説明

クリーニング装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】 弾性体からなるクリーニングローラを使用するクリーニング装置において、感光体ドラム表面に安定的にトナーを供給して、研磨ムラ、ダッシュマーク、リーク痕等の発生や画像流れを抑制するとともに、長期間の使用においても感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇を防ぐことが可能なクリーニング装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 回転軸と該回転軸の周囲に設けられる円筒状の弾性体を有し、前記弾性体の外周面周方向には凹凸が形成され、前記凹凸が前記弾性体の軸線方向全長に亘って設けられているクリーニングローラを備え、該クリーニングローラが感光体ドラムに当接して配設されるクリーニング装置であって、前記クリーニングローラは前記感光体ドラムとの当接部において同方向に回転し且つ前記クリーニングローラの前記感光体ドラムに対する線速比が0.6〜0.85又は1.15〜2.0であり、前記当接部の線圧が0.3〜0.85N/cmであることを特徴とするクリーニング装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いられるクリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等において、画像を形成する画像形成部には感光体ドラムが備えられている。感光体ドラムの表面には静電潜像が形成され、トナーが静電的に付着してトナー像が形成される。トナー像が紙等の被転写体に転写された後に、感光体ドラム表面に残留するトナーや放電生成物はクリーニング装置によって除去される。
【0003】
感光体ドラム表面をクリーニングするクリーニング装置には、感光体ドラム表面の付着物(トナー、放電生成物)を掻き取るクリーニングブレードと、感光体ドラムに当接して回転するクリーニングローラと、感光体ドラムから除去された付着物を回収する回収スクリューとが備えられている。
クリーニング装置に使用されるクリーニングローラには、感光体ドラム表面に残留するトナーを除去する機能だけでなく、感光体ドラム上に研磨剤を含んだトナーを供給して感光体ドラム表面を研磨する機能も求められる。
【0004】
図5は、従来のクリーニング装置におけるクリーニングローラと感光体ドラムのニップ部の拡大断面図である。
上記したように、クリーニングローラ(a)は感光体ドラム(b)に当接して回転する。
従来のクリーニングローラ(a)の材質としては発泡体が用いられ、この発泡体表面にトナー(c)を付着させて搬送する。しかし、帯電されたトナー(c)は夫々のトナー粒子で電荷量が異なるため、一定量のトナー(c)をローラ表面に均一に付着させることは困難であった(図5参照)。そのため、感光体ドラム表面の研磨ムラが生じ、また、クリーニングローラ(a)と感光体ドラム(b)の摩擦によって感光体ドラム(b)表面が帯電し、トナーの電荷量が更に増加して放電が生じ、感光体ドラム(b)最外層の感光体膜が部分的に破壊され、そのリーク痕が用紙に形成されるという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、特許文献1には、クリーニングローラ表面を軸方向に伸びる複数の弧状面に分割し、分割した各部位にバイアスを印加してトナーを該ローラ表面に付着させるとともに、クリーニングローラと当接する感光体ドラムとの線速を変えることにより研磨効果を得るという技術が開示されている。
【0006】
特許文献1の開示技術を用いると、帯電したトナーを確実にクリーニングローラ表面に付着させることができるとともに、クリーニングローラと感光体ドラムの線速が異なるため効果的に感光体ドラム表面を研磨することができる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のクリーニングローラの形状は円柱状であって、その表面に凹凸は形成されていないため、一定量のトナーを搬送することができないものであった。また、帯電されたトナーは夫々の粒子で電荷量が異なるため、クリーニングローラにバイアスを印加したとしても、ローラ表面でトナー量が多い箇所と少ない箇所があり、安定的にトナーを搬送できるものではなかった。従って、研磨ムラやトナー等の付着によるダッシュマーク等が発生し、摩擦係数の上昇を抑制できるものではなかった。
【0008】
また、特許文献2及び3には、発泡弾性体からなるクリーニングローラのローラ本体の表面に凹凸を形成し、トナーの搬送量を均一にして安定的に感光体ドラム表面の研磨、あるいは残留トナーの除去を行う方法が開示されている。
【0009】
特許文献2及び3に開示される技術は、クリーニングローラに形成される凹凸の凸部の高さや幅、凸部間のピッチを規定するか、あるいは感光体ドラムと当接する凸部先端の角度を規定してトナーの供給量と除去量を制御するものである。
特許文献2及び3に開示の方法を用いると、ローラ全体に亘って均一にトナーが保持され、一定量のトナーの搬送や除去が可能となり、感光体ドラム表面を損傷することなく研磨を行うことができる(図6参照)。
【0010】
しかし、特許文献2及び3の開示技術では凹凸を形成したクリーニングローラが使用されるものの、該ローラの線速や、感光体ドラムとの当接部の圧力(線圧)については規定されていない。そのため、長期に亘る使用の際にはやはり研磨ムラやダッシュマーク等の発生を防ぐことができず、感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇を抑制できるものではなかった。
【0011】
また、アモルファスシリコンを感光体ドラムの最外層に使用した場合は、特に安定的な研磨が必要となる。即ち、研磨ムラが発生すると、放電生成物が感光体ドラム表面に付着したままとなって該ドラム表面の抵抗が低下する。そのため、静電潜像が保持されずに画像流れが生じやすいという問題があり、従来のクリーニング装置ではこの問題は解決できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平1−161287号公報
【特許文献2】特開平11−52708号公報
【特許文献3】特開平11−52709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、弾性体からなるクリーニングローラを使用するクリーニング装置において、感光体ドラム表面に安定的にトナーを供給して、研磨ムラ、ダッシュマーク、リーク痕等の発生や画像流れを抑制するとともに、長期間の使用においても感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇を防ぐことが可能なクリーニング装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、回転軸と該回転軸の周囲に設けられる円筒状の弾性体を有し、前記弾性体の外周面周方向には凹凸が形成され、前記凹凸が前記弾性体の軸線方向全長に亘って設けられているクリーニングローラを備え、該クリーニングローラが感光体ドラムに当接して配設されるクリーニング装置であって、前記クリーニングローラは前記感光体ドラムとの当接部において同方向に回転し且つ前記クリーニングローラの前記感光体ドラムに対する線速比が0.6〜0.85又は1.15〜2.0であり、前記当接部の線圧が0.3〜0.85N/cmであることを特徴とするクリーニング装置に関する。
【0015】
請求項2に係る発明は、前記凸部断面の面積(S)は前記凹部断面の面積(S)よりも大きく、前記Sに対する前記Sの比が0.5≦S/S≦2.0であることを特徴とする請求項1記載のクリーニング装置に関する。
【0016】
請求項3に係る発明は、前記弾性体の表面に形成される開口セルのセル径が250μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のクリーニング装置に関する。
【0017】
請求項4に係る発明は、前記感光体ドラムの最外層がアモルファスシリコンであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のクリーニング装置に関する。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4いずれかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、回転軸と該回転軸の周囲に設けられる円筒状の弾性体を有し、前記弾性体の外周面周方向には凹凸が形成され、前記凹凸が前記弾性体の軸線方向全長に亘って設けられているクリーニングローラを備え、該クリーニングローラが感光体ドラムに当接して配設されるクリーニング装置であって、前記クリーニングローラは前記感光体ドラムとの当接部において同方向に回転し且つ前記クリーニングローラの前記感光体ドラムに対する線速比が0.6〜0.85又は1.15〜2.0であり、前記当接部の線圧が0.3〜0.85N/cmであることにより、クリーニングローラの凹部に一定量のトナーが保持されることとなり、感光体ドラム表面の研磨ムラを防ぐことができるとともに、ダッシュマークやリーク痕、画像流れを防止し、更に感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇を抑制することのできるクリーニング装置とすることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、前記凸部断面の面積(S)は前記凹部断面の面積(S)よりも大きく、前記Sに対する前記Sの比が0.5≦S/S≦2.0であることにより、クリーニングローラの凹部に保持されるトナー量が規定されるため、トナーの搬送量が制御されて感光体ドラム表面の研磨ムラを防ぐことができるとともに、ダッシュマークやリーク痕の発生を防ぐことが可能となる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、前記弾性体の表面に形成される開口セルのセル径が250μm以下であることにより、微小なトナー粒子であっても開口セルに取り込まれにくくなり、十分な量のトナーを搬送することができるとともに、摺擦による摩擦帯電を防ぐことができるため、リーク痕が生じる虞がない。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、アモルファスシリコン層を損傷することがなく、安定的に研磨可能なクリーニング装置を得ることができる。
【0023】
請求項5に係る発明によれば、請求項1乃至4いずれかに記載のクリーニング装置を備えることにより、長期間の使用においても研磨ムラが発生せず、ダッシュマークやリーク痕、画像流れを防止し、更に感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇を抑制することのできる画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るクリーニング装置を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るクリーニング装置に使用されるクリーニングローラの斜視図である。
【図3】本発明に係るクリーニング装置に使用されるクリーニングローラの断面図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
【図5】従来のクリーニング装置におけるクリーニングローラと感光体ドラムのニップ部の拡大断面図である。
【図6】従来のクリーニング装置におけるクリーニングローラと感光体ドラムのニップ部の他の例の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明に係るクリーニング装置を示す概略断面図である。
クリーニング装置(1)は、感光体ドラム(2)に対向して設けられており、感光体ドラム(2)に当接して回転するクリーニングローラ(3)と、感光体ドラム(2)表面の付着物(トナー、放電生成物)を掻き取るクリーニングブレード(4)と、感光体ドラム(2)から除去された付着物を回収する回収スクリュー(5)とを備えている。
また、感光体ドラム(2)の周囲には帯電装置(6)、転写装置(7)、現像装置(8)が当接している。
尚、図1において、感光体ドラム(2)、クリーニングローラ(3)、現像装置(8)のローラ内部の矢印は回転方向を示し、感光体ドラム(2)と転写装置(7)の当接部を横切る矢印は用紙の搬送方向を示している。
【0027】
クリーニングローラ(3)は感光体ドラム(2)に当接しており、感光体ドラム(2)との当接部において同方向に回転する。回転の際、クリーニングローラ(3)と感光体ドラム(2)は異なる線速で回転し、線速が異なることで感光体ドラム(2)表面が効果的に研磨されることとなる。
クリーニングローラ(3)と感光体ドラム(2)の線速比は、0.6〜0.85又は1.15〜2.0(条件(A))に設定される。
【0028】
線速比が0.6未満であるとクリーニングローラ(3)と感光体ドラム(2)との当接部(ニップ部)へのトナーの供給量が減少するため研磨効果が低下し、一方、線速比が2.0を超えるとニップ部の負荷変動が大きくなるため感光体ドラム(2)の駆動が安定せず、ジッタ画像が発生しやすくなるため好ましくない。また、線速比が1に近くなる(0.85超1.15未満)と、トナーは安定的に供給されるが、感光体ドラムに対する摺擦力が弱くなり研磨効果が十分に得られないため、この場合も好ましくない。
【0029】
また、クリーニングローラ(3)と感光体ドラム(2)とが当接する当接部(ニップ部)における線圧は、0.3〜0.85N/cm(条件(B))である。
線圧が0.3N/cm未満であると、圧接力が不十分であるため感光体ドラム(2)表面の研磨が十分に行えず、一方、0.85N/cmを超えると当接部(ニップ部)でスリップが生じ、研磨及び摺擦が不十分となるため、いずれの場合も好ましくない。
【0030】
図2は本発明に係るクリーニング装置に使用されるクリーニングローラの斜視図、図3は本発明に係るクリーニング装置に使用されるクリーニングローラの断面図である。
本発明に係るクリーニングローラ(3)は、回転軸(311)と、回転軸(311)の周囲に設けられる円筒状の弾性体(312)とから構成される。
弾性体(312)の外周面周方向には凹凸が形成され、この凹凸は弾性体(312)の軸線方向全長に亘って設けられている(図2参照)。
【0031】
クリーニングローラ(3)の表面に形成される凹凸の形状は特に限定されず、例えば図3に示すように凸部、凹部ともに台形形状とすることもできる。
【0032】
ここで、クリーニングローラ(3)の凹凸形状において、凸部断面の面積(S)は凹部断面の面積(S)よりも大きいことが好ましく、更に凹部断面の面積(S)に対する凸部断面の面積(S)の比が下記の関係であることが好ましい。
【0033】
0.5≦S/S≦2.0
【0034】
凹部断面の面積(S)に対する凸部断面の面積(S)の比が0.5未満であると、クリーニングローラ(3)に十分な量のトナーを保持することができず、感光体ドラムに対して安定した研磨を行うことができない。一方、凹部断面の面積(S)に対する凸部断面の面積(S)の比が2.0を超えると、凹部に保持されたトナー粒子が脱離しにくくなる。そのため、トナー粒子と感光体ドラム(2)との摺擦が繰り返されることにより摩擦帯電によってトナー層の電荷量が増加し、感光体ドラム(2)との圧接部(ニップ部)で放電が起こり、感光体ドラム(2)の最外層が破壊されて用紙にリーク痕が生じる虞がある。
【0035】
上記した凹凸形状を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、内周面に所定の凹凸形状を形成した金型に溶融した弾性体(312)の原料を注入して成型する方法や、押出成型後にワイヤーカットにより弾性体(312)の外周面に凹凸形状を形成する方法等が挙げられる。
【0036】
弾性体(312)の材質は特に限定されず、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリル共重合体(NBR)、ウレタン、シリコンゴム等が用いられる。また、クリーニングローラ(3)が当接する感光体ドラム(2)の最外層がアモルファスシリコンである場合は、耐摩耗性、耐候性、耐水性、耐オゾン性等に優れるEPDMが好適である。
【0037】
凹凸形状を成型する際、弾性体(312)表面には開口セルが形成される(図示せず)。
この開口セルのセル径は250μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。また、開口セルが発泡体表面に存在しない、つまり弾性体(312)の表面がスキン層の状態であってもよい。
開口セルのセル径が250μmを超えると、開口セルにトナー粒子が取り込まれやすくなるとともに、トナー粒子の脱離が困難となるため好ましくない。
開口セル径が250μm以下、もしくは開口セルが存在しないことにより、開口セルにトナー粒子が取り込まれにくくなる。従って、高画質の画像形成装置に使用される微小なトナー粒子であっても開口セルに取り込まれるのを防止することができる。
【0038】
クリーニングローラ(3)により搬送されるトナーに酸化チタン(TiO)等の研磨剤を添加してもよい。研磨剤をトナーに添加することで、クリーニングローラ(3)と当接する感光体ドラム(2)の表面をより効率的に研磨することができる。
【0039】
クリーニングローラ(3)が当接する感光体ドラム(2)の最外層の材質は特に限定されず、アモルファスシリコンや有機感光体(OPC)等を用いることができる。
本発明に係るクリーニング装置(1)を使用すると、アモルファスシリコンからなる最外層を備えた感光体ドラム(2)であっても安定的且つ十分に研磨を行うことができ、画像流れやダッシュマークを生じる虞がない。
【0040】
図4は、本発明に係る画像形成装置を示す概略断面図である。
図示例の画像形成装置はプリンタであるが、複写機やファクシミリであってもよい。
本発明に係る画像形成装置は、上記したクリーニング装置(1)を備えているものである。
【0041】
図示例の画像形成装置は、プリンタ本体(21)の内部にスライド変位可能に格納された給紙カセット(22)と、給紙カセット(22)の収納空間(23)内に収納された用紙(図示せず)を取り出す給紙部(24)と、プリンタ本体(21)の正面に設置された手差しトレイ(25)と、手差しトレイ(25)にセットされた用紙(図示せず)を取り出す手差し給紙部(26)と、各給紙部(24),(26)から供給された用紙が搬送される搬送経路(27)と、搬送経路(27)の用紙搬送方向上流側で各給紙部(24),(26)の合流部よりも用紙搬送方向下流側に配置されたレジストローラ対(28)と、レジストローラ対(28)よりも搬送経路(27)の用紙搬送方向下流側に配置されて搬送中の用紙の一面に画像を形成する画像形成部(29)と、画像形成部(29)よりも搬送経路(27)の用紙搬送方向下流側に配置されて搬送中の用紙の一面に形成された画像(トナー画像)を定着する定着装置(30)と、定着装置(30)を通過した用紙の他面に画像を形成する場合に搬送経路(27)の定着装置(30)よりも搬送経路下流側からレジストローラ対(28)よりも搬送経路(27)のシート搬送方向上流側に引き戻す反転経路(31)と、搬送経路(27)の終端部に設けられた排紙部(32)とを備えている。
【0042】
画像形成部(29)は、感光体ドラム(2)と、感光体ドラム(2)の周囲に配置されたクリーニング装置(1)、帯電装置(6)、転写装置(7)、現像装置(8)、露光装置(9)、を備えている。
これにより、画像形成部(29)は、感光体ドラム(2)が駆動手段(図示せず)によって所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動され、その表面が帯電装置(6)によって所定の極性・電位に均一に帯電される。
【0043】
帯電後の感光体ドラム(2)は、その表面に露光装置(9)によって静電潜像が形成される。露光装置(9)は、感光体ドラム(2)の表面にレーザー光(図示せず)を照射し、感光体ドラム(2)の表面のレーザー光照射部分の電荷を除去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0044】
感光体ドラム(2)の表面に形成された静電潜像は、現像装置(8)によってトナーコンテナ(33)から供給された電荷を有するトナーが静電的に付着されてトナー像として現像される。さらに、そのトナー像は、転写装置(7)によって用紙に転写像として転写される。この際、用紙にトナー像を転写した感光体ドラム(2)は、クリーニング装置(1)によって残留トナーや放電生成物等が除去され、更に除電装置(図示せず)によって次の画像形成時の帯電のための除電処理が施される。
【0045】
本発明に係る画像形成装置は、長期間の使用においても研磨ムラが発生せず、ダッシュマークやリーク痕、画像流れを防止し、更に感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇を抑制することのできる画像形成装置となる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明に係るクリーニング装置に関する実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。
但し、本発明は下記実施例には限定されない。
【0047】
本発明に係るクリーニング装置を画像形成装置(京セラミタ社製、LS−2020D、35ppm)に搭載し、A4版の用紙(転写紙)に印字率4%で10万枚の連続印字を行い、ダッシュマーク、研磨ムラ、表面摩擦係数、画像に現れる横筋(画像流れ)の有無について評価した。
ダッシュマークについては、感光体ドラム表面を目視観察し、ダッシュマークの大きさが0.2mm×0.2mm未満であれば○、0.2mm×0.2mm以上であれば×とした。
研磨ムラについては、10万枚印字後の用紙(転写紙)上において50%のハーフパターンの透過濃度の最大値と最小値の差が0.05未満を○、0.05以上を×とした。透過濃度測定には透過濃度測定装置(X−rite社製、Model 310T)を使用した。
表面摩擦係数については、摩擦係数測定冶具((株)昭和測器製、SHOWA LOADCELL TYPE WBU−10N)を用いて測定した。具体的には、先端に紙製のウエスを取り付けたロードセルを感光体ドラム表面に対して垂直に荷重200gで押し当て、感光体ドラムを長手方向に移動させた時にロードセルにかかる負荷を計測した。この負荷/荷重により動摩擦係数を算出した。
画像の横筋(画像流れ)の有無については、用紙へ転写後の画像を目視観察し、横筋が認められない場合は○、認められる場合は×とした。
尚、クリーニング装置に使用されるクリーニングローラとして、(I)凹凸を有する発泡体ローラ(凹凸段差3mm、S/S=2、開口セル径150μm)、(II)凹凸無しの発泡体ローラ(開口セル径150μm)の2種を使用した。
【0048】
(I)のローラを使用し、条件(A)(線速比0.6〜0.85又は1.15〜2.0)及び条件(B)(線圧0.3〜0.85N/cm)を満たすものを実施例1〜8とした。
また、(I)のローラを使用し、条件(A)及び条件(B)を満たさないものを比較例1〜10とし、(II)のローラを使用し、条件(A)及び条件(B)を満たさないものを比較例11〜28とした。
実施例1〜8の結果を表1、比較例1〜10の結果を表2、比較例11〜28の結果を表3に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
表1〜3より、本発明に係るクリーニング装置を使用した実施例1〜8では、10万枚の印字後であっても、ダッシュマーク、研磨ムラ、画像流れが発生しないことが確認され、感光体ドラム表面の摩擦係数の上昇が抑制されることがわかった。
一方、比較例1〜10では、クリーニングローラに凹凸形状が形成されているものの、線速比が0.6〜0.85又は1.15〜2.0、及び線圧が0.3〜0.85N/cmの条件を満たしていないため、ダッシュマークあるいは画像流れが確認され、感光体ドラム表面の摩擦係数が上昇することがわかった。
また、比較例11〜28では、クリーニングローラに凹凸が形成されていないため、ほとんどでダッシュマークが見られ、また研磨ムラや画像流れが見られるものもあった。
以上の結果より、本発明に係るクリーニング装置を使用することにより、感光体ドラム表面の安定的な摺擦及び研磨が可能であることが確認され、長期間の印字動作においても感光体ドラム表面の摩擦係数が上昇することなく、研磨ムラやダッシュマーク、画像流れ等を抑制することが可能であることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等のクリーニング装置を備えた画像形成装置に対して好適に利用される。
【符号の説明】
【0054】
1 クリーニング装置
2 感光体ドラム
3 クリーニングローラ
311 回転軸
312 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と該回転軸の周囲に設けられる円筒状の弾性体を有し、前記弾性体の外周面周方向には凹凸が形成され、前記凹凸が前記弾性体の軸線方向全長に亘って設けられているクリーニングローラを備え、該クリーニングローラが感光体ドラムに当接して配設されるクリーニング装置であって、
前記クリーニングローラは前記感光体ドラムとの当接部において同方向に回転し且つ前記クリーニングローラの前記感光体ドラムに対する線速比が0.6〜0.85又は1.15〜2.0であり、
前記当接部の線圧が0.3〜0.85N/cm
であることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記凸部断面の面積(S)は前記凹部断面の面積(S)よりも大きく、前記Sに対する前記Sの比が0.5≦S/S≦2.0であることを特徴とする請求項1記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記弾性体の表面に形成される開口セルのセル径が250μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記感光体ドラムの最外層がアモルファスシリコンであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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