クリーニング装置及び画像形成装置
【課題】簡易な構成で、高温硬質時の画像流れを防止し、またクリーニング性に優れた長寿命長なクリーニング装置、及びこれを用いた画像形成装置を提供する
【解決手段】芯材1−03と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材1を、被清掃体2に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置10であって、前記繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維1−01と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維1−02を有する。これにより、長手方向での画像の密度の局在化によらず、繊維の曲げ、抜け、歪み、更に内部への小異物のパッキング等を防止し、均一に且つ長寿命に被清掃体である像担持体を効率よく清掃する事が出来る。また、長寿命な感光体を使用する、特に非磁性トナーを使用する画像形成装置の画像流れや、フィルミング等の画像欠陥を抑制し、長期に安定した画像特性を維持できる
【解決手段】芯材1−03と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材1を、被清掃体2に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置10であって、前記繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維1−01と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維1−02を有する。これにより、長手方向での画像の密度の局在化によらず、繊維の曲げ、抜け、歪み、更に内部への小異物のパッキング等を防止し、均一に且つ長寿命に被清掃体である像担持体を効率よく清掃する事が出来る。また、長寿命な感光体を使用する、特に非磁性トナーを使用する画像形成装置の画像流れや、フィルミング等の画像欠陥を抑制し、長期に安定した画像特性を維持できる
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材を、被清掃体に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置に関する。
【0002】
また、このクリーニング装置を用いた画像形成装置に関する。特に、アモルファスシリコン感光体などの耐久性に優れた像担持体を使用した、電子写真方式等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
アモルファスシリコン感光体(a−Si)や、表面保護層(OCL)を有する有機感光体(OCL−OPC)などの、耐磨耗性に優れた感光体からなる像担持体を使用する画像形成装置は長寿命である。
【0004】
しかしながら、スコロトロン方式やローラー帯電方式等の、コロナ放電を伴う帯電に伴い帯電生成物が該像担持体に付着し、特に高湿環境下で画像がぼける、いわゆる画像流れが生じやすい。
【0005】
従来、画像流れを抑止するために環境ヒーター等の加熱手段を用いていたが、省エネルギー、或いはコストダウン等の観点から、環境ヒーターを除する必要がある。
【0006】
画像流れを抑止し、また、像担持体の寿命に相応し、クリーニング性も長期に維持する技術として、材料面では、80乃至300[nm]径の微粒子と研磨剤、潤滑剤をトナー粒子に外添して使用する技術が特許文献1に記載されている。また、酸化セリウムと潤滑粒子を併用し、更に20乃至300[nm]径の無機微粒子を使用する技術が特許文献2に記載されている。また、研磨剤として酸化チタンを含む現像剤を使用し、クリーニング手段で掻き取られた転写残現像剤を一時滞留させる部材を設け、滞留した現像剤で像担持体の表面を摺擦する技術が特許文献3に提案されている。その他、一次粒子の平均粒径が30乃至300[nm]の、粒子形状が規定されたペロブスカイト型結晶を有する粒子を有する現像剤が特許文献4に記載されている。
【0007】
一方、クリーニング装置としては、研磨性微粒子と、像担持体を摺擦する摺擦部材を共に有する、下記の様な技術が提案されている。
【0008】
即ち、形状と粒径が規定された研磨粒子と、磁性現像剤を使用し、多極のマグネットローラーに該磁性現像剤を保持し、像担持体を摺擦する技術が特許文献5に記載されている。また、摺擦ローラー近傍、乃至は像担持体内に磁性体を設置し、磁性現像剤を保持し、像担持体を摺擦する技術が特許文献6・7に記載されている。
【0009】
特許文献5乃至7の方法では、用途が磁性現像剤に限定されるため、カラー化への対応が困難である。また、2成分現像剤の磁性キャリアなどを流用する場合、該キャリアは一般に粒径が数十μmと非常に大きく、クリーニングブレード欠けや像担持体へのキズ等が生じる場合がある。
【0010】
カラー、即ち非磁性現像剤対応として、研磨性を均一に保つ為、弾性ローラーなどの摺擦部材上の過剰な現像剤を除去するスクレーパを有する技術が特許文献8・9に提案されている。また、該摺擦部材の表面の転写残現像剤が不足しないように供給する方法として弾性部材を使用した系が特許文献10乃至12に提案されている。
【0011】
しかし、弾性部材は転写残トナーや研磨剤等の微粒子が該弾性部材の形状により機械的に保持される為、特に長手方向での該微粒子等の流動性を持たせるのが困難である。
【0012】
上記流動性と、非磁性対応という観点では、繊維状のブラシが好ましく、ファーブラシの技術が提案がなされている。即ち、特許文献13のように、断面が非円形のいわゆる異形繊維からなるファーブラシを構成する技術、特許文献14乃至16のように、多葉繊維、円筒状繊維、断面にスジ状溝を有する繊維を複数本編みこんでファーブラシを構成する技術である。
【0013】
しかし、これらの技術は繊維の側面まで含めた全体で微粒子の保持や像担持体表面摺擦を行う系であり、使用に伴い微粒子が繊維間にパッキングする等して、クリーニング手段や摺擦手段としての特性の低下が生じる場合がある。
【0014】
繊維間に滞留する微粒子等の除去に関しては、ファーブラシと無数の孔を有するシートからなるブラシローラーの技術が特許文献17に提案されている。しかし、装置構成が複雑になる。
【0015】
上記何れのファーブラシとも、繊維の繊維自体での清掃、乃至は粒子保持を行う為、清掃される密度は繊維密度や繊維径に律則される。図12はブラシローラーの横断面模型図である。ブラシローラー100は芯棒101の外周囲に繊維102を所定の密度で植設されている。矢印は回転方向である。ブラシローラー形状の場合、(a)及び(c)の如く、芯棒101に所定の密度で植設された繊維102の基部よりも先端側で、繊維相互の間隔が大きくなり、転写残トナーや外添剤等の微粒子、帯電生成物等の異物を除去する能力が低下する。像担持体への接触機会を増やす為に繊維密度を増加させようとすると、繊維径が細くなり、繊維、乃至は孔を有するシートの耐久性が低下する場合がある。逆に繊維径を太くすると、繊維密度、即ち接触機会が減少したり、被清掃体である像担持体を損耗したりする場合がある。
【0016】
これに対し、繊維の清掃能力を向上させる例として、繊維の先端部に膨出部(球形状乃至はリング状)を有するクリーニング兼帯電ブラシが特許文献18に記載されている。また、繊維の先端が球形状である帯電部材清掃用ブラシが特許文献19に記載されている。図13は繊維102の先端が球形状であるブラシローラー100の横断面模型図である。
【特許文献1】特開2004−037734号公報
【特許文献2】特開2003−140382号公報
【特許文献3】特開2004−348004号公報
【特許文献4】特開2005−338750号公報
【特許文献5】特開2006−243202号公報
【特許文献6】特開2006−017851号公報
【特許文献7】特開2006−017849号公報
【特許文献8】特登録02529832号公報
【特許文献9】特開2005−156706号公報
【特許文献10】特開 平11−161104号公報
【特許文献11】特開2000−276026号公報
【特許文献12】特開2000−019917号公報
【特許文献13】特開2006−586942号公報
【特許文献14】特開2006−276125号公報
【特許文献15】特開2006−276126号公報
【特許文献16】特開2006−301477号公報
【特許文献17】特開2004−151481号公報
【特許文献18】特開2004−191656号公報
【特許文献19】特開2004−133264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献18や19に記載の構成のブラシは、先端の大きくなった部位でクリーニング性を発揮するので、同じ繊維密度で高い接触機会を得られる。
【0018】
しかしながら、図12の(a)のブラシローラー、図13の(a)のブラシローラー、いずれの構成に於いても、耐久に伴い、図12の(b)、図13の(b)の如く繊維102が曲がるなどして、クリーニング能力が低下する。
【0019】
また、トナーには、シリカなど、粒径がサブミクロン、或いはそれ以下の極微粒子が含まれている事が多く、またトナー粒子自体も小径化が進み、これらの粒子がブラシの内部側へ入り込み、パッキングするなどしてクリーニング性が低下する場合もある。
【0020】
本発明は、上述のごとき問題点を解決したクリーニング装置、及び該クリーニング装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【0021】
具体的には、長手方向での画像の密度の局在化によらず、繊維の曲げ、抜け、歪み、更に内部への小異物のパッキング等を防止し、均一に且つ長寿命に被清掃体である像担持体を効率よく清掃するクリーニング装置、及び画像形成装置を提供する事にある。
【0022】
また、長寿命な感光体を使用する、特に非磁性トナーを使用する画像形成装置の画像流れや、フィルミング等の画像欠陥を抑制し、長期に安定した画像特性を高水準で維持できるクリーニング装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成する為の本発明に係るクリーニング装置の代表的な構成は、芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材を、被清掃体に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置であって、前記繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の構成により、簡易、小型な構成で、被清掃体表面の付着物の除去を高効率に清掃行うことができる。また、繊維を高硬度化、或いは太くせずに、折れた曲げ、パッキングなどを防止し長期に渡り良好なクリーニング性を維持することができる。また、被清掃体の損耗を抑止することができる。これらにより、メンテナンスの負荷を低減する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
(1)画像形成装置構成
図1に画像形成装置の一例の概略構成を示す。この画像形成装置は転写式電子写真画像形成装置である。2は像担持体としてのドラム型の電子写真感光体である。この像担持体2は不図示の駆動手段により矢印Xの時計方向に所定の速度で回転駆動され、その表面が帯電手段としての帯電ローラー3により所定の極性・電位に一様に帯電される。本例では、負極性の所定電位に一様に帯電される。その帯電処理面に対して潜像形成手段としての画像露光装置4により画像露光がなされる。これにより、像担持体2の表面に静電潜像が形成される。その静電潜像が現像手段としての現像装置5によりトナー像として現像される。本例では、静電潜像は、像担持体の帯電極性と同極性の負に帯電されたトナー(ネガトナー)により反転現像される。そのトナー像が転写手段としての転写ローラー6により、被転写材としての、本例では中間転写ベルト9に転写される。また、中間転写ベルト9にトナー像を転写した後の像担持体2の表面は、クリーニング手段としてのクリーニング装置10のブラシローラー状のクリーニング部材1(以下、クリーニングブラシと記す)によってクリーニングされて次の画像形成に供される。
【0027】
クリーニングブラシ1は、後述するように、芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材であって、被清掃体である像担持体2に対して相対速度差を有して駆動される。即ち、クリーニングブラシ1は、像担持体2に当接されており、不図示の駆動手段により、像担持体2と相対速度差をもって駆動される。中間転写ベルト9にトナー像を転写した後の像担持体2の表面には、転写残トナーや微粒子や帯電生成物などの異物が付着している。その異物が像担持体2とクリーニングブラシ1との当接部で像担持体2の表面から掻き落とされて像担持体表面がクリーニングされる。そして、クリーニングされた像担持体2の表面が次の画像形成に供される。
【0028】
(2)クリーニング装置10
図2はクリーニング装置10の概略の拡大断面模型図である。クリーニングブラシ1はクリーニング容器11内に回転可能に配設されていて、被清掃体である像担持体2の表面に所定の侵入量をもって当接させてある。像担持体2の回転軸線とクリーニングブラシ1の回転軸線はほぼ並行である。クリーニングブラシ1は、芯材1−03と、該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材である。そして繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維1−01と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維1−02を有する。クリーニングブラシ1は、像担持体2の表面に対し、第1繊維1−01が当接する様に配されている。被清掃体である像担持体2は矢印X方向に駆動される。一方、クリーニングブラシ1は不図示の駆動手段により像担持体2と相対速度差を持って駆動される。図2では、像担持体2とクリーニングブラシ1が当接部に於いてカウンター方向となる矢印Yの方向に駆動されている。しかし、当接部で同方向(図2の矢印Yとは逆方向)となる様に駆動されてもよい。また、必要に応じて像担持体2の表面から除去回収した異物や、クリーニングブラシ1に付着した過剰な微粒子等を掻き落すフリッカーバーなどからなる除去手段7を設けてもよい。この除去手段7でクリーニングブラシ1から除去された異物はクリーニング容器11内に落ちて、クリーニング容器11内から廃トナー容器(不図示)へ排出搬送される。
【0029】
図3の(a)・(b)・(c)に、それぞれ、第1繊維1−01の各種形態の拡大模型図を示す。基部01Aは、断面が円形であっても、異形であってもよい。第1繊維1−01の材質等にもよるが、基部01Aは断面積が20乃至800[μm2]相当の繊度(太さ、繊度径)の繊維が、好ましく使用される。20[μm2]未満の細い繊維では、被清掃体である像担持体2への当接圧を確保できなかったり、クリーニング動作中に負荷により変形したりするなどして、クリーニング性や耐久性が低下する場合がある。また、800[μm2]より太いと、像担持体2への当接圧のばらつきなどが生じ、均一なクリーニング性が低下したり、像担持体2を損耗したりする場合がある。
【0030】
一方、先端部01Bは基部01Aよりも大きく形成されており、像担持体2に当接され、像担持体2の表面の転写残トナーや微粒子や帯電生成物などを除去する。先端部01Bが基部01Aよりも大きくなっている為、図4の如く、第1繊維相互の先端部01Bが緻密になるため、像担持体2の表面に密に接触し、良好なクリーニング特性を得る事ができる。また、クリーニング動作中に像担持体2との摩擦等の負荷を受けるが、第1繊維相互の先端部01B同士が支えあう事により折れや曲げを抑止できる。
【0031】
先端部01Bは、断面積が1900[μm2]乃至32000[μm2]が好ましく使用できる。先端部01Bが1900[μm2]よりも小さいと、先端部01Bを大きくした効果が出にくくなる。一方、32000[μm2]より大きくなると、先端部02Bの形状にもよるが、像担持体2への接触する密度が低下したり、個々の第1繊維1−01が受ける負荷が過剰になったりして、像担持体2や第1繊維1−01が損耗する場合がある。
【0032】
先端部01Bの形状は、図3の(a)の如き球状、乃至は球乃至紡錘円状、(b)の如き円筒、乃至は太鼓状、(c)の如き円錐、乃至は多角錘状などが挙げられる。
【0033】
上述の如く、先端部01Bにより、クリーニングブラシ1が像担持体2に密に接触しクリーニングを行う。またクリーニング動作中、先端部01B同士が擦れ合い乃至は近接しながら動き、この動きにより像担持体2の表面から除去した微粒子等を移動させる。これにより長手、或いは周方向で微粒子が適宜分散され、均一なクリーニング性を得る事ができる。
【0034】
特に、先端部01Bが、図3の(a)の如き球状乃至は紡錘円状の様に、所謂かどが無い形状は、第1繊維相互の先端部同士の擦れ合い時の負荷が少なく先端部01B自身の損耗も抑制できる。また、該擦れ合いや撓み等によっても、像担持体2への当接部の形状が殆ど変化せず、均一なクリーニング性を維持できるため、好ましい。
【0035】
また、第1繊維相互の先端部01Bの相互間隔は、100[μm]以下であることが好ましく、且つ該先端部の直径以下であることが好ましい。即ち、第1繊維の先端部の相互の間隔が該先端部の直径以下100[μm]以下であることが好ましい。該間隔が100[μm]以上と大きいと、像担持体2への接触が疎になりクリーニング性が低下したり、除去回収したトナー粒子などが基部01A側に過剰に入り込んだりして、クリーニング性を阻害する場合がある。また、第1繊維の先端部の相互の間隔が先端部01Bの直径よりも大きいと、クリーニング動作中の、第1繊維相互の先端部01B同士の接触が低下し、上記微粒子等を流動乃至分散させにくくなる場合がる。尚、先端部01Bの形状が非円形の場合は、該先端部01Bと同面積の円の直径以下が好ましい。
【0036】
クリーニングブラシ1はブラシローラー形状であるため、像担持体2との当接部で応力に応じた一時的な撓み等により、先端部の位置が自由度を有している。特に、図3の(a)の如き球状乃至は球乃至紡錘円状の先端部を有する場合など、第1繊維相互の先端部01B同士が擦れ合う時に局在的な負荷がかかりにくい場合は、上記の間隔は0μm以上、即ち第1繊維相互の先端部同士が食込まない範囲であればよい。但し、先端部01Bの形状や材質等によっては局在的な負荷が掛かる場合もある。先端部の形状や材質によっても異なるが、5μm以上の間隔を有する方が好ましい。
【0037】
これらの規定された先端部01Bを有するクリーニングブラシ1は均一で且つ長期に渡り良好に、像担持体2の表面の異物を除去できる。
【0038】
クリーニングブラシ1には、更に、第2繊維1−02が設けられている。第2繊維1−02は、第1繊維1−01よりも繊維長が短く設定されており、更に第1繊維1−01の間隔を埋めるように形成されている。
【0039】
第2繊維1−02は、第1繊維1−01がクリーニング動作により撓んだり、偏ったりするのを防止することと、トナーや微粒子等の異物がクリーニングブラシ1の奥まで進入し、パッキングするなどしてクリーニング性が低下する事を防止する。一方では、偏った密度の画像を形成した場合など、後述する微粒子を一旦保持し、滞留及び分散させて、均一で且つ安定したクリーニング性を維持させる。第2繊維1−02が繊維束なので、塞き止められた大径異物や、第2繊維1−02に侵入した微小粒子は、クリーニングブラシ1の周方向や長手方向に流動されやすく、クリーニングブラシ1の全体が均一な状態で維持されやすい。
【0040】
そのため、第2繊維1−02には、摺擦性や硬度等の機械的な耐久性よりも、異物の混入を制御する繊維密度と、第1繊維1−01の基部01Aを支える適宜な長さと、更には該異物や第1繊維1−01の流動性や動きを維持する柔軟性が求められる。
【0041】
ここで、本発明に於いて、繊維密度とは、所定面積あたりの本数ではなく、芯材1−03の所定面積あたりの、第1繊維1−01、第2繊維1−02の各々が占める面積を言う。
【0042】
第2繊維1−02は、第1繊維1−01とは異なる繊維密度で形成されていることが好ましい。特に、第1繊維1−01よりも高密度に形成されていると、上記第1繊維1−01の、先端部01Bの間から侵入したトナーなどの大径異物を塞き止めるのに有効である。
【0043】
第1繊維1−01を下支えする為、また上記の異物等の制御の為、第2繊維1−02の繊維密度は、第1繊維1−01の繊維密度の2倍以上が好ましく使用できる。
また、繊維径が異なる繊維が混合して使用されていると、繊維密度を向上するのに好適である。
【0044】
上記の如き特性のために、第2繊維1−02は、第1繊維1−01の基部01Aと同等以下の繊度の細い繊維が好ましい。また、第2繊維1−02の間隔は、トナー粒子の平均粒径以下で、後述する無機微粒子Zの1次粒径以上であると、トナーのせき止めを行うと共に、無機微粒子Zを一旦保持するのに好ましい。また、微小な間隔を有する事で、上記のトナー粒子や無機微粒子Z等を流動させ易く好ましい。
【0045】
第2繊維1−02の繊維密度や間隔を制御する方法としては、該第2繊維1−02の繊度や単位面積当りの繊維本数を制御する他に、複数の繊度の繊維を併用する事も好ましい。
【0046】
第1繊維の基部01Aの繊度や繊維密度、第2繊維の繊度等によっても異なるが、基部における総繊維密度([第1繊維の繊維密度]+[第2繊維の繊維密度])は、概ね0.5以上が好ましく使用できる。総繊維密度の上限が1.0である事は、上記の定義より自明である。
【0047】
また、第2繊維1−02の長さは、上記第1繊維の動きを阻害せずにクリーニングブラシの奥まで異物が混入するのを防止するため、
0.5≦[第2繊維の繊維長]/[第1繊維の繊維長]≦0.8
であることが好ましい。
【0048】
第1繊維、第2繊維共に、ナイロン、PET、レーヨン等、周知の材料が使用できる。又必要に応じてカーボン分散など導電性を付加した繊維でも良い。製造方法としてはパイル織して芯材に巻付ける方法や、静電植毛などの方法で作成する事ができる。
【0049】
パイル織の場合は、通常、基布に上記の繊維を織り込み、繊維の余剰長をカットして作成されるので、第1繊維1−01の先端部の加工は、パイル、乃至はブラシローラーを作成後に加工してもよい。加工法としては、第1繊維1−01の先端に200℃程度の熱風、或いは加熱された部材を押し当てて行うなどの方法がある。
【0050】
第1繊維1−01の繊維長は0.5乃至20[mm]が好ましく、より好ましい長さは2乃至10[mm]である。20[mm]以上の場合には、駆動時の第1繊維の撓みが大きくなる等してクリーニング性が低下したり、抜けや折れが生じたりする場合がある。また、現在の技術では20[mm]を超える長さの繊維では静電植毛が確実に実施できず、繊維の向きや繊維の密度のばらつきが生じる。一方、0.5[mm]よりも短いと、第1繊維と後述する第2繊維の長さの差が実質的に取れなかったり、作成したクリーニングブラシを像担持体に当接させたときに、芯材が像担持体に当接したりする等して、クリーニングブラシや像担持体を損耗する場合がある。
【0051】
また、静電植毛などの場合は、上記のパイルと同様の後加工でもよいし、事前に、一方の端部の断面積が大きくなる様に加工した繊維を静電処理してもよい。この場合、静電植毛時に、繊維に指向性を持たせるために、該繊維の一方、乃至は両方に帯電性や導電性を制御する処理を行うことなども好ましい。
【0052】
なお、第1繊維1−01の基部01A、及び第2繊維1−02の断面積は、下記の様に求める。
【0053】
即ち、図5に、第1繊維1−01と第2繊維1−02の分布の概略図を示す。これは、第1繊維1−01の基部01Aと第2繊維1−02両方が有る部位をカットして、クリーニングブラシ1の表面側から顕微鏡観測した場合のモデルを示す。この様に、クリーニングブラシ1の周方向、長手方向各々複数箇所について基部の観測を行い、第1繊維1−01の基部01A、第2繊維1−02について、各々500本以上をランダムに観測し、平均断面積、及び単位面積当りの本数を求めることができる。
【0054】
第1繊維1−01、及び第2繊維1−02の繊維密度は、上記の観測による繊維の断面積及び単位面積当りの本数から算出する事ができる。
【0055】
一方、第1繊維1−01の、先端部01Bの断面積、及び先端部01B相互の間隔に付いては、図6の如く、クリーニングブラシ1の繊維をカットせずにクリーニングブラシ1を表面側から観測する。即ち、先端部01Bの最近接距離を個々に測定し、最近接距離の平均値として求める。或いは、先端部01Bの平均断面積から求める同面積円の平均直径と、上記基部の観測による芯材1−03の単位面積あたりの本数と、芯材の外径及びクリーニングブラシの外径から算出することもできる。
【0056】
図5・図6共にクリーニングブラシ1の形状での観測例を示したが、パイル織などの場合は、パイルの状態で観測して求めてもよい。
【0057】
かくして、長手方向での画像の密度の局在化によらず、繊維の曲げ、抜け、歪み、更に内部への小異物のパッキング等を防止し、均一に且つ長寿命に被清掃体である像担持体を効率よく清掃する事が出来る。また、長寿命な感光体を使用する、特に非磁性トナーを使用する画像形成装置の画像流れや、フィルミング等の画像欠陥を抑制し、長期に安定した画像特性を維持できる
(3)無機微粒子Z
特に帯電生成物や、像担持体2に強固に付着した異物、いわゆるフィルミングのクリーニングには、研磨性を有する微粒子の併用も有効である。
【0058】
図7は、研磨性を有する微粒子Zを使用した場合の、クリーニングブラシ1の第1繊維1−01の先端部01B近傍の概略の模型図であり、無機微粒子Zの、クリーニングブラシ1と像担持体2の当接部におけるクリーニング動作中のモデル図である。
【0059】
クリーニングブラシ1の第1繊維1−01の先端部01Bに引っ掛けられた微粒子Zが、該先端部01Bと像担持体2の表面の間で像担持体2表面を摺擦し、上記の帯電生成物やフィルミングを除去する。Tはトナーなどの大径異物である。無機微粒子Zは、クリーニングブラシ1と像担持体2の当接部で、像担持体2の表面を研磨摺擦し、像担持体2の表面の帯電生成物などの除去を行う。トナー粒子などの大粒子Tは第1繊維1−01で掻き取られる一方、先端部01Bを有するクリーニングブラシ1を使用することで、無機微粒子Zは先端部01Bに引っ掛けられ、像担持体2を好適に摺擦することができる。また、微粒子Zの一部は第1繊維1−01の先端部01Bの間隔からクリーニングブラシ1の内側へ入り込む。これらは内部の第2繊維1−02に保持されたり、再び吐出されたりして、第1繊維1−01の先端部01Bでクリーニングに寄与する。
【0060】
像担持体2の表面に付着する帯電生成物を除去する為の微粒子Zとしては、無機微粒子が使用でき、個数平均一次粒径が0.03[μm]以上0.3[μm]以下のペロブスカイト型結晶粒子からなる微粒子が好ましく使用できる。ペロブスカイト型の結晶構造を有する材料としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられ、周知の焼結・粉砕法で製造できる。
【0061】
0.03[μm]未満の極微小径では研磨作用が低減するほか、一旦クリーニングブラシ1の繊維に付着すると、そこから離れにくく、該クリーニングブラシ1を汚染する場合がある。一方、0.3[μm]を超える場合には、摺擦研磨摺擦が不十分になったり、クリーニング手段1乃至は像担持体2の損耗が生じたりする場合があった。
【0062】
また、この粒径範囲は、本発明のクリーニング手段で、トナー粒子と無機微粒子を分離し、トナー粒子を排出する一方、無機微粒子をクリーニングブラシに付着させて使用するのに好適である。
【0063】
図8は、トナーなどの帯電性粒子の粒径を振って、ターゲットに付着させた後、周知の遠心分離法で、付着力を測定した結果を示したものである。ここでは、粒子に帯電を付与し、ターゲットに静電的に現像して付着力を測定した結果(帯電状態)と、帯電を付与せずに、非静電的に付着させて付着力を測定した結果(未帯電状態)がある。一般に付着力は静電付着力と非静電付着力の和で表される。図8より、粒径が小さくなると該粒子の付着力に占める静電付着力の寄与度が低下する。
【0064】
トナー粒子程度の大きさでは静電付着力の寄与度が大きく、0.3[μm]以下の小粒径粒子は非静電付着力の寄与度が大きい。従ってクリーニングブラシ1へのバイアス印加等により、トナーなどの大粒子Tは静電的にクリーニングブラシ1から除外し、無機微粒子Zはクリーニングブラシ1に維持して使用することができる。
【0065】
微粒子Zの平均粒径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒径を測定して、その平均を求めた。粒径は、一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2として求めた。
【0066】
また、先端部01Bでの摺擦除去のため、微粒子Zの形状は、直方体状であると更に好ましい。
【0067】
微粒子Zの供給方法は、画像形成装置内に供給機構を有しても、現像剤から供給してもよい。微粒子Zを現像剤に添加する場合は、現像濃度や転写性などの、いわゆる現像剤としての機能の観点から、トナー粒子に対する遊離率は20体積%以下となるような量、及び/又は強度で添加されていることが好ましく、15体積%以下が更に好ましい。ここで遊離率とは、トナー粒子から遊離したペロブスカイト型結晶無機微粒子の割合を体積%で求めたものであり、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により公知の原理(文献1)で測定されたものである。文献1:「Japan Hardcopy 97論文集」65乃至68頁(発行者:電子写真学会、発行日:1997年7月9日)。
【0068】
また、必要に応じて抵抗を調整することも好ましい。抵抗調整は製造した該無機粒子Zのコア粒子に、酸化度が制御された酸化錫をコートするなどの、公知の方法により制御する事ができる。微粒子Zの抵抗は、錠剤法により測定し正規化することにより求めることができる。即ち、底面積2.26[cm2]の円筒内に0.5[g]の粉体試料を入れ、上下電極に15[kg]の加圧を行うと同時に100[V]及び500[V]の電圧を印加し、各々の抵抗値を計測、その後正規化することにより体積抵抗率を算出することができる。
【0069】
(4)クリーニングブレード
クリーニング装置10には、被清掃体としての像担持体2をクリーニングするクリーニング部材としてクリーニングブラシ1の他に、図9のように、更にクリーニングブレード8を具備させてもよい。クリーニングブレード8は、ウレタンなどからなる周知のクリーニングブレードを使用することができ、クリーニングブラシ1よりも像担持体回転方向下流側において像担持体2に対してカウンターに当接させて配設してある。クリーニングブレード8を具備させた場合にも、上記微粒子Zは好適である。即ち、微粒子Zはクリーニングブレードニップ部での潤滑剤としての作用により、画像流れやフィルミングを効果的に防止しつつ良好なクリーニング性を維持し、該クリーニングブレードや該像担持体の損耗を防止することができる。
【0070】
(5)現像剤
現像剤は、少なくともトナー粒子と外添剤を含む。更に、2成分現像剤の場合には、上記外添剤を付与されたトナー粒子(以下、単にトナーと称する)と、キャリア粒子を有する。
【0071】
トナー粒子は、高画質化、及びクリーニング性などの観点から、質量平均粒径が4乃至12[μm]が好ましく使用される。また、転写性などの画質面から該トナー粒子は円形度が0.930以上が好ましい。一方、円形度が0.980以下であると、クリーニングブラシ1での摺擦時に、該クリーニングブラシ1へ密に詰る、いわゆるパッキングが生じ難く、クリーニングされやすい。また、トナー粒子ごとに異なる方向へ回転負荷を受けやすく、クリーニング部でトナー粒子が拡散されやすい。これに伴い微粒子Zも拡散が促進され、長手方向での均一性も向上するので好ましい。
【0072】
(6)像担持体2
像担持体2は、周知の感光体を使用することができるが、磨耗量が少ない、対磨耗性に優れた像担持体は、その表面形状が長期に渡り維持され、トナー粒子や上記各種無機微粒子などの異物のすり抜け状態の耐久変動が少なくなるので好ましい。
【0073】
耐磨耗性に優れた像担持体として、公知のアモルファスシリコン系(a−Siと称する)の感光体や、電子線や光、熱等により硬化された、硬化型表面保護層を有する有機感光体(OCL−OPCと称する)等が好ましく使用できる。
【0074】
また、像担持体の表面形状のRzdが大きすぎたり、Smdが小さすぎたりすると、上記クリーニングブラシ1及び微粒子Zでの摺擦が不均一になりやすい場合がある。一方、Rzdが小さすぎたり、Smdが大きすぎたりすると、トナー粒子や外添剤が像担持体に付着しフィルミングなどが生じ易くなる場合がある。クリーニングブラシ1の当接条件や駆動条件等によっても異なるが、像担持体の表面粗さRzdは0.1乃至1.0[μm]、Smdは5乃至30[μm]が好ましい。
【0075】
像担持体2の表面形状は、成膜後の感光体表面を研磨乃至はブラスト処理する等の公知の方法で調整することができる。
【0076】
また、一般に、RF−CVD等のCVD法で作成されるa−Si感光体では、一般に支持体の形状が作成される感光体表面の形状に影響する。即ち、支持体の形状を切削等に拠り制御する事で感光体の表面形状を制御できる。この他、成膜時の基板温度や放電電力、減量ガス流量比を調整する等の、公知の方法で制御する事ができる。
【0077】
尚、像担持体の表面形状Rzd、Smdは、JISB0601:1982で規定されるRz、Smである。測定は表面粗さ測定器(サーフコーダーSE−3400:コサカ研究所製)を用い、測定長8[mm]、速度0.05[mm/sec]、カットオフλc0.8[mm]、JIS1982モードにて、長手方向にスキャンして測定した。周方向8点、長手5点の、計40点について測定を行い、平均値をもって各々の表面形状の値とした。
【0078】
(7)帯電手段3
帯電手段3は、スコロトロンなど、周知の帯電手段を用いる事ができるが、装置の小型化、低コスト化などの観点から、ローラー帯電などの接触帯電手段、あるいは像担持体2と数100[μm]以下の最近接距離に配される近接帯電手段も好ましく使用される。
【0079】
(8)潤滑剤
更に、潤滑剤を併用するとクリーニングブラシ1やクリーニングブレード8と被清掃体である像担持体2の摺擦時の負荷が低減され、これらの損耗が抑制される。
【0080】
潤滑剤としては、周知の、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)や脂肪酸金属塩などの金属石鹸などが使用できる。
【0081】
中でも金属石鹸は像担持体表面で膜状に塗り延ばされやすく、放電等による像担持体表面の劣化や、帯電性生物の付着を防止する保護材としても有効である。
【0082】
供給方法としては粉体状で現像手段やその他の供給手段から供給しても良いし、例えば棒状の成形物として装置内に設置し、前記のクリーニングブラシやその他のブラシなどの供給手段を用いて供給しても良い。
【0083】
上記の塗り伸ばしやすさ、成形の容易性などから、ステアリン酸亜鉛が特に好ましく使用できる。
【0084】
(9)実施形態
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明するが、本発明は本実施形態に何ら制限されるものではない。
【0085】
[クリーニングブラシ製造例]
下記の製造例にて、第1繊維1−01、第2繊維1−02を有する、各種仕様のクリーニングブラシ1(実1乃至実12、及び比1乃至比4:実は実施例、比は比較例)を作成した。
【0086】
周知のパイル織で、厚さ1mmの基布に、平均断面積491[μm2](平均繊維径25[μm]相当)の導電性ナイロンを、100000(本/cm2)で織り込み、基布からの繊維長が2.5mmとなるようにカットして、第2繊維1−02とした。本例における第2繊維密度は、0.49(基布1[cm2]あたり0.49[cm2])となる。
【0087】
更に、第1繊維1−01として、平均断面積491[μm2](平均繊維径25[μm]相当)の導電性ナイロンを15000[本/cm2]で織込み、基布からの繊維長が略7[mm]となるようにカットした。この第1繊維1−01の繊維密度は0.07である。
【0088】
このパイルを、基布を含めた径がφ10[mm]の芯材1−03に巻付け、ブラシローラー形状とした。このブラシローラーの外周側に200[℃]の熱風を吹き付け、第1繊維1−01の先端部01Bを加熱処理しながら、別の型に接触させて、ブラシの外径調整を行い、外径φ22[mm]のブラシローラー1(実1)を作成した。型は金属ローラー等が使用できる。
【0089】
第1繊維1−01は、基布下部からの繊維長が6[mm]、先端部は図3の(b)の如き太鼓形状の先端部01Bを有する。該先端部01Bの断面積は7.85×103[μm2]、平均空隙間隔は21[μm]である。
【0090】
先端部01Bの断面積の調整は、基部01Aの太さ、加熱処理時間、最初のカット時の長さや、外径調整の条件の調節などにより先端部01Bの断面積を制御する事ができる。
【0091】
また、先端部01Bの加熱処理前のカット長と、加熱処理温度、時間を制御して、先端部01Bが図3の(a)の如き球形形状を有するブラシローラー1を作成した。
【0092】
また、加熱後に、平板状の型に押付ける手法で、図3の(c)のごとき円錐状の先端部01Bを有するブラシローラー1を作成した。
【0093】
なお、空隙間隔は上記先端部01Bの面積に応じて、第1繊維1−01の、単位面積当りの繊維本数、また繊維長や芯材の太さなどでを調整することで制御できる。
【0094】
上記のような作成条件を振る事で、ブラシローラー1として、実1乃至実12、及び比1乃至比4の16種類のものを作成した。
【0095】
表1に、実1乃至実12、及び比1乃至比4の各ブラシローラー1の仕様の概略を示す。表2に、実1乃至実12、及び比1乃至比4の各ブラシローラー1の第1繊維1−01の詳細を示す。また、表3に、実1乃至実12、及び比1乃至比4の各ブラシローラー1の第2繊維1−01の詳細を示す。なお、表2と表3の繊維の本数において、Eは10のn乗の意味である。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
[無機微粒子製造例]*各特性制御
下記製造例にて、チタン酸ストロンチウムからなる研磨粒子Zを作成した。
【0100】
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.26%の硫酸を添加した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.58に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返した。該含水酸化チタンに対し、0.97倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを60℃まで8.5℃/時間で昇温し、60℃に到達してから6.5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0101】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機粒子Iとした。
【0102】
更に、Sr(OH)2・8H2O量、pH、スラリーの昇温条件等、各製造条件を振り、粒径や形状の異なる無機粒子II乃至IIIを作成した。
【0103】
これらの微粒子を電子顕微鏡(SEM)で観測し、また平均一次粒径を測定した。SEM観測例を図10に示す。また各無機微粒子I・II・IIIの個数平均1次粒径を表4に示す。何れも立方体状乃至は直方体状の粒子形状(結晶構造)を有していた。ペロブスカイト型結晶粒子は立方体状の粒子形状及び/又は直方体状の粒子形状を有する。
【0104】
【表4】
【0105】
[像担持体製造例]*表面形状制御
像担持体2として、a−Si、及びOCL−OPCの2種類の感光体を作成した。
【0106】
外径84mm(φ84と記載する)の支持体の表面を、市販の切削旋盤を使用して切削した。本例に於いては、平バイトを使用し、該バイトの設定角、ピッチを調整して切削を施した。
【0107】
該支持体に、公知の電子線硬化型表面保護層を有するOPC(OCL−OPC)を作成した後、表面を研磨加工して、負帯電性のOCL−OPC感光体P01を得た。
【0108】
また、周知のRF−CVD法で負帯電a−Si感光体P02を得た。なお、本例では詳細は割愛するが、プラズマCVDの条件を振ることでも表面形状を制御できる。例えば、同じ形状の基板を使用した場合、原料ガス流量を増加させるとともに、放電電力/ガス流量を増加させるとRzが増加する、などである。その他、基板温度の制御など各種製造条件を調整し表面形状の制御を行う事も可能である。
【0109】
作成した像担持体P01乃至P02の表面粗さRzd、Smdを表5に示す。
【0110】
【表5】
【0111】
[現像剤製造例]
周知の製造方法で、非磁性トナー粒子(質量平均粒径5.5μm、平均円形度0.918)を得た。該非磁性トナー粒子100質量部に対して、平均粒径0.02[μm]のシリカ粒子を1.2質量部(以下、単に部と称する)外添してトナーT00を得た。
【0112】
更に、上述した無機粒子Iを1部外添してトナーT01を得た。
【0113】
また、同様にして、T00に対して、無機粒子II乃至III、比較粒子IV乃至VI(表4)を、夫々1部外添して、トナーT02乃至T06を作成した。
【0114】
キャリアは、imagePRESS C1用のキャリアを使用し、トナー/キャリア質量比が8%となる様に、それぞれ混合して、各種の現像剤を得た。
[評価装置]
評価用の画像形成装置として、図1・図2の如き画像形成装置を用意した。クリーニングブラシ1は上述のクリーニングブラシ製造例で作成したクリーニングブラシを設置した。該クリーニングブラシ1は像担持体2に所定の侵入量で当接し、不図示の駆動源により所定の方向、及び速度で回転駆動される。侵入量の範囲は、第2繊維1−02が像担持体2に接触する位置を上限する。第1繊維1−01と第2繊維1−02は、芯材1−03を介して接地されている。電源を付与してバイアス印加を行う事も可能である。
【0115】
また、クリーニングブラシ1には、転写残トナー等を除去するフリッカーバー7を付与した。該フリッカーバー7の位置は、クリーニングブラシ1の駆動方向や速度に応じて向きや位置などの設定条件を調整すればよい。該フリッカーバー7でクリーニングブラシ1から除去された転写残トナー等はクリーニング容器11内に落ちて、クリーニング容器11内から廃トナー容器(不図示)へ排出搬送される。
【0116】
像担持体2は、上述の像担持体製造例で作成した感光体を使用し、面速度で260乃至435[mm/sec](60乃至100[ppm]相当)の可変とした。帯電手段にはiR4570用の帯電ローラー3を、潜像形成手段4には1200[dpi]のレーザー露光装置を、現像手段5は非磁性2成分現像装置を、転写手段は転写ローラー6を夫々使用した。これらのプロセス機器各々の駆動速度や印加するバイアス条件は、像担持体2の面速度の応じて適宜調整される。
【0117】
[実施例1]
上述の評価装置を用い、像担持体2の面速度は260[mm/sec]とした。像担持体2は感光体P01(OCL−OPC)を使用し、帯電ローラー3に印加するバイアスを調整して、潜像露光非照射時の現像装置5の位置での像担持体2の表面電位(Vd)の絶対値が450Vとなる様に調整した。更に、レーザー露光装置4を調整して潜像露光照射部電位(Vl)の絶対値が50Vになる様にした。また、中間転写ベルト9や現像装置等の駆動条件、バイアス条件を調整した。
【0118】
クリーニング装置10のクリーニングブラシ1は、像担持体2に1.0[mm]の侵入量で設置し、カウンター方向で相対速度60%(−60%と表記)で駆動する様にした。本例では、第1繊維1−01、第2繊維1−02共に、芯材1−03を介してアースに接地されている。耐刷を含めた評価条件の概略を表6に示す。
【0119】
耐久は、図11の(A)の如き、300μm線を5mm間隔にした横罫線で形成される画像比率6%の画像を原稿として使用し、常温/常湿(23℃/50%;N/Nと称する)環境下で20K枚/日、100k枚相当の耐久を行った。次に、高温/高湿(30℃/80%;H/Hと称する)環境下、更に低温/低湿(15℃/10%;L/Lと称する)環境下で、N/N環境同様に、各々100k枚、合計300k枚の耐久を行った。各耐刷日とも、夜間は電源を完全OFFとした。
【0120】
各環境の耐久初期、各耐刷日(20k毎)のラスト、及び翌朝については、評価用画像形成を行ったのち、下記の過酷運転を行い、その後もう一度評価用画像形成を行った。また、異音、振動(ビビリ)等の有無を評価した。
【0121】
過酷運転は次の様に行った。まず、図11の(B)の如く、長手方向で局在化した、画像比率6%の画像形成を1分間(本例では60枚)の画像形成をした。その後、現像装置5と転写ローラー6を解除し、非通紙とした以外は通常の耐刷状態で5分間の空回転を行った。
【0122】
画像、音、乃至は振動の評価で異常が認められた場合には更に、クリーニングブラシ1を観測し、周方向、長手方向の汚れと、パッキングの目視確認、更に顕微鏡観測を行い繊維の抜けや折れの評価を行った。また像担持体2の表面形状、付着物の有無を評価した。特に異常が認められない場合でも、各環境の最後、すなわち100k枚毎に、クリーニングブラシ1と像担持体2の観測、測定を行った。
【0123】
尚、評価画像としては1ドット1スペースのハーフトーン画像(1D1Sと記する)、5mm間隔の格子画像、1D1S、1D2S、ベタ、白、前半はベタで後半が白のツートーン画像、17階調画像、更に再度1D1Sを、この順番で画像形成した。
【0124】
各評価項目と評価基準は下記のとおりである。○は非常に良好、△は良好、乃至は実用上問題無し、▲は従来並、乃至は特性上不足となる場合がある。評価結果を表7乃至9に示す。
【0125】
1)「すり抜け」
主に罫線、ツートーン、ハーフトーンの各画像の目視評価と、像担持体表面観察結果から評価した
○; 画像上すり抜け無し。像担持体表面も清浄
△; 像担持体上にはすり抜け見られるが、画像上すり抜け無し
▲; 画像上すり抜け発生の場合あり。
【0126】
2)「フィルミング」
ハーフトーン、ベタ、白、17階調の画像と、それに対応する像担持体表面観測結果から評価した
○; 画像上フィルミング無し。像担持体表面も清浄
△; 像担持体上には付着物見られるが、画像上フィルミング無し
▲; 画像上フィルミング発生の場合あり。
【0127】
3)「画像流れ」
特に朝の、罫線、ハーフトーン、17階調の各画像から目視判断した
○; 画像流れ無し
△; 通常目視レベルでの流れ無し。顕微鏡観測でハーフトーン乃至は17階調で、一部ドットの広がり、或いはかすれが見られる場合あるが、2度目の1D1Sでは○レベル
▲; 上記以外。目視レベルで画像流れ見られる、乃至は回復遅い。
【0128】
4)「異音、振動」
耐刷時、及び空回転時の評価機動作中の音等から評価した。
【0129】
○; 異音、振動無し
△; 耐刷、通常画像形成時の異音、振動無し。空回転時に異音又は振動発生の場合あり
▲; 耐刷、通常画像形成時に異音又は振動発生の場合あり。
【0130】
5)「汚れ均一性」
クリーニングブラシの汚れ均一性、パッキング、折れ、抜けを観測して評価した
○; 空回転前後での汚れムラなし。且つ耐刷時の汚れレベルが安定している
△; 空回転前後での汚れムラが見られる、あるいは耐刷時の汚れが増加傾向
▲; 空回転前後での汚れムラ、及び耐刷時の汚れ増加が見られる。
【0131】
6)「パッキング」
クリーニングブラシを観測して評価した
○; 廃トナー等の目詰まり無し。初期の繊維間隔を維持
△; クリーニングブラシ内にトナー或いは微粒子が詰っていて繊維を弾いても剤が流動し難い。繊維間隔、及び繊維自体の動きは特に変動無し
▲; トナー乃至は微粒子等の目詰まりによる繊維間隔の変動あり、又は繊維が動き難い状態。
【0132】
7)「折れ/抜け」
クリーニングブラシを観測して評価した
○; 第1繊維、第2繊維ともに折れ又は抜けが無し、乃至はクリーニング性に影響無し
△; 第1繊維、乃至は第2繊維の折れ又は抜けがあるが、通常耐刷ではクリーニング性に影響ないレベル
▲; 1箇所以上で、折れ、抜けにより、通常耐刷でクリーンキング性の低下がある。
【0133】
8)「像担持体の損耗」
上記の各評価画像、及び像担持体の目視、及び表面粗さ測定で評価した
○; 局所的なキズ、及び偏磨耗等無し
△; 局所的なキズ、乃至は偏磨耗が見られるが、画像への影響無し
▲; 画像に出るキズ、乃至は偏磨耗あり。
【0134】
[実施例2乃至12、比較例1乃至4]
上述のブラシローラー1を用い、一部侵入量を除き実施例1と同条件で耐刷、及び評価を行った。評価条件を表6に、評価結果を評価環境ごとに表7乃至9に、夫々示す。
【0135】
表6、7より、断面積が大きい第1繊維1−01と、該第1繊維よりも短く設定された第2繊維1−02を持つブラシローラー1を用いた実施例1乃至12の評価で、何れも良好な結果が得られた。特に先端部面積が1900乃至32000[μm2]、先端部形状が球形、また第2繊維長/第1繊維長が0.5乃至0.8のとき、良好な結果が得られた。また、異なる太さの繊維を混合して第2繊維1−02として使用した例では、第2繊維の平均太さを極端に補足せずに繊維密度を高くでき、耐久性と繊維密度の両立に有効である。
【0136】
一方、第1繊維1−01のみの比較例1、第1繊維1−01と第2繊維1−02の長さを同じとした比較例2、及び先端部を大きくしない比較例3乃至4では、クリーニング性、画質、あるいは耐久性の低下が生じる場合があった。
【0137】
【表6】
【0138】
【表7】
【0139】
【表8】
【0140】
【表9】
【0141】
[実施例13、14]
実施例9、11において、画像形成装置として、図9の如く、クリーニングブラシ1の下流側にウレタンゴムからなるクリーニングブレード8を配設したものを用いた。像担持体2の面速度を400[mm/sec]とした以外は、実施例9、11と同様に評価を行った。評価条件を表10に、評価結果を、表11乃至13に、夫々示す。
【0142】
像担持体の速度を60[ppm]相当から100[ppm]相当へ増加させたにも関らず、すり抜けや折れ、欠けが向上した。クリーニングブレード8により一部すり抜けが抑止される他、該クリーニングブレード8で掻き落された粒子が、落下し、再度クリーニングブラシ1に補給される為、空回転時などでの特性が向上したと考えられる。
【0143】
[実施例15]
実施例13において、クリーニングブラシ1の表面にシリコーンオイル処理を施し、トナーの正規帯電極性とは逆極性のプラス帯電性の表面処理を行った。即ち、少なくとも、第1繊維の表面に、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電特性処理を行う。この他にも周知のポジ帯電性処理でもよい。
【0144】
該処理を施した以外は実施例13と同様に耐刷、評価を行った。条件を表10、結果を表11乃至13に示す。
【0145】
表11乃至13より、汚れ均一性が向上した。転写残トナーは一般的にトナーの正規帯電極性に対して反転しているトナーが多く、フリッカーバー7に加えて静電的な吐出しが相乗していると考えられる。
【0146】
[実施例16]
実施例13において、クリーニングブラシ1にトナーの正規帯電極性とは逆極性のプラス電圧を印加した以外は実施例13と同様に耐刷、評価を行った。条件を表10、結果を表11乃至13に示す。
【0147】
表11乃至13より、汚れ均一性が向上した。転写残トナーは一般的にトナーの正規帯電極性に対して反転しているトナーが多く、フリッカーバー7に加えて静電的な吐出しが相乗していると考えられる。
【0148】
[実施例17乃至19]
実施例13において、上述の無機微粒子I乃至IIIを、クリーニングブラシ1に供給する手段を付与した。具体的には、該クリーニングブラシ1の下方に、無機粒子Zの容器を設け、所定枚数の耐刷毎に、該容器がクリーニングブラシ1に接触し、無機粒子Zを供給する供給する。供給方法はこれに限らず、例えば、別途ファーブラシなどの供給機構を設けてもよい。この状態で実施例13と同様に耐刷、評価を行った。
【0149】
[実施例20乃至22]
実施例13において、上述の無機微粒子I乃至IIIを外添したトナーT01乃至T03を現像剤に使用し、この状態で実施例13と同様に耐刷、評価を行った。
【0150】
実施例17乃至22の評価条件を表10に、評価結果を表11乃至13に夫々示す。表11乃至13より、無機微粒子I乃至IIIを付与した実施例17乃至22で流れや、汚れ均一性、像担持体の耐久性が向上した。また、耐久後のクリーニングブレード8の観測を行った所、該無機微粒子I乃至IIIを付与した本実施例のクリーニングブレード8のエッヂの損耗が低減していた。
【0151】
また、実施例20乃至22のように現像剤から微粒子Zを供給する系では、供給用の手段を別途設ける必要が無く、装置の小型化にも有効である。
【0152】
なお、比較粒子IV乃至VIを使用して実施例17乃至19と同様の評価、またトナーT04乃至06を使用して実施例20乃至22と同様の評価を行った。
【0153】
これらの評価の結果、上記微粒子I乃至III、及びトナーT01乃至03を使用した例と比べて、特に流れと、クリーニングブレード8の損耗で、該微粒子Zを付加した効果が少なかった。
【0154】
[実施例23]
実施例14において、クリーニングブレード8を付与し、上述の無機微粒子IIを外添したトナーT02を現像剤に使用し、クリーニングブラシ1にプラス電圧印加を付与して耐刷、評価を行った。即ち、少なくとも、第1繊維の先端部に、トナーの正規帯電極性とは逆極性のバイアス印加を行う。評価条件を表10に、評価結果を表11乃至13に夫々示す。表11乃至13より、非常によい結果が得られた。
【0155】
【表10】
【0156】
【表11】
【0157】
【表12】
【0158】
【表13】
【0159】
[実施例24]
感光体をP−02のa−Si感光体とした以外は、実施例23と同様にして評価を行った。結果、実施例23同様に非常に良好な結果が得られた。
【0160】
[実施例25]
クリーニングブラシ1の順方向で相対速度120%(+120%)で駆動する様にした。該駆動方向の変更に伴い、フリッカーバー7を図14のようにクリーニングブラシ1の上方へ配置した以外は、実施例13と同様にして評価を行った。結果を表14乃至16に示す。実施例13同様に非常に良好な結果が得られ、さらにブラシの耐久性が向上した。
【0161】
[実施例26]
図14のように、潤滑剤として、ステアリン酸亜鉛成形物12を、クリーニングブラシ1に加圧手段(不図示)を用い、所定の圧力で当接する様にした。本例では第1繊維の部分に侵入する様に当接圧を調整したが、クリーニングブラシの繊維密度や繊度、潤滑剤成形物の硬さなどに応じて適宜調整できる。
【0162】
該潤滑剤成形物12を付与した以外は実施例25と同様に評価を行った。結果を表14乃至16に示す。実施例25同様に非常に良好な結果が得られ、更に汚れ均一性が向上した。
【0163】
[実施例27]
トナーT02を使用した以外は実施例26と同様に評価を行った。結果を表14乃至16に示す。実施例25乃至26と同様に非常に良好な結果が得られ、さらに流れも良好な結果が得られた。
【0164】
下流側にクリーニングブレード8が付与されている場合など、クリーニング手段の機能に弊害が無ければクリーニングブラシ1の駆動方向は順方向でもよい。これにより像担持体との相対速度差が低減でき、クリーニングブラシの損耗が更に抑制されたと考えられる。
【0165】
また潤滑剤の存在により、部材の損耗が抑制され、システムの寿命の向上が見られた。
【0166】
潤滑剤であるステアリン酸亜鉛と無機微粒子Zとの併用に於いては、該無機微粒子Zの摺擦効果により、該ステアリン酸亜鉛が塗り広げられて膜形成が進むと共に、帯電性生物の付着や、放電等により劣化したステアリン酸亜鉛の掻き取りが相乗したと考えられる。
【0167】
【表14】
【0168】
【表15】
【0169】
【表16】
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】画像形成装置の一例の概略構成
【図2】クリーニング装置部分の概略の拡大断面模型図
【図3】(a)・(b)・(c)は、それぞれ、第1繊維の各種形態の拡大模型図
【図4】第1繊維の配置を示す模式図
【図5】第1繊維と第2繊維の繊維密度を説明する模式図
【図6】第1繊維の空隙間隔を説明する為の模式図
【図7】クリーニングブラシの像担持体に対する当接部を拡大したモデル図
【図8】付着力の粒径依存性を示すモデル
【図9】画像形成装置の他例の概略構成
【図10】無機微粒子の観測例の図(電子顕微鏡写真)
【図11】実施例、比較例で使用した耐刷用画像の模式図であり、(a)は耐刷に使用した罫線チャートの概略図、(b)は評価時に使用した、局在化したチャートの概略図
【図12】従来のクリーニングブラシ(その1)の模式図
【図13】従来のクリーニングブラシ(その2)の模式図
【図14】画像形成装置の、更に他例の概略構成
【符号の説明】
【0171】
1;クリーニングブラシ、2;被清掃体(像担持体)、3;帯電手段、4;潜像形成手段、5;現像手段、6;転写手段、7;フリッカーバー、8;クリーニングブレード、12;潤滑剤、X;像担持体の駆動方向、Y;クリーニングブラシの駆動方向、Z;無機微粒子、1−01;第1繊維、1−02;第2繊維、1−03;芯材、1−01G;第1繊維の先端部の空隙間隔、01A;第1繊維の基部、01B;第1繊維の先端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材を、被清掃体に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置に関する。
【0002】
また、このクリーニング装置を用いた画像形成装置に関する。特に、アモルファスシリコン感光体などの耐久性に優れた像担持体を使用した、電子写真方式等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
アモルファスシリコン感光体(a−Si)や、表面保護層(OCL)を有する有機感光体(OCL−OPC)などの、耐磨耗性に優れた感光体からなる像担持体を使用する画像形成装置は長寿命である。
【0004】
しかしながら、スコロトロン方式やローラー帯電方式等の、コロナ放電を伴う帯電に伴い帯電生成物が該像担持体に付着し、特に高湿環境下で画像がぼける、いわゆる画像流れが生じやすい。
【0005】
従来、画像流れを抑止するために環境ヒーター等の加熱手段を用いていたが、省エネルギー、或いはコストダウン等の観点から、環境ヒーターを除する必要がある。
【0006】
画像流れを抑止し、また、像担持体の寿命に相応し、クリーニング性も長期に維持する技術として、材料面では、80乃至300[nm]径の微粒子と研磨剤、潤滑剤をトナー粒子に外添して使用する技術が特許文献1に記載されている。また、酸化セリウムと潤滑粒子を併用し、更に20乃至300[nm]径の無機微粒子を使用する技術が特許文献2に記載されている。また、研磨剤として酸化チタンを含む現像剤を使用し、クリーニング手段で掻き取られた転写残現像剤を一時滞留させる部材を設け、滞留した現像剤で像担持体の表面を摺擦する技術が特許文献3に提案されている。その他、一次粒子の平均粒径が30乃至300[nm]の、粒子形状が規定されたペロブスカイト型結晶を有する粒子を有する現像剤が特許文献4に記載されている。
【0007】
一方、クリーニング装置としては、研磨性微粒子と、像担持体を摺擦する摺擦部材を共に有する、下記の様な技術が提案されている。
【0008】
即ち、形状と粒径が規定された研磨粒子と、磁性現像剤を使用し、多極のマグネットローラーに該磁性現像剤を保持し、像担持体を摺擦する技術が特許文献5に記載されている。また、摺擦ローラー近傍、乃至は像担持体内に磁性体を設置し、磁性現像剤を保持し、像担持体を摺擦する技術が特許文献6・7に記載されている。
【0009】
特許文献5乃至7の方法では、用途が磁性現像剤に限定されるため、カラー化への対応が困難である。また、2成分現像剤の磁性キャリアなどを流用する場合、該キャリアは一般に粒径が数十μmと非常に大きく、クリーニングブレード欠けや像担持体へのキズ等が生じる場合がある。
【0010】
カラー、即ち非磁性現像剤対応として、研磨性を均一に保つ為、弾性ローラーなどの摺擦部材上の過剰な現像剤を除去するスクレーパを有する技術が特許文献8・9に提案されている。また、該摺擦部材の表面の転写残現像剤が不足しないように供給する方法として弾性部材を使用した系が特許文献10乃至12に提案されている。
【0011】
しかし、弾性部材は転写残トナーや研磨剤等の微粒子が該弾性部材の形状により機械的に保持される為、特に長手方向での該微粒子等の流動性を持たせるのが困難である。
【0012】
上記流動性と、非磁性対応という観点では、繊維状のブラシが好ましく、ファーブラシの技術が提案がなされている。即ち、特許文献13のように、断面が非円形のいわゆる異形繊維からなるファーブラシを構成する技術、特許文献14乃至16のように、多葉繊維、円筒状繊維、断面にスジ状溝を有する繊維を複数本編みこんでファーブラシを構成する技術である。
【0013】
しかし、これらの技術は繊維の側面まで含めた全体で微粒子の保持や像担持体表面摺擦を行う系であり、使用に伴い微粒子が繊維間にパッキングする等して、クリーニング手段や摺擦手段としての特性の低下が生じる場合がある。
【0014】
繊維間に滞留する微粒子等の除去に関しては、ファーブラシと無数の孔を有するシートからなるブラシローラーの技術が特許文献17に提案されている。しかし、装置構成が複雑になる。
【0015】
上記何れのファーブラシとも、繊維の繊維自体での清掃、乃至は粒子保持を行う為、清掃される密度は繊維密度や繊維径に律則される。図12はブラシローラーの横断面模型図である。ブラシローラー100は芯棒101の外周囲に繊維102を所定の密度で植設されている。矢印は回転方向である。ブラシローラー形状の場合、(a)及び(c)の如く、芯棒101に所定の密度で植設された繊維102の基部よりも先端側で、繊維相互の間隔が大きくなり、転写残トナーや外添剤等の微粒子、帯電生成物等の異物を除去する能力が低下する。像担持体への接触機会を増やす為に繊維密度を増加させようとすると、繊維径が細くなり、繊維、乃至は孔を有するシートの耐久性が低下する場合がある。逆に繊維径を太くすると、繊維密度、即ち接触機会が減少したり、被清掃体である像担持体を損耗したりする場合がある。
【0016】
これに対し、繊維の清掃能力を向上させる例として、繊維の先端部に膨出部(球形状乃至はリング状)を有するクリーニング兼帯電ブラシが特許文献18に記載されている。また、繊維の先端が球形状である帯電部材清掃用ブラシが特許文献19に記載されている。図13は繊維102の先端が球形状であるブラシローラー100の横断面模型図である。
【特許文献1】特開2004−037734号公報
【特許文献2】特開2003−140382号公報
【特許文献3】特開2004−348004号公報
【特許文献4】特開2005−338750号公報
【特許文献5】特開2006−243202号公報
【特許文献6】特開2006−017851号公報
【特許文献7】特開2006−017849号公報
【特許文献8】特登録02529832号公報
【特許文献9】特開2005−156706号公報
【特許文献10】特開 平11−161104号公報
【特許文献11】特開2000−276026号公報
【特許文献12】特開2000−019917号公報
【特許文献13】特開2006−586942号公報
【特許文献14】特開2006−276125号公報
【特許文献15】特開2006−276126号公報
【特許文献16】特開2006−301477号公報
【特許文献17】特開2004−151481号公報
【特許文献18】特開2004−191656号公報
【特許文献19】特開2004−133264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献18や19に記載の構成のブラシは、先端の大きくなった部位でクリーニング性を発揮するので、同じ繊維密度で高い接触機会を得られる。
【0018】
しかしながら、図12の(a)のブラシローラー、図13の(a)のブラシローラー、いずれの構成に於いても、耐久に伴い、図12の(b)、図13の(b)の如く繊維102が曲がるなどして、クリーニング能力が低下する。
【0019】
また、トナーには、シリカなど、粒径がサブミクロン、或いはそれ以下の極微粒子が含まれている事が多く、またトナー粒子自体も小径化が進み、これらの粒子がブラシの内部側へ入り込み、パッキングするなどしてクリーニング性が低下する場合もある。
【0020】
本発明は、上述のごとき問題点を解決したクリーニング装置、及び該クリーニング装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【0021】
具体的には、長手方向での画像の密度の局在化によらず、繊維の曲げ、抜け、歪み、更に内部への小異物のパッキング等を防止し、均一に且つ長寿命に被清掃体である像担持体を効率よく清掃するクリーニング装置、及び画像形成装置を提供する事にある。
【0022】
また、長寿命な感光体を使用する、特に非磁性トナーを使用する画像形成装置の画像流れや、フィルミング等の画像欠陥を抑制し、長期に安定した画像特性を高水準で維持できるクリーニング装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成する為の本発明に係るクリーニング装置の代表的な構成は、芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材を、被清掃体に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置であって、前記繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の構成により、簡易、小型な構成で、被清掃体表面の付着物の除去を高効率に清掃行うことができる。また、繊維を高硬度化、或いは太くせずに、折れた曲げ、パッキングなどを防止し長期に渡り良好なクリーニング性を維持することができる。また、被清掃体の損耗を抑止することができる。これらにより、メンテナンスの負荷を低減する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
(1)画像形成装置構成
図1に画像形成装置の一例の概略構成を示す。この画像形成装置は転写式電子写真画像形成装置である。2は像担持体としてのドラム型の電子写真感光体である。この像担持体2は不図示の駆動手段により矢印Xの時計方向に所定の速度で回転駆動され、その表面が帯電手段としての帯電ローラー3により所定の極性・電位に一様に帯電される。本例では、負極性の所定電位に一様に帯電される。その帯電処理面に対して潜像形成手段としての画像露光装置4により画像露光がなされる。これにより、像担持体2の表面に静電潜像が形成される。その静電潜像が現像手段としての現像装置5によりトナー像として現像される。本例では、静電潜像は、像担持体の帯電極性と同極性の負に帯電されたトナー(ネガトナー)により反転現像される。そのトナー像が転写手段としての転写ローラー6により、被転写材としての、本例では中間転写ベルト9に転写される。また、中間転写ベルト9にトナー像を転写した後の像担持体2の表面は、クリーニング手段としてのクリーニング装置10のブラシローラー状のクリーニング部材1(以下、クリーニングブラシと記す)によってクリーニングされて次の画像形成に供される。
【0027】
クリーニングブラシ1は、後述するように、芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材であって、被清掃体である像担持体2に対して相対速度差を有して駆動される。即ち、クリーニングブラシ1は、像担持体2に当接されており、不図示の駆動手段により、像担持体2と相対速度差をもって駆動される。中間転写ベルト9にトナー像を転写した後の像担持体2の表面には、転写残トナーや微粒子や帯電生成物などの異物が付着している。その異物が像担持体2とクリーニングブラシ1との当接部で像担持体2の表面から掻き落とされて像担持体表面がクリーニングされる。そして、クリーニングされた像担持体2の表面が次の画像形成に供される。
【0028】
(2)クリーニング装置10
図2はクリーニング装置10の概略の拡大断面模型図である。クリーニングブラシ1はクリーニング容器11内に回転可能に配設されていて、被清掃体である像担持体2の表面に所定の侵入量をもって当接させてある。像担持体2の回転軸線とクリーニングブラシ1の回転軸線はほぼ並行である。クリーニングブラシ1は、芯材1−03と、該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材である。そして繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維1−01と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維1−02を有する。クリーニングブラシ1は、像担持体2の表面に対し、第1繊維1−01が当接する様に配されている。被清掃体である像担持体2は矢印X方向に駆動される。一方、クリーニングブラシ1は不図示の駆動手段により像担持体2と相対速度差を持って駆動される。図2では、像担持体2とクリーニングブラシ1が当接部に於いてカウンター方向となる矢印Yの方向に駆動されている。しかし、当接部で同方向(図2の矢印Yとは逆方向)となる様に駆動されてもよい。また、必要に応じて像担持体2の表面から除去回収した異物や、クリーニングブラシ1に付着した過剰な微粒子等を掻き落すフリッカーバーなどからなる除去手段7を設けてもよい。この除去手段7でクリーニングブラシ1から除去された異物はクリーニング容器11内に落ちて、クリーニング容器11内から廃トナー容器(不図示)へ排出搬送される。
【0029】
図3の(a)・(b)・(c)に、それぞれ、第1繊維1−01の各種形態の拡大模型図を示す。基部01Aは、断面が円形であっても、異形であってもよい。第1繊維1−01の材質等にもよるが、基部01Aは断面積が20乃至800[μm2]相当の繊度(太さ、繊度径)の繊維が、好ましく使用される。20[μm2]未満の細い繊維では、被清掃体である像担持体2への当接圧を確保できなかったり、クリーニング動作中に負荷により変形したりするなどして、クリーニング性や耐久性が低下する場合がある。また、800[μm2]より太いと、像担持体2への当接圧のばらつきなどが生じ、均一なクリーニング性が低下したり、像担持体2を損耗したりする場合がある。
【0030】
一方、先端部01Bは基部01Aよりも大きく形成されており、像担持体2に当接され、像担持体2の表面の転写残トナーや微粒子や帯電生成物などを除去する。先端部01Bが基部01Aよりも大きくなっている為、図4の如く、第1繊維相互の先端部01Bが緻密になるため、像担持体2の表面に密に接触し、良好なクリーニング特性を得る事ができる。また、クリーニング動作中に像担持体2との摩擦等の負荷を受けるが、第1繊維相互の先端部01B同士が支えあう事により折れや曲げを抑止できる。
【0031】
先端部01Bは、断面積が1900[μm2]乃至32000[μm2]が好ましく使用できる。先端部01Bが1900[μm2]よりも小さいと、先端部01Bを大きくした効果が出にくくなる。一方、32000[μm2]より大きくなると、先端部02Bの形状にもよるが、像担持体2への接触する密度が低下したり、個々の第1繊維1−01が受ける負荷が過剰になったりして、像担持体2や第1繊維1−01が損耗する場合がある。
【0032】
先端部01Bの形状は、図3の(a)の如き球状、乃至は球乃至紡錘円状、(b)の如き円筒、乃至は太鼓状、(c)の如き円錐、乃至は多角錘状などが挙げられる。
【0033】
上述の如く、先端部01Bにより、クリーニングブラシ1が像担持体2に密に接触しクリーニングを行う。またクリーニング動作中、先端部01B同士が擦れ合い乃至は近接しながら動き、この動きにより像担持体2の表面から除去した微粒子等を移動させる。これにより長手、或いは周方向で微粒子が適宜分散され、均一なクリーニング性を得る事ができる。
【0034】
特に、先端部01Bが、図3の(a)の如き球状乃至は紡錘円状の様に、所謂かどが無い形状は、第1繊維相互の先端部同士の擦れ合い時の負荷が少なく先端部01B自身の損耗も抑制できる。また、該擦れ合いや撓み等によっても、像担持体2への当接部の形状が殆ど変化せず、均一なクリーニング性を維持できるため、好ましい。
【0035】
また、第1繊維相互の先端部01Bの相互間隔は、100[μm]以下であることが好ましく、且つ該先端部の直径以下であることが好ましい。即ち、第1繊維の先端部の相互の間隔が該先端部の直径以下100[μm]以下であることが好ましい。該間隔が100[μm]以上と大きいと、像担持体2への接触が疎になりクリーニング性が低下したり、除去回収したトナー粒子などが基部01A側に過剰に入り込んだりして、クリーニング性を阻害する場合がある。また、第1繊維の先端部の相互の間隔が先端部01Bの直径よりも大きいと、クリーニング動作中の、第1繊維相互の先端部01B同士の接触が低下し、上記微粒子等を流動乃至分散させにくくなる場合がる。尚、先端部01Bの形状が非円形の場合は、該先端部01Bと同面積の円の直径以下が好ましい。
【0036】
クリーニングブラシ1はブラシローラー形状であるため、像担持体2との当接部で応力に応じた一時的な撓み等により、先端部の位置が自由度を有している。特に、図3の(a)の如き球状乃至は球乃至紡錘円状の先端部を有する場合など、第1繊維相互の先端部01B同士が擦れ合う時に局在的な負荷がかかりにくい場合は、上記の間隔は0μm以上、即ち第1繊維相互の先端部同士が食込まない範囲であればよい。但し、先端部01Bの形状や材質等によっては局在的な負荷が掛かる場合もある。先端部の形状や材質によっても異なるが、5μm以上の間隔を有する方が好ましい。
【0037】
これらの規定された先端部01Bを有するクリーニングブラシ1は均一で且つ長期に渡り良好に、像担持体2の表面の異物を除去できる。
【0038】
クリーニングブラシ1には、更に、第2繊維1−02が設けられている。第2繊維1−02は、第1繊維1−01よりも繊維長が短く設定されており、更に第1繊維1−01の間隔を埋めるように形成されている。
【0039】
第2繊維1−02は、第1繊維1−01がクリーニング動作により撓んだり、偏ったりするのを防止することと、トナーや微粒子等の異物がクリーニングブラシ1の奥まで進入し、パッキングするなどしてクリーニング性が低下する事を防止する。一方では、偏った密度の画像を形成した場合など、後述する微粒子を一旦保持し、滞留及び分散させて、均一で且つ安定したクリーニング性を維持させる。第2繊維1−02が繊維束なので、塞き止められた大径異物や、第2繊維1−02に侵入した微小粒子は、クリーニングブラシ1の周方向や長手方向に流動されやすく、クリーニングブラシ1の全体が均一な状態で維持されやすい。
【0040】
そのため、第2繊維1−02には、摺擦性や硬度等の機械的な耐久性よりも、異物の混入を制御する繊維密度と、第1繊維1−01の基部01Aを支える適宜な長さと、更には該異物や第1繊維1−01の流動性や動きを維持する柔軟性が求められる。
【0041】
ここで、本発明に於いて、繊維密度とは、所定面積あたりの本数ではなく、芯材1−03の所定面積あたりの、第1繊維1−01、第2繊維1−02の各々が占める面積を言う。
【0042】
第2繊維1−02は、第1繊維1−01とは異なる繊維密度で形成されていることが好ましい。特に、第1繊維1−01よりも高密度に形成されていると、上記第1繊維1−01の、先端部01Bの間から侵入したトナーなどの大径異物を塞き止めるのに有効である。
【0043】
第1繊維1−01を下支えする為、また上記の異物等の制御の為、第2繊維1−02の繊維密度は、第1繊維1−01の繊維密度の2倍以上が好ましく使用できる。
また、繊維径が異なる繊維が混合して使用されていると、繊維密度を向上するのに好適である。
【0044】
上記の如き特性のために、第2繊維1−02は、第1繊維1−01の基部01Aと同等以下の繊度の細い繊維が好ましい。また、第2繊維1−02の間隔は、トナー粒子の平均粒径以下で、後述する無機微粒子Zの1次粒径以上であると、トナーのせき止めを行うと共に、無機微粒子Zを一旦保持するのに好ましい。また、微小な間隔を有する事で、上記のトナー粒子や無機微粒子Z等を流動させ易く好ましい。
【0045】
第2繊維1−02の繊維密度や間隔を制御する方法としては、該第2繊維1−02の繊度や単位面積当りの繊維本数を制御する他に、複数の繊度の繊維を併用する事も好ましい。
【0046】
第1繊維の基部01Aの繊度や繊維密度、第2繊維の繊度等によっても異なるが、基部における総繊維密度([第1繊維の繊維密度]+[第2繊維の繊維密度])は、概ね0.5以上が好ましく使用できる。総繊維密度の上限が1.0である事は、上記の定義より自明である。
【0047】
また、第2繊維1−02の長さは、上記第1繊維の動きを阻害せずにクリーニングブラシの奥まで異物が混入するのを防止するため、
0.5≦[第2繊維の繊維長]/[第1繊維の繊維長]≦0.8
であることが好ましい。
【0048】
第1繊維、第2繊維共に、ナイロン、PET、レーヨン等、周知の材料が使用できる。又必要に応じてカーボン分散など導電性を付加した繊維でも良い。製造方法としてはパイル織して芯材に巻付ける方法や、静電植毛などの方法で作成する事ができる。
【0049】
パイル織の場合は、通常、基布に上記の繊維を織り込み、繊維の余剰長をカットして作成されるので、第1繊維1−01の先端部の加工は、パイル、乃至はブラシローラーを作成後に加工してもよい。加工法としては、第1繊維1−01の先端に200℃程度の熱風、或いは加熱された部材を押し当てて行うなどの方法がある。
【0050】
第1繊維1−01の繊維長は0.5乃至20[mm]が好ましく、より好ましい長さは2乃至10[mm]である。20[mm]以上の場合には、駆動時の第1繊維の撓みが大きくなる等してクリーニング性が低下したり、抜けや折れが生じたりする場合がある。また、現在の技術では20[mm]を超える長さの繊維では静電植毛が確実に実施できず、繊維の向きや繊維の密度のばらつきが生じる。一方、0.5[mm]よりも短いと、第1繊維と後述する第2繊維の長さの差が実質的に取れなかったり、作成したクリーニングブラシを像担持体に当接させたときに、芯材が像担持体に当接したりする等して、クリーニングブラシや像担持体を損耗する場合がある。
【0051】
また、静電植毛などの場合は、上記のパイルと同様の後加工でもよいし、事前に、一方の端部の断面積が大きくなる様に加工した繊維を静電処理してもよい。この場合、静電植毛時に、繊維に指向性を持たせるために、該繊維の一方、乃至は両方に帯電性や導電性を制御する処理を行うことなども好ましい。
【0052】
なお、第1繊維1−01の基部01A、及び第2繊維1−02の断面積は、下記の様に求める。
【0053】
即ち、図5に、第1繊維1−01と第2繊維1−02の分布の概略図を示す。これは、第1繊維1−01の基部01Aと第2繊維1−02両方が有る部位をカットして、クリーニングブラシ1の表面側から顕微鏡観測した場合のモデルを示す。この様に、クリーニングブラシ1の周方向、長手方向各々複数箇所について基部の観測を行い、第1繊維1−01の基部01A、第2繊維1−02について、各々500本以上をランダムに観測し、平均断面積、及び単位面積当りの本数を求めることができる。
【0054】
第1繊維1−01、及び第2繊維1−02の繊維密度は、上記の観測による繊維の断面積及び単位面積当りの本数から算出する事ができる。
【0055】
一方、第1繊維1−01の、先端部01Bの断面積、及び先端部01B相互の間隔に付いては、図6の如く、クリーニングブラシ1の繊維をカットせずにクリーニングブラシ1を表面側から観測する。即ち、先端部01Bの最近接距離を個々に測定し、最近接距離の平均値として求める。或いは、先端部01Bの平均断面積から求める同面積円の平均直径と、上記基部の観測による芯材1−03の単位面積あたりの本数と、芯材の外径及びクリーニングブラシの外径から算出することもできる。
【0056】
図5・図6共にクリーニングブラシ1の形状での観測例を示したが、パイル織などの場合は、パイルの状態で観測して求めてもよい。
【0057】
かくして、長手方向での画像の密度の局在化によらず、繊維の曲げ、抜け、歪み、更に内部への小異物のパッキング等を防止し、均一に且つ長寿命に被清掃体である像担持体を効率よく清掃する事が出来る。また、長寿命な感光体を使用する、特に非磁性トナーを使用する画像形成装置の画像流れや、フィルミング等の画像欠陥を抑制し、長期に安定した画像特性を維持できる
(3)無機微粒子Z
特に帯電生成物や、像担持体2に強固に付着した異物、いわゆるフィルミングのクリーニングには、研磨性を有する微粒子の併用も有効である。
【0058】
図7は、研磨性を有する微粒子Zを使用した場合の、クリーニングブラシ1の第1繊維1−01の先端部01B近傍の概略の模型図であり、無機微粒子Zの、クリーニングブラシ1と像担持体2の当接部におけるクリーニング動作中のモデル図である。
【0059】
クリーニングブラシ1の第1繊維1−01の先端部01Bに引っ掛けられた微粒子Zが、該先端部01Bと像担持体2の表面の間で像担持体2表面を摺擦し、上記の帯電生成物やフィルミングを除去する。Tはトナーなどの大径異物である。無機微粒子Zは、クリーニングブラシ1と像担持体2の当接部で、像担持体2の表面を研磨摺擦し、像担持体2の表面の帯電生成物などの除去を行う。トナー粒子などの大粒子Tは第1繊維1−01で掻き取られる一方、先端部01Bを有するクリーニングブラシ1を使用することで、無機微粒子Zは先端部01Bに引っ掛けられ、像担持体2を好適に摺擦することができる。また、微粒子Zの一部は第1繊維1−01の先端部01Bの間隔からクリーニングブラシ1の内側へ入り込む。これらは内部の第2繊維1−02に保持されたり、再び吐出されたりして、第1繊維1−01の先端部01Bでクリーニングに寄与する。
【0060】
像担持体2の表面に付着する帯電生成物を除去する為の微粒子Zとしては、無機微粒子が使用でき、個数平均一次粒径が0.03[μm]以上0.3[μm]以下のペロブスカイト型結晶粒子からなる微粒子が好ましく使用できる。ペロブスカイト型の結晶構造を有する材料としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等が挙げられ、周知の焼結・粉砕法で製造できる。
【0061】
0.03[μm]未満の極微小径では研磨作用が低減するほか、一旦クリーニングブラシ1の繊維に付着すると、そこから離れにくく、該クリーニングブラシ1を汚染する場合がある。一方、0.3[μm]を超える場合には、摺擦研磨摺擦が不十分になったり、クリーニング手段1乃至は像担持体2の損耗が生じたりする場合があった。
【0062】
また、この粒径範囲は、本発明のクリーニング手段で、トナー粒子と無機微粒子を分離し、トナー粒子を排出する一方、無機微粒子をクリーニングブラシに付着させて使用するのに好適である。
【0063】
図8は、トナーなどの帯電性粒子の粒径を振って、ターゲットに付着させた後、周知の遠心分離法で、付着力を測定した結果を示したものである。ここでは、粒子に帯電を付与し、ターゲットに静電的に現像して付着力を測定した結果(帯電状態)と、帯電を付与せずに、非静電的に付着させて付着力を測定した結果(未帯電状態)がある。一般に付着力は静電付着力と非静電付着力の和で表される。図8より、粒径が小さくなると該粒子の付着力に占める静電付着力の寄与度が低下する。
【0064】
トナー粒子程度の大きさでは静電付着力の寄与度が大きく、0.3[μm]以下の小粒径粒子は非静電付着力の寄与度が大きい。従ってクリーニングブラシ1へのバイアス印加等により、トナーなどの大粒子Tは静電的にクリーニングブラシ1から除外し、無機微粒子Zはクリーニングブラシ1に維持して使用することができる。
【0065】
微粒子Zの平均粒径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒径を測定して、その平均を求めた。粒径は、一次粒子の最長辺をa、最短辺をbとしたとき、(a+b)/2として求めた。
【0066】
また、先端部01Bでの摺擦除去のため、微粒子Zの形状は、直方体状であると更に好ましい。
【0067】
微粒子Zの供給方法は、画像形成装置内に供給機構を有しても、現像剤から供給してもよい。微粒子Zを現像剤に添加する場合は、現像濃度や転写性などの、いわゆる現像剤としての機能の観点から、トナー粒子に対する遊離率は20体積%以下となるような量、及び/又は強度で添加されていることが好ましく、15体積%以下が更に好ましい。ここで遊離率とは、トナー粒子から遊離したペロブスカイト型結晶無機微粒子の割合を体積%で求めたものであり、パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により公知の原理(文献1)で測定されたものである。文献1:「Japan Hardcopy 97論文集」65乃至68頁(発行者:電子写真学会、発行日:1997年7月9日)。
【0068】
また、必要に応じて抵抗を調整することも好ましい。抵抗調整は製造した該無機粒子Zのコア粒子に、酸化度が制御された酸化錫をコートするなどの、公知の方法により制御する事ができる。微粒子Zの抵抗は、錠剤法により測定し正規化することにより求めることができる。即ち、底面積2.26[cm2]の円筒内に0.5[g]の粉体試料を入れ、上下電極に15[kg]の加圧を行うと同時に100[V]及び500[V]の電圧を印加し、各々の抵抗値を計測、その後正規化することにより体積抵抗率を算出することができる。
【0069】
(4)クリーニングブレード
クリーニング装置10には、被清掃体としての像担持体2をクリーニングするクリーニング部材としてクリーニングブラシ1の他に、図9のように、更にクリーニングブレード8を具備させてもよい。クリーニングブレード8は、ウレタンなどからなる周知のクリーニングブレードを使用することができ、クリーニングブラシ1よりも像担持体回転方向下流側において像担持体2に対してカウンターに当接させて配設してある。クリーニングブレード8を具備させた場合にも、上記微粒子Zは好適である。即ち、微粒子Zはクリーニングブレードニップ部での潤滑剤としての作用により、画像流れやフィルミングを効果的に防止しつつ良好なクリーニング性を維持し、該クリーニングブレードや該像担持体の損耗を防止することができる。
【0070】
(5)現像剤
現像剤は、少なくともトナー粒子と外添剤を含む。更に、2成分現像剤の場合には、上記外添剤を付与されたトナー粒子(以下、単にトナーと称する)と、キャリア粒子を有する。
【0071】
トナー粒子は、高画質化、及びクリーニング性などの観点から、質量平均粒径が4乃至12[μm]が好ましく使用される。また、転写性などの画質面から該トナー粒子は円形度が0.930以上が好ましい。一方、円形度が0.980以下であると、クリーニングブラシ1での摺擦時に、該クリーニングブラシ1へ密に詰る、いわゆるパッキングが生じ難く、クリーニングされやすい。また、トナー粒子ごとに異なる方向へ回転負荷を受けやすく、クリーニング部でトナー粒子が拡散されやすい。これに伴い微粒子Zも拡散が促進され、長手方向での均一性も向上するので好ましい。
【0072】
(6)像担持体2
像担持体2は、周知の感光体を使用することができるが、磨耗量が少ない、対磨耗性に優れた像担持体は、その表面形状が長期に渡り維持され、トナー粒子や上記各種無機微粒子などの異物のすり抜け状態の耐久変動が少なくなるので好ましい。
【0073】
耐磨耗性に優れた像担持体として、公知のアモルファスシリコン系(a−Siと称する)の感光体や、電子線や光、熱等により硬化された、硬化型表面保護層を有する有機感光体(OCL−OPCと称する)等が好ましく使用できる。
【0074】
また、像担持体の表面形状のRzdが大きすぎたり、Smdが小さすぎたりすると、上記クリーニングブラシ1及び微粒子Zでの摺擦が不均一になりやすい場合がある。一方、Rzdが小さすぎたり、Smdが大きすぎたりすると、トナー粒子や外添剤が像担持体に付着しフィルミングなどが生じ易くなる場合がある。クリーニングブラシ1の当接条件や駆動条件等によっても異なるが、像担持体の表面粗さRzdは0.1乃至1.0[μm]、Smdは5乃至30[μm]が好ましい。
【0075】
像担持体2の表面形状は、成膜後の感光体表面を研磨乃至はブラスト処理する等の公知の方法で調整することができる。
【0076】
また、一般に、RF−CVD等のCVD法で作成されるa−Si感光体では、一般に支持体の形状が作成される感光体表面の形状に影響する。即ち、支持体の形状を切削等に拠り制御する事で感光体の表面形状を制御できる。この他、成膜時の基板温度や放電電力、減量ガス流量比を調整する等の、公知の方法で制御する事ができる。
【0077】
尚、像担持体の表面形状Rzd、Smdは、JISB0601:1982で規定されるRz、Smである。測定は表面粗さ測定器(サーフコーダーSE−3400:コサカ研究所製)を用い、測定長8[mm]、速度0.05[mm/sec]、カットオフλc0.8[mm]、JIS1982モードにて、長手方向にスキャンして測定した。周方向8点、長手5点の、計40点について測定を行い、平均値をもって各々の表面形状の値とした。
【0078】
(7)帯電手段3
帯電手段3は、スコロトロンなど、周知の帯電手段を用いる事ができるが、装置の小型化、低コスト化などの観点から、ローラー帯電などの接触帯電手段、あるいは像担持体2と数100[μm]以下の最近接距離に配される近接帯電手段も好ましく使用される。
【0079】
(8)潤滑剤
更に、潤滑剤を併用するとクリーニングブラシ1やクリーニングブレード8と被清掃体である像担持体2の摺擦時の負荷が低減され、これらの損耗が抑制される。
【0080】
潤滑剤としては、周知の、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)や脂肪酸金属塩などの金属石鹸などが使用できる。
【0081】
中でも金属石鹸は像担持体表面で膜状に塗り延ばされやすく、放電等による像担持体表面の劣化や、帯電性生物の付着を防止する保護材としても有効である。
【0082】
供給方法としては粉体状で現像手段やその他の供給手段から供給しても良いし、例えば棒状の成形物として装置内に設置し、前記のクリーニングブラシやその他のブラシなどの供給手段を用いて供給しても良い。
【0083】
上記の塗り伸ばしやすさ、成形の容易性などから、ステアリン酸亜鉛が特に好ましく使用できる。
【0084】
(9)実施形態
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明するが、本発明は本実施形態に何ら制限されるものではない。
【0085】
[クリーニングブラシ製造例]
下記の製造例にて、第1繊維1−01、第2繊維1−02を有する、各種仕様のクリーニングブラシ1(実1乃至実12、及び比1乃至比4:実は実施例、比は比較例)を作成した。
【0086】
周知のパイル織で、厚さ1mmの基布に、平均断面積491[μm2](平均繊維径25[μm]相当)の導電性ナイロンを、100000(本/cm2)で織り込み、基布からの繊維長が2.5mmとなるようにカットして、第2繊維1−02とした。本例における第2繊維密度は、0.49(基布1[cm2]あたり0.49[cm2])となる。
【0087】
更に、第1繊維1−01として、平均断面積491[μm2](平均繊維径25[μm]相当)の導電性ナイロンを15000[本/cm2]で織込み、基布からの繊維長が略7[mm]となるようにカットした。この第1繊維1−01の繊維密度は0.07である。
【0088】
このパイルを、基布を含めた径がφ10[mm]の芯材1−03に巻付け、ブラシローラー形状とした。このブラシローラーの外周側に200[℃]の熱風を吹き付け、第1繊維1−01の先端部01Bを加熱処理しながら、別の型に接触させて、ブラシの外径調整を行い、外径φ22[mm]のブラシローラー1(実1)を作成した。型は金属ローラー等が使用できる。
【0089】
第1繊維1−01は、基布下部からの繊維長が6[mm]、先端部は図3の(b)の如き太鼓形状の先端部01Bを有する。該先端部01Bの断面積は7.85×103[μm2]、平均空隙間隔は21[μm]である。
【0090】
先端部01Bの断面積の調整は、基部01Aの太さ、加熱処理時間、最初のカット時の長さや、外径調整の条件の調節などにより先端部01Bの断面積を制御する事ができる。
【0091】
また、先端部01Bの加熱処理前のカット長と、加熱処理温度、時間を制御して、先端部01Bが図3の(a)の如き球形形状を有するブラシローラー1を作成した。
【0092】
また、加熱後に、平板状の型に押付ける手法で、図3の(c)のごとき円錐状の先端部01Bを有するブラシローラー1を作成した。
【0093】
なお、空隙間隔は上記先端部01Bの面積に応じて、第1繊維1−01の、単位面積当りの繊維本数、また繊維長や芯材の太さなどでを調整することで制御できる。
【0094】
上記のような作成条件を振る事で、ブラシローラー1として、実1乃至実12、及び比1乃至比4の16種類のものを作成した。
【0095】
表1に、実1乃至実12、及び比1乃至比4の各ブラシローラー1の仕様の概略を示す。表2に、実1乃至実12、及び比1乃至比4の各ブラシローラー1の第1繊維1−01の詳細を示す。また、表3に、実1乃至実12、及び比1乃至比4の各ブラシローラー1の第2繊維1−01の詳細を示す。なお、表2と表3の繊維の本数において、Eは10のn乗の意味である。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
[無機微粒子製造例]*各特性制御
下記製造例にて、チタン酸ストロンチウムからなる研磨粒子Zを作成した。
【0100】
四塩化チタン水溶液にアンモニア水を添加することにより加水分解して得られた含水酸化チタンを純水で洗浄し、該含水酸化チタンのスラリーに含水酸化チタンに対するSO3として0.26%の硫酸を添加した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.58に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が50μS/cmになるまで洗浄をくり返した。該含水酸化チタンに対し、0.97倍モル量のSr(OH)2・8H2Oを加えてSUS製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.6mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを60℃まで8.5℃/時間で昇温し、60℃に到達してから6.5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、焼結工程を経由していないチタン酸ストロンチウム微粒子を得た。
【0101】
このチタン酸ストロンチウム微粒子を無機粒子Iとした。
【0102】
更に、Sr(OH)2・8H2O量、pH、スラリーの昇温条件等、各製造条件を振り、粒径や形状の異なる無機粒子II乃至IIIを作成した。
【0103】
これらの微粒子を電子顕微鏡(SEM)で観測し、また平均一次粒径を測定した。SEM観測例を図10に示す。また各無機微粒子I・II・IIIの個数平均1次粒径を表4に示す。何れも立方体状乃至は直方体状の粒子形状(結晶構造)を有していた。ペロブスカイト型結晶粒子は立方体状の粒子形状及び/又は直方体状の粒子形状を有する。
【0104】
【表4】
【0105】
[像担持体製造例]*表面形状制御
像担持体2として、a−Si、及びOCL−OPCの2種類の感光体を作成した。
【0106】
外径84mm(φ84と記載する)の支持体の表面を、市販の切削旋盤を使用して切削した。本例に於いては、平バイトを使用し、該バイトの設定角、ピッチを調整して切削を施した。
【0107】
該支持体に、公知の電子線硬化型表面保護層を有するOPC(OCL−OPC)を作成した後、表面を研磨加工して、負帯電性のOCL−OPC感光体P01を得た。
【0108】
また、周知のRF−CVD法で負帯電a−Si感光体P02を得た。なお、本例では詳細は割愛するが、プラズマCVDの条件を振ることでも表面形状を制御できる。例えば、同じ形状の基板を使用した場合、原料ガス流量を増加させるとともに、放電電力/ガス流量を増加させるとRzが増加する、などである。その他、基板温度の制御など各種製造条件を調整し表面形状の制御を行う事も可能である。
【0109】
作成した像担持体P01乃至P02の表面粗さRzd、Smdを表5に示す。
【0110】
【表5】
【0111】
[現像剤製造例]
周知の製造方法で、非磁性トナー粒子(質量平均粒径5.5μm、平均円形度0.918)を得た。該非磁性トナー粒子100質量部に対して、平均粒径0.02[μm]のシリカ粒子を1.2質量部(以下、単に部と称する)外添してトナーT00を得た。
【0112】
更に、上述した無機粒子Iを1部外添してトナーT01を得た。
【0113】
また、同様にして、T00に対して、無機粒子II乃至III、比較粒子IV乃至VI(表4)を、夫々1部外添して、トナーT02乃至T06を作成した。
【0114】
キャリアは、imagePRESS C1用のキャリアを使用し、トナー/キャリア質量比が8%となる様に、それぞれ混合して、各種の現像剤を得た。
[評価装置]
評価用の画像形成装置として、図1・図2の如き画像形成装置を用意した。クリーニングブラシ1は上述のクリーニングブラシ製造例で作成したクリーニングブラシを設置した。該クリーニングブラシ1は像担持体2に所定の侵入量で当接し、不図示の駆動源により所定の方向、及び速度で回転駆動される。侵入量の範囲は、第2繊維1−02が像担持体2に接触する位置を上限する。第1繊維1−01と第2繊維1−02は、芯材1−03を介して接地されている。電源を付与してバイアス印加を行う事も可能である。
【0115】
また、クリーニングブラシ1には、転写残トナー等を除去するフリッカーバー7を付与した。該フリッカーバー7の位置は、クリーニングブラシ1の駆動方向や速度に応じて向きや位置などの設定条件を調整すればよい。該フリッカーバー7でクリーニングブラシ1から除去された転写残トナー等はクリーニング容器11内に落ちて、クリーニング容器11内から廃トナー容器(不図示)へ排出搬送される。
【0116】
像担持体2は、上述の像担持体製造例で作成した感光体を使用し、面速度で260乃至435[mm/sec](60乃至100[ppm]相当)の可変とした。帯電手段にはiR4570用の帯電ローラー3を、潜像形成手段4には1200[dpi]のレーザー露光装置を、現像手段5は非磁性2成分現像装置を、転写手段は転写ローラー6を夫々使用した。これらのプロセス機器各々の駆動速度や印加するバイアス条件は、像担持体2の面速度の応じて適宜調整される。
【0117】
[実施例1]
上述の評価装置を用い、像担持体2の面速度は260[mm/sec]とした。像担持体2は感光体P01(OCL−OPC)を使用し、帯電ローラー3に印加するバイアスを調整して、潜像露光非照射時の現像装置5の位置での像担持体2の表面電位(Vd)の絶対値が450Vとなる様に調整した。更に、レーザー露光装置4を調整して潜像露光照射部電位(Vl)の絶対値が50Vになる様にした。また、中間転写ベルト9や現像装置等の駆動条件、バイアス条件を調整した。
【0118】
クリーニング装置10のクリーニングブラシ1は、像担持体2に1.0[mm]の侵入量で設置し、カウンター方向で相対速度60%(−60%と表記)で駆動する様にした。本例では、第1繊維1−01、第2繊維1−02共に、芯材1−03を介してアースに接地されている。耐刷を含めた評価条件の概略を表6に示す。
【0119】
耐久は、図11の(A)の如き、300μm線を5mm間隔にした横罫線で形成される画像比率6%の画像を原稿として使用し、常温/常湿(23℃/50%;N/Nと称する)環境下で20K枚/日、100k枚相当の耐久を行った。次に、高温/高湿(30℃/80%;H/Hと称する)環境下、更に低温/低湿(15℃/10%;L/Lと称する)環境下で、N/N環境同様に、各々100k枚、合計300k枚の耐久を行った。各耐刷日とも、夜間は電源を完全OFFとした。
【0120】
各環境の耐久初期、各耐刷日(20k毎)のラスト、及び翌朝については、評価用画像形成を行ったのち、下記の過酷運転を行い、その後もう一度評価用画像形成を行った。また、異音、振動(ビビリ)等の有無を評価した。
【0121】
過酷運転は次の様に行った。まず、図11の(B)の如く、長手方向で局在化した、画像比率6%の画像形成を1分間(本例では60枚)の画像形成をした。その後、現像装置5と転写ローラー6を解除し、非通紙とした以外は通常の耐刷状態で5分間の空回転を行った。
【0122】
画像、音、乃至は振動の評価で異常が認められた場合には更に、クリーニングブラシ1を観測し、周方向、長手方向の汚れと、パッキングの目視確認、更に顕微鏡観測を行い繊維の抜けや折れの評価を行った。また像担持体2の表面形状、付着物の有無を評価した。特に異常が認められない場合でも、各環境の最後、すなわち100k枚毎に、クリーニングブラシ1と像担持体2の観測、測定を行った。
【0123】
尚、評価画像としては1ドット1スペースのハーフトーン画像(1D1Sと記する)、5mm間隔の格子画像、1D1S、1D2S、ベタ、白、前半はベタで後半が白のツートーン画像、17階調画像、更に再度1D1Sを、この順番で画像形成した。
【0124】
各評価項目と評価基準は下記のとおりである。○は非常に良好、△は良好、乃至は実用上問題無し、▲は従来並、乃至は特性上不足となる場合がある。評価結果を表7乃至9に示す。
【0125】
1)「すり抜け」
主に罫線、ツートーン、ハーフトーンの各画像の目視評価と、像担持体表面観察結果から評価した
○; 画像上すり抜け無し。像担持体表面も清浄
△; 像担持体上にはすり抜け見られるが、画像上すり抜け無し
▲; 画像上すり抜け発生の場合あり。
【0126】
2)「フィルミング」
ハーフトーン、ベタ、白、17階調の画像と、それに対応する像担持体表面観測結果から評価した
○; 画像上フィルミング無し。像担持体表面も清浄
△; 像担持体上には付着物見られるが、画像上フィルミング無し
▲; 画像上フィルミング発生の場合あり。
【0127】
3)「画像流れ」
特に朝の、罫線、ハーフトーン、17階調の各画像から目視判断した
○; 画像流れ無し
△; 通常目視レベルでの流れ無し。顕微鏡観測でハーフトーン乃至は17階調で、一部ドットの広がり、或いはかすれが見られる場合あるが、2度目の1D1Sでは○レベル
▲; 上記以外。目視レベルで画像流れ見られる、乃至は回復遅い。
【0128】
4)「異音、振動」
耐刷時、及び空回転時の評価機動作中の音等から評価した。
【0129】
○; 異音、振動無し
△; 耐刷、通常画像形成時の異音、振動無し。空回転時に異音又は振動発生の場合あり
▲; 耐刷、通常画像形成時に異音又は振動発生の場合あり。
【0130】
5)「汚れ均一性」
クリーニングブラシの汚れ均一性、パッキング、折れ、抜けを観測して評価した
○; 空回転前後での汚れムラなし。且つ耐刷時の汚れレベルが安定している
△; 空回転前後での汚れムラが見られる、あるいは耐刷時の汚れが増加傾向
▲; 空回転前後での汚れムラ、及び耐刷時の汚れ増加が見られる。
【0131】
6)「パッキング」
クリーニングブラシを観測して評価した
○; 廃トナー等の目詰まり無し。初期の繊維間隔を維持
△; クリーニングブラシ内にトナー或いは微粒子が詰っていて繊維を弾いても剤が流動し難い。繊維間隔、及び繊維自体の動きは特に変動無し
▲; トナー乃至は微粒子等の目詰まりによる繊維間隔の変動あり、又は繊維が動き難い状態。
【0132】
7)「折れ/抜け」
クリーニングブラシを観測して評価した
○; 第1繊維、第2繊維ともに折れ又は抜けが無し、乃至はクリーニング性に影響無し
△; 第1繊維、乃至は第2繊維の折れ又は抜けがあるが、通常耐刷ではクリーニング性に影響ないレベル
▲; 1箇所以上で、折れ、抜けにより、通常耐刷でクリーンキング性の低下がある。
【0133】
8)「像担持体の損耗」
上記の各評価画像、及び像担持体の目視、及び表面粗さ測定で評価した
○; 局所的なキズ、及び偏磨耗等無し
△; 局所的なキズ、乃至は偏磨耗が見られるが、画像への影響無し
▲; 画像に出るキズ、乃至は偏磨耗あり。
【0134】
[実施例2乃至12、比較例1乃至4]
上述のブラシローラー1を用い、一部侵入量を除き実施例1と同条件で耐刷、及び評価を行った。評価条件を表6に、評価結果を評価環境ごとに表7乃至9に、夫々示す。
【0135】
表6、7より、断面積が大きい第1繊維1−01と、該第1繊維よりも短く設定された第2繊維1−02を持つブラシローラー1を用いた実施例1乃至12の評価で、何れも良好な結果が得られた。特に先端部面積が1900乃至32000[μm2]、先端部形状が球形、また第2繊維長/第1繊維長が0.5乃至0.8のとき、良好な結果が得られた。また、異なる太さの繊維を混合して第2繊維1−02として使用した例では、第2繊維の平均太さを極端に補足せずに繊維密度を高くでき、耐久性と繊維密度の両立に有効である。
【0136】
一方、第1繊維1−01のみの比較例1、第1繊維1−01と第2繊維1−02の長さを同じとした比較例2、及び先端部を大きくしない比較例3乃至4では、クリーニング性、画質、あるいは耐久性の低下が生じる場合があった。
【0137】
【表6】
【0138】
【表7】
【0139】
【表8】
【0140】
【表9】
【0141】
[実施例13、14]
実施例9、11において、画像形成装置として、図9の如く、クリーニングブラシ1の下流側にウレタンゴムからなるクリーニングブレード8を配設したものを用いた。像担持体2の面速度を400[mm/sec]とした以外は、実施例9、11と同様に評価を行った。評価条件を表10に、評価結果を、表11乃至13に、夫々示す。
【0142】
像担持体の速度を60[ppm]相当から100[ppm]相当へ増加させたにも関らず、すり抜けや折れ、欠けが向上した。クリーニングブレード8により一部すり抜けが抑止される他、該クリーニングブレード8で掻き落された粒子が、落下し、再度クリーニングブラシ1に補給される為、空回転時などでの特性が向上したと考えられる。
【0143】
[実施例15]
実施例13において、クリーニングブラシ1の表面にシリコーンオイル処理を施し、トナーの正規帯電極性とは逆極性のプラス帯電性の表面処理を行った。即ち、少なくとも、第1繊維の表面に、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電特性処理を行う。この他にも周知のポジ帯電性処理でもよい。
【0144】
該処理を施した以外は実施例13と同様に耐刷、評価を行った。条件を表10、結果を表11乃至13に示す。
【0145】
表11乃至13より、汚れ均一性が向上した。転写残トナーは一般的にトナーの正規帯電極性に対して反転しているトナーが多く、フリッカーバー7に加えて静電的な吐出しが相乗していると考えられる。
【0146】
[実施例16]
実施例13において、クリーニングブラシ1にトナーの正規帯電極性とは逆極性のプラス電圧を印加した以外は実施例13と同様に耐刷、評価を行った。条件を表10、結果を表11乃至13に示す。
【0147】
表11乃至13より、汚れ均一性が向上した。転写残トナーは一般的にトナーの正規帯電極性に対して反転しているトナーが多く、フリッカーバー7に加えて静電的な吐出しが相乗していると考えられる。
【0148】
[実施例17乃至19]
実施例13において、上述の無機微粒子I乃至IIIを、クリーニングブラシ1に供給する手段を付与した。具体的には、該クリーニングブラシ1の下方に、無機粒子Zの容器を設け、所定枚数の耐刷毎に、該容器がクリーニングブラシ1に接触し、無機粒子Zを供給する供給する。供給方法はこれに限らず、例えば、別途ファーブラシなどの供給機構を設けてもよい。この状態で実施例13と同様に耐刷、評価を行った。
【0149】
[実施例20乃至22]
実施例13において、上述の無機微粒子I乃至IIIを外添したトナーT01乃至T03を現像剤に使用し、この状態で実施例13と同様に耐刷、評価を行った。
【0150】
実施例17乃至22の評価条件を表10に、評価結果を表11乃至13に夫々示す。表11乃至13より、無機微粒子I乃至IIIを付与した実施例17乃至22で流れや、汚れ均一性、像担持体の耐久性が向上した。また、耐久後のクリーニングブレード8の観測を行った所、該無機微粒子I乃至IIIを付与した本実施例のクリーニングブレード8のエッヂの損耗が低減していた。
【0151】
また、実施例20乃至22のように現像剤から微粒子Zを供給する系では、供給用の手段を別途設ける必要が無く、装置の小型化にも有効である。
【0152】
なお、比較粒子IV乃至VIを使用して実施例17乃至19と同様の評価、またトナーT04乃至06を使用して実施例20乃至22と同様の評価を行った。
【0153】
これらの評価の結果、上記微粒子I乃至III、及びトナーT01乃至03を使用した例と比べて、特に流れと、クリーニングブレード8の損耗で、該微粒子Zを付加した効果が少なかった。
【0154】
[実施例23]
実施例14において、クリーニングブレード8を付与し、上述の無機微粒子IIを外添したトナーT02を現像剤に使用し、クリーニングブラシ1にプラス電圧印加を付与して耐刷、評価を行った。即ち、少なくとも、第1繊維の先端部に、トナーの正規帯電極性とは逆極性のバイアス印加を行う。評価条件を表10に、評価結果を表11乃至13に夫々示す。表11乃至13より、非常によい結果が得られた。
【0155】
【表10】
【0156】
【表11】
【0157】
【表12】
【0158】
【表13】
【0159】
[実施例24]
感光体をP−02のa−Si感光体とした以外は、実施例23と同様にして評価を行った。結果、実施例23同様に非常に良好な結果が得られた。
【0160】
[実施例25]
クリーニングブラシ1の順方向で相対速度120%(+120%)で駆動する様にした。該駆動方向の変更に伴い、フリッカーバー7を図14のようにクリーニングブラシ1の上方へ配置した以外は、実施例13と同様にして評価を行った。結果を表14乃至16に示す。実施例13同様に非常に良好な結果が得られ、さらにブラシの耐久性が向上した。
【0161】
[実施例26]
図14のように、潤滑剤として、ステアリン酸亜鉛成形物12を、クリーニングブラシ1に加圧手段(不図示)を用い、所定の圧力で当接する様にした。本例では第1繊維の部分に侵入する様に当接圧を調整したが、クリーニングブラシの繊維密度や繊度、潤滑剤成形物の硬さなどに応じて適宜調整できる。
【0162】
該潤滑剤成形物12を付与した以外は実施例25と同様に評価を行った。結果を表14乃至16に示す。実施例25同様に非常に良好な結果が得られ、更に汚れ均一性が向上した。
【0163】
[実施例27]
トナーT02を使用した以外は実施例26と同様に評価を行った。結果を表14乃至16に示す。実施例25乃至26と同様に非常に良好な結果が得られ、さらに流れも良好な結果が得られた。
【0164】
下流側にクリーニングブレード8が付与されている場合など、クリーニング手段の機能に弊害が無ければクリーニングブラシ1の駆動方向は順方向でもよい。これにより像担持体との相対速度差が低減でき、クリーニングブラシの損耗が更に抑制されたと考えられる。
【0165】
また潤滑剤の存在により、部材の損耗が抑制され、システムの寿命の向上が見られた。
【0166】
潤滑剤であるステアリン酸亜鉛と無機微粒子Zとの併用に於いては、該無機微粒子Zの摺擦効果により、該ステアリン酸亜鉛が塗り広げられて膜形成が進むと共に、帯電性生物の付着や、放電等により劣化したステアリン酸亜鉛の掻き取りが相乗したと考えられる。
【0167】
【表14】
【0168】
【表15】
【0169】
【表16】
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】画像形成装置の一例の概略構成
【図2】クリーニング装置部分の概略の拡大断面模型図
【図3】(a)・(b)・(c)は、それぞれ、第1繊維の各種形態の拡大模型図
【図4】第1繊維の配置を示す模式図
【図5】第1繊維と第2繊維の繊維密度を説明する模式図
【図6】第1繊維の空隙間隔を説明する為の模式図
【図7】クリーニングブラシの像担持体に対する当接部を拡大したモデル図
【図8】付着力の粒径依存性を示すモデル
【図9】画像形成装置の他例の概略構成
【図10】無機微粒子の観測例の図(電子顕微鏡写真)
【図11】実施例、比較例で使用した耐刷用画像の模式図であり、(a)は耐刷に使用した罫線チャートの概略図、(b)は評価時に使用した、局在化したチャートの概略図
【図12】従来のクリーニングブラシ(その1)の模式図
【図13】従来のクリーニングブラシ(その2)の模式図
【図14】画像形成装置の、更に他例の概略構成
【符号の説明】
【0171】
1;クリーニングブラシ、2;被清掃体(像担持体)、3;帯電手段、4;潜像形成手段、5;現像手段、6;転写手段、7;フリッカーバー、8;クリーニングブレード、12;潤滑剤、X;像担持体の駆動方向、Y;クリーニングブラシの駆動方向、Z;無機微粒子、1−01;第1繊維、1−02;第2繊維、1−03;芯材、1−01G;第1繊維の先端部の空隙間隔、01A;第1繊維の基部、01B;第1繊維の先端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材を、被清掃体に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置であって、
前記繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記先端部の断面積が1900[μm2]乃至32000[μm2]であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記第1繊維と前記第2繊維の繊維密度が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第2繊維は異なる繊度の繊維が混合されている事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記第2繊維の繊維密度が前記第1繊維の繊維密度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記先端部が球状であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記先端部の間隔が該先端部の直径以下100[μm]以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項8】
0.5≦[第2繊維の繊維長]/[第1繊維の繊維長]≦0.8であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記被清掃体に対して当接するクリーニングブレードを有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記第1繊維にバイアス印加を行うことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項11】
像担持体と、該像担持体にトナー像を現像させる現像手段と、前記トナー像を被転写材に転写する転写手段と、前記被転写材に前記トナー像を転写した後の像担持体の表面を清掃するクリーニング手段を有する画像形成装置に於いて、
前記クリーニング手段が請求項1乃至10の何れかに記載のクリーニング装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記ブラシ状部材には、個数平均一次粒径が0.03[μm]以上0.3[μm]以下の無機微粒子が存在することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記無機微粒子は立方体状の粒子形状及び/又は直方体状の粒子形状を有することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記無機微粒子がペロブスカイト型結晶粒子からなることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
少なくとも、前記第1繊維の表面に、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電特性処理を行うことを特徴とする請求項11乃至14の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
少なくとも、前記第1繊維の先端部に、トナーの正規帯電極性とは逆極性のバイアス印加を行うことを特徴とする請求項11乃至15の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記ブラシ状部材と前記像担持体の当接部に潤滑剤が存在することを特徴とする請求項11乃至16の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
芯材と該芯材に支持される繊維を有するブラシ状部材を、被清掃体に対して相対速度差を有して駆動させるクリーニング装置であって、
前記繊維は、基部よりも断面積が大きい先端部を有する第1繊維と、該第1繊維よりも繊維長が短い第2繊維を有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記先端部の断面積が1900[μm2]乃至32000[μm2]であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記第1繊維と前記第2繊維の繊維密度が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第2繊維は異なる繊度の繊維が混合されている事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記第2繊維の繊維密度が前記第1繊維の繊維密度よりも高いことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記先端部が球状であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記先端部の間隔が該先端部の直径以下100[μm]以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項8】
0.5≦[第2繊維の繊維長]/[第1繊維の繊維長]≦0.8であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記被清掃体に対して当接するクリーニングブレードを有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記第1繊維にバイアス印加を行うことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のクリーニング装置。
【請求項11】
像担持体と、該像担持体にトナー像を現像させる現像手段と、前記トナー像を被転写材に転写する転写手段と、前記被転写材に前記トナー像を転写した後の像担持体の表面を清掃するクリーニング手段を有する画像形成装置に於いて、
前記クリーニング手段が請求項1乃至10の何れかに記載のクリーニング装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記ブラシ状部材には、個数平均一次粒径が0.03[μm]以上0.3[μm]以下の無機微粒子が存在することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記無機微粒子は立方体状の粒子形状及び/又は直方体状の粒子形状を有することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記無機微粒子がペロブスカイト型結晶粒子からなることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
少なくとも、前記第1繊維の表面に、トナーの正規帯電極性とは逆極性の帯電特性処理を行うことを特徴とする請求項11乃至14の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
少なくとも、前記第1繊維の先端部に、トナーの正規帯電極性とは逆極性のバイアス印加を行うことを特徴とする請求項11乃至15の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記ブラシ状部材と前記像担持体の当接部に潤滑剤が存在することを特徴とする請求項11乃至16の何れかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−258272(P2009−258272A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105515(P2008−105515)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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