説明

クリーニング装置

【課題】柔らかくて且つ広いクリーニング表面を備えた光ファイバクリーニング装置を提供する。
【解決手段】光ファイバ構成要素をクリーニングするための装置10は、開口14を有し且つ側部に形成された柔らかくて且つ広い作業表面16を備えるコンテナ12を備える。この装置10は、コンテナ12の内部から開口14を介して拭取り物20を送り出すことができると共にクリーニングのために作業表面16上に位置決めされるように、コンテナ12内に配置された複数のクリーニング用拭取り物20を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ構成要素のクリーニング装置に関する。より詳細には、本発明は、その一つの面に設けられた柔らかくて広い作業表面と、一体的に貯蔵された使い捨てのフェイスカバーとを有する光ファイバ構成要素のクリーニング装置、および光ファイバ構成要素をクリーニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの伝送速度は、1ギガバイト/秒から現在の標準である10ギガバイト/秒まで速くなっている。多くのネットワークは伝送速度が近いうちに40ギガバイト/秒に達すると予想されている。研究者等は、伝送速度がペタバイト/秒およびテラバイト/秒に達するよう研究を行っている。
【0003】
この伝送速度を上げるために、伝送メディア(例えば、光ファイバ伝導体)は高い精度の基準および誤差で製作および維持が行われている。製作および製造中に、光ファイバ構成要素の端面は、塵、埃、オイル、グリースまたは他のくずで汚れてしまうことが多い。また、端面は、通常の現場での使用によっても汚れてしまう。端面をクリーニングし且つ端面に引っ掻き傷、バリまたはその均等物ができないようにすることにより、上述した非常に高い伝送速度の正確性を保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3073609号公報
【特許文献2】特開平10−216063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ファイバの端面をクリーニングするために様々な形態の装置が用いられており、その成功の程度は異なっている。紙製品および他のフレーク材料(薄片が剥がれるような材料:flaking material)は、これらがくずを出してしまうので好ましくない。端面において障害となる繊維材料がレーザ光の伝送の損失を招くので、くずが出るのを避けることは重要である。加えて、紙製品は、湿式クリーニング技術に用いられることができない。クリーニング用紙製品を湿らすとこれら紙製品は細くちぎれ、この結果、くずが出るという問題を悪化させてしまう。
【0006】
現存する他のクリーニング装置は織物カートリッジリールを包囲し、クリーニング表面としてリールの非常に小さい部分を晒している。これら表面が極めて小さいため、この装置の使用は短く、小さいストロークが可能なクリーニング工程に制限せれてしまう。また、この方法は、端面に引っ掻き傷のような損傷を作ってしまうこともある。さらに、カートリッジリールは、汚れたクリーニング表面を迅速に処分することができないように設計されている。替わりに、汚れた材料はカートリッジ内へ巻き戻される。
【0007】
さらに、現在入手可能なクリーニング装置は、端面のクリーニングに本質的に有効である乾式および湿式の両方のクリーニングに使用することができない。湿式クリーニングは、構成要素を湿った部分を介して乾燥した部分へ引っ張る(移動させる)ことができるクリーニング表面を必要とする。現存の装置のクリーニング表面は極めて小さいので、湿ったセクションと乾燥したセクションとの両方を設けるには不十分である。また、現在の装置は、湿式クリーニング材料をカートリッジに巻き戻すと、その内部機構全体を湿らせ、新品の材料を汚してしまうことがあるので、湿式クリーニングには実用的でない。
【0008】
よって、柔らかく且つ広いクリーニング表面を備えた光ファイバクリーニング装置の必要性が存在する。このような装置が端面に残留物を残さないのが望ましい。このようなクリーニング装置は、端面を損傷させる可能性を低減しつつ技術者が長いクリーニングストロークを利用することを可能にする。また、広いクリーニング表面および使い捨てのクリーニング材料が湿式および乾式の両方の技術を実行できることがより好ましい。一人の商用提供者は、18000もの技術者がこの装置を使用するであろうことを見積もっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
光ファイバ構成要素をクリーニングするのに用いるための装置は、開口を有するコンテナを備え、コンテナはコンテナの側部に形成された柔らかく且つ広い作業表面を備える。クリーニング用拭取り物は、コンテナの内部から開口を介して送り出されてクリーニングするための作業表面上に位置決めされるように、コンテナ内に配置される。
【0010】
好適な実施形態では、コンテナは箱状に形成される。好ましくは、コンテナは板紙、厚紙、成型プラスチックまたは静電放電性材料で形成される。
【0011】
好適な実施形態では、開口がスロット状に形成される。好ましくは、開口は作業表面が配置されるコンテナの一つの面に近接して配置される。好ましくは、作業表面は非フレーク材料で形成される。より好ましくは、作業表面はタイトな(すなわち、密に詰まっている状態の)クローズドセル材料または(コーティングやフィルム等の他の層によって)カバーされたオープンセルマトリックスで形成される。好ましくは、材料は耐溶剤性である。このような材料の好適な例はネオプレンである。
【0012】
好適な実施形態では、クリーニング用拭取り物はロール上に位置決めされ、隣接したクリーニング用拭取り物から分離可能である。
【0013】
光ファイバ構成要素をクリーニングする方法は、開口を介してクリーニング用拭取り物をコンテナに送る工程と、クリーニングのために拭取り物をコンテナの面の柔らかくて広い作業表面上に位置決めする工程と、拭取り物上で光ファイバ構成要素を引っ張る(移動させる)工程とを有する。
【0014】
当該方法はさらに、拭取り物の一部を湿らすことと、拭取り物の湿った部分から拭取り物の乾燥した部分に構成要素を引っ張ることとを有する。拭取り物の一部を湿らす工程は、スプレーすることまたは溶剤を拭取り物上に搬送することを含む。
【0015】
本発明のこれら特徴や利点または他の特徴や利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明から明らかである。
【0016】
以下の詳細な説明および添付の図面を参照することで、当業者にとって本発明の利点および効果がより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の原理を実施した光ファイバ構成要素をクリーニングするための装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は様々な形態で実施可能であるが、現在好適な実施形態を図示し且つ後述するが、この開示は本発明の例示とみなすべきであり、本発明を以下に説明する特定の実施形態に限定するものではない。
【0019】
図面、特に図1を参照すると、本発明の原理に基づく光ファイバ構成要素クリーニング装置10が示されている。クリーニング装置は、その側部またはそのパネルに開口14が形成されたコンテナ12と、このコンテナ12のフェイス18上の柔らかく且つ広い作業表面16と、コンテナ12の内部に配置された複数のクリーニング用拭取り物(cleaning wipe)20とを備える。
【0020】
クリーニング用拭取り物20は、クリーニングのために、コンテナ12の内部から、開口14を介して送られ、作業表面16上に配置される。本実施形態によれば、コンテナ12は箱状に形成される。コンテナ12は、板紙、厚紙、成型プラスチックまたは静電放電性材料で形成されるのが好ましい。コンテナ12は、所望であれば、如何なる他の適切な材料から形成されてもよい。当業者に認識されているように、(後述するように)コンテナ12は拭取り物を取り出しまたは再装填できるように形成されてもよい。
【0021】
本実施形態では、開口14はスロット状である。作業表面16は開口14に隣接したコンテナ12のパネル18上において開口14の直ぐ隣に配置される。本実施形態では、作業表面16は非フレーク材料から形成される。好ましくは、作業表面16として使用される非フレーク材料は、タイトな(すなわち、密に詰まっている状態の)クローズドセル材料である。例えば、タイトなクローズドセル材料は、一般的に入手可能な材料であるネオプレン(登録商標)である。あるいは、作業表面16は、例えば、ブナN(登録商標)(ニトリルブチルゴム)ビニル、または同様な柔らかい弾性的なポリマーから形成されてもよい。本質的には、如何なる柔らかい弾性的な材料が用いられてもよい。作業表面の所望の特性には、液体不浸透性および耐薬品性/耐溶剤性が含まれる。このため、作業表面は、共有押出成型された材料またはフィルムによって、この作業表面に接着された保護層またはこの作業表面上に形成された保護層を有する柔らかい弾性材料から形成されてもよい。
【0022】
本実施形態では、クリーニング用拭取り物20はロール22上に配置される。ロール22はコア24を有する。クリーニング用拭取り物20は切取点線26を有し、これにより使用された拭取り物20をロール22から破り取って捨てることができる。
【0023】
光ファイバ構成要素をクリーニングする方法は、コンテナ12の開口14を介してクリーニング用拭取り物28を送ることと、拭取り物28を作業表面16上に位置決めすることと、光ファイバ構成要素を拭取り物28上で引っ張ることとを具備する。
【0024】
光ファイバ構成要素をクリーニングする別の方法としては、拭取り物28の一部30を湿らせ、構成要素は湿った部分30から乾燥した部分32へと引っ張られる。湿った部分30は、拭取り物28上に溶剤をスプレーすることによって湿らされる。
【0025】
図面および上記説明から分かるように、コンテナ12は、コンテナ12の表面に取付けられた大きく且つ柔らかい作業表面16を有する。多くの光ファイバ構成要素が湿式クリーニング方法と乾式クリーニング方法との両方を使用することによって益を得るが、広い作業表面16により湿式クリーニング方法と乾式クリーニング方法とを行うことができるようになることは明らかである。なお、作業表面16が広いことにより、技術者は、引っ掻き傷を作ってしまう短く小さいクリーニングストロークよりも損傷の少ない長いクリーニングストロークを実行することにより構成要素をクリーニングすることができる。
【0026】
本明細書の開示に特に示されていても示されていなくても、本明細書において参照した全ての特許は参照することで本願の一部を構成する。
【0027】
本明細書において、「一つの」との表現があるが、これは一つの場合のみを限定するものではなく、複数の場合を含んでもよい。逆に、複数の物品を参照している場合でも、適切であれば、一つの場合を含むものとする。
【0028】
上述したことより、本発明の精神および新規のコンセプトの範囲を逸脱することなく、複数の修正例および変更例も有効であることが明らかである。説明した特定の実施形態に対して限定が意図されておらず且つ推定されていないことが理解されるべきである。開示は、特許請求の範囲に含まれるように、特許請求の範囲によってこのような全ての修正例がカバーされる。
【符号の説明】
【0029】
10 クリーニング装置
12 コンテナ
14 開口
16 作業表面
20 拭取り物
22 ロール
24 コア
26 切取点線
28 拭取り物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するコンテナと、
上記コンテナの側方に形成された一つの面上の柔らかく且つ広い作業表面と、
上記コンテナの内部に配置された複数のクリーニング用拭取り物とを具備し、
該クリーニング用拭取り物はコンテナの内部から開口を介して送られてクリーニングのために上記作業表面上に位置決めされる光ファイバ構成要素のクリーニング装置。
【請求項2】
上記コンテナは箱状である請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
上記コンテナは、板紙、厚紙、成型プラスチックまたは静電放電性材料で形成される請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
上記開口はスロット状である請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
上記作業表面が位置する面は、コンテナの開口が形成される側部に近接する請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
上記作業表面は非フレーク材料で形成される請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
上記作業表面はタイトなクローズドセル材料でまたはカバーされたオープンセルマトリックスで形成される請求項6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
上記作業表面はネオプレンで形成される請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
複数のクリーニング用拭取り物がロールに配置される請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
上記ロールはコアを有する請求項9に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
上記複数のクリーニング用拭取り物のそれぞれは隣接したクリーニング用拭取り物から分離可能である請求項1に記載のクリーニング装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−188345(P2010−188345A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94416(P2010−94416)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【分割の表示】特願2003−194266(P2003−194266)の分割
【原出願日】平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】