説明

クリップナットの取付座

【課題】クリップナットの誤組み付けを防止して、締結作業性を向上する。
【解決手段】取付座7は、ナンバープレートホルダの表側の面から裏側に凹陥する凹部71を備える。クリップナット5の第2対向片513を開放部715側から凹部71内に挿入するときには、第2対向片513の凹部71内への配置を許容する一方、クリップナット5の第1対向片511を開放部715側から凹部71内に挿入するときには、ナット部53と干渉して第1対向片511の凹部71内への配置を阻止する誤組付け防止片719を凹部71内に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップナットの誤組み付けを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボルトを用いて、平板状の被締結部材を平板状のパネル材に締結するクリップナットが知られている(例えば、特許文献1参照)。クリップナットは、一般に、クリップとナットとから成る。クリップは、互いに間隔を空けて対向する一対の対向片を有し、該両対向片の一端同士が連結された略U字形状をしている。両対向片には、ネジ挿通孔が対向形成されている。ナットは、雌ネジ部が上記ネジ挿通孔に対応するように一方の対向片に設けられていて、該一方の対向片から他方の対向片とは反対側に突出している。
【0003】
このように構成されたクリップナットとボルトとを用いて、上記被締結部材を上記パネル材に締結する際には、ナットをパネル材裏側に向けた状態でクリップをパネル材端部に差し込み、クリップの両対向片でパネル材端部を表裏両側から挟持して、クリップの両ネジ挿通孔とナットの雌ネジ部とパネル材に予め形成されたネジ挿通開口とが連通するようにクリップナットをパネル材に取り付ける。次に、このクリップナットが取り付けられたパネル材の表側の面に被締結部材を沿わせ、該被締結部材に予め形成されたネジ挿通孔とパネル材のネジ挿通開口とを連通させる。そうして、ボルトを被締結部材のネジ挿通孔から挿通してクリップナットのナットに螺合させることにより、被締結部材をパネル材に締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−89514号公報(第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにクリップをパネル材端部に差し込む際に、ナットの向きを誤り、ナットがパネル材表側に向いた状態でクリップナットがパネル材に取り付けられる場合がある。こうした場合には、クリップナットをパネル材から取り外し、ナットの向きを正して再度クリップナットをパネル材に取り付ける必要があり、このことが締結作業性の低下を招いていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クリップナットの誤組み付けを防止して、締結作業性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、クリップナットの誤組み付けを防止することができるクリップナットの取付座を創出した。
【0008】
具体的に、第1の発明では、ネジ挿通孔を有する被締結部材をネジ挿通開口を有する樹脂パネルの表側の面に沿わせた状態で上記ネジ挿通孔及びネジ挿通開口に雄ネジ部材を挿通して上記被締結部材を上記樹脂パネルに締結する際に、互いに間隔を空けて対向する第1対向片及び第2対向片を有し、これら第1対向片及び第2対向片の各々に上記雄ネジ部材が挿通されるネジ挿通孔が形成されたクリップ部と、内部に上記雄ネジ部材が螺合される雌ネジ部を有し、該雌ネジ部が上記第1対向片のネジ挿通孔に対応するように上記第1対向片に設けられて該第1対向片から反第2対向片側に突出したナット部とから成るクリップナットが、上記ナット部を裏側に向けた状態で上記クリップ部の両ネジ挿通孔と上記ナット部の雌ネジ部と上記被締結部材のネジ挿通孔と上記樹脂パネルのネジ挿通開口とが連通するように取り付けられるクリップナットの取付座を対象とし、上記樹脂パネルの表側の面から裏側に凹陥する凹部を備え、上記凹部は、上記ネジ挿通開口を有し、上記被締結部材を上記樹脂パネルに締結する際に上記第1対向片と第2対向片とで表裏両側から挟持される底壁と、該底壁の周縁から立ち上がる側壁と、上記被締結部材を上記樹脂パネルに締結する際に上記第2対向片を当該凹部内に挿入可能なように上記底壁の周縁の一部で開放する開放部とを有し、上記凹部内には、上記底壁との間に隙間を形成するように上記側壁から延出し、上記クリップナットの第2対向片を上記開放部側から上記凹部内に挿入するときには、該第2対向片の上記凹部内への配置を許容する一方、上記クリップナットの第1対向片を上記開放部側から上記凹部内に挿入するときには、上記ナット部と干渉して該第1対向片の上記凹部内への配置を阻止する誤組付け防止片が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、上記誤組付け防止片は、上記雄ネジ部材が挿通されるネジ挿通孔を有し、上記樹脂パネルの表裏方向視で上記底壁のネジ挿通開口に収まるように該ネジ挿通開口に対応して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によると、ナット部を表側に向けて第1対向片を開放部側から凹部内に挿入すると、ナット部が誤組付け防止片に干渉して、それ以上第1対向片を凹部内に挿入することができなくなる。これにより、作業者は、クリップナットの向きが誤っていることに気付くことができる。
【0011】
一方、ナット部を裏側に向けて第2対向片を開放部側から凹部内に挿入すると、第2対向片が凹部内に配置されて、クリップ部の両ネジ挿通孔とナット部の雌ネジ部と樹脂パネルのネジ挿通開口とが連通した状態にクリップナットを樹脂パネル(取付座)に取り付けることができる。
【0012】
従って、樹脂パネルに取り付けたクリップナットを樹脂パネルから取り外し、ナット部の向きを正して再度クリップナットを樹脂パネルに取り付けるといった煩雑な作業が生じず、締結作業性を向上することができる。
【0013】
第2の発明によると、誤組付け防止片と底壁とが樹脂パネルの表裏方向視で重ならないため、アンダーカットを回避してスライド型が要らず、互いに対向する上下の型だけの簡素な型構造でクリップナットの取付座が設けられた樹脂パネルを成形し得、スライド型を必要としない分だけ、型費を低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係るナンバープレートホルダの組立斜視図である。
【図2】取付座の拡大斜視図である。
【図3】誤組付け防止片付近を表側から見た図である。
【図4】取付座にクリップナットを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】誤組付け防止片の作用効果を説明するための図である。
【図8】ナンバープレートホルダを成形するための金型の取付座に対応する部分を示す図5相当図である。
【図9】ナンバープレートホルダを成形するための金型の取付座に対応する部分を示す図6相当図である。
【図10】実施形態2に係る取付座の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るナンバープレートホルダ(樹脂パネル)1の斜視図である。このナンバープレートホルダ1は、車両のフロントバンパー(不図示)にナンバープレート3を取り付けるためのホルダである。ナンバープレートホルダ1には、雄ネジ部材としてのボルトBとクリップナット5で被締結部材としてのナンバープレート3が締結される。
【0016】
クリップナット5は、図1,4〜6に示すように、クリップ部51と、ナット部53とを備えている。
【0017】
クリップ部51は、互いに間隔を空けて対向する矩形平板状の第1対向片511及び第2対向片513と、両対向片511,513の一端同士を連結する一対の連結部515とを有する略U字形状の金属製部材である。
【0018】
第1対向片511及び第2対向片513には、ボルトBが挿通されるネジ挿通孔517が対向形成されている。
【0019】
第1対向片511の反連結部515側の端部は、クリップナット5をナンバープレートホルダ1の後述する取付座7に取り付け易いように反第2対向片513側に若干折れ曲がっている。
【0020】
ナット部53は、金属製の六角ナットであり、内部に雌ネジ部531を有し、該雌ネジ部531がネジ挿通孔517に対応するように第1対向片511に溶接されていて、該第1対向片511から反第2対向片513側に突出している。尚、ナット部53は、六角ナットに限られず、例えば四角ナットとしてもよい。また、ナット部53は、バーリング加工により第1対向片511のネジ挿通孔517周縁部に立ち上がり部を形成し、該立ち上がり部の内部に雌ネジ部を形成することにより構成してもよい。
【0021】
ナンバープレートホルダ1は、図1に示すように、表側にナンバープレート3が接することになる面を有する長尺平板状のナンバープレート取付面部11と、該取付面部11の上端縁及び長手方向両端縁から裏側に延び、上記バンパーに接することになる外周壁部12とを有する樹脂成形品である。そうして、このナンバープレートホルダ1では、取付面部11の長手方向両端部が下方に延出して一対の延出面部13を構成している。
【0022】
各延出面部13の表側の面には、裏側に向かって凹陥するバンパー取付部131が形成されていて、該バンパー取付部131の底壁には、ナンバープレートホルダ1を車両のフロントバンパーに取り付けるためのバンパー取付孔133が形成されている。
【0023】
取付面部11における両延出面部13の上側には、クリップナット5を取り付けるための取付座7が形成されている。
【0024】
取付座7は、図1,2に示すように、取付面部11の表側の面から裏側に凹陥する凹部71を備えている。
【0025】
凹部71は、クリップナット5の第2対向片513の形状に対応する略矩形状をしていて、上辺711a、下辺711b、取付面部11中央側の内辺711c及び、反取付面部11中央側(取付面部11の長手方向両端側)の外辺711dを有する矩形状の底壁711と、該底壁711の周縁、より詳しくは底壁711の上辺711a、下辺711b及び、外辺711dからそれぞれ立ち上がる側壁713a,713b,713cと、後述するようにクリップナット5を取付座7に取り付ける際に、クリップナット5の第2対向片513を凹部71内に挿入可能なように底壁711の周縁の一部、より詳しくは底壁711の内辺711cで開放する開放部715とを有する。
【0026】
底壁711には、ボルトBを挿通するためのネジ挿通開口717が形成されている。
【0027】
ネジ挿通開口717は、図3に示すように、底壁711の外辺711dから取付面部11中央側(同図の右側)に延出する延出部717aと、該延出部717aの延出端部に連続して拡大する略四角形状のネジ挿通部717bとを有する。
【0028】
凹部71内には、クリップナット5の取付座7への誤組み付けを防止するための誤組付け防止片719がネジ挿通開口717に対応して設けられている。
【0029】
誤組付け防止片719は、底壁711との間にクリップナット5の第2対向片513の厚みよりも若干大きい隙間を形成するように且つ、取付面部11の表側の面と面一となるように側壁713cから凹部71内に延出している。この誤組付け防止片719は、ネジ挿通開口717の延出部717aと対応して、側壁713cから開放部715側に向かって凹部71内に延出する延出部719aと、ネジ挿通開口717のネジ挿通部717bと対応し、延出部719aの延出端部に連続して拡大する略四角形状の誤組付け防止部719bとを有する。そうして、誤組付け防止片719は、ナンバープレートホルダ1の表裏方向視(ナンバープレートホルダ1の後述する成形金型の型開き方向視)で底壁711と重ならないようにネジ挿通開口717に収まっている。
【0030】
誤組付け防止部719bには、ボルトBを挿通するためのネジ挿通孔719cが形成されている。
【0031】
誤組付け防止部719bの開放部715側端部の裏側には、図2,4,5に示すように、クリップナット5を取付座7に取り付ける際に、クリップナット5の第2対向片513を凹部71内に挿入し易いように、開放部715側が表側に位置し、側壁713c側が裏側に位置するように傾斜した傾斜部719dが形成されている。
【0032】
また、凹部71は、底壁711の内辺711cに連続する誘い部715aを有する。
【0033】
誘い部715aは、クリップナット5を取付座7に取り付ける際に、クリップナット5の第2対向片513を凹部71内に挿入し易いように、底壁711よりも若干上下に拡大
すると共に、側壁713c側が表側に位置し、開放部715側が裏側に位置するように傾斜している。
【0034】
そうして、ナンバープレートホルダ1には、クリップナット5を取付座7に取り付けるための透孔15が凹部71の誘い部715aに取付面部11中央側で隣接するように形成されている。
【0035】
このように構成されたナンバープレートホルダ1は、上述したように誤組付け防止片719が表裏方向視で底壁711と重ならないようにネジ挿通開口717に収まっているので、スライド型や入れ子型を有さず、型開き方向が表裏方向と一致した、図8,9に示すような互いに対向する上型M1及び下型M2のみから成る金型で成形することができる。
【0036】
ナンバープレート3は、図1に示すように、略矩形平板状の部材であり、ボルトBを挿通するための2つのネジ挿通孔31がナンバープレートホルダ1のネジ挿通開口717(及びネジ挿通孔719c)に対応するように形成されている。
【0037】
ここで、ナンバープレート3を車両のフロントバンパーに取り付ける作業について説明する。
【0038】
まず、バンパー取付孔133にボルトを挿通して、ナンバープレートホルダ1を図示しない車両のフロントバンパーに取り付ける。
【0039】
次に、クリップナット5を取付座7に取り付ける。具体的には、ナット部53を裏側に向けた状態でクリップナット5を透孔15に通し、第1対向片511と第2対向片513との間に底壁711を挟み込んで、第2対向片513を開放部715側から凹部71内に挿入する。
【0040】
ここで、作業者がナット部53の向きを誤り、ナット部53を表側に向けた状態でクリップナット5を透孔15に通し、第1対向片511を開放部715側から凹部71内に挿入すると、図7に示すように、ナット部53と誤組付け防止片719の誤組付け防止部719bとが干渉して、それ以上第1対向片511を凹部71内に挿入することができなくなる。これにより、作業者は、クリップナット5の向きが誤っていることに気付き、ナット部53の向きを正して、第2対向片513を凹部71内に挿入することができる。
【0041】
第2対向片513を開放部715側から凹部71内に挿入すると、第2対向片513が底壁711と誤組付け防止片719との間の隙間に入り込む。こうして、クリップナット5は、図5及び図6に示すように、底壁711を第1対向片511と第2対向片513とで表裏両側から挟持して取付座7に取り付けられ、クリップ部51の両ネジ挿通孔517とナット部53の雌ネジ部531とネジ挿通開口717と誤組付け防止片719のネジ挿通孔719cとが連通する。
【0042】
次に、このクリップナット5が取付座7に取り付けられたナンバープレートホルダ1の取付面部11の表側の面にナンバープレート3を沿わせ、該ナンバープレート3のネジ挿通孔31とナンバープレートホルダ1のネジ挿通孔719cとを連通させる。そうして、ボルトBをナンバープレート3のネジ挿通孔31から誤組付け防止片719のネジ挿通孔719c及びネジ挿通開口717に挿通してクリップナット5のナット部53に螺合させることにより、ナンバープレート3をナンバープレートホルダ1に締結する。こうして、ナンバープレート3が車両のフロントバンパーに取り付けられる。
【0043】
尚、ナンバープレートホルダ1のフロントバンパーへの取り付けは、ナンバープレートホルダ1の取付座7にクリップナット5を取り付けた後に行ってもよい。
【0044】
−実施形態1の作用効果−
本実施形態1によれば、クリップナット5の第2対向片513を開放部715側から凹部71内に挿入するときには、第2対向片513が凹部71内に配置される一方、クリップナット5の第1対向片511を開放部715側から凹部71内に挿入するときには、誤組付け防止片719により第1対向片511の凹部71内への配置が阻止される。このように誤組付け防止片719によりクリップナット5のナンバープレートホルダ1の取付座7への誤組付けを防止することができるから、クリップナット5をナンバープレートホルダ1の取付座7から取り外し、ナット部53の向きを正して再度クリップナット5を取付座7に取り付けるといった煩雑な作業が生じず、その結果、ナンバープレート3をナンバープレートホルダ1に締結する締結作業性を向上することができる。
【0045】
また、誤組付け防止片719をナンバープレートホルダ1の表裏方向視でネジ挿通開口717に収まるように構成しているから、誤組付け防止片719と底壁711とがナンバープレートホルダ1の表裏方向視で重ならない。従って、取付座7が設けられたナンバープレートホルダ1を成形する際には、スライド型などの複雑な型構造を採用する必要はなく、上型M1及び下型M2だけの簡素な型構造を採用して、上型M1を下型M2に対して開閉させる操作でナンバープレートホルダ1を成形することができる。
【0046】
さらに、ナンバープレート3をナンバープレートホルダ1に締結したときに、ナンバープレート3が誤組付け防止片719によって裏側から支持される。これにより、締め過ぎによるナンバープレート3の凹部71内への凹みを抑制することができる。
【0047】
尚、誤組付け防止片719は、上記の構成に限られず、例えば側壁713a又は713bから凹部71内に延出するように構成してもよい。
【0048】
また、誤組付け防止片719の表側の面と取付面部11の表側の面とを面一にする必要もない。例えば、誤組付け防止片719の表側の面が取付面部11の表側の面よりも若干表側に位置するように取付座7を構成してもよい。こうすることで、ナンバープレート3をナンバープレートホルダ1に締結したときに、ボルトBとクリップナット5のナット部53との間に常時反発力が加わり、その結果、ネジの弛みを防止することができる。
《実施形態2》
次に、本発明の実施形態2に係るナンバープレートホルダについて説明する。この実施形態2に係るナンバープレートホルダは、取付座の構成が実施形態1と異なる。そこで、取付座の構成のみ説明する。
【0049】
図10は、本発明の実施形態2に係るナンバープレートホルダの取付座9の拡大斜視図である。取付座9は、ナンバープレートホルダの表側の面から裏側に凹陥する凹部91を備えている。
【0050】
凹部91は、クリップナットの第2対向片の形状に対応する矩形状をしていて、上記実施形態1と同様に、上辺911a、下辺911b、内辺911c及び、外辺911dを有する略矩形状の底壁911と、該底壁911の上辺911a、下辺911b及び、外辺911dからそれぞれ立ち上がる側壁913a,913b,913cと、クリップナットを取付座9に取り付ける際に、クリップナットの第2対向片を凹部91内に挿入可能なように底壁911の内辺911cで開放する開放部915とを有する。
【0051】
底壁911の略中央部には、ボルトを挿通するための円形状のネジ挿通開口917が形成されている。
【0052】
底壁911の上辺911a側で且つ内辺911c側の隅には、矩形状に切り欠かれた切欠き部911eが形成されている。
【0053】
凹部91内には、矩形状の誤組付け防止片919が切欠き部911eに対応して設けられている。
【0054】
誤組付け防止片919は、底壁911との間にクリップナットの第2対向片の厚みよりも若干大きい隙間を形成するように側壁913aから凹部91内に延出している。そうして、誤組付け防止片919は、ナンバープレートホルダの表裏方向視で切欠き部911eに収まっている。
【0055】
−実施形態2の作用効果−
実施形態2に係る取付座9によれば、クリップナットのナット部を表側に向けて第1対向片を開放部915側から凹部91内に挿入すると、ナット部が誤組付け防止片919に干渉して、それ以上第1対向片を凹部91内に挿入することができなくなる。これにより、作業者は、クリップナットの向きが誤っていることに気付くことができる。
【0056】
一方、クリップナットのナット部を裏側に向けて第2対向片を開放部915側から凹部91内に挿入すると、クリップ部の両ネジ挿通孔とナット部の雌ネジ部とネジ挿通開口917とが連通した状態にクリップナットをナンバープレートホルダの取付座9に取り付けることができる。そして、このクリップナットが取付座9に取り付けられたナンバープレートホルダの表側の面にナンバープレートを沿わせて該ナンバープレートのネジ挿通孔とナンバープレートホルダのネジ挿通開口917とを連通させ、ボルトをナンバープレートのネジ挿通孔から挿通してクリップナットのナット部に螺合させることにより、ナンバープレートをナンバープレートホルダに締結することができる。
【0057】
従って、本実施形態2によれば、上記実施形態1と同様に、誤組付け防止片919によりクリップナットのナンバープレートホルダの取付座9への誤組付けを防止することができるから、ナンバープレートをナンバープレートホルダに締結する締結作業性を向上することができる。
【0058】
また、誤組付け防止片919をナンバープレートホルダの表裏方向視で切欠き部911eに収まるように構成しているから、誤組付け防止片919と底壁911とがナンバープレートホルダの表裏方向視で重ならない。従って、上記実施形態1と同様に、取付座9が設けられたナンバープレートホルダを成形する際に、スライド型などの複雑な型構造を採用する必要はなく、上型及び下型だけの簡素な型構造を採用して、上型を下型に対して開閉させる操作でナンバープレートホルダを成形することができる。
【0059】
さらに、上記実施形態1のように誤組付け防止片919にネジ挿通孔を設けていないから、上記実施形態1に比べて、簡素な型構造にすることができ、その結果、型費を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、クリップナットの誤組み付けを防止して、締結作業性を向上することができる点で有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 ナンバープレートホルダ(樹脂パネル)
3 ナンバープレート(被締結部材)
31 被締結部材のネジ挿通孔
5 クリップナット
51 クリップ部
511 第1対向片
513 第2対向片
517 クリップ部のネジ挿通孔
53 ナット部
531 雌ネジ部
7,9 取付座
71,91 凹部
711,911 底壁
713a〜713c,913a〜913c 側壁
715,915 開放部
717,917 ネジ挿通開口
719,919 誤組付け防止片
719c 誤組付け防止片のネジ挿通孔
B ボルト(雄ネジ部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ挿通孔(31)を有する被締結部材(3)をネジ挿通開口(717,917)を有する樹脂パネル(1)の表側の面に沿わせた状態で上記ネジ挿通孔(31)及びネジ挿通開口(717,917)に雄ネジ部材(B)を挿通して上記被締結部材(3)を上記樹脂パネル(1)に締結する際に、互いに間隔を空けて対向する第1対向片(511)及び第2対向片(513)を有し、これら第1対向片(511)及び第2対向片(513)の各々に上記雄ネジ部材(B)が挿通されるネジ挿通孔(517)が形成されたクリップ部(51)と、内部に上記雄ネジ部材(B)が螺合される雌ネジ部(531)を有し、該雌ネジ部(531)が上記第1対向片(511)のネジ挿通孔(517)に対応するように上記第1対向片(511)に設けられて該第1対向片(511)から反第2対向片(513)側に突出したナット部(53)とから成るクリップナット(5)が、上記ナット部(53)を裏側に向けた状態で上記クリップ部(51)の両ネジ挿通孔(517)と上記ナット部(53)の雌ネジ部(531)と上記被締結部材(3)のネジ挿通孔(31)と上記樹脂パネル(1)のネジ挿通開口(717,917)とが連通するように取り付けられるクリップナットの取付座であって、
上記樹脂パネル(1)の表側の面から裏側に凹陥する凹部(71,91)を備え、
上記凹部(71,91)は、上記ネジ挿通開口(717,917)を有し、上記被締結部材(3)を上記樹脂パネル(1)に締結する際に上記第1対向片(511)と第2対向片(513)とで表裏両側から挟持される底壁(711,911)と、該底壁(711,911)の周縁から立ち上がる側壁(713a,713b,713c,913a,913b,913c)と、上記被締結部材(3)を上記樹脂パネル(1)に締結する際に上記第2対向片(513)を当該凹部(71,91)内に挿入可能なように上記底壁(711,911)の周縁の一部で開放する開放部(715,915)とを有し、
上記凹部(71,91)内には、上記底壁(711,911)との間に隙間を形成するように上記側壁(713a,713b,713c,913a,913b,913c)から延出し、上記クリップナット(5)の第2対向片(513)を上記開放部(715,915)側から上記凹部(71,91)内に挿入するときには、該第2対向片(513)の上記凹部(71,91)内への配置を許容する一方、上記クリップナット(5)の第1対向片(511)を上記開放部(715,915)側から上記凹部(71,91)内に挿入するときには、上記ナット部(53)と干渉して該第1対向片(511)の上記凹部(71,91)内への配置を阻止する誤組付け防止片(719,919)が設けられていることを特徴とするクリップナットの取付座。
【請求項2】
請求項1に記載のクリップナットの取付座において、
上記誤組付け防止片(719)は、上記雄ネジ部材(B)が挿通されるネジ挿通孔(719c)を有し、上記樹脂パネル(1)の表裏方向視で上記底壁(711)のネジ挿通開口(717)に収まるように該ネジ挿通開口(717)に対応して設けられていることを特徴とするクリップナットの取付座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50162(P2013−50162A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188239(P2011−188239)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)