説明

クレジットカード利用の不正スコアを算出するスコアリングシステム及びスコアリング方法

【課題】 サンプルのカテゴリーを実数化して適切にスコアに反映するとともに、利用者が継続的に利用するというクレジットカードの性質に適合した、クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出するためのスコアリングシステム及びスコアリング方法を提供する。
【解決手段】 スコアの積算の対象となる項目を、受け付けたオーソリデータに含まれる項目のみでなく、利用者毎の履歴データに含まれる項目を加え、固有の項目に基づく不正出現確率を基に不正利用の可能性を反映したスコアを算出する。項目毎に設けられるカテゴリーは、ロジット値に変換することによって不正出現確率と関連のある数値として実数化され、かつ各項目のスコアに対する寄与は回帰係数を用いて調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出するためのスコアリングシステム及びスコアリング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードの利用時においては、例えばカードを拾得した他人が本人になりすまして不正な取引を行うことを防止するために、カードの利用を受け付けた店舗等からカード会社に対して、与信残高の確認と併せて、不正な利用である可能性についての照会が行われている。不正利用の照会においては、不正な利用である可能性をスコアとして算出するスコアリングモデルが用いられることが一般的である(例えば、特許文献1〜特許文献4参照。)。
【0003】
スコアリングモデルの一方式として、クレジットカードの利用時に受け付けるオーソリデータから、時間、金額、店舗など様々な項目に対応する項目値を抽出し、過去のオーソリデータにおいて各々の項目値に近似する範囲で不正が出現した確率を算出することによって、不正利用のスコアを算出する方式が用いられている。かかるスコアリングモデルにおいては、各々の項目の項目値に対応して、所定の範囲におけるオーソリデータの件数とそのうち不正利用に該当した件数についてのデータが蓄積されており、これらのデータから不正の出現確率を算出して、不正の可能性をスコアリングする。
【0004】
上記のスコアリング方式において問題になるのが、スコアを算出する上での各々の項目についての重み付けである。各々の項目における不正出現確率の影響を、不正の可能性を示すスコアにそれぞれ適切に反映するためには、ロジスティック回帰分析を適用することが考えられる。
【0005】
もう一点考えられるのが、各々の項目に対応する項目値を過去のオーソリデータのサンプルと対応させる場合に、項目値にある程度の範囲を設定してサンプルを収集しないと、十分なサンプルの母数を確保できないために、スコアの信頼性が低下することとなってしまう。そこで、項目毎の項目値をカテゴリー化してサンプルを収集し、各々のカテゴリーでの不正出現確率を算出することとなるが、ここでのカテゴリー自体は実数化されたものではないため、ダイレクトにスコアの算出に用いることができない。このような課題に対応し得る技術として、信用リスクの判定において、項目値をロジット値に変換することによって、サンプルを線形モデルに分布させてカテゴリーを実数化し、精度の高いモデルを生成することが可能な、信用リスクモデル決定装置に関する発明が開示されている(特許文献5参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−334526号公報
【特許文献2】特開2004−334527号公報
【特許文献3】特開2004−334644号公報
【特許文献4】特開2004−348536号公報
【特許文献5】特開2004−334737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献5記載の発明を用いると、サンプルを適切に配分してカテゴリーを実数化したスコアリングモデルを用いてスコアを算出することが可能になるが、特許文献5記載の発明は、融資等の信用リスクの判定を想定しているため、融資の申込者について受け付けたデータのみを判定の対象として使用して、デフォルト確率を算出するものである。これに対して、本発明が対象とするクレジットカードの分野では、利用者はクレジットカードを継続的に利用しているため、各回の利用に関するオーソリデータのみでなく、直前の利用状況等を勘案することによって、通常とは異なる利用パターンが続いているので不正出現確率が高い、といった例のように、より精度の高い判定が行えることになる。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出するためのスコアリングシステム及びスコアリング方法であって、サンプルのカテゴリーを実数化して適切にスコアに反映するとともに、利用者が継続的に利用するというクレジットカードの性質に適合したスコアリングシステム及びスコアリング方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出するためのスコアリングシステムであって、クレジットカードの利用毎に受け付けたオーソリデータを格納するオーソリデータ格納手段と、クレジットカードの利用者の過去のクレジットカードの利用に関する履歴データを、利用者毎に格納する履歴データ格納手段と、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目の項目値のカテゴリー、及び前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目の項目値のカテゴリーについて、各々の項目におけるカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値を関連付けて記憶するロジット値変換テーブルと、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目、及び前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数を関連付けて記憶する回帰係数テーブルと、クレジットカードの利用要求にかかるオーソリデータを受け付けるオーソリデータ受付手段と、前記利用要求を行った利用者に対応する履歴データを、前記履歴データ格納手段から取得する履歴データ取得手段と、前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータと、前記履歴データ取得手段が取得した履歴データから、スコア算出のために必要な項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定するカテゴリー特定手段と、前記ロジット値変換テーブルを参照して、前記カテゴリー特定手段の特定した各々のカテゴリーに対応するロジット値を取得するロジット値取得手段と、前記回帰係数テーブルを参照して、前記カテゴリー特定手段でカテゴリーを特定した各々の項目に対応する回帰係数を取得する回帰係数取得手段と、前記ロジット値取得手段の取得したロジット値に、前記ロジット値に対応する各々の項目について前記回帰係数取得手段の取得した回帰係数を乗じた値を合算し、合算した値から不正である確率を反映したスコアを算出するスコア算出手段と、を備えることを特徴とするスコアリングシステムである。
【0010】
本発明においては、クレジットカードの不正利用を判定するためのスコアリングにおいて、スコアの積算の対象となる項目を、受け付けたオーソリデータに含まれる項目のみでなく、利用者毎の履歴データに含まれる項目を加えることによって、クレジットカードに固有のリスクに対応したスコアリングシステムを構築することができる。積算の対象とする履歴データに含まれる項目には、例えば直近の利用頻度や利用金額に関するデータや、利用する曜日や時間など過去の利用傾向に関するデータを用いることができる。
【0011】
また、本発明は、前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータを反映して、前記オーソリデータにかかるクレジットカードの利用者に対応する前記履歴データ格納手段に格納された履歴データを更新する履歴データ更新手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0012】
このように構成することによって、対象となるオーソリデータについてのスコアリングを行いながら、併せて次回のスコアリングに必要な履歴データを生成することが可能になる。
【0013】
さらに、本発明は、前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成される項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、前記カテゴリー特定手段は、前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定することを特徴としてもよい。
【0014】
このように構成すると、スコアの積算の対象となる項目を、受け付けたオーソリデータに含まれる項目と利用者毎の履歴データに含まれる項目のみでなく、オーソリデータに含まれる項目から生成された項目を加えることによって、よりスコアリングの精度を高めることが可能になる。積算の対象とするオーソリデータに含まれる項目から生成された項目には、例えば利用限度額に対する今回利用金額の比率等を用いることができる。
【0015】
さらに、本発明は、前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、前記カテゴリー特定手段は、前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ取得手段が取得した履歴データに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定することを特徴としてもよい。
【0016】
このように構成すると、スコアの積算の対象となる項目を、受け付けたオーソリデータに含まれる項目と利用者毎の履歴データに含まれる項目のみでなく、オーソリデータに含まれる項目と履歴データに含まれる項目から生成された項目を加えることによって、よりスコアリングの精度を高めることが可能になる。積算の対象とするオーソリデータに含まれる項目と履歴データに含まれる項目から生成された項目には、例えば今回利用金額と前回利用金額との比率、今回商品コードと前回商品コードの一致又は不一致等を用いることができる。
【0017】
さらに、本発明は、本発明にかかるスコアリングシステムを用いたスコアリング方法として特定することもできる。
【0018】
つまり、本発明にかかるスコアリング方法は、クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出するためのスコアリング方法であって、前記スコアを算出するためのコンピュータシステムには、クレジットカードの利用毎に受け付けたオーソリデータを格納するオーソリデータ格納部と、クレジットカードの利用者の過去のクレジットカードの利用に関する履歴データを、利用者毎に格納する履歴データ格納部と、が備えられていて、前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目の項目値のカテゴリー、及び前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目の項目値のカテゴリーについて、各々の項目におけるカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値を関連付けて記憶するロジット値変換テーブルに記憶させるステップと、前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目、及び前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数を関連付けて記憶する回帰係数テーブルに記憶させるステップと、を有することによって、ロジット値変換テーブルと回帰係数テーブルのデータが更新され、クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出する際には、前記コンピュータシステムが、クレジットカードの利用要求にかかるオーソリデータを受け付けるオーソリデータ受付ステップと、前記コンピュータシステムが、前記利用要求を行った利用者に対応する履歴データを、前記履歴データ格納部から取得する履歴データ取得ステップと、前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータと、前記履歴データ取得ステップで取得した履歴データから、スコア算出のために必要な項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定するカテゴリー特定ステップと前記コンピュータシステムが、前記ロジット値変換テーブルを参照して、前記カテゴリー特定ステップで特定した各々のカテゴリーに対応するロジット値を取得するロジット値取得ステップと、前記コンピュータシステムが、前記回帰係数テーブルを参照して、前記カテゴリー特定ステップでカテゴリーを特定した各々の項目に対応する回帰係数を取得する回帰係数取得ステップと、前記コンピュータシステムが、前記ロジット値取得ステップで取得したロジット値に、前記ロジット値に対応する各々の項目について前記回帰係数取得ステップで取得した回帰係数を乗じた値を合算し、合算した値から不正である確率を反映したスコアを算出するスコア算出ステップと、を有することを特徴とするスコアリング方法である。
【0019】
また、本発明にかかるスコアリング方法は、前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータを反映して、前記オーソリデータにかかるクレジットカードの利用者に対応する前記履歴データ格納部に格納された履歴データを更新する履歴データ更新ステップを有することを特徴とすることもできる。
【0020】
さらに、本発明にかかるスコアリング方法は、前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成される項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、前記カテゴリー特定ステップでは、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定することを特徴としてもよい。
【0021】
さらに、本発明にかかるスコアリング方法は、前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々の項目値に対応するカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、前記カテゴリー特定ステップでは、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ取得ステップで取得した履歴データに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によって、クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出する場合において、サンプルのカテゴリーを実数化して適切にスコアに反映するとともに、利用者毎の利用傾向との比較も反映したスコアを算出することによって、より精度の高いスコアリングが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を実施するための最良の形態について、図面と数式の例を用いながら、以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は、本発明にかかるスコアリングシステムの実施形態の一例を示したものであって、本発明は以下の説明において用いられるオーソリデータや履歴データに含まれる項目等の実施例に、限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明にかかるスコアリングシステムの概要を示す図である。図2は、本発明にかかるスコアリングシステムの構成を示すブロック図である。図3は、利用時間帯別の不正出現確率の一例を示す図である。図4は、利用時間帯別の不正出現確率をロジット値に変換して並び替えた第1の例を示す図である。図5は、利用時間帯別の不正出現確率をロジット値に変換して並び替えた第2の例を示す図である。図6は、本発明にかかるスコアリングシステムにおけるロジット値変換テーブルの一例を示す図である。図7は、本発明にかかるスコアリングシステムにおける回帰係数テーブルの一例を示す図である。図8は、本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられるオーソリデータの一例を示す図である。図9は、本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられる履歴データの一例を示す図である。図10は、本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられるスコア算出のための項目値が特定されたデータの一例を示す図である。図11は、本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられるスコア算出のための項目値がロジット値に変換されたデータの一例を示す図である。図12は、本発明にかかるスコアリング方法のフローを示すフローチャートである。
【0025】
本発明にかかるスコアリングシステムは、図1のように用いられる。クレジットカードを発行するカード会社のホストコンピュータ20は、加盟店の店舗に設置されたCAT端末30等と決済用ネットワークで接続されている。クレジットカードの会員が加盟店でクレジットカードにより支払いを行おうとすると、CAT端末でクレジットカード番号、購入する商品の商品コード、利用金額等を読み取って、決済の可否の判定に必要な売上承認を求めるためのオーソリデータをカード会社ホストコンピュータ20に送信する。
【0026】
オーソリデータを受信したカード会社ホストコンピュータ20では、クレジットカードによる決済の可否を判定するために、オーソリデータに含まれる利用金額がクレジットカードについて設定された利用可能額の範囲内であるかを確認する。さらに、クレジットカードが悪意の拾得者等に利用されることを防止するために、クレジットカードの利用が不正である可能性を示すスコアを、スコアリングシステム10において算出する。尚、スコアを算出するスコアリングシステム10は、カード会社の内部に設けられるものであってもよいし、専門業者等の外部に設けられネットワークで接続されているものであってもよい。
【0027】
スコアリングシステム10においてスコアが算出されると、これを受け取ったカード会社ホストコンピュータ20では、スコアが所定の閾値を超える場合には、不正な利用である可能性があると判断して、CAT端末30に対して利用者の本人確認を促すメッセージ等を送信する。これを受信したCAT端末30側では、加盟店の店員等が利用者に本人確認を求めることによって、悪意の取得者による不正利用を未然に防止することが可能になる。
【0028】
図2を用いて、本発明にかかるスコアリングシステムの構成について説明する。本発明にかかるスコアリングシステム10は、スコアリングの対象となるオーソリデータを受け付けて、算出したスコアを応答できるように、カード会社ホストコンピュータ20と接続されている。スコアリングシステム10の構成は特に限定されるものではなく、1台のコンピュータ、複数のコンピュータのいずれで構成されるものであってもよく、また他の機能を備えたコンピュータの一部を構成するものであってもよい。
【0029】
スコアリングシステム10には、スコアリングに用いるモデルを作成するモデル分析部13、個々のオーソリデータについてスコアを算出するスコアリング部14が含まれているが、モデル分析部13とスコアリング部14はいずれも機能として特定されるものであって、ここで必要な演算処理を実行するためのハードウェアの構成については、特に限定されるものではない。ロジット値変換分析部131、ロジスティック回帰分析部132、オーソリデータ受付部141、ビヘイビアデータ取得部142、スコア算出部143、ビヘイビア更新部144については、対応するプログラムがコンピュータのメモリ領域に読み出され、所定の演算処理を実行することによって各々の機能が実現される。ロジット値変換テーブル133、回帰係数テーブル134は、いずれもコンピュータにおいて割当てられた所定の記憶領域に、演算処理に必要なデータが記憶される。
【0030】
オーソリDB12には、カード会社ホストコンピュータ20からデータ送受信部11を介して過去に受け付けたオーソリデータそのものに、不正利用であることを示す情報や、性別などのデータが付加されたオーソリデータが蓄積されている。オーソリDB12へオーソリデータを蓄積する方法は特に限定されるものではなく、スコアリングのために受け付けたオーソリデータを受付毎に格納することとしてもよいし、スコアリングとは別に、1日に1度、1週間に1度などのタイミングで、バッチ処理により一定期間分を一括して格納することとしてもよい。
【0031】
尚、オーソリDB12に格納されているオーソリデータには、不正な利用であった場合には、その旨を示す情報が記録されている。従って、オーソリデータに含まれるある項目の項目値の所定の範囲をカテゴリー化して、例えば「利用金額5,000円〜10,000円」「利用時間午前9時〜午前10時」等をカテゴリーとして定めた場合に、そのカテゴリーに該当するサンプルの実績を反映した不正出現確率を、それぞれ求めることが可能になっている。
【0032】
オーソリDB12に蓄積されるデータは、各々の利用毎に受け付けたデータに所定の情報が付加された定型的なデータとなっているが、ビヘイビア項目作成部151では、これらのデータから利用者(会員)毎の利用履歴に関する履歴データを作成し、ビヘイビアDB15に利用者毎に設けられたテーブルやレコードに格納する。ビヘイビアDB15への履歴データの蓄積方法や更新方法も特に限定されるものではないが、初期のデータ蓄積はビヘイビア項目作成部151の動作によって行い、以後の更新は後に説明するビヘイビア更新部144の動作によって行うことが可能となっている。
【0033】
モデル分析部13は、スコアリングに必要なモデルを分析して、スコアリングに用いるためのテーブルを作成する機能を備えている。ロジット値変換分析部131は、オーソリデータに含まれる項目と、オーソリDB12に蓄積されている過去オーソリから作成したビヘイビア項目について、項目値をカテゴリー化してカテゴリー毎の不正出現確率を演算するとともに、このカテゴリーを実数として用いることができるように、項目値をロジット値に置き換える処理を行っている。この処理については後に詳述するが、演算した結果については、各々の項目値に対応するロジット値がロジット値変換テーブル133に関連付けて記憶される。
【0034】
ここでロジット値に置き換える項目値は、オーソリデータに含まれる項目に該当する値に限定されるものではない。オーソリデータに含まれる項目から生成される項目(例えば利用限度額に対する今回利用金額の比率等の項目)や、ビヘイビアDB15に格納されている履歴データに含まれる項目、オーソリデータに含まれる項目と履歴データに含まれる項目から生成された項目(例えば今回利用金額と前回利用金額との比率、今回商品コードと前回商品コードの一致又は不一致等)に該当する項目値を用いることとすれば、より精度の高いスコアリングが可能になる。
【0035】
ロジスティック回帰分析部132は、オーソリデータに含まれる項目について、各々の項目のスコアへの寄与度を調整するために、各々の項目の項目値から算出されるスコアに乗じる係数を、ロジスティック回帰分析によって演算する。演算した結果については、各々の項目に対応する回帰係数が回帰係数テーブル134に関連付けて記憶される。
【0036】
尚、ロジスティック回帰分析の対象となる項目については、上記のようにオーソリデータに含まれる項目から生成される項目、履歴データに含まれる項目、オーソリデータに含まれる項目と履歴データに含まれる項目から生成された項目をスコアリングの対象にする場合であれば、これらの項目もロジスティック回帰分析の対象とすることが必要である。
【0037】
スコアリング部14は、スコアリングのために受け付けたオーソリデータについて、所定の演算処理を行ってスコアを算出する機能を備えている。オーソリデータ受付部141は、売上承認のためにスコアリングを行う対象となるオーソリデータを、データ送受信部11を介してカード会社ホストコンピュータ20から受け付ける。ビヘイビアデータ取得部142は、受け付けたオーソリデータに含まれるカードの利用者に対応する履歴データを、ビヘイビアDB15から取得する。
【0038】
スコア算出部143では、オーソリデータに含まれるスコア算出に用いられる項目、履歴データに含まれるスコア算出に用いられる項目について、それぞれの項目値を特定する。ここで、オーソリデータに含まれる項目から生成される項目、オーソリデータに含まれる項目と履歴データに含まれる項目から生成された項目についての項目値を演算することとしてもよい。このようにして、特定又は演算された項目値が属するカテゴリーに対応するそれぞれのロジット値を、ロジット値変換テーブル133を参照して取得する。また、スコア算出のための項目値を特定又は算出した項目について、それぞれの項目に対応する回帰係数を、回帰係数テーブル134を参照して特定する。
【0039】
このように特定した、それぞれの項目についてのロジット値に回帰係数により重み付けを行って、その合計値を基準としてスコアを算出する。算出したスコアについては、データ送受信部11を介してカード会社ホストコンピュータ20に対して返信する。
【0040】
併せて、ビヘイビア更新部144では、スコアの算出対象となったユーザの履歴データに、今回受け付けたオーソリデータに対応する利用分を反映して(例えば、前回利用金額についてのデータを今回分に更新する)、履歴データを更新する。更新した履歴データについては、ビヘイビアDB15の対応する利用者の履歴データとして格納される。
【0041】
本発明にかかるスコアリングシステムにおけるスコア算出の基本的な考え方について、図3〜図7を用いて以下に詳細に説明する。スコア算出となるオーソリデータには、例えばオーソリデータを受信したカードの利用時間という項目に対して、利用時間を示す項目値が含まれている。この項目値を基準にして、過去のオーソリデータのサンプルから不正出現確率がどの程度であったかを参照して、スコアに反映する。
【0042】
図3は、利用時間を横軸に、利用時間別の不正出現確率を縦軸に置いて、その分布を示している。精度の高いスコアを算出するためには、ここで用いられる不正出現確率が信頼性の高いものとなるように、なるべくサンプル数を多くすることが好ましい。そこで、サンプルを利用時間に一定の幅を持たせた利用時間帯としてカテゴリー化して、不正出現確率を算出することとするが、カテゴリーそのものは実数ではないので、そのままではスコア算出に用いることができないため、カテゴリーを実数化することが必要になる。
【0043】
そこで、連続変数をカテゴリーに分類して並び替え、各々のカテゴリーに実数値を割当てるとともに、割当てた実数値を意味のある変数として並び替えるために、各々のカテゴリーに対応する不正出現確率(p)を数1の式に当てはめて、ロジット値に変換する。
【0044】
【数1】

【0045】
このようにカテゴリーをロジット値により実数化すると、実数化されたカテゴリーを横軸に、不正出現確率を縦軸に置くと、図4(利用時間帯を1時間毎にカテゴリー化)、図5(利用時間帯を3〜9時間の範囲でカテゴリー化)の例に示したように、右肩上がりの連続変数に変換することができる。このように実数化されたカテゴリーと不正出現確率の関係は、図5のカテゴリー化の例であれば、図6の例に示したようなロジット値変換テーブルに記憶される。
【0046】
また、オーソリデータからは、利用時間の他に、利用金額などのスコア算出に用いることができる様々な項目が特定される。ここで用いられる項目は、オーソリデータに含まれるものに限らず、オーソリデータに含まれる項目から生成された項目、履歴データに含まれる項目、オーソリデータに含まれる項目と履歴データに含まれる項目から生成される項目を対象としてもよい。これらの項目に対応する項目値について、それぞれ利用時間の場合と同様にロジット値変換テーブルを生成することができるが、複数の項目を用いてスコアを算出する場合には、各々の項目のカテゴリーに対応する不正出現確率をどのように重み付けするかが問題になる。
【0047】
そこで、スコア算出に用いられる全ての項目を対象にしてロジスティック回帰分析を行い、各々の項目に対応する回帰係数を算出する。算出した回帰係数は、図7の例に示したような回帰係数テーブルに記憶される。このように、過去のオーソリデータ等から作成されたロジット値変換テーブルと回帰係数テーブルが、各々のオーソリデータについてのスコア算出に用いられることになる。
【0048】
スコア算出の対象となるオーソリデータが受け付けられると、スコア算出に用いるオーソリデータに含まれる項目の項目値、オーソリデータに含まれる項目から生成された項目の項目値、オーソリデータから特定した利用者の履歴データに含まれる項目の項目値、オーソリデータに含まれる項目と履歴データに含まれる項目から生成された項目の項目値等を特定する。これらの項目値について、それぞれロジット値変換テーブルを参照してカテゴリーを特定し、特定されたカテゴリーに対応するロジット値と不正出現確率を取得する。
【0049】
また、項目値を特定した項目について、各々の項目に対応する回帰係数を回帰係数テーブルから取得する。このようにして取得した、各々の項目についてのロジット値、不正出現確率、回帰係数から、数2の式によって「Zn」に対応する値を算出する。尚、ここで用いているロジット値平均は、各項目におけるロジット値をロジットモデルの一部に記憶させ、これを取得することとすればよいが、「Zn」の算出についてはロジット値、不正出現確率、回帰係数が反映されるものであれば、ロジット値平均の減算等は特に限定されるものではない。
【0050】
【数2】

【0051】
さらに、各々の項目について算出された「Zn」について、数3の式のように全て合計した「Zsum」を算出する。
【0052】
【数3】

【0053】
最後に、算出された「Zsum」を用いて、数4の式から不正の可能性を反映したスコアを算出する。尚、ここに示したスコアの算出式は、精度の高いスコアを算出するための一例を示したものであって、本発明におけるスコアリングはかかる算出式に限定されるものではない。
【0054】
【数4】

【0055】
本発明にかかるスコアリングシステムにおけるスコア算出において、オーソリデータに含まれる項目等からロジット値を特定する方法について、図8〜図11を用いて以下に詳細に説明する。クレジットカードの利用により発生し、スコア算出の対象となるオーソリデータには、図8の例に示した項目と項目値が含まれているものとする。
【0056】
図8のオーソリデータを受け付けると、ここに含まれる顧客コードをキーにビヘイビアデータベースを検索して、利用者の履歴データを取得する。図9は、取得した履歴データの例を示したものであり、該利用者の前回利用時の利用金額等に関する項目や、前n回分の利用金額等の利用履歴に関する項目に項目値が記録されている。
【0057】
次に、図8のオーソリデータ、図9の履歴データから、図10の例に示したスコア算出のための項目値が特定されたデータを作成する。これらの項目には、オーソリデータや履歴データの項目と項目値がそのまま用いられるものと、複数の項目から演算した項目値を新たな項目を設けて作成したものが含まれている。
【0058】
図10の例において、項番c001〜c005の項目値は、いずれもオーソリデータに含まれる項目の項目値をそのまま用いるものである。ホスト受信時間(カードの利用時間)には12時と記録されているが、この時間を含む時間帯における過去のオーソリデータの不正出現確率をスコアに反映する。取引種別には取引種別を示すコードが、支払区分には支払い区分を示すコードが記録されているが、同様にこれらのコードにおける過去のオーソリデータの不正出現確率をスコアに反映する。
【0059】
図10の例において、項番c011の項目値は、オーソリデータに含まれる項目の項目値から生成された項目の項目値となっている。オーソリデータにはカードについて定められた利用限度額と、利用限度額から未決済の利用金額の累計を減じた利用可能額が記録されているが、カードがどの程度利用されているかを反映する利用可能額を利用限度額で除した値を、スコア算出のための新たな項目として設定しているが、この値を含む範囲内における過去のオーソリデータの不正出現確率をスコアに反映する。
【0060】
図10の例において、項番c021〜c027の項目値は、いずれもオーソリデータに含まれる項目の項目値と履歴データに含まれる項目の項目値から生成された項目の項目値となっている。前回利用金額との比率の項目には、オーソリデータに含まれる利用金額と履歴データに含まれる前回利用金額の比率が記録されているが、この比率を含む範囲における過去のオーソリデータの不正出現確率をスコアに反映する。前回商品コードとの一致・不一致、前回仕向側国コードとの一致・不一致等の項目についても、それぞれオーソリデータに含まれる項目の項目値と履歴データに含まれる項目の項目値から生成された項目であって、一致・不一致を示すコードが記録されていて(例えば、「1」を一致、「2」を不一致とする。)、一致・不一致それぞれにおける過去のオーソリデータの不正出現確率をスコアに反映する。利用時間スコア、利用曜日スコアは、オーソリデータに含まれるホスト受信年月日や受信日時を、履歴データの時間帯別利用頻度係数や曜日別利用頻度係数と対照させて算出したスコアで、同様に算出されたスコアを含む範囲における過去のオーソリデータの不正出現確率をスコアに反映する。
【0061】
図10の例のように、スコア算出のための項目値が特定されたデータが作成されると、これらの項目値をロジット値に変換する。ロジット値への変換の方法と意義は、図3〜図7を用いて先に説明したとおりであるが、各々の項目について項目値が含まれる範囲のロジット値をロジット値変換テーブルから取得して、図11の例のように各々の項目におけるロジット値が特定される。このように特定したロジット値と、回帰係数テーブルから取得する各々の項目の回帰係数を用いて、先に説明した数2〜数4の演算式を適用することによって、スコアが算出される。
【0062】
図12のフローチャートを用いて、本発明にかかるスコアリング方法のフローについて説明する。まず、スコアを算出する対象となるオーソリデータをクレジットカード会社のホストコンピュータ等から受け付けて(S1)、オーソリデータに含まれる利用者を特定するための顧客コード(利用者の特定にはカード番号等を用いることとしてもよい。)を識別する(S2)。
【0063】
続いて、識別した顧客コードに対応する履歴データをデータベースから取得して(S3)、オーソリデータと履歴データに含まれる項目からスコア算出に用いる項目を選択又は生成し、各々の項目に対応する項目値を特定する(S4)。特定された各々の項目値について、ロジット値変換テーブルを参照して、項目値が含まれる範囲に対応するロジット値に変換する(S5)。
【0064】
さらに、各々の項目のスコアに対する寄与の重み付けを行うために、各々の項目に対応する回帰係数を回帰係数テーブルから取得して(S6)、変換したロジット値にそれぞれ対応する回帰係数を適用する(S7)。ロジット値と回帰係数から所定の算出式に基づいてスコアを算出(S8)、算出したスコアをクレジットカード会社のホストコンピュータ等に返信する(S9)。さらに、受け付けたオーソリデータを反映して、履歴データを更新してデータベースに格納する(S10)。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明にかかるスコアリングシステムの概要を示す図である。
【図2】本発明にかかるスコアリングシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】利用時間帯別の不正出現確率の一例を示す図である。
【図4】利用時間帯別の不正出現確率をロジット値に変換して並び替えた第1の例を示す図である。
【図5】利用時間帯別の不正出現確率をロジット値に変換して並び替えた第2の例を示す図である。
【図6】本発明にかかるスコアリングシステムにおけるロジット値変換テーブルの一例を示す図である。
【図7】本発明にかかるスコアリングシステムにおける回帰係数テーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられるオーソリデータの一例を示す図である。
【図9】本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられる履歴データの一例を示す図である。
【図10】本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられるスコア算出のための項目値が特定されたデータの一例を示す図である。
【図11】本発明にかかるスコアリングシステムにおいて用いられるスコア算出のための項目値がロジット値に変換されたデータの一例を示す図である。
【図12】本発明にかかるスコアリング方法のフローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 スコアリングシステム
11 データ送受信部
12 オーソリDB
13 モデル分析部
131 ロジット値変換分析部
132 ロジスティック回帰分析部
133 ロジット値変換テーブル
134 回帰係数テーブル
14 スコアリング部
141 オーソリデータ受付部
142 ビヘイビアデータ取得部
143 スコア算出部
144 ビヘイビア更新部
15 ビヘイビアDB
151 ビエイビア項目作成部
20 カード会社ホストコンピュータ
30 CAT端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出するためのスコアリングシステムであって、
クレジットカードの利用毎に受け付けたオーソリデータを格納するオーソリデータ格納手段と、
クレジットカードの利用者の過去のクレジットカードの利用に関する履歴データを、利用者毎に格納する履歴データ格納手段と、
前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目の項目値のカテゴリー、及び前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目の項目値のカテゴリーについて、各々の項目におけるカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値を関連付けて記憶するロジット値変換テーブルと、
前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目、及び前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数を関連付けて記憶する回帰係数テーブルと、
クレジットカードの利用要求にかかるオーソリデータを受け付けるオーソリデータ受付手段と、
前記利用要求を行った利用者に対応する履歴データを、前記履歴データ格納手段から取得する履歴データ取得手段と、
前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータと、前記履歴データ取得手段が取得した履歴データから、スコア算出のために必要な項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定するカテゴリー特定手段と、
前記ロジット値変換テーブルを参照して、前記カテゴリー特定手段の特定した各々のカテゴリーに対応するロジット値を取得するロジット値取得手段と、
前記回帰係数テーブルを参照して、前記カテゴリー特定手段でカテゴリーを特定した各々の項目に対応する回帰係数を取得する回帰係数取得手段と、
前記ロジット値取得手段の取得したロジット値に、前記ロジット値に対応する各々の項目について前記回帰係数取得手段の取得した回帰係数を乗じた値を合算し、合算した値から不正である確率を反映したスコアを算出するスコア算出手段と、
を備えることを特徴とするスコアリングシステム。
【請求項2】
前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータを反映して、前記オーソリデータにかかるクレジットカードの利用者に対応する前記履歴データ格納手段に格納された履歴データを更新する履歴データ更新手段を備えること
を特徴とする請求項1記載のスコアリングシステム。
【請求項3】
前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、
前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成される項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、
前記カテゴリー特定手段は、前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定すること
を特徴とする請求項1又は2記載のスコアリングシステム。
【請求項4】
前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、
前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納手段に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納手段に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、
前記カテゴリー特定手段は、前記オーソリデータ受付手段が受け付けたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ取得手段が取得した履歴データに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定すること
を特徴とする請求項1又は2記載のスコアリングシステム。
【請求項5】
クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出するためのスコアリング方法であって、
前記スコアを算出するためのコンピュータシステムには、クレジットカードの利用毎に受け付けたオーソリデータを格納するオーソリデータ格納部と、クレジットカードの利用者の過去のクレジットカードの利用に関する履歴データを、利用者毎に格納する履歴データ格納部と、が備えられていて、
前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目の項目値のカテゴリー、及び前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目の項目値のカテゴリーについて、各々の項目におけるカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値を関連付けて記憶するロジット値変換テーブルに記憶させるステップと、
前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目、及び前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数を関連付けて記憶する回帰係数テーブルに記憶させるステップと、
を有することによって、ロジット値変換テーブルと回帰係数テーブルのデータが更新され、
クレジットカードの利用が不正である確率を反映したスコアを算出する際には、
前記コンピュータシステムが、クレジットカードの利用要求にかかるオーソリデータを受け付けるオーソリデータ受付ステップと、
前記コンピュータシステムが、前記利用要求を行った利用者に対応する履歴データを、前記履歴データ格納部から取得する履歴データ取得ステップと、
前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータと、前記履歴データ取得ステップで取得した履歴データから、スコア算出のために必要な項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定するカテゴリー特定ステップと、
前記コンピュータシステムが、前記ロジット値変換テーブルを参照して、前記カテゴリー特定ステップで特定した各々のカテゴリーに対応するロジット値を取得するロジット値取得ステップと、
前記コンピュータシステムが、前記回帰係数テーブルを参照して、前記カテゴリー特定ステップでカテゴリーを特定した各々の項目に対応する回帰係数を取得する回帰係数取得ステップと、
前記コンピュータシステムが、前記ロジット値取得ステップで取得したロジット値に、前記ロジット値に対応する各々の項目について前記回帰係数取得ステップで取得した回帰係数を乗じた値を合算し、合算した値から不正である確率を反映したスコアを算出するスコア算出ステップと、
を有することを特徴とするスコアリング方法。
【請求項6】
前記コンピュータシステムが、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータを反映して、前記オーソリデータにかかるクレジットカードの利用者に対応する前記履歴データ格納部に格納された履歴データを更新する履歴データ更新ステップを有すること
を特徴とする請求項5記載のスコアリング方法。
【請求項7】
前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々のカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、
前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目から生成される項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、
前記カテゴリー特定ステップでは、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定すること
を特徴とする請求項5又は6記載のスコアリング方法。
【請求項8】
前記ロジット値変換テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目における項目値のカテゴリー別に不正が出現した不正出現比率を特定し、前記不正出現比率からロジット値を算出して、項目毎の各々の項目値に対応するカテゴリーに対応するロジット値が関連付けて記憶され、
前記回帰係数テーブルには、前記オーソリデータ格納部に格納されたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ格納部に格納された履歴データに含まれる項目から生成された項目について、各々の項目の前記スコアに対する寄与度をロジスティック回帰分析により算出して、各々の項目に対応する回帰係数が関連付けて記憶されていて、
前記カテゴリー特定ステップでは、前記オーソリデータ受付ステップで受け付けたオーソリデータに含まれる項目と前記履歴データ取得ステップで取得した履歴データに含まれる項目から生成された項目毎の項目値に対応するカテゴリーを特定すること
を特徴とする請求項5又は6記載のスコアリング方法。

【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−207011(P2007−207011A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25715(P2006−25715)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(397067853)株式会社インテリジェントウェイブ (20)