説明

ギアボックスを備えた注射装置

【課題】直接的なギア接続、即ち、射出ボタンとピストンロッドと間の回転運動が線形運動に、及び線形運動が回転運動に更に変換されるのを防ぐギアが確立されている装置を提供する。
【解決手段】カートリッジから設定された投与量の薬を射出するための射出装置である。この注射器において、投与量は、ナット13をねじ付きのピストンロッド4に沿って上方へとねじ回すことにより設定される。投与量設定ドラム17、射出ボタンとがナットの軸方向の移動距離よりも長い距離軸方向に移動される。前記投与量設定ドラムには、これの円周面にヘリックスに沿って設定された投与量に対応した数字が注射器のハウジング1の窓に示されるスケールが示されている。前記射出ボタンは、注射器の一端を越えて延びている。ギアホイールギア伝達14,16が、前記ナットと射出ボタンとの間でなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投与量設定部材を回転させることによって投与量が設定され、射出ボタンが注射器の端部から設定された投与量に比例した距離だけ上昇し、設定された投与量は、この射出ボタンを上昇されていない状態になるまで押すことによって射出され得る注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなタイプの殆んどの従来のペンが、特許文献1に開示されている。
【0003】
このペンにおいて投与量を設定すると、射出ボタンを形成する筒状部材が、ねじ付きピストンロッドに沿ってこのピストンロッドが設定された投与量を射出するために動かされなくてはならない距離に対応した距離だけねじ回される。この筒状部材は、投与量を設定する間にストッパーから離れるようにねじ回され、及び、注射中にストッパーと当接するように押されるナットを単に形成している。ボタンにかけられる力が、注射器中の、注射される薬剤を収容しているアンプルの一端を閉じているピストンに直接伝えられる。ピストンがアンプル中に押されると、薬剤は、アンプルの他端の閉塞部を貫通するように設けられたニードルを通して射出される。
【0004】
これまでは、アンプル中に、1.5mlに代わって代表的には3mlと比較的多量を収容することが求められている。注射器を長くすることが適当でなかったために、その代わりとして、アンプルには大きな直径が与えられ、即ち、アンプル中の薬剤に面するピストンの領域が2倍にされ、従って、アンプル中に事前に与えられるものと同じ圧力を与えるためにピストン上にかけられなくてはならない力が2倍にされている。更に、ピストンが1ユニットの薬剤を射出するために動かされなくてはならない距離は、半分にされている。
【0005】
この改良は、特に指の力が落ちた使用者は射出ボタンを押すのが困難であることから、非常に好ましいものではなく、注射による痛みを軽減するためにより細いニードルが使用されるときには更に困難が増すという問題がある。また、ボタンの非常に小さな移動に対して、ボタンが少しでも動いたかどうかを感じ取ることは難しい。3mlのアンプルからの1ユニットの注射によって、ピストン、かくして射出ボタンは、約0.1mmだけ移動される。
【0006】
従って、ボタンがピストンよりも大きな移動ストロークを有するように、射出ボタンとピストンとの間のギア接続の必要性が生じている。このようなギア接続によって、射出ボタンの移動が大きく成され、射出ボタンにかけられる力がこれに対応して小さくされる。
【0007】
特許文献2では、上記ギア接続は、投与量設定部材が高ピッチのねじを有するスピンドルに沿ってねじ回されることによって得られる。投与量設定部材がこれの軸方向に押されるとき、ねじは、投与量設定部材の回転を減じ、この回転は、カップリングを介して、好ましいピッチを有するドライバーナットに伝えられ、このドライバーナットは、ねじ付きの非回転ピストンロッドを前方に強制的移動させる。
【0008】
同様のギア接続が、特許文献3で提供されており、これにおいては、高ピッチを有するねじが、投与量設定ドラムの外面に刻切され、円筒状のハウジングの内側の対応したねじと係合している。しかし、この種のギア接続では、比較的大きな表面相互が互い摺動し、かくして、変換された力の殆どが摺動面間の摩擦によって失われる。かくして、相互に係合するギアホイールとラックとを用いた伝統的なギアが好まれている。
【0009】
特許文献4によって、2つの結合されたギアホイールが、ハウジング中に固定されたラックとプランジャー内のラックとに夫々係合している注射器が、公知である。プランジャーが、ハウジング内を軸方向に動かされると、このプランジャー内のラックは、第1のギアホイールを駆動し、他の結合されたギアホイールをハウジング内に固定されたラックに沿って動くようにさせる。かくして、ギアホイールは、プランジャーの移動の方向へ、しかしこのプランジャーの場合よりも短い距離だけ動かされる。この、結合されたギアホイールの軸方向の移動は、これらギアホイールを囲むハウジングを介して、アンプルのピストンをこのアンプル中へ更に押すピストンロッドに伝えられる。しかし、プランジャー内のラックは、プランジャー内に設けられた複数の軸方向に延びたラックのうちの1つであり、これらラックは、歯付きでない凹部と取り替えられ、第1のギアホイールがプランジャー内のラックと係合されていなくても、プランジャーの軸方向の移動を可能にする。このような構成は、投与量が設定されるときにプランジャーがハウジングから外の方向へ動かされるのを可能にしている。プランジャーが、投与量を設定するために回転されるとき、第1のギアホイールが歯付きではない凹部を通る回動の間に、1ユニットに対応した距離だけ外方へ動かされる。続いて、第1のギアホイールが一方のラックと係合して、設定されたユニットの投与量が射出されるか、もしくは、回転が、第1のギアホイールが次の凹部を通るようにさせるように継続され、このように通る間、設定された投与量が、望ましい数のユニットを有する投与量が設定されるまで1つ以上のユニットに増加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP327910号
【特許文献2】EP608343号
【特許文献3】WO99/38554号
【特許文献4】WO96/26754号
【発明の概要】
【0011】
この構成の欠点は、ラックとギアホイールとの係合する歯が、避けようのない衝突の危険を伴って、互いに係合されたり解放されたりしなくてはならない点である。間に入る歯付きでない凹部によって分けられた僅かのラックのみが、プランジャーの内面に沿って配置され得ることから、少ない増進のみが360°の回転の間になされ得る。
【0012】
本発明の目的は、先行技術の装置の幾つかの効果を、これらの欠点を取り入れずに組み合わせた注射器を提供することであり、直接的なギア接続、即ち、射出ボタンとピストンロッドと間の回転運動が線形運動に、及び線形運動が回転運動に更に変換されるのを防ぐギアが確立されている装置を提供することである。
【0013】
これは、第1のピッチを有するねじを備えたピストンロッドが、回転可能ではなく、長手方向に変位可能に中でガイドされるハウジングと、前記ピストンロッドのねじと係合し、このピストンロッドに沿って、ハウジング内の規定された位置から離れて、投与量を設定するようにねじ回転可能であると共に、設定された投与量が射出されたときに、ピストンロッドを支持する前記規定された位置に圧せられて戻され得るナットと、前記ハウジングの一端から一緒に射出ボタンを上昇させるように、第2のピッチを有するねじに沿ってハウジング内で外方にねじ回転可能な投与量設定ドラムとを具備する射出装置において、ギアボックスが設けられ、このギアボックスは、ハウジングに対する前記ナットと射出ボタンとの軸方向の移動の間のギア接続を与え、このギア接続は、前記第1並びに第2のピッチの比に対応したギア比を有することを特徴とする射出装置により得られる。
【0014】
好ましい実施の形態において、前記射出ボタンとナットとの移動の間のギア接続は、ギアボックスにより与えられ、このギアボックスは、ギアボックスから軸方向に変位可能であるがギアボックスに対して回転可能でないように突出し、前記ナットと一体的なコンネクターにより支持された少なくとも1つのギアホイールと、回転可能であるがハウジングに対して長手方向に変位可能でない、ギアボックスの第1の部材と一体的な第1のラックと、ギアボックスから長手方向に変位可能であるが前記第1の部材に対して回転可能でないように突出した第2のラックを支持し、前記ボタンの長手方向の移動に従うように前記射出ボタンに結合された第2の部材とを有し、前記少なくとも1つのギアホイールは、前記第1並びに第2のラックと夫々係合し、また、ギア接続を与えるように設定されており、このギア接続により、第2のラックの長手方向の移動がコネクタの長手方向の移動へとハウジングに対するコネクタと第2のラックとの上記長手方向の移動のためのギア比で伝達され、前記ギア比は、前記第1のピッチに対する第2のピッチの比と対応している。
【0015】
このような装置では、投与量設定ドラムを駆動するために必要な力のみが、高ピッチのねじによって伝えられ、この結果、注射時にピストンを動かすために必要な力は、常に係合しているギアとラックとを有する従来のギアを介してピストンに伝えられる。
【0016】
前記ピストンロッドには、ピストンロッドのねじに沿ったナットの移動のためのストッパーが設けられている。これにより、投与量設定リミッターが従来の方法で設けられる。このリミッターは、アンプル内に残された液体の量を超える投与量の設定を防ぐための付加的な部材を有さない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明に係わる注射装置の概略的な断面図である。
【図2】図2は、図1の1−1線に沿うギアボックスの概略的な断面図である。
【図3】図3は、本発明に係わる注入装置の異なる実施形態の投与量設定部分の縦断面図である。
【図4】図4は、図2の図面に垂直な縦断面図である。
【図5】図5は、図3並びに4に示された装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示された装置において、細長く円筒状のハウジング1は、このハウジングを投与量設定機構を収容している隔室と、図示されていないアンプルを収容するようにデザインされた隔室とに分ける隔壁2を有する。ねじが形成されたピストンロッド4が、丸くない断面を有し、隔壁2に形成された中心開口を貫通している。かくして、このピストンロッド4は、隔壁2に形成された中心開口に対して長手方向に変位可能になっているが、隔壁に対して回転不能となっている。
【0019】
前記ハウジング1と同心的に、前記隔壁2は、前記隔室3から遠ざかるようにして一側に筒状部材5を支持している。この筒状部材5は、隔壁2に近い一部に雄ねじ6が形成されていると共に、環状凹所7を自由端部に有する。この凹所7には、ギアボックス9のリング形状のカップリング部材8が係合している。この係合により、ギアボックスは、ハウジング内でギアボックス9が回転可能ではあるが、ハウジングに対して軸方向には変位不可能なように、ハウジング1内に装着されている。
【0020】
前記ギアボックス9内には、2つの一体的なギアホイールを有するギアホイールアッセンブリが、シャフト11に軸支されている。このシャフト11は、軸方向に延びた2つの接続バー12間で、装置の長軸に直交するように延びている。これら接続バー12は、前記ギアボックスから隔壁2に向って延びており、ナット13に接続されている。このナット13は、隔壁2の近くで、前記ピストンロッド4のねじと係合している。前記ギアホイールアッセンブリは、ラック15の歯と係合している、大径のギアホイール14と、ラック10の歯と係合している小径のギアホイール16とを図2に示すように有する。前記ラック15は、装置の長手方向に変位され得るようにギアボックス内で案内され、また、ラック10は、ギアボックス9の内壁に沿って装置の長手方向に延びている。前記小径のギアホイール16は、ギアホイール14の各側に位置する2つのギアホイールに分けられている。ギアボックス9の内壁に沿って設けられた前記ラックは、ギアホイール14のための部屋を形成するように、歯のない細長い凹所を有し得る。
【0021】
前記ハウジング1内には、筒状の投与量設定ドラム17が装着されている。このドラムは、前記筒状部材5の雄ねじ6と対応して係合する雌ねじを一端側に有し、また、投与量設定ボタン18を形成している大径部を他端側に有する。この雄ねじ6との係合により、投与量設定ドラム17は、ハウジング1に形成された図示していない窓の外面に図示していないヘリカルスケールで付された数字を示すように、ハウジング1の外でねじ回され得る。
【0022】
前記投与量設定ドラム17の中に適合され、前記ギアボックス9を囲んだ筒状部分20を有する深いカップ形状の部材の底部19が、射出ボタンを構成している。前記投与量設定ドラム17と、このカップ形状の部材との間のカップリング手段が、投与量設定ドラム17の回転をカップ形状の部材に伝達することを確実にしている。さらに、前記筒状部分20の内壁は、長手方向に延びた凹所22を有する。これら凹所は、投与量設定ドラム17の回転が、カップ形状の部材を介してギアボックス9に伝達されるように、ギアボックス9の突出部23と係合している。
【0023】
前記カップ形状の部材の開口端部のエッジには、V字形状の歯のロゼットが設けられている。このロゼットの歯は、リング25のV字形状の歯24の対応したロゼットと係合している。このリング25は、ばね26によりカップ形状の部材のエッジに押圧されている。このために、このばねは、リング25の歯が形成されていない側面と投与量設定ドラム17の内面の円形肩部27との間で圧縮されている。また、このリングには、内方凹所が設けられており、この凹所は、リング25が装置の軸方向には変位可能であるが、ハウジング1に対して回転ができないように、前記筒状部材5の細長いリブ28と係合している。かくして、カップ形状の部材の回転により、この部材のエッジのV字形状の歯がリング25のV字形状の歯の上に乗ったときに、クリックノイズを生じさせるクリックカップリングが構成させている。
【0024】
前記ラック15の突出端上には、ヘッド29が、カップ形状の部材の底部19に、所定の遊びを有して装着されている。この遊びは、射出ボタンを構成する前記底部19とこの底部近くの内壁30との間で規定されている。そして、前記ラック15は、底部19とヘッド29との間に設けられたばね31により、内壁30に対してそのヘッドが押圧される位置で固定されている。
【0025】
投与量を設定するために、投与量設定ボタン18が、ねじ6に沿って投与量設定ドラム17がねじ回転するように回転される。カップリング21によって、カップ形状の部材が、投与量設定ドラム17の回転にともなって回転し、このために、ハウジング1の一端からこのドラムは上昇される。このカップ形状の部材の回転によって、これの開口端部に形成されたV字形状の歯は、回転しないリング25のV字形状の歯の上に乗って、投与量が変更されるユニットごとに、クリック音を生じさせる。非常に高く設定された投与量は、投与量設定ボタン18を投与量を増加させるための方向とは反対の方向に回転させることにより、減じられる。投与量設定ドラムが、筒状部材5のねじ6に沿ってねじ回転されて上昇すると、リング25は、ばね26が肩部27に支持されているので、軸方向の移動において投与量設定ドラムに従う。このばねは、リング25のV字形状の歯とカップ形状の部材との係合と、カップリング21での係合維持とを継続させる。このカップリングは、投与量設定ボタン18の内方リング33のΛ形状の凹所と係合する、カップ形状の部材のΔ形状の突出部32を含み得る。
【0026】
前記投与量設定ボタン18とカップ形状の部材との回転は、さらに、カップ形状の部材の筒状部分20の内壁に形成された細長い凹所22に係合した、ギアボックスの突出部23を介して、ギアボックス9に伝達される。このギアボックス9の回転は、接続バー12を介してナット13に伝達される。このナットは、ピストンロッド4のねじに沿ってねじ回転して上昇し、投与量が設定されたときには、隔壁2との当接から離れるように上昇する。投与量は、隔室3内の図示されていないアンプルの中のピストンを動作させるピストンロッドに対してナット13を移動させることにより設定されるので、設定された投与量のサイズがアンプル内に残っている薬の量を超えることを確実になくさせる投与量設定リミッターが、ピストンロッド4に沿って上昇するナット13の移動を制限するストッパー35をピストンロッド4に設けることにより、容易に確立され得る。
【0027】
前記カップ形状の部材の壁30と底部19との間のスペース内でのヘッド29の制限により、前記ラック15は、射出ボタンによって外方に引かれる。また、ハウジング1に対するナット13の軸方向の移動は、接続バー12を介してギアボックス集合体に伝達されるであろう。そして、この移動は、ギアボックスを介してラック15の外方への移動を誘起するであろう。この誘起された外方への移動は、射出ボタンの外方への移動により誘起される外方の移動と同じでなければならない。これは、ハウジングに対するラック15と接続バー12との移動に対するギア比がピストンロッドのねじのピッチと投与量設定ドラム17の長手方向の移動のためのねじ6のピッチとの比に対応するように、ギアボックス9のギアホイールのデイメンションを設定することにより得られる。
【0028】
設定された投与量を射出するために、射出ボタンが、底部19を押すことにより、押圧される。この押圧の初期には、ばね31が圧縮され、この後、押圧力がラック15のヘッド29に、かくしてラック15自身に直接に伝達される。ギアボックス9によって、この力は変換されて、接続バー12を介してナット13に伝達される。この結果、ナットは、投与量設定ドラム17が隔壁2に当接するまで、隔室3の中へとピストンロッド4を押圧する。
【0029】
前記射出ボタンの移動の初期の間、カップ形状の部材のΔ形状の突出部32は、リング33のΛ形状の凹所と係合していない。投与量設定ドラム17は、このときには射出ボタンに対して回転することができ、Δ形状の突出部32が、投与設定ボタン18の底部の肩部34を押圧するときに回転する。ねじ6に沿って下方へとねじ回転するように投与量設定ドラムを回転させるのに充分な力のみが、射出をさせるのに必要な力がピストンロッド4にギアボックス9を介して伝達されるので必要である。この投与量設定ドラムと同心的なヘリカルリセットばね36が、このドラムの下端に装着されており、このばねは、投与量設定ドラム17に留められた一端と、隔壁2に留められた他端とを有する。投与量の設定の間に、このばねは、投与量設定ドラムに、ねじ6に沿った投与量設定ドラムの移動のときの摩擦に打ち勝つのに必要なトルクにほぼ対応したトルクを生じさせるように、圧縮される。この結果、使用者が射出ボタンに与えなければならない力は、設定された投与量を射出するためにアンプル中にピストンロッドを駆動するのに必要な力だけである。
【0030】
ギアボックス9に対して移動可能なラック15に加えてギアボックスに対して可動でないラック10と係合する単一サイズのギアホイールの使用は、ギアホイールのシャフト11を支持するコネクタ12並びに移動可能なラック15のために注射器のハウジング1に対する長手方向の移動に対して2:1のギア比を与えることが気付くであろう。
【0031】
図3並びに4は、単一サイズのギアホイールのみが使用された好ましく実施の形態を示す。ここで、図1並びに2での部材と対応した部材は、接頭数字“1”を加えて同じ符号で示されている。
【0032】
製造上の理由のために、マイナーチエンジがなされている。かくして、隔壁102と筒状部材105とは、2つの部材として形成されており、これら部材は、装置の組み立てのときに互いに接続されて、一体的な部分として働く組み立てられた部品を形成している。同様に、投与量設定ドラム117と投与量設定ボタン118とは、2つの部品として形成されて、互いに強固に固定されている。
【0033】
環状の凹所107が筒状部材105の自由端の外側凹所として設けられており、また、リング形状のカップリング部材が、ギアボックス109の内方ビード108として設けられている。このビードは、前記凹所107と係合して、筒状部材105とギアボックスとの間の回転可能で軸方向には変位できない接続を与えている。
【0034】
前記ギアボックスに形成された凹所123と係合するリッジ122を有する筒状部材120が、ボタン119により上端で閉じられている。このボタンから、ボタンを押すことにより与えられる力が、前記筒状部材120に伝達される。
【0035】
前記ギアボックスは、2つのシエルにより形成されて、筒状部材の中に装着されたシリンダーを一緒になって構成している。この筒状部材内で、2つのシエルは、リッジ122と凹所123との間の係合により案内される。ラック110,115が、互いに対面したシエルのエッジに沿って設けられている。ギアボックス部分109を構成している一方のシエルには、内方ビード108が設けられている。この内方ビードは、中央の筒状部材105の一端の環状凹所107と係合し、かつラック110を支持している。また、他方のシエルは、筒状部材120内で軸方向に移動可能であり、ラック115を構成している。前記ギアボックスから突出した外端で、ラック115を支持したシエルには、フランジ140が設けられている。このフランジは、ボタン119を支持した筒状部材120の一端に形成された切欠部141内に位置されている。この結果、このボタンと筒状部材120とは、歯132,133の係合が、ボタン119がフランジ140と当接する前に、解除され得るように、装置の内方に移動され得る。
【0036】
筒状の接続部材112が、ねじ付きのピストンロッド104をギアボックスに接続している。このピストンロッド104と係合する一端で、接続部材は、ナット113を有する。このナットは、ピストンロッドの雄ねじと噛み合った雌ねじを有する。また、ギアボックスと係合した一端で、この接続部材には、2つのピン111が設けられている。これらピンは、この接続部材の各面から、接続部材112の長軸に対して垂直に突出している。各ピンは、2つのラック110,115と係合するようにこれらラック間に位置された各ギアホイール114を支持している。かくして、接続部材112は、ギアボックスと共に回転されるが、両ラック110,115が相対的に移動しているときに、ギアボックスに対して軸方向に移動可能である。実際には、ギアボックス部分109と、ハウジングとに対して移動されるのは、ラック115であろうし,図示の構成によれば、ラック115が移動する距離の半分の距離で、ハウジングに対して接続部材が移動するようになるであろう。歯124のロゼットが周囲に形成されたリング125が、ハウジング101内の中央のチューブ105が挿入された中心ボアを有する。このリング125は、前記中央のチューブ105に沿って軸方向に移動可能であるが、リング125の中心ボア中の内方リッジ128が、中央のチューブの細長い凹所137と係合して、リングをハウジング内で回転できないようにしている。この結果、前記筒状部材が、投与量設定ドラム117と共に回転されたときに、前記筒状部材120のエッジに形成された歯のロゼットが、リングの歯に乗ってクリックする。ばね126が、投与量設定ドラム117に設けられた内方肩部とリング125との間で働くように設けられている。このばねは、投与量設定ドラムと共に筒状部材が、ハウジング内で軸方向に移動されたときに、リングを筒状部材120に追従させる。特に、前記投与量設定ドラムが、ハウジング内で内方に押されたときに、投与量設定ドラムの回転を容易にするために、ロールベアリングが設けられている。このベアリングは、前記肩部に支持された外側リング142と、前記ばね126を支持している圧力ブッシュ144を支持した内側リング143とを有する。この円滑な走行支持体を設けることにより、非常に小さい軸方向の力のみが、設定された投与量が射出されたときに、ゼロ位置へと戻すように、投与量設定ドラム117を回転させるために必要とされる。このような解決は、図1でのばね36と同じようなリセットぱねの提供に代えられる。ベアリングは、ラジアルベアリングとして示されているが、アクシアルベアリングに代えられ得る。
【符号の説明】
【0037】
9…ギアボックス、10…ラック、12…接続バー、14…大径のギアホイール、15…ラック、16…小径のギアホイール、32…Δ形状の突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のピッチを有するねじを備えたピストンロッドが、回転可能ではなく、長手方向に変位可能に中でガイドされるハウジングと、前記ピストンロッドのねじと係合し、このピストンロッドに沿って、ハウジング内の規定された位置から離れて、投与量を設定するようにねじ回転可能であると共に、設定された投与量が射出されたときに、ピストンロッドを支持する前記規定された位置に圧せられて戻され得るナットと、前記ハウジングの一端から一緒に射出ボタンを上昇させるように、第2のピッチを有するねじに沿ってハウジング内で外方にねじ回転可能な投与量設定ドラムとを具備する射出装置において、ギアボックスが設けられ、このギアボックスは、ハウジングに対する前記ナットと射出ボタンとの軸方向の移動の間のギア接続を与え、このギア接続は、前記第1並びに第2のピッチの比に対応したギア比を有することを特徴とする射出装置。
【請求項2】
前記射出ボタンとナットとの移動の間のギア接続は、ギアボックスにより与えられ、このギアボックスは、ギアボックスから軸方向に変位可能であるがギアボックスに対して回転可能でないように突出し、前記ナットと一体的なコネクタにより支持された少なくとも1つのギアホイールと、回転可能であるがハウジングに対して長手方向に変位可能でない、ギアボックスの第1の部材と一体的な第1のラックと、ギアボックスから長手方向に変位可能であるが前記第1の部材に対して回転可能でないように突出した第2のラックを支持し、前記ボタンの長手方向の移動に従うように前記射出ボタンに結合された第2の部材とを有し、前記少なくとも1つのギアホイールは、前記第1並びに第2のラックと夫々係合し、また、ギア接続を与えるように設定されており、このギア接続により、第2のラックの長手方向の移動がコネクタの長手方向の移動へとハウジングに対するコネクタと第2のラックとの上記長手方向の移動のためのギア比で伝達され、前記ギア比は、前記第1のピッチに対する第2のピッチの比と対応していることを特徴とする請求項1の射出装置。
【請求項3】
前記射出ボタンとナットとの間のギア接続は、第1並びに第2のラックと係合するギアホイールによりえられる2:1のギア比を有することを特徴とする請求項2の射出装置。
【請求項4】
前記ピストンロッドは、ピストンロッドのねじに沿うナットの移動のためのストッパーを有することを特徴とする請求項1,2もしくは3の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−156369(P2011−156369A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−55855(P2011−55855)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【分割の表示】特願2002−510133(P2002−510133)の分割
【原出願日】平成13年6月15日(2001.6.15)
【出願人】(391032071)ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ (148)
【氏名又は名称原語表記】NOVO NORDISK AKTIE SELSXAB
【Fターム(参考)】