説明

クーリングモジュール

【課題】コンデンサ部と他の熱交換器部とを有する一体型熱交換器が発熱体の空気流れ下流側に配置されるクーリングモジュールにおいて、コンデンサ部の熱交換性能を確保する。
【解決手段】インタークーラ100と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を冷却するコンデンサ部200と、冷媒より温度が高いオイルと空気とを熱交換してオイルを冷却するオイルクーラ部300とを有する一体型熱交換器1とを設け、コンデンサ部200およびオイルクーラ部300を鉛直方向に並列に配置し、一体型熱交換器1をインタークーラ100の空気流れ下流側に配置し、一体型熱交換器1の鉛直方向の長さを、インタークーラ100の鉛直方向の長さより長くし、オイルクーラ部300を、空気流れ方向から見て、インタークーラ100の少なくとも一部と重なるように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体と、複数の熱交換器部を有する一体型熱交換器とを備えるクーリングモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には、エンジン冷却用のラジエータや、空調冷媒冷却用のコンデンサの他に、車両オートマチックトランスミッション用のトルクコンバータ内のオイル冷却用のオイルクーラや、エンジンオイル冷却用のオイルクーラ、近年のいわゆるハイブリッド車両においては電動モータの制御を行うインバータ等の電子部品冷却用のラジエータ等、多くの熱交換器が備えられている。
【0003】
近年、車両の衝突安全性に伴う熱交換器の薄幅化、コンパクト化による設置スペースの節減、組み付け作業工数の削除等が望まれている。その対応として、1つの熱交換器の左右一対のヘッダ(タンク)内を、互いに対応する位置で仕切板で仕切ることにより、1つの熱交換器コアに互いに独立したコンデンサ部とオイルクーラ部の2つの熱交換器機能を持たせるようにした一体型熱交換器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】米国特許第6394176号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関に吸入される燃焼用の空気(吸気)を冷却するインタークーラ(発熱体)が搭載されている車両では、インタークーラは、車両前方側から空気を最も導入しやすいバンパ下部に配置されることが多い。インタークーラでの熱交換量は走行負荷により変化するが、最大負荷時にはインタークーラの空気流れ下流側の空気温度は外気温+30℃程度となる。例えば外気温が30℃の場合、インタークーラの空気流れ下流側の空気温度は最大60℃となり、コンデンサ部の冷媒の凝縮温度(40〜45℃程度)を上回る条件も発生する。
【0005】
このような条件下において、コンデンサ部をインタークーラの空気流れ下流側に配置すると、コンデンサ部の熱交換性能が著しく低下するという問題がある。
【0006】
特に、一体型熱交換器のコンデンサ部を、気相冷媒と空気との熱交換により気相冷媒を凝縮させる凝縮部と、凝縮された冷媒と外気との熱交換により冷媒をさらに冷却する過冷却部とから構成した場合、過冷却部をインタークーラの空気流れ下流側に配置すると、過冷却部において冷媒の沸騰現象が生じる。これにより、コンデンサ部の冷媒流れ下流側に配置される膨張弁での冷媒流量不足が発生し、著しく冷房性能が悪化するという問題がある。また、膨張弁に気相冷媒が流入し、膨張弁から異音が発生するという問題もある。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、コンデンサ部と他の熱交換器部とを有する一体型熱交換器が発熱体の空気流れ下流側に配置されるクーリングモジュールにおいて、コンデンサ部の熱交換性能を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、発熱体(100)と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を冷却するコンデンサ部(200)と、冷媒より温度が高い他の流体と空気とを熱交換して他の流体を冷却する他の熱交換器部(300)とを有する一体型熱交換器(1)とを備え、コンデンサ部(200)および他の熱交換器部(300)は、鉛直方向に並列に配置されており、一体型熱交換器(1)は、発熱体(100)の空気流れ下流側に配置されており、一体型熱交換器(1)の鉛直方向の長さは、発熱体(100)の鉛直方向の長さより長くなっており、他の熱交換器部(300)は、空気流れ方向から見て、発熱体(100)の少なくとも一部と重なるように配置されていることを第1の特徴としている。
【0009】
このように、発熱体(100)の空気流れ下流側、すなわち空気温度が高くなる部分に、コンデンサ部(200)の冷媒より温度が高い他の流体を冷却する他の熱交換器部(300)を配置することで、空気温度が比較的低い部分にコンデンサ部(200)を配置することができる。これにより、コンデンサ部(200)の熱交換性能を確保することが可能となる。
【0010】
また、上記第1の特徴を有するクーリングモジュールにおいて、コンデンサ部(200)を、冷媒を凝縮させる凝縮部(210)と、凝縮部(210)より流入した冷媒を過冷却する過冷却部(220)とから構成してもよい。
【0011】
また、本発明では、発熱体(100)と、冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を冷却するコンデンサ部(200)と、冷媒より温度が高い他の流体と空気とを熱交換して他の流体を冷却する他の熱交換器部(300)とを有する一体型熱交換器(1)とを備え、コンデンサ部(200)および他の熱交換器部(300)は、鉛直方向に並列に配置されており、一体型熱交換器(1)は、発熱体(100)の空気流れ下流側に配置されており、一体型熱交換器(1)の鉛直方向の長さは、発熱体(100)の鉛直方向の長さより長くなっており、コンデンサ部(200)は、冷媒を凝縮させる凝縮部(210)と、凝縮部(210)より流入した冷媒を過冷却する過冷却部(220)とを有しており、過冷却部(220)は、空気流れ方向から見て、発熱体(100)と重ならないように配置されていることを第2の特徴としている。
【0012】
このように、コンデンサ部(200)のなかでもより低温にする必要がある過冷却部(220)を、発熱体(100)の空気流れ下流側、すなわち空気温度が高くなる部分に配置しないようにすることで、コンデンサ部(200)の熱交換性能を確保することが可能となる。このとき、過冷却部(220)における冷媒の沸騰現象の発生を抑制できるため、コンデンサ部(200)の冷媒流れ下流側に配置される膨張弁での冷媒流量不足を抑制し、冷房性能の悪化を抑制することが可能となる。また、膨張弁への気相冷媒の流入を抑制できるため、膨張弁から異音が発生することを抑制できる。
【0013】
また、本発明では、過冷却部(220)は、鉛直方向において凝縮部(210)を挟んで他の熱交換器部(300)と反対側に配置されていることを第3の特徴としている。
【0014】
一体型熱交換器(1)において、過冷却部(220)、凝縮部(210)、他の熱交換器部(300)の順に温度が高くなる。このため、最も高温になる他の熱交換器部(300)と最も低温になる過冷却部(220)とを離して配置することで、他の熱交換器部(300)から過冷却部(220)への熱移動を回避することができる。これにより、コンデンサ部(200)の熱交換性能をより確実に確保することが可能となる。
【0015】
また、上記第1〜第3の特徴を有するクーリングモジュールにおいて、コンデンサ部(200)を、冷媒が流通する第1のチューブ(2a)を複数本積層して構成し、他の熱交換器部(300)を、他の流体が流通する第2のチューブ(2b)を、第1のチューブ(2a)の積層方向に複数本積層して構成し、一体型熱交換器(1)に、第1および第2のチューブ(2a、2b)の長手方向両端にそれぞれ配置され、第1および第2のチューブ(2a、2b)の積層方向に延びて複数本の第1および第2のチューブ(2a、2b)と連通するヘッダタンク(5)を設け、コンデンサ部(200)と他の熱交換器部(300)とを同一のヘッダタンク(5)により一体化した構成にしてもよい。
【0016】
また、発熱体を、内燃機関の吸気を加圧する過給器の吸気流れ下流側に配置され、吸気と空気とを熱交換させて吸気を冷却するインタークーラ(100)としてもよい。
【0017】
また、他の熱交換器部を、車載機器のオイルを冷却するオイルクーラ部(300)としてもよい。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図1および図2に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係るクーリングモジュールを、内燃機関(エンジン)を駆動源として走行する車両に適用した場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係るクーリングモジュールの車両搭載状態を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のクーリングモジュールは、車両の前端部に搭載されており、コンデンサ部200およびオイルクーラ部300を有する一体型熱交換器1、およびインタークーラ100を備えている。インタークーラ100は、内燃機関の吸気を加圧する過給器(図示せず)の吸気流れ下流側に配置され、吸気と空気とを熱交換させて吸気を冷却する空冷式の熱交換器である。なお、インタークーラ100が、本発明の発熱体に相当している。
【0021】
一体型熱交換器1は、インタークーラ100の空気流れ下流側(車両後方側)に配置されている。一体型熱交換器1の鉛直方向(車両上下方向)の長さは、インタークーラ100の鉛直方向の長さより長くなっている。本実施形態では、インタークーラ100の鉛直方向の長さは、コンデンサ部200の後述する過冷却部220の鉛直方向の長さ、およびオイルクーラ部300の鉛直方向の長さより長くなっている。また、一体型熱交換器1の下端部とインタークーラ100の下端部とは、鉛直方向の位置が等しくなっている。
【0022】
図2は、本実施形態における一体型熱交換器1を示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の一体型熱交換器1は、複数のチューブ2およびフィン3からなる1つのコア部4と、コア部4の左右両端部に組み付け配置される一対のヘッダタンク5とを有している。
【0023】
チューブ2は熱媒体(本実施形態では、冷媒またはオイル)が流れる管であり、このチューブ2は、空気流れ方向(紙面垂直方向)が長径方向と一致するように扁平状に形成されているとともに、その長手方向が水平方向に一致するように鉛直方向に複数本平行に配置されている。フィン3は、波状に成形されるとともに、チューブ2の両側の扁平面に接合されており、このフィン3により空気との伝熱面積を増大させて熱媒体と空気との熱交換を促進している。また、コア部4の両端部には、チューブ2の長手方向と略平行に延びてコア部4を補強するインサート6が設けられている。
【0024】
ヘッダタンク5は、チューブ2の長手方向端部(本実施形態では、左右端)にてチューブ2の長手方向と直交する方向(本実施形態では、鉛直方向)に延びて複数のチューブ2と連通するもので、このヘッダタンク5は、チューブ2が挿入接合されたコアプレート5aと、コアプレート5aとともにタンク内空間を構成するタンク本体5bとを有して構成されている。なお、一対のヘッダタンク5のうち、図2中左側に位置するヘッダタンクを第1のヘッダタンク51といい、図2中右側に位置するヘッダタンクを第2のヘッダタンク52という。
【0025】
コア部4は、車両用冷凍サイクル(空調装置)内を循環する冷媒と空気とを熱交換して冷媒を冷却するコンデンサ部200と、車両オートマチックトランスミッション用のトルクコンバータ内のオイルを冷却するオイルクーラ部300とを構成するものである。本実施形態では、コンデンサ部200が上方側に配置され、オイルクーラ部300が下方側に配置されている。ここで、複数のチューブ2のうち、コンデンサ部200を構成し、冷媒が流通するチューブを第1のチューブ2aといい、オイルクーラ部300を構成し、オイルが流通するチューブを第2のチューブ2bという。なお、オイルクーラ部300が、本発明の他の熱交換器部に相当している。
【0026】
コンデンサ部200とオイルクーラ部300との境界部(第1のチューブ2aと第2のチューブ2bとの間)に配設されるチューブは、熱媒体が流れないダミーチューブ6となっている。本実施形態では、ダミーチューブ6は、その長手方向両端部を閉塞することにより形成されている。
【0027】
ヘッダタンク5の内部におけるダミーチューブ6の上下には、第1のセパレータ71がそれぞれ配置されている。これにより、ヘッダタンク5の内部は、第1のセパレータ71を境としてヘッダタンク長手方向(鉛直方向)に2つに分割されている。
【0028】
次に、オイルクーラ部300の構成について説明する。オイルクーラ部300は、オイル流れがU字状であるU字ターンタイプになっている。第1のヘッダタンク51における2つの第1のセパレータ71より下側の部位(以下、第1のオイルヘッダ部51aという)には、オイルをオイルクーラ部300内部に流入させるオイル入口部31と、オイルをオイルクーラ部300外部へ流出させるオイル出口部32とが設けられている。オイル入口部31とオイル出口部32とは、それぞれ第1のオイルヘッダ部51aの下端側と上端側とに設けられている。
【0029】
また、オイルクーラ部300の内部におけるオイル流れをU字状とするための第2のセパレータ72が、第1のオイルヘッダ部51aの内部に設けられている。より詳細には、第2のセパレータ72は、第1のオイルヘッダ部51aの内部におけるオイル入口部31とオイル出口部32との間に配置されている。
【0030】
次に、コンデンサ部200の構成について説明する。第1のヘッダタンク51における2つの第1のセパレータ71より上側の部位(以下、第1の冷媒ヘッダ部51bという)には、冷媒をコンデンサ部200内部に流入させる冷媒入口部21と、冷媒をコンデンサ部200外部へ流出させる冷媒出口部22とが設けられている。冷媒入口部21と冷媒出口部22とは、それぞれ第1の冷媒ヘッダ部51bの下端側と上端側とに設けられている。
【0031】
第1の冷媒ヘッダ部51b内部の上側寄りの位置には、第3のセパレータ73が配置されるとともに、第2のヘッダタンク52における2つの第1のセパレータ71より上側の部位(以下、第2の冷媒ヘッダ部52bという)内部には、第3のセパレータ73と同一高さに第4のセパレータ74が配置されている。この第3、第4のセパレータ73、74によってコンデンサ部200は2つの熱交換部に分けられている。
【0032】
また、第2の冷媒ヘッダ部52bの外側(コア部4の反対側)には、気液分離器8が配置されている。この気液分離器8は、気相冷媒と液相冷媒を分離して液相冷媒を貯留しておくことができるレシーバである。
【0033】
気液分離器8と第2の冷媒ヘッダ部52bとは、第1、第2の連通部81、82を介して2箇所で連通している。詳細には、第1の連通部81は、第2の冷媒ヘッダ部52bの下端側の部位と気液分離器8の下方側の部位とを連通させるようになっている。また、第2の連通部82は、気液分離器8の上方側の部位と第2の冷媒ヘッダ部52bにおける第4のセパレータ74より上方側の部位とを連通させるようになっている。
【0034】
まず、コンデンサ部200における第3、第4のセパレータ73、74の下方側部位は、冷媒入口部21から流入した気相冷媒と空気とを熱交換させて、冷媒を凝縮させる凝縮部210になっており、凝縮部210から流出した冷媒は、第1の連通部81を通過して気液分離器8に流入するようになっている。
【0035】
さらに、コンデンサ部200における第3、第4のセパレータ73、74の上方側部位は、気液分離器8から第2の連通部82を通過して流入した液相冷媒と空気とを熱交換させて液相冷媒を冷却する過冷却部220になっており、過冷却部220で冷却された冷媒は冷媒出口部22から流出するようになっている。
【0036】
続いて、気液分離器8の構成について説明する。気液分離器8の内部は、上側空間83と下側空間84とに分割されている。上側空間83は第2の連通部82に接続されており、下側空間84は第1の連通部81に接続されている。そして、第1の連通部81から流入する冷媒のうち、比重の大きい液相冷媒は下側空間84の鉛直方向(重力方向)下方側に一旦溜まり、比重の小さい気相冷媒は下側空間84の鉛直方向(重力方向)上方側に一旦溜まるようになっている。
【0037】
気液分離器8には、下側空間84内の底部近傍の液相冷媒を上側空間83に導入する連通パイプ85が設けられている。下側空間84における第1の連通部81より下側には、気液分離性を向上させるためのバッフル板85が設けられている。また、下側空間84には、冷媒中の水分を取り除く乾燥剤が内蔵されたドライヤ86が設けられている。また、上側空間83には、冷媒中の異物を取り除くためのフィルタ87が設けられている。
【0038】
本実施形態では、第1の連通部81は、下側空間84内における通常時の液相冷媒の液面(図2中破線)より下側に配設されている。これにより、第1の連通部81から下側空間84に冷媒が流入する際に、液相冷媒の液面に動圧が作用して液面より上側に存在する気相冷媒を巻き込んで、気液二相冷媒が連通パイプ85内に混入することを防止できる。因みに、連通パイプ85内への気液二相冷媒の混入は過冷却部220への気相冷媒の混入につながり、過冷却面積の減少をもたらすため、冷房性能が低下してしまう。これに対し、本実施形態のように、第1の連通部81を下側空間84内における通常時の液相冷媒の液面より下側に配設することで、冷媒性能の低下を防止することができる。
【0039】
図1に戻り、オイルクーラ部300は、空気流れ方向から見て、インタークーラ100と重なるように配置されている。そして、過冷却部220は、空気流れ方向(車両前後方向)から見て、インタークーラ100と重ならないように配置されている。また、過冷却部220は、鉛直方向において凝縮部210を挟んでオイルクーラ部300と反対側に配置されている。本実施形態では、一体型熱交換器1において、過冷却部220が上端部に配置され、オイルクーラ部300が下端部に配置されており、過冷却部220とオイルクーラ部300との間に凝縮部210が配置されている。
【0040】
以上説明したように、オイルクーラ部300を、空気流れ方向から見て、インタークーラ100と重なるように配置する、すなわち空気温度が高くなるインタークーラ100の空気流れ下流側にオイルクーラ部300部を配置することで、空気温度が比較的低くなる部分にコンデンサ部200を配置することができる。これにより、コンデンサ部200の熱交換性能を確保することが可能となる。このとき、オイルクーラ部300内を通過する熱媒体(オイル)の温度は、コンデンサ部200内を通過する熱媒体(冷媒)の温度より高いため、オイルクーラ部300の熱交換性能が著しく低下することはない。
【0041】
また、コンデンサ部200のなかでもより低温にする必要がある過冷却部220を、インタークーラ100の空気流れ下流側、すなわち空気温度が高くなる部分に配置しないようにすることで、コンデンサ部200の熱交換性能を確保することが可能となる。このとき、過冷却部220における冷媒の沸騰現象の発生を抑制できるため、コンデンサ部200の冷媒流れ下流側に配置される膨張弁での冷媒流量不足を抑制し、冷房性能の悪化を抑制することが可能となる。また、膨張弁への気相冷媒の混入を抑制できるため、膨張弁における異音の発生を抑制することができる。
【0042】
また、一体型熱交換器1では、過冷却部220、凝縮部210、オイルクーラ部300の順に温度が高くなる。このため、オイルクーラ部300を、凝縮部210を挟んで過冷却部220と反対側に配置する、すなわち最も高温になるオイルクーラ部300と最も低温になる過冷却部220とを離して配置することで、オイルクーラ部300から過冷却部220への熱移動を回避することができる。これにより、コンデンサ部200の熱交換性能をより確実に確保することが可能となる。
【0043】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、他の熱交換器部として車両オートマチックトランスミッション用のトルクコンバータ内のオイルを冷却するオイルクーラ部300を適用したが、これに限らず、エンジンオイル冷却用のオイルクーラ部、およびパワーステアリングオイル冷却用のオイルクーラ部等を適用してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、一体型熱交換器1において、過冷却部220を上端部に配置し、オイルクーラ部300を下端部に配置したが、過冷却部220を下端部に配置し、オイルクーラ部300を上端部に配置してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、一体型熱交換器1の下端部とインタークーラ100の下端部との鉛直方向の位置を等しくしたが、ずらしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、オイルクーラ部300を、空気流れ方向から見て、インタークーラ100と全面的に重なるように配置したが、これに限らず、インタークーラ100の少なくとも一部と重なるよう配置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係るクーリングモジュールの車両搭載状態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における一体型熱交換器1を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…一体型熱交換器、2a…第1のチューブ、2b…第2のチューブ、5…ヘッダタンク、100…インタークーラ(発熱体)、200…コンデンサ部、210…凝縮部、220…過冷却部、300…オイルクーラ部(他の熱交換器部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体(100)と、
冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して前記冷媒を冷却するコンデンサ部(200)と、前記冷媒より温度が高い他の流体と空気とを熱交換して前記他の流体を冷却する他の熱交換器部(300)とを有する一体型熱交換器(1)とを備え、
前記コンデンサ部(200)および前記他の熱交換器部(300)は、鉛直方向に並列に配置されており、
前記一体型熱交換器(1)は、前記発熱体(100)の空気流れ下流側に配置されており、
前記一体型熱交換器(1)の鉛直方向の長さは、前記発熱体(100)の鉛直方向の長さより長くなっており、
前記他の熱交換器部(300)は、空気流れ方向から見て、前記発熱体(100)の少なくとも一部と重なるように配置されていることを特徴とするクーリングモジュール。
【請求項2】
前記コンデンサ部(200)は、前記冷媒を凝縮させる凝縮部(210)と、前記凝縮部(210)より流入した前記冷媒を過冷却する過冷却部(220)とを有していることを特徴とする請求項1に記載のクーリングモジュール。
【請求項3】
発熱体(100)と、
冷凍サイクル内を循環する冷媒と空気とを熱交換して前記冷媒を冷却するコンデンサ部(200)と、前記冷媒より温度が高い他の流体と空気とを熱交換して前記他の流体を冷却する他の熱交換器部(300)とを有する一体型熱交換器(1)とを備え、
前記コンデンサ部(200)および前記他の熱交換器部(300)は、鉛直方向に並列に配置されており、
前記一体型熱交換器(1)は、前記発熱体(100)の空気流れ下流側に配置されており、
前記一体型熱交換器(1)の鉛直方向の長さは、前記発熱体(100)の鉛直方向の長さより長くなっており、
前記コンデンサ部(200)は、前記冷媒を凝縮させる凝縮部(210)と、前記凝縮部(210)より流入した前記冷媒を過冷却する過冷却部(220)とを有しており、
前記過冷却部(220)は、空気流れ方向から見て、前記発熱体(100)と重ならないように配置されていることを特徴とするクーリングモジュール。
【請求項4】
前記過冷却部(220)は、鉛直方向において前記凝縮部(210)を挟んで前記他の熱交換器部(300)と反対側に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載のクーリングモジュール。
【請求項5】
前記コンデンサ部(200)は、前記冷媒が流通する第1のチューブ(2a)を複数本積層して構成されており、
前記他の熱交換器部(300)は、前記他の流体が流通する第2のチューブ(2b)を、前記第1のチューブ(2a)の積層方向に複数本積層して構成されており、
前記一体型熱交換器(1)は、
前記第1および第2のチューブ(2a、2b)の長手方向両端にそれぞれ配置され、前記第1および第2のチューブ(2a、2b)の積層方向に延びて前記複数本の第1および第2のチューブ(2a、2b)と連通するヘッダタンク(5)を備えており、
前記コンデンサ部(200)と前記他の熱交換器部(300)とを同一の前記ヘッダタンク(5)により一体化した構成になっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項6】
前記発熱体は、内燃機関の吸気を加圧する過給器の吸気流れ下流側に配置され、前記吸気と空気とを熱交換させて前記吸気を冷却するインタークーラ(100)であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。
【請求項7】
前記他の熱交換器部は、車載機器のオイルを冷却するオイルクーラ部(300)であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のクーリングモジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−126720(P2008−126720A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311041(P2006−311041)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】