説明

クレーン用フック装置

【課題】 補助シーブが設けられたシーブブロックをフックブロックに対して取付け、取外しするときの作業性を高める。
【解決手段】 シーブブロック29を、補助シーブ33を回転可能に支持する一方のシーブブロック組立体30と、補助シーブ37を回転可能に支持する他方のシーブブロック組立体34と、これら各シーブブロック組立体30,34間を連結する前,後の主連結アーム38,39及び前,後の副連結アーム41,42と、前,後の主連結アーム38,39をフックブロック22に揺動可能に取付ける1本の取付ピン44とにより構成する。これにより、フックブロック22にシーブブロック29を取付ける作業、フックブロック22からシーブブロック29を取外す作業を、1本の取付ピン44を抜差しするだけで迅速かつ容易に行うことができ、その作業性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばクローラクレーン、定置式クレーン等に装備され荷物を吊上げるのに好適に用いられるクレーン用フック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、高層ビル等の建設現場においては、地上から高所への荷物の運搬作業を行うためにクローラクレーンが好適に用いられる。このクローラクレーンは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備え、該上部旋回体にはロープウインチが設けられ、上部旋回体の前部側にはブームの基端側が起伏可能に取付けられている。
【0003】
また、ブームの先端側には複数のトップシーブが回転可能に設けられ、ロープウインチから延びるロープは、ブームに設けられたトップシーブと吊荷用のフック装置に設けられたシーブとの間に巻回される。そして、ロープウインチによってロープを巻取り、巻出してフック装置を昇降させることにより、このフック装置に掛止めした荷物を運搬する構成となっている。
【0004】
ここで、クレーン用のフック装置は、通常、ロープが巻回されるシーブを回転可能に支持し、吊荷用のフックが設けられたフックブロックと、ロープが巻回される補助シーブを回転可能に支持し、フックブロックに対し着脱可能に取付けられるシーブブロックとを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−255345号公報
【0006】
この従来技術によるフック装置によれば、吊荷の重量が比較的小さい場合には、シーブとフックが設けられたフックブロックのみを用い、このフックブロックの各シーブに巻回されたロープをウインチによって巻取り、巻出すことにより、重量の小さな荷物を吊上げることができる。
【0007】
一方、吊荷の重量が大きい場合には、補助シーブが設けられたシーブブロックをフックブロックに取付け、フックブロックの各シーブとシーブブロックの各補助シーブとロープを巻回し、このロープをウインチによって巻取り、巻出すことにより、重量の大きな荷物を吊上げることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来技術によるフック装置は、フックブロックとシーブブロックとを、複数本(例えば4本)の連結ピンを用いて連結する構成となっている。従って、重量の大きな荷物を吊上げるためにフックブロックにシーブブロックを取付けるときには、フックブロックとシーブブロックとに複数本の連結ピンを差込む煩雑な取付作業が必要となり、フックブロックからシーブブロックを取外すときには、フックブロックとシーブブロックから複数本の連結ピンを抜取る煩雑な取外し作業が必要となり、フックブロックに対してシーブブロックを取付け、取外しするときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【0009】
また、フックブロックに対してシーブブロックを取付け、取外すときには、通常、重量物であるシーブブロックを予め補助クレーンを用いて保持し、この状態でフックブロックとシーブブロックとに対して連結ピンを着脱する必要がある。このように、フックブロックに対してシーブブロックを取付け、取外しするときには、シーブブロックを保持するための補助クレーンが必要となるため、シーブブロックを取付け、取外しするときの作業が大掛かりとなり、その作業性が低下してしまうという問題がある。
【0010】
さらに、上述した従来技術によるフック装置は、複数本の連結ピンを用いてフックブロックにシーブブロックを固定する構成となっている。このため、例えば2台のロープウインチにそれぞれ別個に巻回された2本のロープをフックブロックのシーブとシーブブロックの補助シーブとに巻回し、これら2本のロープを2台のロープウインチによって同時に巻取って荷物を吊上げる場合に、2台のロープウインチによるロープの巻取り速度に差が生じると、2本のロープに作用する荷重が不均一になってしまう虞れがある。
【0011】
従って、従来技術によるフック装置は、1台のロープウインチを用いて荷物を吊上げる場合に適用されるものであり、2台のロープウインチを用いて重量の大きな荷物を吊上げるのは困難であるという不具合がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、補助シーブが設けられたシーブブロックをフックブロックに対して取付け、取外しするときの作業性を高めることができるようにしたクレーン用フック装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、ロープが巻回されるシーブを回転可能に支持し、吊荷用のフックが設けられたフックブロックと、前記ロープが巻回される補助シーブを回転可能に支持し、前記フックブロックに対し着脱可能に取付けられるシーブブロックとを備えてなるクレーン用フック装置に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記シーブブロックは、前記フックブロックを挟んで両側に配置される2個のシーブブロック組立体と、該各シーブブロック組立体間を連結する連結アームと、該連結アームを前記フックブロックに揺動可能に取付ける1本の取付ピンとにより構成したことにある。
【0015】
請求項2の発明は、前記連結アームは、長さ方向の両端側が前記各シーブブロック組立体に揺動可能に連結された主連結アームと、該主連結アームと共に平行リンクを形成し長さ方向の両端側が前記各シーブブロック組立体に揺動可能に連結された副連結アームとにより構成し、前記取付ピンは、前記主連結アームと前記各シーブブロック組立体との取付部間の中間位置に設ける構成としたことにある。
【0016】
請求項3の発明は、前記シーブブロックの連結アームは、前記各シーブブロック組立体を挟んで前側に配置された前側連結アームと後側に配置された後側連結アームとにより構成し、前記シーブブロックは、前記前側連結アームと後側連結アームとを介して前記フックブロックに揺動可能に取付けられる構成としたことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、2個のシーブブロック組立体を連結アームによって連結し、この連結アームを1本の取付ピンによってフックブロックに取付けることにより、シーブブロックをフックブロックに迅速かつ容易に取付けることができる。また、1本の取付ピンを連結アームから抜取ることにより、フックブロックからシーブブロックを迅速かつ容易に取外すことができる。従って、荷物の重量に応じてフックブロックに対しシーブブロックを取付け、取外しするときの作業性を高めることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、連結アームを、長さ方向の両端側が各シーブブロック組立体に揺動可能に連結され、互いに平行リンクを形成する主連結アームと副連結アームとによって構成したので、取付ピンを中心として各シーブブロック組立体がフックブロックに対して揺動した場合でも、各シーブブロック組立体に支持された補助シーブの軸中心を、フックブロックに支持されたシーブの軸中心に対して常に平行に保つことができる。この結果、フックブロックのシーブとシーブブロック組立体の補助シーブとに巻回されたロープを、常に円滑に巻取り、巻出すことができる。
【0019】
また、取付ピンを、主連結アームと各シーブブロック組立体との取付部間の中間位置に設けることにより、一方のシーブブロック組立体と他方のシーブブロック組立体とを、それぞれ取付ピンから等距離に配置することができる。これにより、一方のシーブブロック組立体の補助シーブに巻回されたロープと、他方のシーブブロック組立体の補助シーブに巻回されたロープに対し、常に均等な荷重を作用させることができ、吊荷作業を円滑に行うことができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、各シーブブロック組立体を挟んで前,後に配置された前側連結アームと後側連結アームとは、それぞれ取付ピンを介してフックブロックに揺動可能に取付けられる。これにより、フックブロックに対するシーブブロックの取付強度を高めることができ、かつ、シーブブロックの揺動動作を安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るクレーン用フック装置の実施の形態を、クローラクレーンに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
図1において、1はクローラクレーンで、該クローラクレーン1は、クローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3とを備えている。そして、上部旋回体3はベースとなる旋回フレーム4を有し、該旋回フレーム4の前部右側には、運転室を画成するキャブ5が設けられ、旋回フレーム4の前端側には後述のブーム7が設けられている。また、旋回フレーム4の後端側には、吊荷等との重量バランスをとるカウンタウエイト6が設けられている。
【0023】
7は上部旋回体3の前部側に起伏可能に設けられたブームで、該ブーム7は、基端側が旋回フレーム4の前端側に上,下方向に回動可能に取付けられ、後述の起伏ロープ17を巻取り、巻出すことにより、旋回フレーム4に対して上,下方向に起伏するものである。ここで、ブーム7の先端側には、ガイドシーブブラケット8とトップシーブブラケット9とが設けられ、図8及び図9等に示すように、ガイドシーブブラケット8には、2枚のガイドシーブ8A,8Bが左,右方向に並んで回転可能に支持され、トップシーブブラケット9には、複数枚のトップシーブ9A,9A,…が左,右方向に並んで回転可能に支持されている。
【0024】
10は旋回フレーム4上に立設されたA型フレームで、該A型フレーム10は、前脚部10Aと後脚部10Bとにより略A字状に形成されている。そして、A型フレーム10の上端側には、ガイドシーブ10Cが回転可能に取付けられると共に、後述のブームハンガ18が取付けられている。
【0025】
11は旋回フレーム4の前部側に設けられた主巻用のロープウインチ(以下、主巻ウインチ11という)で、該主巻ウインチ11は、後述の主巻ロープ15が巻回されたドラムを回転させることにより、この主巻ロープ15を巻取り、巻出すものである。
【0026】
12,13は主巻ウインチ11の後側に位置して旋回フレーム4に設けられた補巻用のロープウインチ(以下、補巻ウインチ12,13という)で、これら各補巻ウインチ12,13は、後述の補巻ロープ16を巻取り、巻出すものである。また、14は補巻ウインチ13の後側に位置して旋回フレーム4の後部側に設けられた起伏用のロープウインチ(以下、起伏ウインチ14という)で、該起伏ウインチ14は、後述の起伏ロープ17を巻取り、巻出すものである。
【0027】
15は一端側が主巻ウインチ11に巻回されたワイヤロープからなる主巻ロープで、図8及び図9に示すように、主巻ロープ15の他端側は、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Aからトップシーブ9Aへと案内され、該トップシーブ9Aと後述するフック装置21の各シーブ25等との間に巻回されるものである。
【0028】
16は一端側が補巻ウインチ12に巻回された補巻ロープで、図9に示すように、補巻ロープ16の他端側は、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Bからトップシーブ9Aへと案内され、該トップシーブ9Aと後述するフック装置21の各シーブ25等との間に巻回されるものである。
【0029】
17は一端側が起伏ウインチ14に巻回された起伏ロープで、図1に示すように、起伏ロープ17の他端側は、A型フレーム10のガイドシーブ10Cを介してブームハンガ18とブームブライドル19との間に巻回されている。また、ブームブライドル19にはペンダントロープ20の一端側が接続され、該ペンダントロープ20の他端側は、ブーム7の先端側に設けたガイドシーブブラケット8に接続されている。
【0030】
21は吊荷(図示せず)を引っ掛けて保持するフック装置で、該フック装置21は、図2ないし図7に示すように、後述のフックブロック22と、シーブブロック29とにより大略構成されている。
【0031】
22はフック装置21のベースとなるフックブロックで、該フックブロック22は、図5等に示すように、全体として上,下方向に延びる角筒状の枠体23と、該枠体23の上端側に取付けられた後述の各シーブ25と、枠体23の下端側に取付けられた後述のフック27とにより構成されている。
【0032】
ここで、枠体23は、長方形の平板状に形成され一定の間隔をもって前,後方向で対面する前板23A,後板23Bと、長方形の平板状に形成され一定の間隔をもって対面した状態で前板23A,後板23B間を接続する2枚の接続板23C,23Dとにより、強固な角筒状に形成されている。そして、各接続板23C,23Dの上端側は、前板23A,後板23Bの上端側から上方に突出し、これら各接続板23C,23Dの上端側には、後述の各シーブ25が回転可能に支持される構成となっている。一方、前板23A,後板23Bの上端側には、後述の取付ピン44が挿通されるピン挿通孔23E(前板23A側のみ図示)がそれぞれ穿設されている。
【0033】
24は枠体23の前板23A,後板23B間に設けられたフック取付板で、該フック取付板24の前,後方向の両端側には、それぞれ支軸24Aが設けられ、該支軸24Aは、前板23A,後板23Bの下端側に上,下方向に回転可能に支持されている(前板23A側のみ図示)。そして、フック取付板24の前,後方向の中間部位には、後述のフック27が回転可能に取付けられる構成となっている。
【0034】
25,25,…は枠体23の上端側に回転可能に設けられた複数枚のシーブで、該各シーブ25は、主巻ロープ15、または補巻ロープ16が巻回されるものである。ここで、枠体23を構成する各接続板23C,23Dの上端側には、軸26の両端部が抜止め状態に取付けられており、各シーブ25は、この軸26に軸受(図示せず)を介して回転可能に支持されている。
【0035】
27は枠体23の下端側に設けられたフックで、該フック27は、吊上げるべき荷物(吊荷)を掛止めして保持するものである。ここで、フック27は、全体としてほぼ逆T字状をなす強固な鋳造物として形成され、上,下方向に延びる軸部27Aと、該軸部27Aの下端側から上向きに屈曲した一対の掛止め部27B,27Bとにより構成されている。そして、軸部27Aの上端側は、軸受28を介してフック取付板24に回転可能に支持されている。これにより、フック27は、軸部27Aを中心として水平方向(図5中の矢示A方向)に回転すると共に、フック取付板24の支軸24Aを中心として、枠体23の各接続板23C,23Dと衝合しない範囲で上,下方向(図5中の矢示B方向)に回動する構成となっている。
【0036】
29はフックブロック22に対して着脱可能に取付けられるシーブブロックで、該シーブブロック29は、重量の大きな荷物を吊上げるときにフックブロック22に追加して取付けられるものである。そして、シーブブロック29は、図6等に示すように、後述する各シーブブロック組立体30,34と、各主連結アーム38,39と、各副連結アーム41,42と、取付ピン44とにより構成されている。そして、シーブブロック29は、フックブロック22よりも軽量に構成されている。
【0037】
30は一対のシーブブロック組立体のうち一方のシーブブロック組立体で、このシーブブロック組立体30は、フックブロック22を挟んで後述する他方のシーブブロック組立体34と対をなすものである。そして、一方のシーブブロック組立体30は、角筒状の枠体31と、該枠体31の上端側に設けられた後述の各補助シーブ33とにより構成されている。
【0038】
ここで、枠体31は、四角形の平板状に形成され一定の間隔をもって前,後方向で対面する前板31A,後板31Bと、四角形の平板状に形成され一定の間隔をもって対面した状態で前板31A,後板31B間を接続する2枚の接続板31C,31Dとにより、強固な角筒状に形成されている。そして、各接続板31C,31Dの上端側は、前板31A,後板31Bの上端側から上方に突出し、これら各接続板31C,31Dの上端側には、軸32の両端側が抜止め状態に取付けられている。
【0039】
33,33,…は枠体31の上端側に回転可能に設けられた複数枚の補助シーブで、該各補助シーブ33は、フックブロック22の各シーブ25と同一形状を有している。ここで、各補助シーブ33は、枠体31を構成する各接続板31C,31Dの上端側に取付けられた軸32に、軸受(図示せず)を介して回転可能に支持されている。この場合、各補助シーブ33を支持する軸32は、フックブロック22の各シーブ25を支持する軸26と平行に配置される構成となっている。
【0040】
34は一対のシーブブロック組立体のうち他方のシーブブロック組立体で、このシーブブロック組立体34は、上述したシーブブロック組立体30と同一形状を有している。即ち、シーブブロック組立体34は、シーブブロック組立体30と同様に、前板35A,後板35Bと、2枚の接続板35C,35Dとにより角筒状に形成された枠体35と、該枠体35の上端側に軸36を介して回転可能に支持された複数の補助シーブ37,37,…とにより構成されている。そして、各補助シーブ37を支持する軸36は、フックブロック22の各シーブ25を支持する軸26と平行に配置される構成となっている。
【0041】
38,39は2個のシーブブロック組立体30,34を挟んで前側と後側とにそれぞれ配置された前,後の主連結アームで、図6等に示すように、これら前側主連結アーム38と後側主連結アーム39とは、各シーブブロック組立体30,34間を一体的に連結するものである。
【0042】
ここで、前側主連結アーム38は、帯状に延びた平板からなり、長さ方向の一端側が、シーブブロック組立体30を構成する枠体31の前板31Aにピン40を用いて回動可能にピン結合され、長さ方向の他端側が、シーブブロック組立体34を構成する枠体35の前板35Aにピン40を用いて回動可能にピン結合されている。また、前側主連結アーム38のうち、各シーブブロック組立体30,34との取付部(ピン40の位置)間の中間位置には、後述の取付ピン44が挿通されるピン挿通孔38Aが穿設されている。
【0043】
一方、後側主連結アーム39は、前側連結アーム38と同一形状をなし、長さ方向の一端側が、シーブブロック組立体30を構成する枠体31の後板31Bにピン40を用いて回動可能にピン結合され、長さ方向の他端側が、シーブブロック組立体34を構成する枠体35の後板35Bにピン40を用いて回動可能にピン結合されている。また、後側主連結アーム39のうち、各シーブブロック組立体30,34との取付部間の中間位置には、後述の取付ピン44が挿通されるピン挿通孔39Aが穿設されている。
【0044】
41,42はシーブブロック組立体30,34を挟んで前側と後側とにそれぞれ配置された前,後の副連結アームで、これら前側副連結アーム41と後側副連結アーム42とは、それぞれ前,後の主連結アーム38,39の上側に配置され、各シーブブロック組立体30,34間を一体的に連結するものである。
【0045】
ここで、前側副連結アーム41は、前側主連結アーム38よりも狭幅な細長い平板状をなし、長さ方向の一端側が、シーブブロック組立体30を構成する枠体31の前板31Aにピン43を用いて回動可能にピン結合され、長さ方向の他端側が、シーブブロック組立体34を構成する枠体35の前板35Aにピン43を用いて回動可能にピン結合されている。
【0046】
一方、後側副連結アーム42は、前側副連結アーム41と同一形状をなし、長さ方向の一端側が、シーブブロック組立体30を構成する枠体31の後板31Bにピン(図示せず)を用いて回動可能にピン結合され、長さ方向の他端側が、シーブブロック組立体34を構成する枠体35の後板35Bにピン(図示せず)を用いて回動可能にピン結合されている。
【0047】
この場合、前側主連結アーム38と前側副連結アーム41とは、各シーブブロック組立体30,34の枠体31,35間で平行リンクを形成している。また、後側主連結アーム39と後側副連結アーム42とは、各シーブブロック組立体30,34の枠体31,35間で平行リンクを形成している。これにより、例えば図3に示すように、後述の取付ピン44を中心として、シーブブロック組立体30,34がフックブロック22に対して上,下方向に揺動した場合でも、シーブブロック組立体30に支持された各補助シーブ33の軸中心と、シーブブロック組立体34に支持された各補助シーブ37の軸中心とを、フックブロック22に支持されたシーブ25の軸中心に対して常に平行な状態に保つことができる構成となっている。
【0048】
44は前側主連結アーム38と後側主連結アーム39とをフックブロック22に揺動可能に取付ける1本の取付ピンで、該取付ピン44は、図7等に示すように、大径な円柱状に形成されている。そして、取付ピン44は、前側主連結アーム38に穿設されたピン挿通孔38Aと、フックブロック22を構成する枠体23の前板23A,後板23Bに穿設されたピン挿通孔23Eと、後側主連結アーム39に穿設されたピン挿通孔39Aとに挿通され、軸方向に抜止めされている。
【0049】
これにより、前,後の主連結アーム38,39と前,後の副連結アーム41,42とを介して連結された一対のシーブブロック組立体30,34が、フックブロック22に対し、1本の取付ピン44を中心として上,下方向に揺動可能に取付けられている。
【0050】
この場合、図2に示すように、取付ピン44は、前側主連結アーム38と各シーブブロック組立体30,34との取付部(ピン40の位置)との中間位置で、前側主連結アーム38とフックブロック22との間を結合している。また、取付ピン44は、後側主連結アーム39と各シーブブロック組立体30,34との取付部との中間位置で、後側主連結アーム39とフックブロック22との間を結合している。
【0051】
即ち、一方のシーブブロック組立体30と前,後の主連結アーム38,39とを連結するピン40と取付ピン44との間の距離Lと、他方のシーブブロック組立体34と前,後の主連結アーム38,39とを連結するピン40と取付ピン44との間の距離Lとは等しく設定されている。
【0052】
このため、主巻ウインチ11から延びる主巻ロープ15を、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの半分と、フックブロック22のシーブ25及び一方のシーブブロック組立体30の補助シーブ33とに巻回し、補巻ウインチ12から延びる補巻ロープ16を、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの残り半分と、フックブロック22のシーブ25及び他方のシーブブロック組立体34の補助シーブ37とに巻回した状態で、これら主巻ロープ15と補巻ロープ16とを、それぞれ主巻ウインチ11と補巻ウインチ12とによって同時に巻取って荷物を吊上げる場合に、主巻ロープ15と補巻ロープ16とに対し、常に均等な荷重が作用する構成となっている。即ち、例えばフックブロック22のフック27に荷重Wの荷物を吊下げたときに、主巻ロープ15と補巻ロープ16とに対し、それぞれW/2の荷重が均等に作用する構成となっている。
【0053】
これにより、主巻ロープ15と補巻ロープ16とを、それぞれ主巻ウインチ11と補巻ウインチ12とによって同時に巻取って荷物を吊上げる場合に、主巻ウインチ11による主巻ロープ15の巻取り速度と、補巻ウインチ12による補巻ロープ16の巻取り速度との間に差が生じたとしても、主巻ロープ15と補巻ロープ16とに作用する荷重を常に均等化することができ、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12とを用いた吊荷作業を円滑に行うことができる構成となっている。
【0054】
このように、フック装置21は、フックブロック22と、このフックブロック22に着脱可能に取付けられるシーブブロック29とにより構成されている。そして、比較的小さい重量の荷物を吊上げるときには、フックブロック22のみを単独で小荷重用のフック装置として用い、比較的大きな重量の荷物を吊上げるときには、フックブロック22にシーブブロック29を取付けた大荷重用のフック装置21として用いる構成となっている。
【0055】
ここで、フックブロック22のみを単独で小荷重用のフック装置として用いる場合には、図8に示すように、一端側が主巻ウインチ11に巻回された主巻ロープ15の他端側を、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Aを介してトップシーブブラケット9側に導出する。そして、トップシーブブラケット9に支持された複数のトップシーブ9Aと、フックブロック22に支持された複数のシーブ25とに、順次主巻ロープ15を巻回した後、この主巻ロープ15の他端部15Aを、トップシーブブラケット9に係止する。
【0056】
従って、主巻ウインチ11によって主巻ロープ15を巻取り、巻出すことにより、フックブロック22からシーブブロック29を取外した小荷重用のフック装置を用いて、比較的小さな重量を有する荷物の吊荷作業を行うことができる構成となっている。
【0057】
次に、フックブロック22にシーブブロック29を取付けた大荷重用のフック装置21として用いる場合には、図9に示すように、一端側が主巻ウインチ11に巻回された主巻ロープ15の他端側を、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Aを介してトップシーブブラケット9側に導出する。そして、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの半分と、フックブロック22に支持された各シーブ25の半分、及び一方のシーブブロック組立体30に支持された各補助シーブ33とに、順次主巻ロープ15を巻回した後、この主巻ロープ15の他端部15Aを、トップシーブブラケット9に係止する。
【0058】
また、一端側が補巻ウインチ12に巻回された補巻ロープ16の他端側を、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Bを介してトップシーブブラケット9側に導出する。そして、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの残り半分と、フックブロック22に支持された各シーブ25の残り半分、及び他方のシーブブロック組立体34に支持された各補助シーブ37とに、順次補巻ロープ16を巻回した後、この補巻ロープ16の他端部16Aを、トップシーブブラケット9に係止する。
【0059】
従って、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12によって主巻ロープ15と補巻ロープ16を同時に巻取り、巻出すことにより、フックブロック22にシーブブロック29を取付けた大荷重用のフック装置21を用いて、比較的大きな重量を有する荷物の吊荷作業を行うことができる構成となっている。
【0060】
本実施の形態によるフック装置21は、上述の如き構成を有するもので、まず、吊上げるべき荷物の重量が比較的小さいときには、図5に示すフックブロック22のみを単独で小荷重用のフック装置として用いる。
【0061】
この場合には、図8に示すように、一端側が主巻ウインチ11に巻回された主巻ロープ15の他端側を、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Aを介してトップシーブブラケット9側に導出する。そして、トップシーブブラケット9に支持された複数のトップシーブ9Aと、フックブロック22に支持された複数のシーブ25とに、順次主巻ロープ15を巻回した後、この主巻ロープ15の他端部15Aを、トップシーブブラケット9に係止する。
【0062】
この状態で、主巻ウインチ11によって主巻ロープ15を巻取り、巻出すことにより、フックブロック22を昇降させることができ、該フックブロック22のフック27に掛止めした、比較的重量の小さな荷物(図示せず)を運搬することができる。
【0063】
次に、吊上げるべき荷物の重量が比較的大きいときには、図4等に示すように、フックブロック22にシーブブロック29を取付けた大荷重用のフック装置21を用いる。
【0064】
ここで、フックブロック22にシーブブロック29を取付ける場合には、図7に示すように、フックブロック22を、前,後の主連結アーム38,39と前,後の副連結アーム41,42とを介して連結された一対のシーブブロック組立体30,34によって挟込んだ状態で、前側主連結アーム38のピン挿通孔38A、フックブロック22を構成する枠体23のピン挿通孔23E、後側主連結アーム39のピン挿通孔39Aに、1本の取付ピン44を抜止め状態に挿通する。
【0065】
このようにして、一対のシーブブロック組立体30,34と、前,後の主連結アーム38,39と、前,後の副連結アーム41,42とからなるシーブブロック29を、1本の取付ピン44を用いてフックブロック22に揺動可能に取付けることができる。この結果、フックブロック22にシーブブロック29に取付ける作業を迅速かつ容易に行うことができ、その作業性を高めることができる。
【0066】
そして、フックブロック22とシーブブロック29からなる大荷重用のフック装置21を用いる場合には、図9に示すように、一端側が主巻ウインチ11に巻回された主巻ロープ15の他端側を、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Aを介してトップシーブブラケット9側に導出する。そして、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの半分と、フックブロック22に支持された各シーブ25の半分、及び一方のシーブブロック組立体30に支持された各補助シーブ33とに、順次主巻ロープ15を巻回した後、この主巻ロープ15の他端部15Aを、トップシーブブラケット9に係止する。
【0067】
また、一端側が補巻ウインチ12に巻回された補巻ロープ16の他端側を、ブーム7の先端側に設けられたガイドシーブ8Bを介してトップシーブブラケット9側に導出する。そして、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの残り半分と、フックブロック22に支持された各シーブ25の残り半分、及び他方のシーブブロック組立体34に支持された各補助シーブ37とに、順次補巻ロープ16を巻回した後、この補巻ロープ16の他端部16Aを、トップシーブブラケット9に係止する。
【0068】
この状態で、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12によって主巻ロープ15と補巻ロープ16を同時に巻取り、巻出すことにより、フックブロック22とシーブブロック29とからなる大荷重用のフック装置21を昇降させることができ、フック27に掛止めした比較的重量の大きな荷物(図示せず)を運搬することができる。
【0069】
ここで、シーブブロック29を構成する一方のシーブブロック組立体30と他方のシーブブロック組立体34との間は、前,後の主連結アーム38,39と前,後の副連結アーム41,42とによって連結され、前側主連結アーム38と前側副連結アーム41とは互いに平行リンクを形成し、後側主連結アーム39と後側副連結アーム42とは互いに平行リンクを形成している。このため、例えば図3に示すように、取付ピン44を中心として、シーブブロック組立体30,34がフックブロック22に対して上,下方向に揺動した場合でも、シーブブロック組立体30に支持された各補助シーブ33の軸中心と、シーブブロック組立体34に支持された各補助シーブ37の軸中心とを、フックブロック22に支持されたシーブ25の軸中心に対して常に平行に保つことができる。
【0070】
この結果、フックブロック22の各シーブ25及びシーブブロック組立体30の各補助シーブ33とトップシーブ9Aとの間に巻回された主巻ロープ15を、常に円滑に巻取り、巻出すことができる。また、フックブロック22の各シーブ25及びシーブブロック組立体34の各補助シーブ37とトップシーブ9Aとの間に巻回された補巻ロープ16を、常に円滑に巻取り、巻出すことができる。
【0071】
また、図2に示すように、一方のシーブブロック組立体30と前,後の主連結アーム38,39とを連結するピン40と取付ピン44との間の距離Lと、他方のシーブブロック組立体34と前,後の主連結アーム38,39とを連結するピン40と取付ピン44との間の距離Lとは等しく設定されている。
【0072】
これにより、主巻ロープ15を、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの半分と、フックブロック22のシーブ25及び一方のシーブブロック組立体30の補助シーブ33とに巻回し、補巻ロープ16を、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの残り半分と、フックブロック22のシーブ25及び他方のシーブブロック組立体34の補助シーブ37とに巻回した状態で、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12とによって主巻ロープ15と補巻ロープ16とを同時に巻取った場合に、主巻ロープ15と補巻ロープ16とに対し、常に均等な荷重W/2を作用させることができる。
【0073】
このため、主巻ロープ15と補巻ロープ16とを、それぞれ主巻ウインチ11と補巻ウインチ12とによって同時に巻取って荷物を吊上げる場合に、主巻ウインチ11による主巻ロープ15の巻取り速度と、補巻ウインチ12による補巻ロープ16の巻取り速度との間に差が生じたとしても、主巻ロープ15と補巻ロープ16とに作用する荷重を常に均等化することができるので、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12との複数のウインチを用いることにより、大きな重量を有する荷物の吊荷作業を円滑に行うことができる。
【0074】
次に、本実施の形態による大荷重用のフック装置21は、フックブロック22からシーブブロック29を取外すときに、クローラクレーン1以外の補助クレーンを不要にできるようになっており、以下、図10ないし図12を参照しつつ、フックブロック22からシーブブロック29を取外す作業について説明する。
【0075】
まず、図10に示すように、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12から、主巻ロープ15と補巻ロープ16とをそれぞれ巻出すことにより、大荷重用のフック装置21を地面に向けて下し、フックブロック22の枠体23を地面上に載置する。
【0076】
次に、シーブブロック29を構成する前,後の主連結アーム38,39とフックブロック22から、これら両者間を結合する1本の取付ピン44を抜取る。これにより、地面上に載置されたフックブロック22と、主巻ロープ15と補巻ロープ16とによって吊下げられたシーブブロック29とを分離することができる。
【0077】
この状態で、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12によって主巻ロープ15と補巻ロープ16を同時に巻取る。この場合、フックブロック22とシーブブロック29とは互いに分離され、シーブブロック29は、フックブロック22よりも軽量に形成されている。このため、主巻ロープ15と補巻ロープ16を巻取ることにより、図11に示すように、重量が大きいフックブロック22を地面上に残したままの状態で、シーブブロック29のみを上昇させることができる。
【0078】
そして、地面上に残されたフックブロック22とシーブブロック29とが、上,下方向に大きく離間した状態で、例えば図1に示す上部旋回体3を旋回させることにより、ブーム7の先端側に設けられたトップシーブブラケット9及び各トップシーブ9A等を、図11中の矢示C方向(水平方向)に移動させる。これにより、主巻ロープ15と補巻ロープ16とに吊下げられたシーブブラケット29を、フックブロック22に対して水平方向に離間させることができる。
【0079】
この状態で、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12から、再び主巻ロープ15と補巻ロープ16とを巻出すことにより、図12に示すように、フックブロック22から離れた位置にシーブブロック29を下し、該シーブブロック29を地面上に載置する。
【0080】
そして、図1に示す起伏ウインチ14から起伏ロープ17を巻出すことにより、ブーム7の先端を地面側に下した状態で、該ブーム7の先端側に設けられたトップシーブブラケット9から、主巻ロープ15の他端部15Aと補巻ロープ16の先端部16Aとをそれぞれ取外す。
【0081】
次に、主巻ウインチ11によって主巻ロープ15を巻取ることにより、該主巻ロープ15を、各トップシーブ9A、フックブロック22の各シーブ25、シーブブロック29(シーブブロック組立体30)の各補助シーブ33から取外す。また、補巻ウインチ12によって補巻ロープ16を巻取ることにより、該補巻ロープ16を、各トップシーブ9A、フックブロック22の各シーブ25、シーブブロック29(シーブブロック組立体34)の各補助シーブ37から取外す。
【0082】
その後、主巻ロープ15のみを主巻ウインチ11から巻出し、図8に示すように、主巻ロープ15を、トップシーブブラケット9に支持された複数のトップシーブ9Aと、フックブロック22に支持された複数のシーブ25とに巻回した後、この主巻ロープ15の他端部15Aをトップシーブブラケット9に係止する。
【0083】
このようにして、フックブロック22からシーブブロック29を取外すことにより、大荷重用のフック装置21から、フックブロック22のみを単独で用いる小荷重用のフック装置へと迅速に交換することができる。
【0084】
この場合、前,後の主連結アーム38,39とフックブロック22から取付ピン44を抜取ることにより、フックブロック22とシーブブロック29とを分離した状態において、フックブロック22は地面上に載置され、シーブブロック29は主巻ロープ15と補巻ロープ16とによって保持されている(図11参照)。このため、例えば補助クレーン(図示せず)等を用いてシーブブロック29を保持する必要がなく、この補助クレーンを不要にした分、シーブブロック29を取外すときの作業性を高めることができる。
【0085】
また、上述した作業手順を逆に実行することにより、補助クレーンを用いることなく、フックブロック22にシーブブラケット29を取付けることができ、このシーブブロック29を取付けるときの作業性をも高めることができる。
【0086】
かくして、本実施の形態によるフック装置21は、シーブブロック29を構成する前,後の主連結アーム38,39を、フックブロック22に対し、1本の取付ピン44を用いて揺動可能に取付ける構成としている。
【0087】
これにより、大荷重用のフック装置21を構成するためにフックブロック22にシーブブロック29を取付ける作業、フックブロック22のみを小荷重用のフック装置として用いるためにフックブロック22からシーブブロック29を取外す作業を、1本の取付ピン44を抜差しするだけで迅速かつ容易に行うことができる。この結果、吊上げるべき荷物の重量に応じて、フックブロック22に対してシーブブロック29を取付け、取外すときの作業性を著しく高めることができる。
【0088】
また、本実施の形態によるフック装置21は、シーブブロック29を構成する2個のシーブブロック組立体30,34間を、前,後の主連結アーム38,39と前,後の副連結アーム41,42とによって連結し、前側主連結アーム38と前側副連結アーム41とが平行リンクを形成し、後側主連結アーム39と後側副連結アーム42とが平行リンクを形成している。
【0089】
これにより、取付ピン44を中心として、シーブブロック組立体30,34がフックブロック22に対して上,下方向に揺動した場合でも、シーブブロック組立体30に支持された各補助シーブ33の軸中心と、シーブブロック組立体34に支持された各補助シーブ37の軸中心とを、フックブロック22に支持されたシーブ25の軸中心に対して常に平行に保つことができる(図3参照)。この結果、フックブロック22の各シーブ25及びシーブブロック組立体30の各補助シーブ33とトップシーブ9Aとの間に巻回された主巻ロープ15、フックブロック22の各シーブ25及びシーブブロック組立体34の各補助シーブ37とトップシーブ9Aとの間に巻回された補巻ロープ16を、常に円滑に巻取り、巻出すことができる。
【0090】
また、本実施の形態によるフック装置21は、図2に示すように、前,後の主連結アーム38,39と各シーブブロック組立体30,34との取付部間の中間位置に取付ピン44を設けることにより、一方のシーブブロック組立体30と前,後の主連結アーム38,39とを連結するピン40と取付ピン44との間の距離Lと、他方のシーブブロック組立体34と前,後の主連結アーム38,39とを連結するピン40と取付ピン44との間の距離Lとを等しく設定している。
【0091】
これにより、主巻ロープ15を、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの半分と、フックブロック22のシーブ25及び一方のシーブブロック組立体30の補助シーブ33とに巻回し、補巻ロープ16を、トップシーブブラケット9に支持された各トップシーブ9Aの残り半分と、フックブロック22のシーブ25及び他方のシーブブロック組立体34の補助シーブ37とに巻回した状態で、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12とによって主巻ロープ15と補巻ロープ16とを同時に巻取った場合に、主巻ロープ15と補巻ロープ16とに対し、常に均等な荷重を作用させることができる。この結果、主巻ウインチ11と補巻ウインチ12との複数のウインチを用いることにより、大きな重量を有する荷物の吊荷作業を円滑に行うことができる。
【0092】
さらに、本実施の形態によるフック装置21は、各シーブブロック組立体30,34を挟んで前側に前側主連結アーム38を配置すると共に後側に後側主連結アーム39を配置し、シーブブロック22は、これら前側主連結アーム38と後側連結アーム39とを取付ピン44をによってフックブロック22に取付けることにより、当該フックブロック22に対して揺動可能に取付けられる。これにより、フックブロック22に対するシーブブロック29の取付強度を高めることができ、かつ、フックブロック22に対するシーブブロック29の揺動動作を安定させることができる。
【0093】
なお、上述した実施の形態では、各シーブブロック組立体30,34間を、前,後の主連結アーム38,39と前,後の副連結アーム41,42との合計4個の連結アームによって連結した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前,後の主連結アーム38,39のうちいずれか一方の主連結アームと、前,後の副連結アーム41,42のうちいずれか一方の副連結アームとの合計2個の連結アームによって各シーブブロック組立体30,34間を連結する構成としてもよい。
【0094】
また、上述した実施の形態では、自走可能なクローラ式の下部走行体2を備えたクローラクレーン1に適用した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば定位置に固定された定置式クレーンに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施の形態によるフック装置が適用されたクローラクレーンを示す正面図である。
【図2】フック装置を図1中の矢示II―II方向から拡大してみた側面図である。
【図3】図2中のシーブブロックがフックブロックに対して揺動した状態を示す側面図である。
【図4】フック装置を単体で示す斜視図である。
【図5】フックブロックを単体で示す斜視図である。
【図6】シーブブロックを単体で示す斜視図である。
【図7】フックブロック、シーブブロック、取付ピンを分解した状態で示す分解斜視図である。
【図8】フックブロックの各シーブに対するロープの取付け状態を概略的に示す斜視図である。
【図9】フックブロックの各シーブとシーブブロックの各補助シーブとに対するロープの取付け状態を概略的に示す斜視図である。
【図10】シーブブロックの取外し作業時に、フック装置のフックブロックを地面に下ろした状態を示す側面図である。
【図11】フックブロックから取外したシーブブロックを吊上げた状態を示す側面図である。
【図12】フックブロックとシーブブロックとを地面に下ろした状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0096】
1 クローラクレーン
11 主巻ウインチ
12 補巻ウインチ
15 主巻ロープ
16 補巻ロープ
21 フック装置
22 フックブロック
25 シーブ
27 フック
29 シーブブロック
30,34 シーブブロック組立体
33,37 補助シーブ
38 前側主連結アーム
39 後側主連結アーム
41 前側副連結アーム
42 後側副連結アーム
44 取付ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープが巻回されるシーブを回転可能に支持し、吊荷用のフックが設けられたフックブロックと、前記ロープが巻回される補助シーブを回転可能に支持し、前記フックブロックに対し着脱可能に取付けられるシーブブロックとを備えてなるクレーン用フック装置において、
前記シーブブロックは、前記フックブロックを挟んで両側に配置される2個のシーブブロック組立体と、該各シーブブロック組立体間を連結する連結アームと、該連結アームを前記フックブロックに揺動可能に取付ける1本の取付ピンとにより構成したことを特徴とするクレーン用フック装置。
【請求項2】
前記連結アームは、長さ方向の両端側が前記各シーブブロック組立体に揺動可能に連結された主連結アームと、該主連結アームと共に平行リンクを形成し長さ方向の両端側が前記各シーブブロック組立体に揺動可能に連結された副連結アームとにより構成し、
前記取付ピンは、前記主連結アームと前記各シーブブロック組立体との取付部間の中間位置に設ける構成としてなる請求項1に記載のクレーン用フック装置。
【請求項3】
前記シーブブロックの連結アームは、前記各シーブブロック組立体を挟んで前側に配置された前側連結アームと後側に配置された後側連結アームとにより構成し、前記シーブブロックは、前記前側連結アームと後側連結アームとを介して前記フックブロックに揺動可能に取付けられる構成としてなる請求項1または2に記載のクレーン用フック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−102139(P2009−102139A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276509(P2007−276509)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)
【Fターム(参考)】