説明

クレジットカード利用により発生するポイント還元システム及びポイント還元方法

【課題】 クレジットカード利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元することによって、クレジットカードの利用を促進するとともに、特定の加盟店が過重な負担なく顧客誘導効果を生じさせることが可能な、ポイント還元システムを提供する。
【解決手段】 ポイント算出プログラムは、顧客が所定の期間中のクレジットカードの利用金額を利用明細テーブルから取得し、クレジットカードの利用に応じて獲得したポイントを算出して、ポイントテーブルに記録する。キャッシュバック算出プログラムは、特定の加盟店における所定の期間中の利用金額を利用明細テーブルから取得し、これにポイントテーブルに記録された獲得ポイントに対応するキャッシュバック率を乗じて、キャッシュバック額を算出する。算出されたキャッシュバック額は、次回請求分の利用明細テーブルに書き込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカード利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元するポイント還元システム及びポイント還元方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードの利用促進を図るための手段として、クレジットカード利用者に対して、その利用金額に応じたポイントを付与し、当該ポイントを景品や金券などと交換できるポイントサービスが普及している。
【0003】
このようなポイントサービスにおいては、利用頻度の高い会員にとって有利となるように、累積ポイント数に応じてボーナスポイントを付与するポイント情報管理方法に関する発明や(例えば、特許文献1参照。)、キャッシングなどのファイナンス系サービスの利用者やリボ払い・分割払いを選択している利用者にとって有利なように、利用金額ではなく未払残高に応じてポイントを付与するためのクレジットカードのポイント処理方法に関する発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、ポイント還元の手段として景品や金券などとの交換に限らず、例えば、貯めたポイントをクレジットカード利用額と相殺することで、実質的なキャッシュバックを行うサービスが提供されており、かかるサービスを実施するためのクレジットカードの特典ポイント交換方法に関する発明が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−344495号公報
【特許文献2】特開2002−222354号公報
【特許文献3】特開2002−150187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は、クレジットカードの主要なカテゴリーの一つとして、クレジットカード会社が特定の事業者の顧客を囲い込むことを目的として、特定の事業者と提携した提携カードを発行する例が増加している。提携カードはクレジットカード会社と提携事業者の双方にメリットのあるものであることが求められるが、クレジットカード会社にとってはクレジットカードの利用が促進される効果が、提携事業者にとっては当該事業者の商品やサービスの購入金額が増加する効果が期待されるところである。
【0006】
これに対して、前記特許文献1及び前記特許文献2記載の発明のように、クレジットカード会社にとって好ましい利用方法、例えば利用金額の増加や利益率の高いリボ払い等の利用に対してポイントの付与比率を高めることとすれば、クレジットカード会社にとって好ましい方法での利用を促進する効果を期待することができる。しかしながら、提携カードを発行した場合の提携事業者について考えると、特定の事業者の商品やサービスに対して顧客を誘導する効果を期待することはできない。
【0007】
一方、前記特許文献3に記載されたポイント還元方法では、クレジットカード会社がポイント交換の減額率について加盟店と予め契約を結んでおくことによって、クレジットカード利用者は蓄積したポイントを利用して減額率に応じた割引を受けられるため、特定の加盟店においては商品やサービスを通常の価格より安価な価格で購入することが可能になる。クレジットカード利用者は、ポイントによる割引が受けられる加盟店を積極的に利用することが予想されるため、クレジットカードの利用を促進すると同時に、特定の加盟店へ顧客を誘導する効果も期待することができ、提携カードにおける提携事業者にも有効に利用できると考えられる。しかしながら、このようなポイント還元方法を採用する場合には、減額率を低水準に設定するとクレジットカード利用者に対する誘導効果が低下する一方で、減額率を高水準に設定して誘導効果を高めようとすると、加盟店に対する割引分の負担が高まってしまうため、現実的には運用が困難になることが予想される。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、クレジットカード利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元することによって、クレジットカードの利用を促進するとともに、特定の加盟店が過重な負担なく顧客誘導効果を生じさせることが可能な、ポイント還元システム及びポイント還元方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、クレジットカード利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元するポイント還元システムであって、クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、特定の加盟店での利用額に応じた割引サービスの利用の有無と、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードを含む顧客情報を格納する顧客情報格納手段と、クレジットカードによる支払毎に設けられたレコードに、クレジットカードを利用した加盟店の加盟店コードを含む利用明細を格納する利用明細格納手段と、クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、前記割引サービスに用いられるポイントの獲得状況に関する情報を格納するポイント情報格納手段と、一の期中に獲得したポイントの合計額と、特定の加盟店での利用額に応じたクレジットカードの請求額からの割引額を換算するための割引率を関連付けて記憶する割引率記憶手段と、前記顧客情報格納手段に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記利用明細格納手段から利用明細を読み出して、前記利用明細に記録された利用金額から所定のルールに基づいてポイントを算出し、算出されたポイントを前記ポイント情報格納手段に記録するポイント情報記録手段と、前記顧客情報格納手段に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードについての前期分の利用金額を前記利用明細格納手段から読み出すとともに、前記ポイント情報格納手段に格納された前記顧客の前々期分に獲得したポイントの合計額に対応する割引率を割引率記憶手段から読み出して、前記利用金額に前記割引率を乗じて当期のクレジットカードの利用金額から割引を行う割引額を算出する割引額算出手段と、を備えることを特徴とするポイント還元システムである。
【0010】
本発明においては、クレジットカードの利用者に発生したポイントをクレジットカードの利用金額からの割引で還元する際に、クレジットカードの利用金額全体に対して発生するポイントに対応する割引率と、特定の加盟店での利用金額の2つの係数によって割引額を算出するよう構成することによって、クレジットカードの利用促進と特定の加盟店への顧客誘導を両立させることとしている。つまり、顧客にとっては、クレジットカードの利用金額が増加するほど割引率が高まるため、クレジットカードを利用するインセンティブが働き、特定の加盟店での利用金額が大きいほど割引額の算出対象額が増加するため、特定の加盟店を利用するインセンティブが働くことになる。また、実際の割引額は全ての加盟店におけるクレジットカードの利用金額を対象にするため、特定の加盟店に対して割引分の負担がかかることもない。
【0011】
本発明において、一の期とはクレジットカードの利用金額を精算する一期間が該当し、通常クレジットカードの利用金額は1ヶ月毎に締めて生産されるため、1ヶ月と設定されることが好ましい。つまり、一般的な運用では、ある月の割引額を算出するためには、前々月分のクレジットカードの利用金額から発生するポイントから割引率を決定、これを前月分の特定の加盟店における利用金額に乗じることによって、当月分の割引額が算出される。
【0012】
尚、一の期に発生するポイントを算出するための方法は特に限定されるものではなく、例えば支払方法としてリボ払いや分割払いが選択された場合には、ポイント付与率を増加させるよう構成することができる。このように構成することで、クレジットカード会社は利益率の高いリボ払いや分割払いの利用を促進することが期待でき、クレジットカードの利用者はリボ払いや分割払いを利用することによって効率よくポイントを獲得することが可能になる。また、割引額算出の基礎となる特定の加盟店以外の加盟店についてもクレジットカードの利用を促進するためには、加盟店毎に通常の獲得ポイントに乗じられるポイント倍率を設定できるよう構成してもよい。
【0013】
また、本発明にかかるクレジットカード利用によって発生するポイント還元システムは、かかるポイント還元システムによって実行されるポイント還元方法として捉えることもできる。
【0014】
つまり、本発明にかかるクレジットカード利用によるポイント還元方法は、クレジットカードの利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元するポイント還元方法であって、クレジットカードの利用情報を管理するコンピュータシステムには、クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、特定の加盟店での利用額に応じた割引サービスの利用の有無と、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードを含む顧客情報を格納する顧客情報格納部と、クレジットカードによる支払毎に設けられたレコードに、クレジットカードを利用した加盟店の加盟店コードを含む利用明細を格納する利用明細格納部と、クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、前記割引サービスに用いられるポイントの獲得状況に関する情報を格納するポイント情報格納部と、一の期中に獲得したポイントの合計額と、特定の加盟店での利用額に応じたクレジットカードの請求額からの割引額を換算するための割引率を関連付けて記憶する割引率記憶部が設けられていて、前記コンピュータシステムが、前記顧客情報格納部に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記利用明細格納部から利用明細を読み出して、前記利用明細に記録された利用金額から所定のルールに基づいてポイントを算出し、算出されたポイントを前記ポイント情報格納部に記録するステップと、前記コンピュータシステムが、前記顧客情報格納部に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードについての前期分の利用金額を前記利用明細格納部から読み出すとともに、前記ポイント情報格納部に格納された前記顧客の前々期分に獲得したポイントの合計額に対応する割引率を割引率記憶部から読み出して、前記利用金額に前記割引率を乗じて当期のクレジットカードの利用金額から割引を行う割引額を算出するステップと、を有することを特徴とするポイント還元方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって、クレジットカード利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元することによって、クレジットカードの利用を促進するとともに、特定の加盟店が過重な負担なく顧客誘導効果を生じさせることが可能になる。クレジットカード会社にとっては、クレジットカードの利用促進を見込めるだけではなく提携加盟店の増加につながり、加盟店にとっては自店に顧客を誘導することができるばかりか、顧客はより多くのキャッシュバックを得るために特定の加盟店における利用金額を増やそうとするため、売上の増大を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は、本発明にかかるクレジットカード利用により発生するポイント還元システムの実施形態の一例であって、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明にかかるポイント還元システムの実施形態の概要を示す図である。図2は、本発明にかかるポイント還元システムの構成を示すブロック図である。図3は、本発明にかかるポイント還元システムにおける顧客マスタの一例を示す図である。図4は、本発明にかかるポイント還元システムにおける加盟店マスタの一例を示す図である。図5〜図7は、本発明にかかるポイント還元システムにおけるクレジットカードの利用明細の月次の推移の一例を示す図である。図8は、本発明にかかるポイント還元システムにおけるポイントテーブルの一例を示す図である。図9は、本発明にかかるポイント還元システムにおける換算ルールテーブルの一例を示す図である。図10は、本発明にかかるポイント還元システムで利用明細毎のポイントを算出するフローを示すフローチャートである。図11は、本発明にかかるポイント還元システムでポイント還元によるキャッシュバック額を算出するフローを示すフローチャートである。
【0018】
本発明にかかるポイント還元システムは、図1に示したようなシステム構成で実施される。加盟店舗の店頭でクレジットカードによる代金決済が行われると、店頭に設置されたCAT端末を通じて、クレジットカードの利用情報が専用ネットワークを介してクレジットカード会社システムに送信される。クレジットカード会社システムがクレジットカードの利用情報を受付けると、当該利用情報についての利用明細を作成し、利用明細DBに格納する。
【0019】
また、携帯電話料金の支払いなどをクレジットカードで決済する場合には、代金を請求する携帯電話会社等は、当月分の利用料金にかかる情報を、MT(磁気テープ)を用いてクレジットカード会社に提供する。クレジットカード会社システムは、携帯電話会社より提供されたMTを、MTリーダを用いてホストコンピュータに読み取らせて、携帯電話の利用料金にかかる利用明細を作成し、利用明細DBに格納する。
【0020】
上記のような定期的な利用料金の請求にクレジットカードを用いる例は、携帯電話料金に限られず、電気料金やガス料金などの公共料金の支払い、インターネットプロバイダの接続料金などを対象にすることもできる。さらに、これらの利用料金にかかる情報提供の手段はMTに限定されるものではなく、DVD−Rのような他の記憶媒体を用いることとしてもよいし、通信ネットワークを介してファイル送信によることとしてもよい。
【0021】
図2において、本発明にかかるポイント還元システムには、CPU11、RAM12、ROM13、HDD14が備えられている。HDD14には、ポイント算出プログラム141、キャッシュバック算出プログラム142のアプリケーションプログラムと、顧客マスタ143、加盟店マスタ144、利用明細テーブル145、ポイントテーブル146、換算ルールテーブル147の顧客データベース、加盟店データベース、利用明細データベースとして機能するために必要なデータが格納されている。
【0022】
HDD14に格納されたポイント算出プログラム141及びキャッシュバック算出プログラム142によって所定の処理を実行するためには、ROM13に記憶された入力制御や出力制御などのハードウエア制御のための基本的な各種プログラムを起動し、RAM12をアプリケーションプログラムのワークエリアとして機能させながら、CPU11によって演算処理が行われる。
【0023】
ポイント算出プログラム141を起動するタイミングについては、毎月の締め処理の一部として、月1回の締めのタイミングでバッチ起動するのが効率的と考えられる。但し、起動のタイミングは特に限定されるものではなく、CAT端末やMTなどから利用情報を受け付けたタイミングで随時起動されることとしてもよい。
【0024】
ポイント算出プログラム141が起動されると、顧客毎(クレジットカード毎)に利用明細テーブル145を読出して、対象となる期間の利用明細データについて、所定のルールに基づいて獲得するポイントを算出し、算出したポイントを顧客毎(クレジットカード毎)のポイントテーブル146に格納する。このとき、加盟店マスタ144に加盟店毎にポイント倍率を設定しておくことによって、特定の加盟店でクレジットカードを利用した場合に通常よりも多くポイントが付与されるよう構成すれば、クレジットカード利用者を特定の加盟店へ誘導することが可能となる。さらに、クレジットカード会社にとって収益性の高いリボ払いや分割払いの利用を促進すべく、これらの支払方法が選択された利用明細データについても、ポイント倍率を通常より高く設定することとしてもよい。かかる支払方法毎のポイント倍率は、ポイント倍率を設定するテーブルを設けてこれを参照して用いることとしてもよいし、ポイント算出プログラム141の演算ロジックに含むこととしてもよい。
【0025】
キャッシュバック算出プログラム142の起動タイミングについても、ポイント算出プログラム141と同様に、毎月の締め処理の一部として、月1回の締めのタイミングでバッチ起動するのが効率的と考えられる。但し、起動のタイミングは特に限定されるものではない。
【0026】
キャッシュバック算出プログラム142が起動されると、顧客毎(クレジットカード毎)に顧客マスタ143を参照して、本発明にかかるクレジットカード利用により発生するポイント還元システムによるキャッシュバックサービスの利用対象者か否かを判定する。キャッシュバックサービスの利用対象者と判定された顧客については、当該顧客の利用明細を利用明細テーブル145から読み出して、顧客マスタ143において指定された加盟店コードに対応する加盟店における前月のクレジットカード利用額を取得する。また、ポイントテーブル146に格納された当該顧客が獲得したポイントに関するデータのうち、前々月に獲得したポイントを取得する。取得したポイントについては、換算ルールテーブル147で獲得したポイントに対応するキャッシュバック率を特定する。その上で、利用明細テーブル145から取得した指定された加盟店の前月分利用額に、換算ルールテーブル147から取得したキャッシュバック率を乗じることによって、当該顧客のキャッシュバック額を算出する。
【0027】
図3は、本発明にかかるポイント還元システムにおいて用いられる顧客マスタの一例を示している。顧客マスタには、顧客コード、氏名、カード番号などの一般的な顧客情報に加えて、ポイント還元によるキャッシュバックサービスを利用するか否かを示すフラグと、キャッシュバック額を算出する基礎となる加盟店を指定する加盟店コードが含まれている。ここで指定される加盟店でのクレジットカードの利用金額に連動してキャッシュバック額が決定されるため、顧客がキャッシュバック額を増やしたい場合には、指定された加盟店での利用を増加させようとするインセンティブが働くことになる。また、加盟店での利用金額に対してキャッシュバック率が適用されるため、当該加盟店の利用金額をクレジットカードの利用金額に応じて割り引きます、といった広告宣伝を行うことが可能になるため、クレジットカード会社が特定の加盟店と提携カードを発行する際に特に好適である。
【0028】
図4は、本発明にかかるポイント還元システムにおいて用いられる加盟店マスタの一例を示している。加盟店マスタには、加盟店コード、加盟店の名称などの一般的な顧客情報に加えて、ポイント還元システムによるキャッシュバックサービスでの提携の有無を示すフラグや、ポイント算出時に通常ポイントより割増となるポイント倍率が含まれている。
【0029】
ポイント倍率については、加盟店毎に任意の倍率を設定することが可能であり、ポイント倍率を高く設定すれば当該加盟店の利用を促進する効果を期待することができる。尚、ポイント倍率を設定する加盟店はキャッシュバックサービスでの提携先に必ずしも限られるものではなく、加盟店によってはポイント割増による利用促進のみを選択できるよう構成してもよい。
【0030】
次に、本発明にかかるポイント還元システムによるポイント算出からキャッシュバック額算出までの具体的なフローについて、図5〜図7の例を用いて説明する。尚、図5〜図7の利用明細はいずれも同一の顧客(クレジットカード)にかかるものであって、図5が示す利用明細テーブルは4月15日締めの1ヶ月目(前々月)、図6が示す利用明細テーブルは5月15日締めの2ヶ月目(前月)、図7が示す利用明細テーブルは6月15日締めの3ヶ月目(当月)の利用明細を示している。利用明細テーブルに格納される各々の利用明細は、明細コード、利用日時、利用金額、支払方法、加盟店コードなど、通常のクレジットカード会社で用いられる利用明細に含まれる情報から構成されていて、これらの項目に記録された数値等から獲得したポイントが算出される。
【0031】
尚、この例におけるポイントの付与は、利用金額1,000円につき1ポイントとして計算されているが、ポイント付与のためのルールについては特に限定されるものではなく、クレジットカードの利用金額と連動して、利用金額が増加するほど獲得ポイントも増加するように設定されていればよい。
【0032】
図5は、1ヶ月目である4月15日締めにおける利用明細の例を示しているが、この例を用いて対象期間中のポイント算出方法について説明する。例えば、明細コード「20050305」のレコードについては、利用金額が「30,000円」であるため、通常ポイントは30ポイントとなる。このレコードには、支払方法としてリボ払いが選択されたことが示されているため、30ポイントにはリボ払いに適用される2倍の倍率が割増しされて、60ポイントとなる。また、加盟店コードは「0002」となっているため、図4の例に示した加盟店マスタを参照すると、加盟店コード「0002」にはポイント倍率が設定されていないため、加盟店毎のポイント倍率は適用されず、獲得ポイント数は60ポイントと算出される。確定した獲得ポイントは、図8の例に示したポイントテーブルに、明細コードと紐付けて格納される。
【0033】
同様に、明細コード「20050306」のレコードについては、利用金額が「8,000円」であるため、通常ポイントは8ポイントとなる。支払方法は一括が選択されているため支払方法による割増しは適用されず、加盟店コード「0001」について加盟店マスタを参照して、ポイント倍率「3倍」を取得する。通常ポイントの8ポイントに加盟店マスタから取得したポイント倍率「3倍」を乗じた24ポイントが獲得ポイントとして算出され、ポイントテーブルに格納される。このように、それぞれの利用明細について獲得ポイントを算出し、獲得したポイントが顧客毎(クレジットカード毎)にポイントテーブルに格納される。
【0034】
尚、支払方法によって設定されるポイント倍率は2倍に限定されるものではなく、クレジットカード会社の営業戦略に応じて任意に設定することとすればよい。また、支払方法によって設定されるポイント倍率と加盟店によって設定されるポイント倍率については、本実施例のように各々のポイント倍率を乗じることとしてもよいし、各々のポイント倍率によって算出されたポイントを加算するなど、他の演算ルールによるものであってもよい。
【0035】
図8は、図5の利用明細の例から算出された4月15日締め分のポイントを格納したポイントテーブルの例であるが、この例のように明細コード毎にレコードを設けてポイントを記憶しておいてもよいし、対象期間中の獲得ポイントを合計した240ポイントの数値のみを記憶することとしてもよい。
【0036】
次に、図6は、2ヶ月目となる5月15日締めにおける利用明細の例を示している。この利用明細テーブルに記録された顧客コード「1003456」については、図3の顧客マスタを参照すると対応するレコードにおいて、キャッシュバックサービスの利用が「1」、加盟店コードが「1111」と設定されている。「1」が利用有りを示すフラグであるとすると、当該顧客については、加盟店コード「1111」における利用金額がキャッシュバック額を算出する基礎として用いられることになる。
【0037】
図6にしめした2ヶ月目の利用明細において、先のキャッシュバック額の基礎となる加盟店の加盟店コード「1111」をキーに対応する利用明細を検索すると、4月30日決済となっている「10,000円」の支払を行った利用明細がヒットする。この利用明細に記録された利用金額「10,000円」がキャッシュバック額を算出する基礎として用いられるが、キャッシュバック額はこの利用金額に所定のキャッシュバック率を乗じて決定されるため、当該加盟店における利用金額を増やすほど、キャッシュバック額は増加することになる。また、当該加盟店における利用金額に対して、キャッシュバック率相当の割引が行われるため、キャッシュバックの効果について「当店の利用金額が○○%割引になる」といった説明を行うことが可能になり、提携カードに特に好適である。
【0038】
これに対して、上記の利用金額に乗じられるキャッシュバック率は、以下のように決定される。図8のポイントテーブルには4月15日締め分の獲得ポイントとして240ポイントが記録されているが、獲得した240ポイントについて図9の例に示した換算ルールテーブルを参照すると、キャッシュバック率は「40%」と設定されている。このようにして、キャッシュバック率が「40%」と特定される。
【0039】
このように、キャッシュバック額の基礎となる利用金額の「10,000円」と、キャッシュバック率「40%」が特定されると、利用金額にキャッシュバック率を乗じることによって、キャッシュバック額が「4,000円」と算出される。算出されたキャッシュバック額は、2ヶ月目の翌月である3ヶ月目の請求額から差し引かれ、図7の例に示したように、利用明細の締め日において、「4,000円」を請求額から差し引くためのレコードが設けられることになる。
【0040】
図10のフローチャートを用いて、本発明にかかるポイント還元システムによるポイント算出のフローについて説明する。
【0041】
ポイント算出プログラムが起動されると、利用明細テーブルを読出して(S01)、読出した利用明細テーブルに、対象月の利用明細か存在するかを判定する(S02)。利用明細が存在しない場合には、そのまま処理を終了する。利用明細が存在する場合には、当該利用明細の利用金額に対応するポイントを算出する(S03)。
【0042】
続いて、先の利用明細において指定された支払方法が分割払い又はリボ払いであるかを判定し(S04)、分割払い又はリボ払いが指定されている場合には、先に算出したポイントを2倍とする(S05)。さらに、先の利用明細の加盟店コードをキーとして加盟店マスタを参照し(S06)、当該加盟店についてポイント倍率が設定されているかを確認する(S07)。ポイント倍率が設定されていない場合には、ここまでのポイントが獲得ポイントとして確定されるが、ポイント倍率が設定されている場合には設定された倍率を取得し(S08)、取得した倍率を先に算出したポイントに乗じて(S09)、獲得ポイントとして確定する。確定した獲得ポイントをポイントテーブルに記録し(S10)、次の利用明細についても同様の処理を実行する。対象期間中の全ての利用明細についての獲得ポイントを算出すると、ポイント算出の処理を終了する。
【0043】
図11のフローチャートを用いて、本発明にかかるポイント還元システムによるキャッシュバック額算出のフローについて説明する。
【0044】
キャッシュバック算出プログラムが起動されると、利用明細テーブルを読出して(S21)、キャッシュバック算出対象となる顧客の顧客コードを取得する(S22)。取得した顧客コードをキーに顧客マスタを読出して(S23)、キャッシュバックサービスの利用フラグとして利用有りを示す1が設定されているかを判定する(S24)。利用有りと設定されていない場合には、キャッシュバック額の算出不要と判断してそのまま処理を終了する。
【0045】
利用有りと設定されている場合には、顧客マスタからキャッシュバックサービスの対象となる加盟店コードを取得する(S25)。次に、先に読出した利用明細テーブルから、顧客マスタより取得した加盟店コードにおける前月の利用金額を取得する(S26)。さらに、顧客コードに対応するポイントテーブルを読出して(S27)、前々月分の獲得ポイントを取得する(S28)。続いて、換算ルールテーブルを読出して(S29)、先に取得した前々月分獲得ポイントに対応するキャッシュバック率を取得して、対象加盟店の前月の利用金額にキャッシュバック率を乗じて、キャッシュバック額を算出する(S30)。算出したキャッシュバック額を、当月の利用明細テーブルに請求額から差引く金額として記録して(S31)、キャッシュバック額算出の処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明にかかるポイント還元システムの実施形態の概要を示す図である。
【図2】本発明にかかるポイント還元システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかるポイント還元システムにおける顧客マスタの一例を示す図である。
【図4】本発明にかかるポイント還元システムにおける加盟店マスタの一例を示す図である。
【図5】本発明にかかるポイント還元システムにおけるクレジットカードの利用明細の第1の例を示す図である。
【図6】本発明にかかるポイント還元システムにおけるクレジットカードの利用明細の第2の例を示す図である。
【図7】本発明にかかるポイント還元システムにおけるクレジットカードの利用明細の第3の例を示す図である。
【図8】本発明にかかるポイント還元システムにおけるポイントテーブルの一例を示す図である。
【図9】本発明にかかるポイント還元システムにおける換算ルールテーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明にかかるポイント還元システムで利用明細毎のポイントを算出するフローを示すフローチャートである。
【図11】本発明にかかるポイント還元システムでキャッシュバック額を算出するフローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 ポイント還元システム
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 HDD
141 ポイント算出プログラム
142 キャッシュバック算出プログラム
143 顧客マスタ
144 加盟店マスタ
145 利用明細テーブル
146 ポイントテーブル
147 換算ルールテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカード利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元するポイント還元システムであって、
クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、特定の加盟店での利用額に応じた割引サービスの利用の有無と、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードを含む顧客情報を格納する顧客情報格納手段と、
クレジットカードによる支払毎に設けられたレコードに、クレジットカードを利用した加盟店の加盟店コードを含む利用明細を格納する利用明細格納手段と、
クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、前記割引サービスに用いられるポイントの獲得状況に関する情報を格納するポイント情報格納手段と、
一の期中に獲得したポイントの合計額と、特定の加盟店での利用額に応じたクレジットカードの請求額からの割引額を換算するための割引率を関連付けて記憶する割引率記憶手段と、
前記顧客情報格納手段に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記利用明細格納手段から利用明細を読み出して、前記利用明細に記録された利用金額から所定のルールに基づいてポイントを算出し、算出されたポイントを前記ポイント情報格納手段に記録するポイント情報記録手段と、
前記顧客情報格納手段に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードについての前期分の利用金額を前記利用明細格納手段から読み出すとともに、前記ポイント情報格納手段に格納された前記顧客の前々期分に獲得したポイントの合計額に対応する割引率を割引率記憶手段から読み出して、前記利用金額に前記割引率を乗じて当期のクレジットカードの利用金額から割引を行う割引額を算出する割引額算出手段と、
を備えることを特徴とするポイント還元システム。
【請求項2】
クレジットカード利用によって発生するポイントを、特定の加盟店での利用額に応じてクレジットカードの請求額からの割引により還元するポイント還元方法であって、
クレジットカードの利用情報を管理するコンピュータシステムには、クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、特定の加盟店での利用額に応じた割引サービスの利用の有無と、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードを含む顧客情報を格納する顧客情報格納部と、
クレジットカードによる支払毎に設けられたレコードに、クレジットカードを利用した加盟店の加盟店コードを含む利用明細を格納する利用明細格納部と、
クレジットカードの顧客毎に設けられたレコードに、前記割引サービスに用いられるポイントの獲得状況に関する情報を格納するポイント情報格納部と、
一の期中に獲得したポイントの合計額と、特定の加盟店での利用額に応じたクレジットカードの請求額からの割引額を換算するための割引率を関連付けて記憶する割引率記憶部が設けられていて、
前記コンピュータシステムが、前記顧客情報格納部に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記利用明細格納部から利用明細を読み出して、前記利用明細に記録された利用金額から所定のルールに基づいてポイントを算出し、算出されたポイントを前記ポイント情報格納部に記録するステップと、
前記コンピュータシステムが、前記顧客情報格納部に前記割引サービスの利用有りと記録された顧客について、前記割引サービスの対象となる加盟店の加盟店コードについての前期分の利用金額を前記利用明細格納部から読み出すとともに、前記ポイント情報格納部に格納された前記顧客の前々期分に獲得したポイントの合計額に対応する割引率を割引率記憶部から読み出して、前記利用金額に前記割引率を乗じて当期のクレジットカードの利用金額から割引を行う割引額を算出するステップと、
を有することを特徴とするポイント還元方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−309493(P2006−309493A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131079(P2005−131079)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(391064946)UFJニコス株式会社 (11)