説明

クリーニングカード

【課題】カードの全面に汚れや磨耗が生じるまで使用できる使用寿命が長く経済的なクリーニングカードを提供する。
【解決手段】クリーニングカード13は不織布等の柔軟な部材で作られた筒状体を押しつぶして二つ折りにした二重形状のカード体で構成される。カード体の表面には筒状体の軸線に平行する複数の直線目印16(16a、16b)が折畳位置の目印として印刷等で付与されている。直線目印16と16の間隔は被清掃部材である搬送ローラ6に当接する幅よりもやや広く形成されている。クリーニングカード13で電子端末機器4の搬送ローラ対6を長期にわたって清掃をすると、汚れや磨耗14が発生した部分と被清掃部材に当たらない汚れや磨耗の無い部分15に分かれる。二重形状のカード体を矢印cにように回転させ汚れや磨耗の無い部分15を汚れや磨耗14が発生した部分と入替える。これを4回まで繰り返してクリーニングカード13を使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングカードに係わり、特に金融機関の窓口等で使用される金融端末系のカード状の情報記録媒体または通帳等の印字媒体へ情報を読み書きするカードリーダライタやプリンタ等の機器の内部部材を清掃するクリーニングカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関の窓口等で使用される金融端末系のカード状の情報記録媒体または通帳等の印字媒体へ情報を読み書きするカードリーダライタやプリンタ等の電子機器が知られている。
【0003】
これらの電子機器内には、搬送ローラ、磁気ヘッド、センサ等のそれぞれ複数の部材が配置されている。これらの電子機器は使用によって、搬送ローラは紙粉や印字インクで汚れ、磁気ヘッドは磁粉で汚れ、センサは紙粉等で汚れやすい。
【0004】
搬送ローラ、磁気ヘッド、センサ等の内部部材は、いずれも汚れによって機能が低下する。例えば、搬送ローラは紙粉により摩擦力が低下し媒体搬送時にスリップを起こしたり、媒体に印字された印字インクが転写され搬送される媒体を汚してしまったりする。磁気ヘッドは磁粉で汚れ、媒体の磁気ストライプの読取精度が低下する。センサ(例えば光学センサ)は発光や受光が遮られ検出精度が低下する。そのため、定期的にこれらの内部部材(被清掃部材)を清掃する必要がある。そのような被清掃部材を清掃するためにクリーニングカードが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)
【0005】
例えば、特許文献1は、繊維材を二つ折りにしてその端部を接着し、無端帯状体の環状に形成し、内部に板状の補強基材が収容し、外周面をクリーニング面としてクリーニングカード構成したもので、補強基材の厚さを変えることでクリーニングカード挿入口の上下の間隙の大小に対処できるとしている。
【0006】
また、特許文献2は、磁気ヘッドの清掃を目的とするクリーニングカードであって、表面に凹凸状を有するPET(Polyethylene Terephthalate)製のクリーニングカードを、磁気ヘッドが配置されている搬送路内を往復搬送させることで簡単かつ確実に磁気ヘッドを清掃できるとしている。
【0007】
一般に、電子機器内に配置されている搬送ローラ、磁気ヘッド、センサ等は、一定位置に固定されて配置されている。ただし磁気ヘッドには固定型と移動型があるが、移動型であっても清掃時には一定の位置に固定される。
【0008】
図5(a) は従来のクリーニングカードの平面図であり、同図(b) は清掃に複数回使用された後のクリーニングカードの平面図である。図5(a) に示すクリーニングカード1は、使用前であるのでの汚れていない。しかし、一定期間使用すると、被清掃部材に当たる部分に、同図(b) に示すように、汚れや磨耗2が発生する。
【0009】
そして、清掃に使用できないほどに汚れたり磨耗したりしたものは廃棄して新しいクリーニングカードに取り替えなければならない。
【0010】
ところで、被清掃部材は一定位置に固定して配置されているので、汚れや磨耗2はクリーニングカード1の同一位置に発生する。同一位置の汚れや磨耗2が清掃に使用できないほどになると、たとえ他の被清掃部材に当たらない部分3が新品同様に汚れや磨耗がなくても、そのクリーニングカード1は廃棄しなければならない。
【0011】
汚れや磨耗2が発生する同一位置の総面積よりも、被清掃部材に当たらない他の部分3の総面積のほうが大きいから、そのように新品同様に汚れや磨耗がない部分が多いクリーニングカードを廃棄するのは資源保護の上からみても無駄が多く不経済である。
【0012】
ところが、特許文献1や2では、クリーニングカードの厚さを簡単に変えたり、磁気ヘッドを簡単かつ確実に清掃することは考慮されても、資源の無駄については全く考慮されていないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−242807号公報
【特許文献2】特開2004−005861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、機器内の被清掃部材を清掃する清掃面の位置を変更しながらカードの全面に汚れや磨耗が生じるまで使用できるクリーニングカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のクリーニングカードは、機器の内部部材を清掃するクリーニングカードであって、筒状の柔軟な部材を筒の軸線に直角な方向に押しつぶして二つ折りに折り畳まれた二重形状のカード体と、該カード体の上記軸線に平行する方向に沿って付与された複数の折畳位置の目印と、を有するように構成される。
【0016】
上記複数の折畳位置の目印は、例えば、上記カード体の表面に印刷された直線であるように構成され、また、例えば、上記カード体に直線状に形成されたミシン目であるように構成され、また、例えば、上記カード体の表面又は裏面に直線状に形成された溝であるように構成される。
【0017】
この場合、上記複数の折畳位置の目印の間隔は、例えば、被清掃部材に当接する幅よりも広く形成されている、ように構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明のクリーニングカードは、二重形状のカード体の二つ折りの折畳位置を変更しながら使用できるので、カードの全面に汚れや磨耗が生じるまで使用でき、カードの使用寿命が長くなるという効果とともに、資源保護の上から無駄が無く経済であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1に係るクリーニングカードをこのカードによって内部の被清掃部材が清掃される電子端末機器と共に模式的に示す平面図である。
【図2】(a)は実施例1に係る新品のクリーニングカードを示す斜視図、(b)は清掃面に清掃が出来ないほど汚れや磨耗が生じたクリーニングカードの斜視図、(c)は折畳位置を移動させて新しい清掃面を形成したクリーニングカードの斜視図である。
【図3】実施例2に係るクリーニングカードの斜視図である。
【図4】(a)は実施例3に係るクリーニングカードの斜視図、(b)はカード体の内面に形成されている溝を示す拡大斜視図である。
【図5】(a)は従来のクリーニングカードの平面図、(b)は清掃に複数回使用された後のクリーニングカードの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1に係るクリーニングカードをこのカードによって内部の被清掃部材が清掃される電子端末機器と共に模式的に示す平面図である。図1に示すように、電子端末機器4は、カードや帳票類を搬入したり搬出するための挿入口5を備えている。
【0022】
挿入口5から内部には、挿入口5から挿入されるカードや帳票類を搬入し搬出する複数の搬送ローラ対6が搬送路7内に配置されている。また、内部中央には、矢印aで示す搬送方向に直交する方向に延在してプラテン8が配置されている。
【0023】
プラテン8の左端部は、印字ヘッド9の待機位置であり、印字ヘッド9は、この待機位置から左右に往復移動しながら、挿入口5から挿入される帳票類の印字欄に所定の印字を実行する。
【0024】
プラテン8と挿入口5との間に複数のセンサ(光学センサ)11が配設されている。センサ11は、カードや帳票類が挿入口5へ挿入されたことを検出したり、帳票類の印字欄がプラテン8の位置まで搬送されたことなどを検出する。
【0025】
また、搬送路7の左端部近傍には、プラテン8と挿入口5との間に磁気ヘッド12が配設されている。磁気ヘッド12は、図に示す実線位置から一点鎖線位置の間を往復移動して、挿入口5から挿入されて所定位置に停止した帳票類の磁気ストライプに対し、磁気データの読み書きを行う。
【0026】
クリーニングカード13は、磁気ヘッド12、搬送ローラ6、センサ11等を清掃するクリーニングカードであるが、本例ではクリーニングカードの機能を分かりやすく説明するために、搬送ローラ6を清掃するクリーニングカードについて説明する。
【0027】
クリーニングカード1は、一定期間使用すると、被清掃部材である搬送ローラ6に当たる部分に、図2(a)や(b)に示すように、汚れや磨耗14が発生する。被清掃部材である搬送ローラ6に当たらない部分15は、新品同様であり、汚れや磨耗は発生していない。
【0028】
図2(a)は実施例1に係る新品のクリーニングカード13を示す斜視図、図2(b)は清掃面に清掃が出来ないほど汚れや磨耗が生じたクリーニングカード13の斜視図、図2(c)は折畳位置を移動させて新しい清掃面を形成したクリーニングカード13の斜視図である。
【0029】
図2(a)に示す本例のクリーニングカード13は、筒状の柔軟な部材、例えば不織布等で作られた筒状部材の筒の軸線に直角な方向に押しつぶして二つ折りに折り畳まれた二重形状のカード体をなしている。
【0030】
カード体の表面には軸線に平行する方向に沿って複数の直線目印16(16a)が折畳位置の目印として例えば印刷等で付与されている。尚、上記複数の折畳位置の目印である直線目印16と16の間隔は、例えば、被清掃部材である搬送ローラ6に当接する幅よりもやや広く形成されている。
【0031】
このクリーニングカード13、初期状態では適宜の位置の直線目印16aの部分で二つ折りに押しつぶされて、図2(a)に示すように二重形状のカード体を形成している。この二重形状のカード体を成すクリーニングカード13で図1に示した電子端末機器4の搬送ローラ対6を長期にわたって複数回の清掃をすると、図1に示したと同様の汚れや磨耗14が発生した部分と、搬送ローラ6に当たらない部分15のように汚れや磨耗が発生していない部分に分かれる。
【0032】
ここで、図2(b)に示す汚れや磨耗14が発生した部分のカード幅端部方向に付与された 直線目印16bが二つ折りの折り目となるように、図2(c)に矢印cで示すように、二重形状のカード体を回転させる。
【0033】
そうすると、図2(b)の汚れや磨耗14の部分が直線目印16と16の間隔分だけ移動して、図2(b)の汚れや磨耗14の在った部分に、図2(c)に示すように汚れや磨耗が発生していない、つまりいままで搬送ローラ6に当たっていない部分15が移動する。
【0034】
これにより、このクリーニングカード13が、図2(b)に示すように、清掃に使用できないほどの汚れや磨耗14が発生しても、従来のように廃棄することなく、図2(b)の汚れや磨耗14の在った部分に、図2(c)に示すように汚れや磨耗が発生していない部分を移動させて、再びこのクリーニングカード13を使用することができる。
【0035】
図2(a),(b),(c)に示す例では、全面に清掃に使用できないほどの汚れや磨耗14が発生するまでに、このクリーニングカード13を4回使用することができることがわかる。すなわち、クリーニングカード13の寿命が4倍に延びることになって経済的である。
【0036】
図3は、実施例2に係るクリーニングカードの斜視図である。図3に示すクリーニングカード17も、例えば不織布等で作られた柔軟な筒状部材の筒の軸線に直角な方向に押しつぶして二つ折りに折り畳まれた二重形状のカード体をなしている点では実施例1の場合と同様である。
【0037】
この実施例2に係るクリーニングカード17では、二つ折りの折畳位置の目印として、実施例1の直線の印刷に代わって、直線状のミシン目18が二重のカード体に形成されている。二つ折りの折畳位置の目印がミシン目18であると、印刷された直線の目印の場合よりも、容易に折り位置を移動させて新たなミシン目18の位置で二つ折りに折畳むことができる。
【0038】
図4(a)は実施例3に係るクリーニングカードの斜視図であり、図4(b)はカード体の内面に形成されている溝を示す拡大斜視図である。図4(a)に示すように、本例のクリーニングカード20のカード体の表面には、二つ折りに折畳む位置を示す目印が何も付与されていない。
【0039】
ただし、本例の場合は、カード体の裏面(二つ折りの内面)の実施例1の直線目印16又は実施例2の直線状のミシン目18に相当する位置に、図4(b)に示すように、溝21が形成されている。この溝21は、例えばダンボール箱の折り目の溝のような押しつぶし加工によって付けられた溝である。
【0040】
本例の場合も、印刷された直線の目印の場合よりも、容易に折り位置を移動させて新たな溝21の位置で、矢印d及び矢印eで示すように、二重のカード体を二つ折りに折畳むことができる。
【0041】
このように本発明のクリーニングカードによれば、二重形状のカード体の二つ折りの折畳位置を変更しながら使用できるので、カードの全面に汚れや磨耗が生じるまで使用でき、カードの使用寿命が長くなるという効果とともに、資源保護の上から無駄が無く経済であるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、クリーニングカードに係わり、特に金融機関の窓口等で使用される金融端末系のカード状の情報記録媒体または通帳等の印字媒体へ情報を読み書きするカードリーダライタやプリンタ等の機器の内部部材を清掃するクリーニングカードに利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 従来のクリーニングカード1
2 汚れや磨耗
3 被清掃部材に当たらない部分
4 電子端末機器
5 挿入口
6 搬送ローラ対
7 搬送路
8 プラテン
9 印字ヘッド
11 センサ
12 磁気ヘッド
13 クリーニングカード
14 汚れや磨耗
15 被清掃部材に当たらない部分
16(16a、16b) 直線目印
17 クリーニングカード
18 ミシン目
20 クリーニングカード
21 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器内部の媒体搬送路に設けられた内部部材を清掃するクリーニングカードであって、
筒状の柔軟な部材を筒の軸線に直角な方向に押しつぶして二つ折りに折畳まれた二重形状のカード体と、
該カード体の前記軸線に平行する方向に沿って付与された複数の折畳位置の目印と、
を有することを特徴とするクリーニングカード。
【請求項2】
前記内部部材は少なくとも、磁気ヘッド、搬送ローラ、センサのいずれか一つであることを特徴とするクリーニングカード。
【請求項3】
前記複数の折畳位置の目印は、前記カード体の表面に印刷された直線である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニングカード。
【請求項4】
前記複数の折畳位置の目印は、前記カード体に直線状に形成されたミシン目である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニングカード。
【請求項5】
前記複数の折畳位置の目印は、前記カード体の表面又は裏面に直線状に形成された溝である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のクリーニングカード。
【請求項6】
前記複数の折畳位置の目印の間隔は、被清掃部材に当接する幅よりも広く形成されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のクリーニングカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−30243(P2013−30243A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165671(P2011−165671)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)