グラス
【課題】飲料の冷却手段であるドライアイスの昇華ガスと白煙状凍結水粒子(冷却ガス)及びLEDによる光で容器内部に色合いの変化する特徴ある状態を作り出すこと。
【解決手段】円筒状周側部2及びその下部の底部構成部材3からなり、円筒状周側部2は冷却ガスの移動空間4をその間に構成する円筒状外側部2aと円筒状内側部2bとからなる。円筒状外側部2aの上部に冷却ガスの排気口2a1を、それ以外の部位に、移動空間4中の冷却ガスの動きを調節する複数の調節穴2a2を開口し、円筒状内側部2bに飲料収納部1内に膨出する複数の膨出部2b1をランダムに形成し、底部構成部材3に、冷却ガスを移動空間4に送り出す出口部5a2及びこれに続くガス供給孔3eが開口している収納部5を形成し、底部構成部材3の周側部3bの上端に、移動空間4内にその光を放射すべく複数のLEDを配置したグラスである。
【解決手段】円筒状周側部2及びその下部の底部構成部材3からなり、円筒状周側部2は冷却ガスの移動空間4をその間に構成する円筒状外側部2aと円筒状内側部2bとからなる。円筒状外側部2aの上部に冷却ガスの排気口2a1を、それ以外の部位に、移動空間4中の冷却ガスの動きを調節する複数の調節穴2a2を開口し、円筒状内側部2bに飲料収納部1内に膨出する複数の膨出部2b1をランダムに形成し、底部構成部材3に、冷却ガスを移動空間4に送り出す出口部5a2及びこれに続くガス供給孔3eが開口している収納部5を形成し、底部構成部材3の周側部3bの上端に、移動空間4内にその光を放射すべく複数のLEDを配置したグラスである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容した飲料類を継続して冷却しながら飲用することができるグラスに関する。
【背景技術】
【0002】
それ自体に収容した飲料を冷却する機能を有するグラスは知られていない。グラス類を冷却又は加温する手段は知られている。
【0003】
特許文献1は、グラスや瓶に入っている飲食物をそのまま保冷温する器の例であり、これは、耐水性及び耐熱性の高い素材でできた外容器の内側に、取り外しのできる、穴の開いた同素材の内容器を設置し、その間に氷水又は熱湯を入れ、ビン類・缶類・徳利・グラス・ジョッキ・湯飲み等に入った飲食物を長時間保冷温する器である。
【0004】
従って、この飲食物を長時間保冷温する器は、言うまでもなく、グラスそのものに、その中の飲料を冷却する冷却する手段が施された構成のものではない。グラス等をその中に入れて冷却するための手段である。また、グラス等の冷却の際には、外容器と内容器の間に冷却剤として氷水を入れるものであるが、内容器には、穴が開いているので、氷水は、当然、内容器内にも入ってくる。それ故、冷却は、十分有効に行われ得ると思われるが、冷却のために内容器中に装入したグラス等の外面は底の進入している氷水で濡れてしまい、飲用のために取り出す際には、いちいち外面の水分を拭き取る必要があり、厄介でもある。
【0005】
特許文献2は、コップ等の冷却用容器の例で、これは、上部開放かつ有底円筒形で、周側部及び底部を二重構造としてその内側に空洞部を形成し、該空洞部内に冷却用の液体を収納すべく構成したコップ等の冷却用容器である。
【0006】
従ってこのコップ等の冷却用容器も、言うまでもなく、コップそれ自体に冷却手段を施したものではない。その内部に、要冷却対象の飲料を充填したコップを装入して、その冷却を図るための手段である。なお、このコップ等の冷却用容器中で、冷却対象のコップは、主として熱伝導を通じて熱が奪われ冷却されると考えられる。従ってコップが十分に冷却されるためには、その底部及び周側が該冷却用容器の内周に接している必要があるが、底部以外の部位を確実に接触させるのは容易なことではない。底部以外で冷却するのは容易ではないと思われる。
【0007】
特許文献3は、照明型容器に関する例であり、飲料等を収容する少なくとも底部が光透過性を有する容器と、該容器をその上部に着脱自在に取り付けうるホルダー本体と、該ホルダー本体に配した、該容器内に光を導入させる導光体、該導光体に光を照射する光源及び該光源用の電源と、で構成した照明型容器である。
【0008】
従ってこの照明型容器によれば、その容器に飲料を収容した上で、光源から光を放射させると、その光は導光体に入射し、これを通じて容器内に導かれ、該容器内の飲料を通じて外界に放射されることになる。即ち、その容器をおいてある領域、或いはその容器を持っている人の周囲を個別に照らすことになり、特別な雰囲気の照明を行うことが可能になるとされている。実際そのようになると思われるが、容器に収容された飲料の冷却等の機能は全く有しないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002―39656号公報
【特許文献2】実開平06―84278号公報
【特許文献3】特開2004−105231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の従来技術の問題点を解決し、その中に収容した飲料を希釈することなく適切に冷却することが可能であり、更に冷却手段としてドライアイスを用い、その昇華ガス及び該ドライアイスに接触して生じた白煙状凍結水粒子、並びにLEDによる光を利用して容器周囲に色合い等の変化する特徴ある状態を作り出すことができるグラスを提供することを解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1は、内側に飲料収納空間を備えた円筒状周側部及びその下部を閉じる着脱自在な底部構成部材からなるグラスであって、
前記円筒状周側部を、ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスの移動空間をその間に構成する上端で結合した円筒状外側部と円筒状内側部とにより構成し、
前記円筒状外側部の上部には外部に開口する冷却ガスの排気口を開口し、該円筒状外側部の上部以外の部位には、それらを指によって開閉することにより底部構成部材のドライアイスの収納部から前記円筒状内側部と該円筒状外側部との間の移動空間を立ち上る冷却ガスの移動状態を調節する複数の調節穴を開口し、
前記円筒状内側部には、該移動空間を立ち上る冷却ガスの移動に変化を加えるべく、飲料収納空間内に膨出する複数の膨出部をランダムに形成し、
前記底部構成部材には、ドライアイスを収納する前記収納部であって、その周側部の上部の一以上の位置から該ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスを前記円筒状周側部の移動空間に導入すべく案内する連通孔が開口してある収納部を形成し、
前記底部構成部材の周側部の上端に、前記円筒状周側部の移動空間内にその光を放射すべく複数のLEDを配置してなるグラスである。
【0012】
本発明の2は、本発明の1のグラスにおいて、前記LEDとして、赤、青又は緑の光を放射するそれを各一個ずつ採用したものである。
【0013】
本発明の3は、本発明の1又は2のグラスにおいて、前記円筒状周側部の上部を下部より薄く構成したものである。
【0014】
本発明の4は、本発明の1、2又は3のグラスにおいて、前記底部構成部材の収納部より下部に周側部に文字部を配した時計を組み込んだものである。
【0015】
本発明の5は、本発明の1、2、3又は4のグラスにおいて、前記ドライアイスを収納する収納部を、ドライアイスに加えて水を添加しうるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1のグラスによれば、その飲料収納空間に冷却して飲用するのが適当なジュース類等の飲料を収容して飲用することとすれば、該飲料収納空間中の飲料は、前記収納空間に収容したドライアイスにより底部から冷却され、更に、該収納部から上昇するドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスが円筒状周側部の移動空間に導かれ、該移動空間を移動することになるので、該冷却ガスによっても冷却されることになる。
【0017】
該移動空間を構成する円筒状外側部と円筒状内側部の内、円筒状内側部には、ランダムに該飲料収納空間内に膨出する膨出部が形成されている。そのため、上記飲料に対する冷却作用は、より良好に行われることになる。
【0018】
従って飲料用収納空間内の飲料の冷却は適切に行われ、しかもこの冷却は、飲料中に投入する氷で冷却する場合のように、飲料の濃度等に影響を与えるようなものではないので、その風味に悪影響を与えることもない。
【0019】
また、底部構成部材の収納部で発生したドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスは、円筒状周側部の移動空間を上昇移動し、最終的には、該円筒状周側部の最上部の排気口から排気されることになるが、途中に開口された複数の調節穴があり、これらを指で、或いは掌等で、閉じたり、或いは開いたままで放置したりすることにより、該冷却ガスの動きをいろいろ調節し、その動きを楽しむことも可能である。さらには、前記したように、前記円筒状内側部には、飲料収納空間内に膨出する複数の膨出部をランダムに形成してあるので、該飲料収納空間内の飲料の冷却を効率化することができると共に、該円筒状周側部内の移動空間内を立ち上る冷却ガスの移動に変化を加える作用も果たし、その動きをより興味深いものにすることもできる。
【0020】
このとき、底部構成部材の周側部の上端にLEDが配してあり、このLEDにより、これより上方の移動空間内を移動する前記冷却ガスに光が照射され、光の照射された部位の興味深い変化を観察することができる。前記したように、前記調節穴の開閉を種々に行ってみると、冷却ガスの動きを種々に変化させ得、光の照射される部位を変化させることにより、一層興味深い光の変化を見ることができる。前記のように、円筒状内側部にはランダムに膨出部が配されているため、その中に冷却ガスが移動することにより、冷却ガスの動きに一層の変化が与えられ、光の当たり具合にも更に変化を与えることができることになる。
【0021】
本発明の2のグラスによれば、前記LEDとして、赤、青又は緑の光を放射するそれを各一個ずつ採用したため、白煙状凍結水粒子を含む冷却ガスは、それらのLEDの光照射により、時には、個別にそれぞれ対応する部位が赤、青又は緑に染まった状態になり、時には、該白煙状凍結水粒子の動きに伴って、それらの色の全部又は一部が種々の割合で混じり合った状態になり、種々の微妙な色を呈する興味深い色合いの変化を味わうこともできることになる。
【0022】
本発明の3のグラスによれば、円筒状周側部の上部を下部より薄くしたため、飲料を飲む際に飲みやすくなる利点を得ることができる。
【0023】
本発明の4のグラスによれば、底部周側に、文字部を有する時計を組み込んだので、飲料を飲みながら、必要に応じて、時刻を確認することもできる。
【0024】
本発明の5のグラスによれば、底部構成部材のドライアイスを収納する収納部に水を添加することを可能としたため、白煙状凍結水粒子が大量に発生し得、これを円筒状周側部の移動空間に導いた場合に、これらにLEDの光が当たって一層美しい色合いを生じさせることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例のグラスの正面図。
【図2】実施例のグラスの平面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】図1のC−C線断面図。
【図6】図1のD−D線断面図。
【図7】図1のE−E線断面図。
【図8】図1のF−F線断面図。
【図9】図3のG−G線断面図。
【図10】図3のH−H線断面図。
【図11】ドライアイス収納用の引出部(収納部)を引き出した状態の横断面平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この実施例のグラスは、図1〜図3に示すように、基本的に、内側に飲料収納部(飲料収納空間)1を備えた円筒状周側部2とその下部を閉じる着脱自在な底部構成部材3とで構成したものである。
【0027】
前記円筒状周側部2は、図1及び図3に示すように、上広がりテーパ状の円筒状外側部2a及びこれと同軸状かつ上広がりテーパ状の円筒状内側部2bとによる二重構造であり、両者の間に冷却ガスの移動空間4を備えたものである。
【0028】
なお、該冷却ガスは、ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなるそれを想定している。また白煙状凍結水粒子は、ドライアイスによって冷却された空気中の水分から生じた白煙状の凍結水粒子群、若しくはドライアイスに添加した水から生じた白煙状の凍結水粒子群を称している。該冷却ガスは、後述するように、底部構成部材3中の収納部5に収納したドライアイスから立ち上るそれである。
【0029】
前記円筒状内側部2bの上端は、図1及び図3に示すように、その高さを、前記円筒状外側部2aの上端より若干低く構成し、該円筒状内側部の上端の高さで相互を結合することにより、一方では、前記移動空間4の上端を、前記円筒状周側部2の上端より少し低い位置で閉じ、他方で、該円筒状周側部2の上端部の厚さを薄く構成したものである。
【0030】
前記円筒状外側部2aには、図1及び図3〜図6に示すように、前記移動空間4の最上部に対応させて円周方向に90度の角度間隔で、冷却ガスを排出する四個の排気口2a1、2a1…を開口し、その直下から最下部の間には、該移動空間4内の冷却ガスの移動状態を調節するための複数の調節穴2a2、2a2…をランダムに開口してある。該移動空間4内の冷却ガスの移動状態、即ち、その流れの方向や速さ、若しくは白煙の濃淡等は、複数の調節穴2a2、2a2…を、適宜、指又は掌等で開閉することにより、途中のいずれかの調節穴2a2、2a2…からの放出を許容したり、しなかったりすることを通じて、調節するものである。なお、この実施例では、複数の調節穴2a2、2a2…をランダムに開口したが、意匠上の観点を除けば、規則的に開口することにしても不都合ではない。両手の指又は掌で開閉できる位置関係である必要はある。またこの実施例では、調節穴2a2、2a2…は円形穴に構成してあり、その径も全て同一であるが、穴形状も径もこれらに限定する必要はない。前記趣旨に合致し、指又は掌で開閉可能であれば不都合ではない。
【0031】
該円筒状外側部2aの外周中間部付近には、ストローの中間部を貫通させて支持するリング状支持部2a3が配してある。このリング状支持部2a3は、底部構成部材3に配した後述する下部受け部3aで下部を支持されたストローの中間部を支持するものである。
【0032】
前記円筒状内側部2bは、図1〜図6に示すように、その上端から下端の間に前記飲料収納部1中に膨らむ膨出部2b1、2b1…をランダムに構成し、かつ前記円筒状外側部2aの下端より更に下方に突出する該円筒状内側部2bの最下部外周には、前記底部構成部材3の周側部3bの上部内周に形成した連結雌ねじ部3cと着脱自在に螺合する連結雄ねじ部2b2を構成する。
【0033】
前記膨出部2b1、2b1…は、前記のように、ランダムに配し、一つは、前記移動空間4内を立ち上り移動する冷却ガスの移動に、不規則な変化を加え得るようにする趣旨である。もう一つは、前記飲料収納部1中の飲料を効率的に冷却し得るようにする趣旨である。該各膨出部2b1、2b1…は、概ね、半球状又は半楕円球状等に前記飲料収納部1中に膨出させるものであり、図1、図3、図5及び図6に示すように、該移動空間4中から見ると、半球状又は半楕円球状の凹部を形成するものである。
【0034】
前記移動空間4は、前記し、図1、図3〜図7に示すように、前記円筒状外側部2aと前記円筒状内側部2bとの間のほぼ円筒状の空間であり、最上部は、前記のように、該円筒状外側部2aの上部途中と該円筒状内側部2bの上端との結合部で区画され、下端は、円筒状周側部2を、後述するように、底部構成部材3と結合した状態で、該底部構成部材3の周側部3bの上端で区画された構成である。後述するように、該移動空間4の最下部は、該底部構成部材3に構成した収納部5と連通しており、そこから冷却ガスが導入されるようになっている。
【0035】
前記底部構成部材3は、図1、図3及び図8〜図11に示すように、基本的に、円筒状周側部2と結合した状態で、その飲料収納部1の下部を閉じるほぼ円形の底部3dと、その周囲及びその下方周囲を区画する前記周側部3bと、該底部3dの直下に構成するドライアイス収納用の前記収納部5と、更にその下方に構成した時計部6と、該周側部3bの上端に配したLED7a、7b、7cと、該周側部3bの外側に構成した下部受け部3aとで構成したものである。
【0036】
該周側部3bの上部内周、即ち、該周側部3bの前記底部3dの周縁部から立ち上がる部分の内周には、前記し、図1、図3及び図9に示すように、前記連結雌ねじ部3cが形成してあり、前記したように、これに、前記円筒状内側部2bの最下部外周に形成した連結雄ねじ部2b2が着脱自在に螺合するようになっている。
【0037】
前記底部3dの周縁部には、図1及び図3に示すように、以上のように、円筒状内側部2bの連結雄ねじ部2b2を該連結雌ねじ部3cに螺合した際に、該円筒状内側部2bの下端との間の水密性を確保すべく、パッキン部材8を配しておく。このパッキン部材8は食品に悪影響を与えない部材で構成する。この実施例では、ポリエチレン製の環状薄板部材を採用した。
【0038】
前記収納部5は、図1及び図3に示すように、前記底部構成部材3の底部3dの直下に構成するドライアイスを収納する空間であり、この実施例では、図1、図3、図10及び図11に示すように、ドライアイス収納用の引出部5aと、該引出部5aを出し入れする引出収納空間5bとで構成する。該引出部5aの正面側の周側壁には、特に図1及び図3に示すように、該引出部5aを引出収納空間5bから引き出す際に指の爪を掛ける爪係止穴5a1を形成しておく。
【0039】
該引出収納空間5bの最外面側底面には、図1、図3及び図11に示すように、収納状態の引出部5aが無用に抜け出すことがないように抜け止め5b1を配しておく。この抜け止め5b1は、合成ゴムで構成した薄い板状部材であり、該引出収納空間5bの最外面側底面に埋め込み状態に配し、これと該引出部5aの底面との間に生じる摩擦力により、該引出部5aの抜け止めを図る。
【0040】
また該引出部5aは、その内部空間がドライアイスの収納空間となるが、この引出部5aは、水密性に構成してあるため、収納空間は必要に応じてドライアイスに加えて若干の水を収納し、前記したように凍結水粒子による白煙を発生し易くすることができる。
該引出部5aの周側壁の上端には、図1、図3、図10及び図11に示すように、冷却ガス(ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子)を前記円筒状周側部2の移動空間4に送り出すための複数の出口部5a2、5a2…を形成しておく。この実施例では、特に図10及び図11に示すように、周方向60度の角度間隔で6箇所に出口部5a2、5a2…を開口した。この出口部5a2、5a2…は、この引出部5aの周側壁の厚みとの関係で、前部側の二つのみが全体の大きさを持ち、他の四個は、一部の大きさしか持たないものとなっている。他の四個については、同図に示すように、底部構成部材3の周側部3b側の対応する部位に、対応する寸法形状の開口部を構成し、それとの組み合わせで全体の出口部構成を完成させるようになっている。
【0041】
これらの出口部5a2、5a2…は、図7〜図9に示すように、前記引出部5aを引出収納空間5bに収納した状態で、各々前記底部構成部材3の周側部3bに形成したガス供給孔3e、3e…と連通するようになっている。該出口部5a2、5a2…と該ガス供給孔3e、3e…とは、一体となって引出部5a中で発生したドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスを前記円筒状周側部2の移動空間4に送り出すための連通孔を構成するものである。
【0042】
該ガス供給孔3e、3e…は、以上に述べたように、云うまでもなく、底部構成部材3の周側部3bの上部中に、周方向60度の角度間隔で、かつ前記引出部5aの周側壁の上端に形成した出口部5a2、5a2…に対応する位置関係で、開口形成してあるものである。上端は、図7に示すように、底部構成部材3の周側部3bの上端に開口しており、前記円筒状周側部2の移動空間4に最下部で連通するようになっている。
なお、該ガス供給孔3e、3e…は、前記移動空間4への接続部では、図8に示すように、ほぼ四辺形になっているが、最下部の前記出口部5a2、5a2…との接続部では半円形状になっており、上部に向かって徐々に四辺形になるようになっている。また該ガス供給孔3e、3e…は、最下部は該出口部5a2、5a2…の直上に位置し、上部に向かうに従って徐々に外側に向かう、斜めに立ち上がる穴に構成してある。
なおまた出口部5a2、5a2…及びガス供給孔3e、3e…は、引出部5aから移動空間4に冷却ガスを適切に供給できる構成であれば、これらの構成に限定されないことは云うまでもない。
【0043】
前記LED7a、7b、7cは、前記し、図7に示すように、底部構成部材3の周側部3bの上端に相互に周方向120度の角度間隔で配したものである。前記ガス供給孔3e、3e…の内の該当する二つのそれらの中間部に配する位置関係で、当然、上方に光を照射できるように配してある。この実施例では、該LED7a、7b、7cは、光の三原色に対応する赤色発光タイプ、青色発光タイプ、緑色発光タイプの三種を採用した。電源は、ドライアイスの収納部5の下方に位置する前記時計部6の側方に図示しない電池を配し、該電池から供給する。これらのLED7a、7b、7cには、点滅駆動等の発光駆動回路を付設することも可能であるが、この実施例では、継続点灯駆動回路を採用した。なお、前記電池は、前記引出収納空間5bの下面を構成する蓋体5b2を外して交換できるようにしてある。なお、該LED7a、7b、7は、ドライアイスを収納した引出部5aを該引出収納空間5bに押し込むと電源オンとなって点灯を開始するように構成してある。
【0044】
前記LED7a、7b、7cを設置した底部構成部材3の周側部3bの上端面には、これらのLED7a、7b、7cを配した部位及び前記ガス供給孔3e、3e…の開口する部位を除いて、薄膜状の鏡面部3b1を配する。該LED7a、7b、7cから放射され、移動空間4内の白煙状の凍結水粒子から乱反射された光を更に該移動空間4中に反射させるようにする趣旨である。
【0045】
前記時計部6は、前記し、図1及び図2に示すように、前記収納部5の直下の空間にその電子回路部6aを配し、底部構成部材3の周側部3bの正面側の部位に文字部6bを表示するように配したものである。なお、該電子回路部6aの側方には図示しない時計駆動用の電池及び前記LED7a、7b、7c駆動用の電池が配してある。前記のように、ドライアイスの収納部5を構成する引出収納空間5bの下面には、前記蓋体5b2が配してあり、該蓋体5b2が該引出収納空間5bの下面を構成すると共に、時計部6の電子回路部6a、その駆動用電池及びLED駆動用電池を収納する空間の上面を構成している。該蓋体5b2は、ドライアイスの冷却作用によって電池の動作を妨げることがないように断熱材で構成してある。
【0046】
該蓋体5b2には、図11に示すように、その中央付近に爪係止部5b3が構成してあり、引出部5aを引き出した上で、該爪係止部5b3に爪を係止して引き上げることにより、該蓋体5b2を取り外し、その下方の時計6の電池等を収納した空間を開くことが可能である。電池の交換等はこうして行うことができる。
【0047】
前記下部受け部3aは、図1、図3、図9〜11に示すように、底部構成部材3の周側部3bの外側に構成したストローの下部受け用の受け部であり、上方の円筒状周側部2の外周、即ち、円筒状外側部2aの外周に固設したストローの中間部挿入支持用のリング状支持部2a3と上下対応する位置関係になるように配置してある。
【0048】
従ってこの実施例のグラスによれば、その円筒状周側部2の飲料収納部1中に飲料を充填し、その飲用のために好適に使用することができる。このとき、該飲料収納部1への飲料の充填に前後して、該円筒状周側部2の下部に結合した底部構成部材3の収納部5にドライアイスを収納する。このドライアイスの収納は、前記したように、外部に引き出してある引出部5a中にドライアイスを入れた上で、該収納部5を構成する引出収納空間5bに該引出部5aを装入することにより行う。前記したように、このように引出部5aを引出収納空間5bに装入すると、前記LED7a、7b、7cの電源スイッチもオンとなり、該LED7a、7b、7cの発光動作も開始することになる。
【0049】
なお、引出部5aにドライアイスを充填する際には、白煙を多量に出したい場合は、ドライアイスに若干の水を添加する。
【0050】
ストローを使用する場合は、前記円筒状周側部2の外面側である円筒状外側部2aに固設したリング状支持部2a3にその途中を挿入し、下端を前記底部構成部材3の周側部3bの外側に構成した下部受け部3aで支持させておくものとする。
【0051】
以上のようにして、この実施例のグラスは飲用者に提供することができる。
【0052】
このグラスでは、前記収納部5の引出部5aからドライアイスの昇華ガス及び空気中の水分又はドライアイスと共に収納した水が急速冷却されて生じた白煙状凍結水粒子の混合物である冷却ガスが立ち上り、その出口部5a2、5a2…及びガス供給孔3e、3e…を通じて前記円筒状周側部2の移動空間4に送り出される。飲料収納部1に充填されている飲料は、ドライアイスにより下部の底部3dから冷却されることに加えて、該移動空間4を上昇移動する冷却ガスによっても冷却されることになる。
【0053】
これらの冷却は、飲料中に氷を入れて冷やすような手段ではないので、飲料の濃度に変化を与える問題がない。それ故、飲料の風味に影響を与えない利点がある。
【0054】
該移動空間4に送り出された冷却ガスは、円筒状外側部2aにランダムに開口してある調節穴2a2、2a2…が指又は掌によって閉塞されている場合には、途中の膨出部2b1、2b1…に近接する位置では、その中に進入したり、戻ったりしながら、該移動空間4の最上部まで上昇し、円筒状外側部2aの上部に開口してある四個の排気口2a1、2a1…に分かれて排気されることになる。冷却ガスは、以上のように、その流れの通過する位置又はその移動状態により、円筒状内側部2bに形成してある膨出部2b1、2b1…に出入りすることがあるが、その場合には、該膨出部2b1、2b1…は、飲料収納部1中に膨出状態となっているため、該飲料収納部1中の飲料に対する冷却効果を更に高めることができる。またこのように該膨出部2b1、2b1…中への冷却ガスの出入りが生じることにより、単にストレートに移動空間4内を上昇する場合とは異なる流れが生じることになる。
【0055】
冷却ガスは、ドライアイスの昇華ガスのみではなく、既述のように、白煙状凍結水粒子を含むものであるため、その流れ及び流れの変化が視覚的に認識可能である。このグラスは、特にそうでないことを明示した部位以外は、文字通りガラスで構成され、透明であるため、その冷却ガスの興味深い流れ又は動き、及びその流れ又は動きの変化を外部から認識することができる。
【0056】
この冷却ガスには、前記底部構成部材3の周側部3bの上端に配したLED7a、7b、7cから赤色、青色及び緑色の光が照射され、それによって該冷却ガスの白煙状凍結水粒子がその濃淡等に応じて着色され、かつそれが揺れ動き、興味深い色合いを楽しむことができる。またLED7a、7b、7cの赤色、青色及び緑色の光は、上方に行くに従って相互に混じり合い、横方向の色相の変化も生じる。またこれも冷却ガスの動きに伴って揺れ動くことになる。
【0057】
該移動空間4に送り出された冷却ガスは、円筒状外側部2aに開口している調節穴2a2、2a2…の全部又は一部が、指又は掌によって閉塞されずに、開いている場合には、その近くを上昇する該冷却ガスの一部がそこから排気されることになる。これによってその近くの冷却ガスの流れに変化が生じ、更にその変化がその近くの冷却ガスの流れに影響を与える。こうして複雑かつ予測の付きにくい流れの変化が生じ、これが白煙状凍結水粒子の微妙な流れ、動き又はその変化として認識される。更にその変化は、LED7a、7b、7cによって付与される色合いを微妙に変化させ、極めて興味深い色彩及びその変化を見せることになる。種々の位置の調節穴2a2、2a2…の開閉を行うことにより、冷却ガスの種々の流れを生じさせ、かつその急速な変化や緩やかな変化を楽しむこともできる。
【0058】
なお、該LED7a、7b、7cを配した底部構成部材3の周側部3bの上端面には、薄膜状の鏡面部3b1が配してあるため、冷却ガスの白煙状凍結水粒子で反射して戻ってくる光を、該鏡面部3b1で、再反射して上方の白煙状凍結水粒子側に再放射し、これによって光量を保持できるようになっている。
【0059】
なお、円筒状周側部2の飲料収納部1中の飲料は、該円筒状周側部2の上部を薄く構成してあるので、飲み易くなっている。
【0060】
また収納部5中のドライアイスが無くなった場合は、引出部5aを引き出して、再度ドライアイスを充填することが容易にできる。
【0061】
ストローを使用するときは、前記リング状支持部2a3及び下部受け部3aで支持させてあるそれを抜き取って使用すればよいし、不要になれば、同様に、該リング状支持部2a3及び下部受け部3aにまた支持させておけばよい。そのため飲用の邪魔になることもない。
【0062】
途中で時刻を知りたくなった場合は、下部に配してある時計部6の文字部を見ることでそれを知ることができる。
【0063】
飲用に使用した後には、円筒状周側部2と底部構成部材3とは、前者の円筒状内側部2bの連結雄ねじ部2b2と後者の連結雌ねじ部3cとの螺合を解くことにより、容易に分離することができる。こうして、移動空間4内が汚れた場合等には容易に洗浄することができる。また前記引出部5aを引出収納空間5bから抜き取っておけば、前記LED7a、7b、7cの電源スイッチはオフになり、該LED7a、7b、7cの発光動作を停止させておくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、グラスの製造の分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 飲料収納部(飲料収納空間)
2 円筒状周側部
2a 円筒状外側部
2a1 排気口
2a2 調節穴
2a3 リング状支持部
2b 円筒状内側部
2b1 膨出部
2b2 円筒状内側部の連結雄ねじ部
3 底部構成部材
3a 下部受け部
3b 底部構成部材の周側部
3b1 底部構成部材の周側部の上面に配した鏡面部
3c 底部構成部材の周側部の連結雌ねじ部
3d 底部
3e ガス供給孔
4 移動空間
5 収納部
5a 引出部
5a1 爪係止穴
5a2 出口部
5b 引出収納空間
5b1 抜け止め
5b2 引出収納空間の下面を構成する蓋体
5b3 蓋体の爪係止部
6 時計部
6a 電子回路部
6b 文字部
7a、7b、7c LED
8 パッキン部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容した飲料類を継続して冷却しながら飲用することができるグラスに関する。
【背景技術】
【0002】
それ自体に収容した飲料を冷却する機能を有するグラスは知られていない。グラス類を冷却又は加温する手段は知られている。
【0003】
特許文献1は、グラスや瓶に入っている飲食物をそのまま保冷温する器の例であり、これは、耐水性及び耐熱性の高い素材でできた外容器の内側に、取り外しのできる、穴の開いた同素材の内容器を設置し、その間に氷水又は熱湯を入れ、ビン類・缶類・徳利・グラス・ジョッキ・湯飲み等に入った飲食物を長時間保冷温する器である。
【0004】
従って、この飲食物を長時間保冷温する器は、言うまでもなく、グラスそのものに、その中の飲料を冷却する冷却する手段が施された構成のものではない。グラス等をその中に入れて冷却するための手段である。また、グラス等の冷却の際には、外容器と内容器の間に冷却剤として氷水を入れるものであるが、内容器には、穴が開いているので、氷水は、当然、内容器内にも入ってくる。それ故、冷却は、十分有効に行われ得ると思われるが、冷却のために内容器中に装入したグラス等の外面は底の進入している氷水で濡れてしまい、飲用のために取り出す際には、いちいち外面の水分を拭き取る必要があり、厄介でもある。
【0005】
特許文献2は、コップ等の冷却用容器の例で、これは、上部開放かつ有底円筒形で、周側部及び底部を二重構造としてその内側に空洞部を形成し、該空洞部内に冷却用の液体を収納すべく構成したコップ等の冷却用容器である。
【0006】
従ってこのコップ等の冷却用容器も、言うまでもなく、コップそれ自体に冷却手段を施したものではない。その内部に、要冷却対象の飲料を充填したコップを装入して、その冷却を図るための手段である。なお、このコップ等の冷却用容器中で、冷却対象のコップは、主として熱伝導を通じて熱が奪われ冷却されると考えられる。従ってコップが十分に冷却されるためには、その底部及び周側が該冷却用容器の内周に接している必要があるが、底部以外の部位を確実に接触させるのは容易なことではない。底部以外で冷却するのは容易ではないと思われる。
【0007】
特許文献3は、照明型容器に関する例であり、飲料等を収容する少なくとも底部が光透過性を有する容器と、該容器をその上部に着脱自在に取り付けうるホルダー本体と、該ホルダー本体に配した、該容器内に光を導入させる導光体、該導光体に光を照射する光源及び該光源用の電源と、で構成した照明型容器である。
【0008】
従ってこの照明型容器によれば、その容器に飲料を収容した上で、光源から光を放射させると、その光は導光体に入射し、これを通じて容器内に導かれ、該容器内の飲料を通じて外界に放射されることになる。即ち、その容器をおいてある領域、或いはその容器を持っている人の周囲を個別に照らすことになり、特別な雰囲気の照明を行うことが可能になるとされている。実際そのようになると思われるが、容器に収容された飲料の冷却等の機能は全く有しないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002―39656号公報
【特許文献2】実開平06―84278号公報
【特許文献3】特開2004−105231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上の従来技術の問題点を解決し、その中に収容した飲料を希釈することなく適切に冷却することが可能であり、更に冷却手段としてドライアイスを用い、その昇華ガス及び該ドライアイスに接触して生じた白煙状凍結水粒子、並びにLEDによる光を利用して容器周囲に色合い等の変化する特徴ある状態を作り出すことができるグラスを提供することを解決の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1は、内側に飲料収納空間を備えた円筒状周側部及びその下部を閉じる着脱自在な底部構成部材からなるグラスであって、
前記円筒状周側部を、ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスの移動空間をその間に構成する上端で結合した円筒状外側部と円筒状内側部とにより構成し、
前記円筒状外側部の上部には外部に開口する冷却ガスの排気口を開口し、該円筒状外側部の上部以外の部位には、それらを指によって開閉することにより底部構成部材のドライアイスの収納部から前記円筒状内側部と該円筒状外側部との間の移動空間を立ち上る冷却ガスの移動状態を調節する複数の調節穴を開口し、
前記円筒状内側部には、該移動空間を立ち上る冷却ガスの移動に変化を加えるべく、飲料収納空間内に膨出する複数の膨出部をランダムに形成し、
前記底部構成部材には、ドライアイスを収納する前記収納部であって、その周側部の上部の一以上の位置から該ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスを前記円筒状周側部の移動空間に導入すべく案内する連通孔が開口してある収納部を形成し、
前記底部構成部材の周側部の上端に、前記円筒状周側部の移動空間内にその光を放射すべく複数のLEDを配置してなるグラスである。
【0012】
本発明の2は、本発明の1のグラスにおいて、前記LEDとして、赤、青又は緑の光を放射するそれを各一個ずつ採用したものである。
【0013】
本発明の3は、本発明の1又は2のグラスにおいて、前記円筒状周側部の上部を下部より薄く構成したものである。
【0014】
本発明の4は、本発明の1、2又は3のグラスにおいて、前記底部構成部材の収納部より下部に周側部に文字部を配した時計を組み込んだものである。
【0015】
本発明の5は、本発明の1、2、3又は4のグラスにおいて、前記ドライアイスを収納する収納部を、ドライアイスに加えて水を添加しうるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1のグラスによれば、その飲料収納空間に冷却して飲用するのが適当なジュース類等の飲料を収容して飲用することとすれば、該飲料収納空間中の飲料は、前記収納空間に収容したドライアイスにより底部から冷却され、更に、該収納部から上昇するドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスが円筒状周側部の移動空間に導かれ、該移動空間を移動することになるので、該冷却ガスによっても冷却されることになる。
【0017】
該移動空間を構成する円筒状外側部と円筒状内側部の内、円筒状内側部には、ランダムに該飲料収納空間内に膨出する膨出部が形成されている。そのため、上記飲料に対する冷却作用は、より良好に行われることになる。
【0018】
従って飲料用収納空間内の飲料の冷却は適切に行われ、しかもこの冷却は、飲料中に投入する氷で冷却する場合のように、飲料の濃度等に影響を与えるようなものではないので、その風味に悪影響を与えることもない。
【0019】
また、底部構成部材の収納部で発生したドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスは、円筒状周側部の移動空間を上昇移動し、最終的には、該円筒状周側部の最上部の排気口から排気されることになるが、途中に開口された複数の調節穴があり、これらを指で、或いは掌等で、閉じたり、或いは開いたままで放置したりすることにより、該冷却ガスの動きをいろいろ調節し、その動きを楽しむことも可能である。さらには、前記したように、前記円筒状内側部には、飲料収納空間内に膨出する複数の膨出部をランダムに形成してあるので、該飲料収納空間内の飲料の冷却を効率化することができると共に、該円筒状周側部内の移動空間内を立ち上る冷却ガスの移動に変化を加える作用も果たし、その動きをより興味深いものにすることもできる。
【0020】
このとき、底部構成部材の周側部の上端にLEDが配してあり、このLEDにより、これより上方の移動空間内を移動する前記冷却ガスに光が照射され、光の照射された部位の興味深い変化を観察することができる。前記したように、前記調節穴の開閉を種々に行ってみると、冷却ガスの動きを種々に変化させ得、光の照射される部位を変化させることにより、一層興味深い光の変化を見ることができる。前記のように、円筒状内側部にはランダムに膨出部が配されているため、その中に冷却ガスが移動することにより、冷却ガスの動きに一層の変化が与えられ、光の当たり具合にも更に変化を与えることができることになる。
【0021】
本発明の2のグラスによれば、前記LEDとして、赤、青又は緑の光を放射するそれを各一個ずつ採用したため、白煙状凍結水粒子を含む冷却ガスは、それらのLEDの光照射により、時には、個別にそれぞれ対応する部位が赤、青又は緑に染まった状態になり、時には、該白煙状凍結水粒子の動きに伴って、それらの色の全部又は一部が種々の割合で混じり合った状態になり、種々の微妙な色を呈する興味深い色合いの変化を味わうこともできることになる。
【0022】
本発明の3のグラスによれば、円筒状周側部の上部を下部より薄くしたため、飲料を飲む際に飲みやすくなる利点を得ることができる。
【0023】
本発明の4のグラスによれば、底部周側に、文字部を有する時計を組み込んだので、飲料を飲みながら、必要に応じて、時刻を確認することもできる。
【0024】
本発明の5のグラスによれば、底部構成部材のドライアイスを収納する収納部に水を添加することを可能としたため、白煙状凍結水粒子が大量に発生し得、これを円筒状周側部の移動空間に導いた場合に、これらにLEDの光が当たって一層美しい色合いを生じさせることができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例のグラスの正面図。
【図2】実施例のグラスの平面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】図1のC−C線断面図。
【図6】図1のD−D線断面図。
【図7】図1のE−E線断面図。
【図8】図1のF−F線断面図。
【図9】図3のG−G線断面図。
【図10】図3のH−H線断面図。
【図11】ドライアイス収納用の引出部(収納部)を引き出した状態の横断面平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
この実施例のグラスは、図1〜図3に示すように、基本的に、内側に飲料収納部(飲料収納空間)1を備えた円筒状周側部2とその下部を閉じる着脱自在な底部構成部材3とで構成したものである。
【0027】
前記円筒状周側部2は、図1及び図3に示すように、上広がりテーパ状の円筒状外側部2a及びこれと同軸状かつ上広がりテーパ状の円筒状内側部2bとによる二重構造であり、両者の間に冷却ガスの移動空間4を備えたものである。
【0028】
なお、該冷却ガスは、ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなるそれを想定している。また白煙状凍結水粒子は、ドライアイスによって冷却された空気中の水分から生じた白煙状の凍結水粒子群、若しくはドライアイスに添加した水から生じた白煙状の凍結水粒子群を称している。該冷却ガスは、後述するように、底部構成部材3中の収納部5に収納したドライアイスから立ち上るそれである。
【0029】
前記円筒状内側部2bの上端は、図1及び図3に示すように、その高さを、前記円筒状外側部2aの上端より若干低く構成し、該円筒状内側部の上端の高さで相互を結合することにより、一方では、前記移動空間4の上端を、前記円筒状周側部2の上端より少し低い位置で閉じ、他方で、該円筒状周側部2の上端部の厚さを薄く構成したものである。
【0030】
前記円筒状外側部2aには、図1及び図3〜図6に示すように、前記移動空間4の最上部に対応させて円周方向に90度の角度間隔で、冷却ガスを排出する四個の排気口2a1、2a1…を開口し、その直下から最下部の間には、該移動空間4内の冷却ガスの移動状態を調節するための複数の調節穴2a2、2a2…をランダムに開口してある。該移動空間4内の冷却ガスの移動状態、即ち、その流れの方向や速さ、若しくは白煙の濃淡等は、複数の調節穴2a2、2a2…を、適宜、指又は掌等で開閉することにより、途中のいずれかの調節穴2a2、2a2…からの放出を許容したり、しなかったりすることを通じて、調節するものである。なお、この実施例では、複数の調節穴2a2、2a2…をランダムに開口したが、意匠上の観点を除けば、規則的に開口することにしても不都合ではない。両手の指又は掌で開閉できる位置関係である必要はある。またこの実施例では、調節穴2a2、2a2…は円形穴に構成してあり、その径も全て同一であるが、穴形状も径もこれらに限定する必要はない。前記趣旨に合致し、指又は掌で開閉可能であれば不都合ではない。
【0031】
該円筒状外側部2aの外周中間部付近には、ストローの中間部を貫通させて支持するリング状支持部2a3が配してある。このリング状支持部2a3は、底部構成部材3に配した後述する下部受け部3aで下部を支持されたストローの中間部を支持するものである。
【0032】
前記円筒状内側部2bは、図1〜図6に示すように、その上端から下端の間に前記飲料収納部1中に膨らむ膨出部2b1、2b1…をランダムに構成し、かつ前記円筒状外側部2aの下端より更に下方に突出する該円筒状内側部2bの最下部外周には、前記底部構成部材3の周側部3bの上部内周に形成した連結雌ねじ部3cと着脱自在に螺合する連結雄ねじ部2b2を構成する。
【0033】
前記膨出部2b1、2b1…は、前記のように、ランダムに配し、一つは、前記移動空間4内を立ち上り移動する冷却ガスの移動に、不規則な変化を加え得るようにする趣旨である。もう一つは、前記飲料収納部1中の飲料を効率的に冷却し得るようにする趣旨である。該各膨出部2b1、2b1…は、概ね、半球状又は半楕円球状等に前記飲料収納部1中に膨出させるものであり、図1、図3、図5及び図6に示すように、該移動空間4中から見ると、半球状又は半楕円球状の凹部を形成するものである。
【0034】
前記移動空間4は、前記し、図1、図3〜図7に示すように、前記円筒状外側部2aと前記円筒状内側部2bとの間のほぼ円筒状の空間であり、最上部は、前記のように、該円筒状外側部2aの上部途中と該円筒状内側部2bの上端との結合部で区画され、下端は、円筒状周側部2を、後述するように、底部構成部材3と結合した状態で、該底部構成部材3の周側部3bの上端で区画された構成である。後述するように、該移動空間4の最下部は、該底部構成部材3に構成した収納部5と連通しており、そこから冷却ガスが導入されるようになっている。
【0035】
前記底部構成部材3は、図1、図3及び図8〜図11に示すように、基本的に、円筒状周側部2と結合した状態で、その飲料収納部1の下部を閉じるほぼ円形の底部3dと、その周囲及びその下方周囲を区画する前記周側部3bと、該底部3dの直下に構成するドライアイス収納用の前記収納部5と、更にその下方に構成した時計部6と、該周側部3bの上端に配したLED7a、7b、7cと、該周側部3bの外側に構成した下部受け部3aとで構成したものである。
【0036】
該周側部3bの上部内周、即ち、該周側部3bの前記底部3dの周縁部から立ち上がる部分の内周には、前記し、図1、図3及び図9に示すように、前記連結雌ねじ部3cが形成してあり、前記したように、これに、前記円筒状内側部2bの最下部外周に形成した連結雄ねじ部2b2が着脱自在に螺合するようになっている。
【0037】
前記底部3dの周縁部には、図1及び図3に示すように、以上のように、円筒状内側部2bの連結雄ねじ部2b2を該連結雌ねじ部3cに螺合した際に、該円筒状内側部2bの下端との間の水密性を確保すべく、パッキン部材8を配しておく。このパッキン部材8は食品に悪影響を与えない部材で構成する。この実施例では、ポリエチレン製の環状薄板部材を採用した。
【0038】
前記収納部5は、図1及び図3に示すように、前記底部構成部材3の底部3dの直下に構成するドライアイスを収納する空間であり、この実施例では、図1、図3、図10及び図11に示すように、ドライアイス収納用の引出部5aと、該引出部5aを出し入れする引出収納空間5bとで構成する。該引出部5aの正面側の周側壁には、特に図1及び図3に示すように、該引出部5aを引出収納空間5bから引き出す際に指の爪を掛ける爪係止穴5a1を形成しておく。
【0039】
該引出収納空間5bの最外面側底面には、図1、図3及び図11に示すように、収納状態の引出部5aが無用に抜け出すことがないように抜け止め5b1を配しておく。この抜け止め5b1は、合成ゴムで構成した薄い板状部材であり、該引出収納空間5bの最外面側底面に埋め込み状態に配し、これと該引出部5aの底面との間に生じる摩擦力により、該引出部5aの抜け止めを図る。
【0040】
また該引出部5aは、その内部空間がドライアイスの収納空間となるが、この引出部5aは、水密性に構成してあるため、収納空間は必要に応じてドライアイスに加えて若干の水を収納し、前記したように凍結水粒子による白煙を発生し易くすることができる。
該引出部5aの周側壁の上端には、図1、図3、図10及び図11に示すように、冷却ガス(ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子)を前記円筒状周側部2の移動空間4に送り出すための複数の出口部5a2、5a2…を形成しておく。この実施例では、特に図10及び図11に示すように、周方向60度の角度間隔で6箇所に出口部5a2、5a2…を開口した。この出口部5a2、5a2…は、この引出部5aの周側壁の厚みとの関係で、前部側の二つのみが全体の大きさを持ち、他の四個は、一部の大きさしか持たないものとなっている。他の四個については、同図に示すように、底部構成部材3の周側部3b側の対応する部位に、対応する寸法形状の開口部を構成し、それとの組み合わせで全体の出口部構成を完成させるようになっている。
【0041】
これらの出口部5a2、5a2…は、図7〜図9に示すように、前記引出部5aを引出収納空間5bに収納した状態で、各々前記底部構成部材3の周側部3bに形成したガス供給孔3e、3e…と連通するようになっている。該出口部5a2、5a2…と該ガス供給孔3e、3e…とは、一体となって引出部5a中で発生したドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスを前記円筒状周側部2の移動空間4に送り出すための連通孔を構成するものである。
【0042】
該ガス供給孔3e、3e…は、以上に述べたように、云うまでもなく、底部構成部材3の周側部3bの上部中に、周方向60度の角度間隔で、かつ前記引出部5aの周側壁の上端に形成した出口部5a2、5a2…に対応する位置関係で、開口形成してあるものである。上端は、図7に示すように、底部構成部材3の周側部3bの上端に開口しており、前記円筒状周側部2の移動空間4に最下部で連通するようになっている。
なお、該ガス供給孔3e、3e…は、前記移動空間4への接続部では、図8に示すように、ほぼ四辺形になっているが、最下部の前記出口部5a2、5a2…との接続部では半円形状になっており、上部に向かって徐々に四辺形になるようになっている。また該ガス供給孔3e、3e…は、最下部は該出口部5a2、5a2…の直上に位置し、上部に向かうに従って徐々に外側に向かう、斜めに立ち上がる穴に構成してある。
なおまた出口部5a2、5a2…及びガス供給孔3e、3e…は、引出部5aから移動空間4に冷却ガスを適切に供給できる構成であれば、これらの構成に限定されないことは云うまでもない。
【0043】
前記LED7a、7b、7cは、前記し、図7に示すように、底部構成部材3の周側部3bの上端に相互に周方向120度の角度間隔で配したものである。前記ガス供給孔3e、3e…の内の該当する二つのそれらの中間部に配する位置関係で、当然、上方に光を照射できるように配してある。この実施例では、該LED7a、7b、7cは、光の三原色に対応する赤色発光タイプ、青色発光タイプ、緑色発光タイプの三種を採用した。電源は、ドライアイスの収納部5の下方に位置する前記時計部6の側方に図示しない電池を配し、該電池から供給する。これらのLED7a、7b、7cには、点滅駆動等の発光駆動回路を付設することも可能であるが、この実施例では、継続点灯駆動回路を採用した。なお、前記電池は、前記引出収納空間5bの下面を構成する蓋体5b2を外して交換できるようにしてある。なお、該LED7a、7b、7は、ドライアイスを収納した引出部5aを該引出収納空間5bに押し込むと電源オンとなって点灯を開始するように構成してある。
【0044】
前記LED7a、7b、7cを設置した底部構成部材3の周側部3bの上端面には、これらのLED7a、7b、7cを配した部位及び前記ガス供給孔3e、3e…の開口する部位を除いて、薄膜状の鏡面部3b1を配する。該LED7a、7b、7cから放射され、移動空間4内の白煙状の凍結水粒子から乱反射された光を更に該移動空間4中に反射させるようにする趣旨である。
【0045】
前記時計部6は、前記し、図1及び図2に示すように、前記収納部5の直下の空間にその電子回路部6aを配し、底部構成部材3の周側部3bの正面側の部位に文字部6bを表示するように配したものである。なお、該電子回路部6aの側方には図示しない時計駆動用の電池及び前記LED7a、7b、7c駆動用の電池が配してある。前記のように、ドライアイスの収納部5を構成する引出収納空間5bの下面には、前記蓋体5b2が配してあり、該蓋体5b2が該引出収納空間5bの下面を構成すると共に、時計部6の電子回路部6a、その駆動用電池及びLED駆動用電池を収納する空間の上面を構成している。該蓋体5b2は、ドライアイスの冷却作用によって電池の動作を妨げることがないように断熱材で構成してある。
【0046】
該蓋体5b2には、図11に示すように、その中央付近に爪係止部5b3が構成してあり、引出部5aを引き出した上で、該爪係止部5b3に爪を係止して引き上げることにより、該蓋体5b2を取り外し、その下方の時計6の電池等を収納した空間を開くことが可能である。電池の交換等はこうして行うことができる。
【0047】
前記下部受け部3aは、図1、図3、図9〜11に示すように、底部構成部材3の周側部3bの外側に構成したストローの下部受け用の受け部であり、上方の円筒状周側部2の外周、即ち、円筒状外側部2aの外周に固設したストローの中間部挿入支持用のリング状支持部2a3と上下対応する位置関係になるように配置してある。
【0048】
従ってこの実施例のグラスによれば、その円筒状周側部2の飲料収納部1中に飲料を充填し、その飲用のために好適に使用することができる。このとき、該飲料収納部1への飲料の充填に前後して、該円筒状周側部2の下部に結合した底部構成部材3の収納部5にドライアイスを収納する。このドライアイスの収納は、前記したように、外部に引き出してある引出部5a中にドライアイスを入れた上で、該収納部5を構成する引出収納空間5bに該引出部5aを装入することにより行う。前記したように、このように引出部5aを引出収納空間5bに装入すると、前記LED7a、7b、7cの電源スイッチもオンとなり、該LED7a、7b、7cの発光動作も開始することになる。
【0049】
なお、引出部5aにドライアイスを充填する際には、白煙を多量に出したい場合は、ドライアイスに若干の水を添加する。
【0050】
ストローを使用する場合は、前記円筒状周側部2の外面側である円筒状外側部2aに固設したリング状支持部2a3にその途中を挿入し、下端を前記底部構成部材3の周側部3bの外側に構成した下部受け部3aで支持させておくものとする。
【0051】
以上のようにして、この実施例のグラスは飲用者に提供することができる。
【0052】
このグラスでは、前記収納部5の引出部5aからドライアイスの昇華ガス及び空気中の水分又はドライアイスと共に収納した水が急速冷却されて生じた白煙状凍結水粒子の混合物である冷却ガスが立ち上り、その出口部5a2、5a2…及びガス供給孔3e、3e…を通じて前記円筒状周側部2の移動空間4に送り出される。飲料収納部1に充填されている飲料は、ドライアイスにより下部の底部3dから冷却されることに加えて、該移動空間4を上昇移動する冷却ガスによっても冷却されることになる。
【0053】
これらの冷却は、飲料中に氷を入れて冷やすような手段ではないので、飲料の濃度に変化を与える問題がない。それ故、飲料の風味に影響を与えない利点がある。
【0054】
該移動空間4に送り出された冷却ガスは、円筒状外側部2aにランダムに開口してある調節穴2a2、2a2…が指又は掌によって閉塞されている場合には、途中の膨出部2b1、2b1…に近接する位置では、その中に進入したり、戻ったりしながら、該移動空間4の最上部まで上昇し、円筒状外側部2aの上部に開口してある四個の排気口2a1、2a1…に分かれて排気されることになる。冷却ガスは、以上のように、その流れの通過する位置又はその移動状態により、円筒状内側部2bに形成してある膨出部2b1、2b1…に出入りすることがあるが、その場合には、該膨出部2b1、2b1…は、飲料収納部1中に膨出状態となっているため、該飲料収納部1中の飲料に対する冷却効果を更に高めることができる。またこのように該膨出部2b1、2b1…中への冷却ガスの出入りが生じることにより、単にストレートに移動空間4内を上昇する場合とは異なる流れが生じることになる。
【0055】
冷却ガスは、ドライアイスの昇華ガスのみではなく、既述のように、白煙状凍結水粒子を含むものであるため、その流れ及び流れの変化が視覚的に認識可能である。このグラスは、特にそうでないことを明示した部位以外は、文字通りガラスで構成され、透明であるため、その冷却ガスの興味深い流れ又は動き、及びその流れ又は動きの変化を外部から認識することができる。
【0056】
この冷却ガスには、前記底部構成部材3の周側部3bの上端に配したLED7a、7b、7cから赤色、青色及び緑色の光が照射され、それによって該冷却ガスの白煙状凍結水粒子がその濃淡等に応じて着色され、かつそれが揺れ動き、興味深い色合いを楽しむことができる。またLED7a、7b、7cの赤色、青色及び緑色の光は、上方に行くに従って相互に混じり合い、横方向の色相の変化も生じる。またこれも冷却ガスの動きに伴って揺れ動くことになる。
【0057】
該移動空間4に送り出された冷却ガスは、円筒状外側部2aに開口している調節穴2a2、2a2…の全部又は一部が、指又は掌によって閉塞されずに、開いている場合には、その近くを上昇する該冷却ガスの一部がそこから排気されることになる。これによってその近くの冷却ガスの流れに変化が生じ、更にその変化がその近くの冷却ガスの流れに影響を与える。こうして複雑かつ予測の付きにくい流れの変化が生じ、これが白煙状凍結水粒子の微妙な流れ、動き又はその変化として認識される。更にその変化は、LED7a、7b、7cによって付与される色合いを微妙に変化させ、極めて興味深い色彩及びその変化を見せることになる。種々の位置の調節穴2a2、2a2…の開閉を行うことにより、冷却ガスの種々の流れを生じさせ、かつその急速な変化や緩やかな変化を楽しむこともできる。
【0058】
なお、該LED7a、7b、7cを配した底部構成部材3の周側部3bの上端面には、薄膜状の鏡面部3b1が配してあるため、冷却ガスの白煙状凍結水粒子で反射して戻ってくる光を、該鏡面部3b1で、再反射して上方の白煙状凍結水粒子側に再放射し、これによって光量を保持できるようになっている。
【0059】
なお、円筒状周側部2の飲料収納部1中の飲料は、該円筒状周側部2の上部を薄く構成してあるので、飲み易くなっている。
【0060】
また収納部5中のドライアイスが無くなった場合は、引出部5aを引き出して、再度ドライアイスを充填することが容易にできる。
【0061】
ストローを使用するときは、前記リング状支持部2a3及び下部受け部3aで支持させてあるそれを抜き取って使用すればよいし、不要になれば、同様に、該リング状支持部2a3及び下部受け部3aにまた支持させておけばよい。そのため飲用の邪魔になることもない。
【0062】
途中で時刻を知りたくなった場合は、下部に配してある時計部6の文字部を見ることでそれを知ることができる。
【0063】
飲用に使用した後には、円筒状周側部2と底部構成部材3とは、前者の円筒状内側部2bの連結雄ねじ部2b2と後者の連結雌ねじ部3cとの螺合を解くことにより、容易に分離することができる。こうして、移動空間4内が汚れた場合等には容易に洗浄することができる。また前記引出部5aを引出収納空間5bから抜き取っておけば、前記LED7a、7b、7cの電源スイッチはオフになり、該LED7a、7b、7cの発光動作を停止させておくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、グラスの製造の分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 飲料収納部(飲料収納空間)
2 円筒状周側部
2a 円筒状外側部
2a1 排気口
2a2 調節穴
2a3 リング状支持部
2b 円筒状内側部
2b1 膨出部
2b2 円筒状内側部の連結雄ねじ部
3 底部構成部材
3a 下部受け部
3b 底部構成部材の周側部
3b1 底部構成部材の周側部の上面に配した鏡面部
3c 底部構成部材の周側部の連結雌ねじ部
3d 底部
3e ガス供給孔
4 移動空間
5 収納部
5a 引出部
5a1 爪係止穴
5a2 出口部
5b 引出収納空間
5b1 抜け止め
5b2 引出収納空間の下面を構成する蓋体
5b3 蓋体の爪係止部
6 時計部
6a 電子回路部
6b 文字部
7a、7b、7c LED
8 パッキン部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に飲料収納空間を備えた円筒状周側部及びその下部を閉じる着脱自在な底部構成部材からなるグラスであって、
前記円筒状周側部を、ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスの移動空間をその間に構成する上端で結合した円筒状外側部と円筒状内側部とにより構成し、
前記円筒状外側部の上部には外部に開口する冷却ガスの排気口を開口し、該円筒状外側部の上部以外の部位には、それらを指によって開閉することにより底部構成部材のドライアイスの収納部から前記円筒状内側部と該円筒状外側部との間の移動空間を立ち上る冷却ガスの移動状態を調節する複数の調節穴を開口し、
前記円筒状内側部には、該移動空間を立ち上る冷却ガスの移動に変化を加えるべく、飲料収納空間内に膨出する複数の膨出部をランダムに形成し、
前記底部構成部材には、ドライアイスを収納する前記収納部であって、その周側部の上部の一以上の位置から該ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスを前記円筒状周側部の移動空間に導入すべく案内する連通孔が開口してある収納部を形成し、
前記底部構成部材の周側部の上端に、前記円筒状周側部の移動空間内にその光を放射すべく複数のLEDを配置してなるグラス。
【請求項2】
前記LEDとして、赤、青又は緑の光を放射するそれを各一個ずつ採用した請求項1のグラス。
【請求項3】
前記円筒状周側部の上部を下部より薄く構成した請求項1又は2のグラス。
【請求項4】
前記底部構成部材の収納部より下部に周側部に文字部を配した時計を組み込んだ請求項1、2又は3のグラス。
【請求項5】
前記ドライアイスを収納する収納部を、ドライアイスに加えて水を添加しうるようにした請求項1、2、3又は4のグラス。
【請求項1】
内側に飲料収納空間を備えた円筒状周側部及びその下部を閉じる着脱自在な底部構成部材からなるグラスであって、
前記円筒状周側部を、ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスの移動空間をその間に構成する上端で結合した円筒状外側部と円筒状内側部とにより構成し、
前記円筒状外側部の上部には外部に開口する冷却ガスの排気口を開口し、該円筒状外側部の上部以外の部位には、それらを指によって開閉することにより底部構成部材のドライアイスの収納部から前記円筒状内側部と該円筒状外側部との間の移動空間を立ち上る冷却ガスの移動状態を調節する複数の調節穴を開口し、
前記円筒状内側部には、該移動空間を立ち上る冷却ガスの移動に変化を加えるべく、飲料収納空間内に膨出する複数の膨出部をランダムに形成し、
前記底部構成部材には、ドライアイスを収納する前記収納部であって、その周側部の上部の一以上の位置から該ドライアイスの昇華ガス及び白煙状凍結水粒子からなる冷却ガスを前記円筒状周側部の移動空間に導入すべく案内する連通孔が開口してある収納部を形成し、
前記底部構成部材の周側部の上端に、前記円筒状周側部の移動空間内にその光を放射すべく複数のLEDを配置してなるグラス。
【請求項2】
前記LEDとして、赤、青又は緑の光を放射するそれを各一個ずつ採用した請求項1のグラス。
【請求項3】
前記円筒状周側部の上部を下部より薄く構成した請求項1又は2のグラス。
【請求項4】
前記底部構成部材の収納部より下部に周側部に文字部を配した時計を組み込んだ請求項1、2又は3のグラス。
【請求項5】
前記ドライアイスを収納する収納部を、ドライアイスに加えて水を添加しうるようにした請求項1、2、3又は4のグラス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−188139(P2010−188139A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−60213(P2010−60213)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(309041753)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60213(P2010−60213)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(309041753)
【Fターム(参考)】
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