説明

クリンチ用ゴム組成物および空気入りタイヤ

【課題】石油外資源からなる材料の含有比率をより高くすることにより、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、耐久性および工程通過性の両立が図られたクリンチ用ゴム組成物、および、当該ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部含み、かつ、該シリカ100質量部に対して、(X)n−Si−Y(4-n) (式中、Xはメトキシ基またはエトキシ基を示し、Yはフェニル基または直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を示す。また、nは1〜3の整数を表す。)で表されるシラン化合物を2〜30質量部含有するクリンチ用ゴム組成物、および当該ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに用いられるゴム組成物に関し、より詳しくは、空気入りタイヤのクリンチ用ゴム組成物に関する。また、本発明は、当該ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
リムとタイヤが接触する部分に位置するクリンチゴムには、チェーフィング性能を付与するために、従来、カーボンブラックを多量に使用する配合が行なわれてきた。ここで、チェーフィング性能とは、タイヤとリムとがこすれたときのゴムの耐摩滅性能を意味する。カーボンブラックは石油資源由来の材料である。
【0003】
しかし、近年、環境問題が重視されるようになり、二酸化炭素の排出量の規制が強化されている。また、石油現存量は有限であることから、石油資源由来の原材料の使用には限界がある。このような環境重視指向は、タイヤの分野においても例外ではなく、現在使用されている石油資源由来の原材料の一部または全てを石油外資源由来の原材料で代替したクリンチ用ゴム組成物の開発が求められている。
【0004】
たとえば特許文献1には、カーボンブラックの代替原料として石油外資源であるシリカ等を用いたエコタイヤが開示されている。しかし、クリンチ用ゴム組成物において、カーボンブラックの代わりにシリカ等の白色充填剤を使用すると、粘度が高くなるなどの工程通過性に問題があった。
【0005】
ところで、特許文献2〜5には、グリップ性の改善あるいは撥水性を改善することを目的として、タイヤトレッド用ゴム組成物やサイドウォール用ゴム組成物中にシリル化剤を配合する技術が開示されている。しかしながら、耐久性および工程通過性の両立については考慮されておらず、改善の余地があった。
【0006】
このように、石油資源由来の原材料を石油外資源由来の原材料で代替したゴム組成物においては、耐久性および工程通過性の両立が図られた、クリンチゴム用として好適に用いられるゴム組成物は得られていないのが現状である。
【特許文献1】特開2003−63206号公報
【特許文献2】特開平7−118454号公報
【特許文献3】特開平7−292158号公報
【特許文献4】特開平9−87427号公報
【特許文献5】特開平10−60175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、石油外資源からなる材料の含有比率をより高くすることにより、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、耐久性および工程通過性の両立が図られたクリンチ用ゴム組成物、および、当該ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部含み、かつ、該シリカ100質量部に対して、下記一般式(1):
(X)n−Si−Y(4-n) (1)
(上記一般式(1)中、Xはメトキシ基またはエトキシ基を示し、Yはフェニル基または直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を示す。また、nは1〜3の整数を表す。)
で表されるシラン化合物を2〜30質量部含有するクリンチ用ゴム組成物である。ここで、上記一般式(1)中のXはエトキシ基であることが好ましい。
【0009】
また、本発明のクリンチ用ゴム組成物は、上記シリカ100質量部に対して、5〜15質量部のシランカップリング剤をさらに含有することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明は、上記ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、石油外資源からなる材料の含有比率をより高くすることにより、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、耐久性、特には耐摩滅性および工程通過性の両立が図られたクリンチ用ゴム組成物、および、当該ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤが提供される。これにより、走行安全性が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部含み、かつ、該シリカ100質量部に対して、下記一般式(1):
(X)n−Si−Y(4-n) (1)
(上記一般式(1)中、Xはメトキシ基またはエトキシ基を示し、Yはフェニル基または直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を示す。また、nは1〜3の整数を表す。)
で表されるシラン化合物を2〜30質量部含有することを特徴とする。以下、本発明のクリンチ用ゴム組成物が含有する各成分について詳細に説明する。
【0013】
<ゴム成分>
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、ゴム成分として、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴムなどの天然系ゴム成分を含有する。
【0014】
天然ゴムとしては、ゴム工業において従来用いられているものを使用することができ、たとえば、RSS、TSRなどのグレードの天然ゴムを挙げることができる。
【0015】
ゴム成分中の天然ゴム(NR)の含有率は特に制限されず、たとえば、ゴム成分として天然ゴムのみを含有していてもよい。
【0016】
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、ゴム成分として、エポキシ化天然ゴムを含有していてもよい。エポキシ化天然ゴム(ENR)としては、市販のものを用いてもよいし、天然ゴム(NR)をエポキシ化したものを用いてもよい。NRをエポキシ化する方法としては、特に限定されるものではなく、たとえばクロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などを挙げることができる。過酸法としては、たとえば天然ゴムに過酢酸や過蟻酸などの有機過酸を反応させる方法を挙げることができる。
【0017】
エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は特に制限されず、たとえば、エポキシ化率25モル%のENR(ENR25)やエポキシ化率50モル%のENR(ENR50)などを用いてもよい。なお、エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率とは、(エポキシ化された二重結合の数)/(エポキシ化前の二重結合の数)を意味する。
【0018】
本発明において、ENRは1種のみを用いてもよく、エポキシ化率の異なる2種以上のENRを用いてもよい。
【0019】
エポキシ化天然ゴム(ENR)を含有する場合、ゴム成分中のエポキシ化天然ゴム(ENR)の含有率は、特に制限されない。
【0020】
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、ゴム成分として天然ゴムおよびエポキシ化天然ゴム以外の天然系ゴム成分を含有してもよい。そのようなものとしては、たとえば脱蛋白天然ゴム(DPNR)を挙げることができる。天然ゴム(NR)中には、蛋白質や脂質等の非ゴム成分が5〜10質量%程度存在しているのが通常である。これらの非ゴム成分、特に蛋白質は分子鎖の絡み合いの原因となるといわれており、ゲル化を引き起こす要因となる。このような問題を回避するために、天然ゴム中の非ゴム成分を除去した脱蛋白天然ゴム(DPNR)をゴム組成物に配合することは極めて有利である。
【0021】
ここで、脱蛋白天然ゴム(DPNR)の重量平均分子量(ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)、ポリスチレン換算)は140万以上であることが好ましい。重量平均分子量が140万未満では、生ゴム強度が低下する。また、脱蛋白天然ゴム(DPNR)の窒素含有率は0.1質量%以下であることが好ましく、0.08質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることがさらに好ましい。窒素含有率が0.1質量%を超えると、ゲル化を引き起こす要因となる。
【0022】
脱蛋白天然ゴム(DPNR)は、天然ゴム(NR)を脱蛋白処理することにより得ることができる。天然ゴム(NR)の脱蛋白処理としては、たとえば、次の方法を挙げることができる。
(1)天然ゴムラテックスに蛋白質分解酵素またはバクテリアを添加して蛋白質を分解させる方法、
(2)天然ゴムラテックスにアルカリを加えて加熱し、蛋白質を分解させる方法、
(3)界面活性剤により天然ゴムラテックスに吸着されている蛋白質を遊離させる方法。
【0023】
脱蛋白処理に用いる天然ゴムラテックスとしては、特に限定はなく、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックスなどを用いることができる。
【0024】
上記(1)の方法において用いられる蛋白質分解酵素としては、従来公知のものが使用可能であり、特に限定はされないが、たとえばプロテアーゼ等が好適に用いられる。プロテアーゼの由来としては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれでも構わないが、これらの中では細菌由来のプロテアーゼが好ましい。また、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の酵素を併用してもよい。
【0025】
蛋白質分解酵素としてアルカリプロテアーゼを用いる場合、その活性は0.1〜50APU/g、好ましくは1〜25APU/gの範囲であるのが好ましい。ここで、蛋白質分解酵素の活性は、アンソン−ヘモグロビン法[Anson.M.L.,J.Gen.Physiol.,22,79(1938)]の改良法を用いて測定される。すなわち、基質として用いる尿素変性ヘモグロビンの終濃度が14.7mg/mlとなるように調整した溶液中で、温度25℃、pH10.5にて10分間反応させた後、反応溶液にトリクロロ酢酸を終濃度が31.25mg/mlとなるように添加する。ついで、トリクロロ酢酸の可溶分をフェノール試薬によって呈色させ、1モルのチロシンの呈色度を1APUとした検量線により反応10分間当たりの活性を求め、これを1分間当たりに換算することによって測定するものである。なお、1APUとは、1モルのチロシンがフェノール試薬によって呈色するのと同じ呈色度のトリクロロ酢酸可溶分量を1分間に与えるプロテアーゼの量のことを示す。
【0026】
蛋白質分解酵素の添加量は、酵素活性によって適宜設定されるものであるが、通常天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して0.0001〜20質量部、好ましくは0.001〜10質量部である。蛋白質分解酵素の添加量が0.0001質量部より少ないと天然ゴムラテックス中の蛋白質を充分に分解することができなくなるおそれがあり、20質量部を超えると、酵素の活性が低下するとともに、コストが高くなる。
【0027】
蛋白質分解酵素による処理時間としてはとくに限定はなく、酵素活性に応じて適宜設定することができる。通常、数分から1週間程度処理を行なうことが好ましい。蛋白質分解処理中、天然ゴムラテックスは撹拌してもよいし、静置しておいても構わない。また、必要に応じて温度調節を行なってもよく、適当な温度としては、5〜90℃、好ましくは20〜60℃である。処理温度が90℃を超えると、酵素の失活が早く、5℃未満では酵素反応が進行しにくくなる。
【0028】
上記方法(3)において使用する界面活性剤としては、たとえば陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤のいずれか1種または2種以上が使用可能である。陰イオン性界面活性剤としては、たとえばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、たとえばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等が好適に使用される。両性イオン界面活性剤としては、たとえばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等が挙げられる。
【0029】
上記方法(3)においては、界面活性剤を用いて、天然ゴムラテックスを洗浄して、該天然ゴムラテックスに吸着されている蛋白質を遊離させる。界面活性剤による天然ゴムラテックス粒子の洗浄方法としては、酵素未処理の天然ゴムラテックスを洗浄する方法と酵素処理を完了した天然ゴムラテックスを洗浄する方法のいずれでもよい。具体的な洗浄方法としては、たとえば、酵素未処理の天然ゴムラテックスまたは酵素処理した天然ゴムラテックスに界面活性剤を添加し、遠心分離する方法および天然ゴムラテックス粒子を凝集させて分離する方法等が挙げることができる。遠心分離して天然ゴムラテックスを洗浄する場合、遠心分離は1回ないし数回行なうことができる。通常、1回の遠心分離によって蛋白質が高度に除去された脱蛋白天然ゴムラテックスを得ることができる。また、遠心分離処理は、天然ゴムラテックスのゴム成分が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるように水で希釈した上で行なってもよい。
【0030】
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して0.001〜20質量部、好ましくは0.001〜15質量部である。
【0031】
上記方法(1)および(3)において、蛋白質分解酵素や界面活性剤を用いるにあたっては、他の添加剤、たとえばpH調整剤、分散剤等を添加してもよい。
【0032】
pH調整剤としては、たとえばリン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢酸塩;硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、クエン酸、コハク酸等の酸類またはその塩;アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。pH調整剤の添加量は、天然ゴムラテックスのゴム固形分100質量部に対して、通常、0.01〜0.5質量部である。
【0033】
分散剤としては、スチレンスルホン酸共重合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸、多環型芳香族スルホン酸共重合物、アクリル酸、無水マレイン酸のホモポリマーおよび共重合物、イソブチレン−アクリル酸とイソブチレン−無水マレイン酸との共重合物等を挙げることができる。
【0034】
上記のようにして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスは、遠心分離等により非ゴム成分を除去した後凝固してもよいし、非ゴム成分を除去しないまま凝固させてもよい。凝固方法としては特に限定はなく、公知の方法で行なうことができる。通常、蟻酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩等の凝固剤を加えてラテックスゴム粒子を不安定化させて凝固する方法や、界面活性剤の曇点を利用してラテックスゴム粒子を不安定化させて凝固する方法等が用いられる。
【0035】
なお、脱蛋白天然ゴムのゲル含有率は10質量%以下であることが好ましい。ゲル含有率が10質量%を超えると、未加硫ゴムの粘度が上昇し、加工性が低下する傾向がある。ゲル含有率は、トルエン不溶分として測定されるものである。
【0036】
脱蛋白天然ゴム(DPNR)を含有する場合、ゴム成分中の脱蛋白天然ゴム(DPNR)との含有率は、特に制限されない。
【0037】
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、上記した天然系ゴム成分のほかにジエン系合成ゴムなどを含んでもよい。ジエン系合成ゴムとしては、たとえば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、イソブチレンとp−メチルスチレンとの共重合体のハロゲン化物などを挙げることができる。なかでも、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびこれらの組み合わせを好適に用いることができる。
【0038】
本発明のクリンチ用ゴム組成物がジエン系合成ゴムを含む場合、ジエン系合成ゴムの含有量は、天然系ゴム成分100質量部に対して、250質量部以下とすることが好ましい。ただし、省資源および環境保護を考慮し、石油外資源の含有率を高めるという観点からは、ジエン系合成ゴムを含まないことがより好ましい。
【0039】
<シリカ>
本発明のクリンチ用ゴム組成物はシリカを含有する。シリカは、補強用充填剤として機能するものであり、シリカを配合することにより、得られるクリンチゴムの低発熱性、耐摩滅性を向上させることができる。
【0040】
シリカとしては、湿式法により調製されたものであってもよく、乾式法により調製されたものであってもよい。
【0041】
シリカのBET比表面積は、50m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。シリカのBET比表面積が50m2/g未満では、耐摩滅性に劣る傾向にある。また、シリカのBET比表面積は、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましい。シリカのBET比表面積が300m2/gを超えると、分散性に劣るか、または発熱性が大きくなる傾向にある。具体的には、デグッサ製のウルトラジルVN2(BET比表面積:125m2/g)やウルトラジルVN3(BET比表面積:210m2/g)などを好適に用いることができる。
【0042】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以上である。シリカの含有量が30質量部未満では、十分な耐摩滅性を確保できない傾向にある。シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上がより好ましい。また、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、100質量部以下であり、80質量部以下がより好ましい。シリカの含有量が100質量部を超えると、ゴム粘度が高くなり、工程通過性に劣るか、または発熱性が大きくなる傾向にある。
【0043】
<シラン化合物>
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、シラン化合物を含む。シラン化合物の添加により、耐久性、特には耐摩滅性を確保しつつ、粘度が大幅に低減され、工程通過性が改善されたゴム組成物を得ることができる。
【0044】
ここで、本発明におけるシラン化合物とは、下記一般式(1):
(X)n−Si−Y(4-n) (1)
(上記一般式(1)中、Xはメトキシ基またはエトキシ基を示し、Yはフェニル基または直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を示す。また、nは1〜3の整数を表す。)
で表されるシラン化合物である。
【0045】
上記一般式(1)中のXは、ゴム成分との相溶性により優れているという理由から、エトキシ基であることがより好ましい。同様の理由から、上記一般式(1)中のYは、フェニル基であることがより好ましい。また、上記一般式(1)中のnは、1〜3の整数である。nが0の場合、Xが存在しないこととなり、シラン化合物の反応性が増大しすぎる傾向がある。nが4の場合、Yが存在せず、シラン化合物の反応性が低下する傾向にある。
【0046】
上記一般式(1)で表されるシラン化合物の具体例を挙げれば、たとえば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどである。これらのシラン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ゴムとの相溶性およびコストを低減できるという理由から、フェニルトリエトキシシランが好ましい。
【0047】
シラン化合物の含有量は、シリカ100質量部に対して、2質量部以上であり、好ましくは5質量部以上である。シラン化合物の含有量が2質量部未満では、粘度が高く、工程通過性に劣る傾向にある。また、シラン化合物の含有量は、シリカ100質量部に対して、30質量部以下であり、好ましくは20質量部以下である。シラン化合物の含有量が30質量部を超えると、耐摩滅性に劣る傾向にある。
【0048】
<シランカップリング剤>
本発明のクリンチ用ゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
上記のなかでも、加工性が良好であるという理由から、デグッサ社製Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)、Si266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)などが好ましく用いられる。
【0050】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して4質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。含有量4質量部未満では、ゴムの強度が低下する傾向にある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましい。15質量部を超える場合、耐磨耗性が劣る傾向にある。
【0051】
<カーボンブラック>
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、ゴムの補強性、耐摩滅性確保の観点から、カーボンブラックを含んでもよい。ただし、省資源および環境保護の観点からは、カーボンブラックを含有しないことが好ましい。
【0052】
<その他の配合剤>
本発明のクリンチ用ゴム組成物には、上記した成分以外にも、他の添加剤、たとえば加硫剤、加硫促進剤、ステアリン酸、オイル、ワックス、老化防止剤、亜鉛華などを含有してもよい。
【0053】
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用することが可能であり、有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレートなどを使用することができる。これらの中で、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼンおよびジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。これらの加硫剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物などを使用することができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物などを使用することができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系化合物を使用することができる。チオウレア系としては、たとえばチアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などを使用することができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレートなどのグアニジン系化合物を使用することができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウムなどのジチオカルバミン酸系化合物などを使用することができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物などのアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物などを使用することができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物などを使用することができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物などを使用することができる。これらの加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩などを適宜選択して使用することができる。
【0056】
オイルとしては、たとえばプロセスオイル、植物油脂、およびそれらの混合物などを用いることができる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどを挙げることができる。また、植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油などを挙げることができる。
【0057】
本発明の空気入りタイヤは、上記本発明のクリンチ用ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤである。以下、図1を参照して本発明の空気入りタイヤを説明する。図1は、本発明に係る空気入りタイヤを例示したものである。空気入りタイヤ1は、キャップトレッド部とベーストレッド部とを備えるトレッド部2と、そのトレッド部2の両端からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを備える構造を有するのが一般的である。そして、それらのビード部4間にはカーカス6が架け渡されるとともに、このカーカス6の外側かつトレッド部2の内側にはタガ効果を有してトレッド部2を補強するベルト層7が配される。
【0058】
上記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば70〜90°の角度で配列する1枚以上のカーカスプライ6aから形成され、このカーカスプライ6aは、上記トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返されて係止される。
【0059】
上記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば40°以下の角度で配列した2枚以上のベルトプライ7aからなり、各ベルトコードがプライ間で交差するよう向きを違えて重置している。
【0060】
またビード部4には、上記ビードコア5から半径方向外方に延びるビードエイペックスゴム8が配されるとともに、カーカス6の内側には、タイヤ内腔面をなすインナーライナゴム9が隣設され、カーカス6の外側は、クリンチゴム4Gおよびサイドウォールゴム3Gで保護される。本発明のクリンチ用ゴム組成物は、上記クリンチゴム4Gに使用されるものである。
【0061】
本発明の空気入りタイヤは、上記本発明のクリンチ用ゴム組成物を用いて、従来公知の方法により製造される。すなわち、上記構成のクリンチ用ゴム組成物を混練りし、未加硫の段階でタイヤのクリンチ部の形状に合わせて押出し加工し、タイヤの他の部材とともに、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の空気入りタイヤを得ることができる。
【0062】
かかる本発明の空気入りタイヤは、クリンチゴムに、石油外資源からなる材料の含有比率がより高く、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、耐久性、特には耐摩滅性を確保しつつ、粘度が大幅に低減され、工程通過性が改善されたゴム組成物が使用されているため、地球環境に優しい「エコタイヤ」として、たとえば乗用車などに好適に使用することができる。
【0063】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
<実施例1〜5および比較例1〜4>
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く配合成分を、回転数80rpm、150℃の条件で3分間混練りした。ついで、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を表1に示す配合量で加えた後、オープンロールを用いて、80℃で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。次に、当該未加硫ゴム組成物を150℃で、30分間加硫することにより、実施例1〜5および比較例1〜4の加硫ゴムシートを作製した。
【0065】
【表1】

【0066】
上記実施例および比較例で使用した各種配合成分の詳細は以下のとおりである。
(1)天然ゴム(NR):SIR20
(2)シラン化合物:信越化学(株)製の「KBE−103」(フェニルトリエトキシシラン)
(3)シリカ:デグッサ社製の「ウルトラジルVN3」(BET比表面積:210m2/g)
(4)老化防止剤:住友化学製の「アンチゲン6C」(N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
(5)ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
(6)亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の「亜鉛華1号」
(7)硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
(8)加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーD」(ジフェニルグアニジン)
(9)加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製の「ノクセラーNS」(TBBS)
実施例1〜5および比較例1〜4の加硫ゴムシートについて、下記に示す試験を実施した。結果を表1に示す。
【0067】
<ムーニー粘度試験>
工程通過性の指標として、ムーニー試験機を用い、130℃の条件で、ムーニー粘度試験を行なった。表1に示される数値は、実施例1のムーニー粘度を100としたときの相対値である。当該数値が小さいほど、粘度が低く、工程通過性が高いことを示す。当該数値が100以下の場合には、工程通過性が良好であるとし(表1におけるA)、110を超える場合には、工程通過性が良好でないとした(表1におけるB)。
【0068】
<ピコ磨耗試験>
JIS−K6264「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムゴム−耐磨耗性の求め方」に準じて、上島製作所(株)製のピコ磨耗試験機にて表面回転速度60rpm、負荷荷重4kg、試験時間1分間の条件で磨耗させ、各加硫ゴム試験片の試験前後の重量変化を測定した。表1に示される数値は、実施例1の重量変化を100としたときの相対値である。当該数値が大きいほど、耐磨耗性が高く、チェーフィング性能が高いことを示す。当該数値が70以上の場合には、チェーフィング性能が許容できる範囲であるとし(表1におけるA)、70未満の場合には、チェーフィング性能が不足であるとした(表1におけるB)。
【0069】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の空気入りタイヤの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 タイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカス、7 ベルト層、8 ビードエイペックスゴム、9 インナーライナーゴム、4G クリンチゴム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムを含むゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部含み、かつ、
前記シリカ100質量部に対して、下記一般式(1):
(X)n−Si−Y(4-n) (1)
(上記一般式(1)中、Xはメトキシ基またはエトキシ基を示し、Yはフェニル基または直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を示す。また、nは1〜3の整数を表す。)
で表されるシラン化合物を2〜30質量部含有するクリンチ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記一般式(1)中のXはエトキシ基である請求項1に記載のクリンチ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記シリカ100質量部に対して、5〜15質量部のシランカップリング剤をさらに含有する請求項1または2に記載のクリンチ用ゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤ。

【図1】
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【公開番号】特開2008−308554(P2008−308554A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156645(P2007−156645)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】