クレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法
【課題】ワイヤ緊張装置のようなクレーンの設置時にしか使用しない専用の装置を不要とし得、該装置の初期購入費用並びに維持管理費用の削減を図り得るクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法を提供する。
【解決手段】ワイヤドラムに巻き取られたワイヤ８を一旦他のウインチドラムとしての起伏ウインチドラム１１に巻き取り、このワイヤ８を、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ｂと、ジブ５先端のシーブ５ｂと、吊荷用フック７のシーブ７ａと、ジブ５先端のシーブ５ａと、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ａとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に接続し、ジブ５を他のクレーン２０で吊り下げて支持した状態で、吊荷用フック７に張力付与ウェイト１５を吊り下げ、起伏ウインチドラム１１からワイヤ８を繰り出しつつ巻上ウインチドラム９に巻き取る。
【解決手段】ワイヤドラムに巻き取られたワイヤ８を一旦他のウインチドラムとしての起伏ウインチドラム１１に巻き取り、このワイヤ８を、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ｂと、ジブ５先端のシーブ５ｂと、吊荷用フック７のシーブ７ａと、ジブ５先端のシーブ５ａと、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ａとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に接続し、ジブ５を他のクレーン２０で吊り下げて支持した状態で、吊荷用フック７に張力付与ウェイト１５を吊り下げ、起伏ウインチドラム１１からワイヤ８を繰り出しつつ巻上ウインチドラム９に巻き取る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、クレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、構築物を建設する際には、クライミングクレーン等のクレーンが用いられている。
【０００３】
図２は一般的なクライミングクレーンを示す概略図であって、クライミングクレーン１は、上方へブロック２ａを順次継ぎ足し可能なマスト２の頂部に、昇降ユニット３を介して旋回体４を旋回自在に配置し、該旋回体４上にジブ５を起伏自在に取り付け、前記旋回体４に、後方へ延びるカウンタフレーム６を一体に設け、該カウンタフレーム６上に、吊荷用フック７を吊り下げるワイヤ８を巻上げ下げするための巻上ウインチドラム９と、ジブ５の起伏用のワイヤ１０を巻上げ下げするための起伏ウインチドラム１１とを設置してなる構成を有している。
【０００４】
ところで、前述の如きクライミングクレーン１の場合、最終的に地上からの高さが高くなる関係上、前記巻上ウインチドラム９に巻き取られるワイヤ８の長さが長くなり、このため、通常、前記巻上ウインチドラム９は、そのドラム本体外周面にワイヤ８が一つの層ではなく複数の層となるよう巻き取られる、いわゆる多層巻ウインチドラムとなる。尚、前記起伏ウインチドラム１１は、そのドラム本体外周面にワイヤ１０が一つの層となるよう巻き取られる、いわゆる単層巻ウインチドラムとなることが多い。
【０００５】
そして、建設現場において前述の如きクライミングクレーン１を設置する際には、図３に示される如く、旋回体４が旋回自在に配置された昇降ユニット３を地上に立設し、長手方向に分割されたジブ５を地上で組み立て、該組み立てられたジブ５を他のクレーン（図示せず）で吊り上げて前記旋回体４上に起伏自在に取り付けられているジブ５の基端部に連結する一方、ワイヤドラム１２に巻き取られた状態で搬入されるワイヤ８を繰り出し、ワイヤ緊張装置１３を介して所要の張力を付与しつつ、ジブ５先端のシーブ５ａと、前記旋回体４上に立設されたガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ａとに順次掛け回して前記巻上ウインチドラム９に巻き取るようになっている。
【０００６】
ここで、特に、前記多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に前記ワイヤドラム１２のワイヤ８を巻き取る際には、該ワイヤ８に所要の張力を付与した状態で巻き取りを行わないと、前記巻上ウインチドラム９に対しワイヤ８が乱巻き状態（ワイヤ８が巻上ウインチドラム９の軸方向へ整然と巻かれずに雑然と巻かれた状態）となったり、緩んだ状態で巻き込まれ、前記ワイヤ８が該ワイヤ８間の隙間に食い込む等して傷む虞があるため、前記多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に前記ワイヤドラム１２のワイヤ８を巻き取る際には、ワイヤ緊張装置１３によりワイヤ８に所要の張力を付与しながら巻き取りを行う必要があった。
【０００７】
因みに、前記巻上ウインチドラム９の場合と同様に、ワイヤドラム（図示せず）に巻き取られた状態で搬入されるワイヤ１０を繰り出して前記起伏ウインチドラム１１に巻き取る作業が行われるが、該起伏ウインチドラム１１は、通常、単層巻ウインチドラムであるため、ワイヤ緊張装置１３を特に使用しなくても、前記ワイヤ１０が該ワイヤ１０間の隙間に食い込む等して傷む心配はない。
【０００８】
尚、クレーン設置時にウインチドラムにワイヤを巻き取る作業に関連した一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献１がある。
【特許文献１】特開平１０−１３９３６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、前述の如く、多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９にワイヤドラム１２のワイヤ８を巻き取る際にワイヤ緊張装置１３によりワイヤ８に所要の張力を付与するのでは、クライミングクレーン１の設置時にしか使用しない専用の装置（ワイヤ緊張装置１３）が不可欠となり、該装置の初期購入費用並びに維持や管理に伴う費用が余分にかかってしまい、改善の要求が高まっていた。
【００１０】
尚、特許文献１に開示されたものにおいても、ワイヤに所要の張力を付与するための専用の装置が必要となっていた。
【００１１】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ワイヤ緊張装置のようなクレーンの設置時にしか使用しない専用の装置を不要とし得、該装置の初期購入費用並びに維持管理費用の削減を図り得るクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は、多層巻ウインチドラムと他のウインチドラムとを備えたクレーンを設置する際に、ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを前記多層巻ウインチドラムに巻き取るためのクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法において、
前記ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを一旦他のウインチドラムに巻き取り、
該他のウインチドラムに巻き取られたワイヤを、ガイサポートフレーム頂部のシーブと、ジブ先端のシーブと、吊荷用フックのシーブと、ジブ先端のシーブと、ガイサポートフレーム頂部のシーブとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムに接続し、
前記ジブを支持した状態で、前記吊荷用フックに張力付与ウェイトを吊り下げ、
前記他のウインチドラムからワイヤを繰り出しつつ、前記多層巻ウインチドラムに巻き取ることを特徴とするクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法にかかるものである。
【００１３】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【００１４】
前述の如く構成すると、他のウインチドラムから繰り出されるワイヤに対し張力付与ウェイトによって所要の張力が付与された状態で、該ワイヤを多層巻ウインチドラムに巻き取ることが可能となるため、ワイヤ緊張装置のようなクレーンの設置時にしか使用しない専用の装置を設けなくて済み、該装置の初期購入費用並びに維持や管理に伴う費用が余分にかかってしまうことが避けられる。
【００１５】
前記クレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法においては、前記多層巻ウインチドラムを、前記吊荷用フックを昇降させる巻上ウインチドラムとし、前記他のウインチドラムを、前記ジブを起伏させる起伏ウインチドラムとすることができる。
【発明の効果】
【００１６】
本発明のクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法によれば、ワイヤ緊張装置のようなクレーンの設置時にしか使用しない専用の装置を不要とし得、該装置の初期購入費用並びに維持管理費用の削減を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【００１８】
図１は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図２及び図３と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、ワイヤドラム１２（図３参照）に巻き取られたワイヤ８を一旦他のウインチドラムとしての起伏ウインチドラム１１に巻き取り、
該起伏ウインチドラム１１に巻き取られたワイヤ８を、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ｂと、ジブ５先端のシーブ５ｂと、吊荷用フック７のシーブ７ａと、ジブ５先端のシーブ５ａと、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ａとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に接続し、
前記ジブ５を他のクレーン２０のフック２１から吊下ロープ２２により吊り下げて支持した状態で、前記吊荷用フック７に張力付与ウェイト１５を吊り下げ、
前記起伏ウインチドラム１１からワイヤ８を繰り出しつつ、前記巻上ウインチドラム９に巻き取るようにしたものである。
【００１９】
尚、前記起伏ウインチドラム１１のドラム本体の両端を形成する鏡板は、必要に応じて、前記ワイヤ８を巻き取れるだけの径を有するものとしておく。
【００２０】
次に、上記図示例の作用を説明する。
【００２１】
前述の如く構成すると、他のウインチドラムとしての起伏ウインチドラム１１から繰り出されるワイヤ８に対し張力付与ウェイト１５によって所要の張力が付与された状態で、該ワイヤ８を多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に巻き取ることが可能となる。
【００２２】
このため、ワイヤ緊張装置１３（図３参照）のようなクライミングクレーン１の設置時にしか使用しない専用の装置を設けなくて済み、該装置の初期購入費用並びに維持や管理に伴う費用が余分にかかってしまうことが避けられる。
【００２３】
尚、前記起伏ウインチドラム１１からのワイヤ８の繰り出しが完了した際には、例えば起伏ウインチドラム１１とシーブ１４ｂとの間におけるワイヤ８の所要箇所をガイサポートフレーム１４に仮固定すると共に、前記起伏ウインチドラム１１からワイヤ８の端部を完全に切り離し、該起伏ウインチドラム１１から切り離したワイヤ８の端部を前記ガイサポートフレーム１４の所要箇所に固縛した後、前記ワイヤ８のガイサポートフレーム１４に対する仮固定を解除すれば良い。
【００２４】
又、前述の巻上ウインチドラム９に対するワイヤ８の巻取作業終了後、前記起伏ウインチドラム１１に対して、ワイヤドラム（図示せず）に巻き取られた状態で搬入されるワイヤ１０（図２参照）の巻取作業を行えば良い。
【００２５】
こうして、ワイヤ緊張装置１３のようなクライミングクレーン１の設置時にしか使用しない専用の装置を不要とし得、該装置の初期購入費用並びに維持管理費用の削減を図り得る。
【００２６】
尚、本発明のクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、クライミングクレーンに限らず、多層巻ウインチドラムと他のウインチドラムとを備えたクレーンであればどのようなクレーンにも適用可能なこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図２】一般的なクライミングクレーンを示す概略図である。
【図３】従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
【００２８】
１ クライミングクレーン（クレーン）
２ マスト
２ａ ブロック
３ 昇降ユニット
４ 旋回体
５ ジブ
５ａ シーブ
５ｂ シーブ
７ 吊荷用フック
７ａ シーブ
８ ワイヤ
９ 巻上ウインチドラム（多層巻ウインチドラム）
１１ 起伏ウインチドラム（他のウインチドラム）
１２ ワイヤドラム
１４ ガイサポートフレーム
１４ａ シーブ
１４ｂ シーブ
１５ 張力付与ウェイト
２０ 他のクレーン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、クレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来より、構築物を建設する際には、クライミングクレーン等のクレーンが用いられている。
【０００３】
図２は一般的なクライミングクレーンを示す概略図であって、クライミングクレーン１は、上方へブロック２ａを順次継ぎ足し可能なマスト２の頂部に、昇降ユニット３を介して旋回体４を旋回自在に配置し、該旋回体４上にジブ５を起伏自在に取り付け、前記旋回体４に、後方へ延びるカウンタフレーム６を一体に設け、該カウンタフレーム６上に、吊荷用フック７を吊り下げるワイヤ８を巻上げ下げするための巻上ウインチドラム９と、ジブ５の起伏用のワイヤ１０を巻上げ下げするための起伏ウインチドラム１１とを設置してなる構成を有している。
【０００４】
ところで、前述の如きクライミングクレーン１の場合、最終的に地上からの高さが高くなる関係上、前記巻上ウインチドラム９に巻き取られるワイヤ８の長さが長くなり、このため、通常、前記巻上ウインチドラム９は、そのドラム本体外周面にワイヤ８が一つの層ではなく複数の層となるよう巻き取られる、いわゆる多層巻ウインチドラムとなる。尚、前記起伏ウインチドラム１１は、そのドラム本体外周面にワイヤ１０が一つの層となるよう巻き取られる、いわゆる単層巻ウインチドラムとなることが多い。
【０００５】
そして、建設現場において前述の如きクライミングクレーン１を設置する際には、図３に示される如く、旋回体４が旋回自在に配置された昇降ユニット３を地上に立設し、長手方向に分割されたジブ５を地上で組み立て、該組み立てられたジブ５を他のクレーン（図示せず）で吊り上げて前記旋回体４上に起伏自在に取り付けられているジブ５の基端部に連結する一方、ワイヤドラム１２に巻き取られた状態で搬入されるワイヤ８を繰り出し、ワイヤ緊張装置１３を介して所要の張力を付与しつつ、ジブ５先端のシーブ５ａと、前記旋回体４上に立設されたガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ａとに順次掛け回して前記巻上ウインチドラム９に巻き取るようになっている。
【０００６】
ここで、特に、前記多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に前記ワイヤドラム１２のワイヤ８を巻き取る際には、該ワイヤ８に所要の張力を付与した状態で巻き取りを行わないと、前記巻上ウインチドラム９に対しワイヤ８が乱巻き状態（ワイヤ８が巻上ウインチドラム９の軸方向へ整然と巻かれずに雑然と巻かれた状態）となったり、緩んだ状態で巻き込まれ、前記ワイヤ８が該ワイヤ８間の隙間に食い込む等して傷む虞があるため、前記多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に前記ワイヤドラム１２のワイヤ８を巻き取る際には、ワイヤ緊張装置１３によりワイヤ８に所要の張力を付与しながら巻き取りを行う必要があった。
【０００７】
因みに、前記巻上ウインチドラム９の場合と同様に、ワイヤドラム（図示せず）に巻き取られた状態で搬入されるワイヤ１０を繰り出して前記起伏ウインチドラム１１に巻き取る作業が行われるが、該起伏ウインチドラム１１は、通常、単層巻ウインチドラムであるため、ワイヤ緊張装置１３を特に使用しなくても、前記ワイヤ１０が該ワイヤ１０間の隙間に食い込む等して傷む心配はない。
【０００８】
尚、クレーン設置時にウインチドラムにワイヤを巻き取る作業に関連した一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献１がある。
【特許文献１】特開平１０−１３９３６２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
しかしながら、前述の如く、多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９にワイヤドラム１２のワイヤ８を巻き取る際にワイヤ緊張装置１３によりワイヤ８に所要の張力を付与するのでは、クライミングクレーン１の設置時にしか使用しない専用の装置（ワイヤ緊張装置１３）が不可欠となり、該装置の初期購入費用並びに維持や管理に伴う費用が余分にかかってしまい、改善の要求が高まっていた。
【００１０】
尚、特許文献１に開示されたものにおいても、ワイヤに所要の張力を付与するための専用の装置が必要となっていた。
【００１１】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ワイヤ緊張装置のようなクレーンの設置時にしか使用しない専用の装置を不要とし得、該装置の初期購入費用並びに維持管理費用の削減を図り得るクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は、多層巻ウインチドラムと他のウインチドラムとを備えたクレーンを設置する際に、ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを前記多層巻ウインチドラムに巻き取るためのクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法において、
前記ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを一旦他のウインチドラムに巻き取り、
該他のウインチドラムに巻き取られたワイヤを、ガイサポートフレーム頂部のシーブと、ジブ先端のシーブと、吊荷用フックのシーブと、ジブ先端のシーブと、ガイサポートフレーム頂部のシーブとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムに接続し、
前記ジブを支持した状態で、前記吊荷用フックに張力付与ウェイトを吊り下げ、
前記他のウインチドラムからワイヤを繰り出しつつ、前記多層巻ウインチドラムに巻き取ることを特徴とするクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法にかかるものである。
【００１３】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【００１４】
前述の如く構成すると、他のウインチドラムから繰り出されるワイヤに対し張力付与ウェイトによって所要の張力が付与された状態で、該ワイヤを多層巻ウインチドラムに巻き取ることが可能となるため、ワイヤ緊張装置のようなクレーンの設置時にしか使用しない専用の装置を設けなくて済み、該装置の初期購入費用並びに維持や管理に伴う費用が余分にかかってしまうことが避けられる。
【００１５】
前記クレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法においては、前記多層巻ウインチドラムを、前記吊荷用フックを昇降させる巻上ウインチドラムとし、前記他のウインチドラムを、前記ジブを起伏させる起伏ウインチドラムとすることができる。
【発明の効果】
【００１６】
本発明のクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法によれば、ワイヤ緊張装置のようなクレーンの設置時にしか使用しない専用の装置を不要とし得、該装置の初期購入費用並びに維持管理費用の削減を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１７】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【００１８】
図１は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図２及び図３と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、ワイヤドラム１２（図３参照）に巻き取られたワイヤ８を一旦他のウインチドラムとしての起伏ウインチドラム１１に巻き取り、
該起伏ウインチドラム１１に巻き取られたワイヤ８を、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ｂと、ジブ５先端のシーブ５ｂと、吊荷用フック７のシーブ７ａと、ジブ５先端のシーブ５ａと、ガイサポートフレーム１４頂部のシーブ１４ａとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に接続し、
前記ジブ５を他のクレーン２０のフック２１から吊下ロープ２２により吊り下げて支持した状態で、前記吊荷用フック７に張力付与ウェイト１５を吊り下げ、
前記起伏ウインチドラム１１からワイヤ８を繰り出しつつ、前記巻上ウインチドラム９に巻き取るようにしたものである。
【００１９】
尚、前記起伏ウインチドラム１１のドラム本体の両端を形成する鏡板は、必要に応じて、前記ワイヤ８を巻き取れるだけの径を有するものとしておく。
【００２０】
次に、上記図示例の作用を説明する。
【００２１】
前述の如く構成すると、他のウインチドラムとしての起伏ウインチドラム１１から繰り出されるワイヤ８に対し張力付与ウェイト１５によって所要の張力が付与された状態で、該ワイヤ８を多層巻ウインチドラムとしての巻上ウインチドラム９に巻き取ることが可能となる。
【００２２】
このため、ワイヤ緊張装置１３（図３参照）のようなクライミングクレーン１の設置時にしか使用しない専用の装置を設けなくて済み、該装置の初期購入費用並びに維持や管理に伴う費用が余分にかかってしまうことが避けられる。
【００２３】
尚、前記起伏ウインチドラム１１からのワイヤ８の繰り出しが完了した際には、例えば起伏ウインチドラム１１とシーブ１４ｂとの間におけるワイヤ８の所要箇所をガイサポートフレーム１４に仮固定すると共に、前記起伏ウインチドラム１１からワイヤ８の端部を完全に切り離し、該起伏ウインチドラム１１から切り離したワイヤ８の端部を前記ガイサポートフレーム１４の所要箇所に固縛した後、前記ワイヤ８のガイサポートフレーム１４に対する仮固定を解除すれば良い。
【００２４】
又、前述の巻上ウインチドラム９に対するワイヤ８の巻取作業終了後、前記起伏ウインチドラム１１に対して、ワイヤドラム（図示せず）に巻き取られた状態で搬入されるワイヤ１０（図２参照）の巻取作業を行えば良い。
【００２５】
こうして、ワイヤ緊張装置１３のようなクライミングクレーン１の設置時にしか使用しない専用の装置を不要とし得、該装置の初期購入費用並びに維持管理費用の削減を図り得る。
【００２６】
尚、本発明のクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、クライミングクレーンに限らず、多層巻ウインチドラムと他のウインチドラムとを備えたクレーンであればどのようなクレーンにも適用可能なこと等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図２】一般的なクライミングクレーンを示す概略図である。
【図３】従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
【００２８】
１ クライミングクレーン（クレーン）
２ マスト
２ａ ブロック
３ 昇降ユニット
４ 旋回体
５ ジブ
５ａ シーブ
５ｂ シーブ
７ 吊荷用フック
７ａ シーブ
８ ワイヤ
９ 巻上ウインチドラム（多層巻ウインチドラム）
１１ 起伏ウインチドラム（他のウインチドラム）
１２ ワイヤドラム
１４ ガイサポートフレーム
１４ａ シーブ
１４ｂ シーブ
１５ 張力付与ウェイト
２０ 他のクレーン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
多層巻ウインチドラムと他のウインチドラムとを備えたクレーンを設置する際に、ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを前記多層巻ウインチドラムに巻き取るためのクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法において、
前記ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを一旦他のウインチドラムに巻き取り、
該他のウインチドラムに巻き取られたワイヤを、ガイサポートフレーム頂部のシーブと、ジブ先端のシーブと、吊荷用フックのシーブと、ジブ先端のシーブと、ガイサポートフレーム頂部のシーブとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムに接続し、
前記ジブを支持した状態で、前記吊荷用フックに張力付与ウェイトを吊り下げ、
前記他のウインチドラムからワイヤを繰り出しつつ、前記多層巻ウインチドラムに巻き取ることを特徴とするクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法。
【請求項２】
前記多層巻ウインチドラムを、前記吊荷用フックを昇降させる巻上ウインチドラムとし、前記他のウインチドラムを、前記ジブを起伏させる起伏ウインチドラムとした請求項１記載のクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法。
【請求項１】
多層巻ウインチドラムと他のウインチドラムとを備えたクレーンを設置する際に、ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを前記多層巻ウインチドラムに巻き取るためのクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法において、
前記ワイヤドラムに巻き取られたワイヤを一旦他のウインチドラムに巻き取り、
該他のウインチドラムに巻き取られたワイヤを、ガイサポートフレーム頂部のシーブと、ジブ先端のシーブと、吊荷用フックのシーブと、ジブ先端のシーブと、ガイサポートフレーム頂部のシーブとに順次掛け回して、多層巻ウインチドラムに接続し、
前記ジブを支持した状態で、前記吊荷用フックに張力付与ウェイトを吊り下げ、
前記他のウインチドラムからワイヤを繰り出しつつ、前記多層巻ウインチドラムに巻き取ることを特徴とするクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法。
【請求項２】
前記多層巻ウインチドラムを、前記吊荷用フックを昇降させる巻上ウインチドラムとし、前記他のウインチドラムを、前記ジブを起伏させる起伏ウインチドラムとした請求項１記載のクレーン設置時におけるウインチドラムワイヤ巻取方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００８−３０３００４（Ｐ２００８−３０３００４Ａ）
【公開日】平成２０年１２月１８日（２００８．１２．１８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１４９９３６（Ｐ２００７−１４９９３６）
【出願日】平成１９年６月６日（２００７．６．６）
【出願人】（０００１９８３６３）石川島運搬機械株式会社 (292)
【公開日】平成２０年１２月１８日（２００８．１２．１８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月６日（２００７．６．６）
【出願人】（０００１９８３６３）石川島運搬機械株式会社 (292)
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