説明

クレーンゲーム機の遠隔通信管理システム

【課題】クレーンゲーム機の使用状況データを遠隔地に居ながら取得すると共に、取得した使用状況データに基づきクレーンゲーム機の動作設定を変更できるクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムの提供。
【解決手段】管理パソコン1と、クレーンゲーム機A、B、Cと、ゲーム機制御基板2a、2b、2cと、通信手段3とを備え、ゲーム機制御基板は、クレーンゲーム機の動作プログラム及び使用状況データを記憶する記憶部と、管理パソコン1からのデータ送信コマンドを受信して使用状況データを返送する通信部を備えている。管理パソコン1の制御部15は、データ送信コマンドを送信して使用状況データを受信する通信部と、受信した使用状況データを記憶する記憶部と、クレーンゲーム機A、B、Cの動作プログラムのパラメータ変更を行う入力部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は店舗等に設置したクレーンゲーム機の使用状況データを遠隔地の管理パソコンで取得してその使用状況を把握し、加えてその使用状況データに基づきクレーンゲーム機の動作を制御できるようにしたクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム機、特にミニクレーンゲーム機の設置形態は、ゲーム機購入者が自身で運営している店舗に設置する場合と、ゲーム機購入者が他会社の店舗に設置する場合とに分かれる。
【0003】
前者の場合、チェーン店などのように全国各地にクレーンゲーム機を設置すると、クレーンゲーム機の集金額や景品残量、エラー時のエラー内容の確認など、管理に時間と手間がかかってしまう。
また、後者の場合、クレーンゲーム機を設置している店舗が遠隔地にあると、景品補充のタイミングを勘に頼らなければならず、店舗を訪れても景品補充する必要がないこともあり、時間や交通費が無駄になることがあるし、さらに、エラーでクレーンゲーム機が動作していなかった場合は店舗を訪れるまでクレーンゲーム機による収入が得られなくなってしまう。
【0004】
そこで、事務所等に居ながら遠隔地に設置しているクレーンゲーム機の使用状況データを取得することができる管理通信システムが要求されていた。
【0005】
このような要求に対し、従来、事務所等に設置したターミナル装置と、店舗に設置したゲーム機器と、このゲーム機器に接続したサーバ装置と、このサーバ装置と前記ターミナル装置とを接続させたネットワーク回線を備えたゲーム機器管理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
この従来の管理システムは、ターミナル装置からの要求に応じてゲーム機器の使用状況データをサーバ装置からターミナル装置に送信させるようにしたもので、ゲーム機器の使用状況データを遠隔地に居ながら取得できるという効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−279264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、従来の管理システムは、ゲーム機器の使用状況データを遠隔地に居ながら取得し、その使用状況データを分析するといったことはできる。
しかしながら使用状況データの取得だけを目的としたものであるため、使用状況データの分析結果を見て、その対策をゲーム機器の動作に反映させるといった管理を行なうことはできない。
【0009】
本発明は、使用状況データを遠隔地に居ながら取得することだけが目的ではなく、取得した使用状況データに基づき遠隔地に居ながらクレーンゲーム機の動作設定を変更させることができるようにしたクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下のような構成を採用した。
即ち、本発明の請求項1記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムは、
管理パソコン(1)と、景品キャッチ用のアームユニット(20)を備えたクレーンゲーム機(A、B、C)と、このクレーンゲーム機(A、B、C)に接続したゲーム機制御基板(2a、2b、2c)と、前記管理パソコン(1)とゲーム機制御基板(2a、2b、2c)とを接続する通信手段(3)とを備え、
前記ゲーム機制御基板(2a、2b、2c)は、クレーンゲーム機(A、B、C)の動作プログラム及び使用状況データを記憶する記憶部(42、52)と、前記管理パソコン(1)からのデータ送信コマンドを受信しそのデータ送信コマンドに対応する使用状況データを記憶部(42)から読み出して管理パソコン(1)に送信する通信部(43)を備え、
前記管理パソコン(1)の制御部(15)は、クレーンゲーム機(A、B、C)に対して使用状況データを要求するためのデータ送信コマンドを送信しそのデータ送信コマンドに基づくクレーンゲーム機(A、B、C)からの使用状況データを受信する通信部(13)と、受信した使用状況データを記憶する記憶部(10)と、前記ゲーム機制御基板(2a、2b、2c)の記憶部(42、52)に記憶させたクレーンゲーム機(A、B、C)の動作プログラムのパラメータ変更を行う入力部(11)を備えている構成とした。
【0011】
本発明の請求項2記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムは、請求項1記載のクレーンゲーム機において、
前記使用状況データがクレーンゲーム機(A、B、C)の投入コイン数と景品払い出し数などのインカム情報である構成とした。
【0012】
本発明の請求項3記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムは、請求項1記載のクレーンゲーム機において、
前記使用状況データにはクレーンゲーム機(A、B、C)の動作不良やクレーンゲーム機(A、B、C)の振動等のエラー情報が含まれている構成とした。
【0013】
本発明の請求項4記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムは、請求項1記載のクレーンゲーム機において、
前記管理パソコン(1)の入力部(11)によるパラメータ変更がクレーンゲーム機(A、B、C)の音響ボリューム設定変更と、アームユニット(20)に設けたキャッチアーム駆動モータの駆動時間設定変更である構成とした。
【0014】
本発明の請求項5記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムは、請求項1又は3記載のクレーンゲーム機において、
前記パラメータ変更は、クレーンゲーム機(A、B、C)のプレイ中は禁止されてプレイ終了後に行われ、かつゲーム待機中はコイン投入口のコインブロッカーが作動してコイン投入が規制されるように設定されている構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明(請求項1)のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムでは、管理パソコンからデータ送信コマンドが通信手段を介してゲーム機制御基板の通信部に送信されると、このゲーム機制御基板の記憶部に記憶されているクレーンゲーム機の使用状況データが読み出され、通信手段を介して管理パソコンへ送信(返信)される。
【0016】
このように、管理者は事務所等に設置した管理パソコンによって遠隔地に居ながらクレーンゲーム機の使用状況データを取得することができる。
これにより、クレーンゲーム機の使用状況データを取得するために要する時間やコストを大幅に抑えることができるし、使用状況データの一元管理が可能となる。
【0017】
尚、前記使用状況データはクレーンゲーム機の投入コイン数と景品払い出し数などのインカム情報であり(請求項2)、又、この使用状況データにはゲーム機の動作不良やゲーム機の振動等のエラー情報が含まれる(請求項3)。
【0018】
特に、本発明のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムでは、管理パソコンが、ゲーム機制御基板の記憶部に記憶させたクレーンゲーム機の動作プログラムのパラメータ変更を行うパソコン入力部を備えている構成に特徴がある。
【0019】
上記のようにして得られた使用状況データは、単にこれを取得することだけが目的ではなく、取得した使用状況データを管理者において分析し、運営に活用することが求められる。
この要求に対応するため本発明では、管理パソコンにクレーンゲーム機の動作プログラムのパラメータ変更を行うパソコン入力部を設けている。
【0020】
従って、使用状況データの分析結果を見て、例えば、売上額が低いような場合、ゲーム機の音響ボリューム設定を上げて注目度の向上を図り、又、景品を取り易くするためにアームユニットに設けたキャッチアーム駆動モータの駆動時間設定を長くするなど、パラメータ設定をパソコン入力部を通して変更させることが可能になり、遠隔地に居ながら容易にパラメータ変更を行うことができる。
【0021】
尚、パソコン入力部によるパラメータ変更としてはクレーンゲーム機の音響ボリューム設定変更と、アームユニットに設けたキャッチアーム駆動モータの駆動時間設定変更がある(請求項4)。
【0022】
又、前記パラメータ変更をクレーンゲーム機のプレイ中に行うと、動作プログラムに支障が生じるおそれがあるため、プレイ中のパラメータ変更を禁止させ、又、パラメータ変更中はゲームができないようにするため、コイン投入口のコインブロッカーを作動させるように設定されている(請求項5)。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムの一例を示す全体説明図。
【図2】本発明のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムの他例を示す全体説明図。
【図3】本発明のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムの他例を示す全体説明図。
【図4】クレーンゲーム機に設けたアームユニットの動作工程図。
【図5】管理パソコンの管理制御部を示すブロック図。
【図6】クレーンゲーム機Aのゲーム機制御部を示すブロック図。
【図7】クレーンゲーム機Aの主通信制御基盤のブロック図。
【図8】クレーンゲーム機Bの副通信制御基盤のブロック図。
【図9】管理パソコンの制御手順を示すフローチャート図。
【図10】クレーンゲーム機の制御手順を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システムは、主たる構成として、管理パソコン1と、景品キャッチ用のアームユニット20を備えた3台のクレーンゲーム機A、B、Cと、各クレーンゲーム機A、B、Cに接続した通信制御基板2a、2b、2cと、前記管理パソコン1と通信制御基板2a、2b、2cとを接続する通信手段3とを備えている。
尚、前記クレーンゲーム機の数は、実施例で示した3台に限定されるものではなく、3台以下(例えば1台)でもよいし、3台以上(例えば、5台)でもよい。
【0025】
前記管理パソコン1は、図5に示すように、記憶部10、入力部11、出力部12、通信部13、CPU14を有する制御部15を備え、その制御に必要な通信ソフトがインストールされている。
【0026】
前記記憶部10は通信ソフトが今までに取得したデータや通信先の接続情報(携帯電話番号、メールアドレス、グローバルIPアドレス)を格納している。
【0027】
入力部11としてはキーボードやマウスがあり、又、出力部12としてはディスプレイやプリンタがある。
【0028】
通信部13は通信手段3との間の通信を行い、CPU14は前記各構成部10、11、12、13を制御する。
【0029】
前記各クレーンゲーム機A、B、Cは、それぞれアームユニット20を備え、図6で示すように、記憶部21、入力部22、ゲーム機側出力部23、通信インターフェース24、CPU25を有するゲーム機制御部26を備えている。
【0030】
尚、本実施例では、1つの店舗に3台のクレーンゲーム機A、B、Cを設置し、そのうち1つのクレーンゲーム機Aに主通信制御部2aを接続させ、他のクレーンゲーム機B、Cに副通信制御部2b、2cを接続させている。
【0031】
前記ゲーム機制御部26の記憶部21には、コインカウンター、プレイカウンター、クレジット、プレイ回数、音響ボリューム、景品払出カウンター、アームユニット20の動作プログラムや各種パラメータなど、それぞれのクレーンゲーム機A、B、Cの動作に必要なデータが格納されている。
電源をONにすると、CPU25は記憶部21のデータを読み込み、ゲームプレイが終了して、データが更新されると記憶部21のデータは書き換えられる。
【0032】
前記入力部22としては、X移動ボタン、Y移動ボタン、コインセレクター、景品センサ、振動センサ、設定ボタンがある。
X移動ボタンは、これを押し続けると、アームユニット20が右方向に移動する。
Y移動ボタンは、これを押し続けると、アームユニット20が奥行方向に移動する。
コインセレクターはコイン(100円玉)の投入を検知する。
景品センサはゲームプレイで景品を取得したときに反応する。
振動センサはクレーンゲーム機が揺らされるのを検知する。
設定ボタンはコインカウンターなどのデータ確認、音響ボリュームの変更などを手動で行う。
【0033】
前記出力部23としてはスピーカー、7セグ、液晶モニター、アームユニット用モータ、コインブロッカーがある。
スピーカーはクレーンゲーム機の音楽や効果音を出力する。
7セグは残りプレイ回数やエラー番号を表示する装置である。
液晶モニターは設定ボタンで操作した内容を表示する。
アームユニット用モータはアームユニット20の移動やキャッチアームの開閉に使用されるもので、アームユニット移動用モータ、昇降用モータ、キャッチアーム駆動モータがある。
コインブロッカーはコイン(100円玉)を投入できないようにする装置である。
【0034】
前記通信インターフェース24は通信制御基板2a、2b、2cとの通信を行う。
この場合、クレーンゲーム機Aの通信インターフェース24は主通信制御部2aと接続され、クレーンゲーム機B、Cの通信インターフェース24、24は副通信制御部2b、2cと接続される。
又、前記CPU25は前記各構成部21、22、23、24を制御する。
【0035】
次に、前記アームユニット20の動作を図4の動作工程図で説明する。
クレーンゲーム機の電源をOFF(ステップS0)からONにすると(ステップS1)、ゲーム待機モード(ステップS2)になり、音響装置によって音楽が鳴り始める。
次に、お客がクレジット分のコインを投入すると(ステップS3)、プレイ回数がディスプレイ(7セグ)に表示され、ゲームスタートモードになる(ステップS4)。尚、以後はプレイが終了してゲーム待機モード(ステップS2)に戻るまでコインブロッカーが作動する。
【0036】
次に、クレーンゲーム機の前面に設置されたX移動ボタン(ステップS5)、Y移動ボタン(ステップS6)を操作してアームユニット20を移動させると、以後はキャッチアームの開放(ステップS7)、アームユニット20の下降(ステップS8)、キャッチアームの閉鎖(ステップS9)、アームユニット20の上昇(ステップS10)、アームユニット20の当初位置復帰(ステップS11)、キャッチアームの開放(ステップS12)、キャッチアームの閉鎖(ステップS13)の順で動作し、ゲーム待機モード(ステップS2)に戻る。
【0037】
尚、電源がONした後は、クレーンゲーム機に設けた振動センサが所定の振動を検知すると(ステップS14)、一定時間エラー音が鳴り、ゲーム待機モード(ステップS2)に強制的に戻る。
又、電源ONの状態では、クレーンゲーム機に設けた設定ボタン(図示せず)を操作することにより液晶モニター(図示せず)でコインカウンターなどの確認や動作プログラムのパラメータ変更を手動によって行うことができる。
【0038】
前記主通信制御部2aは、クレーンゲーム機Aに接続されるもので、図7に示すように、CPU41、記憶部42、通信部43、44、45、46、47、48を備えている。
前記CPU41は主通信制御基板2aを制御する。
記憶部42は通信するデータもしくは受信したデータを一時保存するための場所である。
通信部43は通信手段3を介して管理パソコン1と接続する。
通信部44は事務所の固定電話回線(ネット回線)と接続する。
通信部45は携帯電話(プロトコル変換器、LANケーブル)と接続する。
通信部46はクレーンゲーム機Aと接続する。
通信部47は通信制御基板2bと接続する。
通信部48は通信制御基板2cと接続する。
【0039】
前記副通信制御部2bは、クレーンゲーム機Bに接続されるもので、図8に示すように、CPU51、記憶部52、通信部53、通信部54を備えている。
この副通信制御部2bは前記主通信制御部2aとほぼ同様の構成である。
【0040】
従って、管理パソコン1がクレーンゲーム機Bのデータを取得する場合は、通信制御基板2aのCPU41は自身に対するデータ取得コマンドではないため、通信部47に接続されている副通信制御基板2bへデータ取得コマンドを送信する。
通信制御基板2bはデータを取得したら、通信部47を通して通信制御基板2aへデータを送信する。
クレーンゲーム機Bからエラー通知する場合は、エラー内容を受け取った副通信制御基板2bはその内容を主通信制御基板2aに送信する。受信した主通信制御基板2aは通信部46、47、48の内のどれからデータが届いたかで通信制御基板2a、2b、2cを識別する。
【0041】
尚、クレーンゲーム機Cに接続されている副通信制御部2cは副通信制御部2bと同様の構成で同様の制御を行うものであり、図示及び説明を省略する。
【0042】
次に、前記通信手段3について説明する。
通信手段としては、図1で示す携帯電話30を用いたアナログ通信、図2で示すユビキタスモジュール35を用いたデジタル通信(無線)、図3で示すLAN回線38を用いたデジタル通信(有線)の3パターンがある。
【0043】
図1で示した携帯電話30を用いたアナログ通信は、管理パソコン1とクレーンゲーム機A、B、Cの通信を、電話回線を使用して携帯電話の音声レベルでのデータ通信を行う。
通信イメージとしては、管理パソコン1側の固定電話回線31、電話回線網32、携帯電話30で通話して、携帯電話30のボタンを押したときのピポパ音の音声レベルを管理パソコン1とクレーンゲーム機A、B、Cの間でやり取りすることで命令やデータの送信を行う。
【0044】
管理パソコン1から店舗に置いてあるクレーンゲーム機Aのデータを取得する場合、管理パソコン1の通信ソフトから店舗のクレーンゲーム機Aを選択してデータ取得ボタンを押すと、通信ソフトがPC通信制御基板19に対して携帯電話30に電話をかけるように命令し、それを受けたPC通信制御基板19が携帯電話30に電話をかける。
携帯電話30は主通信制御基板2aにより制御されており、管理パソコン1から携帯電話30に電話がかかってくると、携帯電話30の着信音を主通信制御基板2aが受信して電話を取る。
電話を取ると通話可能になるので、通信ソフトがPC通信制御基板19に対してクレーンゲーム機Aのデータを送信するデータ送信コマンドを発行し、それを受けてPC通信制御基板は、通信制御基板2aへクレーンゲーム機Aのデータ送信コマンドを送信する。
データ送信コマンドを受け取った通信制御基板2aはクレーンゲーム機Aからデータを取得し、携帯電話30を通して電話回線網32、電話回線31を経てPC通信制御基板19へデータを送信する。
データを受信したPC通信制御基板19は管理パソコン1にデータを送信し、通信ソフトがデータ受信を終了すると、通信ソフトが電話を切ることで一連の送受信シーケンスを終了する。
【0045】
管理パソコン1から店舗に置いてあるクレーンゲーム機Bのデータを取得する場合、通話可能になり、主通信制御基板2aにデータ送信コマンドがくるまでの流れは上記と同様である。
PC通信制御基板19からクレーンゲーム機Bのデータを送信するデータ送信コマンドを受けた通信制御基板2aはクレーンゲーム機Bを制御している通信制御基板2bにクレーンゲーム機Bのデータを送信するように命令し、それを受けた通信制御基板2bはクレーンゲーム機Bのデータを取得し、通信制御基板2aへ送信する。
通信制御基板2aからPC通信制御基板19へデータを送信する以降は上記と同様である。
【0046】
クレーンゲーム機Bから管理パソコン1へクレーンゲーム機Bのエラー内容を送信する場合、クレーンゲーム機Bが副通信制御基板2bに対してエラー内容を送信する。
エラー内容を受け取った通信制御基板2bは通信制御基板2aにエラー内容を送信し、それを受け取った通信制御基板2aは携帯電話30を使用して、事務所の固定電話回線に対して電話をかける。
事務所の固定電話回線はPC通信制御基板19が制御しているので、通信制御基板2aからかかってきた電話を通信制御基板19が取ることで通話可能となる。
通話可能となったら通信制御基板2aがPC通信制御基板19へエラー内容を送信する。
エラー内容を受信したPC通信制御基板19は管理パソコン1へエラー内容を送信し、それを受信した管理パソコン1はディスプレイにエラー内容を表示する。
PC通信制御基板19は管理パソコン1へエラー内容を送信し終わると事務所の電話回線を切ることで管理パソコン1とクレーンゲーム機B間の通信を終了する。
【0047】
尚、管理パソコン1から店舗に置いてあるクレーンゲーム機Cのデータを取得する場合は、前記クレーンゲーム機Bのデータを取得する場合と同様である。
【0048】
クレーンゲーム機Bから管理パソコン1へクレーンゲーム機Bのエラー内容を送信する場合、クレーンゲーム機Bに異常な動作(モータの故障・機械が揺らされるなど)が起こった場合に、クレーンゲーム機Bが通信制御基板2bに対してエラー内容を送信する。
エラー内容を受け取った通信制御基板2bは通信制御基板2aにエラー内容を送信し、それを受け取った通信制御基板2aは携帯電話30を使用して事務所に対して電話をかける。
事務所の電話回線はPC通信制御基板19を制御しているので、通信制御基板2aからかかってきた電話をPC通信制御基板19が取ることで通話可能となる。
通話可能となったら通信制御基板AがPC通信制御基板へエラー内容を送信する。
エラー内容を受信したPC通信制御基板2aは管理パソコン1へエラー内容を送信し、それを受信した管理パソコン1はディスプレイにエラー内容を表示する。
PC通信制御基板19は管理パソコン1へエラー内容を送信し終わると事務所の電話回線を切ることで管理パソコン1とクレーンゲーム機B間の通信を終了する。
【0049】
図2で示したユビキタスモジュール35を用いたデジタル通信(無線)は、管理パソコン1とクレーンゲーム機A、B、Cの通信をメールの送受信によって行う。
ユビキタスモジュール35は無線パケット通信端末のことで、プロトコル変換器36によってデータのメール化およびメールのデータ解読が可能となる。
【0050】
データ取得などの流れは前記した携帯電話30を用いた場合と同様となる。
クレーンゲーム機Aのデータを取得したい場合、管理パソコン1がインターネット網のメールサーバ37を介してユビキタスモジュール35に対して、クレーンゲーム機Aのデータを送信するデータ送信コマンドをメール化して送信する。
それを受信したユビキタスモジュール35はプロトコル変換器36に送信し、受信したプロトコル変換器36はメールを解読してデータ送信コマンドを主通信制御基板2aに送信する。
主通信制御基板2aからデータをもらったプロトコル変換器36はデータをメール化してユビキタスモジュール35に送信し、それを受信したユビキタスモジュール35はあらかじめ登録されているメールアドレスへメールを送信する。
メールを受信した管理パソコン1はメールの内容を解析し画面に表示する。
【0051】
図3で示したLAN回線38、38を用いたデジタル通信(有線)は、管理パソコン1とクレーンゲーム機A、B、CをLAN回線38、38でインターネット網39を利用して通信を行うもので、データ取得などの流れは前記した携帯電話30を用いた場合と同様となる。
【0052】
本発明の遠隔通信管理システムでやり取りされる通信内容ついて説明する。
通信内容はデータ取得、予約によるデータ取得、設定変更、エラー通知の4種類である。
【0053】
前記データ取得に際しては、管理パソコン1でデータを取得したいクレーンゲーム機を選択して、データ取得ボタンを押すことにより通信を行い、クレーンゲーム機のデータを取得する。
【0054】
データの取得は、クレーンゲーム機がプレイ中に関わらず行うものとする。
取得するデータとしては、投入コイン数と景品払い出し数などのインカム情報である使用状況データに関連したコインカウンター、プレイカウンター、景品払出カウンター、音響ボリューム、キャッチアームのつかむ力がある。
【0055】
コインカウンターはクレーンゲーム機に100円玉が投入された数をカウントする。
プレイカウンターはクレーンゲーム機でプレイしたゲーム数をカウントする。
景品払出カウンターはクレーンゲーム機でゲームをプレイした結果で景品が払い出された数をカウントする。
音響ボリュームはクレーンゲーム機で流れる音楽および効果音の音量を調節する。
キャッチアームのつかむ力は、アームの開閉に使用されているモータの時間に比例するもので、例えば、動作時間が短ければアームのつかむ力は弱くなり逆に動作時間が長ければアームのつかむ力は強くなる。よって、データ取得するのはアームモータの動作時間とする。
【0056】
前記予約によるデータ取得は、管理パソコン1にデータ取得したい時間をあらかじめ入力しておくことで、その時間に到達したときにデータ取得を開始する。
予約は時間のみ、曜日と時間、日付と時間、日付と曜日と時間の4種類ある。
管理パソコン1はシステム時間と入力された時間とが一致するかを確認する。
入力する時間は0:00〜23:59である。それ以外の時間は入力出来ない。
【0057】
時間のみの場合、時間を入力すると、毎回その時間に到達する度にデータ取得を開始する。
よって、毎日決まった時間にデータを取得したい場合などに使用する。
【0058】
曜日と時間の場合、全ての曜日を選択でき、選択した曜日を予約とする(複数選択可)、後は時間を入力することで、選択した曜日の時間になるとデータ取得を開始する。
【0059】
日付と時間の場合、全ての日付と時間を入力することで、その時間になるとデータ取得を開始する。存在しない日付は入力出来ない。
【0060】
日付と曜日と時間の場合、日付と曜日と時間を入力すると、曜日と時間、日付と時間の両方を使用することが出来る。
【0061】
前記設定変更ではクレーンゲーム機の動作プログラムをパラメータ変更する。
変更できるパラメータは、音響ボリュームとキャッチアームのつかむ力の2つである。
データ取得はクレーンゲーム機がプレイ中でも行うことが出来るが、設定変更はクレーンゲーム機の動作部分に関わるため、クレーンゲーム機がプレイ中の場合はプレイが終了してから行う。
また、設定変更中にクレーンゲーム機がプレイされないようにコインブロッカーを動作させ、コインを投入出来ないようにする。
【0062】
前記エラー通知は、クレーンゲーム機がモータやセンサの故障を検知もしくは機械が揺らされたことを検知したときに管理パソコン1へと検知した内容を送信する。
管理パソコン1は、検知した内容をディスプレイに表示する。
通信手段としてユビキタスモジュールを用いた場合、管理パソコン1が起動していなくてもメールサーバ37に検知した内容のデータが保存されているため管理パソコン1を起動したときに、検知した内容をメールサーバ37より受信することが出来るが、携帯電話またはLAN回線38を用いた場合は、管理パソコン1を起動していない場合は、検知した内容を受信することは出来ない。
【0063】
次に、本発明の遠隔通信管理システムのデータ取得に関する流れを図9及び図10で示したフローチャート図によって説明する。
【0064】
図9は管理パソコン側からの流れであり、管理パソコン1が起動すると(ステップS20)、まずデータ取得の予約時間を判断する(ステップ21)。
予約時間になると(YES)、データ送信コマンドをクレーンゲーム機へ送信する(ステップS22)。
予約時間以外(NO)では、入力部11によるデータ取得の入力があるかを判断し(ステップS23)、入力があれば(YES)データ送信コマンドをクレーンゲーム機へ送信し(ステップS24)、なければ(NO)次のステップS25に進む。
ここではクレーンゲーム機の動作プログラムのパラメータ変更が入力部で入力されたかを判断し(ステップS25)、入力があれば(YES)パラメータ変更の信号をクレーンゲーム機へ送信し(ステップS26)、なければ(NO)次のステップS27に進む。
ここではクレーンゲーム機からのエラー情報が入力されているかを判断し(ステップS27)、入力されていれば(YES)それをディスプレイに表示させる(ステップS28)。
入力されていなければ(NO)使用状況データの入力があるかを判断し(ステップS29)、入力されていれば(YES)それをディスプレイに表示させ(ステップS28)、入力がなければ当初のステップS21に戻る。
【0065】
図10はクレーンゲーム機側からの流れであり、クレーンゲーム機の電源をONにすると(ステップS30)、エラー検出の有無を判断する(ステップS31)。
エラーを検出していると(YES)そのエラー内容を管理パソコン1に送信し(ステップS32)、エラーを検出していないときは(NO)次のステップS33に進む。
ここでは管理パソコン1からコマンドが入力されているかを判断し(ステップS33)、それがデータ送信コマンドの場合(YES)は管理パソコン1へ使用状況データを送信(返信)させ(ステップS34)、それがデータ送信コマンドでない場合は(NO)パラメータ変更の指示かを判断する(ステップS35)。
ここでパラメータ変更の指示であれば(YES)、その指令に基づきクレーゲーム機のプログラム設定をパラメータ変更させ、でなければ当初のステップ31に戻る。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明の遠隔通信管理システムは、使用状況データを遠隔地に居ながら取得することができるだけでなく、取得した使用状況データに基づき遠隔地に居ながらクレーンゲーム機の動作設定を変更させることができ、クレーンゲーム機の管理技術として産業の発展に寄与できる。
【符号の説明】
【0067】
A クレーンゲーム機
B クレーンゲーム機
C クレーンゲーム機
1 管理パソコン
10 記憶部
11 入力部
13 通信部
15 制御部
20 アームユニット
2a 主ゲーム機制御基板(ゲーム機制御基板)
2b 副ゲーム機制御基板(ゲーム機制御基板)
2c 副ゲーム機制御基板(ゲーム機制御基板)
3 通信手段
42 記憶部
43 通信部
52 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理パソコン(1)と、景品キャッチ用のアームユニット(20)を備えたクレーンゲーム機(A、B、C)と、このクレーンゲーム機(A、B、C)に接続したゲーム機制御基板(2a、2b、2c)と、前記管理パソコン(1)とゲーム機制御基板(2a、2b、2c)とを接続する通信手段(3)とを備え、
前記ゲーム機制御基板(2a、2b、2c)は、クレーンゲーム機(A、B、C)の動作プログラム及び使用状況データを記憶する記憶部(42、52)と、前記管理パソコン(1)からのデータ送信コマンドを受信しそのデータ送信コマンドに対応する使用状況データを記憶部(42)から読み出して管理パソコン(1)に送信する通信部(43)を備え、
前記管理パソコン(1)の制御部(15)は、クレーンゲーム機(A、B、C)に対して使用状況データを要求するためのデータ送信コマンドを送信しそのデータ送信コマンドに基づくクレーンゲーム機(A、B、C)からの使用状況データを受信する通信部(13)と、受信した使用状況データを記憶する記憶部(10)と、前記ゲーム機制御基板(2a、2b、2c)の記憶部(42、52)に記憶させたクレーンゲーム機(A、B、C)の動作プログラムのパラメータ変更を行う入力部(11)を備えていることを特徴とするクレーンゲーム機の遠隔通信管理システム。
【請求項2】
前記使用状況データがクレーンゲーム機(A、B、C)の投入コイン数と景品払い出し数などのインカム情報である請求項1記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システム。
【請求項3】
前記使用状況データにはクレーンゲーム機(A、B、C)の動作不良やクレーンゲーム機(A、B、C)の振動等のエラー情報が含まれている請求項1記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システム。
【請求項4】
前記管理パソコン(1)の入力部(11)によるパラメータ変更がクレーンゲーム機(A、B、C)の音響ボリューム設定変更と、アームユニット(20)に設けたキャッチアーム駆動モータの駆動時間設定変更である請求項1記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システム。
【請求項5】
前記パラメータ変更は、クレーンゲーム機(A、B、C)のプレイ中は禁止されてプレイ終了後に行われ、かつゲーム待機中はコイン投入口のコインブロッカーが作動してコイン投入が規制されるように設定されている請求項1又は3記載のクレーンゲーム機の遠隔通信管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−5855(P2013−5855A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139147(P2011−139147)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(508352838)株式会社エスプラン (1)