説明

クリーニングブレード及びそれを用いた電子写真画像形成装置

【課題】耐摩耗性が極めて高くてブレードめくれが生じない、かつ小径、球形トナーに対しても良好なクリーニング特性が長期にわたり得られるクリーニングブレード、及びそれを用いた電子写真画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】像担持体または転写体上の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードであって、前記クリーニングブレードは基体部の先端に接触部を備え、前記基体部のショアD硬度が50以上80以下であり、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.4以下であり、また前記接触部のショアA硬度が1以上70以下であり、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数が1.2以下であることを特徴とするクリーニングブレードである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に用いられるクリーニングブレード、及びそれを用いた電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置は、像担持体または転写体上に形成された潜像をトナーにより現像し、該トナー像を記録紙に転写させるものである。このような画像形成装置において、像担持体を繰り返し使用するために、一回の画像形成プロセスの最終段階で像担持体をクリーニングし、像担持体に付着している残留トナーを除去するようにしている。そして、このクリーニング方式としては、弾性体からなるクリーニングブレードを像担持体に当接させるクリーニングブレード方式が知られている。
【0003】
クリーニングブレードの材料としてはゴム弾性材が一般的に用いられるが、ブレードと像担持体表面との摩擦により、ブレード先端が摩耗したり欠けたりして、十分なクリーニング性能を持続できない問題がある。
【0004】
また、最近では、トナー粒径を小さくする技術として、従来の粉砕法ではなく重合法が有力となってきている。重合法により製造された小粒径トナーは、形状が球形に近く、また粒度分布がシャープであることから、繊細な画質が得られるという特徴を持っている。しかし、小粒径の重合トナーを使用した場合、従来の粉砕法で製造されたトナーに比べ形状が真球に近いこと及び粒径が小さくなっていることでクリーニングすることが難しく、すり抜けや黒ポチ等のクリーニング不良が発生しやすいという問題がある。また、これらの小粒径のトナーをクリーニングする場合、像担持体等に当接するクリーニングブレードの線圧を高めてクリーニング能力を高くしているが、この場合ブレードクリーニングが、めくれてクリーニング不良になるという問題がある。
【0005】
これらの問題に対して、特許文献1では、弾性を有する金属薄片の基体に、硬質クロムめっきなどによりエッジ部を硬質皮膜処理したブレードが用いられている。
【0006】
また、特許文献2ではエラストマー基材中にシリコーンゴム粒子を分散したクリーニングブレードが開示され、特許文献3ではポリウレタンのゴム部材中にビニル系樹脂、フッ素系樹脂、あるいはポリエステル樹脂等の縮合重合体からなる樹脂微粒子を分散させたクリーニングブレードが開示されている。
【0007】
しかしながら、従来の方法では、ブレードを硬くし過ぎることにより、耐摩耗性は高いが、像担持体との密着性が悪くなってしまい、クリーニング性の悪化や、特に小径、球形トナーのクリーニングが困難となってしまう。また、ブレードの潤滑性を高めてもブレードの耐摩耗性が十分でなく、良好なクリーニング性を安定的に得られない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平04−352186号公報
【特許文献2】特開平05−173464号公報
【特許文献3】特開2003−195711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、耐摩耗性が極めて高くてブレードめくれが生じない、かつ小径、球形トナーに対しても良好なクリーニング特性が長期にわたり得られるクリーニングブレード、及びそれを用いた電子写真画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討の結果、基体部とその先端に接触部を備えたクリーニングブレードを用い、また該クリーニングブレードを像担持体または転写体と適切な当接角度や当接圧力にて配設することにより、耐摩耗性にも優れ、長期のクリーニング性も良好なクリーニングブレード及び画像形成装置を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係るクリーニングブレードは、像担持体または転写体上の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードであって、前記クリーニングブレードは基体部の先端に接触部を備え、前記基体部のショアD硬度が50以上80以下であり、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.4以下であり、また前記接触部のショアA硬度が1以上70以下であり、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数が1.2以下であることを特徴とするクリーニングブレードである。
【0012】
本発明に用いるクリーニングブレードの基体部は、像担持体表面を傷付けないが、像担持体と接触しても摩耗しない程度の硬度を有し、ブレードめくれやビビリが発生しない程度の滑り性を有していれば良く、それ以外は特には限定されない。
【0013】
前記基体部の材質は、特には限定されないが、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)やフッ素樹脂を好適に用いることができる。
【0014】
前記基体部に用いられるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETEF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。中でもPFAは耐摩耗性に優れることから好適に用いられる。
【0015】
前記基体部のショアD硬度は、50以上80以下であることが好ましい。さらには60以上70以下であることが好ましい。50以上であると摩耗を防ぐことができる。80以下であると像担持体表面を傷付けない。
【0016】
前記基体部のASTM D 1894の動摩擦係数は、0.4以下であることが好ましい。さらには0.3以下であることが好ましい。0.4以下であると像担持体表面上での滑り性が良好である。
【0017】
前記基体部の摩耗減量は、0.004g/時間以下であることが好ましい。0.004g/時間であるとほとんど摩耗しない。
【0018】
前記基体部の先端角度は、15度以上80度以下であることが好ましい。さらには20度以上60度以下であることが好ましい。さらには30度以上50度以下であることが好ましい。15度以上であると先端部の機械的強度が得られ、当接圧による先端部の反り返りが抑えられ、トナーすり抜け等の不具合が生じない。80度以下であると残留トナーが堆積せず掻き取ることができる。
【0019】
前記基体部には、像担持体の表面に触れない部分に金属やセラミックス等の補強部を取り付けることができる。
【0020】
本発明に用いるクリーニングブレードの接触部は、クリーニングブレードと像担持体の隙間を無くせる程度の硬度を有し、ブレードめくれやビビリが発生しない程度の滑り性を有していれば良く、それ以外は特には限定されない。
【0021】
前記接触部のショアA硬度は、1以上70以下であることが好ましい。さらには10以上60以下であることが好ましい。さらには20から50であることが好ましい。1以上であるとタック感がそれほど無くブレードが巻き込むことも無い。70以下であると像担持体を傷付けることなく、またクリーニングブレードと像担持体または転写体表面との微小な隙間を埋めることができ良好なクリーニング性が得られる。
【0022】
前記接触部の摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数が1.2以下であることが好ましい。さらには1.0以下であることが好ましい。1.2以下であると像担持体表面上での滑り性が良好である。
【0023】
前記接触部の材質は、特には限定されないが、滑り性を有する弾性体が好ましく、フッ素ゴムや、シリコーンゴム等のゴム材料にフッ素樹脂等の滑り性付与剤を添加しても良い。
【0024】
前記接触部の厚みは、20μm以上500μm以下であることが好ましい。さらには20μm以上300μm以下であることが好ましい。20μm以上であると十分な耐久性が得られ、クリーニングブレードと像担持体または転写体表面との微小な隙間を埋めることができ良好なクリーニング性が得られる。500μm以下であると掻き取り性が損なわれない。
【0025】
前記接触部の材質が、シリコーンゴムとフッ素樹脂の混合物であった場合、前記混合物に対するフッ素樹脂の配合割合は20体積%以上80体積%以下であることが好ましい。さらには30体積%以上60体積%以下であることが好ましい。20体積%以上であると像担持体または転写体表面との滑り性が良好でビビリ等の不具合が生じない。80体積%以下であると柔軟性が得られ、クリーニングブレードと像担持体または転写体表面との微小な隙間を埋めることができ良好なクリーニング性が得られる。
【0026】
前記接触部の製造方法は、液状シリコーンゴム等にフッ素樹脂粉末等を必要量配合し、プロペラ式攪拌装置、ロールミル、混練機等で均一に分散するまで攪拌混合する。こうして得られた混合液を塗布、加熱硬化することにより、ゴム弾性を有する接触部用の材料が得られる。
【0027】
前記基体部に前記接触部を接着する方法としては、特には限定されないが、基体部の表面をコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理、エッチング処理、研磨処理等した後、プライマーやシランカップリング剤等の接着用材料を塗布乾燥し、その後接触部を貼付ける方法が用いられる。
【0028】
本発明のクリーニングブレードを用いる電子写真画像形成装置は、像担持体または転写体にクリーニングブレードを適切な当接角度と当接圧力で配設する。当接角度とは、像担持体または転写体の接線とクリーニングブレードのトナーと接する側の面との角度を言う。また、当接圧力とは、クリーニングブレードを像担持体に押し当てる線圧力を言う。
【0029】
像担持体または転写体の材質は、特に限定されないが、一般的に用いられるものとして、ポリカーボネート、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
【0030】
前記クリーニングブレードと前記像担持体または転写体表面との当接角度は、100度以上165度以下であることが好ましい。
【0031】
前記クリーニングブレードと前記像担持体または転写体表面との当接圧力は、5g/cm以上500g/cm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の基体部とその先端に接触部を備えたクリーニングブレードは、前記接触部は前記クリーニングブレードと像担持体または転写体表面との微小な隙間を埋める役割を持っており、前記接触部は常に前記像担持体または転写体表面と接しており、耐久と共に摩耗しても、前記接触部または前記基体部の少なくとも一部が前記像担持体または転写体表面と常に接することにより、前記クリーニングブレードと前記像担持体または転写体表面との間に隙間が無い状態を維持することができるため、残留トナーの除去が確実にでき、耐摩耗性と滑り性に優れ、長期のクリーニング性も良好な高耐久のクリーニングブレードが提供できる。また、該クリーニングブレードを像担持体と適切な当接角度や当接圧力にて配設することにより、高耐久のクリーニング性を有する電子写真画像形成装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のクリーニングブレードを組み込んだクリーニング機構の一例である。
【図2】本発明のヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数の試験方法の概略図である。
【図3】本発明の摩耗減量の試験方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0035】
本発明のクリーニングブレードを組み込んだクリーニング機構の一例を図1に示す。図1に示すように、クリーニングブレード2は、基体部3と接触部4からなり、初期には像担持体1とは接触部4のみが接触する。接触部4は弾性を有するので、像担持体1の表面形状に沿って密着する。耐久が進むと共に接触部4が部分的に摩滅して無くなれば、基体部3が像担持体1と接することになる。基体部3は耐摩耗性に優れるのでそれ以上摩耗が進行しない。よって、耐久が進んでもクリーニングブレード2と像担持体1との間に隙間無い状態を維持することができるクリーニング機構である。
【0036】
以下に実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明の評価は、以下に記載の測定方法及び試験方法で行った。
【0037】
(1)ショアD硬度,ショアA硬度
硬度を測定する方法には、ASTM D 2240の規格に準拠した方法が用いられる。この方法は、材料の中に押し込まれる特定の押し込み針の差し込み深さを測定して硬度を求める方法であり、デュロメータ式硬度測定法といわれている。材料の硬さによって測定範囲が定められており、ショアD硬度測定はタイプDデュロメータを用い、タイプAデュロメータでA90を超える範囲を測定する。ショアA硬度測定はタイプAデュロメータを用い、タイプDデュロメータでD20未満の範囲を測定する。
【0038】
(2)動摩擦係数(ASTM D 1894)
摩擦係数を測定する方法には、ASTM D 1894の規格に準拠した方法が用いられる。この方法は、平面同士を接触させ、荷重条件0.69MPaで一方を3m/minで移動させ、静摩擦係数と動摩擦係数を測定する方法をいう。ここで、静摩擦係数とは、静止している物体を動かそうとするときの抵抗力をその物体の自重で割った値をいう。一方、動摩擦係数とは物体同士が接したまま動いているときの抵抗力をその物体の自重で割った値をいう。
【0039】
(3)ヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数
ヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数の試験方法の概略図を図2に示す。ヘイドン式表面性試験機(HEIDON−14DR型)を用い、20〜25℃、相対湿度40〜55%の環境下で、直径21.5mm,厚み9mmの円柱状試験器具11に長さ20mm,幅10mm,厚み0.8mmの試料12を円周上に両面テープで取り付け、ポリカーボネートフィルム(日本GEプラスチック株式会社製の商品名レキサン:厚さ185μm,表面粗度Rz0.2μm)13を配置した試験台14に荷重300gをかけて圧接し、ポリカーボネートフィルム13を配置した試験台14を2000mm/分で移動したときの初期ピーク抵抗を除いた安定摺動時の摺動抵抗F(N)をロードセルで検出し、記録チャートをアナライザーで演算平均化処理した値である。
【0040】
(4)摩耗減量
摩耗減量の試験方法の概略図を図3に示す。直径25mmのアルミ丸棒23にポリカーボネートフィルム(日本GEプラスチック株式会社製の商品名レキサン:厚さ185μm,表面粗度Rz0.2μm)22を一周半巻きつけて両面テープで固定した。試料(長さ10mm,幅10mm,厚さ10mm)21の重量を測定し、ポリカーボネートフィルム22を巻きつけたアルミ丸棒23に試料21の任意の一辺を荷重600gで圧接し、回転速度127rpmで1時間回転させた。試料21を取り外して重量を測定し、試験前後の重量減少量を摩耗減量とした。
【実施例1】
【0041】
(1)クリーニングブレードの基体部の作製と表面処理
ショアD硬度が65、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.2、摩耗減量が0.001g/時間の超高分子量ポリエチレン(ハイモラーEX1300W、エス・ケー・エスエンジニアリング株式会社製)を240mm×40mm、厚み5mm、先端角度35度に加工し、クリーニングブレードの基体部を作製した。基体部の表面にコロナ放電処理をした後、プライマー(X33−156−5、信越化学工業株式会社)を塗布し、その後常温下で60分間乾燥し、接着用表面処理を行った。
【0042】
(2)クリーニングブレードの接触部の作製
液状シリコーンゴム(Elastosil RT604、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)に、PTFEパウダー(KTL−8F、株式会社喜多村製)を混合後の全量に対して50体積%になるよう加え、プロペラ式攪拌装置で混合し、接触部用の混合液を作製した。
【0043】
(3)クリーニングブレードの作製と調整
(1)で作製した基体部のプライマー塗布した面に、(2)で作製した混合液を厚み200μmになるように塗布し、120度Cで60分間の加熱により硬化させた。このときの接触部のショアA硬度は50、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数が1.0であった。これにより、基体部の像担持体と当接する面の先端に接触部を積層したクリーニングブレードを得た。クリーニングブレードの基体部と接触部が積層されている先端部分の先端角度を32度に調整した。
【0044】
(4)クリーニングブレードの取り付け
ポリカーボネートからなる表面層を有し、直径25mm、幅250mmの像担持体に、当接角度140度、当接圧力200g/cmになるよう(3)で作製したクリーニングブレードを固定した。
【0045】
(5)クリーニング性の評価
(4)で作製したクリーニング機構を用い、像担持体に付着させたトナーのクリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例2】
【0046】
クリーニングブレードの基体部のショアD硬度が65、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.2、摩耗減量が0.001g/時間の超高分子量ポリエチレンから、ショアD硬度が55、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.3、摩耗減量が0.002g/時間のFEPにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例3】
【0047】
クリーニングブレードの基体部のショアD硬度が65、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.2、摩耗減量が0.001g/時間の超高分子量ポリエチレンから、ショアD硬度が75、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.4、摩耗減量が0.002g/時間のETFEにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例4】
【0048】
クリーニングブレードの接触部のPTFEパウダーの混合率を50体積%から20体積%にした以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。この時の接触部のショアA硬度は20、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数は1.2であった。クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例5】
【0049】
クリーニングブレードの接触部のPTFEパウダーの混合率を50体積%から60体積%にした以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。この時の接触部のショアA硬度は68、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数は0.9であった。クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例6】
【0050】
クリーニングブレードと像担持体との当接角度を140度から105度にした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例7】
【0051】
クリーニングブレードと像担持体との当接圧力を200g/cmから10g/cmにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例8】
【0052】
クリーニングブレードの像担持体との当接圧力を200g/cmから385g/cmにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例9】
【0053】
クリーニングブレードの基体部のショアD硬度が65、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.2、摩耗減量が0.001g/時間の超高分子量ポリエチレンから、ショアD硬度が64、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.2、摩耗減量が0.0015g/時間のPFAにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例10】
【0054】
クリーニングブレードの基体部のショアD硬度が65、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.2、摩耗減量が0.001g/時間の超高分子量ポリエチレンから、ショアD硬度が80、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.4、摩耗減量が0.002g/時間のPVDFにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例11】
【0055】
クリーニングブレードの基体部のショアD硬度が65、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.2、摩耗減量が0.001g/時間の超高分子量ポリエチレンから、ショアD硬度が55、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.1、摩耗減量が0.004g/時間のPTFEにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【実施例12】
【0056】
クリーニングブレードの接触部の液状シリコーンゴムをフッ素ゴムに替え、PTFEパウダーの混合率を50体積%から40体積%にした以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。この時の接触部のショアA硬度は70、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数は1.2であった。クリーニング性と耐久性を評価したところ、非常に良好であった。
【0057】
(比較例1)
クリーニングブレードと像担持体との当接角度を140度から98度にした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、トナーがクリーニングブレードの先端部に溜まり易く、安定したクリーニング性が得られなかった。
【0058】
(比較例2)
クリーニングブレードと像担持体との当接角度を140度から170度にした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、クリーニングブレードのエッジ先端部に浮きが生じて、安定したクリーニング性が得られなかった。
【0059】
(比較例3)
クリーニングブレードと像担持体との当接圧力を200g/cmから3g/cmにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、トナーのすり抜けが生じ、安定したクリーニング性が得られなかった。
【0060】
(比較例4)
クリーニングブレードと像担持体との当接圧力を200g/cmから550g/cmにした以外は実施例1と同様にして、クリーニング性と耐久性を評価したところ、クリーニングブレードの摩耗が早くなり、耐久性が良くなかった。
【0061】
(比較例5)
クリーニングブレードの接触部のPTFEパウダーの混合率を50体積%から15体積%にした以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。この時の接触部のショアA硬度は15、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数は1.3であった。クリーニング性と耐久性を評価したところ、初期にビビリが発生し、スムーズなクリーニング性が得られなかった。
【0062】
(比較例6)
接触部のPTFEパウダーの混合率を50体積%から85体積%にした以外は実施例1と同様にして、クリーニングブレードを作製した。この時の接触部のショアA硬度は70、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数は0.9であった。クリーニング性と耐久性を評価したところ、接触部が硬くなりすぎ像担持体との密着性が十分でなくクリーニング性が良くなかった。また接触部がもろくなって摩耗が早くなり、耐久性も良くなかった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のクリーニングブレード、及びそれを用いた画像形成装置は、長期間にわたり安定したクリーニング性が得られるため、電子写真複写機、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置において好適に用いられる。
【符号の説明】
【0064】
1 像担持体
2 クリーニングブレード
3 クリーニングブレードの基体部
4 クリーニングブレードの接触部
5 クリーニングブレードの補強部
11 試験器具
12 試料
13 ポリカーボネートフィルム
14 試験台
21 試料
22 ポリカーボネートフィルム
23 アルミ丸棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体または転写体上の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードであって、前記クリーニングブレードは基体部の先端に接触部を備え、前記基体部のショアD硬度が50以上80以下であり、ASTM D 1894の動摩擦係数が0.4以下であり、また前記接触部のショアA硬度が1以上70以下であり、摩擦速度2000mm/分におけるヘイドン式対ポリカーボネート動摩擦係数が1.2以下であることを特徴とするクリーニングブレード。
【請求項2】
前記基体部の摩耗減量が0.004g/時間以下である請求項1に記載のクリーニングブレード。
【請求項3】
前記基体部の先端角度が、15度以上80度以下である請求項1又は2に記載のクリーニングブレード。
【請求項4】
前記接触部の厚みが、20μm以上500μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のクリーニングブレード。
【請求項5】
前記基体部が、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)またはフッ素樹脂から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜4のいずれかに記載のクリーニングブレード。
【請求項6】
前記接触部がシリコーンゴムとフッ素樹脂の混合物である請求項1〜5のいずれかに記載のクリーニングブレード。
【請求項7】
前記接触部におけるシリコーンゴムとフッ素樹脂の混合物に対するフッ素樹脂の混合割合が20体積%以上80体積%以下である請求項8に記載のクリーニングブレード。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のクリーニングブレードを用いた電子写真画像形成装置。
【請求項9】
前記クリーニングブレードと前記像担持体または転写体表面との当接角度が、100度以上165度以下である請求項8に記載の電子写真画像成形装置。
【請求項10】
前記クリーニングブレードと前記像担持体または転写体表面との当接圧力が5g/cm以上500g/cm以下である請求項8又は9に記載の電子写真画像成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−102327(P2010−102327A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218601(P2009−218601)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(391059399)株式会社アイ.エス.テイ (102)
【Fターム(参考)】