方法はキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程を含み、いくつかの実施形態において、前記回収する工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含む。
【0039】
本発明の実施形態はさらに、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含み、前記調性方法は、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを含む溶液を加熱する工程、加熱溶液にハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を約0.5時間〜約2時間ゆっくりと添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程、前記反応混合物を反応させる工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、特定の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0041】
様々な実施形態の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、特定の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.99%以上である。
【0042】
いくつかの実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。他の実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。特定の実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物であり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物である。そのような一部の実施形態において、前記混合物はラセミ混合物である。そのような他の実施形態において、前記混合物は(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが1:4以上から(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが4:1までの比率である。
【0043】
特定の実施形態では、加熱、反応、および冷却の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含む。他の実施形態では、回収工程は約25℃の温度までの混合物の冷却工程を含み、さらに他の実施形態では、回収工程は少なくとも約2時間の反応混合物の攪拌を含む。さらに他の実施形態では、前記回収工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程をさらに含むことができる。様々な実施形態では、加熱、添加、および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施することができ、特定の実施形態では、反応工程は約50℃〜約125℃の温度での約12時間までの反応混合物の攪拌工程を含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを含む溶液を加熱する工程、約0.5時間〜約2時間ゆっくりとハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を前記加熱溶液に添加し、反応混合物を形成させる前記添加する工程、前記反応混合物を反応させる工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程を含む処理によって調製した、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択され、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択される。
【0046】
様々な実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0047】
様々な他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.99%以上である。
【0048】
いくつかの実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物とすることができ、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよびS(+)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの混合物である。特定の実施形態では、混合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、混合物は(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを約4:1以上の比率である。
【0049】
様々な実施形態の有機溶媒は、有機溶媒および水と混合した有機溶媒から選択することができ、いくつかの実施形態の有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択される。
【0050】
特定の実施形態では、加熱、反応、および冷却の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含むことができ、いくつかの実施形態では、加熱、添加、および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施される。他の実施形態では、前記処理は、反応工程後、約25℃の温度まで反応混合物を冷却する工程をさらに含み、さらに他の実施形態では、前記添加工程は約2時間まで実施される。特定の実施形態では、前記回収工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含む。様々な実施形態では、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルが添加される。
【0051】
本発明のさらに他の実施形態は、有機溶媒中に鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを溶解させて溶液を形成する、前記溶解する工程、約50℃〜約125℃に溶液を加熱する工程、溶液への酸の添加し、反応混合物を形成するための工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの回収工程を含む、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、約1モル当量〜約4モル当量までの酸を添加することができる。他の実施形態では、回収工程は、約25℃の温度までの反応混合物の冷却工程、少なくとも2時間の反応混合物の攪拌工程、沈殿物を単離するための混合物の濾過工程、沈殿物の洗浄工程、および沈殿物の乾燥工程を含む1若しくはそれ以上の工程を含むことができる。
【0053】
本発明のさらなる実施形態は、そうした方法によって調製した鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。
【0054】
本発明のさらに他の実施形態は、溶液を形成するための鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの有機溶媒中での溶解工程、約50℃〜約125℃での溶液の加熱工程、反応混合物を形成するための溶液へのアキラルな塩の添加工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの回収工程を含む、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、約1モル当量〜約4モル当量のアキラルな塩を添加する。他の実施形態において、回収工程は、約25℃の温度まで反応混合物を冷却する工程と、少なくとも約2時間反応混合物を攪拌する工程、混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、及び沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含む。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、そうした処理によって調製した鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。
【0057】
本発明のよりさらなる実施形態は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩の有機溶媒中に溶解して溶液を形成する前記溶解する工程、約0℃〜約5℃の温度への溶液を冷却する工程、冷却溶液に濃塩酸および有機溶媒を添加する工程、および約0℃〜約5℃の温度において溶液を攪拌する工程を含む、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明の性質および利点の完全な理解のために、添付の図との関連を考慮に入れて、以下の詳細な説明を参照されたい。図中には:
【図1A】図1Aは、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンのアルキル化を図示した反応スキームを示すものである。
【図1B】図1Bは、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの鏡像異性的混合物からの1つの4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの鏡像異性的な精製を図示した反応スキームを示すものである。
【図2】図2は、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩および(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二フマレートの沈殿を図示した反応スキームを示すものである。
【図3A】図3Aは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを鏡像異性的に富化した(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物のHPLCの記録の例および対応するデータの表を示すものである。
【図3B】図3Bは、キラル精製した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCの記録の例および対応するデータの表を示すものである。
【図4A】図4Aは、例となるサンプル118のHPLCの記録を示すものである。
【図4B】図4Bは、例となるサンプル105のHPLCの記録を示すものである。
【図4C】図4Cは、例となるサンプル061のHPLCの記録を示すものである。
【図4D】図4Dは、例となるサンプル326AのHPLCの記録を示すものである。
【図5】図5は、SPEカラムから溶出したプロピルトシラートのピークの例となるUVスペクトルを示すものである。
【図6A】図6Aは、プロピルトシラート標準のHPLCの記録の例を示すものである。
【図6B】図6Bは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのサンプルの例となるHPLCの記録を示すものである。
【0059】
図7Aは、標準(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCの記録の例を示すものである。
【0060】
図7Bは、サンプルの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCの記録の例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本願明細書の組成物および方法を記述する前に、本発明は記述する特定の処理、組成物、または方法論に限定されるものではなく、変化可能であることが理解される。また、記述中に用いた専門用語は特定の変形例または実施形態を記述する目的のみであって本発明の範囲を限定するものではなく、添付の請求項によってのみ限定されることが理解される。
【0062】
本願明細書および添付の請求項中で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に異なることを述べていない限り、複数形への言及を含むものである。他に定義しない限り、本願明細書で用いる専門的および科学的用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本願明細書で記述するそれらと類似または同等のあらゆる方法を本発明の実施形態の実施または試験で用いることが可能であるが、ここでは好ましい方法を記述する。本願明細書で言及する全ての著作物および参考文献は参照によって組み込まれるものである。本願明細書中の記載はいずれも、本発明が、先行発明に基いて本開示を予期できるものとしての承認と解釈されるものではない。
【0063】
本願明細書で用いる場合、「約」という用語は、用いられている数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。従って、約50%とは、45%〜55%の範囲を意味する。
【0064】
「選択的な」または「選択的に」とは、続いて記述される構造、事象、または状況が生じるかもしれず、または生じないかもしれないこと、および前記事象が生じる事例および生じない事例を記述が含むことを意味すると解釈される。
【0065】
治療薬との関連において用いる場合の「投与」とは、標的組織の内へまたは上へ直接的に治療薬を投与すること、またはそれが標的とする組織へ治療上好ましい影響を与えるように患者へ治療薬を投与することを意味する。組成物の「投与」は、経口投与、注射、輸液、吸収、または他の既存技術と組み合わせたあらゆる方法によって達成することができる。そうした組合せ技術は、加熱、放射線療法、および超音波を含む。
【0066】
本願明細書で用いる場合、「標的」という用語は、機能または状態の不活性化、破裂、崩壊、または破壊または保存、維持、回復または改善のいずれかが望まれる物質に言及するものである。例えば、病変細胞、病原体、または感染性物質は疾患対象中の望ましくない物質と考えることができ、治療の標的となるであろう。
【0067】
「組織」という用語は、特定の機能の実行において一体となる、同様に特異化した細胞のあらゆる集合体に言及するものである。
【0068】
「改善する」という用語は、本発明を提供、適用、または投与する組織の外観、形状、特徴、および/または身体的な特性のいずれかを変化させることを表現するために用いる。「改善する」は、活性薬剤を投与した個体の全体の身体的状態にもまた言及することができる。例えば、活性薬剤の投与によって神経変性疾患の1若しくはそれ以上の症状が緩和されたならば、個体の全体の身体的状態は「改善した」ということができる。
【0069】
本願明細書で用いる場合、「治療薬」とは、患者の望ましくない状態または疾患を治療、闘病、緩和、または予防するために用いる薬剤を意味する。
【0070】
本願明細書で用いる場合、「治療的に有効な量」または「薬用量」は置換可能であり、研究者、獣医、医師、または他の臨床医による対象となる組織、システム、動物、個体、またはヒト中の生物学的または医学的反応を引き出す活性薬剤または医薬品または組成物の量に言及するものである。生物学的または医学的反応は、例えば、以下の1若しくはそれ以上を含むことができる:(1)疾患、状態、または障害の病状または症状を未だ経験または示していないが、疾患、状態、または障害にかかりやすい可能性がある個体の疾患、状態、または障害の予防、(2)疾患、状態、または障害の病状または症状を経験または示している個体の疾患、状態、または障害の抑制、または疾患、状態、または障害の病状および/または症状のさらなる進行の阻害、(3)疾患、状態、または障害の病状または症状を経験または示している個体の疾患、状態、または障害の改善、または個体が経験または示している病状および/または症状の克服。
【0071】
本願明細書で用いる場合、「神経保護剤」という用語は神経変性および/または神経細胞死の進行を予防、改善、または遅延することができるあらゆる薬剤に言及するものである。
【0072】
「治療」という用語は、特定の障害、疾患、または状態の予防法、特定の障害、疾患、または状態に関連する症状の緩和および/または特定の障害、疾患、または状態に関連する症状の予防を意味すると解釈される。
【0073】
「患者」という用語は、本願明細書で記述する化合物を投与するあらゆる生物に言及するものであり、これに限定されるものではないが、ヒト以外の哺乳類、霊長類、またはヒトを含む。そのような「患者」は特定の病状の兆候、症状、または病状を示していても示していなくても良い。
【0074】
本願明細書で用いる場合、「鏡像異性体」、「立体異性体」、および「光学異性体」という用語は置換して使用でき、非対称的またはキラル中心を含み、互いに鏡像的である分子に言及するものである。さらに、「鏡像異性体」、「立体異性体」、および「光学異性体」という用語は、所与の立体配置においてその鏡像と重ね合わせることが不可能な分子を記述するものである。
【0075】
本願明細書で用いる場合、「光学的に純粋」または「鏡像異性的に純粋」という用語は組成物が化合物の単一の光学異性体を少なくとも99.95%含むことを示すと解釈する。「鏡像異性的に富化した」という用語は、組成物の少なくとも51%が単一の光学異性体または鏡像異性体であることを示すと解釈する。本願明細書で用いる場合、「鏡像異性的濃縮」という用語は、他と比較して一方の鏡像異性体の量を増加させることに言及する。「ラセミ」混合物はキラル分子の(6R)および(6S)鏡像異性体の同量の混合物である。
【0076】
本開示を通して、「プラミペキソール」という用語は他に特定しない限り、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6S)鏡像異性体に言及するものである。
【0077】
「粉末化(trituration)」という用語は、化合物の凝固方法を示すものと解釈される。粉末化は、化合物が結晶性固体または沈殿物を形成するまでの、攪拌、打擲、または類する方法によって化合物をかき混ぜることを伴う。この固体は溶液中の残りの化合物が溶液から沈殿または結晶化する元として振る舞うことができる。
【0078】
「医薬品組成物」という用語は、組成物が哺乳類(例えば、限定するわけではないが、ヒト)中の特定の、有効な結果を調査し易い、少なくとも1つの活性成分を含む組成物を意味する。当業者は、必要に基づいた望ましい有効な結果を活性成分が有するか否かの決定に適切な技術を理解および評価することができる。医薬品組成物は、例えば、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの薬剤として許容可能な塩を活性成分として含む。あるいは、医薬品組成物は、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの薬剤として許容可能な塩を活性成分として含む。
【0079】
本開示の目的のために、「塩」は、これに限定されるものではないが、臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸、およびヨウ化水素酸塩といったハロゲン酸塩、例えば、硝酸、過塩素酸、硫酸、およびリン酸塩といった無機酸塩、例えば、スルホン酸塩(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸)、酢酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、粘液酸、パモン酸、パントテン酸、シュウ酸、およびマレイン酸塩といった有機酸塩、およびアスパラギン酸またはグルタミン酸塩といったアミノ酸塩を含む、あらゆる酸付加塩、好ましくは薬剤として許容可能な酸付加塩である。酸付加塩は一酸付加塩または、ジ−ハロゲン化水素酸、二硫酸、二リン酸、またはジ−有機酸塩などの二酸付加塩である。全ての場合において、酸付加塩は、本開示の産物の特定の光学異性体との相互作用または沈殿に対するあらゆる期待されるまたは既知の選択性に基づいて選択することのないアキラルな試薬として用いる。
【0080】
「薬剤として許容可能な塩」とは、適切な医学的判断の範囲において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応および類するもの無しに、患者の組織と接触して利用するのに適切であり、合理的なベネフィット/リスク比にふさわしい、それら塩を示すことを意味する。薬剤として許容可能な塩は、当該技術分野において周知のものである。例えば、Berge et al.(1977)J.Pharm.Sciences,Vol 6. 1−19は、薬剤として許容可能な塩を詳細に述べている。
【0081】
本願明細書で記述する本発明の実施形態は、鏡像異性的および/または化学的に純粋な化合物の生産の手順を対象とするものである。より具体的には、本発明の実施形態は、化合物のRおよびS立体異性体の鏡像異性的な混合物の1つの鏡像異性体を溶液から沈殿して、例えば、単純な濾過、または溶液からの固体または結晶性化合物の分離のための他の方法によって単離可能な粉末化工程を用いた、鏡像異性的および/または化学的に純粋な化合物の生産を対象とするものである。
【0082】
例えば、本発明の実施形態は、図1Aに提供した反応スキーム中に図示したワンポット二分子求核置換(SN2)反応合成法(one−pot bi−molecular nucleophilic substitution(SN2) reaction synthesis method)を用いた、鏡像異性的および化学的に純粋な化合物の調製方法を含む。図1Aでは、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(1)がアルキルスルホン酸(11)またはハロゲン化アルキル(12)、例えばスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルと反応して、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(2)の化合物を含むアミノアルキル、およびスルホン酸またはハロゲン化物塩を生成する。粉末化工程では、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの1つの鏡像異性体、例えば、(R)(+)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(3)を、反応の結果として生産されたアキラルなハロゲン化またはスルホン酸塩中での鏡像異性体の不溶性に基づいて沈殿して、単離可能である。他方の鏡像異性体は溶液中に残る。
【0083】
図1Bに図示した他の実施形態の例では、(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(3)といった鏡像異性的に純粋な化合物を、例えば(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(4)および(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(5)といった化合物のRおよびS鏡像異性体の混合物から調製することができる。この過程で、混合物への有機溶媒およびアキラルな塩または酸の添加の結果として粉末化が生じて、1つの鏡像異性体の酸付加塩の形成を引き起こす。塩としての(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(3)は、結果として得られる溶液中での鏡像異性体の不溶性に基づいて溶液から沈殿して、もう一方の鏡像異性体は溶液中に残る。そして沈殿した結晶性鏡像異性体は単離できる。
【0084】
図1Aに図示した反応は、特定の4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンに限定されない。例えば、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは化学式(1)のあらゆる4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンであり、
【0085】
【化5】
【0086】
式中、
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル核は1または2のハロゲン原子で置換できるものであり、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル核はフッ素、塩素、または臭素原子で置換できるものであり、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表し、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素である。
化学式1の4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは前記分子のあらゆるキラル中心における全ての鏡像異性体を包含する。
【0087】
図1Aに図示した反応は、反応に用いるハロゲン化アルキルまたはアルキルスルホン酸の種類によって限定されない。例えば、アルキルスルホン酸は化学式(11)のあらゆるアルキルスルホン酸であっても良く
【0088】
【化6】
【0089】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、フェニルアルキル基、および類するものであり、
Zは1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基および類するものであり、
さらに、ハロゲン化アルキルは化学式(12)のあらゆるハロゲン化アルキルであっても良く
【0090】
【化7】
【0091】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、フェニルアルキル基、および類するものであり、
Xは、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ化物を含むあらゆるハロゲン化物である。様々な実施形態では、R’はアルキル基であり、特定の実施形態ではn−プロピル基である。アルキルスルホン酸である特定の実施形態では、Z部分はスルホン酸トルエン(トシラート)またはメトキシスルホン酸とすることができる。例えば、様々な実施形態では、アルキルスルホン酸はn−プロピルトシラートとすることができる。ハロゲン化アルキルを用いる実施形態では、ハロゲン化アルキルは臭化n−プロピルまたは塩化n−プロピルである。アルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルは、ジアミンの約1.0〜約4.0モル当量に対応する量を添加することができる。
【0092】
これら上述したような実施形態の利点は、例えば、(1)1つの鏡像異性体、鏡像異性的化合物の合成および生成のための単純な試薬の利用、(2)単純な粉末化によって達成される光学的および化学的な純度の驚くべき向上、および(3)そのような処理が、ワンポット合成および精製反応として実行可能であることを含む。全体的に捉えた場合、上述の処理は鏡像異性的および化学的に純粋な化合物の生産において、より単純、より安全、およびより効率的である。さらに、医薬品化合物として、および疾患の治療での利用においてそうした化合物を安全および有効的とするのに十分なだけ、化合物を鏡像異性的および化学的に純粋にすることができる。
【0093】
以上に提供した方法は当該技術分野の既知のあらゆる鏡像異性的化合物の精製に用いることができるものの、本発明の特定の実施形態は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール、および特に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの生産および光学的精製を対象としたものである。本発明の方法によって生産した化合物の鏡像異性的および化学的に極めて高い純度は、幅広い個体および1日用量の範囲を有する医薬品組成物を可能とする。例えば、いくつかの実施形態では、本願明細書で具体化する方法を用いて生産した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、ほぼ100%鏡像異性的に純粋とすることができる。そうした化合物は(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのコンタミネーションをほとんどまたは全く含まず、高用量の(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの投与に伴うドーパミン作動性の副作用のリスク無しに高用量で投与することができる。従って、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを、神経変性疾患、またはミトコンドリア機能障害または酸化ストレスの増加に関連する、例えば、神経変性性認知症、神経変性性運動障害および運動失調、発作性疾患、運動ニューロン疾患、炎症性脱髄性疾患、および成人および小児におけるそれらに類するものの治療に用いることができる。本開示の組成物は、本願明細書に記載しない他の疾患の治療にもまた有効である可能性があり、本開示で提供したあらゆる記載は例示の目的のためのみのものであって、限定的ではない。
【0094】
以上に議論したような、鏡像異性的に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを含む組成物および医薬品組成物は、2007年4月10日出願の「Tetrahydrobenzothiazoles and Uses Thereof」と題する米国特許出願第11/773,642号、2007年12月14日出願の「Compositions and Methods of Using R(+) Pramipexole」と題する米国特許出願第11/957,157号、および2007年5月16日出願の「Pramipexole Formulations for the Treatment of Parkinson‘s Disease」と題する米国特許出願第11/749,497号にさらに開示されており、これらのそれぞれはこの参照によってその全体が本願明細書に組み込まれるものである。本発明の実施形態の実施または試験において、本願明細書に記述したものと類似または同等のあらゆる方法および材料を用いることが可能であるものの、本願明細書では好ましい方法、装置、および材料を詳細に記述する。
【0095】
(6R)または(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのいずれかの鏡像異性体の生産は、上述のバイモルキュラー求核置換(SN2)反応、およびアキラルな試薬中での化合物の不溶性に基づいた光学的精製を用いて実行する。より具体的には図2で、バイモルキュラー求核置換(SN2)反応を用いた鏡像異性的および化学的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの生産手順の実施形態の概要を図示している。最初の工程で、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール(7)をp−トルエンプロピルスルホン酸(プロピルトシラート)と混合して、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)および4−メチルベンゼンスルホン酸(p−トルエンスルホン酸(p−toluenesulfonic acid:p−TSA))を生産するために反応させる。理論によって拘束されることを望むものではないが、図2の反応スキーム中のジアミン、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、基質であるプロピルトシラートへの求核攻撃における求核試薬として振る舞い、トシラート基は以下に描写するように、優れた離脱基を提供するものであり、
【0096】
【化8】
【0097】
従って、本発明の一実施形態は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩(8)を二分子求核置換反応によって調製する手順である。第2の工程においては、いかなる二次的な試薬、例えば塩の添加などの添加工程なしに、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)の反応溶液から沈殿させる工程であって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)を鏡像異性的に精製する。従って、第3の工程では2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの結晶を単純に濾過することにより、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを単離する。
【0098】
本発明の方法のいくつかの実施形態は追加的な工程を含むものであっても良い。例えば、いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール遊離塩基(9)を形成するために、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを形成するようp−TSAを除去して、塩酸またはフマル酸を遊離塩基へ添加することで2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(14)または2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二フマレート(15)を形成する。他の実施形態では、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)へ塩酸を添加することで、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(14)を生産することができる。
【0099】
図2に図示した反応スキームでは、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールからの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの生産を示しているが、いくつかの実施形態では、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを生産するために(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを用いて同様の反応を実行することができる。他の実施形態では、(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を出発原料として用いて、(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を結果として得ることもできる。特定の実施形態では、(6R)および(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物を1つの鏡像異性体に対して鏡像異性的に富化したものを出発原料として用いる。さらに、図2中に図示した反応は、ハロゲン化n−プロピル、またはハロゲン化n−プロピルおよびスルホン酸n−プロピルの混合物として実行することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、処理の第1工程は、加熱工程中に溶液または溶解液を形成するためのジアミンの加熱、および追加工程中の例えば約0.5時間〜約5時間の間にわたるハロゲン化n−プロピルまたはスルホン酸n−プロピルのゆっくりとした添加の追加工程を含むことができる。他の実施形態では、ハロゲン化n−プロピルまたはスルホン酸n−プロピルを2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールへ完全に添加した後に、反応工程中に、例えば約1時間〜約12時間の範囲の追加的な時間だけ加熱条件下で反応を継続することができる。特定の実施形態では、反応混合物を、例えば上述の1若しくはそれ以上の工程の間に攪拌によって混合することができ、または反応混合物は加熱工程から反応工程まで継続的に攪拌することができる。反応工程に続いて、反応混合物を冷却して、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを単離および精製することができる。
【0101】
以上に例示したような実施形態では、ジアミンである2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールはラセミ混合物とする、またはSまたはR鏡像異性体のいずれかを鏡像異性的に富化したものとすることができ、生成した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは主要な鏡像異性体を光学的に濃縮することができる。例えば、(6R)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを生産する反応中の出発原料として用いる混合物中の主要な鏡像異性体であろう。様々な実施形態では、ジアミンのRのSに対するあらゆる比率を用いることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ジアミンはラセミ混合物(すなわち、R:Sは約50:50)であり、そうした実施形態では、反応産物は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのラセミ混合物(すなわち、約50:50)であることが期待されるであろう。他の実施形態では、ジアミンは一方の立体異性体が他方より過剰、例えば、R:Sが約60:40である混合物中で提供することができる。そうした実施形態では、反応によって、RがSに対して約60:40の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を生じることが期待されるであろう。
【0102】
反応は溶解物中、または溶媒または溶媒の混合物中で実行することができ、本願明細書で具体化する方法は、反応中に存在する溶媒の種類または数によって限定されるものではない。ジアミンおよびハロゲン化アルキルまたはアルキルスルホン酸を溶解可能な、当該技術分野で既知のあらゆる溶媒または溶媒の混合物を用いることができる。例えば、様々な実施形態では、溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、氷酢酸、ピリジン、ジオキサン、エタノール、1−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、またはそれらの組合せ、例えば、ジオキサン/水、エタノール/水、テトラヒドロフラン/水、および類するものとすることができる。有機溶媒および水の組合せを用いる実施形態では、有機溶媒は0〜10容積パーセントの含水比を有する。好ましくは、本発明の実施に用いる溶媒は標準的なACSグレード溶媒である。溶媒の選択はSN2反応の反応速度を促進する。いくつかの実施形態では、1若しくはそれ以上の塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、tert−ブチルオキシドカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、および類するものを反応混合物へ追加的に添加することができ、それにより反応効率をさらに促進できる。添加する場合、塩基は、溶媒に基づいて約0.5〜約3.0当量の濃度で存在する。さらに他の実施形態では、溶解物または溶媒中にアルキル化剤を提供できる。アルキル化剤は当該技術分野で周知のものであり、本発明の実施形態中で有用である。例えば、アルキル化剤は、これに限定されるものではないが、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、臭化エチル、硫酸ジエチル、ヨウ化アリル、臭化ベンジル、臭化2−フェニルエチル、およびp−トルエンスルホン酸メチルを含む。
【0103】
反応は環境条件下で実行することができる。しかし、反応温度は実施形態によって約−10℃〜約50℃の間、および特定の実施形態では0℃〜30℃の間で変化させることができる。
【0104】
さらなる実施形態では、溶解したジアミンを反応中に加熱および混合または攪拌することができる。例えば、様々な実施形態は、溶解ジアミンの加熱、いくつかの実施形態では混合物を形成するために溶媒中で溶解するスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの添加、および混合物の攪拌の工程を含む。他の実施形態では、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基をジアミンを含む溶液に添加することができる。スルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを溶媒中に溶解して、次にジアミン/ジイソプロピルエチルアミン溶液へ添加して、この反応混合物を攪拌する。そのような実施形態の反応温度は反応混合物の沸点以下、より具体的には、反応混合物の溶媒の沸点以下である。例えば、いくつかの実施形態では、昇温は約125℃以下である。他では、昇温は約100℃以下であり、さらに他の一実施形態では約95℃以下、およびさらに他では約75℃以下である。従って、反応温度は、いくつかの実施形態では約50℃〜約125℃の範囲であり、他の実施形態では約55℃〜約100℃、さらに他の実施形態では約60℃〜約95℃、さらに他の実施形態では約60℃〜約75℃、および特定の実施形態では、約55℃〜約65℃である。
【0105】
反応時間は実施形態中で変化させることができ、例えば、反応物の固有性、溶媒システム、および選択した温度に依存する。例えば、いくつかの実施形態では、反応時間は約0.5時間〜約12時間とすることができる。他の実施形態では、反応時間は約1時間〜約8時間、および特定の実施形態では、反応時間は約4時間とすることができる。反応時間は、実質的に全てのジアミンがアルキル化するのに十分な時間を提供するよう選択する。特定の実施形態では、反応時間は、形成された2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが反応溶液から沈殿して肉眼視できる結晶を形成するのに十分な時間をさらに提供する。
【0106】
本発明の実施形態は、反応後に反応物をおよそ室温(25℃)の温度まで冷却する工程をさらに含む。そうした実施形態では、反応物は連続的な攪拌をしながら、または攪拌せずにあらゆる量の時間だけ冷却する。例えば、いくつかの実施形態では、反応物は攪拌しながら約0.5〜約4時間若しくはそれ以上冷却し、他の実施形態では、反応物は攪拌しながら約2時間冷却する。
【0107】
より具体的な実施形態は、以下の工程を含むことができる:ジアミンのジメチルホルムアミドへの溶解工程、溶解したジアミンの上昇した温度への加熱工程、反応混合物を形成するためのジメチルホルムアミドへ溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの添加工程、および約4時間の反応混合物の攪拌工程。他の一実施形態では、工程は、ジアミンのジメチルホルムアミドへの溶解工程、溶解ジアミンの上昇した温度への加熱工程、加熱した溶解ジアミンへの、10倍量のジメチルホルムアミドに溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの1.25モル当量および1.25モル当量のジイソプロピルエチルアミンの、反応物を約4時間攪拌しながらのゆっくりとした添加工程を含むことができる。さらに他の一実施形態では、ジメチルホルムアミドへ溶解したジアミンへ1.25モル当量のジイソプロピルエチルアミンを添加して、約4時間攪拌しながらこの混合物へジメチルホルムアミドに溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを添加する。
【0108】
合成に続いて、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの鏡像異性的に純粋な異性体を粉末化工程を用いて回収し、それにより主要な異性体を沈殿結晶として単離して、量的に少ない方の立体異性体が溶液中に残る。理論に拘束されることを望むものではないが、p−TSAなどのアキラルな試薬中の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物の不溶性は、RまたはS鏡像異性体に依存せず、回収される同位体の純度は反応溶液の量および主要な同位体の最初の比率のみに依存するであろう。従って、上述したような実施形態では、鏡像異性的に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン(R:Sは100:0)の収率は、RのSに対するジアミンの比率が60:40として提供される反応によって製造できる。
【0109】
上述の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの処理の予期しなかった利点は、極性有機溶媒中での2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸塩またはハロゲン化物塩の限られた溶解性であり、それによって2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物は一旦形成されると沈殿して、最終合成産物である2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが反応混合物中から精製されることになる。さらなる実施形態では、図2に図示したような置換反応が、十分にアキラルな塩、p−TSAの濃度が2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの不溶化および結晶化を、例えば追加的なアキラルな塩などの追加的な試薬の添加なしに、反応溶液中で引き起こす。
【0110】
以上に具体化し、図2に記述した反応は、ワンポット合成法による極めて純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを提供する。例えば、処理の実施形態において、調製する最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は、追加的な精製工程なしに少なくとも97%、98%、および100%までになり、特定の実施形態では、追加的な精製工程なしに化学的純度を99.90%〜100%とすることができる。さらに他の実施形態では、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは、例えばp−TSAなどのアキラルな塩が実質的に無い。例えば、いくつかの実施形態では、最終合成産物のアキラルな塩濃度は3%以下、他では最終合成産物のアキラルな塩濃度は1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、などとなる。特定の実施形態では、アキラルな塩濃度は1.5ppm以下〜25ppb以下、または0.00015%以下〜0.0000025%以下にできる。理論に拘束されることを望むものではないが、ワンポット法における化学的に高い純度の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの生産が可能となることは、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの生産において重大な進歩を示しているであろう。さらに、そのような純度は、既存の方法と比較してより高効率の医薬品グレードの2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを提供するであろう。
【0111】
様々な実施形態では、Rジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したR鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.6%以上である。同様に、様々な他の実施形態では、Sジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したS鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.6%以上である。いくつかの実施形態では、Rジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したR鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.8%以上である。同様に、いくつかの他の実施形態では、Sジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したS鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.8%以上である。特定の実施形態では、Rジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したR鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.9%以上である。同様に、特定の他の実施形態では、Sジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したS鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.9%以上である。
【0112】
理論に拘束されることを望むものではないが、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの可溶性は、合成および精製処理の粉末化工程において同様である。例えば、もし(6R)ジアミンを90グラム、および(6S)ジアミンを10グラムで合成処理を実行し、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物の可溶性はそれぞれの鏡像異性体に対して10グラムである場合、80グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン産物、および0グラムの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン産物が沈殿するであろう(ジアミンからの化学変換が100%であり、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールになる際に分子量の変化がないものと仮定したならば)。すなわち、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのそれぞれの鏡像異性体の10グラムが溶液中へ溶解することが期待される。これにより、(6R)鏡像異性体に対して鏡像異性的に100%純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物が得られるであろう。合成処理に対する出発原料の反対の比率(90グラムの(6S)ジアミン、および10グラムの(6R)ジアミン)は、90グラムの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン、および10グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの反応産物を生成する。この反応産物の混合物から、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6S)鏡像異性体が80グラム、および(6R)鏡像異性体が0グラム沈殿することが期待され、(6S)鏡像異性体に対して鏡像異性的に100%純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが得られるであろう。従って、反応に用いる量が、最終的な収率および鏡像異性的な純度に対して大きな影響力を有する可能性がある。すなわち、量が多すぎると、より多くの2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが溶液中へ溶解するため、収率が減少し(しかし、鏡像異性的な純度は増加する)、量が少なすぎると、より少ない2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが溶液中へ溶解するため、収率が増加する(しかし、鏡像異性的な純度は減少する)。
【0113】
本発明の他の実施形態は、粉末化工程を含む、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物からの、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの精製方法を対象としている。いくつかの実施形態では、精製方法に用いる(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を、本願明細書で上述したように調製する。他の実施形態では、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物は、他の方法を用いる、または市販の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物から得ることができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、粉末化工程は、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む溶液へのアキラルな塩の添加工程を含むことができる。上述した通り、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む溶液へのアキラルな塩の添加は、より高い濃度を有する鏡像異性体を不溶性にして溶液中での結晶形成を引き起こす。いくつかの実施形態では、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む溶液を、例えば、約50℃〜約125℃、約55℃〜約100℃、約60℃〜約95℃、または約60℃〜約75℃といった上昇した温度まで加熱して、アキラルな塩を溶液へ添加することができる。この溶液は、次に上昇した温度からおよそ室温までゆっくりと冷却する。例えば一実施形態では、反応物は約25℃/時間以下の速度で冷却する。他の一実施形態では、反応物はゆっくりと冷却して、反応溶液は少なくとも追加的に約2時間は攪拌する。追加的な攪拌に必要とされる冷却速度および時間は、アキラルな塩の選択に伴って変化し、当業者は容易に判断できる。
【0115】
結晶質の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは次に、単離、洗浄および乾燥して、様々な実施形態では、少なくとも97%、および、いくつかの実施形態では98%〜100%の化学的純度を有する鏡像異性的に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを得る結果となる。いくつかの実施形態では、アキラルな塩は、本願明細書で上述したあらゆるアキラルな塩、または当該技術分野で既知の他のあらゆるアキラルな塩とすることができる。同様に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの溶液の溶媒は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法に関連して上述したあらゆる溶媒とすることができる。(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのいずれかは、そうした実施形態の方法を用いて精製することができる。しかし、特定の実施形態では、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを精製する。
【0116】
他の実施形態では、鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを、アキラルな試薬中での鏡像異性体の不溶性に基づいて、酸を添加した溶液から粉末化することができる。この方法の様々な実施形態は、例えば、約50℃〜約125℃、約55℃〜約100℃、約60℃〜約95℃、または約60℃〜約75℃に上昇した温度の溶液中で鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの溶解工程、溶解2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールへの酸の添加工程、攪拌しながらの反応物のおよそ室温(25℃)までの冷却工程、鏡像異性的に純粋な結晶の形成を許すためのおよそ室温での延長した時間の冷却反応混合物の攪拌工程、および鏡像異性的に純粋な(6R)または(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの反応混合物からの回収工程を含むことができる。他の実施形態では、鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは上昇した温度の溶媒中へ溶解して、約0.5当量〜約2.05当量の酸を溶液に添加して、溶液を室温まで冷却する。冷却溶液は次に延長した時間だけ攪拌して、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する。特定の実施形態では、選択した酸はp−トルエンスルホン酸(p−toluenesulfonic acid:p−TSA)、溶媒はエタノールである。他の実施形態では、酸を添加するときの溶液温度は約125℃以下、約100℃以下、または約75℃以下であり、特定の実施形態では、温度は約65℃〜85℃である。冷却はゆっくりと、例えば、1時間当たり約25℃の速度で行い、25℃に到達した後に少なくとも約2時間は溶液を攪拌する。反応に必要な時間は反応物の固有性、溶媒システム、および選択した温度によって変化し、当業者によって容易に判断できる。反応量は、光学的な精製の度合い、および光学的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの全体的な収率にもさらに影響する。それら量は当業者によって容易に理解および判断できるであろう。本発明の実施を可能とする具体的な時間、温度、および量は実施例において与える。
【0117】
用いる溶媒は実施形態において変化させることができ、例えば、アセトニトリル、アセトン、エタノール、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、およびそれらの組合せといった有機溶媒とすることができる。特定の実施形態では、有機溶媒はエタノールである。
【0118】
様々な実施形態の酸は:例えば、臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸、およびヨウ化水素酸といったハロゲン酸、例えば、硝酸、過塩素酸、硫酸、およびリン酸といった無機酸、例えば、スルホン酸(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸)、酢酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、粘液酸、パモン酸、パントテン酸、シュウ酸、およびマレイン酸といった有機酸、およびアスパラギン酸またはグルタミン酸といったアミノ酸を含む。酸は一酸または、ジ−ハロゲン化水素酸、二硫酸、二リン酸、またはジ有機酸といった二酸とすることができる。実施形態の酸は、単離する2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの特定の光学異性体との反応、または沈殿に対するいかなる期待されるまたは既知の選好に基づいても選択されることのないアキラルな試薬として用いる。例えば、一実施形態では、選択する酸はp−トルエンスルホン酸である。添加する酸の量は変化し、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの約1モル当量〜4モル当量を提供する。
【0119】
不溶性2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは当該技術分野で既知のあらゆる方法によって反応溶液から分離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは単純な濾過によって収集する。溶液からの固体の濾過方法が多くあり、本発明の実施形態ではそれらあらゆる方法を使用することができる。他の実施形態では、不溶性2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは遠心分離によって単離する。やはり、そうした方法は当該技術分野で周知のものであり、そうしたあらゆる方法を本発明の様々な実施形態で用いることができる。不溶結晶性2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは次に洗浄して、あらゆる余分な溶媒、スルホン酸またはハロゲン化物塩、または2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの可溶性の鏡像異性体を、使用できるあらゆる方法を用いて結晶から除去する。例えば、一実施形態では、アルコールまたはヘプタンなどの揮発性溶媒中で沈殿材料を洗浄して、続いて真空乾燥する。
【0120】
上述の方法を用いて調製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの鏡像異性体は、出発原料の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの一方または他方の鏡像異性体を富化した混合物から精製できる。例えば、いくつかの実施形態では、出発混合物はRまたはS鏡像異性体のいずれかを少なくとも55%またはそれ以上含み、他では、出発混合物はRまたはS鏡像異性体のいずれかを少なくとも70%またはそれ以上含む。さらに他の実施形態では、出発原料はRまたはS鏡像異性体のいずれかを約90%以上含む。特定の実施形態では、出発混合物は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを富化したものである。
【0121】
理論に拘束されることを望むものではないが、アキラルな塩または酸溶液中での2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの光学異性体の相対的な可溶性によって、単純な粉末化工程による比較的容易な回収方法を用いることによる予期しなかった鏡像異性的および化学的な精製が可能となる。上述の精製方法の結果によって促進された濃縮は、光学的純度を達成できる結果となる。例えば、様々な実施形態では、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物は99%の光学的純度またはそれ以上、99.5%の光学的純度またはそれ以上、99.8%の光学的純度またはそれ以上、および特定の実施形態では、99.9%の光学的純度またはそれ以上とすることができる。さらに他の実施形態では、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの光学的純度は99.95%またはそれ以上、または99.99%またはそれ以上までにさえできる。特定の実施形態では、光学的純度は100%にできる。
【0122】
本願明細書で開示する処理はいくつかの利点を有する。第1に、従来技術で用いる還元的アミノ化のスキームに共通し、酸性化によってボランおよび水素に急速に分解する水素化ホウ素ナトリウムなどのボラン試薬の利用を回避する。第2に、還元的アミノ化のスキームは、まずアミドを形成して、続いて還元するという2工程の手順の利用を伴う。本開示の方法は、ワンポット法による合成および精製手順であり、従ってより安全、容易、およびより経済的な合成法を提供する。第3に、合成中に鏡像異性的な純度が減少または完全に失われる従来技術とは対照的に、本開示のSN2反応機構のアルキル化の手順中ではキラリティーが失われることがない。最後に、求核置換反応の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物は反応混合物から沈殿する。このことは、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのp−TSA塩の形態について特に当てはまるものである。これは本開示の方法の予期せぬ利点であり、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物の鏡像異性的および化学的な濃縮または精製のユニークな方法を提供する。
【0123】
本発明の追加的な実施形態は、図2中に図示したような、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩または2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基のいずれかの塩酸(hydrochloric acid:HCl)塩への変換を含む。例えば、いくつかの実施形態では、固体の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)を、エタノールなどのアルコール中へ再度溶解して、混合物を連続的に攪拌しながら約0と約5℃との間まで冷却する。濃塩酸、続いてメチルtert−ブチルエーテル(methyl tert−butyl ether:MTBE)などの溶媒を添加して、不溶性の4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩の結晶(10)が形成されるまでまたはまで、約0と約5℃との間で約0.5〜約3時間、混合物を攪拌する。反応混合物は次に濾過して、MTBE/アルコール溶液などの不活性溶媒中で洗浄し、真空下で乾燥した。この合成の詳細な実施例は実施例12にある。
【0124】
他の一実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)を、HClおよび酢酸イソプロピル(isopropyl acetate:IPAC)の濃縮溶液を用いてHCl塩に変換する。そうした実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)はIPACに溶解して約15℃に冷却した。次に約0.5時間〜3時間かけてスラリーへHCl(気体)の泡を注入して2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(10)を生成し、混合物を濾過して、例えばIPACなどの不活性溶媒で洗浄し、室温の真空下で乾燥した。この合成の詳細な実施例は実施例13にある。
【0125】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩は、あるいは図2に図示したように2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態へ変換することができる。例えば、一実施形態では、p−TSA 2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩(8)をジクロロメタン(dichloromethane:DCM)および水へ溶解する。溶液は次にNaOHを用いて約11〜12のpHにして、2相を形成する結果となる。水相は2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含み、これをDCMで抽出して、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate:MgSO4)上で乾燥して、セライト(登録商標)で濾過して富化した。富化した残留物はMTBE中に再度溶解して、スラリーとして数時間攪拌した。次に固体を濾過して、MTBEで洗浄し、約35℃の温度の真空下で乾燥した。最終産物は2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基(9)である。この合成の詳細な実施例は実施例14にある。
【0126】
他の一実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)を、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのp−TSA塩の水への溶解による2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態に変換して、溶液を約10℃の温度まで冷却する。pHを増加するために溶液へNaOHを添加して、溶液を希釈してDCM中で複数回抽出した。混合した有機相を次に洗浄して、MgSO4上で乾燥し、乾燥するまで濾過および濃縮をした。この合成の詳細な実施例は実施例15にある。
【0127】
いくつかの実施形態では、IPAC中の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール遊離塩基の冷却溶液へのHCl気体のバブリングによって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態を2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(9)へ変換する。あるいは、他の実施形態では、室温中でのオーバーナイトの濃塩酸との混合によって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態(9)を2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(10)へ変換する。そういった方法の詳細な実施例は、それぞれ実施例16および17にある。さらに他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態(9)を、約1〜4モル当量のフマル酸の添加によって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−フマル酸塩(11)へ変換する。
【0128】
本開示の方法は時間をあまり必要とせず、容易に入手可能な出発原料を用い、有害または取り扱いの難しい試薬の利用を必要としない。本発明の一部として開示した方法の複数段階のそれぞれは、収率が高く、化学的および鏡像異性的に高い純度の産物を得られる。さらに、本願明細書で開示する手順は工業的規模での製造規模とすることができる。そのため、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを1kgまたはそれ以上、10kgまたはそれ以上、25kgまたはそれ以上の量で、大規模な医薬品用途の必要性を満たすのに必要なだけ製造することができる。
【0129】
本発明の実施形態は、本願明細書で開示する方法によって生産する、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6R)または(6S)のいずれかの純粋な鏡像異性体ともまた関連する。従って、本発明の一実施形態は、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの有機溶媒中への溶解工程、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩を生成するのに十分な条件下での、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールとスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルとの反応工程、および鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩の回収工程を含む処理によって調製した、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩である。
【0130】
本発明は上述した特定の実施形態に限定されると見なすべきではなく、添付の請求項によって適正に提示する発明の全ての態様を対象とすると理解されるべきである。様々な修正、同等な処理、および本発明を適用可能な多数の構造は、本願明細書の検討に関して本発明が対象とする当業者にとって容易で明白なものであろう。請求項はそうした修正および装置を対象とするべく意図している。本発明および、その方法および用いた材料を説明するための実施形態は、以下の非限定的な実施例への参照によってさらに理解が深まるであろう。
【0131】
実施例
上述のSN2置換反応を用いて2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを調製した。以下に述べる例となる反応条件A、B、およびC下で反応を行った。本開示の実施形態であるいくつかの条件のそれぞれを用いた合成例の結果を表1に記載した。本開示の条件A、B、およびCを用いた2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのいくつかの合成例を実施例1〜5に詳述し、結果を表1に示した。
【0132】
A:有機溶媒中に溶解したジアミンを、連続的に攪拌しながら約125℃以下の反応温度まで加熱した。ジイソプロピルエチルアミンおよび有機溶媒中に溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの溶液を、溶解して加熱したジアミンに数時間までかけてゆっくりと添加して混合物を形成し、この反応混合物を約4時間までの追加的な時間、反応温度にて攪拌した。
【0133】
B:有機溶媒中に溶解したジアミンを連続的に攪拌しながら約125℃以下の反応温度まで加熱した。ジメチルホルムアミドへ溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの溶液を数時間までかけてゆっくりと添加して混合物を形成し、この反応混合物を約4時間までの追加的な時間、反応温度にて攪拌した。
【0134】
C:ジアミンをジメチルホルムアミド中へ溶解して、連続的に攪拌しながら約125℃以下まで加熱した。ジメチルホルムアミドおよびジイソプロピルエチルアミン中にスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを溶解した溶液を、数時間までの間ゆっくりと加熱ジアミンへ添加して、反応混合物を形成した。この反応混合物をさらに約4時間まで反応温度にて攪拌した。
【0135】
あるいは、ジメチルホルムアミド中に溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを含む溶液の添加前に、ジイソプロピルエチルアミンを有機溶媒中に溶解した加熱ジアミンへ添加することができる。以上のように、スルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピル/ジメチルホルムアミド溶液は連続的に攪拌しながら数時間までかけてゆっくりと添加し、形成した反応混合物は約4時間まで反応温度にて攪拌する。
【0136】
それら産物は、高圧液体クロマトグラフィー(high pressure liquid chromatography:HPLC)によって、化学的および鏡像異性的な純度を解析した。産物の構造が2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールであることを確認するために、1H NMRおよび13C NMRもまた用いる。
【実施例1】
【0137】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件A
2.0リットルの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および500ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、45グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン、続いて750mlのn−プロパノールを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を95℃で15分以上加熱して透明な溶液を生成した。250ml n−プロパノール中の74グラムのプロピルトシラートおよび60mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を、4時間以上連続的に攪拌しながら2.0リットルのフラスコへ1滴ずつ添加した。95℃で追加的に8時間攪拌しながら反応を続けて、その後に溶液を室温へ移して、追加的に4時間攪拌を続けた。
【0138】
沈降物質を濾過によって収集して、それぞれ100mlの試薬グレードのアルコールを用いて3回洗浄した。アルコール洗浄した沈降ケーキを次に100mlのヘプタンで洗浄して、高真空下で2時間乾燥した。
【0139】
乾燥産物の最終重量は53.2グラム、52.2%の収率を示した。HPLCを用いて、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は98.2%、および鏡像異性的な純度は99.5%以上であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた。
【実施例2】
【0140】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件A
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて45mlのn−プロパノールを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を95℃で15分以上加熱して透明な溶液を生成した。16mlのn−プロパノール中の8.2グラムのプロピルトシラートおよび6.7mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を、2時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。95℃で追加的に6時間攪拌しながら反応を続けて、その後に溶液を室温へ移して、追加的に4時間攪拌を続けた。
【0141】
沈降物質を濾過によって収集して、それぞれ10mlの試薬グレードのアルコールを用いて3回洗浄した。アルコール洗浄した沈降ケーキを次に10mlのヘプタンで洗浄して、高真空下で2時間乾燥した。
【0142】
乾燥産物の最終重量は4.99グラム、44.2%の収率を示した。HPLCを用いて、(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は98.0%、および鏡像異性的な純度は99.6%以上であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例3】
【0143】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのラセミ混合物のp−TSA塩の調製:
条件A
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および100ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムの2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物、続いて80mlのn−プロパノールを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を95℃で15分以上加熱して透明な溶液を生成した。28mlのn−プロパノール中の10.1グラムのプロピルトシラートおよび8.2mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を、2時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。95℃で追加的に6時間攪拌しながら反応を続けて、その後に溶液を室温へ移して、追加的に6時間攪拌を続けた。
【0144】
沈降物質を濾過によって収集して、それぞれ25mlの試薬グレードのアルコールを用いて2回洗浄した。アルコール洗浄した沈降ケーキを次に25mlのヘプタンで洗浄して、高真空下で1時間乾燥した。
【0145】
乾燥産物の最終重量は5.12グラム、45%の収率を示した。HPLCを用いて、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物の化学的純度は97.1%、および鏡像異性的な純度は(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの1:1混合物であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例4】
【0146】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件B
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムの(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて50mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。6.3グラムのプロピルトシラートを、6時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
室温で追加的に12時間攪拌しながら反応を続けた。溶液を20ml MTBEで希釈し、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して、20ml MTBEで、続いてそれぞれ20mlのエタノールで2回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0147】
乾燥産物の最終重量は4.6グラム、40%の収率を示した。HPLCを用いて、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの化学的純度は94.9%、および鏡像異性的な純度は99.6%以上であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例5】
【0148】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件B
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ10グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて100mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。20ml DMF中の16.4グラムのプロピルトシラートの溶液を、追加漏斗へ注入した。この溶液を、1.5時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
【0149】
75℃で追加的に12時間攪拌しながら反応を続け、その後溶液を室温へ移して、追加的に7時間攪拌を続けた。溶液を100ml MTBEで希釈し、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して100ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ50mlのエタノールで2回洗浄して、50mlのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0150】
乾燥産物の最終重量は9.81グラム、43.3%の収率を示した。HPLCを用いて、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの化学的純度は99.4%、および鏡像異性的な純度は99.8%以上であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例6】
【0151】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのラセミ混合物のp−TSA塩の調製:
条件B
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムのラセミ体−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて50mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。連続的に攪拌しながら9.5グラムを250mlフラスコへ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
【0152】
75℃で追加的に4時間攪拌しながら反応を続け、その後溶液を室温へ移して、追加的に12時間攪拌を続けた。溶液を20ml MTBEで希釈し、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して50ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ25mlのエタノールで3回洗浄して、沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0153】
乾燥産物の最終重量は2.9グラム、25.6%の収率を示した。HPLCを用いて、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ体の化学的純度は98.3%、および鏡像異性的な純度は(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの1:1混合物を示すことを決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例7】
【0154】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件C
12Lの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および500ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、250グラムの(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて2Lのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃の温度まで加熱した。500ml DMF中の386.6グラムのプロピルトシラートおよび322mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を2.0時間以上かけて12Lフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0155】
反応を65℃で追加的に5時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、オーバーナイトで攪拌した。溶液を2L MTBEで希釈して、追加的に0.5時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して500ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ500mlの試薬アルコールで3回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0156】
乾燥産物の最終重量は317.6グラム、56%の収率を示した。HPLCを用いて、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は98.4%、および鏡像異性的な純度は99.8%以上であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた:1H NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ8.5(br.s,2H),7.5(d,2H)71.2(d,1H),6.8(s,2H),3.4(m,1H),2.95(m,3H),2.6(m,2H,DMSOピークと融合),2.3(s,3H),2.15(m,1H),1.8(m,1H),1.55(m,2H),0.9(t,3H)、13C NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ167.0,145.5,144.6,138.4,128.6,125.8,110.7,53.9,46.5,25.8,25.6,24.5,21.2,19.6,11.3.
【実施例8】
【0157】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件C
500mlの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および100ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、20グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて180mlのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃の温度まで加熱した。40ml DMF中の35.5グラムのプロピルトシラートおよび32.8mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を2.0時間以上かけて500mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0158】
反応を65℃で追加的に10時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、6時間攪拌した。溶液を220ml MTBEで希釈して、追加的に0.5時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して50ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ50mlの試薬アルコールで3回洗浄し、75mlのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0159】
乾燥産物の最終重量は25.4グラム、56%の収率を示した。HPLCを用いて、(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は99.4%、および鏡像異性的な純度は99.7%以上であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた:1H NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ8.5(br.s,2H),7.5(d,2H)71.2(d,1H),6.8(s,2H),3.4(m,1H),2.95(m,3H),2.6(m,2H,DMSOピークと融合),2.3(s,3H),2.15(m,1H),1.8(m,1H),1.55(m,2H),0.9(t,3H).
【実施例9】
【0160】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのラセミ混合物のp−TSA塩の調製:
条件C
250mlの三つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、5グラムのラセミ体−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて45mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃の温度まで加熱した。10ml DMF中の8.86グラムのプロピルトシラートおよび8.2mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を連続的に攪拌しながら2時間以上かけて250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
【0161】
65℃で追加的に6時間攪拌しながら反応を続けて、その後溶液を室温へ移した。溶液を70ml MTBEで希釈して、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して15ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ15mlのエタノールで2回洗浄し、15mlのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0162】
乾燥産物の最終重量は6.02グラム、53.1%の収率を示した。HPLCを用いて、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物の化学的純度は99.2%、および鏡像異性的な純度は(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの1:1混合物を示すことを決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例10】
【0163】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件E
1000mlの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および250ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、25グラムの(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて200mlのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。50ml DMF中の39.5グラムのプロピルトシラートおよび32.5mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を1.0時間以上かけて1000mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0164】
反応を75℃で追加的に5時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、オーバーナイトで攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して100ml MTBEで2回洗浄し、続いてそれぞれ75mlの試薬アルコールで3回洗浄して、125mlのヘプタンで1回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0165】
反応の結果は47%の収率となった。HPLCを用いて、鏡像異性的な純度は99.8%であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた。
【実施例11】
【0166】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件E
1000mlの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および250ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、25グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて200mlのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。50ml DMF中の39.5グラムのプロピルトシラートおよび32.5mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を2.0時間以上かけて1000mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0167】
反応を65℃で追加的に5時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、オーバーナイトで攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して10ml MTBEで2回洗浄し、続いてそれぞれ75mlの試薬アルコールで3回洗浄して、125mlのヘプタンで1回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0168】
反応の結果は47%の収率となった。HPLCを用いて、鏡像異性的な純度は99.8%であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた。
【0169】
【表1】
【0170】
実施例11
出発原料中の濃縮種に基づいて(6R)または(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを調製するために、(6R)の(6S)に対する比率:80:20、20:80、85:15、15:85、90:10:10:90、95:5、および5:95を有する(6R)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを鏡像異性的に富化した混合物の様々な比率のものを用いた。以下の反応条件を用いた:
F:2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール混合物を、10倍量のDMFおよび1.25モル当量のプロピルトシラートに65〜67℃で溶解した。反応物は次に室温まで冷却して、不溶性種を収集して8倍量のMTBEで洗浄した。
【0171】
G:2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール混合物を、18倍量のDMFおよび1.25モル当量のプロピルトシラートに65〜67℃で溶解した。反応物は次に室温まで冷却して、不溶性種を収集して8倍量のMTBEで洗浄した。
【0172】
H:2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール混合物を、10倍量のDMFおよび1.25モル当量のプロピルトシラートに65〜67℃で溶解した。反応物は次に室温まで冷却して、不溶性種を収集した。洗浄工程は行わなかった。
【0173】
結果は表2にまとめた。
【0174】
【表2】
【0175】
表2中のデータは、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの両方の鏡像異性体が、全く同じではないにせよ、同様の溶解性を有することを示している。さらに、合成法は2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのいずれの鏡像異性体にも同様に有効であることをデータは示している。それらデータは、1つの鏡像異性体がもう一方の溶液中濃度に影響されないようであることから、鏡像異性体は互いに独立的に振る舞うということもまた示している。例えば、条件Fを用いて実行した様々な合成反応は全て約50%の化学的収率を有しており、出発原料の主要なジアミン鏡像異性体のパーセンテージに依存しない。合成反応に用いる有機溶媒の量を増加した場合、化学的収率は減少するが、しかし鏡像異性的収率は増加する。このことは条件FおよびGで行った反応の比較により明らかであり、(6R):(6S)ジアミンの比率85:15で反応に10倍量の有機溶媒を用いた場合には(6R)鏡像異性体が86.8%の鏡像異性的収率を有した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物を生成し、18倍量の有機溶媒を用いた場合には(6R)鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.8%であった。より多い量の有機溶媒を用いた反応では化学的収率が減少することにもまた留意されたい(条件Fでは43%、および条件Gでは36%)。
【0176】
表3では、回収工程がMTBEによる希釈を含まないこと以外、条件Hは条件Fと同様である。MTBEは2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの合成反応物からの回収(収率)を増加させることが観察されたが、しかし全体の鏡像異性的な純度を減少した。このことは(6R):(6S)ジアミンの比率85:15にて実行した試験結果の比較によって実証され、この試験は反応物がMTBE有機溶媒を含む場合には(6R)鏡像異性体に対して86.8%の鏡像異性的な純度を有する2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物、反応物がMTBE有機溶媒を含まない場合には(6R)鏡像異性体に対して99.9%の鏡像異性的な純度を有する産物を生成した。回収工程からMTBE希釈を除外することで化学的収率は減少する、条件Eにおける収率39%と対照的に、条件Cにおいては収率43%。
【実施例12】
【0177】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩(50グラム、0.13モル)を150ml無水エタノール中へ入れ、攪拌しながら0と5℃との間まで冷却した。温度を0と5℃との間に保ちながら、濃塩酸(33ml)をゆっくりと反応物へ添加して、混合物を追加的に15分間攪拌した。混合物へMTBE(200ml)を添加して、温度で追加的に1.5時間攪拌を続けた。反応混合物を次に濾過して、MTBE/エタノール溶液(2:1、洗浄量2×50ml)で2回洗浄し、30℃の真空下にてオーバーナイトで乾燥した。最終産物は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩が34グラム、収率は92%、HPLCでの決定によると化学的純度は97.3%を示した。
【実施例13】
【0178】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩(10グラム、0.026モル)を200ml IPACへ溶解して連続的に攪拌しながら15℃まで冷却した。HCl気体をスラリー中へ1時間バブリングした。混合物を次に濾過して、IPACで洗浄し、室温の真空下にてオーバーナイトで乾燥した。最終産物は6.8グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、収率は92%、HPLCでの決定によると化学的純度は97%を示した。
【実施例14】
【0179】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩(25グラム、0.065モル)を200ml DCMへ溶解してスラリーへと混合した。10mlの水を添加して、12mlの6N NaOHにてpH11〜12まで塩基性化した。2相を分離して、200mlのDCMで水相を抽出した。合成した有機相をMgSO4上で乾燥し、セライト(登録商標)で濾過して富化した。残留物を100ml MTBEに溶解して数時間かけてスラリーとした。次に固体を濾過して、MTBEで洗浄し、35℃の真空下で乾燥した。最終産物は9.1グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、収率は66%、HPLCでの決定によると化学的純度は98%を示した。
【実施例15】
【0180】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基への変換
遊離塩基形成を200グラムの規模で行った。5Lの3つ口丸底フラスコに、オーバーヘッドスターラー、温度計、および追加漏斗を装着して、200g(0.522モル)の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩、および1Lの水を注入した。混合物を攪拌して10℃まで冷却した。200mlの6N NaOHを15分間以上かけてゆっくりと添加することで、スラリーをpH約11〜12まで塩基性化した。500mlの食塩水(塩化ナトリウムを水へ溶解した)で反応混合物を希釈して、3×1Lのジクロロメタンで抽出した。合成した有機相を1.0Lの食塩水で洗浄して、MgSO4上で乾燥し、濾過して乾燥するまで富化した。残留物を1Lの1:1 IPAC:ヘプタンで粉末化して、結果として得られたスラリーを1時間攪拌し、濾過して、濾過ケーキを2×250mlのIPAC:ヘプタンの1:1混合物で洗浄した。濾過ケーキを収集して40℃で高真空下にて24時間乾燥して、94.1グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン(85.5%)を白色固体として得た。HPLCで試験したところ化学的純度は100% AUCであり、HPLCで試験したところ鏡像異性的な純度は100% AUCであった。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた:1H NMR(300MHz,DMSO−デルタ6)デルタ6.6(s,2H),2.8(m,2H),2.5(m,2H,DMSOピークと融合),2.2(m,1H),1.9(m,1H),1.5〜1.3(m,4H),0.85(t,3H)、13C NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ166.2,144.8,113.6,54.2,49.1,30.0,29.6,25.2,23.5,12.3.
【実施例16】
【0181】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基(4.8グラム、0.022モル)を200mlのIPACへ溶解して15℃まで冷却した。スラリー中へHCl気体を1時間バブリングした。混合物を次に濾過して、IPACで洗浄し、室温で真空下にてオーバーナイトで乾燥した。最終産物は6.4グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、100%の収率、およびHPLCによって決定したところ97%の化学的純度を示した。
【実施例17】
【0182】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基(50グラム、0.13モル)を500mlのIPACに溶解した。連続的に攪拌しながら、25℃の温度にて78mlの濃塩酸をゆっくりと注入した。混合物は室内環境(〜25℃)にてオーバーナイトで攪拌して、濾過し、40℃にて真空下で乾燥した。最終産物は68グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、収率95%を示した。
【実施例18】
【0183】
アキラルな酸添加を用いた(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの光学的精製
(6R)鏡像異性体に対して鏡像異性的富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(〜300mg)を75℃にて10mlの選択した溶媒に溶解した。全てのサンプルにおいて完全な溶解を観察した。p−TSA(溶媒はエタノール、2.97mlの0.5M酸)およびMSA(溶媒はアセトニトリル、1.49mlの1.0M酸)ならば1.05モル当量、およびフマル酸(溶媒はアセトニトリル、5.84mlの0.5M酸)およびリン酸(溶媒はアセトニトリル、2.90mlの1.0M酸)ならば2.05モル当量にて酸添加した。反応混合物は25℃/時間の速度で室温まで冷却して、追加的に19時間室温で攪拌した。
【0184】
精製過程の産物の化学的および鏡像異性的な純度をHPLCによって解析した。図3Aは出発原料のHPLCトレースの一例を示している。図4Aでは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの大きなピークが約6分の箇所で観察され、約9分の箇所では(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのより小さなピークを見ることができる。それらピークの領域は、トレースの下の表中に示した混合物の推定組成を提供し、混合物が約90.2%(6R)および8.8%(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを含んでいることを示している。図3Bは、精製後の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物のトレースの一例を示している。図3Bでは、(6R)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの大きなピークが約6分の箇所に観察され、(6S)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのピークは見られない。さらに、産物のトレース中では幾つかの他の小さなピークもまた減少しており、トレースの下の表は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンが産物溶液の検出限界である99.9%を構成することを示していることに留意されたい。それぞれの反応例を表3に提供した。
【0185】
【表3】
【0186】
この粉末化工程によって得た固体を濾過によって単離して、室温にて高真空下で乾燥した。それら産物は、HPLC、1H NMR、熱重量分析、示差走査熱量測定、粉末X線回折(X−ray powder diffraction:XPRD)、フーリエ変換赤外分光、および水分吸着分析(moister−sorption analysis)によって解析した。XPRDパターンは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA、MSA、およびフマル酸塩形態が結晶質であり、一方で(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのリン酸塩形態は非結晶質であることを示した。
【実施例19】
【0187】
ジアミンのラセミ混合物の工業的規模での分離
72Lの被覆を取った反応器へ、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物(4.5kg、26.6モル)および58.5Lの水を注入して、懸濁液として約60℃〜65℃の温度まで加熱した。鏡像異性体の分離は、4.5Lの水中の1当量の(D)−(−)−酒石酸(3991グラム、26.6モル)の添加によって達成して、その後に結果として得た溶液を約70℃〜75℃の温度まで加熱して、その温度を1時間維持した。混合物を約20℃〜25℃の温度まで冷却して追加的に15時間攪拌し、その後に混合物を濾過して固体を(それぞれ6.3Lの)水で3回洗浄した。
【0188】
ジアミンの(6R)鏡像異性体を含む湿った固体、続いて54Lの水を反応器へ入れて、混合物を約70℃〜75℃の温度で2時間加熱した。混合物を20℃〜25℃の温度まで冷却して17時間攪拌した。次に混合物を濾過して固体を(それぞれの洗浄につき4.5Lの)水で2回洗浄した。湿った固体を被覆した反応器へ移して、反応器へ8.1Lの水を注入した。混合物を約0℃〜5℃の温度へ冷却して、1.6Lの濃塩酸、続いて1.2Lの50% NaOHを注意深く注入してpHを約9〜10にした。添加の間は、温度を約0℃〜5℃に保ち、温度にて追加的に1時間攪拌した。結果として得た混合物を次に濾過して、固体を(それぞれの洗浄につき1.1L)の冷水(0℃〜5℃)で2回洗浄した。固体を被覆した反応器へ移して、0℃〜5℃にて4.5Lの水で再度スラリー化した。固体を濾過して暖かい空気(40℃〜45℃)下で乾燥し、(6R)鏡像異性体の収率86%にて、1940グラムの産物((6R)ジアミン)を白色固体として得た。
【0189】
ジアミンの(6S)鏡像異性体を含む、最初の分離工程の母液を濃縮して(6S)鏡像異性体が95.5%の収率のジアミンを得た。1000、4500、および4100グラムの出発原料を用いて実行した反応結果を表4に提供する。
【0190】
【表4】
【実施例20】
【0191】
プロピルトシラートの工業規模での調製
100Lの被覆したガラスの反応器へ、1−プロパノール(2.098kg、34.9モル)、トリエチルアミン(4.585kg、45.3モル、1.3当量)、およびDCM(20.1L)を注入した。混合物を約5℃〜15℃の温度まで冷却して、DCM(10.5L)中のp−トルエンスルホン酸クロリド(6kg、31.47モル、0.9当量)溶液を注意深く注入した。添加が終了したならば、混合物を約18℃〜22℃の温度まで温めて、12時間攪拌した。反応混合物を1H NMR(CDCl3中)で検査して完全であると判断した。温度を25℃以下に保ちながら注意深くHCl(6N、2.98L)を注入した。水相を除去して、有機相を水(それぞれの洗浄につき21L)で2回洗浄して、MgSO4で乾燥して、セライト(登録商標)で濾過した。濾過した固体を次にDCM(4L)で洗浄して、残留物まで富化した。残留物をヘプタン中へ溶解して再度濃縮して最終的なプロピルトシラートを得た(6.385kg、収率95%)。
【実施例21】
【0192】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の工業規模での調製:条件C
72リットルの被覆を取った反応器へ、1.84kg(10.87モル)の(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール((6R)ジアミン)、続いて14.7Lのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃と68℃との間の温度まで加熱した。3.5L DMF中の2926グラムのプロピルトシラートおよび1761グラムのジイソプロピルエチルアミンの溶液を2時間以上かけてゆっくりと添加した。67℃にて追加的に4時間反応を続けた後、溶液を室温(18℃〜22℃)まで徐々に冷却して、追加的に15時間攪拌した。30分以上の時間をかけて溶液を14.7LのMTBEで希釈して、追加的に1時間攪拌した。濾過によって沈降物質を収集して、7.3L MTBE、続いてそれぞれ3.7Lのエタノールで3回洗浄し、9.2Lのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを30℃〜35℃にて高真空下で乾燥した。乾燥産物の最終重量は2090グラムであり、50%の収率を示した。
【実施例22】
【0193】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの純度
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの反復した6回の調製から、定量限界(Limit of Quantitation:LOQ)を0.05%の精度まで決定した。RSDは6.3%と測定され、S/N(signal to noise ratio(信号対雑音比))は61:1と測定された。LOQについてあらかじめ決定した合格基準はS/N≧10:1、RSD≦20.0%である。それら結果は大きなゆとりをもって合格基準を上回った。
【0194】
信号対雑音比レベルは、ポンプの振る舞い、ライン中の空気、移動相の脱気量、システム間の相違、および電子的ゆらぎを含む多くの理由によって変化する可能性がある。30:1のS/Nを生じる0.1%調製に基づいて、LODはあらかじめ0.03%と概算してあった。現行の0.05%のレベルが61:1のS/Nを生じるものの、この方法の全ての経緯に基づくと、推定LODは規定した0.03%のままとなる。
【0195】
線形性は、形式的に0.05%〜150%(0.2μg/mL〜600μg/mL)の範囲で決定した。この広い範囲における相関係数は0.9999と決定された。これは、あらかじめ規定した線形性の合格基準≧0.995を上回る。
【0196】
重量パーセントの測定は、94.0%の純度を有する現行の標準に対比して現状ベースに基づく。各サンプルは1回の注入で2つずつ準備した。純度データを表5に提供する。
【0197】
【表5】
【0198】
クロマトグラフの例を図4A〜Dに提供する。具体的には、図4Aはサンプル118のHPLCクロマトグラフである、図4Bはサンプル105のHPLCクロマトグラフである、図4Cはサンプル061のHPLCクロマトグラフである、および図4Dはサンプル326AのHPLCクロマトグラフである。これらのデータは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを100%の純度で調製したことを示している。
【実施例23】
【0199】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのプロピルトシラート濃度
1.5ppmで上昇するプロピルトシラートの回収を維持する一方で解析前に高レベルの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを除去するために、固相抽出(solid phase extraction:SPE)法を開発した。SPEカートリッジ(Supelco Discovery DSC−18,6mL,1g)を前もって活性化(pre−activated)して、6mLのアセトニトリル(MeCN)、続いて6mLの水で洗浄した。5:95,MeCN/水と0.5%リン酸中で調製したKNS−760704の100mg/mL溶液を、次にSPEカートリッジへ導入した。プロピルトシラートは保持しつつ、追加的な5:95,MeCN/水と0.5%リン酸とを5mLによってSPEカートリッジから容易に洗浄するために、酸によって(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの極性を十分に維持する。次に、95:5 MeCN/水を5mL用いてSPEカートリッジから全てのプロピルトシラートを溶出する。幸いなことに、方法開発実験によって得た感度のため、サンプルのさらなる濃縮は必要ではなく、サンプルはそのまま解析した。95:5 MeCN/水中で調製した1.5ppm(0.15μg/mL)の標準的なプロピルトシラートとサンプルを比較した
SPEカートリッジから溶出したプロピルトシラートのUVスペクトルの例を図5に示した。
【0200】
SPEカートリッジから溶出した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCデータの例を図6Aおよび6Bに提供した。図6Aは、100mgのプロピルトシラートから調製したプロピルトシラート標準のHPLCクロマトグラフを示している。図6Bは、本発明の実施形態の方法によって調製した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのサンプル1gのHPLCクロマトグラフを示している。プロピルトシラートに対応するピーク(右)が存在しないことを示す図6Bに提供するデータに基づいて、プロピルトシラートが無いことは明白である。
【実施例24】
【0201】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの鏡像異性的純度
上述に従って調製した(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを、HPLC条件下でChiralpak IAカラムを用いて試験した。約25mgの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンをカラムへ適用した。(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン標準のHPLCトレースの例を図7Aに提供しており、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのサンプルのHPLCトレースを図7Bに提供した。試験データは表6に提供した。
【0202】
【表6】
【0203】
本発明は、それに関する特定の好ましい実施形態への非常に詳細な言及とともに記述したものの、他の変形例も可能である。従って、添付の請求項の要旨および範囲は、本願明細書に含まれる記述および好ましい形態に限定されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本願出願は2007年3月14日付出願の「Methods of Synthesizing and Purifying and S(−) Pramipexole」と題した米国仮出願第60/894,829号、および2007年3月14日付出願の「Methods of Enantiomerically Purifying Chiral Compounds」と題した米国仮出願第60/894,814号に対して優先権およびその利益を主張するものであり、その内容はこの参照によって本願明細書に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
化合物2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは合成アミノベンゾチアゾール誘導体であり、その(6S)鏡像異性体は、一般にはプラミペキソールとして周知であってミラペックス(登録商標)の名称で市販されている有効なドーパミン作動薬であり、神経伝達物質ドーパミンの効果を模倣するものである。プラミペキソールは、神経保護およびドーパミン作動活性の両方を有することが示されており、これらの活性は、脂質過酸化反応、ミトコンドリア代謝の正常化、および/または酸素ラジカルの解毒作用を介することが推定されている。従って、プラミペキソールは神経変性疾患で観察される細胞死カスケードおよび細胞生存能力喪失の阻害剤としての効用を有し、患者が必要とするおよび許容する極少量の1日用量によってドーパミン受容体を活性化しパーキンソン病、群発性頭痛、むずむず脚症候群、および双極性障害を治療するこが示唆されている。さらに、酸化ストレスは、酸素および他のフリーラジカルの増加によって引き起こされ、致命的な神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)と関連付けられてきた。ALSは、大脳皮質、脳幹、および脊髄の運動ニューロンと関連した進行性神経変性疾患である。ALSの全患者の約10%が家族性症例であり、そのうち20%はスーパーオキシドジスムターゼ1(superoxide dismutase 1:SOD−1)遺伝子に変異を有する。SOD−1酵素は家族性筋萎縮性側索硬化症(familial amyotrophic lateral sclerosis:FALS)の発症および進行において非常に重要な役割を果たす可能性がある。最近の研究では、ALSに関連した早期の神経細胞死は、ミトコンドリア中のエネルギー生産経路の機能障害をもたらすミトコンドリアの変異遺伝子ともまた関連付けられている。
【0003】
プラミペキソールの鏡像異性体の両方の神経保護活性は、約10mg/日〜約1,500mg/日の範囲の典型的な治療用量を有する。しかし、ドーパミン受容体のD2ファミリーに対するプラミペキソールのアゴニスト作用は、わずか0.5〜5.0mg/日の範囲の治療用量を必要としており、このような比較的低用量であっても不都合な副作用が報告されている。例えば、ベーリンガーインゲルハイムのミラペックス(登録商標)の製品説明書においてヒトに対する最大許容量は4.5mg/日と定められており、わずか1.5mgの低容量のプラミペキソールであってもヒトにおいて眠気を引き起こすことが示されている。プラミペキソールの経口投与後の単回毒性は、齧歯類、イヌ、サル、およびヒトで研究されている。齧歯類では、70〜105mg/kgの用量で死亡が生じ、それ以上の量はヒトでの7〜12mg/kg/または70kg(〜150ポンド)の個体に対する約500〜850mgの用量と同等である。イヌでは、0.0007mg/kgおよびそれ以上で嘔吐が生じ、一方サルでは3.5mg/kgで際だった興奮状態を示した。ヒト被験者では、0.20mg以上のプラミペキソールの初回投与量が許容されなかった。全ての種で、プラミペキソールに対してドーパミン作動性に関連した過度の薬力学反応に関連した毒性の兆候が示された。
【0004】
従って、ミトコンドリアを標的とした抗酸化剤としてのプラミペキソールの臨床用途については、ドーパミン受容体が(6S)鏡像異性体に対して高い親和性を有するため、神経保護または抗酸化/ミトコンドリア正常化作用に必要とされる高用量は利用できないことから、見込みがないとされている。それとは対照的に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、投与時に不都合な副作用が無く、優れた抗酸化作用を示すミトコンドリアを標的とした有効な神経保護剤である。従って、高用量の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは患者にとって許容可能であり、脳、脊髄、およびミトコンドリアでのより高い濃度で酸化ストレスおよび/またはミトコンドリア機能障害を減少させる度合いを増加することが可能である。本開示の組成物の神経保護作用は、プラミペキソールの(6R)鏡像異性体の能力の少なくとも一部に由来し、3つのメカニズムのうち少なくとも1つによる神経細胞死を抑制するするものである。第1に、プラミペキソールの(6R)鏡像異性体は、ミトコンドリアのエネルギー生産機能が低下した細胞中での活性酸素種形成を減少可能である。第2に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症と関連するミトコンドリアの膜電位低下を部分的に回復することができる。第3に、プラミペキソールの(6R)鏡像異性体は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、およびミトコンドリア機能障害の薬理学モデルにおいて生じるアポトーシス細胞死の経路をブロックする。それらの神経保護作用を引き出すために必要とされる高用量の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのコンタミネーション上限(0.5mg〜5.0mg)を考慮に入れた上で非常に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの調製を必要とする。
【0005】
単純なアルキル化反応を用いた2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法は、米国特許第4,843,086号および第4,886,812号明細書に最初に記述された。2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの他の調製法は単純なアルキル化ではなく還元的アミノ化を伴うものであり、従って、RおよびS光学異性体の混合物を生成し、前記光学異性体のさらなる精製の直接的な方法は無い。それら、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの既知の生成方法は費用がかかり、労力を要し、さらに安全性リスクをもたらすヒドリド還元剤を使用する。さらに、ジアミンからの純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの直接合成方法は現在知られていない。従って、前記R異性体は、光学異性体の混合物として合成し、それを他の問題のある可能性のある物質を利用した費用と時間のかかる方法で精製する必要がある。さらに、脱アミノ化を伴う既知の方法は鏡像異性体の純度を損なう結果となり、混合物からの光学異性体の有用な分割方法では、キラル的におよび化学的に純粋なR鏡像異性体またはS鏡像異性体の調製が不十分である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書において示した本発明の実施形態は、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの調製方法を対象とするものであって、この方法は、鏡像異性的に富化した化学式(1)の4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程であって、
【0007】
【化1】
【0008】
式中、
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル核は1または2のハロゲン原子で置換されていても良く、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル核はフッ素、塩素、または臭素原子で置換されていても良く、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表し、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素であり、
溶媒中のアルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルは反応混合物と反応する反応混合物を形成するものである、
前記加熱する工程と、
キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを回収する工程とを含む。
【0009】
様々な実施形態において、前記アルキルスルホン酸は化学式(11)であっても良く、
【0010】
【化2】
【0011】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基であり、
Zは1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基である。特定の実施形態ではXはプロピル基とすることができ、いくつかの実施形態では前記アルキルスルホン酸基は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択したプロピルスルホン酸とすることができる。他の実施形態では、ハロゲン化アルキルは化学式(12)とすることができ、
【0012】
【化3】
【0013】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基であり、
Xは、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ化物を含むあらゆるハロゲン化物である。特定の実施形態では、Xはプロピル基とすることができ、一部の実施形態では、ハロゲン化アルキルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択したハロゲン化プロピルとすることができる。
【0014】
キラル精製した様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは、少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0015】
様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.99%以上である。
【0016】
いくつかの実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)鏡像異性体を鏡像異性的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)鏡像異性体をキラル精製したものであり、特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを鏡像異性的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。他の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)−鏡像異性体を鏡像異性体的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)鏡像異性体をキラル精製したものであり、特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを鏡像異性的に富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。さらに他の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾールジアミンは、(6R)−鏡像異性体が(6S)−鏡像異性体に対して約1:4以上から(6R)−鏡像異性体が(6S)−鏡像異性体に対して約4:1の比率までとすることができる。
【0017】
様々な実施形態の溶媒は有機溶媒および水と混合した有機溶媒から選択することができ、いくつかの実施形態では、これに限定されるものではないが、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択することができる。
【0018】
一部の実施形態において、加熱、反応、および回収する工程はそれぞれ独立して攪拌する工程を含む。他の実施形態において、前記加熱及び反応工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施する。さらに他の実施形態において、前記加熱工程は、加熱した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンにアルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルを添加する工程をさらに含む。さらに他の実施形態では、前記添加する工程は約0.5時間〜約2時間実施し、特定の実施形態では、約1.0〜約2.0モル当量のアルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルを添加する。特定の実施形態では、前記反応工程は約12時間実施する。さらに他の実施形態において、前記回収する工程は、これに限定されるものではないが、沈殿物の単離のための反応混合物の濾過、沈殿物の洗浄、および沈殿物の乾燥から選択した1若しくはそれ以上の工程を含み、特定の実施形態の工程は反応工程後に約25℃の温度に反応混合物を冷却する工程を含む。
【0019】
本発明の他の実施形態は、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの調製方法を含み、この方法は、化学式(1)の鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程であって、
【0020】
【化4】
【0021】
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル部分は1または2のハロゲン原子で置換できるものであり、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキノイル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル部分はフッ素、塩素、または臭素原子で置換できるものであり、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表すものであり、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素である、
前記加熱する工程と、
前記加熱溶液にプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加し、反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程とを含む。
【0022】
一部の実施形態では、プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択することができ、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択する。
【0023】
キラル精製した様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは、少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0024】
様々な実施形態の置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は約99.99%以上である。
【0025】
特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。特定の他の実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。いくつかの実施形態では、鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物を含み、キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む。特定の実施形態では、前記混合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、鏡像異性的に富化した混合物は、(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを約1:4以上から(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを約4:1までの比率とする。
【0026】
いくつかの実施形態において、溶媒は、極性または有機溶媒、および水と混合した極性または有機溶媒から選択することができ、特定の実施形態において、溶媒はエタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択される。他の実施形態では、加熱および反応工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含む。さらに他の実施形態では、加熱、添加、および反応工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施する。さらに他の実施形態では、処理は、反応工程の後の約25℃の温度への反応混合物の冷却工程をさらに含むことができる。特定の実施形態では、添加工程は約2時間まで実行することができる。様々な実施形態はキラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの回収工程をさらに含み、いくつかの実施形態において、回収工程は、沈殿物を混合物から単離するための濾過、沈殿物の洗浄、および沈殿物の乾燥から選択した1若しくはそれ以上の工程を含む。特定の実施形態では、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加される。
【0027】
本発明の様々な実施形態は、、鏡像異性的に富化した2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよびハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を含む溶液を加熱し反応混合物を形成する前記加熱する工程と、前記反応混合物を反応させる工程と、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程とを含む方法によって調製したキラル精製2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。いくつかの実施形態において、プロピルスルホン酸は、これに限定されるものではないが、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択され、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択される。
【0028】
様々な実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0029】
様々な実施形態の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.99%以上である。
【0030】
特定の実施形態では、鏡像異性的に富化した2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの(6S)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールに対する比率は約2:1以上とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、溶媒は、有機溶媒と水との混合有機溶媒から選択され、特定の実施形態では、前記溶媒はエタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択することができる。
【0032】
様々な実施形態において、前記加熱および反応の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含み、いくつかの実施形態において、前記加熱および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施される。他の実施形態において、前記方法は、前記反応工程の後に約25℃の温度に反応混合物を冷却する工程をさらに含む。さらに他の実施形態において、前記方法は、加熱した鏡像異性的に富化した2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールにハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を添加する工程をさらに含み、特定の実施形態では、前記添加する工程は約2時間実行される。特定の実施形態において、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルが添加される。さらに他の実施形態では、前記反応工程は約12時間実行される。さらなる実施形態において、前記回収工程は、沈殿物を単離するための混合物の濾過、沈殿物の洗浄、および沈殿物の乾燥から選択した1若しくはそれ以上の工程を含む。
【0033】
本発明の他の様々な実施形態は、有機溶媒中での2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを含む溶液の加熱工程、反応混合物を形成するためのプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルの加熱溶液への添加工程、および約12時間までの反応混合物の反応工程を含むところの、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。いくつかの実施形態において、プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択することができ、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択される。
【0034】
実施形態の方法によって、少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋な、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが得られる。いくつかの実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0035】
いくつかの実施形態の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。特定の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、特定の他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.99%以上である。
【0036】
いくつかの実施形態において、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、(6R)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。他の実施形態において、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。さらに他の実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物であり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物とである。特定の実施形態において、混合物はラセミ混合物である。他の実施形態において、前記混合物は、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが約1:4以上から(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが約4:1までの比率とすることができる。
【0037】
実施形態の有機溶媒は、有機溶媒および水と混合した有機溶媒から選択され、いくつかの実施形態では、前記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択することができる。
【0038】
様々な実施形態において、加熱、添加、および反応の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含み、いくつかの実施形態において、前記加熱、添加、および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施される。特定の実施形態において、本方法は反応工程後に約25℃の温度への反応混合物の冷却工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加する工程を加えても良く、特定の実施形態における前記添加する工程は約2時間まで実施される。さらに他の実施形態において、本方法はキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程を含み、いくつかの実施形態において、前記回収する工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含む。
【0039】
本発明の実施形態はさらに、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含み、前記調性方法は、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを含む溶液を加熱する工程、加熱溶液にハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を約0.5時間〜約2時間ゆっくりと添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程、前記反応混合物を反応させる工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、特定の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0041】
様々な実施形態の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、特定の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.99%以上である。
【0042】
いくつかの実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。他の実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールであり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。特定の実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物であり、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物である。そのような一部の実施形態において、前記混合物はラセミ混合物である。そのような他の実施形態において、前記混合物は(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが1:4以上から(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールが4:1までの比率である。
【0043】
特定の実施形態では、加熱、反応、および冷却の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含む。他の実施形態では、回収工程は約25℃の温度までの混合物の冷却工程を含み、さらに他の実施形態では、回収工程は少なくとも約2時間の反応混合物の攪拌を含む。さらに他の実施形態では、前記回収工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程をさらに含むことができる。様々な実施形態では、加熱、添加、および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施することができ、特定の実施形態では、反応工程は約50℃〜約125℃の温度での約12時間までの反応混合物の攪拌工程を含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを含む溶液を加熱する工程、約0.5時間〜約2時間ゆっくりとハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を前記加熱溶液に添加し、反応混合物を形成させる前記添加する工程、前記反応混合物を反応させる工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程を含む処理によって調製した、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択され、他の実施形態では、ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択される。
【0046】
様々な実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約97%以上は鏡像異性的に純粋である。いくつかの実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99%以上は鏡像異性的に純粋であり、他の実施形態では、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも約99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【0047】
様々な他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99%以上である。いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は約99.9%以上であり、他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.99%以上である。
【0048】
いくつかの実施形態では、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物とすることができ、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよびS(+)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの混合物である。特定の実施形態では、混合物はラセミ混合物である。他の実施形態では、混合物は(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを約4:1以上の比率である。
【0049】
様々な実施形態の有機溶媒は、有機溶媒および水と混合した有機溶媒から選択することができ、いくつかの実施形態の有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択される。
【0050】
特定の実施形態では、加熱、反応、および冷却の工程はそれぞれ独立して攪拌工程を含むことができ、いくつかの実施形態では、加熱、添加、および反応の工程は約50℃〜約125℃の温度でそれぞれ独立して実施される。他の実施形態では、前記処理は、反応工程後、約25℃の温度まで反応混合物を冷却する工程をさらに含み、さらに他の実施形態では、前記添加工程は約2時間まで実施される。特定の実施形態では、前記回収工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含む。様々な実施形態では、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルが添加される。
【0051】
本発明のさらに他の実施形態は、有機溶媒中に鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを溶解させて溶液を形成する、前記溶解する工程、約50℃〜約125℃に溶液を加熱する工程、溶液への酸の添加し、反応混合物を形成するための工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの回収工程を含む、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、約1モル当量〜約4モル当量までの酸を添加することができる。他の実施形態では、回収工程は、約25℃の温度までの反応混合物の冷却工程、少なくとも2時間の反応混合物の攪拌工程、沈殿物を単離するための混合物の濾過工程、沈殿物の洗浄工程、および沈殿物の乾燥工程を含む1若しくはそれ以上の工程を含むことができる。
【0053】
本発明のさらなる実施形態は、そうした方法によって調製した鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。
【0054】
本発明のさらに他の実施形態は、溶液を形成するための鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの有機溶媒中での溶解工程、約50℃〜約125℃での溶液の加熱工程、反応混合物を形成するための溶液へのアキラルな塩の添加工程、およびキラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの回収工程を含む、キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、約1モル当量〜約4モル当量のアキラルな塩を添加する。他の実施形態において、回収工程は、約25℃の温度まで反応混合物を冷却する工程と、少なくとも約2時間反応混合物を攪拌する工程、混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、及び沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含む。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、そうした処理によって調製した鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含む。
【0057】
本発明のよりさらなる実施形態は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩の有機溶媒中に溶解して溶液を形成する前記溶解する工程、約0℃〜約5℃の温度への溶液を冷却する工程、冷却溶液に濃塩酸および有機溶媒を添加する工程、および約0℃〜約5℃の温度において溶液を攪拌する工程を含む、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明の性質および利点の完全な理解のために、添付の図との関連を考慮に入れて、以下の詳細な説明を参照されたい。図中には:
【図1A】図1Aは、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンのアルキル化を図示した反応スキームを示すものである。
【図1B】図1Bは、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの鏡像異性的混合物からの1つの4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの鏡像異性的な精製を図示した反応スキームを示すものである。
【図2】図2は、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩および(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二フマレートの沈殿を図示した反応スキームを示すものである。
【図3A】図3Aは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを鏡像異性的に富化した(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物のHPLCの記録の例および対応するデータの表を示すものである。
【図3B】図3Bは、キラル精製した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCの記録の例および対応するデータの表を示すものである。
【図4A】図4Aは、例となるサンプル118のHPLCの記録を示すものである。
【図4B】図4Bは、例となるサンプル105のHPLCの記録を示すものである。
【図4C】図4Cは、例となるサンプル061のHPLCの記録を示すものである。
【図4D】図4Dは、例となるサンプル326AのHPLCの記録を示すものである。
【図5】図5は、SPEカラムから溶出したプロピルトシラートのピークの例となるUVスペクトルを示すものである。
【図6A】図6Aは、プロピルトシラート標準のHPLCの記録の例を示すものである。
【図6B】図6Bは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのサンプルの例となるHPLCの記録を示すものである。
【0059】
図7Aは、標準(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCの記録の例を示すものである。
【0060】
図7Bは、サンプルの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCの記録の例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本願明細書の組成物および方法を記述する前に、本発明は記述する特定の処理、組成物、または方法論に限定されるものではなく、変化可能であることが理解される。また、記述中に用いた専門用語は特定の変形例または実施形態を記述する目的のみであって本発明の範囲を限定するものではなく、添付の請求項によってのみ限定されることが理解される。
【0062】
本願明細書および添付の請求項中で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に異なることを述べていない限り、複数形への言及を含むものである。他に定義しない限り、本願明細書で用いる専門的および科学的用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本願明細書で記述するそれらと類似または同等のあらゆる方法を本発明の実施形態の実施または試験で用いることが可能であるが、ここでは好ましい方法を記述する。本願明細書で言及する全ての著作物および参考文献は参照によって組み込まれるものである。本願明細書中の記載はいずれも、本発明が、先行発明に基いて本開示を予期できるものとしての承認と解釈されるものではない。
【0063】
本願明細書で用いる場合、「約」という用語は、用いられている数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。従って、約50%とは、45%〜55%の範囲を意味する。
【0064】
「選択的な」または「選択的に」とは、続いて記述される構造、事象、または状況が生じるかもしれず、または生じないかもしれないこと、および前記事象が生じる事例および生じない事例を記述が含むことを意味すると解釈される。
【0065】
治療薬との関連において用いる場合の「投与」とは、標的組織の内へまたは上へ直接的に治療薬を投与すること、またはそれが標的とする組織へ治療上好ましい影響を与えるように患者へ治療薬を投与することを意味する。組成物の「投与」は、経口投与、注射、輸液、吸収、または他の既存技術と組み合わせたあらゆる方法によって達成することができる。そうした組合せ技術は、加熱、放射線療法、および超音波を含む。
【0066】
本願明細書で用いる場合、「標的」という用語は、機能または状態の不活性化、破裂、崩壊、または破壊または保存、維持、回復または改善のいずれかが望まれる物質に言及するものである。例えば、病変細胞、病原体、または感染性物質は疾患対象中の望ましくない物質と考えることができ、治療の標的となるであろう。
【0067】
「組織」という用語は、特定の機能の実行において一体となる、同様に特異化した細胞のあらゆる集合体に言及するものである。
【0068】
「改善する」という用語は、本発明を提供、適用、または投与する組織の外観、形状、特徴、および/または身体的な特性のいずれかを変化させることを表現するために用いる。「改善する」は、活性薬剤を投与した個体の全体の身体的状態にもまた言及することができる。例えば、活性薬剤の投与によって神経変性疾患の1若しくはそれ以上の症状が緩和されたならば、個体の全体の身体的状態は「改善した」ということができる。
【0069】
本願明細書で用いる場合、「治療薬」とは、患者の望ましくない状態または疾患を治療、闘病、緩和、または予防するために用いる薬剤を意味する。
【0070】
本願明細書で用いる場合、「治療的に有効な量」または「薬用量」は置換可能であり、研究者、獣医、医師、または他の臨床医による対象となる組織、システム、動物、個体、またはヒト中の生物学的または医学的反応を引き出す活性薬剤または医薬品または組成物の量に言及するものである。生物学的または医学的反応は、例えば、以下の1若しくはそれ以上を含むことができる:(1)疾患、状態、または障害の病状または症状を未だ経験または示していないが、疾患、状態、または障害にかかりやすい可能性がある個体の疾患、状態、または障害の予防、(2)疾患、状態、または障害の病状または症状を経験または示している個体の疾患、状態、または障害の抑制、または疾患、状態、または障害の病状および/または症状のさらなる進行の阻害、(3)疾患、状態、または障害の病状または症状を経験または示している個体の疾患、状態、または障害の改善、または個体が経験または示している病状および/または症状の克服。
【0071】
本願明細書で用いる場合、「神経保護剤」という用語は神経変性および/または神経細胞死の進行を予防、改善、または遅延することができるあらゆる薬剤に言及するものである。
【0072】
「治療」という用語は、特定の障害、疾患、または状態の予防法、特定の障害、疾患、または状態に関連する症状の緩和および/または特定の障害、疾患、または状態に関連する症状の予防を意味すると解釈される。
【0073】
「患者」という用語は、本願明細書で記述する化合物を投与するあらゆる生物に言及するものであり、これに限定されるものではないが、ヒト以外の哺乳類、霊長類、またはヒトを含む。そのような「患者」は特定の病状の兆候、症状、または病状を示していても示していなくても良い。
【0074】
本願明細書で用いる場合、「鏡像異性体」、「立体異性体」、および「光学異性体」という用語は置換して使用でき、非対称的またはキラル中心を含み、互いに鏡像的である分子に言及するものである。さらに、「鏡像異性体」、「立体異性体」、および「光学異性体」という用語は、所与の立体配置においてその鏡像と重ね合わせることが不可能な分子を記述するものである。
【0075】
本願明細書で用いる場合、「光学的に純粋」または「鏡像異性的に純粋」という用語は組成物が化合物の単一の光学異性体を少なくとも99.95%含むことを示すと解釈する。「鏡像異性的に富化した」という用語は、組成物の少なくとも51%が単一の光学異性体または鏡像異性体であることを示すと解釈する。本願明細書で用いる場合、「鏡像異性的濃縮」という用語は、他と比較して一方の鏡像異性体の量を増加させることに言及する。「ラセミ」混合物はキラル分子の(6R)および(6S)鏡像異性体の同量の混合物である。
【0076】
本開示を通して、「プラミペキソール」という用語は他に特定しない限り、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6S)鏡像異性体に言及するものである。
【0077】
「粉末化(trituration)」という用語は、化合物の凝固方法を示すものと解釈される。粉末化は、化合物が結晶性固体または沈殿物を形成するまでの、攪拌、打擲、または類する方法によって化合物をかき混ぜることを伴う。この固体は溶液中の残りの化合物が溶液から沈殿または結晶化する元として振る舞うことができる。
【0078】
「医薬品組成物」という用語は、組成物が哺乳類(例えば、限定するわけではないが、ヒト)中の特定の、有効な結果を調査し易い、少なくとも1つの活性成分を含む組成物を意味する。当業者は、必要に基づいた望ましい有効な結果を活性成分が有するか否かの決定に適切な技術を理解および評価することができる。医薬品組成物は、例えば、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの薬剤として許容可能な塩を活性成分として含む。あるいは、医薬品組成物は、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの薬剤として許容可能な塩を活性成分として含む。
【0079】
本開示の目的のために、「塩」は、これに限定されるものではないが、臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸、およびヨウ化水素酸塩といったハロゲン酸塩、例えば、硝酸、過塩素酸、硫酸、およびリン酸塩といった無機酸塩、例えば、スルホン酸塩(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸)、酢酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、粘液酸、パモン酸、パントテン酸、シュウ酸、およびマレイン酸塩といった有機酸塩、およびアスパラギン酸またはグルタミン酸塩といったアミノ酸塩を含む、あらゆる酸付加塩、好ましくは薬剤として許容可能な酸付加塩である。酸付加塩は一酸付加塩または、ジ−ハロゲン化水素酸、二硫酸、二リン酸、またはジ−有機酸塩などの二酸付加塩である。全ての場合において、酸付加塩は、本開示の産物の特定の光学異性体との相互作用または沈殿に対するあらゆる期待されるまたは既知の選択性に基づいて選択することのないアキラルな試薬として用いる。
【0080】
「薬剤として許容可能な塩」とは、適切な医学的判断の範囲において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応および類するもの無しに、患者の組織と接触して利用するのに適切であり、合理的なベネフィット/リスク比にふさわしい、それら塩を示すことを意味する。薬剤として許容可能な塩は、当該技術分野において周知のものである。例えば、Berge et al.(1977)J.Pharm.Sciences,Vol 6. 1−19は、薬剤として許容可能な塩を詳細に述べている。
【0081】
本願明細書で記述する本発明の実施形態は、鏡像異性的および/または化学的に純粋な化合物の生産の手順を対象とするものである。より具体的には、本発明の実施形態は、化合物のRおよびS立体異性体の鏡像異性的な混合物の1つの鏡像異性体を溶液から沈殿して、例えば、単純な濾過、または溶液からの固体または結晶性化合物の分離のための他の方法によって単離可能な粉末化工程を用いた、鏡像異性的および/または化学的に純粋な化合物の生産を対象とするものである。
【0082】
例えば、本発明の実施形態は、図1Aに提供した反応スキーム中に図示したワンポット二分子求核置換(SN2)反応合成法(one−pot bi−molecular nucleophilic substitution(SN2) reaction synthesis method)を用いた、鏡像異性的および化学的に純粋な化合物の調製方法を含む。図1Aでは、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(1)がアルキルスルホン酸(11)またはハロゲン化アルキル(12)、例えばスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルと反応して、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(2)の化合物を含むアミノアルキル、およびスルホン酸またはハロゲン化物塩を生成する。粉末化工程では、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの1つの鏡像異性体、例えば、(R)(+)−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(3)を、反応の結果として生産されたアキラルなハロゲン化またはスルホン酸塩中での鏡像異性体の不溶性に基づいて沈殿して、単離可能である。他方の鏡像異性体は溶液中に残る。
【0083】
図1Bに図示した他の実施形態の例では、(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(3)といった鏡像異性的に純粋な化合物を、例えば(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(4)および(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(5)といった化合物のRおよびS鏡像異性体の混合物から調製することができる。この過程で、混合物への有機溶媒およびアキラルな塩または酸の添加の結果として粉末化が生じて、1つの鏡像異性体の酸付加塩の形成を引き起こす。塩としての(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミン(3)は、結果として得られる溶液中での鏡像異性体の不溶性に基づいて溶液から沈殿して、もう一方の鏡像異性体は溶液中に残る。そして沈殿した結晶性鏡像異性体は単離できる。
【0084】
図1Aに図示した反応は、特定の4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンに限定されない。例えば、4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは化学式(1)のあらゆる4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンであり、
【0085】
【化5】
【0086】
式中、
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル核は1または2のハロゲン原子で置換できるものであり、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル核はフッ素、塩素、または臭素原子で置換できるものであり、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表し、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素である。
化学式1の4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは前記分子のあらゆるキラル中心における全ての鏡像異性体を包含する。
【0087】
図1Aに図示した反応は、反応に用いるハロゲン化アルキルまたはアルキルスルホン酸の種類によって限定されない。例えば、アルキルスルホン酸は化学式(11)のあらゆるアルキルスルホン酸であっても良く
【0088】
【化6】
【0089】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、フェニルアルキル基、および類するものであり、
Zは1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、またはフェニルアルキル基および類するものであり、
さらに、ハロゲン化アルキルは化学式(12)のあらゆるハロゲン化アルキルであっても良く
【0090】
【化7】
【0091】
式中、
R’は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、または1〜10の炭素原子を有するシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリル基、またはベンジル、クロロベンジル、フェニル、フェニルアルキル基、および類するものであり、
Xは、例えばフッ素、塩素、臭素、またはヨウ化物を含むあらゆるハロゲン化物である。様々な実施形態では、R’はアルキル基であり、特定の実施形態ではn−プロピル基である。アルキルスルホン酸である特定の実施形態では、Z部分はスルホン酸トルエン(トシラート)またはメトキシスルホン酸とすることができる。例えば、様々な実施形態では、アルキルスルホン酸はn−プロピルトシラートとすることができる。ハロゲン化アルキルを用いる実施形態では、ハロゲン化アルキルは臭化n−プロピルまたは塩化n−プロピルである。アルキルスルホン酸またはハロゲン化アルキルは、ジアミンの約1.0〜約4.0モル当量に対応する量を添加することができる。
【0092】
これら上述したような実施形態の利点は、例えば、(1)1つの鏡像異性体、鏡像異性的化合物の合成および生成のための単純な試薬の利用、(2)単純な粉末化によって達成される光学的および化学的な純度の驚くべき向上、および(3)そのような処理が、ワンポット合成および精製反応として実行可能であることを含む。全体的に捉えた場合、上述の処理は鏡像異性的および化学的に純粋な化合物の生産において、より単純、より安全、およびより効率的である。さらに、医薬品化合物として、および疾患の治療での利用においてそうした化合物を安全および有効的とするのに十分なだけ、化合物を鏡像異性的および化学的に純粋にすることができる。
【0093】
以上に提供した方法は当該技術分野の既知のあらゆる鏡像異性的化合物の精製に用いることができるものの、本発明の特定の実施形態は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール、および特に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの生産および光学的精製を対象としたものである。本発明の方法によって生産した化合物の鏡像異性的および化学的に極めて高い純度は、幅広い個体および1日用量の範囲を有する医薬品組成物を可能とする。例えば、いくつかの実施形態では、本願明細書で具体化する方法を用いて生産した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは、ほぼ100%鏡像異性的に純粋とすることができる。そうした化合物は(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのコンタミネーションをほとんどまたは全く含まず、高用量の(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの投与に伴うドーパミン作動性の副作用のリスク無しに高用量で投与することができる。従って、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを、神経変性疾患、またはミトコンドリア機能障害または酸化ストレスの増加に関連する、例えば、神経変性性認知症、神経変性性運動障害および運動失調、発作性疾患、運動ニューロン疾患、炎症性脱髄性疾患、および成人および小児におけるそれらに類するものの治療に用いることができる。本開示の組成物は、本願明細書に記載しない他の疾患の治療にもまた有効である可能性があり、本開示で提供したあらゆる記載は例示の目的のためのみのものであって、限定的ではない。
【0094】
以上に議論したような、鏡像異性的に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを含む組成物および医薬品組成物は、2007年4月10日出願の「Tetrahydrobenzothiazoles and Uses Thereof」と題する米国特許出願第11/773,642号、2007年12月14日出願の「Compositions and Methods of Using R(+) Pramipexole」と題する米国特許出願第11/957,157号、および2007年5月16日出願の「Pramipexole Formulations for the Treatment of Parkinson‘s Disease」と題する米国特許出願第11/749,497号にさらに開示されており、これらのそれぞれはこの参照によってその全体が本願明細書に組み込まれるものである。本発明の実施形態の実施または試験において、本願明細書に記述したものと類似または同等のあらゆる方法および材料を用いることが可能であるものの、本願明細書では好ましい方法、装置、および材料を詳細に記述する。
【0095】
(6R)または(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのいずれかの鏡像異性体の生産は、上述のバイモルキュラー求核置換(SN2)反応、およびアキラルな試薬中での化合物の不溶性に基づいた光学的精製を用いて実行する。より具体的には図2で、バイモルキュラー求核置換(SN2)反応を用いた鏡像異性的および化学的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの生産手順の実施形態の概要を図示している。最初の工程で、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール(7)をp−トルエンプロピルスルホン酸(プロピルトシラート)と混合して、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)および4−メチルベンゼンスルホン酸(p−トルエンスルホン酸(p−toluenesulfonic acid:p−TSA))を生産するために反応させる。理論によって拘束されることを望むものではないが、図2の反応スキーム中のジアミン、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、基質であるプロピルトシラートへの求核攻撃における求核試薬として振る舞い、トシラート基は以下に描写するように、優れた離脱基を提供するものであり、
【0096】
【化8】
【0097】
従って、本発明の一実施形態は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩(8)を二分子求核置換反応によって調製する手順である。第2の工程においては、いかなる二次的な試薬、例えば塩の添加などの添加工程なしに、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)の反応溶液から沈殿させる工程であって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)を鏡像異性的に精製する。従って、第3の工程では2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの結晶を単純に濾過することにより、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを単離する。
【0098】
本発明の方法のいくつかの実施形態は追加的な工程を含むものであっても良い。例えば、いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール遊離塩基(9)を形成するために、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを形成するようp−TSAを除去して、塩酸またはフマル酸を遊離塩基へ添加することで2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(14)または2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二フマレート(15)を形成する。他の実施形態では、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(8)へ塩酸を添加することで、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(14)を生産することができる。
【0099】
図2に図示した反応スキームでは、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールからの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの生産を示しているが、いくつかの実施形態では、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを生産するために(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを用いて同様の反応を実行することができる。他の実施形態では、(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を出発原料として用いて、(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を結果として得ることもできる。特定の実施形態では、(6R)および(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの混合物を1つの鏡像異性体に対して鏡像異性的に富化したものを出発原料として用いる。さらに、図2中に図示した反応は、ハロゲン化n−プロピル、またはハロゲン化n−プロピルおよびスルホン酸n−プロピルの混合物として実行することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、処理の第1工程は、加熱工程中に溶液または溶解液を形成するためのジアミンの加熱、および追加工程中の例えば約0.5時間〜約5時間の間にわたるハロゲン化n−プロピルまたはスルホン酸n−プロピルのゆっくりとした添加の追加工程を含むことができる。他の実施形態では、ハロゲン化n−プロピルまたはスルホン酸n−プロピルを2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールへ完全に添加した後に、反応工程中に、例えば約1時間〜約12時間の範囲の追加的な時間だけ加熱条件下で反応を継続することができる。特定の実施形態では、反応混合物を、例えば上述の1若しくはそれ以上の工程の間に攪拌によって混合することができ、または反応混合物は加熱工程から反応工程まで継続的に攪拌することができる。反応工程に続いて、反応混合物を冷却して、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを単離および精製することができる。
【0101】
以上に例示したような実施形態では、ジアミンである2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールはラセミ混合物とする、またはSまたはR鏡像異性体のいずれかを鏡像異性的に富化したものとすることができ、生成した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは主要な鏡像異性体を光学的に濃縮することができる。例えば、(6R)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを生産する反応中の出発原料として用いる混合物中の主要な鏡像異性体であろう。様々な実施形態では、ジアミンのRのSに対するあらゆる比率を用いることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ジアミンはラセミ混合物(すなわち、R:Sは約50:50)であり、そうした実施形態では、反応産物は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのラセミ混合物(すなわち、約50:50)であることが期待されるであろう。他の実施形態では、ジアミンは一方の立体異性体が他方より過剰、例えば、R:Sが約60:40である混合物中で提供することができる。そうした実施形態では、反応によって、RがSに対して約60:40の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を生じることが期待されるであろう。
【0102】
反応は溶解物中、または溶媒または溶媒の混合物中で実行することができ、本願明細書で具体化する方法は、反応中に存在する溶媒の種類または数によって限定されるものではない。ジアミンおよびハロゲン化アルキルまたはアルキルスルホン酸を溶解可能な、当該技術分野で既知のあらゆる溶媒または溶媒の混合物を用いることができる。例えば、様々な実施形態では、溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、氷酢酸、ピリジン、ジオキサン、エタノール、1−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、またはそれらの組合せ、例えば、ジオキサン/水、エタノール/水、テトラヒドロフラン/水、および類するものとすることができる。有機溶媒および水の組合せを用いる実施形態では、有機溶媒は0〜10容積パーセントの含水比を有する。好ましくは、本発明の実施に用いる溶媒は標準的なACSグレード溶媒である。溶媒の選択はSN2反応の反応速度を促進する。いくつかの実施形態では、1若しくはそれ以上の塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、tert−ブチルオキシドカリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、および類するものを反応混合物へ追加的に添加することができ、それにより反応効率をさらに促進できる。添加する場合、塩基は、溶媒に基づいて約0.5〜約3.0当量の濃度で存在する。さらに他の実施形態では、溶解物または溶媒中にアルキル化剤を提供できる。アルキル化剤は当該技術分野で周知のものであり、本発明の実施形態中で有用である。例えば、アルキル化剤は、これに限定されるものではないが、ヨウ化メチル、硫酸ジメチル、臭化エチル、硫酸ジエチル、ヨウ化アリル、臭化ベンジル、臭化2−フェニルエチル、およびp−トルエンスルホン酸メチルを含む。
【0103】
反応は環境条件下で実行することができる。しかし、反応温度は実施形態によって約−10℃〜約50℃の間、および特定の実施形態では0℃〜30℃の間で変化させることができる。
【0104】
さらなる実施形態では、溶解したジアミンを反応中に加熱および混合または攪拌することができる。例えば、様々な実施形態は、溶解ジアミンの加熱、いくつかの実施形態では混合物を形成するために溶媒中で溶解するスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの添加、および混合物の攪拌の工程を含む。他の実施形態では、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基をジアミンを含む溶液に添加することができる。スルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを溶媒中に溶解して、次にジアミン/ジイソプロピルエチルアミン溶液へ添加して、この反応混合物を攪拌する。そのような実施形態の反応温度は反応混合物の沸点以下、より具体的には、反応混合物の溶媒の沸点以下である。例えば、いくつかの実施形態では、昇温は約125℃以下である。他では、昇温は約100℃以下であり、さらに他の一実施形態では約95℃以下、およびさらに他では約75℃以下である。従って、反応温度は、いくつかの実施形態では約50℃〜約125℃の範囲であり、他の実施形態では約55℃〜約100℃、さらに他の実施形態では約60℃〜約95℃、さらに他の実施形態では約60℃〜約75℃、および特定の実施形態では、約55℃〜約65℃である。
【0105】
反応時間は実施形態中で変化させることができ、例えば、反応物の固有性、溶媒システム、および選択した温度に依存する。例えば、いくつかの実施形態では、反応時間は約0.5時間〜約12時間とすることができる。他の実施形態では、反応時間は約1時間〜約8時間、および特定の実施形態では、反応時間は約4時間とすることができる。反応時間は、実質的に全てのジアミンがアルキル化するのに十分な時間を提供するよう選択する。特定の実施形態では、反応時間は、形成された2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが反応溶液から沈殿して肉眼視できる結晶を形成するのに十分な時間をさらに提供する。
【0106】
本発明の実施形態は、反応後に反応物をおよそ室温(25℃)の温度まで冷却する工程をさらに含む。そうした実施形態では、反応物は連続的な攪拌をしながら、または攪拌せずにあらゆる量の時間だけ冷却する。例えば、いくつかの実施形態では、反応物は攪拌しながら約0.5〜約4時間若しくはそれ以上冷却し、他の実施形態では、反応物は攪拌しながら約2時間冷却する。
【0107】
より具体的な実施形態は、以下の工程を含むことができる:ジアミンのジメチルホルムアミドへの溶解工程、溶解したジアミンの上昇した温度への加熱工程、反応混合物を形成するためのジメチルホルムアミドへ溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの添加工程、および約4時間の反応混合物の攪拌工程。他の一実施形態では、工程は、ジアミンのジメチルホルムアミドへの溶解工程、溶解ジアミンの上昇した温度への加熱工程、加熱した溶解ジアミンへの、10倍量のジメチルホルムアミドに溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの1.25モル当量および1.25モル当量のジイソプロピルエチルアミンの、反応物を約4時間攪拌しながらのゆっくりとした添加工程を含むことができる。さらに他の一実施形態では、ジメチルホルムアミドへ溶解したジアミンへ1.25モル当量のジイソプロピルエチルアミンを添加して、約4時間攪拌しながらこの混合物へジメチルホルムアミドに溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを添加する。
【0108】
合成に続いて、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの鏡像異性的に純粋な異性体を粉末化工程を用いて回収し、それにより主要な異性体を沈殿結晶として単離して、量的に少ない方の立体異性体が溶液中に残る。理論に拘束されることを望むものではないが、p−TSAなどのアキラルな試薬中の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物の不溶性は、RまたはS鏡像異性体に依存せず、回収される同位体の純度は反応溶液の量および主要な同位体の最初の比率のみに依存するであろう。従って、上述したような実施形態では、鏡像異性的に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン(R:Sは100:0)の収率は、RのSに対するジアミンの比率が60:40として提供される反応によって製造できる。
【0109】
上述の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの処理の予期しなかった利点は、極性有機溶媒中での2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸塩またはハロゲン化物塩の限られた溶解性であり、それによって2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物は一旦形成されると沈殿して、最終合成産物である2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが反応混合物中から精製されることになる。さらなる実施形態では、図2に図示したような置換反応が、十分にアキラルな塩、p−TSAの濃度が2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの不溶化および結晶化を、例えば追加的なアキラルな塩などの追加的な試薬の添加なしに、反応溶液中で引き起こす。
【0110】
以上に具体化し、図2に記述した反応は、ワンポット合成法による極めて純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを提供する。例えば、処理の実施形態において、調製する最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は、追加的な精製工程なしに少なくとも97%、98%、および100%までになり、特定の実施形態では、追加的な精製工程なしに化学的純度を99.90%〜100%とすることができる。さらに他の実施形態では、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは、例えばp−TSAなどのアキラルな塩が実質的に無い。例えば、いくつかの実施形態では、最終合成産物のアキラルな塩濃度は3%以下、他では最終合成産物のアキラルな塩濃度は1%、0.5%、0.1%、0.01%、0.001%、などとなる。特定の実施形態では、アキラルな塩濃度は1.5ppm以下〜25ppb以下、または0.00015%以下〜0.0000025%以下にできる。理論に拘束されることを望むものではないが、ワンポット法における化学的に高い純度の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの生産が可能となることは、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの生産において重大な進歩を示しているであろう。さらに、そのような純度は、既存の方法と比較してより高効率の医薬品グレードの2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを提供するであろう。
【0111】
様々な実施形態では、Rジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したR鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.6%以上である。同様に、様々な他の実施形態では、Sジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したS鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.6%以上である。いくつかの実施形態では、Rジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したR鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.8%以上である。同様に、いくつかの他の実施形態では、Sジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したS鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.8%以上である。特定の実施形態では、Rジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したR鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.9%以上である。同様に、特定の他の実施形態では、Sジアミンに対して鏡像異性的に富化した出発原料を用いた場合、調製および精製したS鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.9%以上である。
【0112】
理論に拘束されることを望むものではないが、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの可溶性は、合成および精製処理の粉末化工程において同様である。例えば、もし(6R)ジアミンを90グラム、および(6S)ジアミンを10グラムで合成処理を実行し、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物の可溶性はそれぞれの鏡像異性体に対して10グラムである場合、80グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン産物、および0グラムの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン産物が沈殿するであろう(ジアミンからの化学変換が100%であり、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールになる際に分子量の変化がないものと仮定したならば)。すなわち、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのそれぞれの鏡像異性体の10グラムが溶液中へ溶解することが期待される。これにより、(6R)鏡像異性体に対して鏡像異性的に100%純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物が得られるであろう。合成処理に対する出発原料の反対の比率(90グラムの(6S)ジアミン、および10グラムの(6R)ジアミン)は、90グラムの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン、および10グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの反応産物を生成する。この反応産物の混合物から、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6S)鏡像異性体が80グラム、および(6R)鏡像異性体が0グラム沈殿することが期待され、(6S)鏡像異性体に対して鏡像異性的に100%純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが得られるであろう。従って、反応に用いる量が、最終的な収率および鏡像異性的な純度に対して大きな影響力を有する可能性がある。すなわち、量が多すぎると、より多くの2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが溶液中へ溶解するため、収率が減少し(しかし、鏡像異性的な純度は増加する)、量が少なすぎると、より少ない2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールが溶液中へ溶解するため、収率が増加する(しかし、鏡像異性的な純度は減少する)。
【0113】
本発明の他の実施形態は、粉末化工程を含む、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物からの、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの精製方法を対象としている。いくつかの実施形態では、精製方法に用いる(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を、本願明細書で上述したように調製する。他の実施形態では、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物は、他の方法を用いる、または市販の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物から得ることができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、粉末化工程は、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む溶液へのアキラルな塩の添加工程を含むことができる。上述した通り、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む溶液へのアキラルな塩の添加は、より高い濃度を有する鏡像異性体を不溶性にして溶液中での結晶形成を引き起こす。いくつかの実施形態では、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む溶液を、例えば、約50℃〜約125℃、約55℃〜約100℃、約60℃〜約95℃、または約60℃〜約75℃といった上昇した温度まで加熱して、アキラルな塩を溶液へ添加することができる。この溶液は、次に上昇した温度からおよそ室温までゆっくりと冷却する。例えば一実施形態では、反応物は約25℃/時間以下の速度で冷却する。他の一実施形態では、反応物はゆっくりと冷却して、反応溶液は少なくとも追加的に約2時間は攪拌する。追加的な攪拌に必要とされる冷却速度および時間は、アキラルな塩の選択に伴って変化し、当業者は容易に判断できる。
【0115】
結晶質の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンは次に、単離、洗浄および乾燥して、様々な実施形態では、少なくとも97%、および、いくつかの実施形態では98%〜100%の化学的純度を有する鏡像異性的に純粋な(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを得る結果となる。いくつかの実施形態では、アキラルな塩は、本願明細書で上述したあらゆるアキラルな塩、または当該技術分野で既知の他のあらゆるアキラルな塩とすることができる。同様に、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの溶液の溶媒は、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法に関連して上述したあらゆる溶媒とすることができる。(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンまたは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのいずれかは、そうした実施形態の方法を用いて精製することができる。しかし、特定の実施形態では、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを精製する。
【0116】
他の実施形態では、鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを、アキラルな試薬中での鏡像異性体の不溶性に基づいて、酸を添加した溶液から粉末化することができる。この方法の様々な実施形態は、例えば、約50℃〜約125℃、約55℃〜約100℃、約60℃〜約95℃、または約60℃〜約75℃に上昇した温度の溶液中で鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの溶解工程、溶解2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールへの酸の添加工程、攪拌しながらの反応物のおよそ室温(25℃)までの冷却工程、鏡像異性的に純粋な結晶の形成を許すためのおよそ室温での延長した時間の冷却反応混合物の攪拌工程、および鏡像異性的に純粋な(6R)または(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの反応混合物からの回収工程を含むことができる。他の実施形態では、鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは上昇した温度の溶媒中へ溶解して、約0.5当量〜約2.05当量の酸を溶液に添加して、溶液を室温まで冷却する。冷却溶液は次に延長した時間だけ攪拌して、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する。特定の実施形態では、選択した酸はp−トルエンスルホン酸(p−toluenesulfonic acid:p−TSA)、溶媒はエタノールである。他の実施形態では、酸を添加するときの溶液温度は約125℃以下、約100℃以下、または約75℃以下であり、特定の実施形態では、温度は約65℃〜85℃である。冷却はゆっくりと、例えば、1時間当たり約25℃の速度で行い、25℃に到達した後に少なくとも約2時間は溶液を攪拌する。反応に必要な時間は反応物の固有性、溶媒システム、および選択した温度によって変化し、当業者によって容易に判断できる。反応量は、光学的な精製の度合い、および光学的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの全体的な収率にもさらに影響する。それら量は当業者によって容易に理解および判断できるであろう。本発明の実施を可能とする具体的な時間、温度、および量は実施例において与える。
【0117】
用いる溶媒は実施形態において変化させることができ、例えば、アセトニトリル、アセトン、エタノール、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、およびそれらの組合せといった有機溶媒とすることができる。特定の実施形態では、有機溶媒はエタノールである。
【0118】
様々な実施形態の酸は:例えば、臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸、およびヨウ化水素酸といったハロゲン酸、例えば、硝酸、過塩素酸、硫酸、およびリン酸といった無機酸、例えば、スルホン酸(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸)、酢酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、粘液酸、パモン酸、パントテン酸、シュウ酸、およびマレイン酸といった有機酸、およびアスパラギン酸またはグルタミン酸といったアミノ酸を含む。酸は一酸または、ジ−ハロゲン化水素酸、二硫酸、二リン酸、またはジ有機酸といった二酸とすることができる。実施形態の酸は、単離する2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの特定の光学異性体との反応、または沈殿に対するいかなる期待されるまたは既知の選好に基づいても選択されることのないアキラルな試薬として用いる。例えば、一実施形態では、選択する酸はp−トルエンスルホン酸である。添加する酸の量は変化し、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの約1モル当量〜4モル当量を提供する。
【0119】
不溶性2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは当該技術分野で既知のあらゆる方法によって反応溶液から分離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは単純な濾過によって収集する。溶液からの固体の濾過方法が多くあり、本発明の実施形態ではそれらあらゆる方法を使用することができる。他の実施形態では、不溶性2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは遠心分離によって単離する。やはり、そうした方法は当該技術分野で周知のものであり、そうしたあらゆる方法を本発明の様々な実施形態で用いることができる。不溶結晶性2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは次に洗浄して、あらゆる余分な溶媒、スルホン酸またはハロゲン化物塩、または2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの可溶性の鏡像異性体を、使用できるあらゆる方法を用いて結晶から除去する。例えば、一実施形態では、アルコールまたはヘプタンなどの揮発性溶媒中で沈殿材料を洗浄して、続いて真空乾燥する。
【0120】
上述の方法を用いて調製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの鏡像異性体は、出発原料の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの一方または他方の鏡像異性体を富化した混合物から精製できる。例えば、いくつかの実施形態では、出発混合物はRまたはS鏡像異性体のいずれかを少なくとも55%またはそれ以上含み、他では、出発混合物はRまたはS鏡像異性体のいずれかを少なくとも70%またはそれ以上含む。さらに他の実施形態では、出発原料はRまたはS鏡像異性体のいずれかを約90%以上含む。特定の実施形態では、出発混合物は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを富化したものである。
【0121】
理論に拘束されることを望むものではないが、アキラルな塩または酸溶液中での2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの光学異性体の相対的な可溶性によって、単純な粉末化工程による比較的容易な回収方法を用いることによる予期しなかった鏡像異性的および化学的な精製が可能となる。上述の精製方法の結果によって促進された濃縮は、光学的純度を達成できる結果となる。例えば、様々な実施形態では、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物は99%の光学的純度またはそれ以上、99.5%の光学的純度またはそれ以上、99.8%の光学的純度またはそれ以上、および特定の実施形態では、99.9%の光学的純度またはそれ以上とすることができる。さらに他の実施形態では、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの光学的純度は99.95%またはそれ以上、または99.99%またはそれ以上までにさえできる。特定の実施形態では、光学的純度は100%にできる。
【0122】
本願明細書で開示する処理はいくつかの利点を有する。第1に、従来技術で用いる還元的アミノ化のスキームに共通し、酸性化によってボランおよび水素に急速に分解する水素化ホウ素ナトリウムなどのボラン試薬の利用を回避する。第2に、還元的アミノ化のスキームは、まずアミドを形成して、続いて還元するという2工程の手順の利用を伴う。本開示の方法は、ワンポット法による合成および精製手順であり、従ってより安全、容易、およびより経済的な合成法を提供する。第3に、合成中に鏡像異性的な純度が減少または完全に失われる従来技術とは対照的に、本開示のSN2反応機構のアルキル化の手順中ではキラリティーが失われることがない。最後に、求核置換反応の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物は反応混合物から沈殿する。このことは、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのp−TSA塩の形態について特に当てはまるものである。これは本開示の方法の予期せぬ利点であり、最終的な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物の鏡像異性的および化学的な濃縮または精製のユニークな方法を提供する。
【0123】
本発明の追加的な実施形態は、図2中に図示したような、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩または2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基のいずれかの塩酸(hydrochloric acid:HCl)塩への変換を含む。例えば、いくつかの実施形態では、固体の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)を、エタノールなどのアルコール中へ再度溶解して、混合物を連続的に攪拌しながら約0と約5℃との間まで冷却する。濃塩酸、続いてメチルtert−ブチルエーテル(methyl tert−butyl ether:MTBE)などの溶媒を添加して、不溶性の4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩の結晶(10)が形成されるまでまたはまで、約0と約5℃との間で約0.5〜約3時間、混合物を攪拌する。反応混合物は次に濾過して、MTBE/アルコール溶液などの不活性溶媒中で洗浄し、真空下で乾燥した。この合成の詳細な実施例は実施例12にある。
【0124】
他の一実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)を、HClおよび酢酸イソプロピル(isopropyl acetate:IPAC)の濃縮溶液を用いてHCl塩に変換する。そうした実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)はIPACに溶解して約15℃に冷却した。次に約0.5時間〜3時間かけてスラリーへHCl(気体)の泡を注入して2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(10)を生成し、混合物を濾過して、例えばIPACなどの不活性溶媒で洗浄し、室温の真空下で乾燥した。この合成の詳細な実施例は実施例13にある。
【0125】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩は、あるいは図2に図示したように2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態へ変換することができる。例えば、一実施形態では、p−TSA 2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩(8)をジクロロメタン(dichloromethane:DCM)および水へ溶解する。溶液は次にNaOHを用いて約11〜12のpHにして、2相を形成する結果となる。水相は2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを含み、これをDCMで抽出して、硫酸マグネシウム(magnesium sulfate:MgSO4)上で乾燥して、セライト(登録商標)で濾過して富化した。富化した残留物はMTBE中に再度溶解して、スラリーとして数時間攪拌した。次に固体を濾過して、MTBEで洗浄し、約35℃の温度の真空下で乾燥した。最終産物は2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基(9)である。この合成の詳細な実施例は実施例14にある。
【0126】
他の一実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのスルホン酸またはハロゲン化物塩(8)を、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのp−TSA塩の水への溶解による2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態に変換して、溶液を約10℃の温度まで冷却する。pHを増加するために溶液へNaOHを添加して、溶液を希釈してDCM中で複数回抽出した。混合した有機相を次に洗浄して、MgSO4上で乾燥し、乾燥するまで濾過および濃縮をした。この合成の詳細な実施例は実施例15にある。
【0127】
いくつかの実施形態では、IPAC中の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール遊離塩基の冷却溶液へのHCl気体のバブリングによって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態を2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(9)へ変換する。あるいは、他の実施形態では、室温中でのオーバーナイトの濃塩酸との混合によって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態(9)を2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩(10)へ変換する。そういった方法の詳細な実施例は、それぞれ実施例16および17にある。さらに他の実施形態では、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの遊離塩基形態(9)を、約1〜4モル当量のフマル酸の添加によって、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−フマル酸塩(11)へ変換する。
【0128】
本開示の方法は時間をあまり必要とせず、容易に入手可能な出発原料を用い、有害または取り扱いの難しい試薬の利用を必要としない。本発明の一部として開示した方法の複数段階のそれぞれは、収率が高く、化学的および鏡像異性的に高い純度の産物を得られる。さらに、本願明細書で開示する手順は工業的規模での製造規模とすることができる。そのため、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを1kgまたはそれ以上、10kgまたはそれ以上、25kgまたはそれ以上の量で、大規模な医薬品用途の必要性を満たすのに必要なだけ製造することができる。
【0129】
本発明の実施形態は、本願明細書で開示する方法によって生産する、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの(6R)または(6S)のいずれかの純粋な鏡像異性体ともまた関連する。従って、本発明の一実施形態は、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの有機溶媒中への溶解工程、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩を生成するのに十分な条件下での、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールとスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルとの反応工程、および鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩の回収工程を含む処理によって調製した、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩である。
【0130】
本発明は上述した特定の実施形態に限定されると見なすべきではなく、添付の請求項によって適正に提示する発明の全ての態様を対象とすると理解されるべきである。様々な修正、同等な処理、および本発明を適用可能な多数の構造は、本願明細書の検討に関して本発明が対象とする当業者にとって容易で明白なものであろう。請求項はそうした修正および装置を対象とするべく意図している。本発明および、その方法および用いた材料を説明するための実施形態は、以下の非限定的な実施例への参照によってさらに理解が深まるであろう。
【0131】
実施例
上述のSN2置換反応を用いて2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを調製した。以下に述べる例となる反応条件A、B、およびC下で反応を行った。本開示の実施形態であるいくつかの条件のそれぞれを用いた合成例の結果を表1に記載した。本開示の条件A、B、およびCを用いた2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのいくつかの合成例を実施例1〜5に詳述し、結果を表1に示した。
【0132】
A:有機溶媒中に溶解したジアミンを、連続的に攪拌しながら約125℃以下の反応温度まで加熱した。ジイソプロピルエチルアミンおよび有機溶媒中に溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの溶液を、溶解して加熱したジアミンに数時間までかけてゆっくりと添加して混合物を形成し、この反応混合物を約4時間までの追加的な時間、反応温度にて攪拌した。
【0133】
B:有機溶媒中に溶解したジアミンを連続的に攪拌しながら約125℃以下の反応温度まで加熱した。ジメチルホルムアミドへ溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルの溶液を数時間までかけてゆっくりと添加して混合物を形成し、この反応混合物を約4時間までの追加的な時間、反応温度にて攪拌した。
【0134】
C:ジアミンをジメチルホルムアミド中へ溶解して、連続的に攪拌しながら約125℃以下まで加熱した。ジメチルホルムアミドおよびジイソプロピルエチルアミン中にスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを溶解した溶液を、数時間までの間ゆっくりと加熱ジアミンへ添加して、反応混合物を形成した。この反応混合物をさらに約4時間まで反応温度にて攪拌した。
【0135】
あるいは、ジメチルホルムアミド中に溶解したスルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピルを含む溶液の添加前に、ジイソプロピルエチルアミンを有機溶媒中に溶解した加熱ジアミンへ添加することができる。以上のように、スルホン酸n−プロピルまたはハロゲン化n−プロピル/ジメチルホルムアミド溶液は連続的に攪拌しながら数時間までかけてゆっくりと添加し、形成した反応混合物は約4時間まで反応温度にて攪拌する。
【0136】
それら産物は、高圧液体クロマトグラフィー(high pressure liquid chromatography:HPLC)によって、化学的および鏡像異性的な純度を解析した。産物の構造が2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールであることを確認するために、1H NMRおよび13C NMRもまた用いる。
【実施例1】
【0137】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件A
2.0リットルの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および500ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、45グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン、続いて750mlのn−プロパノールを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を95℃で15分以上加熱して透明な溶液を生成した。250ml n−プロパノール中の74グラムのプロピルトシラートおよび60mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を、4時間以上連続的に攪拌しながら2.0リットルのフラスコへ1滴ずつ添加した。95℃で追加的に8時間攪拌しながら反応を続けて、その後に溶液を室温へ移して、追加的に4時間攪拌を続けた。
【0138】
沈降物質を濾過によって収集して、それぞれ100mlの試薬グレードのアルコールを用いて3回洗浄した。アルコール洗浄した沈降ケーキを次に100mlのヘプタンで洗浄して、高真空下で2時間乾燥した。
【0139】
乾燥産物の最終重量は53.2グラム、52.2%の収率を示した。HPLCを用いて、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は98.2%、および鏡像異性的な純度は99.5%以上であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた。
【実施例2】
【0140】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件A
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて45mlのn−プロパノールを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を95℃で15分以上加熱して透明な溶液を生成した。16mlのn−プロパノール中の8.2グラムのプロピルトシラートおよび6.7mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を、2時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。95℃で追加的に6時間攪拌しながら反応を続けて、その後に溶液を室温へ移して、追加的に4時間攪拌を続けた。
【0141】
沈降物質を濾過によって収集して、それぞれ10mlの試薬グレードのアルコールを用いて3回洗浄した。アルコール洗浄した沈降ケーキを次に10mlのヘプタンで洗浄して、高真空下で2時間乾燥した。
【0142】
乾燥産物の最終重量は4.99グラム、44.2%の収率を示した。HPLCを用いて、(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は98.0%、および鏡像異性的な純度は99.6%以上であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例3】
【0143】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのラセミ混合物のp−TSA塩の調製:
条件A
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および100ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムの2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物、続いて80mlのn−プロパノールを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を95℃で15分以上加熱して透明な溶液を生成した。28mlのn−プロパノール中の10.1グラムのプロピルトシラートおよび8.2mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を、2時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。95℃で追加的に6時間攪拌しながら反応を続けて、その後に溶液を室温へ移して、追加的に6時間攪拌を続けた。
【0144】
沈降物質を濾過によって収集して、それぞれ25mlの試薬グレードのアルコールを用いて2回洗浄した。アルコール洗浄した沈降ケーキを次に25mlのヘプタンで洗浄して、高真空下で1時間乾燥した。
【0145】
乾燥産物の最終重量は5.12グラム、45%の収率を示した。HPLCを用いて、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物の化学的純度は97.1%、および鏡像異性的な純度は(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの1:1混合物であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例4】
【0146】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件B
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムの(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて50mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。6.3グラムのプロピルトシラートを、6時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
室温で追加的に12時間攪拌しながら反応を続けた。溶液を20ml MTBEで希釈し、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して、20ml MTBEで、続いてそれぞれ20mlのエタノールで2回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0147】
乾燥産物の最終重量は4.6グラム、40%の収率を示した。HPLCを用いて、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの化学的純度は94.9%、および鏡像異性的な純度は99.6%以上であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例5】
【0148】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件B
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ10グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて100mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。20ml DMF中の16.4グラムのプロピルトシラートの溶液を、追加漏斗へ注入した。この溶液を、1.5時間以上連続的に攪拌しながら250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
【0149】
75℃で追加的に12時間攪拌しながら反応を続け、その後溶液を室温へ移して、追加的に7時間攪拌を続けた。溶液を100ml MTBEで希釈し、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して100ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ50mlのエタノールで2回洗浄して、50mlのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0150】
乾燥産物の最終重量は9.81グラム、43.3%の収率を示した。HPLCを用いて、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの化学的純度は99.4%、および鏡像異性的な純度は99.8%以上であると決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例6】
【0151】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのラセミ混合物のp−TSA塩の調製:
条件B
250mlの3つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ5グラムのラセミ体−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて50mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。連続的に攪拌しながら9.5グラムを250mlフラスコへ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
【0152】
75℃で追加的に4時間攪拌しながら反応を続け、その後溶液を室温へ移して、追加的に12時間攪拌を続けた。溶液を20ml MTBEで希釈し、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して50ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ25mlのエタノールで3回洗浄して、沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0153】
乾燥産物の最終重量は2.9グラム、25.6%の収率を示した。HPLCを用いて、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ体の化学的純度は98.3%、および鏡像異性的な純度は(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの1:1混合物を示すことを決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例7】
【0154】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件C
12Lの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および500ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、250グラムの(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて2Lのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃の温度まで加熱した。500ml DMF中の386.6グラムのプロピルトシラートおよび322mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を2.0時間以上かけて12Lフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0155】
反応を65℃で追加的に5時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、オーバーナイトで攪拌した。溶液を2L MTBEで希釈して、追加的に0.5時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して500ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ500mlの試薬アルコールで3回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0156】
乾燥産物の最終重量は317.6グラム、56%の収率を示した。HPLCを用いて、(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は98.4%、および鏡像異性的な純度は99.8%以上であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた:1H NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ8.5(br.s,2H),7.5(d,2H)71.2(d,1H),6.8(s,2H),3.4(m,1H),2.95(m,3H),2.6(m,2H,DMSOピークと融合),2.3(s,3H),2.15(m,1H),1.8(m,1H),1.55(m,2H),0.9(t,3H)、13C NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ167.0,145.5,144.6,138.4,128.6,125.8,110.7,53.9,46.5,25.8,25.6,24.5,21.2,19.6,11.3.
【実施例8】
【0157】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件C
500mlの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および100ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、20グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて180mlのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃の温度まで加熱した。40ml DMF中の35.5グラムのプロピルトシラートおよび32.8mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を2.0時間以上かけて500mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0158】
反応を65℃で追加的に10時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、6時間攪拌した。溶液を220ml MTBEで希釈して、追加的に0.5時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して50ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ50mlの試薬アルコールで3回洗浄し、75mlのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0159】
乾燥産物の最終重量は25.4グラム、56%の収率を示した。HPLCを用いて、(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールの化学的純度は99.4%、および鏡像異性的な純度は99.7%以上であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた:1H NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ8.5(br.s,2H),7.5(d,2H)71.2(d,1H),6.8(s,2H),3.4(m,1H),2.95(m,3H),2.6(m,2H,DMSOピークと融合),2.3(s,3H),2.15(m,1H),1.8(m,1H),1.55(m,2H),0.9(t,3H).
【実施例9】
【0160】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのラセミ混合物のp−TSA塩の調製:
条件C
250mlの三つ口フラスコへ、マグネチックスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、還流冷却器、および50ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、5グラムのラセミ体−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて45mlのDMFを注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃の温度まで加熱した。10ml DMF中の8.86グラムのプロピルトシラートおよび8.2mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を連続的に攪拌しながら2時間以上かけて250mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応の進行はHPLCの解析でモニターした。
【0161】
65℃で追加的に6時間攪拌しながら反応を続けて、その後溶液を室温へ移した。溶液を70ml MTBEで希釈して、追加的に1時間攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して15ml MTBEで洗浄し、続いてそれぞれ15mlのエタノールで2回洗浄し、15mlのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0162】
乾燥産物の最終重量は6.02グラム、53.1%の収率を示した。HPLCを用いて、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物の化学的純度は99.2%、および鏡像異性的な純度は(6R)および(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの1:1混合物を示すことを決定した。1H NMRを構造の確認に用いた。
【実施例10】
【0163】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件E
1000mlの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および250ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、25グラムの(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて200mlのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。50ml DMF中の39.5グラムのプロピルトシラートおよび32.5mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を1.0時間以上かけて1000mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0164】
反応を75℃で追加的に5時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、オーバーナイトで攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して100ml MTBEで2回洗浄し、続いてそれぞれ75mlの試薬アルコールで3回洗浄して、125mlのヘプタンで1回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0165】
反応の結果は47%の収率となった。HPLCを用いて、鏡像異性的な純度は99.8%であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた。
【実施例11】
【0166】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の調製:
条件E
1000mlの三つ口フラスコへ、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、加熱マントル、クライゼン連結管、冷却器、および250ml追加漏斗を装着した。フラスコへ、25グラムの(6S)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール、続いて200mlのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を75℃の温度まで加熱した。50ml DMF中の39.5グラムのプロピルトシラートおよび32.5mlのジイソプロピルエチルアミンの溶液を追加漏斗へ注入した。この溶液を2.0時間以上かけて1000mlフラスコへ1滴ずつ添加した。反応はHPLCの解析でモニターした。
【0167】
反応を65℃で追加的に5時間続けて、その後溶液を徐々に室温まで冷却して、オーバーナイトで攪拌した。沈降物質を濾過によって収集して10ml MTBEで2回洗浄し、続いてそれぞれ75mlの試薬アルコールで3回洗浄して、125mlのヘプタンで1回洗浄した。洗浄した沈降ケーキを高真空下で乾燥した。
【0168】
反応の結果は47%の収率となった。HPLCを用いて、鏡像異性的な純度は99.8%であると決定した。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた。
【0169】
【表1】
【0170】
実施例11
出発原料中の濃縮種に基づいて(6R)または(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを調製するために、(6R)の(6S)に対する比率:80:20、20:80、85:15、15:85、90:10:10:90、95:5、および5:95を有する(6R)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールおよび(6S)2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールを鏡像異性的に富化した混合物の様々な比率のものを用いた。以下の反応条件を用いた:
F:2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール混合物を、10倍量のDMFおよび1.25モル当量のプロピルトシラートに65〜67℃で溶解した。反応物は次に室温まで冷却して、不溶性種を収集して8倍量のMTBEで洗浄した。
【0171】
G:2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール混合物を、18倍量のDMFおよび1.25モル当量のプロピルトシラートに65〜67℃で溶解した。反応物は次に室温まで冷却して、不溶性種を収集して8倍量のMTBEで洗浄した。
【0172】
H:2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール混合物を、10倍量のDMFおよび1.25モル当量のプロピルトシラートに65〜67℃で溶解した。反応物は次に室温まで冷却して、不溶性種を収集した。洗浄工程は行わなかった。
【0173】
結果は表2にまとめた。
【0174】
【表2】
【0175】
表2中のデータは、2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの両方の鏡像異性体が、全く同じではないにせよ、同様の溶解性を有することを示している。さらに、合成法は2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのいずれの鏡像異性体にも同様に有効であることをデータは示している。それらデータは、1つの鏡像異性体がもう一方の溶液中濃度に影響されないようであることから、鏡像異性体は互いに独立的に振る舞うということもまた示している。例えば、条件Fを用いて実行した様々な合成反応は全て約50%の化学的収率を有しており、出発原料の主要なジアミン鏡像異性体のパーセンテージに依存しない。合成反応に用いる有機溶媒の量を増加した場合、化学的収率は減少するが、しかし鏡像異性的収率は増加する。このことは条件FおよびGで行った反応の比較により明らかであり、(6R):(6S)ジアミンの比率85:15で反応に10倍量の有機溶媒を用いた場合には(6R)鏡像異性体が86.8%の鏡像異性的収率を有した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物を生成し、18倍量の有機溶媒を用いた場合には(6R)鏡像異性体の鏡像異性的な純度は99.8%であった。より多い量の有機溶媒を用いた反応では化学的収率が減少することにもまた留意されたい(条件Fでは43%、および条件Gでは36%)。
【0176】
表3では、回収工程がMTBEによる希釈を含まないこと以外、条件Hは条件Fと同様である。MTBEは2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの合成反応物からの回収(収率)を増加させることが観察されたが、しかし全体の鏡像異性的な純度を減少した。このことは(6R):(6S)ジアミンの比率85:15にて実行した試験結果の比較によって実証され、この試験は反応物がMTBE有機溶媒を含む場合には(6R)鏡像異性体に対して86.8%の鏡像異性的な純度を有する2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物、反応物がMTBE有機溶媒を含まない場合には(6R)鏡像異性体に対して99.9%の鏡像異性的な純度を有する産物を生成した。回収工程からMTBE希釈を除外することで化学的収率は減少する、条件Eにおける収率39%と対照的に、条件Cにおいては収率43%。
【実施例12】
【0177】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩(50グラム、0.13モル)を150ml無水エタノール中へ入れ、攪拌しながら0と5℃との間まで冷却した。温度を0と5℃との間に保ちながら、濃塩酸(33ml)をゆっくりと反応物へ添加して、混合物を追加的に15分間攪拌した。混合物へMTBE(200ml)を添加して、温度で追加的に1.5時間攪拌を続けた。反応混合物を次に濾過して、MTBE/エタノール溶液(2:1、洗浄量2×50ml)で2回洗浄し、30℃の真空下にてオーバーナイトで乾燥した。最終産物は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩が34グラム、収率は92%、HPLCでの決定によると化学的純度は97.3%を示した。
【実施例13】
【0178】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩(10グラム、0.026モル)を200ml IPACへ溶解して連続的に攪拌しながら15℃まで冷却した。HCl気体をスラリー中へ1時間バブリングした。混合物を次に濾過して、IPACで洗浄し、室温の真空下にてオーバーナイトで乾燥した。最終産物は6.8グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、収率は92%、HPLCでの決定によると化学的純度は97%を示した。
【実施例14】
【0179】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩(25グラム、0.065モル)を200ml DCMへ溶解してスラリーへと混合した。10mlの水を添加して、12mlの6N NaOHにてpH11〜12まで塩基性化した。2相を分離して、200mlのDCMで水相を抽出した。合成した有機相をMgSO4上で乾燥し、セライト(登録商標)で濾過して富化した。残留物を100ml MTBEに溶解して数時間かけてスラリーとした。次に固体を濾過して、MTBEで洗浄し、35℃の真空下で乾燥した。最終産物は9.1グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、収率は66%、HPLCでの決定によると化学的純度は98%を示した。
【実施例15】
【0180】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基への変換
遊離塩基形成を200グラムの規模で行った。5Lの3つ口丸底フラスコに、オーバーヘッドスターラー、温度計、および追加漏斗を装着して、200g(0.522モル)の(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩、および1Lの水を注入した。混合物を攪拌して10℃まで冷却した。200mlの6N NaOHを15分間以上かけてゆっくりと添加することで、スラリーをpH約11〜12まで塩基性化した。500mlの食塩水(塩化ナトリウムを水へ溶解した)で反応混合物を希釈して、3×1Lのジクロロメタンで抽出した。合成した有機相を1.0Lの食塩水で洗浄して、MgSO4上で乾燥し、濾過して乾燥するまで富化した。残留物を1Lの1:1 IPAC:ヘプタンで粉末化して、結果として得られたスラリーを1時間攪拌し、濾過して、濾過ケーキを2×250mlのIPAC:ヘプタンの1:1混合物で洗浄した。濾過ケーキを収集して40℃で高真空下にて24時間乾燥して、94.1グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン(85.5%)を白色固体として得た。HPLCで試験したところ化学的純度は100% AUCであり、HPLCで試験したところ鏡像異性的な純度は100% AUCであった。1H NMRおよび13C NMRを構造の確認に用いた:1H NMR(300MHz,DMSO−デルタ6)デルタ6.6(s,2H),2.8(m,2H),2.5(m,2H,DMSOピークと融合),2.2(m,1H),1.9(m,1H),1.5〜1.3(m,4H),0.85(t,3H)、13C NMR(300MHz,DMSO−d6)デルタ166.2,144.8,113.6,54.2,49.1,30.0,29.6,25.2,23.5,12.3.
【実施例16】
【0181】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基(4.8グラム、0.022モル)を200mlのIPACへ溶解して15℃まで冷却した。スラリー中へHCl気体を1時間バブリングした。混合物を次に濾過して、IPACで洗浄し、室温で真空下にてオーバーナイトで乾燥した。最終産物は6.4グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、100%の収率、およびHPLCによって決定したところ97%の化学的純度を示した。
【実施例17】
【0182】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基の、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩への変換
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの遊離塩基(50グラム、0.13モル)を500mlのIPACに溶解した。連続的に攪拌しながら、25℃の温度にて78mlの濃塩酸をゆっくりと注入した。混合物は室内環境(〜25℃)にてオーバーナイトで攪拌して、濾過し、40℃にて真空下で乾燥した。最終産物は68グラムの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン−二塩酸塩であり、収率95%を示した。
【実施例18】
【0183】
アキラルな酸添加を用いた(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの光学的精製
(6R)鏡像異性体に対して鏡像異性的富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール(〜300mg)を75℃にて10mlの選択した溶媒に溶解した。全てのサンプルにおいて完全な溶解を観察した。p−TSA(溶媒はエタノール、2.97mlの0.5M酸)およびMSA(溶媒はアセトニトリル、1.49mlの1.0M酸)ならば1.05モル当量、およびフマル酸(溶媒はアセトニトリル、5.84mlの0.5M酸)およびリン酸(溶媒はアセトニトリル、2.90mlの1.0M酸)ならば2.05モル当量にて酸添加した。反応混合物は25℃/時間の速度で室温まで冷却して、追加的に19時間室温で攪拌した。
【0184】
精製過程の産物の化学的および鏡像異性的な純度をHPLCによって解析した。図3Aは出発原料のHPLCトレースの一例を示している。図4Aでは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの大きなピークが約6分の箇所で観察され、約9分の箇所では(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのより小さなピークを見ることができる。それらピークの領域は、トレースの下の表中に示した混合物の推定組成を提供し、混合物が約90.2%(6R)および8.8%(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを含んでいることを示している。図3Bは、精製後の2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール産物のトレースの一例を示している。図3Bでは、(6R)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの大きなピークが約6分の箇所に観察され、(6S)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールのピークは見られない。さらに、産物のトレース中では幾つかの他の小さなピークもまた減少しており、トレースの下の表は(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンが産物溶液の検出限界である99.9%を構成することを示していることに留意されたい。それぞれの反応例を表3に提供した。
【0185】
【表3】
【0186】
この粉末化工程によって得た固体を濾過によって単離して、室温にて高真空下で乾燥した。それら産物は、HPLC、1H NMR、熱重量分析、示差走査熱量測定、粉末X線回折(X−ray powder diffraction:XPRD)、フーリエ変換赤外分光、および水分吸着分析(moister−sorption analysis)によって解析した。XPRDパターンは、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA、MSA、およびフマル酸塩形態が結晶質であり、一方で(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのリン酸塩形態は非結晶質であることを示した。
【実施例19】
【0187】
ジアミンのラセミ混合物の工業的規模での分離
72Lの被覆を取った反応器へ、2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールのラセミ混合物(4.5kg、26.6モル)および58.5Lの水を注入して、懸濁液として約60℃〜65℃の温度まで加熱した。鏡像異性体の分離は、4.5Lの水中の1当量の(D)−(−)−酒石酸(3991グラム、26.6モル)の添加によって達成して、その後に結果として得た溶液を約70℃〜75℃の温度まで加熱して、その温度を1時間維持した。混合物を約20℃〜25℃の温度まで冷却して追加的に15時間攪拌し、その後に混合物を濾過して固体を(それぞれ6.3Lの)水で3回洗浄した。
【0188】
ジアミンの(6R)鏡像異性体を含む湿った固体、続いて54Lの水を反応器へ入れて、混合物を約70℃〜75℃の温度で2時間加熱した。混合物を20℃〜25℃の温度まで冷却して17時間攪拌した。次に混合物を濾過して固体を(それぞれの洗浄につき4.5Lの)水で2回洗浄した。湿った固体を被覆した反応器へ移して、反応器へ8.1Lの水を注入した。混合物を約0℃〜5℃の温度へ冷却して、1.6Lの濃塩酸、続いて1.2Lの50% NaOHを注意深く注入してpHを約9〜10にした。添加の間は、温度を約0℃〜5℃に保ち、温度にて追加的に1時間攪拌した。結果として得た混合物を次に濾過して、固体を(それぞれの洗浄につき1.1L)の冷水(0℃〜5℃)で2回洗浄した。固体を被覆した反応器へ移して、0℃〜5℃にて4.5Lの水で再度スラリー化した。固体を濾過して暖かい空気(40℃〜45℃)下で乾燥し、(6R)鏡像異性体の収率86%にて、1940グラムの産物((6R)ジアミン)を白色固体として得た。
【0189】
ジアミンの(6S)鏡像異性体を含む、最初の分離工程の母液を濃縮して(6S)鏡像異性体が95.5%の収率のジアミンを得た。1000、4500、および4100グラムの出発原料を用いて実行した反応結果を表4に提供する。
【0190】
【表4】
【実施例20】
【0191】
プロピルトシラートの工業規模での調製
100Lの被覆したガラスの反応器へ、1−プロパノール(2.098kg、34.9モル)、トリエチルアミン(4.585kg、45.3モル、1.3当量)、およびDCM(20.1L)を注入した。混合物を約5℃〜15℃の温度まで冷却して、DCM(10.5L)中のp−トルエンスルホン酸クロリド(6kg、31.47モル、0.9当量)溶液を注意深く注入した。添加が終了したならば、混合物を約18℃〜22℃の温度まで温めて、12時間攪拌した。反応混合物を1H NMR(CDCl3中)で検査して完全であると判断した。温度を25℃以下に保ちながら注意深くHCl(6N、2.98L)を注入した。水相を除去して、有機相を水(それぞれの洗浄につき21L)で2回洗浄して、MgSO4で乾燥して、セライト(登録商標)で濾過した。濾過した固体を次にDCM(4L)で洗浄して、残留物まで富化した。残留物をヘプタン中へ溶解して再度濃縮して最終的なプロピルトシラートを得た(6.385kg、収率95%)。
【実施例21】
【0192】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのp−TSA塩の工業規模での調製:条件C
72リットルの被覆を取った反応器へ、1.84kg(10.87モル)の(6R)−2,6ジアミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾール((6R)ジアミン)、続いて14.7Lのジメチルホルムアミド(dimethyl formamide:DMF)を注入した。連続的に攪拌しながら、混合物を65℃と68℃との間の温度まで加熱した。3.5L DMF中の2926グラムのプロピルトシラートおよび1761グラムのジイソプロピルエチルアミンの溶液を2時間以上かけてゆっくりと添加した。67℃にて追加的に4時間反応を続けた後、溶液を室温(18℃〜22℃)まで徐々に冷却して、追加的に15時間攪拌した。30分以上の時間をかけて溶液を14.7LのMTBEで希釈して、追加的に1時間攪拌した。濾過によって沈降物質を収集して、7.3L MTBE、続いてそれぞれ3.7Lのエタノールで3回洗浄し、9.2Lのヘプタンで洗浄した。洗浄した沈降ケーキを30℃〜35℃にて高真空下で乾燥した。乾燥産物の最終重量は2090グラムであり、50%の収率を示した。
【実施例22】
【0193】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの純度
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの反復した6回の調製から、定量限界(Limit of Quantitation:LOQ)を0.05%の精度まで決定した。RSDは6.3%と測定され、S/N(signal to noise ratio(信号対雑音比))は61:1と測定された。LOQについてあらかじめ決定した合格基準はS/N≧10:1、RSD≦20.0%である。それら結果は大きなゆとりをもって合格基準を上回った。
【0194】
信号対雑音比レベルは、ポンプの振る舞い、ライン中の空気、移動相の脱気量、システム間の相違、および電子的ゆらぎを含む多くの理由によって変化する可能性がある。30:1のS/Nを生じる0.1%調製に基づいて、LODはあらかじめ0.03%と概算してあった。現行の0.05%のレベルが61:1のS/Nを生じるものの、この方法の全ての経緯に基づくと、推定LODは規定した0.03%のままとなる。
【0195】
線形性は、形式的に0.05%〜150%(0.2μg/mL〜600μg/mL)の範囲で決定した。この広い範囲における相関係数は0.9999と決定された。これは、あらかじめ規定した線形性の合格基準≧0.995を上回る。
【0196】
重量パーセントの測定は、94.0%の純度を有する現行の標準に対比して現状ベースに基づく。各サンプルは1回の注入で2つずつ準備した。純度データを表5に提供する。
【0197】
【表5】
【0198】
クロマトグラフの例を図4A〜Dに提供する。具体的には、図4Aはサンプル118のHPLCクロマトグラフである、図4Bはサンプル105のHPLCクロマトグラフである、図4Cはサンプル061のHPLCクロマトグラフである、および図4Dはサンプル326AのHPLCクロマトグラフである。これらのデータは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを100%の純度で調製したことを示している。
【実施例23】
【0199】
(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのプロピルトシラート濃度
1.5ppmで上昇するプロピルトシラートの回収を維持する一方で解析前に高レベルの(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを除去するために、固相抽出(solid phase extraction:SPE)法を開発した。SPEカートリッジ(Supelco Discovery DSC−18,6mL,1g)を前もって活性化(pre−activated)して、6mLのアセトニトリル(MeCN)、続いて6mLの水で洗浄した。5:95,MeCN/水と0.5%リン酸中で調製したKNS−760704の100mg/mL溶液を、次にSPEカートリッジへ導入した。プロピルトシラートは保持しつつ、追加的な5:95,MeCN/水と0.5%リン酸とを5mLによってSPEカートリッジから容易に洗浄するために、酸によって(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの極性を十分に維持する。次に、95:5 MeCN/水を5mL用いてSPEカートリッジから全てのプロピルトシラートを溶出する。幸いなことに、方法開発実験によって得た感度のため、サンプルのさらなる濃縮は必要ではなく、サンプルはそのまま解析した。95:5 MeCN/水中で調製した1.5ppm(0.15μg/mL)の標準的なプロピルトシラートとサンプルを比較した
SPEカートリッジから溶出したプロピルトシラートのUVスペクトルの例を図5に示した。
【0200】
SPEカートリッジから溶出した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのHPLCデータの例を図6Aおよび6Bに提供した。図6Aは、100mgのプロピルトシラートから調製したプロピルトシラート標準のHPLCクロマトグラフを示している。図6Bは、本発明の実施形態の方法によって調製した(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのサンプル1gのHPLCクロマトグラフを示している。プロピルトシラートに対応するピーク(右)が存在しないことを示す図6Bに提供するデータに基づいて、プロピルトシラートが無いことは明白である。
【実施例24】
【0201】
(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの鏡像異性的純度
上述に従って調製した(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンを、HPLC条件下でChiralpak IAカラムを用いて試験した。約25mgの(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンをカラムへ適用した。(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミン標準のHPLCトレースの例を図7Aに提供しており、(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンのサンプルのHPLCトレースを図7Bに提供した。試験データは表6に提供した。
【0202】
【表6】
【0203】
本発明は、それに関する特定の好ましい実施形態への非常に詳細な言及とともに記述したものの、他の変形例も可能である。従って、添付の請求項の要旨および範囲は、本願明細書に含まれる記述および好ましい形態に限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの調製方法であって、
化学式(1)の鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程であって、
【化9】
式中、
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル核は1または2のハロゲン原子で置換されていても良く、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル核はフッ素、塩素、または臭素原子で置換されていても良く、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表し、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素である、
前記加熱する工程と、
前記加熱溶液にプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも97%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は98%以上である。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は99%以上である。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は99.99%以上である。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は100%である。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を含まない。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を1.5ppm以下含む。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を2.5ppb以下含む。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの混合物を含み、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含むものである。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記混合物はラセミ混合物である。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した混合物は、比率が約1:4以上の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンから、約4:1の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含むものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記有機溶媒は、有機溶媒、および水と混合した有機溶媒から選択されるものである。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、前記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択されるものである。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、前記加熱および反応工程はそれぞれ独立的に攪拌する工程を含むものである。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、前記加熱、添加、および反応工程はそれぞれ独立的に約50℃〜約125℃の温度にて実施されるものである。
【請求項23】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記反応工程の後に前記反応混合物を約25℃の温度に冷却する工程を有するものである。
【請求項24】
請求項1記載の方法において、前記添加工程は約2時間実施されるものである。
【請求項25】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを回収する工程を有するものである。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、前記回収する工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される、1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項27】
請求項1記載の方法において、この方法は、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加するものである。
【請求項28】
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法であって、
4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程と、
前記加熱溶液に約0.5時間〜約2時間にわたりゆっくりとハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程と、
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも97%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項30】
請求項28記載の方法において、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項31】
請求項28記載の方法において、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項32】
請求項28記載の方法において、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99%以上である。
【請求項33】
請求項28記載の方法において、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.9%以上である。
【請求項34】
請求項28記載の方法において、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.99%以上である。
【請求項35】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は100%である。
【請求項36】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を含まないものである。
【請求項37】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンはアキラルな塩を1.5ppm以下含むものである。
【請求項38】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンはアキラルな塩を2.5ppb以下含むものである。
【請求項39】
請求項28記載の方法において、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンであり、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項40】
請求項28記載の方法において、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンであり、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項41】
請求項28記載の方法において、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの混合物を含み、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む。
【請求項42】
請求項41記載の方法において、前記混合物はラセミ混合物である。
【請求項43】
請求項41記載の方法において、前記混合物は、比率が約1:4以上の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンから、約4:1までの(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含むものである。
【請求項44】
請求項28記載の方法において、前記反応させる工程は約50℃〜約125℃において約12時間前記反応混合物を攪拌する工程を含むものである。
【請求項45】
請求項28記載の方法において、前記加熱、添加、および反応工程はそれぞれ独立的に、約50℃〜約125℃において実施されるものである。
【請求項46】
請求項28記載の方法において、前記加熱、添加、および反応工程はそれぞれ独立的に攪拌を含むものである。
【請求項47】
請求項28記載の方法において、前記回収する工程は、前記反応混合物を少なくとも約2時間攪拌する工程を含むものである。
【請求項48】
請求項28記載の方法において、前記回収する工程は、前記混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項49】
4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程と、
前記加熱溶液に約0.5時間〜約2時間にわたりゆっくりとハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を添加し、反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程と、
前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法によって調製される前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール。
【請求項50】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項51】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項52】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも97%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項53】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項54】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項55】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99%以上である。
【請求項56】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.9%以上である。
【請求項57】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.99%以上である。
【請求項58】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの混合物を含むものであり、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよびS(+)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの混合物を含むものである。
【請求項59】
請求項58記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記混合物はラセミ混合物である。
【請求項60】
請求項58記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記混合物は比率が4:1以上の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含むものである。
【請求項61】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記溶媒は、有機溶媒、および水と混合した有機溶媒から選択されるものである。
【請求項62】
請求項61記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択されるものである。
【請求項63】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記加熱、反応、および冷却工程はそれぞれ独立的に攪拌する工程を含むものである。
【請求項64】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記加熱、反応、および冷却工程は、それぞれ独立的に約50℃〜約125℃において実施されるものである。
【請求項65】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、この2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは、さらに、
前記反応工程の後に約25℃の温度まで反応混合物を冷却する工程を有するものである。
【請求項66】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記回収する工程は、前記反応混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項67】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加するものである。
【請求項68】
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法であって、
鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの有機溶媒中に溶解して溶液を形成する、前記溶解する工程と、
前記溶液を約50℃〜約125℃まで加熱する工程と、
前記溶液に酸を添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法。
【請求項69】
請求項68記載の方法において、約1モル当量〜約4モル当量の酸を添加するものである。
【請求項70】
請求項68記載の方法において、前記回収する工程は
前記反応混合物を約25℃の温度に冷却する工程、
少なくとも約2時間、前記反応混合物を攪拌する工程、
前記混合物の濾過して沈殿物を単離する、前記濾過する工程、
沈殿物を洗浄する工程、および
沈殿物を乾燥する工程
から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項71】
請求項70記載の方法によって調製した、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール。
【請求項72】
鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法であって、
鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの有機溶媒中に溶解して溶液を形成する、前記溶解する工程と、
前記溶液を約50℃〜約125℃に加熱する工程と、
前記溶液にアキラルな塩を添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法。
【請求項73】
請求項72記載の方法において、約1モル当量〜約4モル当量のアキラルな塩を添加するものである。
【請求項74】
請求項72記載の方法において、前記回収する工程は、
前記反応混合物を約25℃の温度に冷却する工程、
少なくとも約2時間の前記反応混合物を攪拌する工程、
前記混合物を濾過して沈殿物を単離する、前記濾過する工程、
沈殿物を洗浄する工程、および
沈殿物を乾燥する工程
から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項75】
請求項72記載の方法によって調製した、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール。
【請求項76】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩の調製方法であって、
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩の有機溶媒中への溶解し溶液を形成する、前記溶解する工程と、
約0℃〜約5℃の温度に前記溶液を冷却する工程と、
前記冷却溶液に濃塩酸および有機溶媒を添加する工程と、
約0℃〜約5℃の温度において前記溶液を攪拌する工程と
を有する方法。
【請求項1】
キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの調製方法であって、
化学式(1)の鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程であって、
【化9】
式中、
R1は水素原子、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、それぞれ3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜6の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし上述のフェニル核は1または2のハロゲン原子で置換されていても良く、
R2は水素原子、または1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R3は水素原子、1〜7の炭素原子を有するアルキル基、3〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基、1〜7の炭素原子を有するアルカノイル基、アルキル部分に1〜3の炭素原子を有するフェニルアルキルまたはフェニルアルカノイル基を表しており、ただし前記フェニル核はフッ素、塩素、または臭素原子で置換されていても良く、
R4は水素原子、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、3〜6の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキニル基を表し、
少なくとも1つまたはR1,R2,R3,またはR4は有機溶媒中の水素である、
前記加熱する工程と、
前記加熱溶液にプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも97%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は98%以上である。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は99%以上である。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は99.99%以上である。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は100%である。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を含まない。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を1.5ppm以下含む。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を2.5ppb以下含む。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを富化したものであり、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの混合物を含み、前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含むものである。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、前記混合物はラセミ混合物である。
【請求項18】
請求項16記載の方法において、前記鏡像異性的に富化した混合物は、比率が約1:4以上の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンから、約4:1の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含むものである。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、前記有機溶媒は、有機溶媒、および水と混合した有機溶媒から選択されるものである。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、前記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択されるものである。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、前記加熱および反応工程はそれぞれ独立的に攪拌する工程を含むものである。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、前記加熱、添加、および反応工程はそれぞれ独立的に約50℃〜約125℃の温度にて実施されるものである。
【請求項23】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記反応工程の後に前記反応混合物を約25℃の温度に冷却する工程を有するものである。
【請求項24】
請求項1記載の方法において、前記添加工程は約2時間実施されるものである。
【請求項25】
請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
前記キラル精製した置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを回収する工程を有するものである。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、前記回収する工程は、混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される、1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項27】
請求項1記載の方法において、この方法は、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加するものである。
【請求項28】
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法であって、
4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程と、
前記加熱溶液に約0.5時間〜約2時間にわたりゆっくりとハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程と、
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも97%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項30】
請求項28記載の方法において、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項31】
請求項28記載の方法において、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項32】
請求項28記載の方法において、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99%以上である。
【請求項33】
請求項28記載の方法において、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.9%以上である。
【請求項34】
請求項28記載の方法において、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.99%以上である。
【請求項35】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの化学的純度は100%である。
【請求項36】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは実質的にアキラルな塩を含まないものである。
【請求項37】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンはアキラルな塩を1.5ppm以下含むものである。
【請求項38】
請求項28記載の方法において、前記置換4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンはアキラルな塩を2.5ppb以下含むものである。
【請求項39】
請求項28記載の方法において、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンであり、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項40】
請求項28記載の方法において、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンであり、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンである。
【請求項41】
請求項28記載の方法において、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの混合物を含み、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよび(6S)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンの混合物を含む。
【請求項42】
請求項41記載の方法において、前記混合物はラセミ混合物である。
【請求項43】
請求項41記載の方法において、前記混合物は、比率が約1:4以上の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンから、約4:1までの(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含むものである。
【請求項44】
請求項28記載の方法において、前記反応させる工程は約50℃〜約125℃において約12時間前記反応混合物を攪拌する工程を含むものである。
【請求項45】
請求項28記載の方法において、前記加熱、添加、および反応工程はそれぞれ独立的に、約50℃〜約125℃において実施されるものである。
【請求項46】
請求項28記載の方法において、前記加熱、添加、および反応工程はそれぞれ独立的に攪拌を含むものである。
【請求項47】
請求項28記載の方法において、前記回収する工程は、前記反応混合物を少なくとも約2時間攪拌する工程を含むものである。
【請求項48】
請求項28記載の方法において、前記回収する工程は、前記混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項49】
4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含む溶液を加熱する工程と、
前記加熱溶液に約0.5時間〜約2時間にわたりゆっくりとハロゲン化プロピルまたはプロピルスルホン酸を添加し、反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
前記反応混合物を反応させる工程と、
前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法によって調製される前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール。
【請求項50】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記プロピルスルホン酸は、n−プロピルトシラート、メトキシスルホン酸n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項51】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記ハロゲン化プロピルは、臭化n−プロピル、塩化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、およびそれらの組合せから選択されるものである。
【請求項52】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも97%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項53】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項54】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは少なくとも99.9%以上は鏡像異性的に純粋である。
【請求項55】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99%以上である。
【請求項56】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.9%以上である。
【請求項57】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの化学的純度は99.99%以上である。
【請求項58】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンは(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンの混合物を含むものであり、前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−N6−プロピル−2,6−ベンゾチアゾール−ジアミンおよびS(+)2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの混合物を含むものである。
【請求項59】
請求項58記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記混合物はラセミ混合物である。
【請求項60】
請求項58記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記混合物は比率が4:1以上の(6R)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンおよび(6S)4,5,6,7−テトラヒドロ−ベンゾチアゾールジアミンを含むものである。
【請求項61】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記溶媒は、有機溶媒、および水と混合した有機溶媒から選択されるものである。
【請求項62】
請求項61記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記有機溶媒は、エタノール、1−プロパノール、n−ブタノール、ジヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはそれらの混合物または水和物から選択されるものである。
【請求項63】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記加熱、反応、および冷却工程はそれぞれ独立的に攪拌する工程を含むものである。
【請求項64】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記加熱、反応、および冷却工程は、それぞれ独立的に約50℃〜約125℃において実施されるものである。
【請求項65】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、この2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールは、さらに、
前記反応工程の後に約25℃の温度まで反応混合物を冷却する工程を有するものである。
【請求項66】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、前記回収する工程は、前記反応混合物を濾過して沈殿物を単離する前記濾過する工程、沈殿物を洗浄する工程、および沈殿物を乾燥する工程から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項67】
請求項49記載の前記キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールにおいて、約1.0〜約2.0モル当量のプロピルスルホン酸またはハロゲン化プロピルを添加するものである。
【請求項68】
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法であって、
鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの有機溶媒中に溶解して溶液を形成する、前記溶解する工程と、
前記溶液を約50℃〜約125℃まで加熱する工程と、
前記溶液に酸を添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法。
【請求項69】
請求項68記載の方法において、約1モル当量〜約4モル当量の酸を添加するものである。
【請求項70】
請求項68記載の方法において、前記回収する工程は
前記反応混合物を約25℃の温度に冷却する工程、
少なくとも約2時間、前記反応混合物を攪拌する工程、
前記混合物の濾過して沈殿物を単離する、前記濾過する工程、
沈殿物を洗浄する工程、および
沈殿物を乾燥する工程
から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項71】
請求項70記載の方法によって調製した、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール。
【請求項72】
鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの調製方法であって、
鏡像異性的に富化した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールの有機溶媒中に溶解して溶液を形成する、前記溶解する工程と、
前記溶液を約50℃〜約125℃に加熱する工程と、
前記溶液にアキラルな塩を添加して反応混合物を形成する、前記添加する工程と、
キラル精製した2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾールを回収する工程と
を有する方法。
【請求項73】
請求項72記載の方法において、約1モル当量〜約4モル当量のアキラルな塩を添加するものである。
【請求項74】
請求項72記載の方法において、前記回収する工程は、
前記反応混合物を約25℃の温度に冷却する工程、
少なくとも約2時間の前記反応混合物を攪拌する工程、
前記混合物を濾過して沈殿物を単離する、前記濾過する工程、
沈殿物を洗浄する工程、および
沈殿物を乾燥する工程
から選択される1若しくはそれ以上の工程を含むものである。
【請求項75】
請求項72記載の方法によって調製した、鏡像異性的に純粋な2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール。
【請求項76】
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール−二塩酸塩の調製方法であって、
2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−6−(プロピルアミノ)ベンゾチアゾール塩の有機溶媒中への溶解し溶液を形成する、前記溶解する工程と、
約0℃〜約5℃の温度に前記溶液を冷却する工程と、
前記冷却溶液に濃塩酸および有機溶媒を添加する工程と、
約0℃〜約5℃の温度において前記溶液を攪拌する工程と
を有する方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【公表番号】特表2010−521496(P2010−521496A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553834(P2009−553834)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/057158
【国際公開番号】WO2008/113056
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508340488)ノップ ニューロサイエンシーズ、インク. (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/057158
【国際公開番号】WO2008/113056
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508340488)ノップ ニューロサイエンシーズ、インク. (6)
【Fターム(参考)】
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