説明

キーシステム

【課題】一回のコインの投入でコインロッカーからの荷物の出し入れが何回でも行えるようにする。
【解決手段】有料硬貨通路8に所定枚数のコインが導入された際にこれを検知し、さらに投入されたコインをデポジット硬貨通路9側に案内させる通路切替レバー10と、デポジット硬貨通路9内へのコインの余剰導入を阻止する余剰貨投入防止レバー11と、施錠状態にあるカスタムキー挿入シリンダー28からカスタムキーQを引き抜いた際に退避する係脱ピン19を介して開くことで有料硬貨通路8内に停留しているコインを落下させる枚数切替プレート23と、ロッカー使用後リターン停留フラケット16を開きデポジット硬貨通路9に停留しているコインを落下させるリセット用プッシュピン12を備えて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインロッカー等で所定枚数のコインで何回でも荷物の出し入れを可能としたキーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コインロッカーのキーシステムは、扉を開けてコインロッカー内に荷物を入れ、コイン投入口から所定枚数のコインを投入してから扉を閉め、予めキーシリンダーに挿入されているカスタムキーを施錠方向に回動してから引き抜き、利用者はこのカスタムキーを所持するものとしていた。
【0003】
しかしながら、従来におけるキーシステムは、所定枚数のコインでもって荷物の出し入れを一回しか行なうことができず、何回もの荷物の出し入れのためにコインロッカーを開け閉めをしたいときは、その都度、コインを投入しなければならなかった。
【0004】
このような欠点を解消すべく従来では、コインロッカーのキーシステムにおけるカスタムキーを一度施錠した後に当該カスタムキー自体をカスタムキー挿入シリンダーから抜き出しても、最終的にはリセット用プッシュピンを押さない限り、カスタムキーを使って何回でも扉の開閉が行なうことができ、これによって新たにコインをコイン投入口に投入しなくてもコインロッカーからの荷物の出し入れが何回でも行うことができるキーシステムが提供されている。すなわち、コイン投入口に連続して回収コイン通路とコイン返却口に連通する返却コイン通路を並設し、両通路にコインを投入することで、リセット用プッシュピンを押さない限り、カスタムキーを使って何回でも扉の開閉が行なうことができ、最終的にコインロッカーの使用をやめる場合に、解錠状態でリセット用プッシュピンを押すことで、回収コイン通路のコインを落下回収させ、且つ返却コイン通路のコインをコイン返却口に落とすものとなっている。
【0005】
さらに、このような従来のコインロッカーのキーシステムを具体化するものとして、特許文献1に開示されているようなコインロッカー用錠装置がある。すなわち、コイン投入口に連続して回収コイン通路とコイン返却口に連通する返却コイン通路を並設し、各通路にコイン保持プレートを回動可能に設け、コイン保持プレートのコインストッパーを両通路に進入させてコインを支持し、施錠状態において、施錠桿駆動レバーに設けた移動拘束部材がコイン保持プレートの動作を拘束し、コイン釈放操作軸の動作を駆動コイルバネが収縮することで吸収させ、解錠状態においてはコイン釈放操作軸の動作を駆動コイルバネを介してコイン保持プレートに伝達することでコインストッパーが保持するコインを釈放するものである。
【特許文献1】特開2002−269634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来におけるキーシステムは、何回もの荷物の出し入れのためにコインロッカーの使用を新たなコインの投入無しで自由に行えるものの、最終使用以前の操作中に利用者が誤ってリセット用プッシュピンを押してしまうことが多々にしてあり、これにより使用途中にもかかわらず回収コイン通路が開き、保留中のコインが落下、回収されてしまうものであった。このため、新たにコインを投入後、再操作しなければ再利用できない不便があった。
【0007】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、コインロッカーのキーシステムにおけるカスタムキーを一度施錠した後に当該カスタムキー自体をカスタムキー挿入シリンダーから抜き出しても、最終的にはリセット用プッシュピンを押さない限り、カスタムキーを使って何回でも扉の開閉が行なうことができると共に、使用中に利用者が誤ってリセット用プッシュピンを押してしまっても、新たにコインをコイン投入口に投入後、再操作することなくコインロッカーからの荷物の出し入れが何回でも行うことができ、さらに、施錠後にカスタムキーをカスタムキー挿入シリンダーから抜き出した際に、返却コイン通路のコインを停留させたまま、回収コイン通路内のコイン全てを予め回収させることで、以後は返却コイン通路に停留させてあるコインのみによりカスタムキーを使って何回でも扉の施錠・解錠を容易に行なうことができるようにしたキーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、カスタムキー挿入シリンダー、コイン投入口、コイン返却口それぞれを備えた前面フレームと、コイン投入口から通じる有料硬貨通路、デポジット硬貨通路それぞれを形成すべく前面フレームの側面に形成したサイドフレームとを備えたキーシステムであって、有料硬貨通路に所定枚数のコインが導入された際にこれを検知し、さらに投入されたコインをデポジット硬貨通路側に案内させる通路切替レバーと、デポジット硬貨通路内へのコインの余剰導入を阻止する余剰貨投入防止レバーと、施錠状態にあるカスタムキー挿入シリンダーからカスタムキーを引き抜いた際に退避する係脱ピンを介して開くことで有料硬貨通路内に停留しているコインを集金ボックス内に落下させる枚数切替プレートと、ロッカー使用後リターン停留フラケットを開きデポジット硬貨通路に停留しているコインを落下させるリセット用プッシュピンを備えたものである。
【0009】
枚数切替プレートの回動軸側には、リターン貨仮止めレバーが回動可能に取り付けられ、該リターン貨仮止めレバー下部側の一端に突出した突起がリターン停留ブラケットの係止片とは反対側の上面に載架され、上部側の他端に突出した突起が通路切替えレバーの有料硬貨通路側の突起上に配置されており、有料硬貨通路側にコインが停留しているときには、通路切替えレバーの突起がリターン貨仮止めレバーの突起と共にコインによって押し上げられ、リターン貨仮止めレバーの他方の突起により、リターン停留ブラケットが係止され、リターン停留ブラケットの開方向への動作を阻止することで、コイン投入後施錠前にリセット用プッシュピンを押してもデポジット硬貨通路内のコインをコイン返却口に落下させないように保持させるようにしたものである。
【0010】
ラッチレバーブラケットの周側面の他方側に突出した突起にはリターンストッパーが係合され、カスタムキーによるラッチレバーブラケットの施錠回転位置においては、リターンストッパーがリターン停留ブラケットの突起を介して当該リターン停留ブラケットの開方向への回転を阻止して常時閉鎖された状態を維持することで、リセット用プッシュピンの押圧操作を行なってもリターン停留ブラケットのコインストップネジによってデポジット硬貨通路内にコインが停留維持されるものとすることができる。
【0011】
また、ラッチレバーブラケットの先端には、一回転方向に回動付勢させたコインチェッカーと、このコインチェッカーと同軸で、左右両回転方向に揺動自在となって枢着されたチェッカーストッパーとを備え、コインチェッカーの先端側は、デポジット硬貨通路内にコインが停留している時にはデポジット硬貨通路から退避され、ラッチレバーブラケットのカスタムキーによる施錠方向への回転が許容され、デポジット硬貨通路内にコインが停留していない時には、コインチェッカーを係止させてカスタムキーによるラッチレバーブラケットの回転を阻止するものとし、さらにラッチレバーブラケットからのカスタムキーの引き出しにより、チェッカーストッパーによってコインチェッカーの回転を阻止するものとして構成することができる。
【0012】
さらに、コイン投入口の後方側には、一端を支点として回動可能としたセレクターアームと、該セレクターアームの先端側を係入させた状態で回動可能としたV字形状のリンクプレートとが配され、コイン投入口から投入された適正寸法のコインだけがセレクターアームを支点を回転中心にして押し上げ、該セレクターアーム先端がリンクプレートのV字形状のアーム一端側を上方へ回動させるのと一体となってV字形状のアーム他端側が上方へ押し上げ退避させられることでコインを案内可能とした。
【0013】
以上のように構成された本発明に係るキーシステムにあって、システム本体上側のコイン投入口に所定枚数を投入されたコインは、システム本体内部の有料硬貨通路およびデポジット硬貨通路で一時停留され、その間は扉を閉めてからカスタムキーを施錠状態にしても、リセット用プッシュピンを押さない限りは、再度カスタムキーを解錠状態にして扉を開放可能にさせる。
【0014】
そして、扉を閉めた状態でカスタムキーを引き抜いた時点で、システム本体内部の有料硬貨通路に停留していたコインを、下方側にある集金ボックス内に落下させる。このとき、システム本体内部のデポジット硬貨通路にあるコインはこのまま停留されている。
【0015】
また、カスタムキーの施錠状態でリセット用プッシュピンの押圧操作を行なってもリターンストッパーがリターン停留ブラケットの突起を介して当該リターン停留ブラケットの開方向への回転を阻止しているため、リターン停留ブラケットのコインストップネジによってデポジット硬貨通路内にコインが停留維持される。これにより、施錠後に利用者が使用をやめる意志がないにもかかわらず誤ってリセット用プッシュピンを押してしまってもコインは返却されず、カスタムキーによる再度の施錠・解錠操作が可能となる。
【0016】
而して、コインロッカーの使用を最終的にやめる場合には、カスタムキーの解錠状態でリセット用プッシュピンを押すことで、システム本体内部のデポジット硬貨通路に停留されているコインをシステム本体下側の返却口に落下させて利用者に返却され、カスタムキーによる施錠が不可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コインロッカーのキーシステムにおけるカスタムキーを一度施錠した後に当該カスタムキー自体をカスタムキー挿入シリンダーから抜き出しても、最終的にはリセット用プッシュピンを押さない限り、カスタムキーを使って何回でも扉の開閉が行なうことができると共に、使用中に利用者が誤ってリセット用プッシュピンを押してしまっても、新たにコインをコイン投入口に投入することなくコインロッカーからの荷物の出し入れが何回でも行うことができ、さらに、施錠後にカスタムキーをカスタムキー挿入シリンダーから抜き出した際に、返却コイン通路のコインを停留させたまま、回収コイン通路内のコインを全てを予め回収させることで、以後は返却コイン通路内に停留されているコインのみによりカスタムキーを使って何回でも扉の施錠・解錠を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明すると、図において示される符号1は、コインロッカーにおける本発明に係るキーシステムのシステム本体であり、該システム本体1は、図1以下に示すように、カスタムキー挿入シリンダー28、スライドフレーム30に連繋したマスターカム31を有するマスターキー挿入シリンダー29、リセット用プッシュピン12、コイン投入口26、コイン返却口27それぞれを備えた前面フレーム2と、コイン投入口26から通じる有料硬貨通路8、デポジット硬貨通路9それぞれを形成するためにコインメカフレーム7で隔てられた左側サイドフレーム3と、該左側サイドフレーム3に対向してスライドフレーム30を配した前面フレーム2右側に形成され、コインロッカーの扉の取っ手側に対向するロッカー開口縁部に固定される右側サイドフレーム4とによって構成されている。
【0019】
また、図7に示すように、コイン投入口26の後方側には、一端を支点として回動可能としたセレクターアーム24と、該セレクターアーム24の先端側を係入させた状態で回動可能とした略V字形状のリンクプレート25とが配されおり、コイン投入口26からコインPが投入されると、例えば500円玉等の大径のコインPの場合には、入口の投入枠より入らないものとなり、また例えば1円玉等の小径のコインPの場合には、リンクプレート25の先端側で規制されて入らないものとなっている。そして、コイン投入口26から投入される100円玉による適正寸法のコインPだけがセレクターアーム24を支点を回転中心にして押し上げ、該セレクターアーム24先端がリンクプレート25のV字形状のアーム一端側を上方へ回動させるのと一体となって略V字形状のアーム他端側が上方へ押し上げ退避させられることで当該コインPが通過するようになっている。
【0020】
コインメカフレーム7の表面上側には、両側支持部によって揺動可能とした通路切替えレバー10が傾斜して配され、該通路切替えレバー10の両端後側ににそれぞれ突設した突起10a、10bが、有料硬貨通路8、デポジット硬貨通路9それぞれに対応すべくコインメカフレーム7に穿設した孔部を介して、有料硬貨通路8、デポジット硬貨通路9それぞれに臨み込ませるようにしてある。これにより、コイン投入口26から投入されたコインPは、先ず有料硬貨通路8側に所定の枚数だけ案内され、最後のコインPが有料硬貨通路8に入ると、通路切替えレバー10の一方の突起10bがコインP表面によって押されて退避されると同時に他方の突起10aも一体となって退避されるため、コイン投入口26から更に投入されたコインPは、有料枚数の最後のコインPの有るのを検知してデポジット硬貨通路9側へ案内されるものとしてある。
【0021】
さらに、通路切替えレバー10に並行して、コインメカフレーム7の表面上側には、両側支持部によって揺動可能とした余剰貨投入防止レバー11が配され、該余剰貨投入防止レバー11の両端に互いに逆向きとなって突設した突起11a、11bが、デポジット硬貨通路9の上下2箇所に対応すべくコインメカフレーム7に穿設した孔部を介して、デポジット硬貨通路9内に余剰貨投入防止レバー11の梃子動作によって上下交互に臨み込ませるようにしてある。
【0022】
これにより、デポジット硬貨通路9内に最後のコインPが入ると余剰貨投入防止レバー11の下側の突起11bがコインP表面によって押されてデポジット硬貨通路9から退避されると同時に他方の突起11aは余剰貨投入防止レバー11の梃子動作によってデポジット硬貨通路9内の上方に突入されてコイン投入口26からこれ以上コインPが投入されないようにしてある。
【0023】
カスタムキー挿入シリンダー28のラッチレバーブラケット18は、扉が閉まった際の扉チェッカープレート(前面フレーム2の表面に突出する)が押し込まれた状態で、ラッチレバーブラケット18の係止が外れて、カスタムキー挿入シリンダー28に挿入されたカスタムキーQによってラッチLが突出する施錠方向またはラッチLが退避する解錠方向のいずれか側に回動可能となっている。
【0024】
また、ラッチレバーブラケット18の後端側には、施錠状態にあるカスタムキー挿入シリンダー28にカスタムキーQが挿入された際に押圧されて後方側へ突出されるものとした係脱ピン19が擢動自在に配されており、該係脱ピン19によって係脱プレート22が押されることで枚数切替プレート23の上下所要位置がコインメカフレーム7側に閉じ、枚数切替プレート23に設けられたコインストップネジ23a先端部が、有料硬貨通路8に沿ってコインメカフレーム7に穿設された孔部から、有料硬貨通路8内に突入されてコインPの落下を阻止している。
【0025】
そして、施錠状態にあるカスタムキー挿入シリンダー28からカスタムキーQを引き抜くことで、係脱ピン19が退避され、係脱プレート22を介して、枚数切替プレート23が自体のバネによる回動付勢によってインメカフレーム7から開き、コインストップネジ23aの先端部が孔部から離脱されて有料硬貨通路8内のコインPを下方側にある不図示の集金ボックス内に落下させるようにしてある。すなわち、第1回目の施錠後カスタムキー挿入シリンダー28からカスタムキーQを引き抜いた段階で既に有料硬貨通路8内の全てのコインPが下方の集金ボックス内に落下するものとなっている。したがって、第2回目以降の施・解錠によって従来のキーシステムのように有料硬貨通路8内のコインPがリセット用プッシュピン12の押圧操作によって枚数切替プレート23が開いて落下するようなことはそもそもありえないのである。
【0026】
有料硬貨通路8に沿って形成されている孔部および該孔部に対応して枚数切替プレート23に取り付けられるコインストップネジ23aそれぞれの位置は、有料硬貨通路8に保留されるコインPの枚数に応じてかつ上下方向へ所定の間隔を置いて設定される。すなわち、図12示すように、有料硬貨通路8に100玉コインを三枚保留させ且つデポジット硬貨通路9内に100玉コインPを一枚保留させる仕様によって構成されている場合には、最後の三枚目のコインPが通路切替えレバー10の一方の突起10bの位置に来るように、一枚目のコインPがコインストップネジで係止される有料硬貨通路8の途中位置に対応してコインストップネジ23aが取り付けられる。このとき、四枚目のコインPは通路切替えレバー10の検知によってデポジット硬貨通路9内に導入される。
【0027】
また、図13に示すように、有料硬貨通路8に100玉コインPを五枚保留させ且つデポジット硬貨通路9内に100玉コインPを二枚保留させる仕様によって構成されている場合には、最後の五枚目のコインPが通路切替えレバー10の一方の突起10bの位置に来るように、一枚目のコインPがコインストップネジで係止される有料硬貨通路8の最下端位置に対応してコインストップネジ23aが取り付けられる。このとき、六枚目および七枚目のコインPは通路切替えレバー10の検知によってデポジット硬貨通路9内に導入される。
【0028】
ラッチレバーブラケット18の周側面は軸方向の一方側に突出してあり、その先端における一側面側に弦巻バネを係架配置させることでラッチレバーブラケット18自体をラッチLが退避する解錠方向に常時回動付勢させてある。また、ラッチレバーブラケット18の先端における軸方向の他側面側には、弦巻バネを介して一回転方向(図中反時計廻り)に回動付勢させたコインチェッカー20と、このコインチェッカー20と同軸で、左右両回転方向に揺動自在となるチェッカーストッパー21とが枢着されている。
【0029】
こうして、デポジット硬貨通路9内にコインPが停留している時には、コインチェッカー20の先端がコインP表面によって押されてデポジット硬貨通路9から退避されるものとなってラッチレバーブラケット18のカスタムキーQによる施錠方向への回転が許容される。このとき、コインPは、デポジット硬貨通路9内に突出しているリターン停留ブラケット16のコインストップネジ16aによって係止されている。
【0030】
そして、チェッカーストッパー21の先端は二股となって前記係脱ピン19を挟み込むように連繋し、カスタムキー挿入シリンダー28に挿入したカスタムキーQの押し込み乃至引き出しによる係脱ピン19の進出・退避移動に伴ってチェッカーストッパー21の先端は前後に揺動するようにしてある。
【0031】
すなわち、カスタムキーQによる施錠後、当該キーQを引き出したときはコインチェッカー20の上端に設けられた係止爪(不図示)によってチェッカーストッパー21の上縁は係止されており、一方解錠のためのカスタムキーQの押し込みによって係脱ピン19が進出することに伴いチェッカーストッパー21が前方へ揺動してコンチェッカー20の当該係止爪から離脱するものとなっている。これによって、カスタムキーQの解錠方向への回動が許容されるものとなりラッチLのロッカー本体に対する係合が解かれる。
【0032】
また、前記したリセット用プッシュピン12の先端は、中央支点部を介して前後に揺動可能としたリターンアーム13の一端側にコイルスプリングを介して連繋され、リターンアーム13の他端側には、L字形状のリターン板バネ14が取り付けられている。このリターン板バネ14の先端は、コインメカフレーム7に対して開閉動可能に配され且つバネにより閉方向に付勢されているリターン停留ブラケット16の後端に垂直に立設されている係止片16aに係合されている。
【0033】
さらに、図2、図5および図10に示すように、枚数切替プレート23の回動軸側には、リターン貨仮止めレバー17が回動可能に取り付けられ、該リターン貨仮止めレバー17下部側の一端に突出した突起17aがリターン停留ブラケット16の係止片16aとは反対側(前端側)の上面に載架され、上部側の他端に突出した突起17bが前記通路切替えレバー10の有料硬貨通路8側の突起10bの切欠き上に配置されている。
【0034】
そして、有料硬貨通路8側にコインPが停留しているときには、通路切替えレバー10の突起10bがリターン貨仮止めレバー17の突起17bと共にコインPによって押し上げられ、リターン貨仮止めレバー17の他方の突起17aにより、リターン停留ブラケット16が係止され、リターン停留ブラケット16の開方向への動作を阻止することで、リセット用プッシュピン12を押してもリターン停留ブラケット16のコインストップネジ16bはデポジット硬貨通路9内に挿入された状態を維持してデポジット硬貨通路9内のコインPをコイン返却口27に落下させないようにしてある。
【0035】
また、ラッチレバーブラケット18の周側面の他方側(下方位置)には突起18aが設けられると共に、この突起18a背面の基端と先端下方には係止ピン18b、18cがそれぞれ突設されている。
【0036】
このうち、突起18aの係止ピン18bはリターンストッパー15に対して係・脱自在となっており、カスタムキーQによるラッチレバーブラケット18の施錠回転位置においては、当該係止ピン18bがリターン停留ブラケット16の係止片16aを介してこのリターン停留ブラケット16の開方向への回転を阻止して常時閉鎖された状態を維持することで、リターン停留ブラケット16のコインストップネジ16bによってデポジット硬貨通路9内にコインPが停留維持されるようにしてある。これにより、カスタムキーQの施錠状態で利用者が誤ってリセット用プッシュピン12の押圧操作を行なってもリターン板バネ14がリターン停留ブラケット16へ係止されて開方向への回転が阻止されるためデポジット硬貨通路9内に停留しているコインPをコイン返却口27に落下させないように保持される。
【0037】
一方、カスタムキーQによるラッチレバーブラケット18の解錠回転位置においては、突起18の係止ピン18bによるリターン停留ブラケット16の係止片16aに対する係止が解除され当該リターン停留ブラケット16の開方向への回転を許容するため、リセット用プッシュピン12の押圧操作によりリターンアーム13を介してリターン停留ブラケット16が開方向に回動し、リターン停留ブラケット16のコインストップネジ16bがデポジット硬貨通路9内から退避されることによってデポジット硬貨通路9内に停留していたコインPをコイン返却口27に落下させるようにしてある。
【0038】
さらに、カスタムキーQによるラッチレバーブラケット18の施錠位置においては、その突起18a先端に設けられた係止ピン18cがリターンストッパー15基端に設けられた突起15aに係止してこれを図4の時計廻り方向へ回動させ、リターンストッパー15の基端に設けられた遮蔽部15bをコイン返却口27に臨ませるものとなっている。これによってコイン返却口27は閉鎖され、停留中のコインPの抜き取り等を防止することが可能となっている。
【0039】
次に、以上のように構成された最良の形態についての使用、動作の一例について説明すると、先ず、コインロッカーの扉を開けてから該ロッカー内に荷物を入れ、システム本体1のコイン投入口26から所定枚数のコインPを投入する。このとき、カスタムキー挿入シリンダー28にカスタムキーQが挿入されているため、押圧されて後方側へ突出されている係脱ピン19によって係脱プレート22が押されていることで枚数切替プレート23がコインメカフレーム7側に閉じ、枚数切替プレート23に設けられたコインストップネジ23aが、有料硬貨通路8に沿ってコインメカフレーム7に穿設された孔部から、有料硬貨通路8内に突入されてコインPの落下を阻止している。
【0040】
図12に示すように、有料硬貨通路8に100玉コインを三枚保留させ且つデポジット硬貨通路9内に100玉コインPを一枚保留させる仕様によって構成されている場合には、一枚目のコインPがコインストップネジ23aで係止され、最後の三枚目のコインPが通路切替えレバー10の一方の突起10bの位置に来る。そして、四枚目のコインPは通路切替えレバー10の検知によってデポジット硬貨通路9内に導入される。
【0041】
また、図13に示すように、有料硬貨通路8に100玉コインを五枚保留させ且つデポジット硬貨通路9内に100玉コインPを二枚保留させる仕様によって構成されている場合には、一枚目のコインPがコインストップネジ23aで係止され、最後の五枚目のコインPが通路切替えレバー10の一方の突起10bの位置に来る。そして、六枚目および七枚目の二つのコインPは通路切替えレバー10の検知によってデポジット硬貨通路9内に導入される。このコインPは、デポジット硬貨通路9内に突出しているリターン停留ブラケット16のコインストップネジ16aによって係止される。
【0042】
また、デポジット硬貨通路9内にコインPが停留している時には、コインチェッカー20の先端側はコインP表面によって押されてデポジット硬貨通路9から退避されるものとなってラッチレバーブラケット18のカスタムキーQによる施錠方向への回転が許容されるものとなっている。
【0043】
そして、扉を閉めてからカスタムキーQをカスタムキー挿入シリンダー28から引き抜くと係脱ピン19が退避し、係脱プレート22を介して、枚数切替プレート23が自体の回動付勢によってコインメカフレーム7から開き、コインストップネジ23aが孔部から離脱され、有料硬貨通路8内に停留していたコインPは下方側にある不図示の集金ボックス内に落下される。
【0044】
その後、デポジット硬貨通路9内にコインPが停留している間は、扉チェッカープレートが扉によって押されている限り、カスタムキー挿入シリンダー28に挿入されているカスタムキーQの施錠回転または解錠回転が何度でも行えるものとなる。また、カスタムキーQの施錠状態で利用者が誤ってリセット用プッシュピン12の押圧操作を行なってもデポジット硬貨通路9内に停留しているコインPをコイン返却口27に落下させないように保持される。このとき、有料硬貨通路8内のコインPは既に存在しないためリセット用のプッシュピン12の機能との関連性がないこと勿論である。
【0045】
コインロッカーから荷物を取り出す場合には、カスタムキー挿入シリンダー28にカスタムキーQを挿入して該カスタムキーQを解錠方向に回転することによって、ラッチLが収納退避し、扉が開放される。
【0046】
コインロッカーを最終的に使用しない場合には、カスタムキーQを解錠方向に回転したままの状態でリセット用プッシュピン12を押せば、リターン停留ブラケット16のコインストップネジ16aが孔部から退避して、デポジット硬貨通路9内に停留していたコインPがコイン返却口27に落下される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施するための最良の形態におけるシステム本体の一例を示す正面図である。
【図2】同上の右側面図である。
【図3】同上の左側面図である。
【図4】同上の背面図である。
【図5】同上の平面図である。
【図6】同上のキーシリンダーの側面図である。
【図7】同じくコイン投入口の後方側におけるセレクターアームとリンクプレートの動作を説明する側面図である。
【図8】同じくコイン枚数切替プレートの動作説明図であり、(a)は閉じた状態の内面図、(b)は同底面図である。
【図9】同じくコイン枚数切替プレートの動作説明図であり、(a)は開いた状態の内面図、(b)は同底面図である。
【図10】同じくリセット用プッシュピンの動作説明図であり、(a)は内面図、(b)は底面図である。
【図11】同じくリターンストッパー15の動作を説明する内面図である。
【図12】(a)乃至(d)は有料硬貨通路に100玉コインを三枚保留させ且つデポジット硬貨通路内に100玉コインを一枚保留させる仕様による場合において、有料硬貨通路、デポジット硬貨通路内にそれぞれコインが導入される状態を順次に示すものである。
【図13】(a)乃至(d)は有料硬貨通路に100玉コインを五枚保留させ且つデポジット硬貨通路内に100玉コインを二枚保留させる仕様による場合において、有料硬貨通路、デポジット硬貨通路内にそれぞれコインが導入される状態を順次に示すものである。
【符号の説明】
【0048】
P コイン
Q カスタムキー
L ラッチ
1 システム本体
2 前面フレーム
3 左側サイドフレーム
4 右側サイドフレーム
5 セレクターベースプレート
6 セレクターサブベースプレート
7 コインメカフレーム
8 有料硬貨通路
9 デポジット硬貨通路
10 通路切替えレバー
10a 突起
10b 突起
11 余剰貨投入防止レバー
12 リセット用プッシュピン
13 リターンアーム
14 リターン板バネ
15 リターンストッパー
15a ガイド突起
15b 遮蔽部
16 リターン停留ブラケット
16a 係止片
16b コインストップネジ
17 リターン貨仮止めレバー
17a 突起
17b 突起
18 ラッチレバーブラケット
18a 突起
18b 係止ピン
18c 係止ピン
19 係脱ピン
20 コインチェッカー
21 チェッカーストッパー
22 係脱プレート
23 枚数切替プレート
23a コインストップネジ
24 セレクターアーム
25 リンクプレート
26 コイン投入口
27 コイン返却口
28 カスタムキー挿入シリンダー
29 マスターキー挿入シリンダー
30 スライドフレーム
31 マスターカム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カスタムキー挿入シリンダー、コイン投入口、コイン返却口それぞれを備えた前面フレームと、コイン投入口から通じる有料硬貨通路、デポジット硬貨通路それぞれを形成すべく前面フレームの側面に形成したサイドフレームとを備えたキーシステムであって、有料硬貨通路に所定枚数のコインが導入された際にこれを検知し、さらに投入されたコインをデポジット硬貨通路側に案内させる通路切替レバーと、デポジット硬貨通路内へのコインの余剰導入を阻止する余剰貨投入防止レバーと、施錠状態にあるカスタムキー挿入シリンダーからカスタムキーを引き抜いた際に退避する係脱ピンを介して開くことで有料硬貨通路内に停留しているコインを集金ボックス内に落下させる枚数切替プレートと、ロッカー使用後リターン停留フラケットを開きデポジット硬貨通路に停留しているコインを落下させるリセット用プッシュピンを備えたことを特徴とするキーシステム。
【請求項2】
枚数切替プレートの回動軸側には、リターン貨仮止めレバーが回動可能に取り付けられ、該リターン貨仮止めレバー下部側の一端に突出した突起がリターン停留ブラケットの係止片とは反対側の上面に載架され、上部側の他端に突出した突起が通路切替えレバーの有料硬貨通路側の突起上に配置されており、有料硬貨通路側にコインが停留しているときには、通路切替えレバーの突起がリターン貨仮止めレバーの突起と共にコインによって押し上げられ、リターン貨仮止めレバーの他方の突起により、リターン停留ブラケットが係止され、リターン停留ブラケットの開方向への動作を阻止することで、コイン投入後施錠前にリセット用プッシュピンを押してもデポジット硬貨通路内のコインをコイン返却口に落下させないように保持させるようにしたことを特徴とするキーシステム。
【請求項3】
ラッチレバーブラケットの周側面の他方側に突出した突起にはリターンストッパーが係合され、カスタムキーによるラッチレバーブラケットの施錠回転位置においては、リターンストッパーがリターン停留ブラケットの突起を介して当該リターン停留ブラケットの開方向への回転を阻止して常時閉鎖された状態を維持することで、リセット用プッシュピンの押圧操作を行なってもリターン停留ブラケットのコインストップネジによってデポジット硬貨通路内にコインが停留維持されるものとした請求項1記載のキーシステム。
【請求項4】
ラッチレバーブラケットの先端には、一回転方向に回動付勢させたコインチェッカーと、このコインチェッカーと同軸で、左右両回転方向に揺動自在となって枢着されたチェッカーストッパーとを備え、コインチェッカーの先端側は、デポジット硬貨通路内にコインが停留している時にはデポジット硬貨通路から退避され、ラッチレバーブラケットのカスタムキーによる施錠方向への回転が許容され、デポジット硬貨通路内にコインが停留していない時には、コインチェッカーを係止させてカスタムキーによるラッチレバーブラケットの回転を阻止するものとし、さらにラッチレバーブラケットからのカスタムキーの引き出しにより、チェッカーストッパーによってコインチェッカーの回転を阻止するものとした請求項1または2記載のキーシステム。
【請求項5】
コイン投入口の後方側には、一端を支点として回動可能としたセレクターアームと、該セレクターアームの先端側を係入させた状態で回動可能としたV字形状のリンクプレートとが配され、コイン投入口から投入された適正寸法のコインだけがセレクターアームを支点を回転中心にして押し上げ、該セレクターアーム先端がリンクプレートのV字形状のアーム一端側を上方へ回動させるのと一体となってV字形状のアーム他端側が上方へ押し上げ退避させられることでコインを案内可能とした請求項1乃至3のいずれか記載のキーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−132014(P2007−132014A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323582(P2005−323582)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(591225109)ジーエスケー販売株式会社 (14)
【Fターム(参考)】