説明

クリームチーズ様食品

【課題】クリームチーズの、柔らかい食感や滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を損なうことなく、製菓製パン材料として使用する際に、作業性が良く、低カロリーのクリームチーズ様食品を提供すること。
【解決手段】乳原料、タンパク質、油脂および水を含有する水中油型乳化物を乳酸発酵した乳酸発酵物を使用したクリームチーズ様食品であって、架橋デンプン、水溶性食物繊維および油脂を含有させることにより、100g当たりのカロリーが200kcal以下という低カロリーでありながら、作業性良く、かつクリームチーズの食感、口溶け、風味を満足させることができるクリームチーズ様食品が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低カロリーのクリームチーズ様食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリームチーズは、柔らかい食感や滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味が好まれ、洋菓子やパンなどの製菓、製パン用材料として、さまざまな用途に使用されている。
【0003】
しかしながら、クリームチーズは、100g当たりのカロリーが346kcal(五訂日本食品標準成分表)と高カロリーであり、近年の健康志向と相反するという問題がある。
【0004】
そこで、低カロリーのチーズ様食品として、いくつか提案されている(特許文献1、特許文献2)が、従来のクリームチーズの食感、口溶け、風味を満足しながら、カロリーが抑えられたものは、これまでになかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−87140号公報
【特許文献2】特開2000−300175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はクリームチーズの、柔らかい食感や滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を損なうことなく、低カロリーのクリームチーズ様食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、乳酸発酵物、架橋デンプン、水溶性食物繊維、油脂を含有し、水溶性食物繊維を3〜20重量%、油脂を3〜15重量%含有させることにより、100g当たりのカロリーを200kcal以下に抑え、かつ低カロリーでありながら、クリームチーズの食感、口溶け、風味を満足させた本発明のクリームチーズ様食品を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は
(1)乳酸発酵物、架橋デンプン、水溶性食物繊維、油脂を含有し、水溶性食物繊維が3〜20重量%、油脂が3〜15重量%であり、100g当たりのカロリーが200kcal以下であることを特徴とするクリームチーズ様食品
(2)卵白由来のタンパク質を0.1〜2重量%含む、(1)記載のクリームチーズ様食品
(3)コメ及び/又はタピオカ由来の架橋デンプンから選ばれる1以上を0.5〜5重量%含む、(1)記載のクリームチーズ様食品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、クリームチーズの、柔らかい食感や滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を損なうことなく、低カロリーのクリームチーズ様食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
(乳酸発酵物)
本発明のクリームチーズ様食品は、乳原料、タンパク質、油脂および水を含有する水中油型乳化物を乳酸発酵した乳酸発酵物を使用する。
乳原料としては牛乳、加工乳、生クリーム、脱脂乳、脱脂粉乳、脱脂濃縮乳、全脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエイパウダー、ナチュラルチーズ、プロセスチーズなどの乳製品を使用することができる。
また、タンパク質としては酸カゼイン、レンネットカゼインあるいはカゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウムなどのカゼイン類、あるいはトータルミルクプロテインや乳清タンパクなどの乳タンパク質、その他、各種動植物性由来のタンパク質を使用することができる。
【0012】
乳酸発酵は乳酸菌スターターを用い、15〜45℃で、pH3.5〜5.7好ましくはpH4〜5.5になるまで行うが、発酵後、有機酸やアルカリ性塩を用いpH調整することもできる。pHが5.5を超えると日持ちが悪くなる傾向を示し、pHが4未満では酸味が強く、フィリングとして使用したとき食品全体としてのバランスが悪くなるため、上記範囲内に調整するのが適当である。
【0013】
次いで、加熱殺菌を好ましくは60〜95℃にて実施する。乳酸発酵液を殺菌に供した後、通常は、ホエー分離を行うのであるが、本発明においてはホエーを分離することなく、架橋デンプン、食塩、pH調整剤、香料、甘味料、色素などを必要に応じて添加してクリームチーズ様食品を得ることができる、工程の最終段階として加熱均質化、および冷却を行う。その際、デンプンを糊化させるため70〜90℃での加熱と、0〜200kgf/cmでの均質化が好ましい。
【0014】
(架橋デンプン)
本発明のクリームチーズ様食品は架橋デンプンを含むが、架橋デンプンとしてはアセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸架橋デンプンなどを使用することができ、これら架橋デンプンを1〜10重量%含むのが好ましく、更に好ましくは2〜8重量%含むのがよい。架橋デンプンが1重量%未満ではクリームチーズ特有の風味やボディ性に影響を与える場合があり、10重量%を超えるとぬめりのある固い組織となる場合もある。
【0015】
(水溶性食物繊維)
さらに、本発明のクリームチーズ様食品は水溶性食物繊維を含むが、水溶性食物繊維としてはペクチン、蒟蒻粉、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、グアーガム分解物、寒天、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、分岐マルトデキストリン、イヌリンなどを使用することができる。
【0016】
上記水溶性食物繊維の中でも、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、分岐マルトデキストリン、イヌリン、グアーガム分解物を使用することが、良好なクリームチーズの風味を得られるという点で好ましい。
【0017】
本発明のクリームチーズ様食品は水溶性食物繊維を3〜20重量%含み、好ましくは5〜18重量%含むのがよい。水溶性食物繊維が3重量%未満ではクリームチーズ特有のボディ性に欠ける場合があり、20重量%を超えるとクリームチーズ特有の滑らかな食感が得られ難くなる場合がある。
【0018】
(油脂)
本発明のクリームチーズ様食品は油脂を含むが、油脂としてはバター、生クリームなどに由来する乳脂、あるいは菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油などの植物性油脂、あるいは牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、これら油脂類の単独または混合油、あるいはこれらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂を組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明のクリームチーズ様食品は油脂を3〜15重量%含むが、油脂が3重量%未満ではクリームチーズ特有の風味やボディ性に欠け、15重量%を超えるとクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーを200kcal以下にするのが困難となる。また、上記油脂の中でも、硬化ヤシ油を使用すると低油分でもボディ性がより良くなるため好ましい。
【0020】
(卵白由来のタンパク質)
さらに、本発明のクリームチーズ様食品は、タンパク質として、卵白由来のタンパク質を0.1〜2重量%含むことが好ましく、これにより、低油分でもボディ性がより良くなり、加熱工程を経る製菓製パン用材料として使用する際のボディ性を付与させることができるが、卵白由来のタンパク質が0.1重量%未満では焼成耐性は得られ難く、2重量%を超えると、クリームチーズのような食感から離れる傾向になる。
【0021】
(コメ及び/又はタピオカ由来の架橋デンプン)
さらに、本発明のクリームチーズ様食品は、架橋デンプンの中でも、コメ及び/又はタピオカ由来の架橋デンプンを0.5〜5重量%含むことが好ましく、これによりクリームチーズ特有の滑らかで、ぬめりのないショートな食感を得ることができる。
【0022】
また、本発明のクリームチーズ様食品は、風味を害しない程度の乳化剤を使用することができるが、乳化剤としては、特に限定されるものではなく、従来より知られている乳化剤を使用することができ、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロプレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド等各種有機酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが例示できる。
【0023】
以上の乳化剤のほかに、従来より知られている添加剤として、リン酸塩等のpH調整剤、キサンタンガムなどの増粘多糖類も、本発明の効果に影響を与えない範囲で使用することができる。
【0024】
本発明のクリームチーズ様食品は、さらに、風味付与の目的でミルクフレーバー、チーズフレーバーなどの香料、各種香辛料、フルーツピューレやジャム類、甘味付与の目的でスクラロース、アスパルテーム、ステビアなどの甘味料、また着色の目的でベータカロチンやパプリカ色素、アナトー色素などの着色料を使用することができる。また、日持ち向上の目的で、グリシン、酢酸ナトリウム、卵白リゾチームなどの日持ち向上剤を使用することもできる。
【0025】
このようにして製造されたクリームチーズ様食品は、100g当たりのカロリー200kcal以下でありながら、クリームチーズの柔らかい食感や滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を損なうことなく、製菓製パン用材料として良好な作業性を提供することができる。
【0026】
以下、本発明について実施例を示し、より詳細に説明する。なお、例中の%及び部はいずれも重量基準を意味する。
【実施例1】
【0027】
硬化ヤシ油7.5部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水65.9部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン6.2部、脱脂粉乳12部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は7.9重量%、タンパク質は7.4重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは151kcalで、より適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感とより滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【実施例2】
【0028】
硬化ヤシ油2.7部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水70.7部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン6.2部、脱脂粉乳12部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は3.1重量%、タンパク質は7.4重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは108kcalで、適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感と滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【実施例3】
【0029】
硬化ヤシ油2.7部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水70.7部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、難消化性デキストリン6.2部、脱脂粉乳12部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は3.1重量%、タンパク質は7.4重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは108kcalで、適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感と滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【実施例4】
【0030】
硬化ヤシ油7.5部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水60.7部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン6.2部、脱脂粉乳12部、クリームチーズ5.2部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は9.7重量%、タンパク質は7.8重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは170kcalで、より適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感とより滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【実施例5】
【0031】
硬化ヤシ油7.5部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水60.7部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン6.2部、脱脂粉乳12部、クリームチーズ5.2部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、タピオカ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は9.7重量%、タンパク質は7.8重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、タピオカ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは170kcalで、より適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感とより滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【実施例6】
【0032】
硬化ヤシ油10.1部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水58.1部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン6.2部、脱脂粉乳12部、クリームチーズ5.2部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は12.4重量%、タンパク質は7.8重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは194kcalで、より適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感とより滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【実施例7】
【0033】
硬化ヤシ油2.7部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水63.6部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン13.3部、脱脂粉乳12部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は3.1重量%、タンパク質は7.4重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは122kcalで、適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感と滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【0034】
[比較例1]
水66.3部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン13.3部、脱脂粉乳12部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相を、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は0.5重量%、タンパク質は7.4重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは99kcalであり、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有しているものの、ボディが弱く、ざらついた食感となった。
【0035】
[比較例2]
硬化ヤシ油18.9部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水54.5部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン6.2部、脱脂粉乳12部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は19.4重量%、タンパク質は7.4重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは255kcalで、適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感と滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【0036】
[比較例3]
硬化ヤシ油10.1部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水61.6部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン2.7部、脱脂粉乳12部、クリームチーズ5.2部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は12.4重量%、タンパク質は7.8重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは187kcalで、ボディは弱いが、柔らかい食感と滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していた。
【0037】
[比較例4]
硬化ヤシ油2.7部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水56.1部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン20.8部、脱脂粉乳12部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は3.1重量%、タンパク質は7.4重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは137kcalで、適度なボディを有するとともに作業性に優れていたが、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有しているもののざらついた食感であった。
【0038】
[比較例5]
硬化ヤシ油10.1部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水58.1部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、デキストリン6.2部、脱脂粉乳12部、クリームチーズ5.2部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液95.7部に対しトウモロコシ由来架橋デンプン2部、コメ由来架橋デンプン1.5部、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は12.4重量%、タンパク質は7.8重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは3.4重量%(うち、コメ由来架橋デンプンは1.4重量%)であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは206kcalで、適度なボディを有するとともに作業性に優れ、柔らかい食感と滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していたが、やや甘味があることから少し違和感があった。
【0039】
[比較例6]
硬化ヤシ油10.5部を60℃に加温し油相を調製した。一方、水59.4部を約30℃に加温し、ホモミキサーで攪拌しながら、イヌリン8部、脱脂粉乳12部、クリームチーズ5.2部、トータルミルクプロテイン3.5部、卵白粉末0.4部を徐々に添加して水相を調製した。上記の水相に油相を添加し、70℃30分予備乳化した後、殺菌処理を行い、次いでホモゲナイザーで5MPaの圧力下で均質化し、20℃まで急冷して水中油型乳化物を調製した。このようにして得た水中油型乳化物にチーズ用乳酸菌バルクスターター1部を添加し、20℃で15時間発酵を行い、pH4.9の発酵液を得た。この発酵物を80℃で30分間加熱殺菌した後、この発酵液99.2部に対し、食塩0.3部、pH調整剤0.5部、及びフレーバー0.05部を添加し、80℃で10分間混練した後、さらに10MPaの圧力下で均質化後、プラスティックフィルムチューブに充填、密封し5℃に急冷してクリームチーズ様食品を得た。このようにして得たクリームチーズ様食品の油脂は13.8重量%、タンパク質は7.8重量%、卵白由来タンパク質は0.3重量%、架橋デンプンは0重量%であった。また得られたクリームチーズ様食品の100g当たりのカロリーは189kcalで、滑らかな口溶け、ナチュラルチーズの爽やかな酸味を有していたが、ボディがなく液状であった。
【0040】
実施例1〜7の結果を表1に、比較例1〜6の結果を表2に示す。
【0041】

【0042】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸発酵物、架橋デンプン、水溶性食物繊維、油脂を含有し、水溶性食物繊維が3〜20重量%、油脂が3〜15重量%であり、100g当たりのカロリーが200kcal以下であることを特徴とするクリームチーズ様食品。
【請求項2】
卵白由来のタンパク質を0.1〜2重量%含む、請求項1記載のクリームチーズ様食品。
【請求項3】
コメ及び/又はタピオカ由来の架橋デンプンから選ばれる1以上を0.5〜5重量%含む、請求項1記載のクリームチーズ様食品。

【公開番号】特開2011−200202(P2011−200202A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73181(P2010−73181)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】